(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/50 20060101AFI20240315BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240315BHJP
H01L 23/38 20060101ALI20240315BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01S5/50 630
H01L33/00 J
H01L23/38
H05K1/14 C
(21)【出願番号】P 2020083403
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519283819
【氏名又は名称】CIG Photonics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-191088(JP,A)
【文献】特開2007-287471(JP,A)
【文献】特開2006-128618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0180013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 5/00- 5/50
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
H04B 1/76- 3/44
H04B 3/50- 3/60
H04B 7/00- 7/015
H05K 1/00- 1/02
H10K 30/60-30/65
H10K 39/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有する導電性ブロックと、
前記導電性ブロックを絶縁状態で貫通し、前記第1面から突出する第1部分及び前記第2面から突出する第2部分をそれぞれが有する一対のリードと、
前記第1部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第1配線が第1差動伝送線路として形成された第1基板と、
前記第2部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第2配線が第2差動伝送線路として形成された第2基板と、
前記一対の第1配線に電気的に接続された、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
を有し、
前記一対の第1配線の長い方は、前記一対のリードの対応する1つを介して、前記一対の第2配線の短い方に電気的に接続され、
前記一対の第1配線の短い方は、前記一対のリードの対応する他の1つを介して、前記一対の第2配線の長い方に電気的に接続され、
前記第1基板の、前記一対の第1配線が形成された表面は、前記第1面に交差する方向に拡がり、
前記第2基板の、前記一対の第2配線が形成された表面は、前記第2面に沿って拡がることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載された光モジュールであって、
前記一対のリードは、それぞれ、第1方向に延び、前記第1方向に交差する第2方向に隣り合って並び、
前記一対の第1配線は、前記第2方向に隣り合って並び、
前記一対の第2配線は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれにも交差する第3方向に前記一対のリードから引き出され、屈曲して、前記第2方向に沿った両方の向きの一方に延びていることを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項
2に記載された光モジュールであって、
前記両方の向きの一方は、前記一対の第1配線の前記短い方から前記長い方への向きであることを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記一対の第1配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部の外側にある一方が長くなっており、
前記一対の第2配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部の外側にある一方が長くなっていることを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項
4に記載された光モジュールであって、
前記一対の第2配線は、前記一対のリードとの接合部に隣接して、前記第2屈曲部を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
第1面及び第2面を有する導電性ブロックと、
前記導電性ブロックを絶縁状態で貫通し、前記第1面から突出する第1部分及び前記第2面から突出する第2部分をそれぞれが有する一対のリードと、
前記第1部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第1配線が第1差動伝送線路として形成された第1基板と、
前記第2部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第2配線が第2差動伝送線路として形成された第2基板と、
前記一対の第1配線に電気的に接続された、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
を有し、
前記一対の第1配線の長い方は、前記一対のリードの対応する1つを介して、前記一対の第2配線の短い方に電気的に接続され、
前記一対の第1配線の短い方は、前記一対のリードの対応する他の1つを介して、前記一対の第2配線の長い方に電気的に接続され、
前記一対の第1配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部の外側にある一方が長くなっており、
前記一対の第2配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部の外側にある一方が長くなっており、
前記一対の第2配線は、前記一対のリードとの接合部に隣接して、前記第2屈曲部を有し、
前記一対の第2配線は、前記一対のリードが延びる方向で前記第1基板に重なる位置に、前記第2屈曲部を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記光電素子が搭載された搭載基板をさらに有し、
前記第1基板は、前記第1面の中央部から端部への方向に偏って位置し、
前記搭載基板は、前記第1基板に近づく方向に、前記第1面の前記中央部から偏って位置していることを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
第1面及び第2面を有する導電性ブロックと、
前記導電性ブロックを絶縁状態で貫通し、前記第1面から突出する第1部分及び前記第2面から突出する第2部分をそれぞれが有する一対のリードと、
前記第1部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第1配線が第1差動伝送線路として形成された第1基板と、
前記第2部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第2配線が第2差動伝送線路として形成された第2基板と、
前記一対の第1配線に電気的に接続された、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、
前記光電素子が搭載された搭載基板と、
上面及び下面を有し、前記下面で前記導電性ブロックの前記第1面の中央部に固定され、前記上面及び前記下面の間で熱を移動させるためのペルチェ素子を内部に有する熱電冷却器と、
前記熱電冷却器の前記上面に固定され、前記第1基板に近づく方向に、前記第1面の前記中央部から偏って位置する支持ブロックと、
を有し、
前記一対の第1配線の長い方は、前記一対のリードの対応する1つを介して、前記一対の第2配線の短い方に電気的に接続され、
前記一対の第1配線の短い方は、前記一対のリードの対応する他の1つを介して、前記一対の第2配線の長い方に電気的に接続され、
前記第1基板は、前記第1面の前記中央部から端部への方向に偏って位置し、
前記搭載基板は、前記第1基板に近づく方向に、前記第1面の前記中央部から偏って位置し、
前記搭載基板は、前記支持ブロックに搭載されていることを特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号及び光信号の間で変換を行う光モジュールが知られている。特許文献1には、シングルエンド伝送線路において高周波信号の安定した伝達を可能にする構造が開示されている。特許文献2には、差動伝送線路を適用した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/219318号公報
【文献】特開2005-191088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
差動伝送線路では、一対の配線に、位相が180°反転した信号を伝送することで、高周波信号を安定化させることができる。しかし、一対の配線の長さが異なると、位相がずれるため、高周波信号が安定しない。
【0005】
本発明は、高周波信号の安定化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光モジュールは、第1面及び第2面を有する導電性ブロックと、前記導電性ブロックを絶縁状態で貫通し、前記第1面から突出する第1部分及び前記第2面から突出する第2部分をそれぞれが有する一対のリードと、前記第1部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第1配線が第1差動伝送線路として形成された第1基板と、前記第2部分にそれぞれが接合されて相互に長さが異なる一対の第2配線が第2差動伝送線路として形成された第2基板と、前記一対の第1配線に電気的に接続された、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子と、を有し、前記一対の第1配線の長い方は、前記一対のリードの対応する1つを介して、前記一対の第2配線の短い方に電気的に接続され、前記一対の第1配線の短い方は、前記一対のリードの対応する他の1つを介して、前記一対の第2配線の長い方に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、長い第1配線と短い第2配線が電気的に接続され、短い第1配線と長い第2配線が電気的に接続されるので、位相のずれを相殺することができ、これにより高周波信号を安定化することが可能になる。
【0008】
(2)(1)に記載された光モジュールであって、前記第1基板の、前記一対の第1配線が形成された表面は、前記第1面に交差する方向に拡がり、前記第2基板の、前記一対の第2配線が形成された表面は、前記第2面に沿って拡がることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された光モジュールであって、前記一対のリードは、それぞれ、第1方向に延び、前記第1方向に交差する第2方向に隣り合って並び、前記一対の第1配線は、前記第2方向に隣り合って並び、前記一対の第2配線は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれにも交差する第3方向に前記一対のリードから引き出され、屈曲して、前記第2方向に沿った両方の向きの一方に延びていることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(3)に記載された光モジュールであって、前記両方の向きの一方は、前記一対の第1配線の前記短い方から前記長い方への向きであることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記一対の第1配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部の外側にある一方が長くなっており、前記一対の第2配線は、それぞれ、同じ向きに屈曲する第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部の外側にある一方が長くなっていることを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(5)に記載された光モジュールであって、前記一対の第2配線は、前記一対のリードとの接合部に隣接して、前記第2屈曲部を有することを特徴としてもよい。
【0013】
(7)(6)に記載された光モジュールであって、前記一対の第2配線は、前記一対のリードが延びる方向で前記第1基板に重なる位置に、前記第2屈曲部を有することを特徴としてもよい。
【0014】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記光電素子が搭載された搭載基板をさらに有し、前記第1基板は、前記第1面の中央部から端部への方向に偏って位置し、前記搭載基板は、前記第1基板に近づく方向に、前記第1面の前記中央部から偏って位置していることを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(8)に記載された光モジュールであって、上面及び下面を有し、前記下面で前記導電性ブロックの前記第1面の前記中央部に固定され、前記上面及び前記下面の間で熱を移動させるためのペルチェ素子を内部に有する熱電冷却器と、前記熱電冷却器の前記上面に固定され、前記第1基板に近づく方向に、前記第1面の前記中央部から偏って位置する支持ブロックと、をさらに有し、前記搭載基板は、前記支持ブロックに搭載されていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る光モジュールの側面図である。
【
図2】導電性ブロック及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。
【
図3】
図2とは反対から導電性ブロック及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。
【
図5】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、参考例の周波数特性を示す図である。
【
図6】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、本実施形態の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る光モジュールの側面図である。光モジュール100は、TO-CAN(Transistor Outline-Can)型光モジュールであり、発光素子を備える光送信サブアセンブリ(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)、受光素子を備える光受信サブアセンブリ(ROSA: Receiver Optical Sub-Assembly)、発光素子及び受光素子の両方を備える双方向モジュール(BOSA;Bidirectional Optical Sub-Assembly)のいずれであってもよい。光モジュール100は、導電性ブロック10(例えばアイレット)を有する。
【0019】
図2は、導電性ブロック10及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。
図3は、
図2とは反対から導電性ブロック10及びこれに搭載される電子部品を示す斜視図である。
【0020】
導電性ブロック10は、金属などの導電材料からなり、第1面12及び第2面14を有する。導電性ブロック10は、第1面12及び第2面14の間でそれぞれ貫通する複数の貫通孔16を有する。導電性ブロック10は、第1面12に一体的な台座部18を有する。台座部18は、第1面12に隆起している。台座部18も導電体からなる。導電性ブロック10は、基準電位(例えばグランド)に接続される。
【0021】
[一対のリード]
光モジュール100は、一対のリード20A,20Bを有する。一対のリード20A,20Bは、それぞれ、第1方向D1に延びる。一対のリード20A,20Bは、それぞれ、第1方向D1に交差(例えば直交)する第2方向D2に隣り合って並ぶ。一対のリード20A,20Bのそれぞれは、導電性ブロック10を絶縁状態で貫通する。例えば、導電性ブロック10の貫通孔16にはガラスなどの絶縁材料22が充填されている。一対のリード20A,20Bのそれぞれは、第1面12から突出する第1部分24を有する。一対のリード20A,20Bのそれぞれは、第2面14から突出する第2部分26を有する。
【0022】
[第1基板]
光モジュール100は、第1基板28(例えば中継基板)を有する。第1基板28は、台座部18の上に搭載されている。第1基板28には、第1差動伝送線路を構成するように、一対の第1配線30S,30Lが形成されている。一対の第1配線30S,30Lのそれぞれは、一対のリード20A,20Bの対応する1つの第1部分24に接合されている。接合には、ワイヤの使用を避けて、溶加材32(はんだ、ろう材)を使用する。
【0023】
第1基板28の、一対の第1配線30S,30Lが形成された表面は、第1面12に交差(例えば直交)する方向(例えば第1方向D1)に拡がる。第1基板28は、第1面12の中央部から端部への方向に偏って位置する。一対の第1配線30S,30Lは、第2方向D2に隣り合って並ぶ。一対の第1配線30S,30Lは、それぞれ、第1屈曲部34S,34Lを有する。一対の第1配線30S,30Lの第1屈曲部34S,34Lは、同じ向きに屈曲する。外側にある第1屈曲部34Lが長くなっているので、一対の第1配線30S,30Lは、相互に長さが異なる。
【0024】
[第2基板]
光モジュール100は、第2基板36(例えばフレキシブル基板(FPC))を有する。第2基板36は、第2面14に対向するように配置されている。第2基板36には、
図1に示すように、プリント基板(PCB)102が接続される。
【0025】
第2基板36には、第2差動伝送線路を構成するように、一対の第2配線38S,38Lが形成されている。一対の第2配線38S,38Lのそれぞれは、一対のリード20A,20Bの対応する1つの第2部分26に接合されている。第2基板36の、一対の第2配線38S,38Lが形成された表面は、第2面14に沿って拡がる。
【0026】
図4は、一対のリード20A,20B及び第2基板36の平面図である。一対の第2配線38S,38Lのそれぞれは、一対のリード20B,20Aの対応する1つから引き出されている。その引き出し方向は、第1方向D1及び第2方向D2のいずれにも交差(例えば直交)する第3方向D3である。
【0027】
一対の第2配線38S,38Lは、屈曲しており、第2屈曲部40S,40Lを有する。一対の第2配線38S,38Lは、対応するリード20B,20Aとの接合部に隣接して、それぞれ、第2屈曲部40S,40Lを有する。第2屈曲部40S,40Lは、一対のリード20B,20Aが延びる方向(第1方向D1)で、第1基板28に重なる位置にある(
図2参)。
【0028】
一対の第2配線38S,38Lの第2屈曲部40S,40Lは、同じ向きに屈曲する。外側にある第2屈曲部40Lが長くなっているので、一対の第2配線38S,38Lは、相互に長さが異なる。一対の第2配線38S,38Lは、第2屈曲部40S,40Lから第2方向D2に沿った両方の向きの一方に延びている。両方の向きの一方とは、例えば、短い第1配線30S(対応する一方のリード20A)から長い第1配線30L(対応する他方のリード20B)への向きである。
【0029】
[第1配線と第2配線の接続]
長い第1配線30Lは、一方のリード20Bを介して、短い第2配線38Sに電気的に接続されている。短い第1配線30Sは、他方のリード20Aを介して、長い第2配線38Lに電気的に接続されている。これにより、差動信号の位相のずれを相殺し、高周波信号を安定化することが可能になる。
【0030】
[光電素子]
光モジュール100は、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光電素子42を有する。光電素子42は、搭載基板44に搭載されている。搭載基板44は、第1基板28に近づく方向に、第1面12の中央部から偏って位置する。
【0031】
搭載基板44は、第1電極46及び第2電極48を有する。光電素子42の底面は、第1電極46に対向して電気的に接続されている。光電素子42の上面にあるパッドは、ワイヤW1によって、第2電極48に電気的に接続されている。第1電極46及び第2電極48のそれぞれは、1つ又は複数のワイヤW2によって、一対の第1配線30S,30Lの対応する1つに電気的に接続されている。これにより、光電素子42は、一対の第1配線30S,30Lに電気的に接続される。
【0032】
[熱電冷却器]
光モジュール100は、熱電冷却器52を有する。熱電冷却器52は、上面54及び下面56を有する。上面54及び下面56は、セラミックなどの絶縁体からなる。下面56が導電性ブロック10の第1面12に固定されている。固定には、熱伝導性の接着剤を使用してもよい。熱電冷却器52は、上面54及び下面56の間で熱を移動させるための図示しないペルチェ素子を内部に有する。例えば、上面54が吸熱面になり、下面56が放熱面になるが、その逆に切り替えられるようになっている。熱電冷却器52は、下面56で導電性ブロック10の第1面12の中央部に固定されている。熱電冷却器52の電極50は、ワイヤW3によって、リードL1に接続されている。
【0033】
熱電冷却器52の上面54には導電層58が積層する。導電層58は、基準電位プレーン(例えばグランドプレーン)となる。2つ以上のワイヤW4が、導電性ブロック10の第1面12と導電層58を接続する。これにより、導電層58の電位が、導電性ブロック10と同じになって安定する。サーミスタ60が導電層58に載って、電気的に接続し、温度を測定できるようになっている。サーミスタ60は、ワイヤW5によってリードL2に接続されており、電圧が印加されるようになっている。
【0034】
[支持ブロック]
光モジュール100は、支持ブロック62を有する。支持ブロック62は、熱電冷却器52の上面54(導電層58の上)に固定されている。支持ブロック62は、第1基板28に近づく方向に、第1面12の中央部から偏って位置する。搭載基板44は、支持ブロック62に搭載されている。
【0035】
図5は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、参考例の周波数特性を示す図である。Sdd21は、差動信号の伝送特性を示す。Scd11は、反射して戻るコモンモード成分の反射特性を示す。参考例では、差動伝送線路の一対の配線の長さが異なったままであり、差動信号の位相がずれている。そのため、ノイズが、デファレンシャルモードからコモンモードに変換され、信号品質に影響を与えていることが分かる。
【0036】
図6は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、本実施形態の周波数特性を示す図である。本実施形態では、上述したように差動信号の位相のずれを相殺するようになっている。これにより、参考例と比較して、コモンモードへの変換が抑えられるので、反射特性(Scd11)が改善していることが分かる。
【0037】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 導電性ブロック、12 第1面、14 第2面、16 貫通孔、18 台座部、20A リード、20B リード、22 絶縁材料、24 第1部分、26 第2部分、28 第1基板、30L 第1配線、30S 第1配線、32 溶加材、34L 第1屈曲部、34S 第1屈曲部、36 第2基板、38L 第2配線、38S 第2配線、40L 第2屈曲部、40S 第2屈曲部、42 光電素子、44 搭載基板、46 第1電極、48 第2電極、50 電極、52 熱電冷却器、54 上面、56 下面、58 導電層、60 サーミスタ、62 支持ブロック、100 光モジュール、102 プリント基板、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 第3方向、L1 リード、L2 リード、W1 ワイヤ、W2 ワイヤ、W3 ワイヤ、W4 ワイヤ、W5 ワイヤ。