(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】仮眠システム
(51)【国際特許分類】
A61M 21/02 20060101AFI20240315BHJP
A61M 21/00 20060101ALI20240315BHJP
F24F 1/0355 20190101ALI20240315BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61M21/00 B
A61M21/02 B
A61M21/02 C
F24F1/0355
(21)【出願番号】P 2020175635
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 友和
(72)【発明者】
【氏名】窪田 伸之助
(72)【発明者】
【氏名】椎野 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】野見山 大基
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021147(JP,A)
【文献】特開2019-155072(JP,A)
【文献】特開2003-000396(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012742(WO,A1)
【文献】特表2017-521756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61M 21/00
F24F 1/0355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作受付部による制御によって、使用者の入眠を促す入眠動作を行う仮眠システムであって、
筐体と、
前記使用者の生体情報を取得して前記操作受付部に送信する検出部と、
前記筐体内に設置され、前記生体情報に応じて動作する装置と、
前記筐体に設置され、前記筐体の内部空間の環境を制御可能な環境機器と、
を備え、
前記入眠動作において、前記操作受付部は、前記環境機器の稼働を制御し、前記生体情報に応じて前記装置の前記動作を制御し、
前記使用者の睡眠状態の検知結果に基づいて前記使用者に前記仮眠システムの使用の推奨を知らせ、
前記睡眠状態の前記検知結果が前記使用者の睡眠不足であるとき、前記仮眠システムは前記使用者に前記仮眠システムの使用の推奨を知らせ、
前記睡眠不足は、前記使用者が自宅で使用する生体情報管理システム、睡眠計測システムまたは活動量計、並びに、前記使用者のスマートフォン本体に搭載された画像センサーまたは振動・加速度センサーの出力からの算出結果の少なくともいずれかに基づいて検知される
、仮眠システム。
【請求項2】
操作受付部による制御によって、使用者の入眠を促す入眠動作を行う仮眠システムであって、
筐体と、
前記使用者の生体情報を取得して前記操作受付部に送信する検出部と、
前記筐体内に設置され、前記生体情報に応じて動作する装置と、
前記筐体に設置され、前記筐体の内部空間の環境を制御可能な環境機器と、
を備え、
前記入眠動作において、前記操作受付部は、前記環境機器の稼働を制御し、前記生体情報に応じて前記装置の前記動作を制御し、
前記使用者の睡眠状態の検知結果が前記使用者の睡眠不足であるとき前記使用者に前記仮眠システムの使用の推奨を知らせ、
前記使用者に前記仮眠システムの使用の推奨を知らせる際に、前記使用者の前記仮眠システムの使用を予約
し、前記使用者に知らせる、仮眠システム。
【請求項3】
前記筐体内に設置され、前記使用者が前記筐体内に進入する入室時に前記筐体内を明るくする照明装置をさらに備え、
仮眠装置である前記装置は、背ボトムを含むボトムを有し、
前記入室時に、前記背ボトムが傾斜する請求項1
または2に記載の仮眠
システム。
【請求項4】
前記使用者を支持するエアセルを含むエアマットレスをさらに備え、
前記使用者の覚醒を促す覚醒動作、及び、前記使用者の起床を促す起床動作をさらに行い、
前記操作受付部は、操作部を有し、
前記覚醒動作または前記起床動作では、前記背ボトムの傾斜を反復して変化させ、
前記起床動作での前記エアセルの硬度は、前記入眠動作と前記覚醒動作における前記エアセルの硬度よりも高く設定されている、請求項
3に記載の仮眠システム。
【請求項5】
前記覚醒動作の開始時においては、前記背ボトムの傾斜を大きくし、前記照明装置によって前記筐体内を明るくする請求項
4に記載の仮眠システム。
【請求項6】
前記検出部は、前記使用者の体動を検出し、
前記操作受付部は、前記体動により前記使用者の入眠と覚醒の少なくともいずれか一方を検知する請求項1~
5のいずれか1つに記載の仮眠システム。
【請求項7】
前記使用者の入眠の検知後に、仮眠を維持する仮眠動作をさらに行い、
前記仮眠動作において、前記操作受付部は、前記生体情報に応じて前記動作と前記稼働の少なくとも一方を制御する請求項
6に記載の仮眠システム。
【請求項8】
前記環境機器は、外光調整装置、照明装置、音響装置、及び、香気装置のうち少なくとも1つの装置を有する請求項1~
7のいずれか1つに記載の仮眠システム。
【請求項9】
前記装置は、硬さが変化するマットレスをさらに有し、
前記入眠動作において、前記操作受付部は、前記生体情報に応じて前記硬さを制御する請求項1~
8のいずれか1つに記載の仮眠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、仮眠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仕事の効率化を図るために、質の高い仮眠が求められている。このため、オフィス内に仮眠スペースを設ける取り組みが試みられている。しかしながら、短時間で効果的に仮眠することは、必ずしも容易ではない。特に、オフィス以外の場所で仕事を行うテレワークが広がる中、例えばシェアオフィスなど公共の場では、仮眠しにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、仮眠を補助する仮眠システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、仮眠システムは、操作受付部による制御によって、使用者の入眠を促す入眠動作を行う。仮眠システムは、筐体と、検出部と、装置と、環境機器とを備える。前記検出部は、前記使用者の生体情報を取得して前記操作受付部に送信する。前記装置は、前記筐体内に設置される。前記装置は、前記生体情報に応じて動作する。前記環境機器は、前記筐体に設置される。前記環境機器は、前記筐体の内部空間の環境を制御可能である。前記入眠動作において、前記操作受付部は、前記環境機器の稼働を制御し、前記生体情報に応じて前記装置の前記動作を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態は、仮眠を補助する仮眠システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る仮眠システムを示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る仮眠システムを示す斜視断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る仮眠システムを示すブロック図である。
【
図4】(a)は、第1実施形態における寝台装置を示す斜視図であり、(b)は、第1実施形態における入眠動作時の寝台装置を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る仮眠システムの基本動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態における退去管理を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態における入室管理を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態における動作信号の生成を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図10】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図11】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図12】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図13】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図14】第1実施形態における操作部の表示画面を示す画面図である。
【
図15】第1実施形態に係る仮眠管理を示すフローチャートである。
【
図16】第2実施形態に係る仮眠システムを示すブロック図である。
【
図17】第2実施形態におけるリクライニング装置を示す斜視図である。
【
図18】第3実施形態に係る仮眠システムを示す正面図である。
【
図19】第3実施形態に係る仮眠システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各構成の大きさや配置などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ構成を表す場合であっても、図面により寸法の比率が異なって表される場合もある。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る仮眠システムを示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る仮眠システムを示す斜視断面図である。
図3は、本実施形態に係る仮眠システムを示すブロック図である。
図4の(a)は、本実施形態における寝台装置を示す斜視図であり、(b)は、本実施形態における入眠動作時の寝台装置を示す側面図である。
図2は、後述する筐体10の側壁10aを外した状態を示す。
図4(a)においては、後述するマットレス42が省略されている。
【0010】
本実施形態に係る仮眠システム210は、例えばオフィスの一角に複数並んで設置され、仮眠を希望する使用者の仮眠を補助するものである。
図1及び
図2に示すように、仮眠システム210は、筐体10と、環境機器20(
図3参照)と、操作受付部30と、寝台装置40と、制御部110を含んでいる。仮眠システム210は、使用者を寝台装置40に横たわらせ、入眠動作と仮眠動作と起床動作を含む仮眠管理を寝台装置40と環境機器20に行わせることにより、使用者の入眠、睡眠、覚醒、及び、起床を補助するものである。
【0011】
図2に示すように、筐体10は、オフィスの床面FL上に設置され、内部空間10Aを含んでいる。寝台装置40は、筐体10の内部空間10Aに配置されている。操作受付部30は、例えば寝台装置40又は筐体10に取り付けられている。制御部110は、例えば筐体10の上部に配置されている。環境機器20は、筐体10内に配置されている。環境機器20は、内部空間10Aの環境を変化させるものである。
【0012】
以下、筐体10について更に説明する。
図2に示すように、筐体10は、正面側が開口した側壁10aと上壁10bから構成されている。側壁10aは、筐体10の正面側において通用口11が形成されている。上壁10bは、筐体10の正面側において開口部12が形成されている。筐体10は、床面FL上に設置されることにより、密閉されていない略直方体形状の内部空間10Aを形成する。
【0013】
図2に示すように、筐体10には、窓13と、内壁部14と、外部表示部15と、管状発光体16と、通用口スクリーン17と、開口部スクリーン18と、通用口ボタン19が設けられている。
窓13は、筐体10の側壁10aに設けられている。窓13は、例えば、外光の入射量を低減するガラスで形成されている。内壁部14は、筐体10の側壁10aの内面に設けられている。内壁部14は、例えば吸音材を含むキルティング部材からなり、防音性がある。
【0014】
図2に示すように、外部表示部15は、例えば入口側外部表示部15aと上側外部表示部15bを有する。入口側外部表示部15aは、通用口11上に配置されている。上側外部表示部15bは、筐体10の上壁10b上に配置されている。外部表示部15は、制御部110と有線または無線通信によって接続されている。外部表示部15は、制御部110から指示に合わせて使用中と空室状態を示す表示のいずれかを映す。制御部110は、例えば施錠装置21の施錠信号を受信すると使用中を示す指示をし、例えば施錠装置21の開錠信号を受信すると空室状態を示す指示をする。
【0015】
図2に示すように、管状発光体16は、上側外部表示部15bの背面に接続され、筐体10の上壁10b上を通過し、上壁10bを貫通して筐体10内に引き込まれ、内部空間10A内の上部を湾曲して通過し、通用口11の反対側に配置された側壁10aを貫通して、筐体10の外部に引き出されている。管状発光体16は、例えば光ファイバー照明である。管状発光体16は、仮眠管理に合わせて適宜色を変化させてもよい。
【0016】
通用口スクリーン17と開口部スクリーン18は、例えばスクリーンカーテンであって、遮光性及び防音性を有する。
図2に示すように、通用口スクリーン17は、引き出されたときに通用口11全体を覆う。開口部スクリーン18は、引き出されたときに開口部12を覆う。通用口スクリーン17及び開口部スクリーン18は、先端部の両側に被係止部が形成されている。
【0017】
通用口スクリーン17と開口部スクリーン18は、制御部110に接続されており、例えば制御部110の指示により自動でスライドし、通用口11と開口部12を開閉する。
図2に示すように、施錠装置21は、例えば通用口11において床面FLに隣接した箇所に設けられている。施錠装置21は、通用口スクリーン17の被係止部に係止した状態において通用口スクリーン17を施錠、開錠する。
【0018】
図1、
図2に示すように、通用口ボタン19は、例えば、通用口11の付近において筐体10の外側と内側に設けられている。内側の通用口ボタン19は、例えば開錠ボタンと施錠ボタンを有する。外側の通用口ボタン19は、例えば開ボタンのみを有する。
【0019】
筐体10には、荷物入れ28と、テーブル29が更に設けられている。
荷物入れ28は、筐体10内の例えば側壁10aに設けられている。
テーブル29は、長板状であり、
図2に示すように寝台装置40の上方において床面に平行に配置できる折り畳み式のテーブルである。テーブル29は、例えば筐体10内の側壁に一辺が回動自在に軸支されている。
【0020】
以下、操作受付部30について更に説明する。
図3に示すように、操作受付部30は、例えばスマートフォンまたはタブレットであって、画面である操作部31を有し、仮眠システムのアプリケーションがインストールされている。操作受付部30は、有線または無線通信によって制御部110と寝台装置40に接続され、通信を行う。
【0021】
操作受付部30は、操作部31における入力によって仮眠管理の制御内容を含んだ動作信号Qを生成し、制御部110と寝台装置40に送信する。仮眠管理とは、使用者の入眠を促す入眠動作と、使用者の休息状態を良好にする仮眠動作と、使用者の起床を促す起床動作を組み合わせて行う管理である。「起床」とは、使用者が睡眠状態から覚醒し、寝台装置40から起きだすことである。「起床動作」とは、使用者の覚醒と起床を促す動作である。
【0022】
操作受付部30は、例えばアプリケーションによって仮眠システム210の仮眠管理を行う。入眠動作、仮眠動作、起床動作は、例えば寝台装置40と環境機器20によって行われる。入眠動作は、例えば仮眠管理の開始から使用者の入眠時刻まで行われる。仮眠動作は、例えば使用者の入眠時刻から起床準備時刻まで行われる。起床動作は、例えば起床準備時刻から仮眠管理の終了まで行われる。操作受付部30は、寝台装置40から受信した生体情報Vによって使用者の入眠時刻を検出し、使用者によって設定された起床予定時刻の例えば5分前を起床準備時刻に決定する。
【0023】
操作受付部30は、使用者による入力によって仮眠管理の内容を含む動作信号Qを生成し、制御部110と寝台装置40に送信する。動作信号Qは、入眠動作を制御するための入眠動作信号Q1と、仮眠動作を制御するための仮眠動作信号Q2と、起床動作を制御するための起床動作信号Q3と、仮眠管理を終了する終了信号Q4を含んでいる。入眠動作信号Q1は、例えば仮眠管理の開始時に送信され、仮眠動作信号Q2は、例えば入眠時刻に送信され、起床動作信号Q3は、例えば起床準備時刻に送信される。終了信号Q4は、使用者の起床後に送信される。
【0024】
制御部110は、環境機器20に例えば無線LANで接続されている。制御部110は、操作受付部30から受信した動作信号Qから環境信号Eを生成して、環境機器20に送信する。環境信号Eは、例えば、入眠動作信号Q1、仮眠動作信号Q2、起床動作信号Q3、及び、終了信号Q4にそれぞれ基づいた入眠環境信号E1、仮眠環境信号E2、起床環境信号E3、及び終了環境信号E4である。それぞれの環境機器20は、環境信号E1~E3によって入眠動作、仮眠動作、及び、起床動作を行う。
【0025】
環境機器20は、例えば開口部スクリーン18(特許請求の範囲における外光調整装置)、施錠装置21、照明装置22、空調装置23、音響装置24、香気装置25を含む。環境機器20は、制御部110と有線または無線通信によってそれぞれ接続されている。
開口部スクリーン18は、例えば、制御部110からの入眠環境信号E1によりスライドして開口部12を閉じ、仮眠管理S3の終了によってスライドして開口部12を開放する。
【0026】
施錠装置21は、例えば、制御部110からの入眠環境信号E1により通用口スクリーン17を施錠し、仮眠管理S3の終了によって開錠する。
図1、
図2に示すように、施錠装置21は、通用口ボタン19を有する。通用口ボタン19は、例えば、通用口11の付近において筐体10の外面と内面の2か所にそれぞれ設けられている。内面側の通用口ボタンは、例えば開錠ボタンと施錠ボタンを有する。外面側の通用口ボタン19は、例えば開ボタンのみを有する。これにより、使用者は、通用口ボタン19によって通用口スクリーン17の施錠と開錠を行うことができる。すなわち、通用口スクリーン17の施錠と解錠は、制御部110と使用者の双方によって制御可能である。
【0027】
照明装置22は、例えば筐体10の対向した側壁10aの上部にそれぞれ設けられている。照明装置22は、例えば明るさレベルを調光可能なLEDである。照明装置22は、例えば側壁の上部を間接的に照らす間接照明である。照明装置22は、環境信号E1~E3に基づいて所定のレベルに調光する。
【0028】
空調装置23は、筐体10に設けられている。空調装置23は、内部空間10Aの温度及び湿度を測定しながら、設定された温度及び湿度に調整する。空調装置23は、環境信号E1~E3を受信するとそれぞれ設定された温度及び湿度に調整する。
【0029】
音響装置24は、筐体10内に設けられている。音響装置24は、例えば複数の環境音楽の中から一つの環境音楽を所定の音量で再生する。複数の環境音楽は、例えば、リラクシング系の環境音楽と、睡眠導入系の環境音楽と、森林を想起させる環境音楽と、花を想起させる環境音楽と、海を想起させる環境音楽である。音響装置24は、環境信号E1~E3を受信すると、所定の環境音楽を所定の音量で再生する。また、音響装置24は、環境信号Eを受信した場合、環境音楽を再生せずに無音にしてもよい。
【0030】
香気装置25は、筐体10内に設けられている。香気装置25は、例えば香気を含んだ複数の香気霧剤を選択的に放出する。複数の香気霧剤は、例えば、リラクシング効果のある香気霧剤と、睡眠を促す効果のある香気霧剤と、森林浴を想起させる香気霧剤と、花を想起させる香気霧剤と、海を想起させる香気霧剤である。香気装置25は、環境信号E1~E3を受信すると、所定の香気霧剤を所定のタイミングで放出する。また、香気装置25は、環境信号E1~E3を受信した場合、香気霧剤を放出しなくてもよい。
【0031】
以下に、寝台装置40について更に説明する。
図4(a)、(b)に示すように、本実施形態の寝台装置40は、ベッド型の仮眠装置である。寝台装置40は、支持架台40Aと、ベッド部40Bと、ベッド制御部40C(
図3参照)と、検出部40Dと、可動部40Eと、駆動部を有する。
支持架台40Aは、床面に設置され、寝台装置40の自重とベッド部40B上の使用者による負荷を支える。ベッド部40Bは、支持架台40A上に設けられ、ボトム41とマットレス42を有する。
【0032】
図4(a)に示すように、検出部40Dは、例えばボトム41とマットレス42との間に設けられ、ベッド制御部40Cに例えば有線で接続されている。検出部40Dは、使用者の胸部の直下に配置されている。検出部40Dは、例えば近距離無線通信によって操作受付部30と通信する。近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)が好ましい。検出部40Dは、入眠動作信号Q1を受信するとベッド部40B上の使用者の生体信号を定期的に計測し、操作受付部30に送信する。生体信号は、使用者の所定期間内の例えば体動、呼吸、心拍の数である。
【0033】
検出部40Dは、操作受付部30から動作信号Qを受信すると、ベッド制御部40Cに動作信号Qを入力する。
ベッド制御部40Cは、駆動部、マットレス42、及び、検出部40Dに例えば有線で接続されている。
【0034】
ベッド制御部40Cは、入眠動作信号Q1が入力されると、駆動部を駆動させることにより、ボトム41を入眠動作に適した姿勢にし、マットレス42を入眠動作に適した硬度にする。ベッド制御部40Cは、仮眠動作信号Q2が入力されると、駆動部を駆動させることにより、ボトム41を仮眠動作に適した姿勢にし、マットレス42を仮眠動作に適した硬度にする。ベッド制御部40Cは、起床動作信号Q3が入力されると、駆動部を駆動させることにより、ボトム41を起床動作に適した姿勢にし、マットレス42を起床動作に適した硬度にする。
【0035】
図4(a)(b)に示すように、ボトム41は、例えば、背ボトム41a、腰ボトム41b、膝ボトム41c、及び、脚ボトム41dを有する。使用者の仰臥位において、背ボトム41aには、例えば使用者の頭部と背部が載置され、腰ボトム41bには、例えば使用者の腰部が載置され、膝ボトム41cには、例えば使用者の下肢の上部が載置され、脚ボトム41dには、例えば使用者の下肢の下部が載置される。
【0036】
駆動部は、ベッド制御部40Cからの傾斜指示に合わせて可動部40Eを動かす。可動部40Eは、背ボトム41a、膝ボトム41c、脚ボトム41dに連結されている。これにより、背ボトム41a、膝ボトム41c、脚ボトム41dは、可動部40Eによって略水平状態から傾斜させられる。背ボトム41a、膝ボトム41c、脚ボトム41dは、入眠動作、仮眠動作、及び、起床動作において略水平状態に対する所定の傾斜角度に維持される。
【0037】
図3、
図4に示すように、マットレス42は、例えば、エアセル制御部42aとポンプユニット42bと複数のエアセル42cを含んでもよい。この場合、
図4(b)に示すように、複数のエアセル42cは、ベッド部40Bの長手方向に沿って並んで配置されている。エアセル制御部42aは、ベッド制御部40Cに接続され、ポンプユニット42bを制御する。エアセル制御部42aは、ベッド制御部40Cからの硬度指示に合わせてポンプユニット42bを稼働させ、複数のエアセル42cに対して空気を出し入れし、各エアセル42c内を所定の圧力にする。これにより、マットレス42は、入眠動作、仮眠動作、起床動作において所定の硬度に適宜調整される。
【0038】
ここでマットレス42は、頭部、肩部、背部、腰部、臀部、大腿部、脛部、踵部などの使用者の身体に相当する部分ごとに異なる複数のエアセルから構成されてもよい。このように使用者の身体部位ごとにエアセル構成が異なる場合には、身体部位ごとにエアセルの硬度を調整することができる。例えば頭部または腰部に相当するエアセルの硬度を他の部位に相当するエアセルの硬度よりも高めに設定すれば、かかる部位を安定的に支持することができる。使用者の好みに応じて各部位に相当するエアセルの硬度を調整することも可能である。
【0039】
以下に、本実施形態に係る仮眠システムの動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る仮眠システムの基本動作を示すフローチャートである。
仮眠システム210による仮眠サービスは、退去管理S1と、入室管理S2と、仮眠管理S3とを組み合わせて行われる。退去管理S1は、筐体10内に使用者が不在の状態を管理する。入室管理S2は、筐体10内に使用者がいる状態を管理する。仮眠管理S3は、入眠動作、仮眠動作、及び、起床動作を行う。
【0040】
図6は、本実施形態における退去管理S1を示すフローチャートである。
仮眠システム210は、先ず退去管理S1を行っている。退去管理S1においては、例えば、照明装置22は消灯し、施錠装置21は開錠し、外部表示部15は空室を示している。通用口11は、例えば、通用口スクリーン17で塞がれている。寝台装置40のボトム41は、例えば水平状態である。
【0041】
使用者は、複数ある仮眠システム210の中から外部表示部15が空室を示す仮眠システムを選んで、外側の通用口ボタン19を押圧して通用口スクリーン17を開ける。施錠装置21は、使用者の入室を検出して制御部110に入室検出信号K1を送信する。制御部110は、入室検出信号K1を受信して、操作受付部30に入室管理開始信号P1を送信する。操作受付部30は、入室管理開始信号P1の受信により使用者が入室したことを判断する(ステップS11)。仮眠システム210は、退去管理S1を終了して入室管理S2を行う。
【0042】
本実施形態においては、施錠装置21に入室を検出させているが、これに限らない。例えば、通用口11に人感センサーを設け、人感センサーが制御部110に入室検出信号K1を送信してもよい。
【0043】
図7は、本実施形態における入室管理S2を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態における動作信号の生成を示すフローチャートである。
図7に示すように、入室管理S2において、制御部110は、先ず照明装置22を点灯させる(ステップS21)。次に、操作受付部30は、検出部40Dを介して背ボトム41aを起立させる(ステップS22)。
図2に示すように、明るくなった内部空間10Aにおいて背ボトム41aが例えば水平状態から起立動作することにより、使用者は仮眠システムに迎えられたことを認知する。また、制御部110は、空調装置23を稼働させる(ステップS23)。制御部110は操作受付部30を起動させて、操作部31に初期画面を表示させる(ステップS24)。
【0044】
内部空間10Aは、内壁部14で覆われているため、内部空間10A内の振動や雑音が抑えられる。これにより、内部空間10Aに進入した使用者は、聴覚によってもオフィスから遮断された空間に進入したことを感知し、緊張状態が緩和される。
【0045】
使用者は、入口付近の荷物入れに持ち物を入れ、内側の通用口ボタン19の施錠ボタンを押圧し、通用口スクリーン17を閉じて施錠する。外部表示部15は、使用中を示す。使用者は、寝台装置40上に座り、背ボトム41aに寄りかかり、使用者の横にある操作受付部30を手に取ることができる。
【0046】
図7、
図8に示すように、操作受付部30は、使用者に仮眠管理の内容を設定させ、動作信号Q1を生成する(ステップS25)。
図9~
図14は、本実施形態における操作部31の表示画面を示す画面図である。
【0047】
図8に示すように、先ず操作受付部30は、画面において起床準備時刻を設定する(ステップS251)。
図9に示すように、使用者は、例えば「退室時刻を設定」、「利用時間を設定」、「仮眠時間を設定」の少なくとも一つを選択することができる。「退出時刻を設定」は、退出する時刻を入力できる。「利用時間を設定」は、滞在時間を入力できる。「仮眠時間を設定」は、仮眠したい時間(睡眠時間)を入力できる。操作受付部30は、使用時間と仮眠時間についてはアプリケーションまたはシステムにおける絶対時刻に変換する。
【0048】
「退室時刻を設定」は、例えば退出時間の10分前を起床準備時刻に設定する。「利用時間を設定」は、例えば現在の時刻から滞在時間経過後の時刻から10分前を起床準備時刻に設定する。「仮眠時間を設定」は、入眠を検知によって入眠時刻が決定したときに、例えば入眠時刻から仮眠時間経過後の時刻から5分前を起床準備時刻に設定する。使用者は、例えば「退室時刻を設定」を選択し、次に表示される画面において退室時刻を例えば13:30を入力する。操作受付部30は、起床準備時刻を13:20に設定する。なお、本実施形態においては、起床準備時刻と退室時刻との時間差を10分間としているが、これには限定されない。この時間差も、使用者が設定できるようにしてもよい。
【0049】
図8に示すように、操作受付部30は、寝台装置40のベッド部40Bに関して設定し(ステップS252)、環境機器20に関して設定する(ステップS253)。
図10に示すように、使用者は、「かんたんモード選択」と「マニュアル選択」のいずれかにより設定方法を選択する。
図11に示すように、「かんたんモード選択」によれば、ベッド部40Bの状態について「入眠前」、「入眠中」、「起床」、の少なくとも一つをタッチして選択できる。「入眠前」は、入眠動作におけるベッド部40Bの状態を設定できる。「入眠中」は、入眠動作におけるベッド部40Bの状態を設定できる。「起床」は、起床動作におけるベッド部40Bの状態を設定できる。
【0050】
図11のような操作部31の画面表示によって、使用者は、入眠動作、起床動作、仮眠動作におけるボトム41の姿勢とマットレス42の硬さについて、操作部31をタッチすることで設定できる。また、このような画面表示によれば、「おすすめ入眠モード」「フラット」「ハンモック」などの予め設定した動作モードを簡単に選択できる。また、
図11に示すベッド部40Bの画像は、タッチした動作モードに合わせて変化し、使用者にどのような動作かわかり易くしている。
【0051】
図11に示すベッド部40Bの画像のように、「おすすめ入眠モード」を選択すると、例えば、背ボトム41aは水平状態から少し傾斜し、膝ボトム41c及び脚ボトム41dの連結部分は腰ボトム41bより高い位置になる。入眠モードにあるボトム41上の使用者は、横隔膜が下がって呼吸がしやすくなるため入眠しやすくなり、脚のむくみも軽減できる。「フラット」は、普通の寝台のようにボトム41を略水平の状態にする。「ハンモック」は、例えば、略水平な状態より背ボトム41aと脚ボトム41dの端部側がやや立ち上がって傾斜した状態にする。
【0052】
また、起床動作においては、背ボトム41aの傾斜を反復して変化させることで使用者の覚醒・起床を促す目覚ましモードを設けてもよい。また、起床動作においては、使用者の覚醒を促すために、使用者の身体の各部位に相当するエアセル42cの硬度を、入眠動作と仮眠動作よりも高めに設定する目覚ましモードを設けても良い。
仮眠動作においては、ボトム41の姿勢を例えば略水平に設定してもよく、または、入眠動作から変更しないように設定してもよい。
【0053】
図12に示すように、次に、操作受付部30は、環境機器20に関して「かんたんモード選択」で設定する(ステップS253)。使用者は、操作部31の表示画面において「入眠前」、「入眠中」、「起床」の少なくとも一つを選択することができる。「入眠前」では、入眠動作における環境機器20の動作を設定できる。「入眠中」では、入眠動作における環境機器20の動作を設定できる。「起床」では、起床動作における環境機器20の動作を設定できる。
【0054】
図12に示すように、使用者は、環境機器20の動作を、例えば「リラックス」「熟睡」「森林」「花」「海」などから使用者のイメージに近いものを設定することができる。
操作受付部30は、「かんたんモード設定」に表示したベッド部40Bと環境機器20の動作内容を、あらかじめ例えば操作受付部30の記憶部に保存しておく。
【0055】
図13、
図14に示すように、「マニュアルモード選択」を選択した場合は、例えば、画面に表示されたベッド部40Bをタッチして姿勢を変化させて設定でき、「音楽」「アロマ」「明かり」「エアコン」などをそれぞれタッチして使用者が個別に設定できる。
【0056】
図9~
図14に示した操作部31の画面図は、あくまで一例であり、これに限られない。操作部31の表示画面において表示する内容は、
図9~
図14に示したものの一部でもよく、他に表示してもよい。また、操作部31において表示する画面図は、順序が異なってもよく、設定する順序も異なってもよい。
【0057】
以上により、操作受付部30は、使用者の入力内容から入眠動作信号Q1、仮眠動作信号Q2、起床動作信号Q3を生成し(ステップS25)、操作受付部30の記憶部に保存する。以上により、入室管理S2が終了する。
【0058】
図5に示すように、仮眠システム210は、次に仮眠管理S3を行う。
図15は、本実施形態に係る仮眠管理を示すフローチャートである。
図15に示すように、操作受付部30は、入眠動作信号Q1を検出部40Dと制御部110に送信する(ステップS31)。
【0059】
図3に示すように、制御部110は、入眠動作信号Q1を受信して、入眠環境信号E1を生成し、入眠環境信号E1をそれぞれの環境機器20に送信する。具体的には、入眠環境信号E1には、例えば、開口部スクリーン18を閉じる信号と、施錠装置21を施錠する情報と、照明装置22の明るさレベルの情報と、空調装置23の温度と湿度の情報と、音響装置24の再生する環境音楽と音量の情報と、香気装置25の放出する香気霧剤と放出タイミングの情報を含む。これにより、各環境機器20は、使用者が設定した入眠動作をそれぞれ行う。また、入眠環境信号E1が施錠装置21を施錠する情報を含むことにより、仮に使用者が通用口ボタン19による施錠を忘れたとしても、施錠装置21を確実に施錠できる。
【0060】
図3に示すように、検出部40Dは、入眠動作信号Q1を受信して、ベッド制御部40Cに入眠動作信号Q1を入力する。また、検出部40Dは、使用者の生体信号の定期的な測定を開始し、測定した生体情報Vを操作受付部30に送信する。
【0061】
ベッド制御部40Cは、使用者が入眠動作で設定したとおりにボトム41a~41dを傾斜させ、ボトム41を設定した姿勢にする。
また、ベッド制御部40Cは、入眠動作信号Q1に合わせた硬度指示をエアセル制御部42aに入力し、エアセル制御部42aが硬度指示に合わせてポンプユニット42bを稼働させ、エアセル42cに対して空気を出し入れする。これにより、マットレス42を所定の硬度に調整する。
【0062】
以上により、使用者は、仮眠システム210の入眠動作によって入眠が促進される。
一方で、使用者は、入眠動作を体感して寝付けない等の違和感がある場合は、操作部31を操作することによって入眠動作を適宜変更する。具体的には、使用者は、香気が強いと感じた場合に例えば香気装置25を停止でき、環境音楽がイメージと違うと感じた場合に例えば音響装置24について環境音楽を変更でき、使用者がもっと暗くしたいと感じた場合に例えば照明装置22の明るさレベルを下げることができる。また、具体的には、使用者は、ボトム41を水平に設定したが寝難いと感じた場合、例えばおすすめの入眠モードに変更できる。また、使用者は、同様に仮眠動作と起床動作も変更できる。
【0063】
また、操作受付部30は、生体情報Vから検知した使用者の眠りの状態に応じて寝台装置40と環境機器20を制御してもよい。具体的には、操作受付部30は、例えば体動の大きさや頻度などの生体情報Vから使用者の眠りの浅さを検知して、ボトム41の角度やマットレスの硬さを微調整してもよい。また、操作受付部30は、例えば生体情報Vから眠りの状態が良好であれば、ボトム41の姿勢やマットレスの硬さのまま起床動作まで維持する制御をしてもよい。また、操作受付部30は、環境機器20についても眠りの状態に応じて同様に制御してもよい。
【0064】
図15に示すように、制御部110は、検出部40Dから受信した生体情報Vから使用者の入眠を判断すると(ステップS32)、入眠時刻を記憶部に記憶し、記憶部に保存した仮眠動作信号Q2を制御部110と寝台装置40に送信する(ステップS33)。操作受付部30による入眠の判断は、例えば体動に関する生体情報Vから判断することが好ましい。
【0065】
図3に示すように、制御部110は、仮眠動作信号Q2を受信して、仮眠環境信号E2を生成し、仮眠環境信号E2を環境機器20に送信する。具体的には、仮眠環境信号E2には、例えば、空調装置23の温度を例えば1度下げる情報と、音響装置24を停止する情報と、香気装置25を停止する情報を含む。これにより、各環境機器20は、使用者が設定した仮眠動作をそれぞれ行う。
【0066】
本実施形態においては、仮眠動作信号Q2は使用者に設定させているが、これに限らない。例えば、仮眠動作信号Q2を使用者に設定させず、操作受付部30のアプリケーションが、照明装置22と音響装置24と香気装置25を停止または入眠動作時よりも低い出力にするように仮眠動作信号Q2を予め設定してもよい。
また、仮眠システム210は、仮眠動作信号Q2において、照明装置22と音響装置24のいずれか一方の出力を下げる、または、両方とも入眠動作から変更しないように設定してもよい。これにより、仮眠システム230は、使用者に浅い眠りの仮眠を取らせて、例えば仕事の呼び出しがされた場合に、いつでも目覚めて仕事に戻ることができる。
【0067】
図3に示すように、検出部40Dは、仮眠動作信号Q2を受信して、ベッド制御部40Cに仮眠動作信号Q2を入力する。また、検出部40Dは、使用者の生体信号を測定し操作受付部30に送信し続ける。
【0068】
ベッド制御部40Cは、使用者が仮眠動作で設定したとおりにボトム41に例えば水平状態などの姿勢を取らせる。この場合、ベッド制御部40Cは、使用者が目を覚まさないようにボトム41の傾斜角度を徐々に変化させることが好ましい。具体的には、ボトム41の傾斜角度を、例えば微小な角度変更と角度変更の休止を繰り返す間欠動作により、時間をかけて変化させることが好ましい。
【0069】
また、ベッド制御部40Cは、使用者が仮眠動作で設定した硬度指示をエアセル制御部42aに入力し、マットレス42を所定の硬度に調整する。
以上により、使用者は、仮眠システム210の仮眠動作によって良好な休息を取ることができる。
【0070】
図15に示すように、次に、操作受付部30は、起床準備時刻に起床動作信号Q3を制御部110と検出部40Dに送信する(ステップS34)。
図3に示すように、制御部110は、起床動作信号Q3を受信し、起床環境信号E3を生成し、起床環境信号E3を環境機器20に送信する。具体的には、起床環境信号E3には、例えば、空調装置23の温度を例えば1度上げる情報と、音響装置24が再生する環境音楽と音量の情報と、香気装置25が放出する香気霧剤と放出タイミングの情報を含む。これにより、環境機器20は、使用者が設定した起床動作をそれぞれ行う。使用者は、環境機器20による理想的な起床動作が行われることにより、気分よく目覚めることができる。
【0071】
図3に示すように、検出部40Dは、起床動作信号Q3を受信して、ベッド制御部40Cに起床動作信号Q3を入力する。
ベッド制御部40Cは、使用者が起床動作で設定したとおり、例えば背ボトム41aを起立させる。この場合、ベッド制御部40Cは、使用者の覚醒を促進するために背ボトム41aを所定の傾斜角度の範囲において揺動させてもよい。
【0072】
また、ベッド制御部40Cは、使用者が仮眠動作で設定した硬度指示をエアセル制御部42aに入力し、マットレス42を所定の硬度に調整する。使用者の覚醒を促すために、使用者の身体の各部位に相当するエアセル42cの硬度を、仮眠中と比較して、覚醒時には高めに調整してもよい。
【0073】
以上により、使用者は、仮眠システム210の起床動作によって覚醒を促される。
検出部40Dから受信した生体情報Vによって、操作受付部30は、使用者の起床時刻を判断する。また、操作受付部30は、受信した生体情報Vによって、使用者の睡眠の質やストレス度と疲労度の変化などを評価して、可視化した睡眠スコアを操作部31に表示する。使用者は、睡眠スコアから今回の仮眠内容を評価できる。
【0074】
また、仮眠システム210は、操作部31に、睡眠スコアを表示できるリンク示すQRコード(登録商標)を表示してもよい。使用者が操作受付部30のアプリケーションと連携したアプリケーションが入った自己のスマートフォンを持参すれば、これらのQRコードを読み取ってスコアを自己のスマートフォンに蓄積して睡眠データとして健康管理に利用できる。また、使用者が操作受付部30のアプリケーションと連携したアプリケーションを使用して自宅で睡眠管理を行っている場合は、アカウントのユーザIDやパスコード経由で今回の睡眠スコアを自宅の睡眠管理に加算させてもよい。
【0075】
また、仮眠システム210は、操作部31に、今回行った動作信号Qを次回以降の利用時に設定できるQRコード(登録商標)を表示してもよい。自己のスマートフォンにQRコードを保存すれば、次回の仮眠システム210利用時にQRコードを表示して仮眠システム210の操作受付部30に読み取らせれば、仮眠管理の設定作業を簡略化できる。
【0076】
起床した使用者は、操作受付部30の操作部31において仮眠管理の終了を入力する。操作受付部30は、終了信号Q4を生成して、制御部110と検出部40Dに送信する(ステップS35)。
【0077】
終了信号Q4を受信した制御部110は、終了環境信号E4を生成し、終了環境信号E4を環境機器20に送信する。具体的には、終了環境信号E4には、例えば、開口部スクリーン18を開ける信号と、施錠装置21を開錠する情報と、照明装置22の明るさレベルを最大にする情報と、音響装置24の再生する環境音楽と音量の情報と、香気装置25の停止情報を含む。
【0078】
終了信号Q4を受信した検出部40Dは、ベッド制御部40Cに終了信号Q4を入力する。ベッド制御部40Cは、起床動作をやめて、例えば、入室管理と同様に背ボトム41aを起立させる。以上により、仮眠システム210は、仮眠管理S3を終了する。
【0079】
使用者が通用口ボタン19を押すと、通用口スクリーン17が開き、使用者は退室する。通用口ボタン押圧後に所定時間が経過すると、通用口スクリーン17が閉まり、照明装置22が消灯し、背ボトム41aが水平状態となり、仮眠システム210は、退去管理S1を再び行う。制御部110は、外部表示部15において空室を表示する。
【0080】
本実施形態においては、外部表示部15は、使用中と空室の状態を表示しているが、これに限らない。例えば、操作受付部30は、生体情報Vによる入眠の検出に応じて、外部表示部15に睡眠中を表示させ、または、睡眠の質を表す睡眠レベルを表示させてもよい。また、外部表示部15は、在床状態か否かを表示してもよい。
【0081】
本実施形態においては、環境音楽を再生する音響装置24を設けているが、これに限らない。例えば、音響装置24の代わりにブルートゥース(登録商標)スピーカーを設置し、操作受付部30のアプリケーションにおいて環境音楽を所定の音量で出力し、ブルートゥース(登録商標)スピーカーから流してもよい。
【0082】
また、本実施形態においては、操作受付部30は、検出部40Dによる生体情報Vによって寝台装置40と環境機器20を制御してもよいことを示したが、これに限らない。例えば、仮眠システム210には、高さを変化できる電動枕や、電気により温度を調整できる温度シート等、使用の仮眠に用いられる装置が設けられてもよく、操作受付部30が、同様に動作を制御して、使用者の効果的な仮眠を補助してもよい。
【0083】
以下に、本実施形態に係る仮眠システムの効果を説明する。
本実施形態によれば、仮眠システム210において、筐体10の内部空間10Aに配置された寝台装置40と、環境機器20を配置し、操作受付部30の例えばアプリケーションを通じて使用者が希望する仮眠管理S3を行い、寝台装置40と環境機器20に入眠動作、仮眠動作、及び、起床動作をさせている。このように、仮眠システム210は、筐体10によって使用者を外部環境から隔離してリラックスさせると共に、アプリケーションが寝台装置40と環境機器20を連動させることにより、使用者に効果的な仮眠を取らせることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、仮眠システム210は、使用者の進入時に照明装置22が内部空間10Aを明るくした中で、寝台装置40の背ボトム41aの起立動作を行っている。これにより、使用者に迎え入れていることを認知させることができる。
また、仮眠システム210は、仮眠管理S3後に使用者が退室すると、次の使用者の利用を待機し、外部表示部15によって利用可能な状態であることを明示する。これにより、仮眠システム210は、繰り返し使用者を招くことができる。
【0085】
(第2実施形態)
本実施形態においては、ある拠点において複数の仮眠システム220に接続されたアクセスポイントA1を有する。また、本実施形態においては、予約システムR1を有し、アクセスポイントA1を介して各拠点の仮眠システム220を事前に予約できる。また、本実施形態における寝台装置40は、例えばリクライニング装置400である。
【0086】
図16は、本実施形態に係る仮眠システム220を示すブロック図である。
図17は、本実施形態におけるリクライニング装置を示す斜視図である。
予約システムR1は、例えばクラウド上で管理される。予約システムR1は、例えば操作受付部30のアプリケーションと連携できるアプリケーションが入ったスマートフォンなどの携帯機器から予約設定をする。予約システムR1は、例えば拠点と時間帯について予約設定を行う。予約設定がされたら、該当する拠点のアクセスポイントA1に予約設定情報R11を送信し、アクセスポイントA1は予約されていない退去管理S1中の仮眠システム210の制御部110に予約設定情報R11を送信する。
【0087】
予約設定情報R11を受信した制御部110は、設定された時間帯の例えば1時間前から外部表示部15を予約中の表示に変更する。
予約した日時に来訪した使用者は、アクセスポイントA1で予約を確認して、指定された仮眠システム210を利用する。
【0088】
また、予約システムR1にアクセス可能なスケジュール管理システムがあれば、スケジュール管理システムが、予約システムR1にアクセスして、仮眠システム220の利用を推奨し、または、予約システムR1において所定の仮眠システム220を仮予約することもできる。
具体的には、例えば、スケジュール管理システムにおいて使用者の外出等の居所と時間帯を含む予定情報があり、その予定情報の前後に充分な空き時間がある場合、スケジュール管理システムは、空き時間に予約されていない居所近辺の仮眠システム220を探す。予約可能な仮眠システム220があれば、スケジュール管理システムは、使用者に予約を推奨するか、または、自動的に仮予約をして使用者に知らせる。スケジュール管理システムは、使用者の選択に応じて、予約、または、本予約もしくは仮予約の取り消しを行う。
【0089】
図17は、本実施形態におけるリクライニング装置を示す斜視図である。
本実施形態のリクライニング装置400は、椅子型の仮眠装置である。リクライニング装置400は、支持架台400Aと、シート部400Bと、制御部400C(
図16参照)と、検出部400Dと、可動部と、駆動部を含む。シート部400Bは、可動部によって傾斜する背もたれ410aと座席部410bを有する。シート部400Bは、背もたれ410aと座席部410bにマットレスが一体化され、エアセルなどを含まない。
【0090】
図17に示すように、本実施形態における操作受付部30は、リクライニング装置400に設置されている。操作受付部30は、リクライニング装置400上の使用者から視認できる位置に設置されている。また、リクライニング装置400は、テーブル29を含むと良い。テーブル29は、適宜設置できる収納式または回動式のものが良い。これにより、使用者は、仮眠の前後にテーブル29を用いて読書や仕事などの作業ができる。
【0091】
本実施形態に係る仮眠システム220によれば、予約システムによって予め希望する拠点の仮眠システム220を予約することができる。
また、本実施形態に係る仮眠システム220によれば、仮眠装置は椅子型のリクライニング装置であるため、横になるベッド型より気軽に利用できる。また、本実施形態におけるリクライニング装置400は、椅子型の仮眠装置であるため、テーブルを用いて作業しやすい。
【0092】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0093】
(第3実施形態)
本実施形態に係る仮眠システム230は、操作受付部30を有しておらず、使用者の保有する例えばスマートフォン内のアプリケーションで仮眠システム230を制御する。また、仮眠システム230は、第2実施形態と同様な予約システムR1とアクセスポイントA1を有する。仮眠システム230は、第1実施形態とは異なり、開口部が無い閉じた筐体100を有する。
【0094】
図18は、本実施形態に係る仮眠システムを示す正面図である。
図19は、本実施形態に係る仮眠システム230を示すブロック図である。
図18に示すように、本実施形態における筐体100は、床部10eと密閉性のある扉10fを有している。
【0095】
図19に示すように、本実施形態において使用者は、自宅HMに仮眠システム230に採用されている寝台装置40と同様な寝台装置420を有している。使用者が保有するスマートフォン33のアプリケーションは、寝台装置420を操作し、日々の睡眠を評価し、睡眠に関する評価データを蓄積している。
【0096】
使用者は、利用を希望する拠点の仮眠システム230について予約をし、予約した日時に仮眠システム230に訪れる。使用者は、アクセスポイントA1で予約を確認する。
図19に示すように、次に、使用者は、スマートフォン33の操作部33aに例えばQRコード(登録商標)を表示してアクセスポイントA1で読み取らせ、アクセスポイントA1は、自己のスマートフォン33からの動作信号Q等の受信を許可するための第1認証コードC1を生成する。
【0097】
アクセスポイントA1は、制御部110と寝台装置40の検出部40Dと例えば無線LANで接続されている。アクセスポイントA1は、制御部110と検出部40Dに第1認証コードC1を送信する。第1認証コードC1を受信した制御部110と検出部40Dは、スマートフォン33からの動作信号Qを受け付ける。
【0098】
アクセスポイントA1は、スマートフォン33に予約した仮眠システム230の制御部110と寝台装置40の検出部40Dからの信号を受信させるための第2認証コードC2を生成し、スマートフォン33に送信する。これにより、スマートフォン33は、予約した仮眠システム230の制御部110と検出部40Dからの生体情報V等を受信することができる。
【0099】
本実施形態におけるスマートフォン33と制御部110及び検出部40Dの送受信は、アクセスポイントA1による認証コードによる許可を前提としなくてもよい。例えば、ブルートゥース(登録商標)などで直接ペアリングさせてもよい。
【0100】
使用者は、スマートフォン33のアプリケーションによって第1実施形態と同様に入眠動作信号Q1、仮眠動作信号Q2、起床動作信号Q3、終了信号Q4を生成する。
スマートフォン33のアプリケーションは、動作信号Qの設定に自宅HMの寝台装置420で行っている動作設定を利用させてもよい。これにより、使用者は、自宅HMの寝台装置420で行っている寝台装置40の動作を仮眠システム230において容易に設定できる。また、仮眠システム230は、自宅HMの寝台装置420を再現できるため、使用者は、自宅ベッドのような寝心地と安心感を得て、効果的な仮眠を取得できる。
仮眠システム230は、スマートフォン33を介して第1実施形態と同様に仮眠管理S3を行う。
【0101】
スマートフォン33が終了信号Q4を送信すると、スマートフォン33内のアプリケーションが検出部40Dからの生体情報Vによって、仮眠の質を評価した睡眠スコアを操作部33aに表示する。また、スマートフォン33のアプリケーション内で、自宅HMの寝台装置420の睡眠スコアと同様に蓄積させて、日々の睡眠管理を行ってもよい。
【0102】
また、仮眠システム230は、スマートフォン33内のアプリケーションにおいて、今回行った入眠動作信号Q1、仮眠動作信号Q2、起床動作信号Q3を示すQRコード(登録商標)を生成してもよい。使用者は、次回の仮眠システム230利用時にスマートフォン33にQRコードを表示し、仮眠システム230の操作受付部30に読み取らせれば、仮眠管理の設定作業を簡略化できる。
【0103】
本実施形態における予約システムR1の予約は、使用者が自ら予約してもよいが、これに限らない。例えば、自宅HMの寝台装置420の検出部が取得した生体情報を管理する例えばスマートフォン33のアプリケーションが、使用者の睡眠不足を検知した場合に、第2実施形態と同様に、仮眠システム230の利用を推奨し、または、予約システムR1にアクセスして仮予約などをして使用者に知らせてもよい。使用者の睡眠不足を検知する方法は、使用者が自宅で使用する生体情報管理システム、睡眠計測システムまたは活動量計や、スマートフォン本体に搭載された画像センサーや振動・加速度センサーの出力からの算出結果、あるいはこれらの機能を実現する別のスマートフォンのアプリの演算結果などを用いるやり方でもよい。
【0104】
また、このような仮眠システム230は、例えばバスやトラックの運行業者が、従業員の自宅に少なくとも寝台装置40の検出部と同様な検出部を設置させ、会社の休憩所に仮眠システム230を設置すれば、従業員に十分な睡眠取得を行い、睡眠管理を含む体調管理を効果的に実施できる。
【0105】
さらに、仮眠システム230は、企業の従業員向けの仮眠管理システムにも利用できる。具体的には、仮眠管理システムは、オフィスの休憩スペースに仮眠システム230を設置する。仮眠管理システムは、仮眠システム230の運用状態をモニタするサーバを有し、仮眠システム230の例えばアクセスポイントA1に接続させている。保守管理担当は、仮眠システム230の運用状況をモニタリングする。仮眠管理システムは、企業の勤怠管理システムに連携させる。
【0106】
仮眠管理システムは、仮眠システム230から利用者、利用時間の情報を取得し、各従業員の利用状況、仮眠時間を記録することにより、従業員の健康管理に活用できる。仮眠管理システムは、仮眠システム230から睡眠の質や時間も把握することができる。以上により、仮眠管理システムは、仮眠システム230によって、従業員のきめ細かい健康管理を実現できる。
【0107】
尚、従業員向けの仮眠システム230の場合は、利用者が限定されているため、筐体は、本実施形態の筐体100のような密閉性は必要なく、例えば第1実施形態における筐体10のようなものでもよい。
【0108】
本実施形態においては、使用者は、自宅HMに仮眠システム230に採用されている寝台装置40と同様な寝台装置420を有しているが、これに限らない。例えば、使用者がアプリケーションによって睡眠を管理するだけならば、使用者は、自宅HMに仮眠システム230に採用されている検出部40Dと同様の検出部40Dがあればよい。これにより、自己のスマートフォン等におけるアプリケーションを介して、仮眠システム230と自宅HMにおいて睡眠を管理できる。
【0109】
また、使用者の自宅HMには、仮眠システム230に採用されている検出部40Dと同様の検出部40Dが、必ずしも必要ではない。例えば、仮眠システム230のアプリケーションと連携可能な他の睡眠計測用アプリケーションが入った市販のウエアラブルセンサーやスマートフォンなどでもよい。
【0110】
本実施形態によれば、使用者は自己のスマートフォンによって仮眠システム230を利用することができる。
また、本実施形態によれば、筐体100は密閉式であるため、内部空間10Aの環境をより高精度に制御できる。また、本実施形態によれば、筐体100はプライベート性が高いため、公共のスペースにも設置できる。さらに、本実施形態に係る仮眠システム230は、空きフロアを活用した仮眠補助事業や、仮眠スペースを有するシェアオフィス事業に利用することができる。
【0111】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0112】
1 コントローラ、10 筐体、10A 内部空間、10a 側壁、10b 上壁、10e 床部、10f 扉、11 通用口、12 開口部、13 窓、14 内壁部、15 外部表示部、15a 入口側外部表示部、15b 上側外部表示部、16 管状発光体、17 通用口スクリーン、18 開口部スクリーン、19 通用口ボタン、20 環境機器、21 施錠装置、22 照明装置、23 空調装置、24 音響装置、25 香気装置、28 荷物入れ、29 テーブル、30 操作受付部、31 操作部、33 スマートフォン、33a 操作部、40 寝台装置、40A 支持架台、40B ベッド部、40C ベッド制御部、40D 検出部、40E 可動部、41 ボトム、41a 背ボトム、41b 腰ボトム、41c 膝ボトム、41d 脚ボトム、42 マットレス、42a エアセル制御部、42b ポンプユニット、42c エアセル、100 筐体、110 制御部、130 制御部、210、220、230 仮眠システム、400 リクライニング装置、400A 支持架台、400B シート部、400C 制御部、400D 検出部、410a 背もたれ、410b 座席部、420 寝台装置、A1 アクセスポイント、C1 第1認証コード、C2 第2認証コード、E、E1~E3 環境信号、E4 終了信号、FL 床面、HM 自宅、K1 入室検出信号、P1 入室管理開始信号、Q、Q1~Q3 動作信号、Q4 終了信号、R1 予約システム、R11 予約設定情報、S1 退去管理、S2 入室管理、S3 仮眠管理、V 生体情報