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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】コインベンダー制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/26 20060101AFI20240315BHJP
   G07F 5/22 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G07F17/26
G07F5/22 K
G07F5/22 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020175412
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2022066849
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】名古 大介
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-269093(JP,A)
【文献】実開昭59-058884(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00- 9/10,
17/00-19/00
G07G 1/00- 1/14
G07D 1/00- 1/08,
11/00-11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーと、
前記コインベンダーを制御して前記サービスに係る課金処理を行う制御部とを備え、
前記コインベンダーは、投入された貨幣の金種および金額を検出する投入額検出機構と、
釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出す釣銭払出機構と、
釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出する釣銭切れ検出機構とを備え、
前記制御部は、前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とし、
前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付ける、セルフサービス提供用のコインベンダー制御装置。
【請求項2】
前記釣銭切れ検出機構が前記払出高額金種の釣銭切れ状態を検出した場合に釣銭切れ状態を表示するベンダー表示ユニットをさらに備え、
前記制御部は、前記サービス停止モードが設定されている場合と前記受容額制限モードが設定されている場合とが識別可能な態様で、前記払出高額金種の釣銭切れ状態を表示させる請求項1に記載のコインベンダー制御装置。
【請求項3】
前記釣銭切れ検出機構が前記払出高額金種の釣銭切れ状態を検出した場合に、ユーザーに釣銭切れ状態を知らせるサービス表示ユニットをさらに備え、
前記制御部は、前記払出高額金種の釣銭切れ状態が検出され前記サービス停止モードが設定されている場合、釣銭切れのため前記サービスを受付けない旨を前記サービス表示ユニットに表示させ、前記払出高額金種の釣銭切れ状態が検出され前記受容額制限モードが設定されている場合、釣銭切れは表示せず投入貨幣の受入れ上限額が制限されている旨を前記サービス表示ユニットに表示させる請求項1に記載のコインベンダー制御装置。
【請求項4】
提供されるサービスが、前記払出高額金種が釣銭切れ状態で前記サービス停止モードが設定されている場合に前記制御部が受付けないように制御される通常サービスの他に、前記払出高額金種が釣銭切れ状態で前記サービス停止モードが設定されていても、払出低額金種の予め定められた金種が釣銭切れ状態でなければサービスを受付けるように制御される少額サービスを含む請求項1に記載のコインベンダー制御装置。
【請求項5】
サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーの制御用プロセッサが、
投入額検出機構を用いて投入された貨幣の金種および金額を検出するステップと、
釣銭払出機構を用いて釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出すステップと、
釣銭切れ検出機構を用いて釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出するステップと、
前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とするステップと、
前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付けるステップとを備える、セルフサービス提供用のコインベンダー制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セルフサービス提供用のコインベンダー制御装置および制御方法に関し、より詳細には払出高額金種の釣銭切れ状態に対応する2つの動作モードを設定可能なコインベンダー制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗の省力化、無人化への要求の高まりに応えて種々のサービスの機械化およびセルフサービス化が進んでおり、提供されるサービスの多様化およびそれに伴う高額化が進んでいる。
例えば、コンビニエンスストア等に設置される画像形成装置について述べると、当初はコピーサービス、プリントサービスあるいはファクシミリサービスであった。しかし、近年ではアイドル・アニメやスポーツ選手のブロマイドの出力、楽曲の楽譜、行政サービスに係る証明書類の出力、あるいはコンテンツのプリント出力等のサービスが行われている。
そのようなセルフサービスの提供にコインベンダーが用いられる。近年のコインベンダーは、硬貨だけでなくより高額な金種である紙幣も扱えるものがあるが、そのような機種も一般にコインベンダーと呼ばれる。さらに、最近はキャッシュレス決済に対応したものもある。即ち、コインベンダーは、取り扱い可能な金種が硬貨に限定されるものでない。ただし、少なくとも現金による精算が可能であって、精算に伴い釣銭を払い出すことが可能なものである。
【0003】
払い出す釣銭は、コインベンダー内に金種ごとに格納されている。そして、金種ごとに釣銭切れを検出する機構および回路を備える。投入された貨幣を釣銭の払出しに使用可能とするために金種ごとに仕分けして整列させ、払出し用に金種と後に格納されている貨幣を補充する機構を備えたコインベンダーもある。しかし、単純な構成のものは、釣銭払出し用の貨幣を金種ごとに予め格納する機構は備えるが、投入された貨幣で払出し用の釣銭を補充する機構は備えない。投入された貨幣は払出し用の釣銭と別に収容される。
ある金種が釣銭切れになった場合、釣銭切れでない他の金種を用いて釣銭の払出しが可能であれば継続してサービスが提供されるが、釣銭の払出しが可能でなければサービスの提供が停止される。
サービスの多様化に伴って種々の単価のサービスが存在する場合は、投入された金額と選択されたサービスに応じてサービス提供の可否が決定される。
【0004】
釣銭切れとサービス提供の可否について、以下の技術が知られている。例えば、セルフ写真プリント装置において、100円以下の硬貨の釣り銭準備が不足していることが認識された場合には500円の倍数となる料金であるサービス種のみを提示させる。また、釣り銭や取り扱い金種の制限から1円単位の課金決済が不可能な現金決済が選択された場合は、10円単位の料金となるサービス種だけを表示させる。1円単位の決済も可能な電子マネー決済が選択された場合は、1円単位のお得料金となるサービス種も表示させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-040679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルフサービスを提供する運営者はコインベンダーの釣銭切れに備えて、金種ごとの貨幣を準備しておく必要がある。例えば、毎日の営業の終わりに会計の締めを行う際、コインベンダーに払出し用の釣銭を補充しておく。好ましくは、営業時間中に釣銭切れの状態になることが回避できるように、相当量の釣銭を補充しておく。
しかし、提供するサービスの単価が高額になれば、準備しておくべき釣銭の金種、金額が多くなる。常に必要な釣銭を準備しておくこと自体を負担に感じる運営者もある。特に、高額な貨幣についてそれがいえる。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、セルフサービスの提供を受けるユーザーの利便性に配慮しつつ、サービス運営者が釣銭補充のために準備しておくべき貨幣の量を柔軟に変更できるコインベンダー制御装置および制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーと、前記コインベンダーを制御して前記サービスに係る課金処理を行う制御部とを備え、前記コインベンダーは、投入された貨幣の金種および金額を検出する投入額検出機構と、釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出す釣銭払出機構と、釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出する釣銭切れ検出機構とを備え、前記制御部は、前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とし、前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付ける、セルフサービス提供用のコインベンダー制御装置を提供する。
また、異なる観点からこの発明は、サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーの制御用プロセッサが、投入額検出機構を用いて投入された貨幣の金種および金額を検出するステップと、釣銭払出機構を用いて釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出すステップと、釣銭切れ検出機構を用いて釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出するステップと、前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とするステップと、前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付けるステップとを備える、セルフサービス提供用のコインベンダー制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によるコインベンダー制御装置において、制御部は、払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とし、払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、払出低額金種が釣銭切れか否かによらずサービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を通常上限額より低い第2上限額に切り替えてサービスの受付を継続し払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付けるので、ユーザーの利便性に配慮しつつ、サービス運営者が釣銭補充のために準備しておくべき貨幣の量を柔軟に変更できる。
この発明によるコインベンダー制御方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この実施形態によるコインベンダー制御装置を含むセルフサービス提供システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示すセルフサービス提供システムの外観を示す外観図である。
図3】この実施形態に係るコインベンダーが備えるベンダー表示ユニットの外観を示す説明図である。
図4A図1に示す制御部が、コインベンダー制御装置として実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図4B図1に示す制御部が、コインベンダー制御装置として実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図4C図1に示す制御部が、コインベンダー制御装置として実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図5】この実施形態によるコインベンダー制御装置のサービス停止モードと受容額制限モードとにおける制御の違いを示す説明図である。
図6図1に示すセルフサービス提供システムのサービス表示ユニットに表示されるサービス受付画面の例を示す説明図である。
図7図1に示すセルフサービス提供システムのサービス表示ユニットに表示されるサービス全停止メッセージの例を示す説明図である。
図8図1に示すセルフサービス提供システムのサービス表示ユニットに表示される受容額制限メッセージの例を示す説明図である。
図9】この実施形態によるコインベンダー制御装置が少額サービスを含む場合のサービス停止モードと受容額制限モードとにおける制御の違いを示す説明図である。
図10図1に示すセルフサービス提供システムのサービス表示ユニットに表示されるサービス停止メッセージの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
≪コインベンダーを含むシステムの構成≫
図1は、この実施形態によるコインベンダー制御装置を含むセルフサービス提供システムの構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すセルフサービス提供システムの外観を示す外観図である。
【0011】
図1および図2に示すように、この実施形態によるセルフサービス提供システム100は、複合機19を含む画像処理サービスのシステムであって、外観上、サービスコンソール31と複合機19に大別される。そして、サービスコンソール31は、図1に示すようにコインベンダー制御装置としての制御部11、コインベンダー13、フォトプリンタ21、領収証プリンタ23およびコードリーダ25を収容する。また、図2に外観を示すように、サービスコンソールの天面にサービス表示ユニット17およびタッチパネルデバイス15を備える。
制御部11は、パーソナルコンピュータと同様にプロセッサ、メモリを中心に構成される。プロセッサはメモリに予め格納された処理プログラムを実行してコインベンダー制御装置としての処理を行う。
【0012】
コインベンダー13は、サービスコンソール31に収容されて外から見えないが、サービスコンソール31の表面には、硬貨投入口13b、紙幣投入口13cおよび釣銭排出口13dが配置されている。売上金の回収や釣銭の補充の際、サービス運用者がサービスコンソール31の左側面(図2において複合機19に対向する右側面の反対側)の図示しない扉を開けると、コインベンダー13にアクセスできる。扉が開放された状態で視認可能な位置に、コインベンダー13はベンダー表示ユニット13aを備える。
【0013】
図3は、図1に示すコインベンダー13が備えるベンダー表示ユニットの外観を示す説明図である。図3に示すように、ベンダー表示ユニット13aは、前回の締めの後に投入された貨幣の総額等を表示する金額表示部13eおよび金種ごとの釣銭切れの状態を表示する釣銭切表示部13fを備える。釣銭切表示部13fは、コインベンダー13が釣銭の払い出しに使用する金種ごとの表示ランプを備えている。制御部11は、各金種について釣銭切れでない状態で対応する表示ランプを消灯させ、釣銭切れ状態が検出された場合に点灯させる。
【0014】
この実施形態におけるコインベンダーは、投入された貨幣を払出し用の釣銭として使用せず別に収容するように構成されているものとする。即ち、ある金種が釣銭切れの状態になると、サービス運用者によってその金種の釣銭が補充されるまで釣銭切れ状態が継続するものとする。ただし、それは特徴がわかり易いように説明を単純化するために過ぎず、投入された貨幣を払出し用の釣銭として使用する構成の場合も特徴の本質は同じである。
【0015】
タッチパネルデバイスは、サービス表示ユニット17の表示面上に配置され、サービス表示ユニット17に表示されるサービス受付画面に対するユーザーの操作を受付ける。制御部11は、その操作を認識する。
サービス表示ユニット17は、制御部11により表示の内容が制御される表示装置であり、この実施形態では液晶表示装置が適用される。
複合機19は、カラースキャナおよび電子写真方式のカラープリンタを備えており、スキャナ、コピー、プリンタ、ファクシミリのサービスを提供する公知の装置である。
フォトプリンタ21は、昇華型のカラープリンタであって、Lサイズから2Lサイズのフォトプリントのサービスを提供する公知の装置である。
【0016】
制御部11は、コインベンダー13を制御して、複合機19およびフォトプリンタ21が提供するサービスの課金を処理する。さらに、公知の領収証プリンタ23を制御して、提供したサービスに係る領収証を発行する。
フォトプリンタ21および領収証プリンタ23は、サービスコンソール31に収容されて外から見えない。ただし、サービスコンソール31の表面には、それらのプリンタから出力される写真や領収証をユーザーが取り出す写真・領収証取出口27が配置されている。
コードリーダ25は、提供するサービスに係る1次元コードや2次元コードを読み取る公知の装置である。制御部11は、コードリーダ25で読み取られたコードの信号を認識する。
【0017】
≪コインベンダー制御装置の処理≫
続いて、図1に示す制御部11が実行するコインベンダー制御装置としての処理について述べる。図4A図4Cは、前記処理の流れを示すフローチャートである。また、図5は、この実施形態によるコインベンダー制御装置のサービス停止モードと受容額制限モードとにおける制御の違いを示す説明図である。図5に示される例において、コインベンダー13が受付ける貨幣の種類は6種類であって、コインベンダー13が受付ける貨幣の最高額は1000円紙幣である。図5に示される例において、1000円紙幣はコインベンダー13が受け付ける受入高額金種に相当する。以下、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨および5円硬貨である。ただし、1000円紙幣の受入れ上限額は、通常4枚(4000円)であって、それ以上の枚数の紙幣を投入しようとしても返却される(通常上限額)。
【0018】
これに対して、釣銭の払出しに使用される貨幣は、5種類であって、コインベンダー13が釣銭として払い出す貨幣の最高額は500円硬貨である。500円硬貨は図5に示される例において、コインベンダー13が払い出す払出高額金種に相当する。以下、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨および5円硬貨が使用される。千円札は釣銭の払出しに使用されない。
【0019】
図5に示される例では、受入高額金種はコインベンダー13が受け付ける最高額の貨幣である1000円紙幣のみであり、払出高額金種はコインベンダー13が釣銭を払い出す最高額の貨幣である500円硬貨のみであるとしている。しかし、受入高額金種が複数の金種からなってもよい。通常、受入高額金種はコインベンダー13が受け付ける最高額の金種を含む。同様に、払出高額金種が複数の金種からなってもよい。通常、払出高額金種はコインベンダー13が釣銭の払い出しに使用する最高額の金種を含む。何れの金種を受入高額金種とし、また、払出高額金種とするかは、コインベンダー13の設計時に設計者が定めればよく、その定めに従って制御部11が処理を実行するように処理プログラムが作成されればよい。図5に示す例のように、受入高額金種と払出高額金種が異なる金種であってもよいが、同じ金種であってもよい。
【0020】
以下、フローチャートに沿って処理の流れを説明する。なお、以下に述べるフローチャートは、払出高額金種が釣銭切れ状態になった場合、サービス停止モードと受容額制限モードとでサービスの受付やユーザーへの通知が異なる点に焦点を当てている。両者に差異のない処理は省略している点に留意されたい。
例えば、以下の処理は省略している。ユーザーによるサービス開始の要求を受けると、制御部11は個別の金種の釣銭切れ状態、投入貨幣の額および開始要求されたサービスの料金に応じて、払い出すべき釣銭の額を算出する。そして、釣銭の払出しに必要な金種が釣銭切れ状態で、代替して払出し可能な金種がない場合、釣銭切れのためにサービスの開始ができない旨をサービス表示ユニット17に表示させる。そして、要求されたサービス開始の開始を保留する。このように釣銭切れのためにサービス開始を抑制する処理は、コインベンダーとして公知の処理であるために省略している。
【0021】
図4Aに示すように、制御部11は、電源が投入されると、まず電源投入後の初めての処理か否かを判定する(ステップS11)。電源投入後初めての場合(ステップS11のYes)、各金種について現時点の釣銭切れに係る検出を行う。そして、払出高額金種が釣銭切れか否かを判定する(ステップS15)。払出高額金種以外の釣銭切れに係る処理については説明を省略する。電源投入後初めての処理でなく、払出高額金種の釣銭切れ状態の検出が行われている場合(ステップS11のNo)、払出高額金種の釣銭切れ状態が変化するのは精算処理の場合である。精算処理は、例えば、要求されたサービスの実行が終了し、終了したサービスの対価をコインベンダー13に投入された金額から引き落とす場合に行われる。なお、制御部11は、要求されたサービスの終了後直ちに釣銭の返却を行うのではなく、釣銭の返却を保留した状態(仮引き落とし状態)で、ユーザーがタッチパネルデバイス15を用いて次のサービスを受付けてもよい。次のサービスを受付けると、制御部11は、残金で要求されたサービスが可能であれば実行を開始する。一方、次のサービスの要求ではなくサービス終了の指示を受け付けた場合、制御部11は仮引き落とし状態で計算した釣銭の払出しを行ってサービスの受付けを終了する。
【0022】
制御部11は、精算処理を実行する場合(ステップ13のYes)、必要な釣銭の払出しを行った後に、払出し後に格納されている払出し用の釣銭の額を金種ごとに算出する(ステップS15)。釣銭切れ状態か否かを最新の状態に更新するためである。そして、処理を前述のステップS15へ進める。なお、金種ごとの釣銭切れ状態を直接検出できる構成であれば、釣銭の残額を算出する代わりに釣銭切れ状態か否かを参照すればよい。この実施形態におけるコインベンダーは、格納されている払出し用の釣銭が所定の額(即ち枚数)より少ない状態になったことを金種ごとに検出するように構成されているものとする。その状態が検出された後、払出した釣銭の額(枚数)を金種ごとに算出することによって釣銭切れの状態か否かを判断できる。
前述のステップS13において、精算処理を実行するタイミングでなければ(ステップS13のNo)、制御部11は、処理を前述のステップS15へ進める。
【0023】
ステップS15で制御部11は、払出高額金種が釣銭切れの状態か否かを判定する。
図5に示す例において、払出高額金種は500円硬貨である。払出高額金種が釣銭切れでなければ(ステップS15のNo)、制御部11は、ユーザーからサービスの実行が要求されるのを待って(ステップS17)、要求されたサービスを実行する(ステップS19)。
【0024】
図6は、制御部11がサービスを受け付ける際にサービス表示ユニット17に表示させるサービス受付画面41の一例を示す説明図である。図6に示すように、サービス受付画面41には、セルフサービス提供システム100が受け入れるサービスとして、複合機19によるコピー、プリント、スキャン、ファックスに係るサービスが表示されている。さらに、フォトプリンタ21による写真プリントのサービスが表示されている。また、行政サービスに係る証明書類のプリントサービスが表示されている。さらに、コンテンツサービスとして、例えばブロマイド、楽譜、地図等をプリントするサービスが表示されている。
【0025】
それらの何れかのサービスについて、ユーザーによる実行の要求の操作を受け付けると、制御部11は、そのサービスに係る処理と共にサービスの対価に係る課金処理を実行する。なお、ステップS15に示す払出高額金種以外の金種の釣銭切れに係る処理については説明を省略する。要求されたサービスの実行が完了したら、制御部11は、処理をステップS11へ戻して精算処理を行い、必要に応じてコインベンダー13から釣銭の払い出しを行う。前述のステップS13に係る処理である。
【0026】
前述のステップS15の判定において、払出高額金種の釣銭切れ状態が検出された場合(ステップS15のYes)、制御部11は、サービス停止モードが設定されているか否かを判定する(ステップS21)。図5に示すようにサービス停止モードはが設定されている場合(ステップS21のYes)、制御部11は、図7に示すようにサービス全停止メッセージ43をサービス表示ユニット17に表示させて、すべてのサービスの受入れを停止する(ステップS23)。サービス全停止メッセージ43は、釣銭切れ状態によりすべてのサービスの受入れができないことをユーザーに知らせるメッセージである。サービス全停止メッセージ43の「とじる」キーを操作することで、サービス全停止メッセージ43は消える。しかし、サービスの停止を解消するには、サービス提供者がコインベンダー13を操作して釣銭切れ状態の金種に釣銭を補充する必要がある(ステップS25)。
【0027】
釣銭切れ状態の払出高額金種について釣銭が補充されたら(ステップS25のYes)、制御部11は、サービス表示ユニット17に表示させていたサービス全停止メッセージ43を消してサービスを受け付けるようにし(ステップS27)、処理を前述のステップS11へ戻す。
一方、前述のステップS19の判定において、受容額制限モードが設定されている場合(ステップS21のNo)、制御部11は、以下の制御を行う。即ち、コインベンダーが受付ける受入高額金種の受入額の上限を、通常上限額(図5の例で1000円紙幣4枚)からそれよりも低い第2上限額(1000円紙幣1枚)に切り替える(図4Bに示すステップS31)。ただし、この時点で制御部11は、サービス表示ユニット17に受入高額金種の受入額の制限に係る特段の表示は行わない。サービス表示ユニット17には、図6に示すサービス受付画面41の表示が続けて行われる。
【0028】
制御部11は、受入高額金種(図5の例で1000円紙幣)の受入額の上限が第2上限額(1000円紙幣1枚)に制限された状態で、サービスを受け付ける(ステップS33のNo、ステップS35のNo、ステップS37のNoを経由するループ)。
サービス受付画面41に表示されたサービスの何れかが選択されたが、未だサービスの実行に必要な料金が投入されていない場合(ステップS33のYes)、制御部11は、コインベンダー13に料金を投入するようにユーザーを促すメッセージをサービス表示ユニット17に表示させる(ステップS41)。
【0029】
サービスの実行に必要な額以上の料金がコインベンダー13に投入された場合(ステップS43のYes)、制御部11は、第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されたか否かを監視する(ステップS45)。図5に示す例では、1000円紙幣が1枚以上投入されたか否かを監視する。
第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されたと判断した場合(ステップS45のYes)、制御部11は、第2上限額を超えて投入された受入高額金種を返却する(ステップS47)。図5に示す例では、2枚目以降に投入された1000円紙幣を受け入れずに返却する。第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されなければ(ステップS45のNo)、返却の処理は行わない。
【0030】
続いて制御部11は、選択されたサービスの実行が要求されるのを待って(ステップS49)、要求されたサービスを実行する(ステップS51)。
要求されたサービスの実行が完了したら、制御部11は、図4Aに示すステップS11へ処理を戻して精算処理を行い、必要に応じてコインベンダー13から釣銭の払い出しを行う。図4Aに示すステップS13に係る処理である。
【0031】
また、サービスを受け付けるループ処理で、サービスの選択を待つ間に(ステップS33のNo)、制御部11は、サービスが選択される前にコインベンダー13に貨幣が投入されたかどうかを監視する(ステップS35)。
サービスが選択される前にコインベンダー13に貨幣が投入されたと判断した場合(ステップS35のYes)、制御部11は、第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されたか否かを監視する(図4Cに示すステップS61)。図5に示す例では、1000円紙幣が1枚以上投入されたか否かを監視する。
【0032】
第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されなければ(ステップS61のNo)、返却の処理は行わず、制御部11は、ステップS69の実行へ処理を進め、サービス実行の要求がなされるのを待つ。
一方、第2上限額を超える額の受入高額金種が投入されたと判断した場合(ステップS61のYes)、制御部11は、図8に示すように受容額制限メッセージ45をサービス表示ユニット17に表示させる(ステップS63)。コインベンダー13が受け付ける受入高額金種の上限額が制限されている旨のメッセージである。図8は、サービス表示ユニット17に表示される受容額制限メッセージ45の例を示す説明図である。
【0033】
図8に示す受容額制限メッセージ45の「はい」キーが操作されて、サービスの続行が選択された場合(ステップS65のYes)、制御部11は、受容額制限メッセージ45を消して第2上限額を超えて投入された受入高額金種を返却する(ステップS67)。図5に示す例では、2枚目以降に投入された1000円紙幣を受け入れずに返却する。
そして、何れかのサービスが選択され、サービス実行の要求がなされるのを待つ(ステップS69)。
また、サービスの実行の要求を待つ間に(ステップS69のNo)、制御部11は、図4Bに示すステップS37へ処理を進め、釣銭切れ状態である払出高額金種の釣銭が補充されたかどうかを監視する(図4Bに示すステップS37)。
【0034】
何れかのサービスが選択され、サービス実行の要求がされた場合(ステップS69のYes)、制御部11は、要求されたサービスを実行する(ステップS71)。
要求されたサービスの実行が完了したら、制御部11は、図4Aに示すステップS11へ処理を戻して精算処理を行い、必要に応じてコインベンダー13から釣銭の払い出しを行う。図4Aに示すステップS13に係る処理である。
【0035】
一方、図8に示す受容額制限メッセージ45の「いいえ」キーが操作されて、サービスの中止が選択された場合(ステップS65のNo)、制御部11は、受容額制限メッセージ45を消して前述のステップS35(図4B参照)でコインベンダー13に投入されている貨幣をすべて返却する(ステップS73)。そして、図4Aに示すステップS11へ処理を戻す。
【0036】
図4Bに示す、サービスを受け付けるループ処理のステップS35で、コインベンダー13に貨幣が投入されていないと判断した場合(ステップS35のNo)、制御部11は、釣銭切れ状態である払出高額金種の釣銭が補充されたかどうかを監視する(ステップS37)。
払出高額金種の釣銭が補充されないと判断した場合(ステップS37のNo)、制御部11は、ステップS33へ処理を進め、サービスを受け付けるループ処理を続ける。
【0037】
一方、払出高額金種の釣銭が補充されたと判断した場合(ステップS37のYes)、制御部11は、前述のステップS31で第2上限額に切替えていた受入高額金種の受入額の上限を第2上限額から通常上限額に戻す(ステップS81)。そして、図4Aに示すステップS11へ処理を戻す。
以上が、コインベンダー制御装置として制御部11が実行する処理の流れである。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1では、サービス停止モードが設定されており払出高額金種が釣銭切れになるとすべてのサービスの受入れを停止している。需要額制限モードが設定されている場合も、図5の例に示すように払出低額金種の最高額である100円硬貨が釣銭切れになると、すべてのサービスの受入れを停止している。
この実施形態では、払出高額金種が釣銭切れになった場合、単価の高いサービスは受入れを停止するが、単価の低いサービス(少額サービス)は釣銭の払い出しが可能である限りサービスを継続する。受け入れを継続するサービスと停止するサービスの境界となる単価は、予め定められている。
【0039】
図9は、実施の形態1に係る図5に対応する説明図である。即ち、この実施形態によるコインベンダー制御装置のサービス停止モードと受容額制限モードとにおける制御の違いを示す説明図である。図9図5と比較すると、最高額金種の1000円紙幣をはじめ、500円硬貨、100円硬貨および50円硬貨については、釣銭切れの状態か否かに基づく単価100円以上のサービスについての制御は同じである。異なるのは、単価100円未満のサービスについての制御である。単価100円未満のサービスについて、制御部11は、10円硬貨および5円硬貨の何れかが釣銭切れでなく釣銭の払い出しが可能な状態であればサービスを受け付ける。
【0040】
即ち、受け入れを継続するサービスと停止するサービスの境界となる単価の境界は、100円である。
従って、サービス停止モードが設定されており払出高額金種の500円硬貨が釣銭切れになると、制御部11は単価100以上のサービス(例えば、行政サービスや各種のコンテンツサービス)の受入れを停止する。しかし、単価100円未満のサービス(例えば、コピーサービス)の受入れは、10円硬貨および/または5円硬貨で釣銭の払い出しが可能である限り継続する。
さらに、受容額制限モードが設定されている場合でも、500円硬貨に加えて100円硬貨が釣銭切れになると、制御部11は単価100以上のサービスの受入れを停止する。しかし、単価100円未満のサービスの受入れは、10円硬貨および/または5円硬貨で釣銭の払い出しが可能である限り継続する。
【0041】
図10は、図9に示す例において、100円硬貨が釣銭切れになり、10円硬貨または5円硬貨が釣銭切れでない状態で、制御部11がサービス表示ユニット17に表示させるサービス停止メッセージ47の例を示す説明図である。
図10に示すサービス停止メッセージ47の「はい」キーが操作されると、制御部11は、少額サービスの受入れを継続する。「いいえ」キーが操作されると、少額サービスを含むすべてのサービスの受入れを停止する。
【0042】
(実施の形態3)
実施の形態1で、釣銭切表示部13fは、コインベンダー13が釣銭の払い出しに使用する金種ごとの表示ランプを備えていると述べた。そして制御部11は、各金種について釣銭切れでない状態で対応する表示ランプを消灯させ、釣銭切れ状態が検出された場合に点灯させる。
この実施形態において、制御部11は、払出高額金種の貨幣が釣銭切れ状態になった場合に、サービス停止モードが設定されている場合は払出高額金種に対応する表示ランプを例えば点灯させる。一方で、受容額制限モードが設定されている場合は対応する表示ランプを例えば点滅させるといったように、設定されているモードが識別できるように異なる態様で釣銭切れの状態を表示させる。
【0043】
以上に述べたように、
(i)この発明によるセルフサービス提供用のコインベンダー制御装置は、サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーと、前記コインベンダーを制御して前記サービスに係る課金処理を行う制御部とを備え、前記コインベンダーは、投入された貨幣の金種および金額を検出する投入額検出機構と、釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出す釣銭払出機構と、釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出する釣銭切れ検出機構とを備え、前記制御部は、前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とし、前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付けることを特徴とする。
【0044】
この発明において、コインベンダーは、提供するサービスに係る課金処理を行い、サービスの対価の現金による支払いを受付けて釣銭を払い出すものである。受け付ける現金の金種は、硬貨に限るものでなく紙幣を扱ってもよい。また、現金以外の手段による支払いを受付けてもよいが、現金による支払いの受け付けは必須である。
【0045】
また、払出高額金種および払出低額金種は、何れも釣銭の払い出しに使用する1以上の金種として予め定められた金種であって、払出高額金種は払出低額金種よりも高額な金種である。釣銭の払い出しに使用する金種は、払出高額金種および払出低額金種の何れかに属するものとする。前述の実施形態において、図5および図9における払出高額金種は500円硬貨であり、払出低額金種は100円、50円、10円および5円硬貨である。ただし、一例に過ぎない。
【0046】
さらにまた、制御部は、コインベンダーの投入額検出機構、釣銭払い出し機構および釣銭切れ検出機構を制御し、課金処理を行うものである。その具体的な態様は、例えば、プロセッサおよびメモリを中心に構成されるユニットである。プロセッサがメモリに予め格納された処理プログラムを実行することによってコインベンダーの動作の制御および課金処理が実現される構成である。投入額検出機構、釣銭払い出し機構および釣銭切れ検出機構は、機械的な構造と、動作および検出を行うための電子デバイスおよび回路と、プロセッサによるソフト処理が有機的に結合してそれぞれの機能が実現される。
【0047】
投入貨幣は、コインベンダーに投入される貨幣を意味する。
投入貨幣の受入れ上限額は、サービスの実行を開始する前の段階でユーザーがコインベンダーに投入できる上限額である。受入れ上限額を超えた額を投入すると、制御部は超えた額を受け入れずに返却するように制御する。
この明細書において、ユーザーがコインベンダーに投入できる金種のうち高額な貨幣として予め定められた金種を受入高額金種と呼んでいる。受入高額金種は、払出高額金種と同一の金種であってもよいが異なる金種であってもよい。前述の実施形態において、図5および図9における払出高額金種は500円硬貨であり、受入高額金種は1000円紙幣である。
【0048】
一般に、投入貨幣の受入れ上限額が大きいと、それにつれて払い出される釣銭の額も大きくなる。従って、サービス運営者が準備しておくべき釣銭用の金種ごとの貨幣の種類や量が増える。サービス停止モードに比べると需要額制限モードを設定することによって、サービス運営者が準備しておくべき釣銭用の貨幣の量を減らすことが可能になる。即ち、釣銭用補充用に準備する貨幣をより少ない量として、サービスの提供を停止させずに継続させることができる。
【0049】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記釣銭切れ検出機構が前記払出高額金種の釣銭切れ状態を検出した場合に釣銭切れ状態を表示するベンダー表示ユニットをさらに備え、前記制御部は、前記サービス停止モードが設定されている場合と前記受容額制限モードが設定されている場合とが識別可能な態様で、前記払出高額金種の釣銭切れ状態を表示させてもよい。
このようにすれば、払出高額金種が釣銭切れになった状態で、コインベンダーがサービス停止モードで動作しているのか受容額制限モードで動作しているのかをサービス運用者が容易に認識できる。
【0050】
(iii)前記釣銭切れ検出機構が前記払出高額金種の釣銭切れ状態を検出した場合に、ユーザーに釣銭切れ状態を知らせるサービス表示ユニットをさらに備え、前記制御部は、前記払出高額金種の釣銭切れ状態が検出され前記サービス停止モードが設定されている場合、釣銭切れのため前記サービスを受付けない旨を前記サービス表示ユニットに表示させ、前記払出高額金種の釣銭切れ状態が検出され前記受容額制限モードが設定されている場合、釣銭切れは表示せず投入貨幣の受入れ上限額が制限されている旨を前記サービス表示ユニットに表示させてもよい。
払出高額金種の釣銭切れ状態が検出され前記受容額制限モードが設定されている場合は、投入貨幣の受入れ上限額が制限されるがサービスが受付けられる。この態様によれば、ユーザーは払出高額金種の釣銭切れ状態でなく、釣銭切れによって影響を受ける投入貨幣の受入れ上限額について通知を受けることができる。
【0051】
(iv)提供されるサービスが、前記払出高額金種が釣銭切れ状態で前記サービス停止モードが設定されている場合に前記制御部が受付けないように制御される通常サービスの他に、前記払出高額金種が釣銭切れ状態で前記サービス停止モードが設定されていても、払出低額金種の予め定められた金種が釣銭切れ状態でなければサービスを受付けるように制御される少額サービスを含んでいてもよい。
このようにすれば、例えばサービス単価が払出高額金種よりも低廉であって払出低額金種での支払いが通常である少額サービスについては、たとえ払出高額金種が釣銭切れ状態で前記サービス停止モードが設定されていてもサービスの提供を継続することができる。
【0052】
(v)また、この発明の一態様は、サービスへの対価の支払いを現金で受付けて釣銭を払い出すコインベンダーの制御用プロセッサが、投入額検出機構を用いて投入された貨幣の金種および金額を検出するステップと、釣銭払出機構を用いて釣銭の払い出しに使用し得る高額の貨幣として予め定められた払出高額金種とそれより低額な金種の払出低額金種で釣銭を払い出すステップと、釣銭切れ検出機構を用いて釣銭用の貨幣の釣銭切れ状態を金種別に検出するステップと、前記払出高額金種が釣銭切れでなければ少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を予め定められた通常上限額以下とするステップと、前記払出高額金種が釣銭切れになった場合の動作モードとして、前記払出低額金種が釣銭切れか否かによらず前記サービスを受付けないようにするサービス停止モードと、少なくとも一部の投入貨幣の受入れ上限額を前記通常上限額より低い第2上限額に切り替えて前記サービスの受付を継続し前記払出低額金種を用いて釣銭を払い出す受容額制限モードの少なくとも何れかのモードの設定を受付けるステップとを備える、セルフサービス提供用のコインベンダー制御方法を含む。
【0053】
この発明の態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0054】
11:制御部、 13:コインベンダー、 13a:ベンダー表示ユニット、 13b:硬貨投入口、 13c:紙幣投入口、 13d:釣銭排出口、 13e:金額表示部、 13f:釣銭切表示部、 15:タッチパネルデバイス、 17:サービス表示ユニット、 19:複合機、 21:フォトプリンタ、 23:領収証プリンタ、 25:コードリーダ、 27:写真・領収証取出口、 31:サービスコンソール、 41:サービス受付画面、 43:サービス全停止メッセージ、 45:受容額制限メッセージ、 47:サービス停止メッセージ
100:セルフサービス提供システム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10