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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020149752
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044225
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内海 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 輝美
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 まゆ
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-004885(JP,A)
【文献】特開平10-325574(JP,A)
【文献】特開2020-008260(JP,A)
【文献】特開2013-155958(JP,A)
【文献】特開2005-127713(JP,A)
【文献】特開2001-065931(JP,A)
【文献】実開昭53-119745(JP,U)
【文献】実開昭55-032947(JP,U)
【文献】特開2014-031968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿空気を発生させる加湿手段と、
一定量の水が貯えられ、前記加湿手段に水を供給する水槽部と、
前記水槽部に供給する水を貯留する給水タンクと、
前記給水タンクの底部に設けられ、前記水槽部に水を供給するための流出口と、
前記流出口を開閉する開閉弁と、
前記開閉弁を覆う有天筒状の消音ケースと、を備え、
前記消音ケースの側面は上部に複数の空気排出口を有し、
前記消音ケースの天面は中心に向かって下方に傾斜する傾斜面を有し、
前記消音ケースの側面下端よりも下部、もしくは、前記消音ケースの側面下部に通水部を設け
前記流出口は、前記給水タンクの底部から突出し、前記開閉弁と当接するシール部を備え、
前記通水部の上端は、前記シール部上端と同等の高さ、もしくは、前記シール部上端よりも下方に位置している加湿装置。
【請求項2】
前記開閉弁は上下に摺動し、前記シール部と当接する当接部を備え、
前記複数の空気排出口の下端が、前記開閉弁が摺動範囲上限にあるときの前記当接部の位置よりも上方に位置している請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記開閉弁は、軸と、前記軸の周囲に設けられ前記当接部を含む鍔部を備え、
前記鍔部の周縁は、前記当接部よりも上方で、かつ、前記傾斜面の下端よりも前記消音ケースの側面側に位置し、
前記複数の空気排出口の下端が、前記鍔部の周縁よりも上方に位置している請求項に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記複数の空気排出口の下端が、前記傾斜面の下端よりも上方に位置している請求項またはに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記複数の空気排出口は、開口高さよりも開口幅が短いスリット状であり、
前記複数の空気排出口間の間隔が、前記開口幅以下である請求項からのいずれかに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記複数の空気排出口は、少なくとも前記消音ケースの側面上端から下方へ伸び、かつ開口面が垂直である請求項1からのいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
前記消音ケースは、前記給水タンクに着脱自在に装着される請求項1からのいずれかに記載の加湿装置。
【請求項8】
前記給水タンク内部に着脱自在に装着され、水に溶出する成分を含んだ材料が内部に収容されたカートリッジを備え、
前記消音ケースの側面は外面から伸びる取付片を有し、
前記取付片が前記給水タンクと前記カートリッジとの間に狭持される請求項に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気の加湿を行う加湿装置であって、特に給水タンクから水槽部へ水を供給するときの騒音を低減した加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加湿装置は、加湿空気を発生させる加湿手段と、一定量の水が貯えられ、加湿手段に水を供給する水槽部と、水槽部に水を供給する流出口を有する給水タンクとを備えており、給水タンク内には水槽部に供給される水が貯留されている。このような加湿装置において、加湿手段により空気が加湿され、水槽部内の水が消費されると、給水タンクから流出口と通じて水槽部へと水が供給されて、水槽部には常に一定量の水が貯えられている。
【0003】
給水タンクから水槽部へ水が供給されると入れ替わりに、給水タンク内へ空気が導入されるが、このとき給水タンク内へ導入される空気によりボコボコという騒音が発生する。このような騒音を低減するために、複数の開口を備えた消音ケースを流出口に設けた加湿装置が提案されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-004885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構造では、消音ケースの上部のみに設けた複数の開口を水と空気が消音ケース内外を出入りするための経路とするので、複数の開口から流出口へと向かう水と流出口から複数の開口へと向かう空気が消音ケース内で干渉し、複数の開口からの空気の排出の妨げとなることが考えられる。複数の開口からの空気の排出が妨げられると、気泡が十分な浮力を持つ大きさとなるまで複数の開口から給水タンク内へ排出されず、騒音低減の効果が十分に得られない恐れがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、給水タンク内に空気が導入されるときの騒音を低減した加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
加湿空気を発生させる加湿手段と、
一定量の水が貯えられ、前記加湿手段に水を供給する水槽部と、
前記水槽部に供給する水を貯留する給水タンクと、
前記給水タンクの底部に設けられ、前記水槽部に水を供給するための流出口と、
前記流出口を開閉する開閉弁と、
前記開閉弁を覆う有天筒状の消音ケースと、を備え、
前記消音ケースの側面は上部に複数の空気排出口を有し、
前記消音ケースの天面は中心に向かって下方に傾斜する傾斜面を有し、
前記消音ケースの側面下端よりも下部、もしくは、前記消音ケースの側面下部に通水部を設け
前記流出口は、前記給水タンクの底部から突出し、前記開閉弁と当接するシール部を備え、
前記通水部の上端は、前記シール部上端と同等の高さ、もしくは、前記シール部上端よりも下方に位置している加湿装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、給水タンク内に空気が導入されるときの騒音を低減した加湿装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における加湿装置の外観斜視図である。
図2】本実施形態における加湿装置の縦断面構成図である。
図3】本実施形態における給水タンクの縦断面図である。
図4】本実施形態における消音ケースの外観斜視図である。
図5】通水部の変形例を示す図である。
図6】本実施形態における給水タンク内の空気と水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、給水タンクから水槽部へと水を供給する流出口を開閉する開閉弁を覆う有天筒状の消音ケースを設けた加湿装置であって、消音ケースの側面は上部に複数の空気排出口を有し、消音ケースの天面は中心に向かって下方に傾斜する傾斜面を有し、消音ケースの側面下端よりも下部、もしくは、消音ケースの側面下部に通水部を設けている。流出口から給水タンク内へ導入された空気は、消音ケース内を上昇し、傾斜面により複数の空気排出口へと誘導される。複数の空気排出口が消音ケースの側面上部に設けられているため、流出口から給水タンク内に導入されて複数の空気排出口へと向かう空気の経路は、消音ケース外から通水部を通って流出口へと向かう水の経路と交わることが抑制され、水と空気の干渉が抑えられる。これにより、複数の空気排出口からの気泡の排出がスムーズに行われ、細かい気泡となり、給水タンク内に空気が導入されるときの騒音を低減することができる。
【0012】
また、流出口は、給水タンクの底部から突出し、開閉弁と当接するシール部を備えており、通水部の上端は、シール部上端と同等の高さ、もしくは、シール部上端よりも下方に位置している。これにより、流出口から給水タンク内に導入された空気が、消音ケース内を上昇せずに通水部から排出されることを防ぎ、給水タンク内に導入された空気を消音ケース上部へと誘導できる。よって、複数の空気排出口による騒音低減の効果を十分に発揮でき、水槽部への水の供給を空気に妨げられることなくよりスムーズに行える。
【0013】
また、開閉弁は上下に摺動し、シール部と当接する当接部を備えており、複数の空気排出口の下端は、開閉弁が摺動範囲上限にあるときの当接部の位置よりも上方に位置している。これにより、複数の空気排出口から排出される気泡を適切な大きさとする。よって、給水タンク内に空気が導入されるときの騒音を低減することができる。
【0014】
また、開閉弁は、軸と、軸の周囲に設けられ当接部を含む鍔部を備えており、鍔部の周縁は、当接部よりも上方で、かつ、傾斜面の下端よりも消音ケースの側面側に位置し、複数の空気排出口の下端が、鍔部の周縁よりも上方に位置している。これにより、消音ケース内を上昇した空気が、鍔部に沿って上方へと誘導され、傾斜面へと上昇する。よって、給水タンク内に導入された空気を複数の空気排出口からよりスムーズに排出できる。
【0015】
また、複数の空気排出口の下端が、傾斜面の下端よりも上方に位置している。これにより、空気が傾斜面まで上昇した後に複数の空気排出口から排出される。よって、傾斜面による複数の空気排出口への空気の誘導を効果的に行える。
【0016】
また、複数の空気排出口は、開口高さよりも開口幅が短いスリット状であり、複数の空気排出口間の間隔が、開口幅以下である。これにより、複数の空気排出口を周方向に密に配置することができる。よって、加湿装置の傾きなどにより、消音ケース内で空気が特定の方向に偏った場合でも、特定の開口のみから気泡が出続けて、気泡の排出時間が長くなるのを防ぎ、騒音の発生時間を短くすることができる。
【0017】
また、複数の空気排出口は、少なくとも消音ケースの側面上端から下方へ伸び、かつ開口面が垂直である。これにより、天面の傾斜面に沿って複数の空気排出口へと向かう空気の流れが滞ることなく、空気がスムーズに複数の空気排出口へと到達する。さらに、開口面を垂直としたことで複数の空気排出口から排出される空気は少ない浮力で水圧や水の表面張力に打ち勝つことができ、細かい気泡となって排出される。よって、給水タンク内に空気が導入されるときの騒音を低減することができる。
【0018】
また、消音ケースは、給水タンクに着脱自在に装着される。これにより、消音ケースを給水タンクから取り外し、消音ケースの内面までブラシなどで洗浄できる。よって、消音ケースを清潔に保つことができる。
【0019】
また、給水タンク内部に着脱自在に装着され、水に溶出する成分を含んだ材料が内部に収容されたカートリッジを備えており、消音ケースの側面は外面から伸びる取付片を有し、取付片が給水タンクとカートリッジとの間に狭持される。これにより、消音ケースの取付けに複雑な操作を必要としない。よって、消音ケースの着脱を容易に行える。
【実施例
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0021】
図1は、本実施形態における加湿装置の外観斜視図である。加湿装置の本体1の上面には、加湿装置の動作を指示するための多数のスイッチが設けられた操作部2、室内の湿度を表示する湿度表示部3、加湿空気を吹き出す吹出口4が設けられている。また、後述する水槽部6に水を供給する給水タンク10が本体1に着脱自在に設けられる。
【0022】
図2は、本実施形態における加湿装置の縦断面構成図である。本体1の背面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口5が設けられている。また、本体1内の底部には給水タンク10から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部6と、この水槽部6内に配置されて加湿空気を発生させる加湿手段である気化フィルタ7が設けられている。気化フィルタ7は一部が水槽部6内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。
【0023】
そして、気化フィルタ7の上部にはモータ30とシロッコファン31からなる送風機32が設けられており、この送風機32の駆動により吸込口5から吹出口4にいたる送風経路に送風が行われる。また、送風経路中の気化フィルタ7の上流には、吸込口5から導入された空気を加熱して温風とするための温風用ヒータ33が設けられている。
【0024】
上述の加湿装置では、操作部2より加湿装置の運転開始が指示されると、送風機32が駆動されて、シロッコファン31が回転することにより室内の空気が吸込口5から取り込まれる。取り込まれた空気は温風用ヒータ33を通過する間に温風となって、さらに温風は気化フィルタ7を通過することで加湿空気となり、加湿空気が吹出口4より室内に放出されて、加湿運転が行われる。
【0025】
図3は、本実施形態における給水タンクの縦断面図である。本体1に着脱自在に設けられる給水タンク10は、水を貯留するタンク本体11と、このタンク本体11に取り付けられるタンクキャップ12とを備える。本実施例では、給水タンク10はタンクキャップ12が下になるように本体1に装着されることから、タンクキャップ12が給水タンク10の底部となる。なお、給水タンク10は上部給水式であってもよく、その場合には、タンク本体11の底部が給水タンク10の底部となる。
【0026】
タンクキャップ12は水槽部6へ水を供給する流出口20と、流出口20を開閉する開閉弁21を備えており、開閉弁21は水槽部6から突出形成されるピン部22からの押し上げの有無により上下に摺動して流出口20を開閉する。さらに、流出口20は、タンクキャップ12から筒状に突出し、開閉弁21と当接するシール部200を備えている。また、開閉弁21は、ピン部22と当接する軸210と、軸210の周囲に設けられて、シール部200上端と当接する当接部211を含む鍔部212を備えており、鍔部212の周縁は、当接部211よりも上方で、かつ、消音ケース50の傾斜面520の下端よりも消音ケース50の側面51側に位置する。消音ケース50の詳細については後述する。なお、本実施形態では、鍔部212を周縁に向かって上方に反る形状としたが、当接部211よりも周縁が上方に位置していれば他の形状であってもよい。
【0027】
また、給水タンク10には、水に溶出する成分を含んだ材料が内部に収容された円環状の樹脂製品であるカートリッジ40が設けられている。タンクキャップ12は、流出口20の周囲に流出口20を囲うように形成された隔壁201を備え、隔壁201の外側には雄ねじ202が形成されており、この雄ねじ202にカートリッジ40の内周壁に形成された雌ねじ41を螺合することで、タンクキャップ12にカートリッジ40が取り付けられる。また、タンクキャップ12とカートリッジ40の間には、給水タンク10内に導入される空気によって発生する騒音を低減するための消音ケース50が着脱自在に設けられている。
【0028】
給水タンク10を本体1に装着するときや、水槽部6内の水が消費されて給水タンク10から水槽部6へ水が供給されるときには、水と入れ替わりに流出口20から給水タンク10内に空気が導入される。このとき、空気が大きな気泡となるとボコボコという騒音が発生してしまうが、消音ケース50を設けることで、気泡の大きさを小さくし、騒音を抑制することができる。
【0029】
図4は、本実施形態における消音ケースの外観斜視図である。消音ケース50は、側面51と天面52を備える有天筒形状の樹脂製部品であり、側面51の上部に複数の空気排出口510を有している。本実施形態では、複数の空気排出口510は、天面52から側面51にかけて伸びる開口としたが、天面52には開口していなくてもよい。
【0030】
そして、天面52は、中心に向かって下方に傾斜する傾斜面520と、傾斜面520の下端から水平に伸びる水平面521からなる。なお、天面52は水平面521の中央に上方に突出した突出部を備えていてもよく、ピン部22により押し上げられた開閉弁21の上部を突出部により形成される空間に収めることで、開閉弁21と天面52の接触を避ける形状としてもよい。また、本実施形態の給水タンク10は、図3に示すように、消音ケース50の側面51の下端がタンクキャップ12と所定の間隙を有した状態で設けられていて、側面51の下端よりも下部が水の流通する通水部511となる。
【0031】
さらに、消音ケース50には、側面51の外面から水平方向に伸びる取付片515が間隔を開けて複数個設けられており、本実施例では取付片515を等間隔に4個設けている。消音ケース50は、開閉弁21を覆うようにタンクキャップ12上に乗せられると、取付片515と隔壁201の上端が当接する。その上からカートリッジ40を被せて時計回りに回し、タンクキャップ12に螺合すると、取付片515が隔壁201とカートリッジ40との間に狭持されてタンクキャップ12に取付けられる。
【0032】
上述のように、消音ケース50を、給水タンク10に着脱自在とすることで、消音ケース50を給水タンク10から取り外し、消音ケース50の内面までブラシなどで洗浄できる。よって、消音ケース50を清潔に保つことができる。さらに、消音ケース50がタンクキャップ12とカートリッジ40との間に狭持されることでタンクキャップ12に取付けられるため、消音ケース50の取付に複雑な操作を必要としない。よって、使用者が消音ケース50の着脱を容易に行える。
【0033】
上述のように構成される加湿装置において、給水タンク10を本体1に装着すると、給水タンク10が水槽部6に立設した状態となり、水槽部6に設けられたピン部22により、開閉弁21が押し上げられてシール部200の上端と当接部211が離れることで流出口20が開放される。流出口20が開放されると、給水タンク10内に貯留された水は、流出口20を通じて水槽部6へ供給される。加湿運転により水槽部6内の水が消費されると、給水タンク10から流出口20を通じて水槽部6へと水が供給されて、水槽部6には常に一定量の水が貯えられる。
【0034】
流出口20から給水タンク10内に導入された空気は、消音ケース50内を上昇して傾斜面520に到達する。傾斜面520によって、消音ケース50の上部に向かうにつれて傾斜面520と側面51との間の空間が狭くなり、空気が傾斜面520の下端から上端へと上昇すると、空気は複数の空気排出口510から消音ケース50外へと押し出されるように排出される。複数の空気排出口510が消音ケース50の側面51上部に設けられているため、流出口20から給水タンク10内に導入されて複数の空気排出口510へと向かう空気の経路は、消音ケース50外から通水部511を通って流出口20へと向かう水の経路と交わることが抑制され、水と空気の干渉が抑えられる。これにより、複数の空気排出口510からの気泡の排出がスムーズに行われ、細かい気泡となり、給水タンク10内に空気が導入されるときの騒音を低減することができる。
【0035】
本実施形態では、傾斜面520は、天面52の周縁から中心に向かって下方に傾斜している。これにより、空気を複数の空気排出口510から消音ケース50外へと効果的に押し出すことができる。
【0036】
また、複数の空気排出口510は、少なくとも消音ケース50の側面51上端から下方へ伸び、その開口面が給水タンク10内の水面に対して垂直となるように設けられていることが好ましい。複数の空気排出口510が、少なくとも消音ケース50の側面51上端から伸びていることで、天面52の傾斜面520に沿って複数の空気排出口510へと向かう空気の流れが滞ることなく、スムーズに複数の空気排出口510へと到達する。さらに、複数の空気排出口510の開口面が給水タンク10内の水面に対して垂直となるように設けられていることで、複数の空気排出口510に誘導された空気は、少ない浮力で給水タンク10内の水の水圧や表面張力に打ち勝つことができるため、細かい気泡となって複数の空気排出口510から排出される。
【0037】
なお、通水部511は図3で示すような形態に限らない。図5は、通水部の変形例を示す図である。図3では、側面51の下端がタンクキャップ12と所定の間隔を有した状態で設けられ、側面51の下端よりも下部を通水部511としたが、通水部511を側面51の下部に設けることもできる。側面51の下端とタンクキャップ12が当接する、もしくは一体となるように消音ケース50を設け、側面51の下端から切欠き部512を設けたり(A)、側面51の下部にスリット513を設けたり(B)してもよい。なお、(B)において、通水部511を略長方形のスリット513としたが形状はこれに限らない。
【0038】
つぎに、図6を用いて、消音ケース50付近における空気と水の流れについてさらに詳細に説明する。
【0039】
図6は、本実施形態における給水タンク内の空気と水の流れを示す図であり、図3の要部を拡大し、空気の流れを実線矢印、水の流れを破線矢印で追加した図である。流出口20から給水タンク10内に導入された空気は、消音ケース50内を横方向にも拡散しつつ上方へと上昇し、まず鍔部212の当接部211へ到達する。そして、空気は鍔部212に沿って当接部211から周縁へと上昇した後、鍔部212の周縁から離れて消音ケース50内をさらに上昇するが、鍔部212の周縁が傾斜面520の下端よりも消音ケース50の側面51側に位置しているため、空気は傾斜面520に向かって上昇することとなる。そして、傾斜面520に到達した空気は押し出されるように複数の空気排出口510から排出される。また、給水タンク10内の水は、取付片515間に設けられた間隔を通過して通水部511へ到達する。その後、通水部511を通過した水は流出口20から水槽部6へと供給される。
【0040】
このとき、通水部511の上端を、シール部200上端と同等の高さ、もしくは、シール部200上端よりも下方に位置させてもよい。これにより、消音ケース50内を横方向に拡散した空気が通水部511から消音ケース50外へと排出されるのを防ぐことができる。通水部511から空気が排出されると一部の空気が複数の空気排出口510まで到達しないため複数の空気排出口510による騒音低減の効果を十分に発揮できないが、給水タンク10内に導入された空気を逃さずに消音ケース50の上部へと誘導することで、複数の空気排出口510による騒音低減の効果を十分に発揮できる。また、通水部511を通過する水の流れが空気により乱されるのを抑え、水槽部6への水の供給をよりスムーズに行える。
【0041】
さらに、複数の空気排出口510の下端を、開閉弁21が摺動範囲上限にあるとき(つまり、ピン部22により押し上げられたとき)の当接部211の位置よりも上方に位置させてもよい。これにより、複数の空気排出口510から排出される気泡を適切な大きさとすることができる。複数の空気排出口510が大きいほど気泡も大きくなり、騒音も大きくなるが、複数の空気排出口510を適切な大きさとすることで気泡を適切な大きさとすることができ、給水タンク10内に空気が導入されるときの騒音を低減することができる。
【0042】
さらに、複数の空気排出口510の下端を、鍔部212の周縁よりも上方に位置させてもよい。これにより、給水タンク10内に導入された空気を、鍔部212に沿って複数の空気排出口510へと誘導し、複数の空気排出口510からよりスムーズに排出できる。
【0043】
さらに、複数の空気排出口510の下端を、傾斜面520の下端よりも上方に位置させてもよい。これにより、給水タンク10内に導入された空気は、傾斜面520に到達後、複数の空気排出口510から排出されることとなり、傾斜面520による複数の空気排出口510への空気の誘導を効果的に行える。
【0044】
また、図4にも示すように、複数の空気排出口510を、開口高さよりも開口幅が短いスリット状とし、複数の空気排出口510間の間隔が、開口幅以下としてもよい。
【0045】
複数の空気排出口510間の間隔が広いと、加湿装置の傾きなどにより、消音ケース50内で空気が特定の方向に偏った場合に、複数の空気排出口510のうちの特定の開口のみから気泡が排出されることになる。このとき、空気の排出口となる開口が少ないために、消音ケース50内の空気を排出するのに時間がかかり、気泡の排出時間が長くなる。つまり、騒音は低減されるが、騒音が発生している時間は長くなるという問題が生じる。そこで、複数の空気排出口510を、開口高さよりも開口幅が短いスリット状とし、複数の空気排出口510間の間隔を開口幅以下とすることにより、複数の空気排出口510を周方向に密に配置することができ、多くの開口を空気の排出口とすることができる。よって、消音ケース50内で空気が特定の方向に偏った場合でも、気泡の排出時間を長くせずに、騒音の発生時間を短くすることができる。
【0046】
なお、開口高さについては2mm以上あることが好ましい。これによって、気泡を複数の空気排出口510から安定して排出することができる。
【符号の説明】
【0047】
6 水槽部
7 加湿手段(気化フィルタ)
10 給水タンク
20 流出口
21 開閉弁
50 消音ケース
51 側面
52 天面
510 複数の空気排出口
520 傾斜面
511 通水部
図1
図2
図3
図4
図5
図6