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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240315BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G03G15/043
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162255
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054956
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】松本 和剛
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-043432(JP,A)
【文献】特開2019-089205(JP,A)
【文献】特開2001-211281(JP,A)
【文献】特開2013-123860(JP,A)
【文献】特開2012-249260(JP,A)
【文献】特開2010-288073(JP,A)
【文献】特開2005-223770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295619(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
B41J 2/44
G03G 15/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像データ取得部と、
レーザー光を発光するレーザー光源と、
前記画像データに基づき、前記レーザー光を帯電状態にある感光体の走査面に照射して静電潜像を形成するレーザー駆動部と、
前記レーザー光の光量の補正を行うシェーディング特性補正部と、
前記静電潜像に基づき、画像を形成する画像形成部と、
前記画像データ取得部、前記レーザー駆動部、前記シェーディング特性補正部および前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記シェーディング特性補正部は、前記レーザー光の光量の補正に応じたパルス密度変調信号を出力するPDM信号出力部と、前記パルス密度変調信号を平滑化してアナログ信号に出力する平滑化回路と、位相同期回路を有し周波数拡散のかかったクロックを前記PDM信号出力部に出力する拡散クロック出力部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、予め定められたタイミングで前記画像形成部の初期化を実行し、
前記シェーディング特性補正部は、前記初期化の実行中においてのみ、前記PDM信号出力部に周波数拡散のかかったクロックを出力させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シェーディング特性補正部は、主走査方向および副走査方向の前記レーザー光の光量の補正にそれぞれ応じたパルス密度変調信号を出力する主PDM信号出力部および副PDM信号出力部と、主平滑化回路および副平滑化回路と、周波数拡散のかかったクロックを前記副PDM信号出力部のみに出力する拡散クロック出力部とを備えた請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、シェーディング特性の補正を行う光走査装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルス密度変調信号をローパスフィルタで平滑化することによって、半導体レーザーの発光パワーのアナログ基準信号を生成し、シェーディング特性の補正を行う光走査装置を備えたレーザープリンタ、複写機およびファクシミリ等の画像形成装置がある。
【0003】
このようなレーザー強度のシェーディング特性を補正する方法として、パルス密度変調(PDM)回路と平滑化回路(ローパスフィルタなど)を用いて、補正値に基づいてPDM波を出力し、PDM波をローパスフィルタでD/A変換後にレーザー光源に入力することで、半導体レーザーの発光パワーのアナログ基準信号を変化させる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、従来の方法は、アナログ基準信号の応答性向上のためにローパスフィルタの時定数を小さくする必要がある場合や、平滑性向上のため基準クロックの周波数を上げる場合、パルス密度変調回路と半導体レーザー駆動回路が別基板となりハーネス伝送が必要な場合等において、電磁妨害波を十分に抑制できず、EMI悪化の原因となっていた。
【0005】
一方、クロック出力部を用いた電子機器において、クロック信号によるEMI(電磁妨害)を制御するために拡散クロックジェネレーター(SSCG)を用いてクロック信号に周波数拡散を行いEMI対策する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-43432号公報
【文献】特開2005-223770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術は、高周波数のPDM波を用いる画像形成装置のレーザー制御において、拡散クロックジェネレーター(SSCG)を用いると、シェーディングの単位時間あたりの変動量が大きい場合に印刷品質に悪影響が出るおそれがあった。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)この発明は、画像データを取得する画像データ取得部と、レーザー光を発光するレーザー光源と、前記画像データに基づき、前記レーザー光を帯電状態にある感光体の走査面に照射して静電潜像を形成するレーザー駆動部と、前記レーザー光の光量の補正を行うシェーディング特性補正部と、前記静電潜像に基づき、画像を形成する画像形成部と、前記画像データ取得部、前記レーザー駆動部、前記シェーディング特性補正部および前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記シェーディング特性補正部は、前記レーザー光の光量の補正に応じたパルス密度変調信号を出力するPDM信号出力部と、前記パルス密度変調信号を平滑化してアナログ信号に出力する平滑化回路と、周波数拡散のかかったクロックを前記PDM信号出力部に出力する拡散クロック出力部とを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0010】
この発明において、「画像形成装置」は、例えば、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機や複写以外の機能をも含むMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、シェーディング特性補正部が、レーザー光の光量の補正に応じたパルス密度変調信号を出力するPDM信号出力部と、前記パルス密度変調信号を平滑化してアナログ信号に出力する平滑化回路と、周波数拡散のかかったクロックを前記PDM信号出力部に出力する拡散クロック出力部とを備えたことにより、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減する画像形成装置を実現できる。
【0012】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0013】
(2)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、予め定められたタイミングで前記画像形成部の初期化を実行し、前記シェーディング特性補正部は、前記初期化の実行中においてのみ、前記PDM信号出力部に周波数拡散のかかったクロックを出力させるものであってもよい。
【0014】
このようにすれば、基準光量値が一定になる初期化中においてのみ、拡散クロック出力部をオンにし、印刷中などその他のモード中は、拡散クロック出力部をオフにすることにより、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減する画像形成装置を実現できる。
【0015】
(3)この発明による画像形成装置において、前記シェーディング特性補正部は、主走査方向および副走査方向の前記レーザー光の光量の補正にそれぞれ応じたパルス密度変調信号を出力する主PDM信号出力部および副PDM信号出力部と、主平滑化回路および副平滑化回路と、周波数拡散のかかったクロックを前記副PDM信号出力部のみに出力する拡散クロック出力部とを備えたものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、比較的長い時間間隔でしか変わらない副走査側基準光量値(256)の場合のみ拡散クロック出力部の機能を有効にすることで、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減する画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施形態1に係るデジタル複合機の概略構成を示す断面図である。
図2図1に示すデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
図3図1に示すデジタル複合機のレーザー書込ユニットの概略構成を示す説明図である。
図4】従来のデジタル複合機のシェーディング特性補正部の概略構成を示す説明図である。
図5図1に示すデジタル複合機1のシェーディング特性補正部の概略構成を示す説明図である。
図6】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のシェーディング特性補正部の概略構成を示す説明図である。
図7】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のシェーディング特性補正部の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0019】
(実施形態1)
<デジタル複合機1の構成>
以下、図1に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の概略構成を説明する。
図1は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の概略構成を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、デジタル複合機1は、原稿から画像を読み取って画像データを生成する画像読取ユニット100、画像データに基づいて用紙上に画像形成を行う画像形成ユニット200、該画像形成ユニット200に供給搬送する用紙を収容する給紙ユニット300、および画像形成ユニット200にて画像形成された用紙を排出する排紙ユニット400を備えている。
【0021】
画像読取ユニット100は、光源ユニット110、ミラーユニット120、およびCCD読取ユニット130(CCD:Charge Coupled Device)からなる画像読取部15を備えており、プラテンガラス製の原稿台101に載置された原稿、または原稿を1枚ずつ分離給送する自動原稿搬送装置102から搬送された原稿の画像を光学的に読み取る。
【0022】
光源ユニット110は、読取用の照射光を原稿に照射する光源111と、原稿からの反射光の光路を90°変更するために原稿台101の面に対して反射面を45°に傾けて設置されたミラー112とを備えている。
【0023】
また、この光源ユニット110は、図に示していないステッピングモータにより原稿台101の面に対して平行に移動するように構成されており、原稿台101に載置された原稿の読取面を走査するようにしている。
【0024】
ミラーユニット120は、光源ユニット110のミラー112によって90°変更された反射光の光路を更に180°変更するために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラー121,122を備えている。
【0025】
CCD読取ユニット130は、結像レンズ131およびCCDセンサー132を備えており、光源ユニット110およびミラーユニット120を経由する原稿からの反射光を、結像レンズ131を介してCCDセンサー132に結像させる。
【0026】
CCDセンサー132に結像させた画像はアナログ電気信号として取り出され、図に示していないAD変換器によりデジタル信号に変換する。
【0027】
変換されたデジタル信号は、原稿読取時の光源の配光特性、CCDセンサー132の感度ムラ等の補正がされた後、デジタル形式の画像データとして画像メモリ(不図示)でいったん保持され、画像形成ユニット200へ送出される。
【0028】
画像形成ユニット200は、レーザー書込ユニット201、感光体ドラム202、帯電器203、現像器204、転写器205、クリーナー206、除電器207等からなる画像形成部16を備えており、画像読取ユニット100により生成された画像データ、外部の情報処理装置(不図示)からのプリントジョブを展開して得られた画像データ、または外部のファクシミリ装置(不図示)からのファクシミリデータを復号化して得られた画像データに基づいて、自身の内部に備える給紙カセット210、側面部に設けられた手差トレイ211、または画像形成ユニット200の下部に設けられた給紙ユニット300から供給搬送される用紙上に画像形成を行う。
【0029】
給紙ユニット300は、種々のサイズの用紙を大量に収容する用紙カセット301,302を備えている。用紙カセット301,302に収容された用紙は、画像形成ユニット200からの指示で呼込ローラ301a,302aにより1枚ずつ分離供給され、用紙搬送路303,212を通じて画像形成ユニット200の画像形成部16に搬送される。
【0030】
以下、画像形成ユニット200の動作について説明する。前述した画像データは記憶部18(図2参照)に送出されて記憶部18内の所定の記憶領域に格納されている。格納された画像データは、制御部10(図2参照)が指示するタイミングにて順次的に読み出され、光書込装置であるレーザー書込ユニット201に転送される。
【0031】
レーザー書込ユニット201は、記憶部18から転送されてきた画像データに応じてレーザー光を発する半導体レーザー24、レーザー光を偏向して感光体ドラム202の走査面を走査させるポリゴンミラー22、コリメータレンズ27、アパーチャー28、シリンドリカルレンズ29などから構成されている。レーザー書込ユニット201の詳細については、後述する。
【0032】
感光体ドラム202の周囲には、感光体ドラム202を所定の電位に帯電させる帯電器203、感光体ドラム202上に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器204、感光体ドラム202表面に形成されたトナー像を、給紙カセット210、手差トレイ211、または給紙ユニット300から搬送されてきた用紙上に転写する転写器205、トナー像が転写された用紙から電荷を取り除き、感光体ドラム202から用紙を引き剥がす除電器207、トナー像を転写した後に残留したトナーを回収するクリーナー206が配置されている。
【0033】
画像が転写された用紙は、定着ユニット208へと搬送され、定着ユニット208により用紙上に画像が定着される。画像が定着された用紙は排紙ローラ209によって排紙ユニット400へ送られる。
【0034】
また、画像形成ユニット200は、画像形成した用紙の裏面に再度画像形成を行わせて両面プリントを実行することができる。
そのため、画像形成した用紙の表裏を反転させて画像形成部16へ搬送するためのスイッチバック路220および両面ユニット221を備えている。
【0035】
スイッチバック路220は排紙ローラ209の上流側に設けられており、用紙の表裏を反転させる場合には、用紙を排紙ユニット400側へ送り出すときにその用紙の端部をいったん排紙ローラ209により把持し、排紙ローラ209を逆転駆動してスイッチバック路220へ搬送する。
そして、両面ユニット221および用紙搬送路212を経由して画像形成部16に搬送し、用紙の裏面に画像形成を行う。
なお、スイッチバック路220は、用紙の両面に画像形成を行うときだけでなく、画像形成した面を下側にして排出するときにも利用される。
【0036】
排紙ユニット400は画像形成ユニット200の側面部に設けられている。排紙ユニット400は、通常のプリントジョブにより画像形成された用紙を排出するための排紙トレイ404と、親展プリントに係るプリントジョブにより画像形成された用紙を排出するための親展トレイ421とを備えている。
【0037】
親展プリントでない通常のプリントを指定するプリントジョブを受付けて画像形成ユニット200にて画像形成が行われた場合、画像形成ユニット200の排紙ローラ209から送り出された用紙は、用紙搬送路401を通じて排紙ユニット400の排紙ローラ403から排紙トレイ404上に排出される。
【0038】
一方、親展プリントを指定するプリントジョブを受付けて画像形成ユニット200にて画像形成が行われた場合、切替ゲート402を切替えることにより排紙ローラ209から送り出された用紙を用紙搬送路405へと導き、排紙ローラ406により用紙を親展トレイ421上に排出する。
なお、親展トレイ421の周囲を囲むように親展ボックス420が設置されており、親展トレイ421に排出された用紙上の画像がその外側から容易に見えない構成となっている。
【0039】
また、用紙搬送路405の下流側には切替ゲート410を備えており、親展トレイ421に排出すべき用紙をいったんスイッチバック路411へと導き、用紙を反転させた上で用紙を親展トレイ421上に排出するようにしてもよい。
【0040】
また、排紙ユニット400は、親展トレイ421を昇降移動させる昇降移動機構部(不図示)を備えており、親展トレイ421へ用紙が排出された後、親展ボックス420に設けられた取出口422から用紙が取り出されることなく所定時間が経過した場合、昇降移動機構部は親展トレイ421を下降移動させ、所定位置に達したときに移動を停止させる。
所定位置に達した親展トレイ421上の用紙は呼込ローラ408により1枚ずつ取込まれ、用紙搬送路409を通じて給紙ユニット300へと搬送される。給紙ユニット300へ搬送された用紙は、切替ゲート304によりスイッチバック路305へ導かれた後、搬送方向を切替えて画像形成ユニット200へ搬送される。
そして、画像形成ユニット200の両面ユニット221および用紙搬送路212を通じて画像形成部16へ導かれ、画像形成部16にて上書き用の画像形成パターンが上書き形成される。
【0041】
次に、図1に示すデジタル複合機1の各構成要素について説明する。
【0042】
図2は、図1に示すデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
図2に示すように、この発明のデジタル複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、画像処理部13、通信部14、画像読取部15、画像形成部16、タイマー17、記憶部18、用紙搬送部19、センサー20、ポリゴンモーター駆動部21、ポリゴンミラー22、レーザー駆動部23および半導体レーザー24を備える。
【0044】
なお、実施形態1において、この発明の「画像データ取得部」は、画像読取部15によって実現される。また、「レーザー光源」は、半導体レーザー24によって実現される。
【0045】
制御部10は、デジタル複合機1の各構成要素の動作を制御する部分である。主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
制御部10は、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、後述するようなこの発明のレーザー発光制御機能を実行する。
なお、周辺回路として、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路を含んでいてもよい。
【0046】
操作部11は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェイスである。
例えば、キーボードやマウスなどがあげられる。
また、タッチパネルの場合は表示部12を通じて操作するものであってもよい。
ユーザーは、操作部11を操作することによって、デジタル複合機1に対する指令を実行する。
【0047】
表示部12は、各種情報の表示を行う部分である。
表示部12は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0048】
画像処理部13は、読み取った原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成し、画像読取部15から入力された画像データを操作部11からの指令に従い、拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0049】
通信部14は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置(不図示)やファクシミリ装置(不図示)等との通信をおこない、メールやFAXなどの種々の情報をこれら外部の通信装置と送受信する部分である。
【0050】
画像読取部15は、光源111などにより、原稿台101に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データに生成する部分である。
また、外部の情報処理装置またはファクシミリ装置で生成された画像データを取得する部分である。
なお、画像データを外部の情報処理装置等から取得する場合、または外部のファクシミリ装置等から有線または無線ネットワークを経由して画像データを取得するものであっても、あるいはUSB等に記録された画像データを取得するものであってもよい。
また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0051】
画像形成部16は、画像処理部13によって生成された画像データを用紙上に印刷出力する部分である。
【0052】
タイマー17は、デジタル複合機1の各種処理の経過時間を計測する。
例えば、書き出し位置の検知タイミングや半導体レーザー24の発光タイミング等を計測するために用いられる。
【0053】
記憶部18は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、プログラムを記憶する部分であり、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体が用いられる。
【0054】
用紙搬送部19は、給紙カセット210、手差トレイ211、用紙カセット301および302に格納された用紙を、用紙搬送路212、303等を経由して画像形成部16まで搬送する部分である。
また、用紙搬送部19は、画像形成部16によりトナー像を担持した用紙を定着ユニット208に搬送する。
また、用紙搬送部19は、定着ユニット208によってトナー像が融着した用紙を、用紙搬送路401、405および409を経由して排紙トレイ404または親展トレイ421に排出する。
さらに、両面印刷の場合は、用紙搬送部19は、定着ユニット208を通過して用紙の表面の画像形成が終了した後、スイッチバック路220、305または411を経由して用紙の裏表を反転させる。
【0055】
センサー20は、レーザー光の走査面上への書き出し位置を検知するためのセンサーである。
【0056】
ポリゴンモーター駆動部21は、ポリゴンモーターを駆動してポリゴンミラー22を等角速度で回転させる部分である。
【0057】
ポリゴンミラー22は、六角柱や八角柱等の多角柱形状を有し、側面にミラーを備え、多角柱の中心軸まわりに回転する回転多面鏡である。
ポリゴンミラー22は、通常1分間に約2~3万回転する。
半導体レーザー24から出射されたレーザー光は、ポリゴンミラー22で反射して感光体ドラム202に偏向される。
【0058】
レーザー駆動部23は、半導体レーザー24の発光タイミングを制御する部分である。
レーザー駆動部23は、ポリゴンミラー22の反射面で反射されたレーザー光の走査速度を等角速度から等速度に変換する。
【0059】
レーザー駆動部23は、シェーディング特性補正部25を備える。
シェーディング特性補正部25は、半導体レーザー24のレーザー強度のシェーディング特性を補正する部分である。
なお、シェーディング特性補正部25の詳細については、図5の説明で後述する。
【0060】
半導体レーザー24は、感光体ドラム202の走査面にレーザー光を照射して静電潜像を作像する。
【0061】
<レーザー書込ユニット201の構成>
次に、図3に基づき、デジタル複合機1のレーザー書込ユニット201の構成について説明する。
図3は、図1に示すデジタル複合機1のレーザー書込ユニット201の概略構成を示す説明図である。
【0062】
なお、図1において、レーザー書込ユニット201から水平方向に出射されたレーザー光を斜めに傾けたミラーで反射し、斜め上方から感光体ドラム202に入射しているが、図3においては、説明の便宜上、当該ミラーによる反射を省略する。
また、横軸は、感光体ドラム202の軸方向(主走査方向)を示す
【0063】
図3に示すように、レーザー書込ユニット201は、センサー20、半導体レーザー24、コリメータレンズ27、アパーチャー28、ポリゴンミラー22およびfθレンズ31を備える。
【0064】
レーザー光が主走査方向の走査を開始したとき、センサー20はレーザー光を検知する。
このとき、センサー20がレーザー光の書き出しを検出したとき、制御部10は、レーザー駆動部23を駆動してレーザー光を発光させる。
【0065】
コリメータレンズ27は、半導体レーザー24から発せられたレーザー光の焦点の位置を調整して平行光線に変換するレンズである。
【0066】
アパーチャー28は、コリメータレンズ27を通過した平行光の一部のみを通すことにより、平行光を整形し、光量を調節する。
【0067】
シリンドリカルレンズ29は、副走査方向に対応する方向にレーザー光を収束して線像に結像することによって、ポリゴンミラー22のミラー面の加工誤差やポリゴンモーターの回転軸の傾き等に起因する反射面の傾き誤差(面倒れ)により生じる感光体ドラム202の走査面の副走査方向のドットピッチのずれを補正する。
【0068】
fθレンズ31は、球面レンズ31aおよびトーリック面を有するトロイダルレンズ31bから構成され、ポリゴンミラー22の反射面で反射されたレーザー光が、感光体ドラム202の走査面上で結像するように焦点距離を調整するほか、レーザー光の走査速度を等角速度から等速度に変換する。
また、トロイダルレンズ31bは、シリンドリカルレンズ29と協働してポリゴンミラー22の面倒れを補正する。
【0069】
図3に示すように、半導体レーザー24から出射されたレーザー光は、光路30に沿ってそれぞれコリメータレンズ27、アパーチャー28およびシリンドリカルレンズ29を通過した後、ポリゴンミラー22の側面のミラーで反射され、fθレンズ31を通して感光体ドラム202の走査面を主走査方向に走査して、ドット状の静電潜像を等ピッチで形成する。
【0070】
なお、1ライン分の走査が完了した後、制御部10は、副走査方向の次の走査ラインについて同様の処理を繰り返す。
【0071】
<従来のデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25Cの構成>
次に、図4に基づき、従来のデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25Cの構成について説明する。
図4は、従来のデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25Cの概略構成を示す説明図である。
【0072】
図4に示すように、従来は、ASIC基板上に設けられたパルス密度変調(PDM)信号出力部252によって変調したPDM波をローパスフィルタ等の平滑化回路251でD/A変換後に半導体レーザー24のレーザー光源(光源111)に入力することで、レーザー強度のシェーディング特性を補正する方法が知られている。
【0073】
しかしながら、従来の方法は、パルス密度変調信号にローパスフィルタを付加し、平滑化することによって、アナログ基準信号を生成する構成であるため、以下の(1)~(3)の場合において、電磁妨害波を十分に抑制できず、EMI悪化の原因となっていた。
【0074】
(1)アナログ基準信号の応答性向上のため、ローパスフィルタの時定数を小さくする必要がある場合
(2)平滑性向上のため、基準クロックの周波数を上げる場合
(3)パルス密度変調回路と半導体レーザー駆動回路が別基板となり、ハーネス伝送が必要な場合
【0075】
<この発明の実施形態1のシェーディング特性補正部25の構成>
次に、図5に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の構成について説明する。
図5は、図1に示すデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の概略構成を示す説明図である。
【0076】
本発明では、従来のシェーディング特性補正部25Cの問題を解決すべく、図4に示すように、ASIC基板上に拡散クロック出力部253を設けることにより、周波数拡散を行いEMI対策する。
【0077】
また、拡散クロック出力部253には、PLL(位相同期回路)を用いることにより、高周波数のPDM波を用いるデジタル複合機1のレーザー制御を高精度に安定させる。
【0078】
このようにして、拡散クロック出力部253によって周波数拡散のかかったクロックをパルス密度変調(PDM)信号出力部に入力することによって、出力側のPDM信号に拡散のかかったパルスが出力されるため、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減するデジタル複合機1を実現できる。
【0079】
(実施形態2)
次に、図6に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の構成について説明する。
図6は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の概略構成を示す説明図である。
【0080】
印刷動作中は、レーザー光のシェーディング特性の補正により、基準光量値(256)がビームディテクト信号BDに同期して変動するため、周波数拡散は必須ではない。
また、周波数拡散の拡散率が大きい場合、主走査方向のシェーディング特性の補正の単位時間あたりの変動量が大きい領域で印刷品質に悪影響が出るおそれがある。
【0081】
そこで、図6に示すように、実施形態2では、基準光量値が一定になる初期化中においてのみ、拡散クロック出力部をオンにし、印刷中などその他のモード中は、拡散クロック出力部をオフにする。
【0082】
このようにして、基準光量値が一定になる初期化中においてのみ、拡散クロック出力部253をオンにし、印刷中などその他のモード中は、拡散クロック出力部253をオフにすることにより、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減するデジタル複合機1を実現できる。
【0083】
(実施形態3)
次に、図7に基づき、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の構成について説明する。
図7は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1のシェーディング特性補正部25の概略構成を示す説明図である。
【0084】
印刷動作中は、レーザー光のシェーディング特性の補正により、主走査側の基準光量値(256)がビームディテクト信号BDに同期して変動するため、周波数拡散は必須ではない。
また、周波数拡散の拡散率が大きい場合、主走査方向のシェーディング特性の補正の単位時間あたりの変動量が大きい領域で印刷品質に悪影響が出るおそれがある。
【0085】
そこで、図7に示すように、実施形態3においては、比較的長い時間間隔でしか変わらない副走査側基準光量値(256)の場合のみ拡散クロック出力機能を有効にすべく、図6に示すように、シェーディング特性補正部25を主走査側と副走査側に分けて設け、副走査側にのみ拡散クロック出力部253Bを設ける。
【0086】
このようにして、比較的長い時間間隔でしか変わらない副走査側基準光量値(256)の場合のみ拡散クロック出力部253Bの機能を有効にすることで、高周波のレーザー制御時のシェーディング特性の補正に伴うEMIの悪影響を低減するデジタル複合機1を実現できる。
【0087】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0088】
1:デジタル複合機、 10:制御部、 11:操作部、 12:表示部、 13:画像処理部、 14:通信部、 15:画像読取部、 16:画像形成部、 17:タイマー、 18:記憶部、 19:用紙搬送部、 20:センサー、 21:ポリゴンモーター駆動部、 22:ポリゴンミラー、 23:レーザー駆動部、 24:半導体レーザー、 25:シェーディング特性補正部、 25C:従来のシェーディング特性補正部、 27:コリメータレンズ、 28:アパーチャー、 29:シリンドリカルレンズ、 30:光路、 31:fθレンズ、 31a:球面レンズ、 31b:トロイダルレンズ、 100:画像読取ユニット、 101:原稿台、 102:自動原稿搬送装置、 110:光源ユニット、 111:光源、 112,121,122:ミラー、 120:ミラーユニット、 130:CCD読取ユニット、 131:結像レンズ、 132:CCDセンサー、 200:画像形成ユニット、 201:レーザー書込ユニット、 202:感光体ドラム、 203:帯電器、 204:現像器、 205:転写器、 206:クリーナー、 207:除電器、 208:定着ユニット、 209,403:排紙ローラ、 210:給紙カセット、 211:手差トレイ、 212,303,401,405,409:用紙搬送路、 220:スイッチバック路、 221:両面ユニット、 251,251A,251B:平滑化回路、 252:PDM信号出力部、 253,253B:拡散クロック出力部、 253A:PLL、 300:給紙ユニット、 301,302:用紙カセット、 301a,302a,408:呼込ローラ、 305,411:スイッチバック路、 304,402,410:切替ゲート、 400:排紙ユニット、 404:排紙トレイ、 406:排紙ローラ、 420:親展ボックス、 421:親展トレイ、 422:取出口、 BD:ビームディテクト信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7