(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】自動ドア装置、取り付け高さ推定装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20240315BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
E05F15/73
H01H35/00 N
(21)【出願番号】P 2020126443
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清政 良有
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-322212(JP,A)
【文献】特開2014-238278(JP,A)
【文献】実開昭63-039691(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0285024(US,A1)
【文献】国際公開第2018/043509(WO,A1)
【文献】特開平11-166979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/73
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、
前記センサの床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける前記検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定する推定部と、
を備える、自動ドア装置。
【請求項2】
前記検知波は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである、
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記センサの前記取り付け高さが異なる複数の対応関係を記憶する、
請求項1または2記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記センサは、複数の検知スポットからなる検知エリアを有し、前記検知送信部が発信した検知波の複数の検知スポットで反射されたそれぞれの反射波を前記検知波受信部が有する複数の受信素子のそれぞれで受光し、
前記記憶部は、前記センサの取り付け高さと少なくとも2つの前記受信素子が受信した取付け高さにおける前記反射波の受信量との対応関係を予め記憶する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
前記反射波の受信量は、自動ドアの開閉方向に平行方向に位置する少なくとも2つの異なる前記受信素子の受信量である、
請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記反射波の受信量は、自動ドアの開閉方向と直交する方向に位置する少なくとも2つの異なる前記受信素子の受信量である、
請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
前記反射波を少なくとも2つの前記受信素子が受信した受信量は、隣接する検知スポットの受信量である、
請求項4から6のうち何れか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
前記対応関係は、前記少なくとも2つの前記受信素子が受信した受信量の比および差の少なくともいずれか一方を含む、
請求項4から7のうち何れか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項9】
前記センサが前記人又は物を検知したときに引戸が開動作するように制御する制御部と、
前記推定部の推定結果に基づいて前記センサの取り付け高さに関する情報を前記制御部の制御パラメータとして設定する設定部を備える、
請求項1から8のうち何れか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項10】
前記推定部の推定結果を報知する報知部をさらに備える、
請求項1から9のうち何れか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項11】
検知送信部が発信した検知波を受信する検知波受信部と、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、
を備える、取り付け高さ推定装置。
【請求項12】
前記検知波は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである、
請求項11に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項13】
前記記憶部は、前記床面からの取り付け高さが異なる複数の対応関係を記憶する
請求項11または12記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項14】
前記検知送信部と前記検知波受信部は、一体のセンサを構成し、
前記検知波受信部は、前記検知送信部から発信された検知波が前記所定の距離離れた位置で反射した反射波を受信する、
請求項11から13のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項15】
前記検知送信部は、前記所定の距離離れた床面に置かれた反射材である、
請求項11から13のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項16】
前記検知波受信部は、前記所定の距離離れた複数の位置から発信された複数の検知波を受信し、
前記推定部は、前記検知波受信部の複数の前記受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する、
請求項11から15のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項17】
前記所定の距離離れた複数の位置は、前記検知波受信部の幅方向において異なる位置である、
請求項16に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項18】
前記所定の距離離れた複数の位置は、水平方向において異なる複数の位置である、
請求項16に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項19】
前記推定部の推定結果を報知する報知部をさらに備える、
請求項11から18のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項20】
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記受信素子の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、
を備える、取り付け高さ推定装置。
【請求項21】
前記少なくとも2つの前記受信素子の受信量は、前記検知送信部が前記検知波を発信した検知スポットとの距離が同じである前記受信素子の受信量である、
請求項20に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項22】
前記少なくとも2つの前記受信素子の受信量は、検知スポットとの距離が異なる前記受信素子の受信量である、
請求項20に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項23】
前記少なくとも2つの前記受信素子の受信量は、隣接する検知スポットの受信量である、
請求項20から22のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項24】
前記対応関係は、前記少なくとも2つの前記受信素子が受信した受信量の比および差の少なくとも何れか一方を含む、
請求項20から23のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項25】
前記推定部は、異なる前記少なくとも2つの前記受信素子の組み合わせのそれぞれの受信量に基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する、
請求項20から24のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項26】
前記推定部は、複数のタイミングで受信した前記少なくとも2つの前記受信素子の受信量に基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する、
請求項20から25のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項27】
前記推定部の推定結果を報知する報知部をさらに備える、
請求項20から26のうち何れか1項に記載の取り付け高さ推定装置。
【請求項28】
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するステップと、
センサの床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける前記検知波の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、
前記検知波受信部の受信量と前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定するステップと、
を有する、取り付け高さ推定方法。
【請求項29】
検知送信部が発信した検知波を検知波受信部により受信するステップと、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶するステップと、
前記検知波受信部の受信量と記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定するステップと、
を有する、取り付け高さ推定方法。
【請求項30】
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子を含む検知波受信部で受信するステップと、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、
前記受信素子の受信量と前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定するステップと、
を有する、取り付け高さ推定方法。
【請求項31】
コンピュータを、
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信するセンサの前記検知波受信部が受信した受信量を取得する受信量取得部と、
前記センサの前記照射面からの取り付け高さと前記センサが所定高さに取り付けられた場合における前記反射波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検知波受信部が受信した受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定する推定部と、
として機能させるための取り付け高さ推定プログラム。
【請求項32】
コンピュータを、
検知送信部が発信した検知波を受信する検知波受信部と、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、
として機能させるための取り付け高さ推定プログラム。
【請求項33】
コンピュータを、
検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、
前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記受信素子の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、
として機能させるための取り付け高さ推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、取り付け高さ推定装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動ドアが設置された近傍の床面に光を発し、当該光の反射光を検知する自動ドアシステムが知られている。この種の自動ドアシステムは、例えば、特許文献1に記載された自動ドア用反射型センサを備える。自動ドア用反射型センサは、自動ドア近傍の床面にスポット光をマトリクス状に照射して監視領域を形成する。自動ドア用監視センサは、複数の発光素子を複数の列に配置し、複数の受光素子を複数の行に配置し、複数の列のうち列ごとの発光素子群を同時に発光させ、複数の行のうち行ごとに受光素子群により受光した光に基づく信号を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動ドアシステムにおいて、センサに記憶するセンサの高さの設定は、通行人等を検知するための閾値を設定するための重要な要素である。すなわち、閾値を正しい高さに対応した値に設定しないと、正しい検知エリアに存在しない通行人等を、検知エリアに存在する通行人等であると検知する誤検知が発生する恐れがある。誤検知が発生すると、正しい検知エリアに通行人等が存在しないのに自動ドアが開動作するという可能性がある。また、閾値を正しい高さに対応した値に設定しないと、正しい検知エリアに存在する通行人等を、検知エリアに存在しないと検知する検知漏れが発生する恐れがある。検知漏れが発生すると、正しい検知エリアに通行人等が存在するのに自動ドアが開動作しないという可能性や、正しい検知エリアに通行人等が存在するのに自動ドアが閉動作してしまうという可能性がある。
【0005】
しかしながら、センサの高さを高い精度で推定するためには、発光素子から床面に光を照射した時刻から床面で反射した光を受光した時刻までの期間を計測するToF(Time to Flight)技術があるが、例えばマイクロ秒オーダーの高い時間分解能で期間を計測する必要がある。したがって、従来においては、センサとは別の計測器を用いてセンサの高さを推定する必要があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、センサの高さを自動的に推定することができる自動ドア装置、取り付け高さ推定装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る自動ドア装置は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、前記センサの床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける前記検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定する推定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定装置は、検知送信部が発信した検知波を受信する検知波受信部と、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る高さ推定方法は、投光部が投光した検知光の反射光を受光部が受光することにより人又は物をセンサにより検知するステップと、前記センサにより前記人又は物を検知したときに引戸が開動作するように制御するステップと、前記センサの高さ方向の取り付け位置と前記引戸から所定の距離離れた位置からの前記検知光の反射の受光量との関係を記憶するステップと、前記受光部の受光量と記憶された前記関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定するステップと、を有する。
【0010】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定装置は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記受信素子の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定方法は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するステップと、前記センサの床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける前記検知波の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定するステップと、を有する。
【0012】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定方法は、知波発信部が発信した検知波を検知波受信部により受信するステップと、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶するステップと、前記検知波受信部の受信量と記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定するステップと、を有する。
【0013】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定方法は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子を含む検知波受信部で受信するステップと、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、前記受信素子の受信量と前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定するステップと、を有する。
【0014】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定プログラムは、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信するセンサの前記検知波受信部が受信した受信量を取得する受信量取得部と、前記センサの前記照射面からの取り付け高さと前記センサが所定高さに取り付けられた場合における前記反射波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検知波受信部が受信した受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定する推定部と、として機能させる。
【0015】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定プログラムは、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波を受信する検知波受信部と、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された前記検知波の前記検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記検知波受信部の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、として機能させる。
【0016】
本発明の一態様に係る取り付け高さ推定プログラムは、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、前記検知波受信部の床面からの取り付け高さと前記取り付け高さにおける少なくとも2つの前記受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記受信素子の受信量と前記記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて前記検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
上述の自動ドア装置、取り付け高さ推定装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムによれば、センサの高さを自動的に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態における自動ドアシステム1および検知エリアA1の一例を示す一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態における自動ドアシステム1の一例を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態における自動ドアシステム1の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態における投光部における投光素子と、受光部における受光素子と、小検知エリアとの関係を示す図である。
【
図6】第1実施形態における記憶部140に記憶される情報142の一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態の自動ドアシステム1によりセンサ装置100の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態における投光素子群112Aにおける投光素子と、受光素子群114Aおよび114Bにおける受光素子と、小検知エリアaとの関係を示す他の図である。
【
図9】近赤外光が投光される位置と受光量との関係を示す情報142Aの一例を示す図である。
【
図10】投光素子群112Aにおける投光素子と、受光素子群114Aおよび114Bにおける受光素子と、小検知エリアaとの関係を示す他の図である。
【
図11】近赤外光が投光される位置と受光量との対応関係を示す情報142Bの一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態における自動ドアシステム1Aの一例を示す側面図である。
【
図13】第2実施形態の自動ドアシステムによりセンサ装置の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】検知エリアにおけるX方向の小検知エリアの受光量を列ごとに示す図であり、(A)は高さH1における受光量、(B)は高さH2における受光量を示す。
【
図15】高さと受光量差との対応を示す情報142Cの一例を示す図である。
【
図16】第3実施形態の自動ドアシステム1Bによりセンサ装置100の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおける投光素子と受光素子と小検知エリアとの関係を示す他の図である。
【
図18】第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおける投光素子と受光素子と小検知エリアとの関係を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る自動ドア装置、取り付け高さ推定装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について説明する。
<自動ドアシステム1の構成>
図1は、第1実施形態における自動ドアシステム1および検知エリアA1の一例を示す一例を示す図である。
図2は、第1実施形態における自動ドアシステム1の一例を示す側面図であり、
図3は、第1実施形態における自動ドアシステム1の一例を示すブロック図である。自動ドアシステム1は、例えば、自動ドア装置200と、センサ装置100とを備える。なお、実施形態の自動ドアシステムは、2枚の引き戸(ドア部)が図中の+X方向および-X方向にスライドする引戸型の自動ドアについて説明するが、これに限定されない。自動ドアシステム1は、回転型の自動ドア、開き戸・折り戸型の自動ドアなどの他の型の自動ドアにも適用可能である。
【0021】
自動ドア装置200は、例えば、一対のドア部20と、無目部22とを備える。なお、無目部22内には、駆動モータ、タイミングベルト、プーリー、ドアハンガーなどの部品が収容されているが、本実施形態においては説明を省略する。
【0022】
センサ装置100は、例えば、無目部22に取り付けられる。センサ装置100は、通行人等を検知するために、無目部22の中央、より具体的には、2枚のドア部20の境界部の上方に設けられる。なお、センサ装置100は、天井や無目部22の下面等の無目部22以外の場所に設けられていてもよい。自動ドアシステム1は、ドア部20を通行しようとする通行人等をセンサ装置100により検知した場合に、自動ドア装置200によりドア部20を開く動作を実行する。これにより、自動ドアシステム1は、通行人が通行可能な開口であるドア開口を形成する。自動ドアシステム1は、例えば通行人が存在しない期間が所定期間を超えた場合、ドア部20を閉じる動作を実行する。これにより、自動ドアシステム1は、ドア開口を閉じる。
【0023】
センサ装置100は、
図2に示すように、支持部100aを備える。支持部100aは、例えば、センサ装置100における受光部114を支持する筐体である。
【0024】
センサ装置100は、
図3に示すように、例えば、センサ部110と、センサ制御部120と、推定部130と、記憶部140とを備える。
【0025】
センサ部110は、例えば、投光部112および受光部114を備える。センサ部110は、投光部112が投光した検知光の反射光を受光部114が受光することにより人又は物を検知するセンサである。受光部114は、検知送信部が発信した検知波を受信する検知波受信部の一例であり、
図2に示した反射番Mは検知送信部の一例である。センサ装置100におけるセンサ部110、センサ制御部120、記憶部140、および推定部130が、自動ドア装置であってよい。記憶部140、および推定部130は、検知波受信部の高さを推定する取り付け高さ推定装置の一例である。
【0026】
センサ制御部120、および推定部130といった機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0027】
記憶部140は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)、或いはこれらを複数用いたハイブリッド型記憶装置により実現される。記憶部140は、受光部114の床面から受光部114の高さHと受光部114から水平方向(自動ドアの開閉方向に平行方向)に所定の距離離れた位置から発信された検知波の受光部114での受信量との対応関係を予め、記憶する。なお、記憶部140は、センサ装置100の高さとドア部20(引戸)から所定の距離離れた位置からの検知光の反射の受光量との対応関係を記憶すると言い換えてよい。所定の距離とは、ドア部20の位置から、検知エリア中のY方向における任意の位置までの距離である。なお、実施形態における「
図2および
図5におけるY方向における3列目の小検知エリアからの反射光の受光量」は、「受光部114から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された検知波の受光部114での受信量」の一例である。
【0028】
推定部130は、受光部114の受光量と記憶部140に記憶された対応関係とに基づいて受光部114の取り付け高さを推定する。なお、本実施形態において、受光部114の高さは、センサ装置100の高さに相当し、以下の説明においては、推定部130によりセンサ装置100の高さを推定することについて説明する。
【0029】
図4は、センサ部110の一例を示す図である。投光部112は、投光素子群112Aと、投光用光学レンズ112Bとを備える。投光部112は、投光素子群112Aのそれぞれから発したパルス状の近赤外光を、投光用光学レンズ112Bを介して検知エリアA1に対して近赤外光Laとして投光(照射)する。受光部114は、受光素子群114Aおよび114Bと、受光用光学レンズ114Cおよび114Dと、を備える。受光部114は、受光用光学レンズ114Cおよび114Dを介して、近赤外光Laの反射光Lbを受光素子群114Aおよび114Bにより受光する。
【0030】
図5は、第1実施形態における投光部における投光素子と、受光部における受光素子と、小検知エリアとの関係を示す図である。投光素子群112Aにおける各投光素子112aと、受光素子群114Aおよび114Bにおける各受光素子114aと、小検知エリアaとは、予め対応関係が設定される。すなわち、所定の投光素子112aから発した近赤外光La1は、所定の小検知エリアaにおいて反射され、反射光Lb1は所定の受光素子114aにより受光される。なお、投光部112、および受光部114は、近赤外光を受発光以外の光を投光、および受光してもよい。更に、投光部112、および受光部114は、投光用光学レンズ112B、および受光用光学レンズ114Cおよび114Dの代わりに別の光学系を用いてもよく、光学レンズを用いなくても構わない。
【0031】
投光部112は、センサ制御部120の制御に従って各投光素子112aから近赤外光Laを発する。受光部114は、各投光素子112aから検知エリアA1に投光された反射光Lbを各受光素子114aによって受光し、各受光素子114aについて受光量を検出する。受光部114は、検出された受光量を、受光量に応じた信号値(例えば、0から255までの値に換算された8ビットの信号値)を有する検知信号としてセンサ制御部120および推定部130に出力する。
【0032】
なお、検知送信部は投光部112であってよく、投光部112と受光部114は、一体のセンサを構成し、受光部114は、検知波の反射を受信してよい。投光部112は光を発し、受光部114は光を受けるが、これに限らず、センサ装置100は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである検知波を発し、発した検知波の反射波を受けてよい。
【0033】
自動ドアシステム1においては、有効検知エリアが設定される。有効検知エリアとは、
図1に示すように、センサ装置100を用いて通行人または物である通行人等を検知可能な領域である検知エリアA1のうち、通行人等の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。なお、
図1は床面F付近における検知エリアA1の位置関係を示している。
【0034】
図1の例において、検知エリアA1は、2枚のドア部20に対向する面(正面)に設定される。検知エリアA1は、複数の小検知エリアaを含む。各小検知エリアaは検知スポットの一例である。複数の小検知エリアaは、ドア部20が開閉するX方向、およびX方向に直交するY方向に所定の間隔を空けて配置される。具体的には、
図1および
図2に示すように、小検知エリアaは、Y方向に6列に並べて配置され、X方向に12行に並べて配置され、合計で72個存在する。各小検知エリアa(検知スポット)は、投光部112における複数の投光素子のそれぞれにより投光される投光領域の単位、および受光部114における複数の受光素子のそれぞれにより受光される受光領域の単位に対応している。
【0035】
図1における有効検知エリアは、複数の小検知エリアaのうち少なくとも1つの小検知エリアaを含む。なお、
図1において、各小検知エリアaは、円形状を有する。この場合の小検知エリアaの床面における直径は、例えば、10cmから30cmの間の任意の値に設定可能である。なお、小検知エリアaは、楕円形状、矩形状、または多角形状等の円形状以外の形状であってもよい。複数の小検知エリアaのうちいずれの小検知エリアaを有効検知エリアとして設定するかについては、具体的な態様は特に限定されない。例えば、有効検知エリアは、自動ドアシステム1の使用開始前に予め設定されてもよい。また、有効検知エリアは、ドア位置等に応じて可変であってもよい。
【0036】
センサ制御部120は、投光素子群112Aにおける投光素子それぞれに対応する小検知エリアaに向けて近赤外光を投光させる。センサ制御部120は、受光素子群114Aおよび114Bにおける各受光素子に、各小検知エリアaからの近赤外光の反射光をそれぞれ受光させる。センサ制御部120は、受光部114から入力された小検知エリアaごとの検知信号のうち、有効検知エリアの検知信号を抽出する。
【0037】
センサ制御部120は、抽出された有効検知エリアにおける検知信号と、予め設定された閾値との比較に基づいて、通行人等を検知する。閾値は、センサ装置100が設置された高さに対応する値である。閾値は、例えば、高さ設定用のディップスイッチ等に対する作業者の操作によって切り換えられる。閾値は、自動ドアシステム1の出荷時には、例えば、2メートルに対応した値に設定される。センサ制御部120は、例えば、検知信号が示す値が閾値を超えている場合には通行人等が存在しないと判定し、検知信号が示す値が閾値を超えていない場合には通行人等が存在すると判定する。
【0038】
<角度調整処理>
以下、上述した自動ドアシステム1において、センサ装置100の角度を調整する処理について説明する。センサ装置100の角度とは、投光部112の投光方向の角度および受光部114の受光方向の角度である。まず、
図2に示すように、ドア部20と対向するY方向(水平方向)においてドア部20から所定の距離だけ離れた位置に反射板Mが置かれる。反射板Mは、例えば、反射率が100%に近い再帰性反射材が貼り付けられた板である。なお、反射板Mは、一つの小検知エリアaに対応する位置に置かれてよく、X方向に隣接する2つの小検知エリアaに亘る位置に置かれてもよい。自動ドアシステム1は、例えば、投光部112から投光しながら作業員の操作に従ってセンサ装置100の角度を調整し、受光部114により所定の受光量が得られるセンサ装置100の角度に設定する。
【0039】
<高さ推定処理>
以下、上述した自動ドアシステム1において、センサ装置100の高さを推定する動作について説明する。
図6は、第1実施形態における記憶部140に記憶される情報142の一例を示す図である。
図7は、第1実施形態の自動ドアシステム1によりセンサ装置100の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
記憶部140は、
図6に示すように、例えば、センサ装置100の支持部100aの床面からの取り付け高さ(H1,H2,H3)と、受光部114から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された光の受光部114での受光量のそれぞれ(LI1,LI2,LI3)との対応関係を予め、記憶するための情報142を記憶する。
【0041】
自動ドアシステム1は、上述したセンサ装置100の角度を調整する動作を行った後に
図7に示す動作を行ってよいが、これに限定されず、自動ドアシステム1の定期点検時などに
図7に示す動作を行ってよい。
まず、センサ装置100は、近赤外光Laをドア部20の位置から所定の距離離れた位置に投光する(ステップS100)。近赤外光Laは、反射板Mに照射される。所定の距離は、例えば、
図2に示すように、ドア部20からY方向における3列目に含まれる小検知エリアaまでの距離である。次に、センサ装置100は、反射光Lbを受光する(ステップS102)。次に、センサ装置100は、反射光Lbの受光量を検出し、検出した受光量と、記憶した受光量とを比較する(ステップS104)。次に、センサ装置100は、比較結果に基づいてセンサ装置100の高さを推定する(ステップS106)。センサ装置100は、例えば、記憶した受光量のうち、検出した受光量に最も近い受光量に対応する高さを、センサ装置100の高さとして推定してよく、検出した受光量と記憶した受光量との差に基づいて高さを補間して推定してよく、検出した受光量と記憶した受光量との差を用いた所定の計算式で高さを推定してよい。次に、センサ装置100は、推定した高さを用いて所定の動作を行う(ステップS108)。所定の動作は、例えば、推定結果に基づいてセンサ装置100の高さの情報をセンサ制御部120の制御パラメータとして設定する設定部(不図示)による動作や、スピーカや表示装置等の報知部(不図示)により推定結果を報知する動作である。センサ装置100は、設定部により制御パラメータが設定されることにより、例えば、設定された制御パラメータに基づく閾値を設定する。
【0042】
図8は、第1実施形態における投光素子群112Aにおける投光素子と、受光素子群114Aおよび114Bにおける受光素子と、小検知エリアaとの関係を示す他の図である。
上述した自動ドアシステム1において、近赤外光が投光される所定の距離離れた位置は、複数の位置であってよい。複数の位置は、例えば
図10に示すように、ドア部20(受光部114)に対向するY方向に所定の距離離れた3列目の位置であって、且つドア部20(受光部114)の幅方向であるX方向において異なる位置(例えば、4行目と8行目)である。自動ドアシステム1は、複数の位置のそれぞれに近赤外光La1およびLa2をそれぞれ投光し、受光部114は、複数の位置のそれぞれからの反射光Lb1およびLb2をそれぞれ受け、複数の受光量を検出する。推定部130は、複数の検出した受光量と、記憶した対応関係とに基づいて、センサ装置100の取り付け高さを推定する。推定部130は、例えば、複数の受光量を平均し、平均した受光量と記憶した受光量との比較に基づいてセンサ装置100の取り付け高さを推定してよい。
【0043】
図9は、近赤外光が投光される位置と受光量との対応関係を示す情報142Aの一例を示す図である。記憶部140は、情報142Aを記憶してよい。情報142Aは、高さH1,H2,H3ごとに、複数の位置と受光量との対応関係を示すテーブルデータである。情報142Aは、例えば、自動ドアシステム1の設置前に予めセンサ装置100の高さHおよび位置について予め計測した受光量の情報を含む。
【0044】
推定部130は、例えば位置(x,y)が(4,3)である位置に近赤外光La1を投光した反射光Lb1に基づく受光量と、情報142Aに含まれる位置(4,3)に対応した受光量LI1とを比較し、例えば位置(x,y)が(8,3)である位置に近赤外光La2を投光した反射光Lb2に基づく受光量と、情報142Aに含まれる位置(8,3)に対応した受光量LI2とを比較し、それぞれの比較結果に基づいてセンサ装置100の高さを推定してよい。
【0045】
図10は、投光素子群112Aにおける投光素子と、受光素子群114Aおよび114Bにおける受光素子と、小検知エリアaとの関係を示す他の図である。
図11は、近赤外光が投光される位置と受光量との対応関係を示す情報142Bの一例を示す図である。
上述した自動ドアシステム1において、投光部112は、ドア部20(受光部114)に対向する方向(水平方向)において異なる複数の距離の位置に近赤外光La1およびLa2を投光してよい。投光部112は、例えば、位置(x,y)が(4,1)である位置に近赤外光La1、および位置(x,y)が(8,3)である位置に近赤外光La2をそれぞれ投光してよい。また、自動ドアシステム1は、複数の高さH1,H2,H3ごとに、位置(4,1)に投光した時の受光量LI1との対応関係を示す情報と、位置(8,3)に投光した時の受光量LI2との対応関係を示す情報とを含む情報142Bを記憶部140に記憶しておく。情報142Bは、例えば、自動ドアシステム1の設置前に、予めセンサ装置100の高さHおよび位置について計測した受光量の情報を含む。センサ装置100は、位置(4,1)からの反射光Lb1に基づく受光量と、情報142Bに含まれる受光量との比較に基づいて、センサ装置100の高さを推定する。センサ装置100は、位置(8,3)からの反射光Lb2に基づく受光量と、情報に含まれる受光量との比較に基づいて、センサ装置100の高さを推定する。センサ装置100は、2つの推定結果に基づいて、センサ装置100の高さ推定結果を決定する。
【0046】
なお、上述した第1実施形態は、検知波受信部の床面からの取り付け高さと検知波受信部から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された検知波の検知波受信部での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された前記対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部とを備える、取り付け高さ推定装置について説明したが、これに限定されず、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部を備える自動ドア装置にも適用可能である。
【0047】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部を備える自動ドア装置を実現することができる。この自動ドア装置において、検知波は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである。この自動ドア装置において、記憶部は、センサの取り付け高さが異なる複数の対応関係を記憶する。また、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するステップと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定するステップと、を有する、自動ドア装置のセンサ取り付け高さ推定方法を実現することができる。さらに、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信するセンサの検知波受信部が受信した受信量を取得する受信量取得部と、センサの照射面からの取り付け高さとセンサが所定高さに取り付けられた場合における反射波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部が受信した受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部と、として機能させるための取り付け高さ推定プログラムを実現することができる。これらの自動ドア装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムによれば、センサの取り付け高さを自動的に推定することができる。
【0048】
また、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、投光部112が発信した近赤外光を受信する受光部114と、受光部114の床面からの取り付け高さと受光部114から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された近赤外光の受光部114での受信量との対応関係を予め、記憶する記憶部140と、受光部114の受信量と記憶部140に記憶された対応関係とに基づいて受光部114の取り付け高さを推定する推定部130と、を備える取り付け高さ推定装置を実現することができる。また、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、投光部112が投光した検知光の反射光を受光部114が受光することにより人又は物をセンサ装置100により検知するステップと、センサ装置100により人又は物を検知したときに引戸が開動作するように制御するステップと、センサ装置100の高さと引戸から所定の距離離れた位置からの検知光の反射の受光量との対応関係を予め、記憶するステップと、受光部112の受光量と記憶された対応関係とに基づいてセンサ装置100の取り付け高さを推定するステップと、を有する、取り付け高さ推定方法を実現することができる。さらに、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、コンピュータを、投光部112が発信した検知波を受信する受光部114と、受光部114の床面からの取り付け高さと受光部114から水平方向に所定の距離離れた位置から発信された検知波の受光部114での受信量との対応関係を予め記憶する記憶部140と、受光部114の受信量と記憶部140に記憶された対応関係とに基づいて受光部114の取り付け高さを推定する推定部130と、として機能させるための取り付け高さ推定プログラムを実現することができる。このような第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、センサ装置100の取り付け高さを自動的に推定することができる。
【0049】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、推定部130の推定結果に基づいてセンサ装置100の高さの情報をセンサ制御部120の制御パラメータとして設定する設定部を備える。これにより、自動ドアシステム1によれば、自動的に推定した高さを自動的に設定することができる。この結果、自動ドアシステム1によれば、高さを手動で設定することを回避することで、手動による高さの設定ミスを回避することができる。
【0050】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、高さを推定するために、近赤外光Laに限らず、光、超音波、および電波のうち何れか一つの波を利用することで、センサ装置100の取り付け高さを自動的に推定することができる。
【0051】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、記憶部が、床面からの取り付け高さが異なる複数の対応関係を記憶する。この自動ドアシステム1によれば、受光部114の受信量と、ある取り付け高さに対応した受信量と、他の取り付け高さに対応した受信量と、の関係に基づいてセンサ装置100の取り付け高さを自動的に推定することができる。例えば、受光部114の受信量が、ある取り付け高さに対応した受信量よりも、他の取り付け高さに対応した受信量に近い場合、当該他の取り付け高さに近い高さに取り付けられていることを推定することができる。
【0052】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知送信部と検知波受信部は、一体のセンサを構成し、検知波受信部は、検知送信部から発信された検知波が所定の距離離れた位置で反射した反射波を受信する。これにより、自動ドアシステム1によれば、高さ推定のための別個(専用)の送波部を備えることなく、センサ装置100の高さを自動的に推定することができる。
【0053】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知送信部が所定の距離離れた床面に置かれた反射材(反射板M)である。また、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知波受信部により所定の距離離れた複数の位置から発信された複数の検知波を受信し、推定部により検知波受信部の複数の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する。第1実施形態の自動ドアシステム1における所定の距離離れた位置は、水平方向に所定の距離離れた位置であって且つ検知波受信部の幅方向において異なる位置である。第1実施形態の自動ドアシステム1における所定の距離離れた位置は、水平方向において異なる複数の位置を含む。例えば、複数の位置は、ドア部20に対向するX方向に所定の距離離れた位置であって、ドア部20の幅(Y)方向において異なる位置であってよい。例えば、所定の距離は、ドア部20に対向するX方向において異なる複数の距離を含んでよい。これにより、自動ドアシステム1によれば、1つの受光量を用いて高さを推定する場合よりも、高さ推定の精度を高くすることができる。
【0054】
第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、推定部130の推定結果を報知する報知部を備える。これにより、自動ドアシステム1によれば、自動的に推定した高さを作業員に認識させることができる。この結果、例えば、自動ドアシステム1の出荷時に設定されている高さと、推定した高さとが違うことを認識させることができ、作業者に高さ設定用のディップスイッチ等の操作を促すことができる。
【0055】
<第2実施形態>
つぎに、第2実施形態の自動ドアシステム1Aについて説明する。第2実施形態の自動ドアシステム1Aは、ドア部20の位置から所定の距離離れた位置に、受光部114に波を送る送波部を設ける点で、第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
図12は、第2実施形態における自動ドアシステム1Aの一例を示す側面図である。自動ドアシステム1Aは、投光部300を備える。投光部300は、Y方向における3列目に置かれる。また、記憶部140には、複数の高さそれぞれと、Y方向における3列目に置かれた投光部300から近赤外光Lcを受光したときの受光量との関係が記憶される。
【0057】
投光部300は、例えば、Y方向における3列目における任意の行に置かれ、作業者の操作により投光のための電源が投入されたことに応じて、近赤外光Lcを発光する。近赤外光Lcは、センサ装置100における受光部114より受光される。投光部300は、検知送信部の一例であり、受光部114は、検知波受信部の一例である。また、投光部300は近赤外光を発し、受光部114は近赤外光を受けるが、これに限らず、検知送信部は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである波を発し、検知波受信部は、検知送信部が発した波を受けてよい。推定部130は、受光部114の受光量と記憶部140に記憶された対応とに基づいてセンサ装置100の取り付け高さを推定する。
【0058】
図13は、第2実施形態の自動ドアシステムによりセンサ装置の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、投光部300がドア部20の位置から所定の距離離れた位置に置かれ、投光を開始している状態において開始する。まず、センサ装置100は、投光部300から発した近赤外光Lcを受光する(ステップS102A)。次に、センサ装置100は、近赤外光Lcの受光量を検出し、検出した受光量と、記憶した受光量とを比較する(ステップS104)。次に、センサ装置100は、比較結果に基づいてセンサ装置100の高さを推定する(ステップS106)。次に、センサ装置100は、推定した高さを用いて所定の動作を行う(ステップS108)。所定の動作は、例えば、推定結果に基づいてセンサ装置100の高さの情報をセンサ制御部120の制御パラメータとして設定する設定部(不図示)による動作や、スピーカや表示装置等の報知部(不図示)により推定した高さを報知する動作である。
【0059】
投光部300が置かれるドア部20の位置から所定の距離離れた位置は、複数の位置であってよい。投光部300は、複数の位置のそれぞれから近赤外光Lcを投光し、受光部114は、複数の位置のそれぞれからの近赤外光Lcを受ける。複数の位置は、例えば
図5に示すように、ドア部20に対向するY方向に所定の距離離れた3列目の位置であって、ドア部20の幅方向であるX方向において異なる位置(例えば、4行目と6行目)であってよい。推定部130は、例えば、複数の受光量を平均し、平均した受光量と記憶した受光量との比較に基づいてセンサ装置100の高さを推定する。
【0060】
上述した自動ドアシステム1Aにおいて、投光部300は、ドア部20に対向する方向(水平方向)において異なる複数の距離の位置(検知位置)に置かれてよい。投光部300は、例えば、Y方向における3列目であってX方向における4行目の小検知エリアa(#1)、およびY方向における5列目であってX方向における4行目の小検知エリアa(#2)に置かれる。自動ドアシステム1Aは、複数の高さのそれぞれと、Y方向における3列目であってX方向における4行目の小検知エリアaから投光した時の受光量との関係を示す情報#1と、複数の高さのそれぞれと、Y方向における5列目であってX方向における4行目の小検知エリアaから投光した時の受光量との関係を示す情報#2とを記憶部140に記憶しておく。センサ装置100は、小検知エリアa(#1)からの近赤外光Lcに基づく受光量と、情報#1に含まれる受光量との比較に基づいて、センサ装置100の高さを推定する(推定結果#1)。センサ装置100は、小検知エリアa(#2)からの近赤外光Lcに基づく受光量と、情報#2に含まれる受光量との比較に基づいて、センサ装置100の高さを推定する(推定結果#2)。センサ装置100は、2つの推定結果#1および推定結果#2に基づいて、センサ装置100の高さ推定結果を決定する。
【0061】
以上説明したように、第2実施形態の自動ドアシステム1Aによれば、検知波送信部が所定の距離離れた床面に置かれた反射材(投光部300)である。また、第2実施形態の自動ドアシステム1Aによれば、検知波受信部により所定の距離離れた複数の位置から発信された複数の検知波を受信し、推定部により検知波受信部の複数の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する。この第2実施形態の自動ドアシステム1Aによれば、投光部300からの近赤外光Lcの受光量に基づいてセンサ装置100の高さを自動的に推定することができる。また、自動ドアシステム1Aによれば、反射板Mを用いずにセンサ装置100の高さを推定することができる。
【0062】
<第3実施形態>
つぎに、第3実施形態の自動ドアシステム1Bについて説明する。第3実施形態の自動ドアシステム1Bは、センサ装置100の床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける少なくとも2つの受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部140と、受光部114の受光量と記憶部140に記憶された対応関係とに基づいてセンサ装置100の取り付け高さを推定する推定部130を備える点で、上述した実施形態とは相違する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図14は、検知エリアにおけるX方向の小検知エリアの受光量を列ごとに示す図であり、(A)は高さH1における受光量、(B)は高さH2における受光量を示す。第3実施形態において小検知エリアは検知位置、検知スポットと読み替えてよい。
図14において、高さH1は、高さH2よりも低い。例えば、高さH1は、2メートルの高さであり、高さH2は、3メートルの高さである。高さH1における受光量と高さH2における受光量とを比較すると、同じ列において、高さH1における受光量同士の関係と、高さH2における受光量同士の関係とが異なることが分かる。例えば、高さH1において隣接する小検知エリアの受光量間の差は、高さH2において隣接する小検知エリアの受光量間の差よりも大きい。ある高さにおいて隣接する小検知エリアの受光量間の差は、例えば、ある列において隣接する小検知エリアの11組における受光量の差の平均値である。このような受光量の比や差の元になる受光量の相違は、投光素子や受光素子の個体差、光路(床面の影響)の外乱、投光用光学レンズ112Bや受光用光学レンズ114Cおよび114Dなどの光学系の差に起因して発生する。
【0064】
図15は、高さと受光量差との対応を示す情報142Cの一例を示す図である。記憶部140は、情報142Cを記憶する。情報142Cは、複数の高さH1,H2のそれぞれと、2つの隣接した小検知エリアからの近赤外光の反射の受光量の差の関係と、の対応を示すテーブルデータである。情報142Cにおける2つの受光量の差は、引戸から離れた2つの隣接した検知位置からの検知光の反射の受光量同士の関係の一例である。情報142Cは、例えば、例えば、自動ドアシステム1Bの設置前に、高さH1,H2のそれぞれについて、ある投光部112から隣接する2つの小検知エリアに近赤外光を投光し、2つの小検知エリアのそれぞれで異なる2つの受光部114で反射光を受光した場合の受光量の差を実験的に取得した情報を含む。2つの受波量同士の関係は、2つの受光量の差ではなく、2つの受光量の比であってよい。なお、情報142Cは、2つの高さに対応した受光量の差を含むが、2つの高さに限らず、2つよりも多い高さに対応した受光量の差を含んでよい。
【0065】
図16は、第3実施形態の自動ドアシステム1Bによりセンサ装置100の高さを推定する動作の手順の一例を示すフローチャートである。
図17は、第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおける投光素子と受光素子と小検知エリアとの関係を示す他の図である。
センサ装置100は、一つの投光部112の投光素子から、X方向に隣接する位置(5,3)および(4,3)の2つの小検知エリアaに近赤外光La1およびLa2のそれぞれを投光する(ステップS100B)。近赤外光La1およびLa2のそれぞれは、隣接する小検知エリアaのそれぞれで反射する。次に、センサ装置100は、2つの小検知エリアaから反射光Lb1およびLb2を、異なる受光素子で受光する(ステップS102B)。次に、センサ装置100は、2つの反射光Lb1およびLb2の受光量の差を計算し、計算した受光量の差と、記憶した受光量の差とを比較する(ステップS104B)。次に、センサ装置100は、比較結果に基づいてセンサ装置100の高さを推定する(ステップS106B)。次に、センサ装置100は、推定した高さを用いて所定の動作を行う(ステップS108B)。センサ装置100は、例えば、記憶した受光量の差のうち、計算した受光量の差に最も近い受光量の差に対応する高さを、センサ装置100の高さとして推定してよく、さらには、計算した受光量の差と記憶した受光量の差との相違を補間して高さを推定してよく、計算した受光量の差と記憶した受光量の差との相違を用いた所定の計算式で高さを推定してよい。
【0066】
なお、反射光Lb1を受光する受光素子および反射光Lb2を受光する受光素子を含む受光部114は、2つの隣接した検知位置のうちの第1の検知位置からの反射波を受ける第1の受信部と、第1の検知位置に隣接する第2の検知位置からの反射波を受ける第2の受信部の一例である。反射光Lb1を受光する受光素子は、第1の検知位置である(5,3)の小検知エリアaからの反射波Lb1を受ける第1の受信部に相当し、反射光Lb2を受光する受光素子は、第1の領域である小検知エリアaに隣接する第2の検知位置である(4,3)の小検知エリアaからの反射波反射光Lb2を受ける第2の受信部に相当する。
【0067】
図18は、第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおける投光素子と受光素子と小検知エリアとの関係を示す他の図である。第1の検知位置と第2の検知位置とは、検知エリアA1におけるドア部20に対向する方向(Y方向)において隣接した領域同士であってよい。
図18において、第1の検知位置は、(x、y)=(8,3)に位置する小検知エリアaであり、と第2の検知位置は、(x、y)=(8,4)に位置する小検知エリアaである。記憶部140は、
図15に示したように、Y方向に隣接した小検知エリア(8,3)および(8,4)からの2つの反射光に基づく受光量の差を含む情報142Cを記憶する。2つの受波量同士の関係は、2つの受光量の差ではなく、2つの受光量の比であってよい。
【0068】
図16および
図18を参照して自動ドアシステム1Bの動作を説明する。センサ装置100は、一つの投光部112の投光素子から、Y方向(自動ドアの開閉方向と直交する方向)に隣接する位置(8,3)および(8,4)の2つの小検知エリアaに近赤外光La3およびLa4のそれぞれを投光する(ステップS100B)。近赤外光La3およびLa4のそれぞれは、Y方向で隣接する小検知エリアaのそれぞれで反射する。次に、センサ装置100は、2つの小検知エリアaから反射光Lb3およびLb4を、異なる受光素子で受光する(ステップS102B)。次に、センサ装置100は、2つの反射光Lb3およびLb4の受光量の差を計算し、計算した受光量の差と、記憶した受光量の差とを比較する(ステップS104B)。次に、センサ装置100は、比較結果に基づいてセンサ装置100の高さを推定する(ステップS106B)。
【0069】
なお、自動ドアシステム1Bは、
図18に示したように、X方向に隣接する2つの小検知エリアaに近赤外光を投光したことに基づく受光量差から推定した高さと、Y方向に隣接する2つの小検知エリアaに近赤外光を投光したことに基づく受光量差から推定した高さとの2つの推定結果に基づいて、高さの推定結果を決定してもよい。
【0070】
推定部130は、複数回に亘りセンサ装置100(受光部114)の高さを推測し、複数の推測した結果に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定してよい。複数回に亘るセンサ装置100の高さを推測する動作は、2つの受光素子(2つ受信部)の組み合わせが異なる複数の組のそれぞれについてセンサ装置100の高さを推測する動作である。例えば、1回目の推測は、ある投光素子を用い、反射光Lb1を受光する受光素子と反射光Lb2を受光する受光素子との組を用いてセンサ装置100の高さを推測し、2回目の推測は、ある投光素子とは異なる投光素子を用い、反射光Lb3を受光する受光素子と反射光Lb4を受光する受光素子との組を用いてセンサ装置100の高さを推測し、推定部130は、例えば、1回目の推測結果と2回目の推測結果の高さの平均に基づいて、センサ装置100の高さを推定する。なお、自動ドアシステム1Bは、一つの同じ投光素子、および異なる2つの組の受光素子を用いて、複数回に亘りセンサ装置100の高さを推測してもよい。
【0071】
推定部130は、複数のタイミングのそれぞれについてセンサ装置100(受光部114)の高さを推測し、複数の推測した結果に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定してよい。推定部130は、例えば、第1のタイミングで推測した高さと、第2のタイミングで推測した高さとの平均に基づいて、センサ装置100の高さを推定する。例えば、第1のタイミングは、自動ドアシステム1におけるセンサ装置100の角度調整時であり、第2のタイミングは、自動ドアシステム1の設置後の試験動作時である。
【0072】
なお、推定部130は、2より多い推測結果を用いてセンサ装置100の高さを推定してよい。例えば、推定部130は、ドア部20からY方向における位置が同じでX方向における位置が異なる2つの小検知エリアaの組を用いた推測結果、ドア部20からY方向における位置が異なりX方向における位置が同じ2つの小検知エリアaの組を用いた推測結果、ドア部20からY方向における位置およびX方向における位置が異なる2つの小検知エリアaの組を用いた推測結果、を用いてセンサ装置100を推定してよい。さらに、推定部130は、2よりも多いタイミングのそれぞれで推測した結果を用いてセンサ装置100の取り付け高さを推定してよい。
【0073】
なお、上述した第3実施形態は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、検知波受信部の床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける少なくとも2つの検知波受信部の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、を備える、取り付け高さ推定装置について説明したが、これに限定されず、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部を備える自動ドア装置にも適用可能である。
【0074】
以上に説明したように、第3実施形態の自動ドアシステム1Bによれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部を備える自動ドア装置を実現することができる。この自動ドア装置において、検知波は、光、超音波、および電波のうち何れか一つである。この自動ドア装置において、記憶部は、センサの取り付け高さが異なる複数の対応関係を記憶する。また、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するステップと、センサの床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける検知波の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、検知波受信部の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいて前記センサの取り付け高さを推定するステップと、を有する、自動ドア装置のセンサ取り付け高さ推定方法を実現することができる。さらに、第1実施形態の自動ドアシステム1によれば、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信するセンサの検知波受信部が受信した受信量を取得する受信量取得部と、センサの照射面からの取り付け高さとセンサが所定高さに取り付けられた場合における反射波の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、検知波受信部が受信した受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいてセンサの取り付け高さを推定する推定部と、として機能させるための取り付け高さ推定プログラムを実現することができる。これらの自動ドア装置、取り付け高さ推定方法、および取り付け高さ推定プログラムによれば、センサの取り付け高さを自動的に推定することができる。
【0075】
また、第3実施形態の自動ドアシステム1Bによれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、検知波受信部の床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける少なくとも2つの受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、受信素子の受信量と記記憶部に記憶された対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、を備える、取り付け高さ推定装置を実現することができる。第3実施形態の自動ドアシステム1Bによれば、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子を含む検知波受信部で受信するステップと、検知波受信部の床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける少なくとも2つの受信素子の受信量との対応関係を予め記憶するステップと、受信素子の受信量と対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定するステップと、を有する、取り付け高さ推定方法を実現することができる。さらに、第3実施形態の自動ドアシステム1Bによれば、コンピュータを、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波をそれぞれ異なる複数の受信素子で受信する検知波受信部と、検知波受信部の床面からの取り付け高さと取り付け高さにおける少なくとも2つの受信素子の受信量との対応関係を予め記憶する記憶部と、受信素子の受信量と記憶部に記憶された対応関係とに基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定する推定部と、として機能させるための取り付け高さ推定プログラムを実現することができる。第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおいて、少なくとも2つの受信素子の受信量は、例えば
図17に示したように、検知送信部が検知波を発信した検知スポットとの距離が同じである前記受光素子の受信量である。第3実施形態の自動ドアシステム1Bにおいて、少なくとも2つの受信素子の受信量は、例えば
図18に示したように、検知スポットとの距離が異なる受光素子の受信量である。
この自動ドアシステム1Bによれば、センサ装置100(受光部114)の高さを自動的に推定することができる。また、自動ドアシステム1Bによれば、2つの受光部114により受けた受光量の対応関係に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するので、1つの反射光から検出した受光量に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するよりも、外乱による高さ推定の精度の低下を抑制することができる。
【0076】
さらに、自動ドアシステム1Bによれば、センサは、複数の検知スポットからなる検知エリアを有し、検知送信部が発信した検知波の複数の検知スポットで反射されたそれぞれの反射波を検知波受信部が有する複数の受信素子のそれぞれで受光し、記憶部は、センサの取り付け高さと少なくとも2つの受信素子が受信した取付け高さにおける反射波の受信量との対応関係を予め記憶する。この自動ドアシステム1Bによれば、センサ装置100(受光部114)の高さを自動的に推定することができ、さらに、1つの反射光から検出した受光量に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するよりも、外乱による高さ推定の精度の低下を抑制することができる。
【0077】
さらに、自動ドアシステム1Bによれば、反射波の受信量は、自動ドアの開閉方向に平行方向に位置する少なくとも2つの異なる受信素子の受信量である。この自動ドアシステム1Bによれば、X方向に隣接する検知位置からの反射光を異なる検知位置で受光することを利用して、センサ装置100や受光部114の高さを自動的に推定することができる。この自動ドアシステム1Bによれば、1つの反射光から検出した受光量に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するよりも、外乱による高さ推定の精度の低下を抑制することができる。
【0078】
さらに、この自動ドアシステム1Bによれば、反射波の受信量は、自動ドアの開閉方向と直交する方向に位置する少なくとも2つの異なる受信素子の受信量である。この自動ドアシステム1Bによれば、Y方向に隣接する小検知エリアaからの反射光を異なる受光素子で受光することを利用して、センサ装置100や受光部114の高さを自動的に推定することができる。この自動ドアシステム1Bによれば、1つの反射光から検出した受光量に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するよりも、外乱による高さ推定の精度の低下を抑制することができる。
【0079】
さらに、この自動ドアシステム1Bによれば、反射波を少なくとも2つの受信素子が受信した受信量は、隣接する検知スポットの受信量である。この自動ドアシステム1Bによれば、この自動ドアシステム1Bによれば、センサ装置100(受光部114)の高さを自動的に推定することができ、さらに、1つの反射光から検出した受光量に基づいてセンサ装置100(受光部114)の高さを推定するよりも、外乱による高さ推定の精度の低下を抑制することができる。
【0080】
さらに、この自動ドアシステム1Bによれば、対応関係は、少なくとも2つの受信素子が受信した受信量の比および差の少なくともいずれか一方を含む。この自動ドアシステム1Bによれば、この自動ドアシステム1Bによれば、2つの受光部114により受けた信号量同士の比や差を利用して、センサ装置100や受光部114の高さを自動的に推定することができる。
【0081】
さらに、自動ドアシステム1Bにおいて、推定部により異なる少なくとも2つの受信素子の組み合わせのそれぞれの受信量に基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定することができる。これにより、自動ドアシステム1Bによれば、1つの受信素子の組だけで高さを推定するよりも、センサ装置100や受信素子の高さを高い精度で推定することができる。
【0082】
さらに、自動ドアシステム1Bにおいて、推定部により複数のタイミングで受信した少なくとも2つの受信素子の受信量に基づいて検知波受信部の取り付け高さを推定することができる。これにより、自動ドアシステム1Bによれば、1回のタイミングだけで高さを推定するよりも、センサ装置100や受信素子の高さを高い精度で推定することができる。
【0083】
さらに、この自動ドアシステム1Bによれば、センサが人又は物を検知したときに引戸が開動作するように制御する制御部と、推定部の推定結果に基づいてセンサの取り付け高さに関する情報を制御部の制御パラメータとして設定する設定部を備える。この自動ドアシステム1Bによれば、自動的に推定した高さを自動的に設定することができる。この結果、自動ドアシステム1Bによれば、高さを手動で設定することを回避することで、手動による高さの設定ミスを回避することができる。
【0084】
さらに、この自動ドアシステム1Bによれば、推定部の推定結果を報知する報知部をさらに備える。この自動ドアシステム1Bによれば、これにより、自動ドアシステム1によれば、自動的に推定した高さを作業員に認識させることができる。この結果、例えば、自動ドアシステム1の出荷時に設定されている高さと、推定した高さとが違うことを認識させることができ、作業者に高さ設定用のディップスイッチ等の操作を促すことができる。
【0085】
<変形例>
上述した実施形態は、検知送信部が発信した検知波の照射面からの反射波を検知波受信部が受信することで人又は物を検知するセンサとして、有効検知エリアにおいて人または物を検知するためのセンサ装置100を説明したが、これに限定されず、戸先や戸尻の周辺を検知して通行者の戸挟みや衝突を防ぐ制御を行うセンサの高さを推定してもよい。これにより、実施形態は、特に取り付け高さの設定が間違っていると誤検知に繋がる恐れがあり自動ドアの制御に大きく影響するセンサに好適に適用できる。
【0086】
上述した実施形態は、センサ装置100により高さを推定する自動ドアシステムを説明したが、これに限定されず、受光部114の受光量、および現在設定されている高さの情報を示す情報を外部サーバに送信してよい。外部サーバは、受信した情報に基づいて、上述したように、検出した受光量と、記憶した高さと受光量との対応関係に基づいて、センサ装置100の高さを推定することができる。外部サーバは、推定した高さが、現在設定されている高さと異なる場合には、推定した高さに変更するようにセンサ制御部120を制御することや、報知することができる。また、この変形例によれば、複数の自動ドアシステムにおけるセンサ装置100の取り付け高さが適切であるかを管理することができる。また、この変形例によれば、記憶部140に記憶していた情報を、各自動ドアシステムに備えず、外部サーバの一つにすることができる。
【0087】
以上に示した各実施形態に係る装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0088】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の情報処理装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0089】
以上、この発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B…自動ドアシステム、100…センサ装置、112…投光部、114…受光部、120…センサ制御部、130…推定部、140…記憶部、200…自動ドア装置、300…投光部