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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】包装袋及び内容物入り包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20240315BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240315BHJP
   B65D 30/20 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/00 A
B65D30/20 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020128444
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025552
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 誠悟
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 栞
(72)【発明者】
【氏名】川取 康博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄一
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-208681(JP,A)
【文献】特開2016-30618(JP,A)
【文献】特開2000-272634(JP,A)
【文献】特開平11-43160(JP,A)
【文献】特開平8-258846(JP,A)
【文献】特開平10-218204(JP,A)
【文献】特開2016-188093(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 - 33/38
B65D 77/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される収容部、及び前記内容物を吐出するための吐出部を有している包装袋であって、
前記吐出部は、前記包装袋の前記収容部の上側端部から更に上方に向かって突出しており、
前記包装袋は、前記内容物を吐出するための手順を表示する表示部を有しており、
前記包装袋の前記収容部の上側端部に上側ガゼット部を有しており、
前記上側ガゼット部の上側端部の中央部に前記吐出部が配置されており、かつ
前記表示部は、前記包装袋を傾斜させて前記内容物を前記包装袋から吐出させる際に、前記吐出部が、前記収容部の上側端部の中央部よりも上側になるようにして前記包装袋を傾斜させるべき旨を表示している、
包装袋。
【請求項2】
前記吐出部は、前記包装袋が未開封の状態において、その先端部分が封止されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記吐出部は、前記上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している、又は前記上側端部の中央部側に傾斜して突出している、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
4方シール包装袋、3方シール包装袋、ピロー型包装袋、又は自立型包装袋である、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記包装袋の前記収容部の下側端部に下側ガゼット部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の包装袋、及び前記包装袋内に充填されている内容物を有している、内容物入り包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋及び内容物入り包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
液体、粉体、及び粒体等の内容物を収納するための包装袋が、知られている。包装袋の形状としては、様々なものが知られている。具体的には、内容物を吐出するための吐出部を有する包装袋が知られている。
【0003】
吐出部を有する包装袋としては、例えば特許文献1及び2が開示するように、その使用時において吐出部側が下になるように包装袋を傾斜させることによって内容物を吐出させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-52592号公報
【文献】特開2019-199294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装袋は、使用時において吐出部側が下になるように傾斜させることによって内容物を吐出させるため、内容物を他の容器に移し替える等しようとした際に、特に注ぎ始めの際に、内容物を溢しやすいという問題がある。
【0006】
本開示は、使用時に内容物を溢しにくい、包装袋及び内容物入り包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示者は、以下の手段により上記課題を達成できることを見出した:
《態様1》
内容物が充填される収容部、及び前記内容物を吐出するための吐出部を有している包装袋であって、
前記吐出部は、前記包装袋の前記収容部の上側端部から更に上方に向かって突出しており、
前記包装袋は、前記内容物を吐出するための手順を表示する表示部を有しており、かつ
前記表示部は、前記包装袋を傾斜させて前記内容物を前記包装袋から吐出させる際に、前記吐出部が、前記収容部の上側端部の中央部よりも上側になるようにして前記包装袋を傾斜させるべき旨を表示している、
包装袋。
《態様2》
前記吐出部は、前記包装袋が未開封の状態において、その先端部分が封止されている、態様1に記載の包装袋。
《態様3》
前記吐出部は、前記上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している、又は前記上側端部の中央部側に傾斜して突出している、態様1又は2に記載の包装袋。
《態様4》
4方シール包装袋、3方シール包装袋、ピロー型包装袋、又は自立型包装袋である、態様1~3のいずれか一つに記載の包装袋。
《態様5》
下側端部に下側ガゼット部を有する、態様1~4のいずれか一つに記載の包装袋。
《態様6》
上側端部に上側ガゼット部を有する、態様1~5のいずれか一つに記載の包装袋。
《態様7》
前記上側ガゼット部の上側端部の中央部に前記吐出部が配置されている、態様6に記載の包装袋。
《態様8》
態様1~7のいずれか一つに記載の包装袋、及び前記包装袋内に充填されている内容物を有している、内容物入り包装袋。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、使用時に内容物を溢しにくい、包装袋及び内容物入り包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第一の実施形態に従う包装袋の模式図である。
図2図2は、本開示の実施形態とは異なる包装袋から内容物を吐出させている状態を示す模式図である。
図3図3は、本開示の第一の実施形態に従う包装袋から内容物を吐出させている状態を示す模式図である。
図4図4は、本開示の第二の実施形態に従う包装袋の模式図である。
図5図5は、図4のA-A’断面図である。
図6図6は、本開示の実施形態とは異なる、上側ガゼット部を有する包装袋から内容物を吐出させている状態を示す模式図である。
図7図7は、本開示の第二の実施形態に従う包装袋から内容物を吐出させている状態を示す模式図である。
図8図8は、実施例2の包装袋の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
《包装袋》
本開示の包装袋は、内容物が充填される収容部、及び内容物を吐出するための吐出部を有している包装袋であって、吐出部は、包装袋の収容部の上側端部から更に上方に向かって突出しており、包装袋は、内容物を吐出するための手順を表示する表示部を有しており、かつ表示部は、包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が、収容部の上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させるべき旨を表示している、包装袋である。
【0012】
図1は、本開示の第一の実施形態に従う包装袋を示す模式図である。
【0013】
なお、図1において、Yは上下方向を、Xは左右方向を示している。図1において、包装袋10の上下方向Y上側の端部を上側端部、上下方向Y下側の端部を下側端部、左右方向X左側を左側端部、左右方向X右側を右側端部と呼ぶ。なお、上下方向Y及び左右方向Xは、包装袋10のそれぞれの方向の長さを反映するものではない。
【0014】
図1に示すように、本開示の第一の実施形態に従う包装袋10は、一対のラミネートシートの縁部11同士が熱融着されており、それによって、内容物が充填される収容部12及び内容物を吐出するための吐出部13が形成されている。本開示の第一の実施形態に従う包装袋10において、吐出部13は、包装袋10の収容部12の上側端部のうち右側端部に配置されている。また、吐出部13は、包装袋10の収容部12の上側端部から更に上方に向かって突出している。より具体的には、吐出部13は、包装袋10の収容部12の上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している。ここで、吐出部13は、収容部12と連通され、又は一体化された構造を有している。更には、吐出部13は、上側の先端部分14が封止されている。
【0015】
一対のラミネートシート同士の縁部11のうち、吐出部13が形成されている部分には、ノッチ15が設けられている。本開示の第一の実施形態に従う包装袋10を開封して使用する際には、このノッチ15の部分を起点として包装袋10を引き裂くことで、吐出部13から内容物を吐出させることができる状態となる。
【0016】
本開示の第一の実施形態に従う包装袋10は、その表面に、内容物を吐出するための手順を表示する表示部16を有している。この表示部16は、包装袋10を傾斜させて内容物を包装袋10から吐出させる際に、吐出部13が、収容部12の上側端部の中央部Cよりも上側になるようにして包装袋10を傾斜させるべき旨を表示している。この表示は、例えば説明書き又は説明図であってよい。
【0017】
なお、図1は、本開示の包装袋を限定する趣旨ではない。
【0018】
原理によって限定されるものではないが、本開示の包装袋の使用時に内容物を溢しにくい原理は、以下のとおりである。
【0019】
従来の包装袋では、内容物を他の容器に移し替える等、包装袋から内容物を取り出す際には、包装袋を開封し、吐出部が下になるように傾斜させていた。しかしながら、この様な従来の包装袋20では、図2に示すように、内容物100が吐出されるために必要な包装袋20の傾斜角度、すなわち鉛直方向Vに対する包装袋20の上下方向Yの傾斜角度θが小さい。したがって、例えば、注ぎ始めの際に、内容物100を狙った位置に吐出できるように吐出部23の向きや角度等を合わせる前に、意図せずに内容物100が吐出され始めてしまう等により、内容物100を溢しやすいという問題があった。
【0020】
これに対して、本開示の包装袋では、包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が、上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させる。そのため、例えば図3に示すように、吐出部13から内容物100が吐出されるために必要な包装袋10の傾斜角度、すなわち鉛直方向Vに対する包装袋10の上下方向Yの傾斜角度θが、従来の包装袋20におけるものよりも大きい。
【0021】
なお、図3は、本開示の包装袋を限定する趣旨ではない。
【0022】
したがって、本開示の包装袋では、従来の包装袋と比較して、包装袋を傾けていった際に内容物が吐出されるまでの傾斜角度に余裕があるため、例えば、注ぎ始めの際に、狙った位置に吐出できるように吐出部の向きを合わせる前に意図せずに内容物が吐出されること等が起こりにくく、したがって内容物を溢しにくい。
【0023】
なお、包装袋とは異なり、例えば液体を内容物とする一斗缶では、一斗缶を傾斜させて内容物を吐出させる際に、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして一斗缶を傾斜させる場合がある。一斗缶は、一般的に缶形状を有する金属成型体等であり、比較的に変形しにくい。そのため、一斗缶から液体を吐出させる際に、吐出部が下になるように傾斜させると、吐出部から液体が排出されると同時に、吐出部から一斗缶の内部に空気が断続的に流入して、液体の排出が安定せず、注ぐときに溢してしまいやすいという問題がある。したがって、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして一斗缶を傾斜させる場合があった。
【0024】
しかしながら、包装袋は、一般的には樹脂シートやラミネートシート等によって形成されており、柔軟性に富んでいる。そのため、内容物を包装袋から吐出させる際には、吐出と共に包装袋が変形するため、吐出部から空気が入り込む必要が無い。したがって、吐出部が下になるようにして注いだ場合に、一斗缶で生じたような、吐出部から包装袋の内部に空気が断続的に流入して、液体の排出が安定しないといった問題が生じない。したがって、注ぐときに吐出部が下になるように傾斜させても、溢しやすいという問題は生じないと考えられてきた。
【0025】
〈吐出部〉
本開示の包装袋は、内容物を吐出するための吐出部を有している。吐出部は、包装袋の収容部の上側端部から更に上方に向かって突出している。
【0026】
吐出部の向きは、包装袋の上側端部から更に上方に向かっていればよい。吐出部は、上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している、又は上側の端部の中央部側に傾斜して突出しているのが好ましい。なお、「吐出部は、上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している」とは、包装袋の下側端部を水平面に置いて包装袋を立てた状態を前提とする。ここで、包装袋が自立性を有しないものについて、包装袋の下側端部を水平面に置いて包装袋を立てた状態とは、包装袋を手で支えつつ、包装袋の下側端部を水平面に置いて包装袋を立てた状態を意味している。
【0027】
これは、吐出部がこのような向きである場合、包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させることで、吐出部の向きが水平方向に対してより鉛直方向下向きの角度を取ることができるためである。これにより、吐出部から吐出される内容物の流れの向きを、より鉛直方向下向きとすることができる。そのため、内容物をより狙った位置に吐出させやすく、より溢しにくくすることができる。
【0028】
吐出部は、包装袋が未開封の状態において、その先端部分が封止されていることができる。より具体的には、吐出部は、例えば包装袋のうち内容物を収容する収容部と一体的に形成されていることができ、使用時には包装袋を引き裂いて吐出部を開口させることができるように形成されていることができる。包装袋を引き裂く位置には、例えばノッチや切込み等、引裂きを容易にする構造が供えられていることができる。更には、吐出部は、その先端にスパウト口が配置されていてよく、その場合、包装袋が未開封の状態において、吐出部の先端にはキャップ等によってスパウト口が封止されている構造が供えられていることができる。
【0029】
〈表示部〉
表示部は、内容物を吐出するための手順を表示している。表示部は、内容物を吐出するための手順として、包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が、収容部の上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させるべき旨を表示している。
【0030】
表示部による表示は、内容物を吐出する際に、使用者が内容物を吐出するための手順を理解することができるものであれば特に限定されず、例えば文章による説明書き、絵図による説明図、又はこれらの組み合わせ等であってよい。
【0031】
包装袋における表示部の位置及び形状は、内容物を吐出する際に、使用者が表示の存在及びその内容を認識することができる任意の位置及び形状であってよい。
【0032】
〈包装袋の材料及び形状〉
包装袋は、例えば複数枚、より具体的には2枚のフィルムを重ねあわせ、フィルム同士の縁部を接着した袋状の構造を有していてよい。包装袋は、例えば4方シール包装袋、3方シール包装袋、ピロー型包装袋、又は自立型包装袋であってよい。
【0033】
ここで、4方シール包装袋とは、例えば矩形の2枚のフィルムが重ね合わされており、かつそれらの4辺同士全てが互いに接着されている包装袋である。また、3方シール包装袋とは、例えば二つ折りされている矩形の1枚のフィルムの、折られた部分を除く残りの3辺同士が互いに接着されている包装袋である。また、ピロー型包装袋とは、例えば矩形の1枚のフィルムの両側端部が合掌状に貼り合わされて高さ方向に延在する背貼りシール部が形成されており、背貼りシール部の両端位置で底部及び天部がシールされて底部シール部及び天部シール部が形成されている包装袋である。また、自立型包装袋とは、自立性を有する包装袋であり、例えば2枚のフィルムを貼り合わせて形成された胴部の下部に、底部を形成する半折したガゼット部材を、その折り線を上方にして挿入した状態で、ガゼット部材の側端部を胴部材の側端部で挟持して、それらを貼り合わせ、更にそれらの下端同士を貼り合わせることにより形成された包装袋等を挙げることができる。
【0034】
包装袋は、下側端部に下側ガゼット部を有していることができる。また、包装袋は、上側端部に上側ガゼット部を有していることができる。下側ガゼット部及び上側ガゼット部は、それぞれ独立した部材、即ち下側ガゼット部材及び上側ガゼット部材によって形成されていてよいが、他にも、例えば、包装袋の側面などを形成するフィルムを折ることによって形成されていてもよい。
【0035】
図4は、本開示の第二の実施形態に従う包装袋30の模式図であり、図5は、図4のA-A’断面図である。なお、A-A’断面は、包装袋30の上下方向Yに沿った断面である。
【0036】
図4及び図5に示すように、本開示の第二の実施形態に従う包装袋30は、表面ラミネートシート37a、裏面ラミネートシート37b、上側ガゼット部材38、及び下側ガゼット部材39によって形成されている。表面ラミネートシート37aと裏面ラミネートシート37bとは、右側端部及び左側端部の上側端及び下側端以外の部分が互いに接着されている。また、表面ラミネートシート37a及び裏面ラミネートシート37bの上側端部、並びに右側端部及び左側端部の上側端が、上側ガゼット部材38の縁部と互いに接着されている。更に、表面ラミネートシート37a及び裏面ラミネートシート37bの下側端部、並びに右側端部及び左側端部の下側端が、下側ガゼット部材39の縁部と互いに接着されている。
【0037】
また、本開示の第二の実施形態に従う包装袋30は、内容物が充填される収容部32及び内容物を吐出するための吐出部33を有している。本開示の第二の実施形態に従う包装袋30において、吐出部33は、包装袋30の収容部32の上側端部のうち中央部C以外の位置、より具体的には包装袋30の上側ガゼット部材38と表面ラミネートシート37aとが接着されている部分に形成されている。なお、図4に示すように、吐出部33は、包装袋30の収容部32の上側端部から更に上方に向かって突出している。より具体的には、吐出部33は、包装袋30の収容部32の上側端部から鉛直方向上側に向かって突出している。ここで、吐出部33は、収容部32と連通され、又は一体化された構造を有している。更には、吐出部33は、上側の先端部分34が封止されている。
【0038】
包装袋30の上側ガゼット部材38と表面ラミネートシート37aとが接着されている部分には、吐出部33の部分で開封できるようにノッチ35が設けられている。
【0039】
本開示の第二の実施形態に従う包装袋30は、その表面に、内容物を吐出するための手順を表示する表示部36を有している。この表示部36は、包装袋30を傾斜させて内容物を包装袋30から吐出させる際に、吐出部33が、収容部32の上側端部の中央部Cよりも上側になるようにして包装袋30を傾斜させるべき旨を表示している。この表示は、例えば説明書き又は説明図であってよい。
【0040】
なお、図4及び図5は、本開示の包装袋を限定する趣旨ではない。
【0041】
本開示の包装袋が上側ガゼットを有している場合、使用時に内容物を溢しにくいという効果が特に大きい。
【0042】
上側ガゼットを有している包装袋は、包装袋を傾けていくと、内容物が包装袋の上端部側に徐々に移動していった際に、上部ガゼット形状が内容物による内圧によって変形しやすい。したがって、吐出部が下になるように傾斜させていった場合に、内容物による内圧によって上部ガゼット形状が途中で変形してしまい、内容物を吐出している最中に吐出部の形状や向きが変わることにより、意図しない方向や角度に内容物が吐出されてしまう場合がある。
【0043】
より具体的には、例えば、図6(a)のように、本開示の実施形態とは異なる、上側ガゼットを有している包装袋40について、吐出部が下になるように傾斜させて吐出部43から内容物100を吐出させると、初めは、上側ガゼット部材48は、包装袋40の下側方向にくぼんだ形状を有しているが、その後、内容物100による内圧によって途中で変形してしまう。そして、図6(b)のように、上側ガゼット部材48が内容物100による内圧によって変形して、包装袋40の外向きに張った状態となる。したがって内容物100を吐出している途中で、吐出部43の形状や向きが変わるため、意図しない方向や角度に内容物100が吐出され得る。
【0044】
これに対して、本開示の包装袋が上側ガゼットを有している場合、上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させた際に、内容物は、吐出部に到達する前に、上側ガゼット部材まで到達して、上側ガゼット部材を内圧によって変形させる。そのため、吐出部から内容物を吐出する際には、吐出部の形状や向きが安定する。これにより、使用時に内容物を溢しにくい。
【0045】
より具体的には、図7(a)及び図7(b)に示すように、本開示の第二の実施形態に従う包装袋30では、包装袋30を傾斜させた際に、内容物100が吐出部33から吐出される前に、内容物100が上側ガゼット部材38まで到達して、上側ガゼット部材38が内圧によって変形する。したがって、図7(c)に示すように、内容物100が吐出部33から吐出される際には上側ガゼット部材38の形状が安定しているため、吐出部33の形状や向きが安定している。これにより、意図した方向と角度で内容物100を吐出することができるので、使用時に内容物100を溢しにくい。
【0046】
なお、図7は、本開示の包装袋を限定する趣旨ではない。
【0047】
包装袋に用いられるフィルムとしては、例えば基材層、バリア層、中間層、及びシーラント層がこの順番で積層された積層フィルムを用いることができる。
【0048】
基材層としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等のポリエステル、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル(PVC)、及び合成紙等を挙げることができる。
【0049】
基材層は、延伸された材料を用いて構成されてもよい。この延伸は、1軸延伸であっても2軸延伸であってもよい。
【0050】
基材層の厚さは特に限定されないが、得られる包装袋に十分な強度と、良好なカット性と、を与えるためには、例えば、7μm以上とすることができ、10μm以上とすることが好ましい。また上限値としては、50μm以下とすることができ、30μm以下とすることが好ましい。
【0051】
バリア層は、外界からのガス(特に酸素)、水分、及び/又は光の侵入を抑制し、内容物を保護する機能を有する層である。
【0052】
バリア層としては、例えば、アルミニウム、シリカ、ポリ塩化ビニリデン、及びポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0053】
バリア層は、独立の膜又は箔として本発明に用いられる積層フィルムの製造に供されてもよいし、適当な基材フィルムの片面又は両面上に予め層状に形成された状態で供給される積層材料をそのまま用いてもよい。バリア層が基材フィルム上に形成された層であるとき、その基材フィルムは前述の基材層又は後述の中間層の役割を兼ねていてもよい。上記基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、又はナイロン等から成るフィルムを挙げることができる。
【0054】
バリア層の厚さは、該バリア層が独立の膜又は箔として供される場合には、例えば、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上、例えば、10μm以下、又は8μm以下とすることができ、該バリア層が基材フィルム上に形成された層として供される場合には、例えば、1nm以上、3nm以上、又は5nm以上、例えば、500nm以下、300nm以下、又は200nm以下とすることができる。
【0055】
中間層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、及びポリプロピレン等を挙げることができる。中間層は、無延伸であってもよいし、1軸延伸又は2軸延伸されたものであってもよい。
【0056】
中間層の厚さは、例えば、5μm以上又は10μm以上とすることができ、例えば、40μm以下又は20μm以下とすることができる。
【0057】
上述の通り、バリア層として基材フィルムの片面又は両面上に予め層状に形成された状態で供給される積層材料をそのまま用い、該基材フィルムが中間層としての役割を兼ねてもよい。このような場合に好適に使用できる積層材料としては、例えば、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/2軸延伸ナイロン、シリカ蒸着/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、シリカ蒸着/2軸延伸ナイロン、ポリビニルアルコール/2軸延伸ポリプロピレン、ポリカルボン酸系ポリマー/2軸延伸ナイロン、メタキシレンジアミン-ナイロン複合フィルム、及びエチレンビニルアルコール共重合体-ナイロン複合フィルム等を挙げることができる。
【0058】
シーラント層としては、例えば熱可塑性樹脂、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、ポリメチルペンテン、及びポリブテン等の材料を挙げることができる。
【0059】
シーラント層の厚さは、例えば20μm以上又は30μm以上とすることができ、例えば、80μm以下又は70μm以下とすることができる。
【0060】
《内容物入り包装袋》
本開示の内容物入り包装袋は、本開示の包装袋、及び包装袋内に充填されている内容物を有している、内容物入り包装袋である。
【0061】
本開示の包装袋が収容することができる内容物は、特に限定されないが、例えば液体、粉体、又は粒体であってよい。液体としては、特に限定されないが、例えばスープ等の食品若しくは食材、石鹸、シャンプー、洗剤、又はオイル等であってよい。また、粉体としては、特に限定されないが、小麦粉等の食品若しくは食材、石鹸、又は洗剤等であってよい。また、粒体としては、特に限定されないが、例えば大豆、米、及びパン粉等の食品又は食材等であってよい。
【実施例
【0062】
《実施例1~4、並びに比較例1~4》
〈実施例1〉
ナイロンフィルム、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムがこの順番に積層されているラミネートシートを、包装袋の材料に用いた。なお、各フィルム間は、接着剤によって接着されていた。
【0063】
上記のラミネートシートを2枚重ね合わせて、それらの周縁部を接着等することにより、図1に示すような構造を有する4方シール包装袋を形成して、実施例1の包装袋とした。なお、実施例1の包装袋の収容部には、収容部の容積の60%の量の水が充填されていた。また、実施例1の包装袋の表面には、ラベルが付されており、ラベルには、包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させるべき旨の説明図が表示されていた。
【0064】
〈実施例2〉
収容部の容積の90%の量の水を充填したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例2の内容物入り包装袋を作製した。
【0065】
〈実施例3〉
上記のラミネートシート2枚を図8(a)及び(b)のように切り抜いて、表面シート61及び裏面シート62とした。これらを互いに重ね合わせて、図8(c)に示すような、上側ガゼット部を有する包装袋60を形成して、実施例3の包装袋とした。なお、図8(b)に示すラミネートシートについて、線Lを谷折りとし、かつ線Lを山折りとして、線Lと線Lとが重なるようにし、裏面シート62のうち重なった部分の縁部を接着している。なお、実施例3の包装袋の収容部には、収容部の容積の60%の量の水が充填されていた。また、実施例3の包装袋の表面には、実施例1と同様のラベルが付されていた。
【0066】
〈実施例4〉
収容部の容積の90%の量の水を充填したことを除いて、実施例3と同様にして、実施例4の内容物入り包装袋を作製した。
【0067】
〈比較例1~4〉
包装袋を傾斜させて内容物を包装袋から吐出させる際に、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させるべき旨が表示されたラベルを付さなかったことを除いて、それぞれ実施例1~4と同様にして、比較例1~4の内容物入り包装袋を作製した。
【0068】
〈試験〉
実施例1~4の内容物入り包装袋を、それぞれ開封した後に、ラベルの表示に従って、吐出部が、上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させて、内部の水を吐出させた。また、比較例1~4の内容物入り包装袋を、それぞれ開封した後に、吐出部が下になるように傾斜させて、内部の水を吐出させた。
【0069】
実施例1~4、並びに比較例1~4の内容物入り包装袋について、水が吐出され始めたときの傾斜角度、すなわち鉛直方向に対する包装袋の上下方向の傾斜角度θをそれぞれ測定した。
【0070】
〈結果〉
結果を、以下の表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すように、ラベルの表示に従って、吐出部が上側端部の中央部よりも上側になるようにして包装袋を傾斜させて、内部の水を吐出させた実施例1~4の内容物入り包装袋では、いずれも、吐出部が下になるように傾斜させて内部の水を吐出させた比較例1~4の内容物入り包装袋よりも、水が包装袋から吐出されるのに必要な傾斜角度が大きかった。
【0073】
このことは、実施例1~4の内容物入り包装袋は、例えば、注ぎ始めの際に、狙った位置に吐出できるように吐出部の向きを合わせる前に意図せずに内容物が吐出される等の問題が生じにくく、したがって内容物を溢しにくいことを示している。
【符号の説明】
【0074】
10、20、30、40、及び60 包装袋
11 縁部
12及び32 収容部
13、23、33、及び43 吐出部
14及び34 先端部分
15及び35 ノッチ 16及び36 表示部
37a 表面ラミネートシート
37b 裏面ラミネートシート
38及び48 上側ガゼット部材
39 下側ガゼット部材
61 表面シート
62 裏面シート
C 中央部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8