(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電磁バルブ
(51)【国際特許分類】
H01F 7/16 20060101AFI20240315BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01F7/16 E
H01F7/16 D
H01F7/16 R
F16K31/06 305E
F16K31/06 305J
F16K31/06 305T
(21)【出願番号】P 2020205716
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 圭亮
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-077356(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026211(WO,A1)
【文献】特開2011-099486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0309385(US,A1)
【文献】特開2013-115159(JP,A)
【文献】特開2019-160994(JP,A)
【文献】特開2004-079565(JP,A)
【文献】特開2006-322430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/16
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯を中心とする円筒状のソレノイドと、
少なくとも一部が前記ソレノイドの内部空間に配置された固定コアと、
前記固定コアと前記ソレノイドの軸芯方向に対向するように前記ソレノイドの内部空間に配置され、前記ソレノイドの通電時に前記固定コアから作用する磁力により前記軸芯に沿う方向に沿って前記固定コア側に吸引される可動コアと、
前記ソレノイドの通電時に前記可動コアに当接することで前記可動コアと前記固定コアとの間に間隙を形成する非磁性材料製の規制部材とを備え、
前記可動コアと一体的に作動する作動ロッドが、前記固定コアに形成された貫通孔を通って前記軸芯と同軸芯上に配置され、
前記規制部材は、内部に前記作動ロッドが挿通された筒状で、前記固定コアにおける前記可動コアとの対向面側に備えられており、
前記可動コアは、前記軸芯に沿う方向視において筒状の前記規制部材と重複する位置に前記軸芯と平行姿勢となる複数の呼吸孔が形成されており、
前記ソレノイドの通電時に、前記可動コアと前記固定コアとの間に形成される前記間隙と前記呼吸孔とが連通
し、
前記固定コアに形成された前記貫通孔と前記作動ロッドとの間に形成され外部と連通する呼吸油路を備え、
前記ソレノイドの通電時に、前記可動コアと前記固定コアとの間に形成される前記間隙と前記呼吸孔と前記呼吸油路とが連通し、
前記軸芯に沿う方向視において、前記規制部材の円周状となる突出端が、前記複数の前記呼吸孔が配置される仮想円と重なり合う位置に配置され、
前記突出端の内径側の端部は前記呼吸孔の前記軸芯側の端部よりも前記軸芯から遠い側に配置されており、且つ前記突出端の外径側の端部は前記呼吸孔の前記軸芯から遠い側の端部よりも前記軸芯に近い側に配置されている電磁バルブ。
【請求項2】
前記可動コアに対して前記固定コアが配置されている側とは前記軸芯方向に沿って反対側の位置に、前記可動コアを前記軸芯方向に付勢するバネを収容するバネ室が形成されており、
前記呼吸孔は、前記可動コアにおける前記固定コア側の端面から前記バネ室側の端面に貫通している請求項
1に記載の電磁バルブ。
【請求項3】
前記規制部材における前記可動コア側の端縁に、周方向に沿って、軸芯に沿う方向に突出する凸部と、軸芯に沿う方向に窪む凹部とが交互に形成されている請求項1
又は2に記載の電磁バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ソレノイドに通電し、固定コアからの磁束を、可動コアに作用させることにより、可動コアの作動に伴いスプール等を作動させる電磁バルブとして特許文献1に記載されるものが存在する。
【0003】
特許文献1に記載される電磁バルブは、ハウジングに、弁シャフトと一体的に直線的に作動する可動コアを備え、この可動コアを取り囲む位置にソレノイド部を備え、このソレノイド部からの磁束を導く固定コアが、可動コアの作動端の側に配置している。
【0004】
この特許文献1では、可動コアのうち、固定コアと対向する位置に非磁性材料製のマグネットキラーを備えることにより、ソレノイドの通電が停止した後の残留磁気の影響によって可動コアが固定コアに吸着された状態が継続する不都合を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-85321号公報 (段落番号〔0021〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、ソレノイドの通電時に可動コアと固定コアとの間の間隙部分が負圧になり、可動コアを固定コアから離間させる際の応答性が低下してしまう場合がある。
【0007】
このような理由から、ソレノイドの通電を停止した際に、可動コアと固定コアとを確実に離間させることが可能な電磁バルブが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電磁バルブの特徴構成は、軸芯を中心とする円筒状のソレノイドと、少なくとも一部が前記ソレノイドの内部空間に配置された固定コアと、前記固定コアと前記ソレノイドの軸芯方向に対向するように前記ソレノイドの内部空間に配置され、前記ソレノイドの通電時に前記固定コアから作用する磁力により前記軸芯に沿う方向に沿って前記固定コア側に吸引される可動コアと、前記ソレノイドの通電時に前記可動コアに当接することで前記可動コアと前記固定コアとの間に間隙を形成する非磁性材料製の規制部材とを備え、前記可動コアと一体的に作動する作動ロッドが、前記固定コアに形成された貫通孔を通って前記軸芯と同軸芯上に配置され、前記規制部材は、内部に前記作動ロッドが挿通された筒状で、前記固定コアにおける前記可動コアとの対向面側に備えられており、前記可動コアは、前記軸芯に沿う方向視において筒状の前記規制部材と重複する位置に前記軸芯と平行姿勢となる複数の呼吸孔が形成されており、前記ソレノイドの通電時に、前記可動コアと前記固定コアとの間に形成される前記間隙と前記呼吸孔とが連通し、前記固定コアに形成された前記貫通孔と前記作動ロッドとの間に形成され外部と連通する呼吸油路を備え、前記ソレノイドの通電時に、前記可動コアと前記固定コアとの間に形成される前記間隙と前記呼吸孔と前記呼吸油路とが連通し、前記軸芯に沿う方向視において、前記規制部材の円周状となる突出端が、前記複数の前記呼吸孔が配置される仮想円と重なり合う位置に配置され、前記突出端の内径側の端部は前記呼吸孔の前記軸芯側の端部よりも前記軸芯から遠い側に配置されており、且つ前記突出端の外径側の端部は前記呼吸孔の前記軸芯から遠い側の端部よりも前記軸芯に近い側に配置されている点にある。
【0009】
この特徴構成によると、ソレノイドに通電され固定コアの端部ヨーク部に可動コアが接近した場合、可動コアの移動端部側に規制部材が当接し、固定コアと可動コアとの間に間隙を形成し、固定コアと可動コアとが密着する不都合が解消される。また、規制部材が非磁性材料製であるため、ソレノイドに通電した後に固定コアに磁気が残留しても、可動コアを磁気により吸着する不都合を招くことがない。また、可動コアに複数形成された呼吸孔と間隙とが連通するため、可動コアが移動する場合に間隙と呼吸孔との間で、作動油や空気が流れることにより可動コアの迅速な作動を可能にする。
従って、ソレノイドの通電を停止した際に、可動コアと固定コアとを確実に離間させることが可能な電磁バルブが構成された。
【0010】
【0011】
また、可動コアが移動する際に間隙と呼吸油路との間で、作動油が流れることにより可動コアの迅速な作動を可能にする。
【0012】
上記構成に加えた構成として、前記可動コアに対して前記固定コアが配置されている側とは前記軸芯方向に沿って反対側の位置に、前記可動コアを前記軸芯方向に付勢するバネを収容するバネ室が形成されており、前記呼吸孔は、前記可動コアにおける前記固定コア側の端面から前記バネ室側の端面に貫通しても良い。
【0013】
これによると、可動コアが作動する際に、バネ室の空気やオイルが複数の呼吸孔に流れることにより可動コアの迅速な作動を円滑に行わせる。
【0014】
上記構成に加えた構成として、前記規制部材における前記可動コア側の端縁に、周方向に沿って、軸芯に沿う方向に突出する凸部と、軸芯に沿う方向に窪む凹部とが交互に形成されても良い。
【0015】
これによると、規制部材の当接側の端縁が可動コアに当接した場合に、複数の凸部が可動コアに当接し、凹部が可動コアとの間に間隙を作ることにより、規制部材の当接部が可動コアに密着する不都合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】電磁バルブのコイルユニット部の断面図である。
【
図2】電磁バルブの通電時のコイルユニット部の断面図である。
【
図3】別実施形態(a)の規制部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、コイルユニットCと、コイルユニットCの駆動力により作動するスプール1と、スプール1を収容するバルブハウジング2と、スプール1を付勢するスプールスプリング3とを備えて電磁バルブVが構成されている。
【0018】
図1には示していないが、スプール1には作動油を制御するランド部が形成され、バルブハウジング2には作動油を給排する複数のポートが形成されている。このような構成からコイルユニットCのソレノイド5に通電することにより、
図2に示すようにスプール1を軸芯Xに沿う方向に作動させ、作動油の給排の制御を実現する。
【0019】
尚、電磁バルブVは、スプール1を操作するものに限らず、例えば、ポペット弁やチェック弁を開閉作動させる構成のものであっても良い。
【0020】
〔コイルユニット〕
図1、
図2に示すように、コイルユニットCは、軸芯Xを中心とする円柱状の内部空間Sを取り囲む領域に形成された円筒状のソレノイド5と、ソレノイド5の通電時に発生する磁束を導く磁性材料製の固定コア6と、内部空間Sに配置され、固定コア6から作用する磁力により軸芯に沿う方向に移動自在な磁性材料製で、プランジャとして機能する可動コア7と、可動コア7の作動力をスプール1に伝える作動ロッド8とを備えている。
【0021】
コイルユニットCは、内部空間Sのうち可動コア7を基準に作動ロッド8と反対側に配置された支持体9と、支持体9と可動コア7との間に配置された圧縮コイル型の保持スプリング10(バネの一例)とを備えている。また、支持体9と可動コア7との間にバネ室が形成され、このバネ室に保持スプリング10が収容され、このバネ室は、可動コア7の呼吸孔7aが連通している。
【0022】
ソレノイド5は、樹脂材等の非磁性材料製のボビン5aに良導体で成るコイル5bを巻回した構造であり、ボビン5aの内周の一部を内部空間Sに露出させている。
【0023】
固定コア6は、ソレノイド5の外周を取り囲む環状ヨーク部6aと、軸芯Xに沿う方向でスプール1が配置された側に配置された環状の第1壁状ヨーク部6bと、軸芯Xに沿う方向で第1壁状ヨーク部6bの反対側に配置された第2壁状ヨーク部6cと、第1壁状ヨーク部6bの内周からボビン5aの内周に亘る領域に配置された端部ヨーク部6dと、第2壁状ヨーク部6cの内周からボビン5aの内周に亘る領域に配置される筒状ヨーク部6eとで構成されている。
【0024】
この固定コア6は、環状ヨーク部6aと、第1壁状ヨーク部6bと、第2壁状ヨーク部6cと、端部ヨーク部6dと、筒状ヨーク部6eとの全てが鉄等の磁性材料で構成されている。また、端部ヨーク部6dには、作動ロッド8が挿通する貫通孔Hが軸芯Xと同軸芯で穿設されている。特に、貫通孔Hに作動ロッド8が挿通する状態で、貫通孔Hの内周と作動ロッド8の外周との間に円筒状の空間が形成され、この空間は、可動コア7が作動する際に作動油の流動を可能にする呼吸油路として機能する。なお、作動ロッド8として中空状の部材を用い、この作動ロッド8に規制部材16の内径側の空間と作動ロッド8の内部とを連通させる連通孔を形成しておき、作動ロッド8の内部を呼吸油路として機能させてもよい。
【0025】
特に、端部ヨーク部6dの一部の内周側、及び、筒状ヨーク部6eの内周側に内部空間Sが形成され、この内部空間Sにおいて端部ヨーク部6dと、支持体9とに挟まれる領域に可動コア7が配置されている。可動コア7は、内部空間Sの内径より僅かに小さい外径の円柱状に成形されることで、内部空間Sに対し軸芯Xに沿って移動自在となる。
【0026】
可動コア7は、作動ロッド8が配置された側の反対側に凹状部が形成され、保持スプリング10は、可動コア7の凹状部に一端側を嵌め込み、他端側を支持体9の内面に当接させている。また、可動コア7は、軸芯Xに沿う姿勢の複数の呼吸孔7aが貫通孔状に形成されている。
【0027】
このコイルユニットCは、内部空間Sに作動油の一部の流入を許す構造であり、可動コア7が作動する際には、呼吸孔7aの内部に作動油が流動することにより、可動コア7の円滑な作動を可能にしている。
図1,2に示すように呼吸孔7aの一方の端部が、固定コア6の端部ヨーク部6dと可動コア7との間に形成される間隙に連通し、他方の端部が、前述したバネ室とを連通している。
【0028】
〔規制部材〕
コイルユニットCは、可動コア7のうち、端部ヨーク部6dに対向する面を可動コア端面7sと称し、端部ヨーク部6dのうち可動コア7に対向する面をヨーク端面6sと称している。特に、固定コア6の端部ヨーク部6dにおいて、ヨーク端面6sの近傍の貫通孔Hの内径を拡大した形状となる嵌合保持部15が形成され、この嵌合保持部15に一端を挿入する嵌合状態で筒状の規制部材16を備えている。このような構成から、規制部材16の内部に作動ロッド8が配置されることになる。
【0029】
この規制部材16は、ステンレス材等の非磁性の材料で形成されるものであり、この規制部材16の突出端16aの端縁がヨーク端面6sより可動コア7の方向に設定量Tだけ突出している。また、この規制部材16の突出端16aは、当接面積を縮小するように先細りに成形されている。尚、規制部材16はステンレス材の他に樹脂材を用いても良い。
【0030】
特に、軸芯Xに沿う方向視において、規制部材16の円周状となる突出端16aを、複数の呼吸孔7aが配置される仮想円と重なり合う位置に配置している。より具体的には、突出端16aの内径側の端部は呼吸孔7aの軸芯X側の端部よりも軸芯Xから遠い側に配置されており、且つ突出端16aの外径側の端部は呼吸孔7aの軸芯Xから遠い側の端部よりも軸芯Xに近い側に配置されている。これにより、
図2に示すように、可動コア端面7sがヨーク端面6sに最も接近したときに、内部空間Sが呼吸孔7aを介して作動ロッド8と貫通孔Hの壁面との間に形成される外部と連通する空間(呼吸油路)と連通する。
【0031】
また、規制部材16の基端側(スプール1に近い側)の端部に、軸芯Xに沿う姿勢の切り込み(スリット)を形成することで、この基端部分を半径方向に弾性変形できるように構成し、この規制部材16の基端部分を嵌合保持部15の内面に弾性力によって圧着させるように構成しても良い。
【0032】
図1は、ソレノイド5のコイル5bに電流を供給しないOFF状態における(ソレノイド5の非通電時における)コイルユニットCを示している。このようにソレノイド5がOFF状態にある場合には、スプール1に作用するスプールスプリング3から作用する付勢力が作動ロッド8から可動コア7に作用するため、保持スプリング10の付勢力に抗して、ヨーク端面6sから可動コア端面7sが離間する状態が維持される。
【0033】
図2は、ソレノイド5のコイル5bに電流を供給したON状態における(ソレノイド5の通電時における)コイルユニットCを示している。このようにソレノイド5がON状態にある場合には、ソレノイド5から固定コア6を介して可動コア7に作用する磁力により可動コア7が作動し、可動コア端面7sがヨーク端面6sに接近するものの、可動コア端面7sが規制部材16の突出端16aに当接するため、可動コア端面7sとヨーク端面6sとの間に間隙が形成される。この間隙は前述した設定量Tと一致する値である。
【0034】
つまり、可動コア7と固定コア6とが磁性材料で形成されるため、例えば、可動コア端面7sとヨーク端面6sとが密着する構成では、ソレノイド5が通電状態から非通電状態に切り換わった後であっても、残留磁気の作用や、密着面を維持する力の作用等により、可動コア端面7sとヨーク端面6sとが密着する状況が継続する不都合を招くことも想像される。
【0035】
これに対し、本実施形態では、ソレノイド5がON状態からOFF状態に切り換わった場合には、規制部材16によってヨーク端面6sと可動コア端面7sとの間に間隙が既に形成されているため、残留磁気が作用する状況であっても可動コア7を迅速に非通電時の位置まで移動させ、応答性の向上を実現している。
【0036】
また、突出端16aの内径側の端部は呼吸孔7aの軸芯X側の端部よりも軸芯Xから遠い側に配置されており、且つ突出端16aの外径側の端部は呼吸孔7aの軸芯Xから遠い側の端部よりも軸芯Xに近い側に配置されているので、可動コア端面7sとヨーク端面6sとの間の内部空間Sを可動コア7に形成された呼吸孔7aと連通させることができる。
あるいは、内部空間Sを、呼吸孔7aを介して作動ロッド8と貫通孔Hの壁面との間の呼吸油路と連通させることができる。
これにより、保持スプリング10が配置されているバネ室内の作動油を逃がすための呼吸孔7aを利用して内部空間Sの作動油を逃がすことができるので、可動コア端面7sやヨーク端面6sに内部空間Sの溝等を加工することなく、簡便な構成で内部空間Sの負圧を軽減して応答性を向上させることができる。
【0037】
〔実施形態の作用効果〕
このような構成から、ソレノイド5がON状態に設定された場合に、規制部材16の突出端16aが可動コア端面7sに当接することにより、可動コア端面7sと、ヨーク端面6sとの間に間隙が形成される。このため、ソレノイド5がON状態からOFF状態に切り換わった場合には、残留磁気が作用する状況であっても可動コア7を迅速に非通電時の位置まで移動させ、応答性の向上を実現する。
【0038】
また、ソレノイド5がON状態に設定された場合には、可動コア7において複数の呼吸孔7aが形成された領域に規制部材16の突出端16aが当接するため、規制部材16の突出端16aの全周が可動コア端面7sに密着する不都合を防止し、ソレノイド5がON状態からOFF状態に切り換わった場合の応答性の一層の向上を実現する。
【0039】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0040】
(a)
図3に示すように、規制部材16の突出端16aの端縁を、周方向に沿って設定間隔で切り欠くことにより、複数の凸部16cと凹部16dと交互に形成しても良い。このように構成することにより、ソレノイド5がON状態に設定された場合に、可動コア端面7sに規制部材16の突出端16aの端縁の全周が密着する不都合を防止し、ソレノイド5がON状態からOFF状態に切り換わった場合の応答性の向上を実現する。
【0041】
(b)規制部材16を、実施形態と同様に軸芯Xと同軸芯上に配置される円筒状に形成すると共に、可動コア端面7sのうち、規制部材16の突出端16aの端縁に当接する領域に、狭小の多数の溝を形成する、あるいは、粗面を形成することにより、規制部材16の突出端16aの端縁の全周のうちの一部と、可動コア端面7sとの間に僅かな間隙を形成しても良い。これにより、ソレノイド5がON状態からOFF状態に切り換わった場合の密着を解消し、応答性の向上を実現する。
【0042】
(c)ヨーク端面6sに軸芯Xと同軸芯となる環状の溝部を形成し、この溝部に対して筒状の規制部材16を填め込み、突出端16aがヨーク端面6sから突出する状態で固定する。このように構成したものでも、ソレノイド5がON状態に達した場合に可動コア端面7sと、ヨーク端面6sとの間に間隙を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ソレノイドの通電により可動コアを作動させる制御バルブに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
5 ソレノイド
6 固定コア
7 可動コア
7a 呼吸孔
8 作動ロッド
10 保持スプリング(バネ)
16 規制部材
16c 凸部
16d 凹部
H 貫通孔
S 内部空間
X 軸芯