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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240315BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 642A
H01L21/304 642F
H01L21/304 648
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020064008
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163861
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真治
(72)【発明者】
【氏名】内田 博章
(72)【発明者】
【氏名】武知 圭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174257(JP,A)
【文献】特開2019-050349(JP,A)
【文献】特開2010-082558(JP,A)
【文献】特開2008-084903(JP,A)
【文献】特開平07-058078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0080937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する基板処理方法であって、
前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、
前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、
前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、
前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程と
を含
前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する前記工程では、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている期間に、前記気泡供給部材の前記内部への前記処理液の導入を開始する、基板処理方法。
【請求項2】
前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給され、
前記気泡供給部材に前記処理液を導入する前記工程では、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する前記工程では、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている前記期間に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する基板処理方法であって、
前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、
前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、
前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、
前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程と
を含み、
前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給され、
前記気泡供給部材に前記処理液を導入する前記工程では、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管よりも下流側において前記気泡供給部材と接続される処理液導入用管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む、基板処理方法。
【請求項5】
処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する基板処理方法であって、
前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、
前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、
前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、
前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材に気体供給配管から気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程と
を含み、
前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された前記気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給され、
前記気泡供給部材から前記処理液を押し出す前記工程では、前記気泡供給部材に前記気体供給配管から供給される前記気体の流量は、前記複数の気泡を供給する前記工程での前記気体の流量よりも多い、基板処理方法。
【請求項6】
処理液を貯留する処理槽と、
基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する基板保持部と、
複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する気泡供給部材と、
前記気泡供給部材に、前記気泡を発生させるための気体を供給して、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を供給させる気体供給部と、
前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する処理液導入部と
を備え、
前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通し、
前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行し
前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記処理液導入部は、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている期間に、前記気泡供給部材の前記内部への前記処理液の導入を開始する、基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液導入部は、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている前記期間に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気体供給部は、前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含み、
前記気体供給部は、
前記気体供給配管から前記気泡供給部材に前記気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡を供給させ、
前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む、請求項6又は請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理液を貯留する処理槽と、
基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する基板保持部と、
複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する気泡供給部材と、
前記気泡供給部材に、前記気泡を発生させるための気体を供給して、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を供給させる気体供給部と、
前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する処理液導入部と
を備え、
前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通し、
前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行し、
前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記気体供給部は、前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含み、
前記処理液導入部は、前記気体供給配管よりも下流側において前記気泡供給部材と接続される処理液導入用管を含み、
前記気体供給部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材に前記気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡を供給させ、
前記処理液導入部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記処理液導入用管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む、基板処理装置。
【請求項10】
処理液を貯留する処理槽と、
基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する基板保持部と、
複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する気泡供給部材と、
前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含み、前記気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を前記気泡供給部材に供給させる気体供給部と、
前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する処理液導入部と
を備え、
前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通し、
前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材に前記気体供給配管から気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行し、
前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行され、
前記処理液を押し出す前記処理を実行する場合の前記気体の流量は、前記複数の気泡を発生させる場合の前記気体の流量よりも多い、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置及び液晶表示装置などの電子部品に用いられる基板は、基板処理装置によって処理されることが知られている。基板は、処理槽内の処理液に浸漬することによって基板の処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年における半導体基板上に形成される素子の微細化や三次元化に伴い、基板の処理を均一化する要請が高まっている。例えば、三次元構造を有するNAND素子は、立体的な凹凸構造を有する積層構造を有している。素子パターンの凹凸構造の凹部に処理液が滞留した場合には、凹部内の液置換が不十分となる。そのため、凹部を含む基板全体に対して充分に液置換を促す手段として、処理槽に浸漬した基板の下方に気泡発生器(気泡供給部材)を配置し、気泡発生器から気泡を発生させて処理槽内の液置換を促進するという技術がある。
【0004】
特許文献1には、こうした気泡発生器の適用例が記載されている。特許文献1の基板処理装置では、燐酸水溶液を貯留した処理槽に基板を浸漬し基板を処理する際に、処理槽において浸漬した基板の下方に配置した気泡発生器から気泡を発生させる。気泡発生器は、筒状であり、多数の吐出口(多数の気泡供給孔)を有する。気泡発生器の一端には、気泡発生器に混合気体を供給する気体供給配管が接続されている。そして、気泡発生器は、混合気体を各吐出口から燐酸水溶液中に吹き出すことによって、混合気体の気泡を燐酸水溶液中に発生させる。
【0005】
発生した気泡は、処理槽内に載置された複数の基板と基板との間の間隙を上昇しつつ、燐酸水溶液を攪拌する。この攪拌により、基板上に形成された素子パターン周囲の液置換が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-56258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板を燐酸処理した結果、燐酸を含む処理液に溶出した成分は、基板や気泡発生器に析出する可能性がある。
【0008】
溶出成分が気泡発生器の吐出口に析出沈着した場合には、いわゆる目詰まり(clogging)となり、供給される気泡の粒形、分布が変動する可能性がある。溶出成分が気泡発生器の内部に析出沈着した場合、または析出沈着まではしないとしても高い濃度で滞留した場合には、気泡発生器からの気泡の供給開始時に、処理槽内部に溶出成分の濃度の高い処理液を局所的に供給してしまい、基板処理の均一性に影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
近年の三次元構造を有するNAND素子などのパターンを備えた半導体基板などについては、基板処理の品質要求が一層厳格化しており、気泡発生器における溶出成分の沈着や溶出成分の滞留を抑制する必要がある。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、気泡供給部材における溶出成分の沈着や溶出成分の滞留を抑制することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、基板処理方法では、処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する。基板処理方法は、前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程とを含む。前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する前記工程では、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている期間に、前記気泡供給部材の前記内部への前記処理液の導入を開始する。
【0012】
本発明の基板処理方法において、前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給されることが好ましい。前記気泡供給部材に前記処理液を導入する前記工程では、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込むことが好ましい。
【0013】
本発明の基板処理方法において、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する前記工程では、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている前記期間に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入することが好ましい。
【0014】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する。基板処理方法は、前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程とを含む。前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給される。前記気泡供給部材に前記処理液を導入する前記工程では、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管よりも下流側において前記気泡供給部材と接続される処理液導入用管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む。
【0017】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、処理槽に貯留された処理液に、基板を浸漬して、前記基板を前記処理液によって処理する。基板処理方法は、前記処理槽に貯留された前記処理液に、前記基板を浸漬する工程と、前記処理槽に配置された気泡供給部材の内部に連通する複数の気泡供給孔から、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて複数の気泡を供給する工程と、前記基板への前記複数の気泡の供給を停止した後に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入する工程と、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入した後に、前記気泡供給部材に気体供給配管から気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す工程とを含む。前記処理液を押し出す前記工程は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記複数の気泡を供給する前記工程では、前記気泡供給部材に接続された前記気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡が供給される。前記気泡供給部材から前記処理液を押し出す前記工程では、前記気泡供給部材に前記気体供給配管から供給される前記気体の流量は、前記複数の気泡を供給する前記工程での前記気体の流量よりも多い。
【0018】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、基板保持部と、気泡供給部材と、気体供給部と、処理液導入部とを備える。処理槽は、処理液を貯留する。基板保持部は、基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する。気泡供給部材は、複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する。気体供給部は、前記気泡供給部材に、前記気泡を発生させるための気体を供給して、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を供給させる。処理液導入部は、前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する。前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通する。前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行する前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記処理液導入部は、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている期間に、前記気泡供給部材の前記内部への前記処理液の導入を開始する。
本発明の基板処理装置において、前記処理液導入部は、前記基板への前記複数の気泡の供給の停止後であって、前記基板が前記処理液に浸漬されている前記期間に、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を導入することが好ましい。
【0019】
本発明の基板処理装置において、前記気体供給部は、前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含むことが好ましい。前記気体供給部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材に前記気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡を供給させることが好ましい。気体供給部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給を停止した後に、前記気体供給配管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込むことが好ましい。
【0020】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、基板保持部と、気泡供給部材と、気体供給部と、処理液導入部とを備える。処理槽は、処理液を貯留する。基板保持部は、基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する。気泡供給部材は、複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する。気体供給部は、前記気泡供給部材に、前記気泡を発生させるための気体を供給して、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を供給させる。処理液導入部は、前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する。前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通する。前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行する。前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記気体供給部は、前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含む。前記処理液導入部は、前記気体供給配管よりも下流側において前記気泡供給部材と接続される処理液導入用管を含む。前記気体供給部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材に前記気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記複数の気泡供給孔から前記複数の気泡を供給させる。前記処理液導入部は、前記気体供給配管から前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記処理液導入用管を開放することで、前記複数の気泡供給孔を通して前記処理槽から前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液を引き込む。
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、基板保持部と、気泡供給部材と、気体供給部と、処理液導入部とを備える。処理槽は、処理液を貯留する。基板保持部は、基板を保持し、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記基板を浸漬する。気泡供給部材は、複数の気泡供給孔を有し、前記処理槽の内部に配置されて、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡供給孔から複数の気泡を供給する。気体供給部は、前記気泡供給部材に接続される気体供給配管を含み、前記気体供給配管から前記気泡供給部材に気体を供給することで、前記処理液に浸漬された前記基板に向けて前記複数の気泡を前記気泡供給部材に供給させる。処理液導入部は、前記気泡供給部材への前記気体の供給が停止された後に、前記気泡供給部材の内部に前記処理液を導入する。前記複数の気泡供給孔は、前記気泡供給部材の前記内部に連通する。前記気体供給部は、前記気泡供給部材の前記内部に前記処理液が導入された後に、前記気泡供給部材に前記気体供給配管から気体を供給することで、前記気泡供給部材の前記内部から前記処理液を押し出す処理を実行する。前記処理液を押し出す前記処理は、前記処理液に浸漬された前記基板を前記処理槽から引き上げた後であって、新たな基板を前記処理液に浸漬する前に実行される。前記処理液を押し出す前記処理を実行する場合の前記気体の流量は、前記複数の気泡を発生させる場合の前記気体の流量よりも多い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、気泡供給部材における溶出成分の沈着や溶出成分の滞留を抑制することができる基板処理方法および基板処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
図2】(a)は、実施形態1に係る基板が処理液に浸漬される前の状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る基板が処理液に浸漬された状態を示す図である。
図3】実施形態1に係る気泡供給部材、気体供給部、処理液導入部、及び、排気部を示す模式的平面図である。
図4】実施形態1に係る基板処理装置が基板処理を実行している状態を示す図である。
図5】実施形態1に係る基板処理装置が処理液導入処理を実行している状態を示す図である。
図6】実施形態1に係る基板処理装置が処理液押出処理を実行している状態を示す図である。
図7】実施形態1に係る基板処理装置が基板浸漬処理を実行している状態を示す図である。
図8】実施形態1に係る基板処理方法の第1例を示すフローチャートである。
図9】実施形態1に係る基板処理方法の第2例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態2に係る基板処理装置の気泡供給部材、気体供給部、処理液導入部、及び、排気部を示す模式的平面図である。
図11】実施形態2に係る基板処理装置が基板処理を実行している状態を示す図である。
図12】実施形態2に係る基板処理装置が処理液導入処理を実行している状態を示す図である。
図13】実施形態2に係る基板処理装置が処理液押出処理を実行している状態を示す図である。
図14】実施形態2に係る基板処理装置が基板浸漬処理を実行している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。また、「平面視」は、鉛直上方から対象物を見ることを示す。
【0024】
(実施形態1)
図1図9を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。
【0025】
図1は、基板処理装置100を示す模式的断面図である。基板処理装置100は、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。なお、基板処理装置100は、処理液LQによって1枚の基板Wを処理することもできる。処理液LQにより、複数の基板Wには、エッチング処理、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去及び洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。処理液LQは、例えば、薬液である。
【0026】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板及び太陽電池用基板などを含む。
【0027】
例えば、基板処理装置100は、シリコン基板からなる基板Wのパターン形成側の表面に対して、シリコン酸化膜(酸化膜)及びシリコン窒化膜(窒化膜)のエッチング処理を施す。このようなエッチング処理では、基板Wの表面から酸化膜及び窒化膜を選択的に除去する。例えば、処理液LQとして燐酸(H3PO4)の水溶液(以下、「燐酸液」と記載する。)が用いられると、基板Wの表面から窒化膜が除去される。なお、基板Wを処理できる限りにおいては、処理液LQの種類は特に限定されない。
【0028】
図1に示すように、基板処理装置100は、処理槽110と、基板保持部120と、少なくとも1つの循環処理液供給部材130と、循環部140と、処理液供給部150と、水供給部160と、排液部170と、少なくとも1つの気泡供給部材180と、気体供給部200と、制御装置CNTとを備える。実施形態1では、基板処理装置100は、複数の循環処理液供給部材130と、複数の気泡供給部材180とを備えている。図1の例では、基板処理装置100は、2つの循環処理液供給部材130と、4つの気泡供給部材180とを備える。
【0029】
処理槽110は、処理液LQを貯留する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに、基板Wを浸漬する。実施形態1では、基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110に処理液LQを供給する。循環部140は、処理槽110に貯留されている処理液LQを循環させて、処理液LQを循環処理液供給部材130の各々に供給する。処理液供給部150は、処理液LQを処理槽110に供給する。水供給部160は、水を処理槽110に供給する。排液部170は、処理槽110の処理液LQを排出する。気泡供給部材180は、処理液LQ中に複数の気泡(多数の気泡)を発生し、処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡(多数の気泡)を供給する。気泡供給部材180は、例えば、バブラーである。気体供給部200は、複数の気泡供給部材180に対して、気泡を発生させるための気体を供給する。制御装置CNTは、基板処理装置100の各構成を制御する。例えば、制御装置CNTは、基板保持部120、循環部140、処理液供給部150、水供給部160、排液部170、及び、気体供給部200を制御する。
【0030】
具体的には、処理槽110は、内槽112及び外槽114を含む二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外側面に設けられる。外槽114の上縁の高さは、内槽112の上縁の高さよりも高い。
【0031】
処理槽110は、蓋116をさらに有する。蓋116は、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。蓋116が閉じることにより、蓋116は、内槽112の上部開口を塞ぐことができる。
【0032】
蓋116は、開戸部116aと、開戸部116bとを有する。開戸部116aは、内槽112の上部開口のうちの一方側に位置する。開戸部116aは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116bは、内槽112の上部開口のうちの他方側に位置する。開戸部116bは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116a及び開戸部116bが閉じて内槽112の上部開口を覆うことにより、処理槽110の内槽112を塞ぐことができる。
【0033】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直上方又は鉛直下方に移動する。基板保持部120が鉛直下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されている処理液LQに浸漬される。
【0034】
基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。図1の例では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面から水平方向に延びる。複数の基板Wは、間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0035】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112内に位置する処理位置(図2(b)に示す位置)と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置(図2(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。したがって、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液LQに浸漬される。これにより、複数の基板Wに対して処理が施される。
【0036】
複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112に処理液LQを供給する。複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112の内部において、内槽112の底部に配置される。複数の循環処理液供給部材130の各々は、略筒形状を有する。複数の循環処理液供給部材130の各々は、例えば、管である。
【0037】
具体的には、複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出孔Pを有する。図1では、1つの循環処理液供給部材130に対して1つの処理液吐出孔Pだけが表れている。複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出孔Pから処理液LQを内槽112に供給する。
【0038】
循環部140は、配管141と、ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146を含む。ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146は、この順番に配管141の上流から下流に向かって配置される。
【0039】
配管141は、処理槽110から排出された処理液LQを再び処理槽110に導く。配管141の下流端に、複数の循環処理液供給部材130が接続される。
【0040】
ポンプ142は、配管141から複数の循環処理液供給部材130に処理液LQを送る。従って、循環処理液供給部材130は、配管141から供給された処理液LQを処理槽110に供給する。ヒーター143は、配管141を流れる処理液LQを加熱する。ヒーター143により、処理液LQの温度が調整される。フィルター144は、配管141を流れる処理液LQをろ過する。
【0041】
調整バルブ145は、配管141の開度を調節して、複数の循環処理液供給部材130に供給される処理液LQの流量を調整する。具体的には、調整バルブ145は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。バルブ146は配管141を開閉する。
【0042】
処理液供給部150は、ノズル152と、配管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は処理液LQを内槽112に吐出する。ノズル152は、配管154に接続される。配管154には、処理液供給源からの処理液LQが供給される。配管154には、バルブ156が配置される。
【0043】
バルブ156が開かれると、ノズル152から吐出された処理液LQが、内槽112内に供給される。そして、内槽112の上縁から処理液LQが溢れると、溢れた処理液LQは、外槽114によって受け止められ、回収される。
【0044】
水供給部160は、ノズル162と、配管164と、バルブ166とを含む。ノズル162は、水を外槽114に吐出する。ノズル162は、配管164に接続される。配管164に供給される水は、DIW(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水及び希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを採用することができる。配管164には、水供給源からの水が供給される。配管164には、バルブ166が配置される。バルブ166が開かれると、ノズル162から吐出された水が、外槽114内に供給される。
【0045】
排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。そして、処理槽110の内槽112の底壁には、排液配管170aが接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは排液配管170aを通って外部に排出される。排出された処理液LQは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。
【0046】
複数の気泡供給部材180は、処理槽110の内部に配置される。詳細には、複数の気泡供給部材180は、処理槽110の内部において、処理槽110の底部に配置される。具体的には、複数の気泡供給部材180は、処理槽110の内槽112に配置される。詳細には、複数の気泡供給部材180は、内槽112の内部において、内槽112の底部に配置される。複数の気泡供給部材180は、内槽112の底部に固定される。複数の気泡供給部材180は、内槽112の底部に接触していてもよいし、内槽112の底部に対して離隔していてもよい。
【0047】
複数の気泡供給部材180の各々は、略筒形状を有する。気泡供給部材180の各々は、例えば、管である。気泡供給部材180の材質は、例えば、石英、又は、合成樹脂である。合成樹脂は、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、又は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0048】
具体的には、複数の気泡供給部材180の各々は、流路FWを有する。流路FWには気体が流れる。気泡供給部材180の流路FWは、「気泡供給部材の内部」の一例に相当する。流路FWは、気泡供給部材180の内部に気泡供給部材180の長手方向に沿って形成される。流路FWは、一端が開口し、気体供給配管201に連通する。流路FWの他端は閉じた構造となっている。なお、流路FWの他端は、流路FWの端部での液残りや液滞留を抑制するために、開口した状態に形成してもよい。
【0049】
また、複数の気泡供給部材180の各々は、流路FWに連通する複数の気泡供給孔Gをさらに有する。図1では、1つの気泡供給部材180に対して1つの気泡供給孔Gだけが表れている。気泡供給孔Gの孔径は、例えば、数十μm~数百μmのオーダーである。例えば、気泡供給孔Gの孔径は、0.2mmである。
【0050】
複数の気泡供給部材180の各々は、処理槽110(具体的には内槽112)において処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて、複数の気泡供給孔Gから複数の気泡を供給する。詳細には、複数の気泡供給部材180の各々は、処理槽110(具体的には内槽112)に貯留された処理液LQに複数の気泡供給孔Gから気体を吹き出すことで、複数の気泡供給孔Gから処理液LQ中に複数の気泡(多数の気泡)を発生し、処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡(多数の気泡)を供給する。
【0051】
なお、気泡供給部材180が気泡を供給できる限りにおいては、気泡供給部材180の構成は特に限定されない。例えば、気泡供給部材180は、略円筒形状を有する多孔質部材によって構成されていてもよい。また、例えば、気泡供給部材180は、略筒形状を有する部材に多孔質部材を固定して構成されていてもよい。
【0052】
気体供給部200は、複数の気泡供給部材180の各々に、気泡を発生するための気体を供給して、複数の気泡供給部材180の各々に、処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡を供給させる。気体供給部200は、気体供給配管201と、気体供給機構202とを含む。気体供給配管201及び気体供給機構202は後述する。気体供給部200が気泡供給部材180に供給する気体は、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素、又は、アルゴンである。従って、この例では、気泡供給部材180が供給する気泡は、不活性ガスの気泡である。
【0053】
制御装置CNTは、昇降ユニット126、バルブ146、調整バルブ145、ヒーター143、ポンプ142、バルブ156、バルブ166、バルブ170b、及び、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)を制御する。
【0054】
制御装置CNTは、例えば、コンピューターである。詳細には、制御装置CNTは、プロセッサーと、記憶装置とを含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶装置は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶装置は、例えば、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリーを含む。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブを含む。
【0055】
次に、図2を参照して、基板Wを処理槽110に浸漬する前及び後の基板処理装置100を説明する。図2(a)及び図2(b)は、基板Wを処理槽110に投入する前及び後の基板処理装置100の模式的斜視図である。なお、図2では、図面が過度に複雑になることを避けるために、図1に示した蓋116及び処理槽110内の処理液LQを省略して示している。
【0056】
図2(a)に示すように、基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、第1方向D1(Y方向)に沿って一列に配列される。換言すれば、第1方向D1は、複数の基板Wの配列方向を示す。第1方向D1は、水平方向に略平行である。また、複数の基板Wの各々は、第2方向D2に略平行である。第2方向D2は、第1方向D1に略直交し、水平方向に略平行である。
【0057】
図2(a)では、基板保持部120は、処理槽110の内槽112の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直下方(Z方向)に下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽110に投入される。
【0058】
図2(b)に示すように、基板保持部120が処理槽110にまで下降すると、複数の基板Wは、処理槽110内の処理液LQに浸漬する。なお、図2には図示していないが、図1に示したように、内槽112の上部開口は蓋116によって塞がれる。
【0059】
次に、図3を参照して、気泡供給部材180及び気体供給部200を説明する。図3は、循環処理液供給部材130及び気泡供給部材180を示す模式的平面図である。図3に示すように、循環処理液供給部材130及び気泡供給部材180は、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの一方は、2つの気泡供給部材180の間に配置される。また、平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの他方は、他の2つの気泡供給部材180の間に配置される。さらに、平面視において、4つの気泡供給部材180のうち、真ん中の2つの気泡供給部材180は、第2方向D2に対向している。
【0060】
具体的には、複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D2に間隔をあけて配置される。循環処理液供給部材130は、第1方向D1に延びている。複数の循環処理液供給部材130の各々において、複数の処理液吐出孔Pは、第1方向D1に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の循環処理液供給部材130の各々において、各処理液吐出孔Pは、循環処理液供給部材130の上面部に設けられる。そして、各処理液吐出孔Pは、処理槽110(具体的には内槽112)の底部において上方に向けて処理液LQを吐出する。
【0061】
複数の気泡供給部材180は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D2に間隔をあけて配置される。気泡供給部材180は、第1方向D1に延びている。複数の気泡供給部材180の各々において、複数の気泡供給孔Gは、第1方向D1に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の気泡供給部材180の各々において、各気泡供給孔Gは、気泡供給部材180の上面部に設けられる。そして、各気泡供給孔Gは、処理槽110(具体的には内槽112)の底部において上方に向けて気泡を供給する。なお、気泡供給孔Gから気泡を供給できる限りにおいては、気泡供給孔Gの位置は特に限定されない。また、複数の気泡供給部材180において、複数の気泡供給孔Gは、等間隔に配置されていてもよいし、不当間隔に配置されていてもよい。
【0062】
複数の気泡供給部材180の各々は、第1端部180aと、第2端部180bとを有する。第1端部180aは、第1方向D1における気泡供給部材180の両端部のうちの一方端部である。第2端部180bは、第1方向D1における気泡供給部材180の両端部のうちの他方端部である。
【0063】
第1端部180aには、気体供給配管201が接続される。第1端部180aは、気体供給配管201が接続されている部分を除き、閉塞されている。第2端部180bは閉塞されている。
【0064】
引き続き図3を参照して、気体供給部200を説明する。気体供給部200の気体供給配管201は、各気泡供給部材180に接続される。具体的には、気体供給配管201の下流端が、各気泡供給部材180に接続される。図3では、気体供給配管201の論理的構成が示されている。従って、気体供給配管201と各気泡供給部材180との接続形態は、気体供給配管201から各気泡供給部材180に気体が供給できる限りにおいては、特に限定されない。なお、図3が気体供給配管201の物理的構成を示していてもよい。
【0065】
例えば、気体供給配管201は、共通配管201aと、配管201bとを含む。共通配管201aは、第2方向D2に沿って延びる。共通配管201aは、各気泡供給部材180の第1端部180aに接続される。配管201bは、共通配管201aに接続される。この例では、気体は、配管201bから共通配管201aを通って、各気泡供給部材180に供給される。なお、図3では、図面を見易くするために、共通配管201aを第1端部180aから離して図示している。
【0066】
気体供給配管201は、気体供給源TKAに接続される。具体的には、気体供給配管201の上流端が気体供給源TKAに接続される。気体供給源TKAは、気体供給配管201に気体を供給する。
【0067】
気体供給部200の気体供給機構202は、気体供給配管201を通して各気泡供給部材180に気体を供給する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gから処理液LQ中に気泡を供給する。
【0068】
具体的には、気体供給機構202は、第1供給機構210と、第2供給機構220とを含む。また、気体供給部200は配管203を含む。
【0069】
第1供給機構210は、気体供給源TKAから供給される気体を、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に供給する。
【0070】
具体的には、第1供給機構210は、バルブ211と、フィルター213と、ヒーター215と、流量計217と、調整バルブ219とを含む。バルブ211、フィルター213、ヒーター215、流量計217、及び、調整バルブ219は、この順番に気体供給配管201の下流から上流に向かって、気体供給配管201に配置される。
【0071】
調整バルブ219は、気体供給配管201の開度を調節して、各気泡供給部材180に供給される気体の流量を調整する。調整バルブ219の構成は、調整バルブ145の構成と同様である。流量計217は、気体供給配管201を流れる気体の流量を計測する。調整バルブ219は、流量計217に計測結果に基づいて気体の流量を調整する。なお、例えば、調整バルブ219及び流量計217に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。
【0072】
ヒーター215は、気体供給配管201を加熱する。フィルター213は、気体供給配管201を流れる気体から異物を除去する。バルブ211は、気体供給配管201を開閉する。つまり、バルブ211は、気体供給配管201からの気泡供給部材180に対する気体の供給と供給停止とを切り替える。
【0073】
第2供給機構220は、気体供給源TKAから供給される気体を、配管203及び気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に供給する。第2供給機構220は、第1供給機構210が各気泡供給部材180に気体を供給する期間と異なる期間において、各気泡供給部材180に気体を供給する。
【0074】
第2供給機構220が供給する気体の流量は、第1供給機構210が供給する気体の流量よりも多い。「流量」は、例えば、単位時間当たりに単位面積を通過する流量を示す。
【0075】
第2供給機構220は、バルブ221と、フィルター223と、流量計227と、調整バルブ229とを含む。バルブ221、フィルター223、流量計227、及び、調整バルブ229は、この順番に配管203の下流から上流に向かって、配管203に配置される。配管203の上流端と下流端とは、気体供給配管201に接続される。具体的には、配管203の上流端は、第1供給機構210の上流端(具体的には調整バルブ219の上流側)に接続される。従って、気体供給源TKAから配管203に気体が供給される。配管203の下流端は、第1供給機構210の下流端(具体的にはバルブ211の下流側)に接続される。
【0076】
調整バルブ229は、配管203の開度を調節して、各気泡供給部材180に供給される気体の流量を調整する。調整バルブ229の構成は、調整バルブ145の構成と同様である。流量計227は、配管203を流れる気体の流量を計測する。調整バルブ229は、流量計227に計測結果に基づいて気体の流量を調整する。なお、例えば、調整バルブ229及び流量計227に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。
【0077】
フィルター223は、配管203を流れる気体から異物を除去する。バルブ221は、配管203を開閉する。つまり、バルブ221は、配管203及び気体供給配管201からの気泡供給部材180に対する気体の供給と供給停止とを切り替える。
【0078】
基板処理装置100は、排気部250をさらに備える。排気部250は、気体供給配管201の気体を外部に排気する。具体的には、排気部250は、排気管251と、バルブ252とを含む。排気管251は気体供給配管201に接続される。具体的には、排気管251の上流端が、バルブ211の位置よりも上流の位置で気体供給配管201に接続される。バルブ252は、排気管251を開閉する。つまり、バルブ252は、気体の排気と排気停止とを切り替える。
【0079】
基板処理装置100は、処理液導入部300をさらに備える。処理液導入部300は、気体供給部200から各気泡供給部材180への気体の供給が停止された後に、各気泡供給部材180に処理液LQを導入する。処理液導入部300は、導入用配管301と、導入用バルブ303とを含む。導入用配管301は、「処理液導入用管」の一例に相当する。
【0080】
導入用配管301は、気体供給配管201に接続される。具体的には、導入用配管301の一端が、気体供給機構202の位置よりも下流の位置で気体供給配管201に接続される。また、導入用配管301と気体供給配管201との接続位置は、気体供給配管201の下流端よりも上流の位置である。各気泡供給部材180に処理液LQを導入できる限りにおいては、導入用配管301と気体供給配管201との接続位置は特に限定されない。導入用配管301は槽TKBに接続される。具体的には、導入用配管301の他方端が槽TKBに接続される。
【0081】
導入用バルブ303は、導入用配管301を開閉する。導入用バルブ303は、導入用配管301を開放することで、気体供給配管201を開放して、各気泡供給部材180へ処理液LQを導入する。詳細は後述する。
【0082】
次に、図4図7を参照して、基板処理装置100の動作を説明する。図4図7では、バルブ211、221、252、303のうち、開いているバルブを白色で示し、閉じているバルブを黒色で示している。また、図面の簡略化のために、1つの気泡供給部材180を図示している。
【0083】
図4は、基板処理装置100が基板処理を実行している状態を示す図である。基板処理とは、処理液LQによって基板Wを処理することである。
【0084】
図4に示すように、処理槽110は、複数の基板Wを処理液LQに浸漬して、複数の基板Wを処理する。そして、排気部250、処理液導入部300、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0085】
すなわち、基板処理の実行中では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、処理液導入部300は導入用バルブ303を閉じて導入用配管301を閉塞し、第2供給機構220はバルブ221を閉じて配管203を閉塞している。第2供給機構220がバルブ221を閉じることで、第2供給機構220からの気体の供給は停止される。また、基板処理の実行中では、第1供給機構210はバルブ211を開いて気体供給配管201を開放している。従って、第1供給機構210から気体供給配管201を通って気体が各気泡供給部材180に供給される。その結果、複数の基板Wに向けて、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gから複数の気泡が供給される。
【0086】
以上、図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、基板処理の実行中において、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201から各気泡供給部材180に気体を供給することで、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gから処理液LQ及び複数の基板Wに向けて複数の気泡を供給させる。
【0087】
具体的には、基板処理の実行中において、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に気体を供給する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gから処理液LQに気体を吹き出すことで、複数の気泡供給孔Gから処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡を供給する。よって、多数の気泡によって、各基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。
【0088】
具体的には、気泡が処理液LQ中を浮上する際に、気泡は基板Wの表面に接触する。この場合、気泡は、基板Wの表面に接触している処理液LQを押し出しながら基板Wの表面を上方に向けて移動する。気泡が通過した後には、気泡の周囲に存在していた新鮮な処理液LQが気泡の存在していた場所へ進入することで基板Wの表面に接触する。従って、気泡により基板Wの表面の周囲の処理液LQを攪拌できるので、基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに置換できる。従って、基板Wの表面に、凹部を含むパターンが形成されている場合に、パターンの凹部内の壁面を、浅い位置から深い位置まで処理液LQによって効果的に処理できる。
【0089】
例えば、基板Wの凹部を含むパターンが、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを交互に積層して形成されており、パターンのアスペクト比(凹部の幅に対する深さの比率)が高い場合に、処理液LQとして燐酸液を使用して、基板Wを処理する場合がある。この場合に、気泡によって、基板Wの表面に接触する燐酸液を新鮮な燐酸液に置換すると、拡散現象により、凹部内の燐酸水溶液が新鮮な燐酸水溶液に置換される。その結果、パターンの凹部内の壁面を、浅い位置から深い位置まで燐酸液によって効果的にエッチングできる。
【0090】
図5は、基板処理装置100が処理液導入処理を実行している状態を示す図である。処理液導入処理とは、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する処理のことである。「気泡供給部材180の流路FW」は、「気泡供給部材の内部」の一例に相当する。
【0091】
図5に示すように、基板処理装置100は、基板処理が完了すると、複数の基板Wが処理液LQに浸漬された状態又は複数の基板Wが処理液LQから引き上げられた状態において、処理液導入処理を実行する。処理液導入処理では、排気部250、処理液導入部300、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0092】
すなわち、処理液導入処理では、第1供給機構210がバルブ211を閉じるとともに、第2供給機構220がバルブ221を閉じて、各気泡供給部材180への気体の供給を停止する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の基板Wへの複数の気泡の供給を停止する。また、処理液導入処理では、排気部250はバルブ252を開けて、排気管251を通して気体を排気する。さらに、処理液導入処理では、処理液導入部300は導入用バルブ303を開けて導入用配管301を開放する。従って、導入用配管301に接続される気体供給配管201もまた、気体供給機構202よりも下流の位置で開放される。具体的には、気体供給配管201は、気体供給機構202よりも下流の位置で上方に向けて開放される。
【0093】
その結果、複数の気泡供給部材180の各々において、処理槽110内の処理液LQの液圧によって、処理槽110内の処理液LQが、複数の気泡供給孔Gから気泡供給部材180の流路FWに引き込まれる。つまり、基板処理の完了後に、気泡供給部材180の流路FWに、処理液LQが導入される。例えば、気泡供給部材180の流路FWに処理液LQが充填される。なお、各気泡供給部材180に引き込まれた処理液LQは、気体供給配管201内において、処理槽110における処理液LQの液面と略同じ位置まで、上昇する。
【0094】
以上、図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、処理液導入部300は、処理液LQに浸漬された複数の基板Wへの複数の気泡の供給が停止された後に、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する。従って、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gに、処理液LQの成分が析出して、各気泡供給孔Gの孔径が小さくなることを抑制できる。例えば、処理液LQが燐酸液である場合、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gに、燐酸が析出して、各気泡供給孔Gの孔径が小さくなることを抑制できる。また、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQが導入されるため、各気泡供給部材180の流路FWが乾燥することを抑制できる。
【0095】
特に、実施形態1では、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止した後に、つまり、各気泡供給部材180からの複数の気泡の供給を停止した後に、気体供給配管201を開放することで、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gを通して処理槽110から各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを引き込む。従って、簡素な構成によって、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを容易に導入できる。
【0096】
処理液LQの引き込みは、処理槽110内に未だ複数の基板Wが浸漬されている間において行っても、処理槽110内から複数の基板Wが引き上げられた後において行ってもよいが、次の理由により処理槽110内に未だ複数の基板Wが浸漬されている間において開始することが好ましい。本願の発明者の研究によると流路FWに処理液LQを引き込むことで溶出成分の析出が抑制される効果があるが、下記(1)、(2)に示す可能性がある。
【0097】
(1)流路FWが乾燥した状態が長く続くと溶出成分の固着が進み、流路FWに固着した溶出成分の除去が困難となる。
(2)流路FWに処理液LQを引き込む時間が短すぎると溶出成分の析出を抑制する効果が確認されない。
【0098】
上記(2)については、例えば、流路FWへ処理液LQを10分以上引き込むことにより溶出成分の析出を抑制する効果が確認されている。
【0099】
従って、好適には、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止した後に、つまり、各気泡供給部材180からの複数の気泡の供給を停止した後において、未だ複数の基板Wが処理槽110から引き上げられていない段階で、気体供給配管201を開放して流路FWへの処理液LQの引き込みを開始することが好ましい。できるだけ早いタイミングで処理液LQを引き込むことにより、処理時間の短縮を図るとともに、気泡供給孔Gや流路FWが乾燥し処理液LQの溶出成分が析出することを抑制できる。
【0100】
なお、例えば、図5に示す処理液導入処理において、処理槽110からではなく、図1に示す循環部140の配管141から処理液LQを抽出して、抽出した処理液LQを各気泡供給部材180の流路FWに導入してもよい。
【0101】
図6は、基板処理装置100が処理液押出処理を実行している状態を示す図である。処理液押出処理とは、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出す処理のことである。
【0102】
図6に示すように、基板処理装置100は、複数の基板Wを処理液LQから引き上げた状態において、処理液導入処理が完了した後、かつ、新たな基板処理の開始前に、処理液押出処理を実行する。処理液押出処理では、排気部250、処理液導入部300、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0103】
すなわち、処理液押出処理では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、処理液導入部300は導入用バルブ303を閉じて導入用配管301を閉塞し、第1供給機構210はバルブ211を閉じる。第1供給機構210がバルブ211を閉じることで、第1供給機構210からの気体の供給は停止される。また、処理液押出処理では、第2供給機構220はバルブ221を開いて配管203を開放する。第2供給機構220がバルブ221を開くことで、第2供給機構220から、配管203及び気体供給配管201を通って、気体が各気泡供給部材180に供給される。その結果、処理液LQが、気体によって、各気泡供給部材180から複数の気泡供給孔Gを通して、処理槽110に押し出される。
【0104】
以上、図6を参照して説明したように、実施形態1によれば、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQが導入された後に、処理液LQに浸漬された複数の基板Wを処理槽110から引き上げた後であって、新たな複数の基板Wを処理液LQに浸漬する前に、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出す。気体供給配管201から気泡供給部材180への気体の供給開始時では、気泡供給部材180の流路FWに存在する処理液LQが気泡供給孔Gから処理槽110に向かって吹き出される。
【0105】
新たな基板Wを処理液LQに浸漬する前に、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出すことで、気泡供給部材180における溶出成分の沈着や溶出成分の滞留を抑制することができる。具体的には、気泡供給孔Gの目詰まりや、流路FW内部の溶出成分の固着を抑止できる。また、流路FWに引き込まれた処理液LQは、新しく処理槽110に貯留された処理液LQと比べると、処理液濃度差や、溶出成分の濃度差がある。従って、流路FWに滞留する処理液LQを新しい基板Wにそのまま供給すると、処理品質に影響を及ぼす可能性がある。そこで、実施形態1では、新たな基板Wを処理液LQに浸漬する前に、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出すことで、流路FWに引き込まれた処理液LQが処理品質に影響を及ぼすことを回避できる。例えば、処理液LQによる基板Wの処理の均一性が低下することを抑制できる。
【0106】
実施形態1では、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入した後に、処理液LQに浸漬された複数の基板Wを処理槽110から引き上げられた後であって、新たな複数の基板Wを処理液LQに浸漬する前に、各気泡供給部材180に気体供給配管201から気体を供給することで、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出す。従って、基板処理の実行中に気泡を発生するための気体供給配管201を利用して、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを容易に押し出すことができる。つまり、処理液LQを押し出すための専用部材を設けることが要求されず、基板処理装置100の製造コストを低減できる。
【0107】
また、実施形態1では、処理液導入処理において第2供給機構220が各気泡供給部材180に気体を供給するときの気体の流量は、基板処理において第1供給機構210が各気泡供給部材180に気体を供給するときの気体の流量よりも多い。従って、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを効果的に押し出すことができる。
【0108】
図7は、基板処理装置100が基板浸漬処理を実行している状態を示す図である。基板浸漬処理とは、複数の基板Wを処理槽110に貯留された処理液LQに浸漬する処理のことである。
【0109】
図7に示すように、基板処理装置100は、処理液押出処理の完了後において、基板浸漬処理を実行する。基板浸漬処理では、排気部250、処理液導入部300、気体供給部200、及び、基板保持部120(図1)は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0110】
すなわち、基板浸漬処理では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、処理液導入部300は導入用バルブ303を閉じて導入用配管301を閉塞し、第1供給機構210はバルブ211を閉じ、第2供給機構220はバルブ221を閉じて配管203を閉塞する。従って、気体供給配管201から各気泡供給部材180に対して、気体は供給されない。その結果、各気泡供給部材180は、処理液LQ中に気泡を供給しない。そして、各気泡供給部材180が処理液LQ中に気泡を供給していない状態において、基板保持部120は、複数の基板Wを処理液LQに浸漬する。一方、基板浸漬処理では、排気部250はバルブ252を開けて、排気管251を通して排気する。排気管251からの排気は、図示しない液受けバットに向けて行われる。
【0111】
次に、図1及び図8を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理方法の第1例を説明する。図8は、実施形態1に係る基板処理方法の第1例を示すフローチャートである。図8に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S12を含む。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。そして、基板処理方法は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列された複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理液LQによって処理する。
【0112】
図1及び図8に示すように、工程S1において、制御装置CNTの制御によって、基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに複数の基板Wを浸漬する。
【0113】
次に、工程S2において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180への気体の供給を開始する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gから複数の基板Wに向けて複数の気泡の供給を開始する。
【0114】
次に、工程S3において、制御装置CNTは第1時間が経過したか否かを判定する。第1時間は、複数の基板Wを処理するために予め設定された時間である。
【0115】
工程S3で第1時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S3に進み、第1時間が経過したと判定されるまで工程S3を繰り返す。
【0116】
一方、工程S3で第1時間が経過したと判定された場合、処理は工程S4に進む。
【0117】
工程S4において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、各気泡供給部材180への気体の供給を停止する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gからの複数の気泡の供給を停止する。
【0118】
次に、工程S5において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部300は、導入用配管301を開放して気体供給配管201を開放することで、各気泡供給部材180への処理液LQの導入を開始する。
【0119】
次に、工程S6において、制御装置CNTは第2時間が経過したか否かを判定する。第2時間は第1時間よりも短い。第2時間は、各気泡供給部材180へ処理液LQを導入するための時間として、予め定められた時間である。
【0120】
工程S6で第2時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S6に進み、第2時間が経過したと判定されるまで工程S6を繰り返す。
【0121】
一方、工程S6で第2時間が経過したと判定された場合、処理は工程S7に進む。
【0122】
工程S7において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部300は、導入用配管301を閉塞して気体供給配管201を閉塞することで、各気泡供給部材180への処理液LQの導入を停止する。ただし、この場合、各気泡供給部材180の流路FWには、処理液LQが残留したままである。
【0123】
次に、工程S8において、制御装置CNTの制御によって、基板保持部120は、処理槽110から複数の基板Wを引き上げる。
【0124】
次に、工程S9において、制御装置CNTは、新たな複数の基板Wに対する前処理タイミングが到来したか否かを判定する。前処理は、処理液LQに新たな基板Wを浸漬する前に実行される処理を示す。
【0125】
工程S9で前処理タイミングが到来していないと判定された場合、処理は、工程S9に進み、前処理タイミングが到来したと判定されるまで工程S9を繰り返す。
【0126】
一方、工程S9で前処理タイミングが到来したと判定された場合、処理は工程S10に進む。
【0127】
工程S10において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に気体を供給して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを開始する。
【0128】
次に、工程S11において、制御装置CNTは第3時間が経過したか否かを判定する。第3時間は、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すための時間として、予め定められた時間である。第3時間は第2時間よりも短い。
【0129】
工程S11で第3時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S11に進み、第3時間が経過したと判定されるまで工程S11を繰り返す。
【0130】
一方、工程S11で第3時間が経過したと判定された場合、処理は工程S12に進む。
【0131】
工程S12において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを停止する。
【0132】
工程S12の後、処理は、工程S1に進み、新たな複数の基板Wに対して、工程S1~工程S12が実行される。
【0133】
以上、図8を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法の第1例よれば、複数の基板Wへの複数の気泡の供給の停止後であって、複数の基板Wが処理液LQに浸漬されている期間に、気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する工程S5が実行されて、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する。従って、本処理を実行するための本処理期間において各気泡供給部材180に処理液LQを導入できるため、各気泡供給部材180に処理液LQを導入する期間を本処理期間の後に別途設定する場合と比較して、複数の基板Wを処理するためのスループットを向上できる。
【0134】
なお、制御装置CNTは、レシピ情報に従って基板処理装置100を制御している。レシピ情報は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。そして、レシピ情報には、複数の基板Wから構成されるロットごとに、前処理を実行するための前処理期間、本処理を実行するための本処理期間、及び、後処理を実行するための後処理期間が設定されている。本処理は、複数の基板Wを処理液LQに浸漬して、複数の基板Wを処理することを示す。後処理は、処理液LQによる基板Wの処理が完了して処理槽110から基板Wが引き上げられた後に実行される処理を示す。
【0135】
次に、図1及び図9を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理方法の第2例を説明する。図9は、実施形態1に係る基板処理方法の第2例を示すフローチャートである。図9に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S32を含む。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。そして、基板処理方法は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列された複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理液LQによって処理する。
【0136】
図1及び図9に示すように、工程S21において、制御装置CNTの制御によって、基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに複数の基板Wを浸漬する。
【0137】
次に、工程S22において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180への気体の供給を開始する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gから複数の基板Wに向けて複数の気泡の供給を開始する。
【0138】
次に、工程S23において、制御装置CNTは第1時間が経過したか否かを判定する。
【0139】
工程S23で第1時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S23に進み、第1時間が経過したと判定されるまで工程S23を繰り返す。
【0140】
一方、工程S23で第1時間が経過したと判定された場合、処理は工程S24に進む。
【0141】
工程S24において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、各気泡供給部材180への気体の供給を停止する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の気泡供給孔Gからの複数の気泡の供給を停止する。
【0142】
次に、工程S25において、制御装置CNTの制御によって、基板保持部120は、処理槽110から複数の基板Wを引き上げる。
【0143】
次に、工程S26において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部300は、導入用配管301を開放して気体供給配管201を開放することで各気泡供給部材180への処理液LQの導入を開始する。
【0144】
次に、工程S27において、制御装置CNTは第2時間が経過したか否かを判定する。
【0145】
工程S27で第2時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S27に進み、第2時間が経過したと判定されるまで工程S27を繰り返す。
【0146】
一方、工程S27で第2時間が経過したと判定された場合、処理は工程S28に進む。
【0147】
工程S28において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部300は、導入用配管301を閉塞して気体供給配管201を閉塞することで、各気泡供給部材180への処理液LQの導入を停止する。ただし、この場合、各気泡供給部材180の流路FWには、処理液LQが残留したままである。
【0148】
次に、工程S29において、制御装置CNTは、新たな複数の基板Wに対する前処理タイミングが到来したか否かを判定する。
【0149】
工程S29で前処理タイミングが到来していないと判定された場合、処理は、工程S29に進み、前処理タイミングが到来したと判定されるまで工程S29を繰り返す。
【0150】
一方、工程S29で前処理タイミングが到来したと判定された場合、処理は工程S30に進む。
【0151】
工程S30において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に気体を供給して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを開始する。
【0152】
次に、工程S31において、制御装置CNTは第3時間が経過したか否かを判定する。
【0153】
工程S31で第3時間が経過していないと判定された場合、処理は、工程S31に進み、第3時間が経過したと判定されるまで工程S31を繰り返す。
【0154】
一方、工程S31で第3時間が経過したと判定された場合、処理は工程S32に進む。
【0155】
工程S32において、制御装置CNTの制御によって、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを停止する。
【0156】
工程S32の後、処理は、工程S21に進み、新たな複数の基板Wに対して、工程S21~工程S32が実行される。
【0157】
以上、図9を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法の第2例よれば、複数の基板Wへの複数の気泡の供給の停止後であって、複数の基板Wが処理槽110から引き上げられた後に、気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する工程S26が実行されて、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入する。従って、この場合は、後処理として、気泡供給部材180の流路FWに処理液LQを導入できる。
【0158】
(変形例)
図4図7を参照して、本発明の実施形態1の変形例に係る基板処理装置100を説明する。変形例に係る基板処理装置100では、気体供給機構202は、第2供給機構220を有していない。従って、変形例において、図6に示す処理液押出処理においては、第1供給機構210はバルブ211を開いて、気体供給配管201を開放する。その結果、第1供給機構210から、気体供給配管201を通って、気体が各気泡供給部材180に供給される。よって、処理液LQが、気体によって、各気泡供給部材180から複数の気泡供給孔Gを通して、処理槽110に押し出される。
【0159】
変形例によれば、処理液押出処理と基板処理との双方において、第1供給機構210から各気泡供給部材180に気体を供給するため、基板処理装置100は第2供給機構220を有していない。従って、基板処理装置100の製造コストを低減できる。
【0160】
(実施形態2)
図10図14を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100Aを説明する。実施形態2に係る基板処理装置100Aが、処理液導入部300に代えて処理液導入部400を備える点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。実施形態2に係る基板処理装置100Aの全体構成は、図1を参照して説明した実施形態1に係る基板処理装置100の全体構成と同様である。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0161】
まず、図10を参照して、実施形態2に係る基板処理装置100Aを説明する。図10は、実施形態2に係る基板処理装置100Aの気泡供給部材180、気体供給部200、処理液導入部400、及び、排気部250を示す模式的平面図である。
【0162】
図10に示すように、基板処理装置100Aは処理液導入部400を備える。処理液導入部400は、気体供給部200から各気泡供給部材180への気体の供給が停止された後に、各気泡供給部材180に処理液LQを導入する。処理液導入部400は、導入用配管401と、複数の導入用バルブ403とを含む。導入用配管401は、「処理液導入用管」の一例に相当する。
【0163】
導入用配管401は、気体供給配管201よりも下流側において各気泡供給部材180に接続される。具体的には、導入用配管401の一端が、各気泡供給部材180の第2端部180bに接続される。第2端部180bは、導入用配管401が接続されている部分を除き、閉塞されている。一方、導入用配管401の他端が、槽TKCに接続される。
【0164】
図10では、導入用配管401の論理的構成が示されている。従って、導入用配管401と各気泡供給部材180との接続形態は、各気泡供給部材180へ処理液LQを導入できる限りにおいては、特に限定されない。なお、図10が導入用配管401の物理的構成を示していてもよい。
【0165】
例えば、導入用配管401は、複数の気泡供給部材180のそれぞれに対応して複数の配管401aを含む。複数の配管401aの一端は、それぞれ、複数の気泡供給部材180の第2端部180bに接続される。複数の配管401aに対して、それぞれ、複数の導入用バルブ403が配置される。複数の導入用バルブ403の各々は、対応する配管401aを開閉する。
【0166】
次に、図11図14を参照して、基板処理装置100Aの動作を説明する。図11図14では、バルブ211、221、252、403のうち、開いているバルブを白色で示し、閉じているバルブを黒色で示している。また、図面の簡略化のために、1つの気泡供給部材180を図示している。
【0167】
図11は、基板処理装置100Aが基板処理を実行している状態を示す図である。図11に示すように、処理槽110は、複数の基板Wを処理液LQに浸漬して、複数の基板Wを処理する。そして、排気部250、処理液導入部400、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0168】
すなわち、基板処理の実行中では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、処理液導入部400は導入用バルブ403を閉じて導入用配管401を閉塞し、第2供給機構220はバルブ221を閉じて配管203を閉塞している。また、基板処理の実行中では、第1供給機構210はバルブ211を開いて気体供給配管201を開放している。従って、第1供給機構210から気体供給配管201を通って気体が各気泡供給部材180に供給される。その結果、複数の基板Wに向けて、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gから複数の気泡が供給される。
【0169】
以上、図4を参照して説明したように、実施形態2によれば、基板処理の実行中において、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201から各気泡供給部材180に気体を供給することで、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gから複数の気泡を供給させる。従って、多数の気泡によって、各基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。その他、実施形態2では、気泡の供給によって、実施形態1の基板処理と同様の効果を有する。
【0170】
図12は、基板処理装置100Aが処理液導入処理を実行している状態を示す図である。図12に示すように、基板処理装置100Aは、基板処理が完了すると、複数の基板Wが処理液LQに浸漬された状態又は複数の基板Wが処理液LQから引き上げられた状態において、処理液導入処理を実行する。処理液導入処理では、排気部250、処理液導入部400、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0171】
すなわち、処理液導入処理では、第1供給機構210がバルブ211を閉じるとともに、第2供給機構220がバルブ221を閉じて、各気泡供給部材180への気体の供給を停止する。その結果、各気泡供給部材180は、複数の基板Wへの複数の気泡の供給を停止する。また、処理液導入処理では、排気部250はバルブ252を開けて、排気管251を通して気体を排気する。さらに、処理液導入処理では、処理液導入部400は導入用バルブ403を開けて導入用配管401を開放する。
【0172】
その結果、複数の気泡供給部材180の各々において、処理槽110内の処理液LQの液圧によって、処理槽110内の処理液LQが、複数の気泡供給孔Gから気泡供給部材180の流路FWに引き込まれる。つまり、基板処理の完了後に、気泡供給部材180の流路FWに、処理液LQが導入される。例えば、気泡供給部材180の流路FWに処理液LQが充填される。なお、各気泡供給部材180に引き込まれた処理液LQは、導入用配管401において、処理槽110における処理液LQの液面と略同じ位置まで、上昇する。
【0173】
以上、図12を参照して説明したように、実施形態2によれば、処理液導入部400は、処理液LQに浸漬された複数の基板Wへの複数の気泡の供給が停止された後に、各気泡供給部材180の内部に処理液LQを導入する。従って、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gに、処理液LQの成分が析出して、各気泡供給孔Gの孔径が小さくなることを抑制できる。その他、実施形態2では、処理液導入処理によって、実施形態1と同様の効果を有する。
【0174】
特に、実施形態2では、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止した後に、つまり、各気泡供給部材180からの複数の気泡の供給を停止した後に、気体供給配管201よりも下流側において気泡供給部材180と接続される導入用配管401を開放することで、各気泡供給部材180の複数の気泡供給孔Gを通して処理槽110から各気泡供給部材180の内部に処理液LQを引き込む。従って、簡素な構成によって、各気泡供給部材180の内部に処理液LQを容易に導入できる。
【0175】
なお、例えば、図12に示す処理液導入処理において、処理槽110からではなく、図1に示す循環部140の配管141から処理液LQを抽出して、抽出した処理液LQを各気泡供給部材180の流路FWに導入してもよい。
【0176】
図13は、基板処理装置100Aが処理液押出処理を実行している状態を示す図である。図13に示すように、基板処理装置100Aは、複数の基板Wを処理液LQから引き上げた状態において、処理液導入処理が完了した後、かつ、新たな基板処理の開始前に、処理液押出処理を実行する。処理液押出処理では、排気部250、処理液導入部400、及び、気体供給部200は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0177】
すなわち、処理液押出処理では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、第1供給機構210はバルブ211を閉じる。第1供給機構210がバルブ211を閉じることで、第1供給機構210からの気体の供給は停止される。また、処理液押出処理では、処理液導入部300は導入用バルブ403を開いて導入用配管401を開放する。加えて、処理液押出処理では、第2供給機構220はバルブ221を開いて配管203を開放する。第2供給機構220がバルブ221を開くことで、第2供給機構220から、配管203及び気体供給配管201を通って、気体が各気泡供給部材180に供給される。その結果、処理液LQが、気体によって、各気泡供給部材180から複数の気泡供給孔Gを通して処理槽110に押し出されるとともに、各気泡供給部材180から導入用配管401に押し出される。導入用配管401に押し出された処理液LQは、例えば、槽TKCに貯留される。
【0178】
以上、図13を参照して説明したように、実施形態2によれば、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、各気泡供給部材180の流路FWに処理液LQが導入された後に、処理液LQに浸漬された複数の基板Wを処理槽110から引き上げた後であって、新たな複数の基板Wを処理液LQに浸漬する前に、各気泡供給部材180の流路FWから処理液LQを押し出す。よって、気泡供給部材180における溶出成分の沈着や溶出成分の滞留を抑制することができて、例えば、処理液LQによる基板Wの処理の均一性を向上できる。その他、実施形態2によれば、処理液押出処理によって、実施形態1と同様の効果を有する。
【0179】
図14は、基板処理装置100Aが基板浸漬処理を実行している状態を示す図である。図14に示すように、基板処理装置100Aは、処理液押出処理の完了後において、基板浸漬処理を実行する。基板浸漬処理では、排気部250、処理液導入部400、気体供給部200、及び、基板保持部120(図2)は、制御装置CNTによって制御されて、下記のように動作する。
【0180】
すなわち、基板浸漬処理では、排気部250はバルブ252を閉じて排気管251を閉塞し、処理液導入部400は導入用バルブ403を閉じて導入用配管401を閉塞し、第1供給機構210はバルブ211を閉じ、第2供給機構220はバルブ221を閉じて配管203を閉塞する。従って、気体供給配管201から各気泡供給部材180に対して、気体は供給されない。その結果、各気泡供給部材180は、処理液LQ中に気泡を供給しない。そして、各気泡供給部材180が処理液LQ中に気泡を供給していない状態において、基板保持部120は、複数の基板Wを処理液LQに浸漬する。一方、基板浸漬処理では、排気部250はバルブ252を開けて、排気管251を通して気体を排気する。基板処理装置100Aの構成においては、排気管251は、図示しない排液冷却タンクに接続する。
【0181】
ここで、実施形態2に係る基板処理方法は、図8及び図9を参照して説明した実施形態1に係る基板処理方法と同様である。
【0182】
ただし、実施形態2において、図8及び図9に示すフローチャートでは、工程S5及び工程S26において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部400は、導入用配管401を開放することで各気泡供給部材180への処理液LQの導入を開始する。また、工程S7及び工程S28において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部400は、導入用配管401を閉塞することで、各気泡供給部材180への処理液LQの導入を停止する。
【0183】
また、工程S10及び工程S30において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部400は導入用配管401を開放するとともに、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201を通して、各気泡供給部材180に気体を供給して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを開始する。また、工程S12及び工程S32において、制御装置CNTの制御によって、処理液導入部400は導入用配管401を閉塞するとともに、気体供給部200(具体的には気体供給機構202)は、気体供給配管201から各気泡供給部材180への気体の供給を停止して、各気泡供給部材180から処理液LQを押し出すことを停止する。
【0184】
(変形例)
図11図14を参照して、本発明の実施形態2の変形例に係る基板処理装置100Aを説明する。変形例に係る基板処理装置100Aでは、気体供給機構202は、第2供給機構220を有していない。従って、変形例において、図13に示す処理液押出処理においては、第1供給機構210はバルブ211を開いて、気体供給配管201を開放する。その結果、第1供給機構210から、気体供給配管201を通って、気体が各気泡供給部材180に供給される。よって、処理液LQが、気体によって、各気泡供給部材180から複数の気泡供給孔Gを通して処理槽110に押し出されるとともに、導入用配管401に押し出される。
【0185】
変形例によれば、処理液押出処理と基板処理との双方において、第1供給機構210から各気泡供給部材180に気体を供給するため、基板処理装置100Aは第2供給機構220を有していない。従って、基板処理装置100Aの製造コストを低減できる。
【0186】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0187】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明は、基板処理方法および基板処理装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0189】
100、100A 基板処理装置
110 処理槽
120 基板保持部
180 気泡供給部材
201 気体供給配管
301、401 導入用配管(処理液導入用管)
G 気泡供給孔
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14