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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】人口分布集計装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240315BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020556590
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2019027969
(87)【国際公開番号】W WO2020095480
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018209074
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中川 智尋
(72)【発明者】
【氏名】堂面 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一也
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054921(JP,A)
【文献】特開2018-073043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0100373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の領域を広域エリア単位で分割して定義された複数の広域エリアのそれぞれに位置するユーザ端末数を示す広域エリアデータを生成する広域エリアデータ生成部と、
複数のユーザ端末において測位された当該ユーザ端末の位置を示す位置情報を用いて、所定の位置情報取得パターンごとに、前記複数の広域エリアのそれぞれを所定の地理的分解能で示される狭域エリア単位で分割した複数の狭域エリアのそれぞれに位置するユーザ端末数を取得して狭域エリアデータを生成する狭域エリアデータ生成部と、
位置情報取得パターンごとの前記狭域エリアデータのそれぞれの間における一致の程度を算出し、当該一致の程度に基づいて、前記位置情報取得パターンごとの前記狭域エリアデータの信頼度を算出し、前記狭域エリアデータから、前記信頼度が所定条件を満たす狭域エリアデータを採用し、採用した狭域エリアデータに基づいて広域エリア単位にユーザ端末数を集計した評価用広域エリアデータを生成し、当該評価用広域エリアデータと前記広域エリアデータとの間の一致の程度を判断し、当該一致の程度が所定条件を満たした狭域エリアデータを採用する、信頼度算出部と、
前記採用した狭域エリアデータにおける狭域エリアごとの前記ユーザ端末数の分布割合を、前記広域エリアデータに適用して、前記狭域エリアの端末数を推計する人口推計部と、
を備える、
人口分布集計装置。
【請求項2】
前記位置情報取得パターンは、前記複数のユーザ端末の位置情報の属性を示す属性情報に基づく、請求項1に記載の人口分布集計装置。
【請求項3】
前記属性情報は、測位種別および端末種別の少なくともいずれか一方を含む、請求項2に記載の人口分布集計装置。
【請求項4】
前記狭域エリアデータ生成部は、
前記位置情報取得パターンに基づいて、前記位置情報を複数のグループにグループ化し、それぞれのグループごとに、狭域エリアごとの位置情報数を集計した狭域エリアデータを生成し、
前記信頼度算出部は、
前記グループごとに生成された前記狭域エリアデータのうち所定条件を満たす狭域エリアデータに基づいた評価用狭域エリアデータと前記広域エリアデータとの間の一致の度合いを判断することにより、前記所定条件を満たす狭域エリアデータの信頼度を算出する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の人口分布集計装置。
【請求項5】
前記信頼度算出部は、
グループごとに生成された複数の狭域エリアデータに基づいて、相互に一致の程度の高い複数の狭域エリアデータを選択し、当該複数の狭域エリアデータを合成して前記評価用狭域エリアデータを生成する、請求項4に記載の人口分布集計装置。
【請求項6】
前記信頼度算出部により算出された信頼度が所定条件を満たさない場合には、前記狭域エリアデータ生成部は、分割単位を示す地理的分解能、および集計時間単位である時間的分解能の少なくともいずれか一方を変えて、再度、前記狭域エリアデータを生成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の人口分布集計装置。
【請求項7】
前記狭域エリアデータは、ユーザ端末において測位される方法に基づいて生成され、
前記広域エリアデータは、ネットワーク側において測位される方法に基づいて生成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の人口分布集計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末の位置情報を集計する人口分布集計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、携帯端末を携帯するユーザの人口分布を解析して、ターゲット地域の人口分布を解析することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-30373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、統計的信頼度を確保しつつ地理的分解能の高い人口分布を算出することはできない。すなわち、特許文献1に記載の技術では、ユーザ端末自体およびその測位手段による位置測位の特性を考慮せずに、ユーザ端末の位置情報を集計しており、その統計的信頼度を損なう、という問題がある。
【0005】
そこで、上述の問題を解決するために、本発明は、統計的信頼度を保ち地理的分解能の高い人口分布を算出することができる人口分布集計装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の人口分布集計装置は、複数のユーザ端末において測位された当該ユーザ端末の位置を示す位置情報を用いて、所定の位置情報取得パターンごとに、予め定義された広域エリアを所定の地理的分解能で分割した複数の狭域エリアのそれぞれに位置するユーザ端末数を取得して狭域エリアデータを生成する狭域エリアデータ生成部と、前記広域エリアごとに位置するユーザ端末数を示す広域エリアデータと前記狭域エリアデータとに基づいて、前記位置情報取得パターンごとの前記狭域エリアデータの信頼度を算出する信頼度算出部と、前記信頼度に従って、前記狭域エリアデータと前記広域エリアデータとに基づいて、前記狭域エリアの端末数を推計する人口推計部と、を備える。
【0007】
この構成により、所定の位置情報取得パターンごとに狭域メッシュデータを生成し、それに基づいた狭域メッシュデータと広域メッシュデータとに基づいて狭域メッシュデータの信頼度の評価を行うことができる。従って、より統計的信頼度の高い狭域メッシュデータを選択することができ、それを用いた狭域メッシュの人口分布を高精度で推計することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、統計的信頼をもった地理的分解能の高い人口分布を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の人口分布集計装置100を含んだ通信システムのシステム構成を示す図である。
図2】人口分布集計装置100の機能構成を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末200により測位された端末測位データおよびネットワークにおいて測位された概略測位データの具体例を示す図である。
図4】地理的分解能および時間的分解能を、分解能IDと対応付けた管理テーブルの具体例を示す図である。
図5】狭域メッシュグループ管理テーブルの具体例を示す図である。
図6】狭域メッシュデータ管理テーブルおよび広域メッシュ管理テーブルの具体例を示す図である。
図7】狭域メッシュデータおよび広域メッシュデータを模式的に示した模式図である。
図8】評価用広域メッシュデータの算出過程およびその評価について説明する図である。
図9】人口分布集計装置100の動作を示すフローチャートである。
図10】人口分布集計装置100の動作を示すフローチャートである。
図11】本開示の一実施の形態に係る人口分布集計装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本開示の一実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態の人口分布集計装置100を含んだ通信システムのシステム構成を示す図である。図1に示されるとおり、人口分布集計装置100、ユーザ端末200、基地局250、および位置情報サーバ300を含んで構成されている。ユーザ端末200は、例えば、移動体通信網を使った通信を行う携帯電話、またはスマートフォンである。ユーザ端末200は、基地局250と無線通信を行い、ネットワークを介してインターネットまたはその他の通信端末と通信を行う。
【0012】
位置情報サーバ300は、ユーザ端末200の位置管理を行うサーバである。この位置情報サーバ300は、ユーザ端末200が加入している移動体通信網の通信事業者が所有するサーバであり、ユーザ端末200の位置管理を行うサーバである。位置情報サーバ300は、基地局250におけるユーザ端末200が在圏する概略位置を取得し、記憶する。
【0013】
また、ユーザ端末200は、GPS測位を行うことにより高精度の位置情報を取得し、人口分布集計装置100または位置情報サーバ300に送信する。
【0014】
人口分布集計装置100は、位置情報サーバ300が記憶している各ユーザ端末200の概略位置情報およびユーザ端末200がGPS測位した精細位置情報に基づいて、狭域メッシュおよび広域メッシュにおける人口分布を算出する。
【0015】
つぎに、人口分布集計装置100の機能構成について説明する。図2は、人口分布集計装置100の機能構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、人口分布集計装置100は、測位データ取得部101(第1位置情報取得部、第2位置情報取得部)、測位データ蓄積部102(位置情報記憶部)、広域メッシュ生成部103、狭域メッシュ生成部104、地理的分解能指定部105、時間的分解能指定部106、分解能管理テーブル107、狭域メッシュグループ管理部108(広域エリアデータ生成部、狭域エリアデータ生成部)、狭域メッシュグループ管理テーブル108a、狭域メッシュデータ管理テーブル108b、広域メッシュデータ管理テーブル108c、信頼度評価部109(信頼度算出部)、および人口分布推計部110(人口推計部)を含んで構成されている。また、この人口分布集計装置100と通信するユーザ端末200は、端末測位部201、測位データ蓄積部202、および送信部203を含んで構成されている。以下、人口分布集計装置100について説明する。
【0016】
測位データ取得部101は、ユーザ端末200が在圏している基地局250と通信することにより得られるユーザ端末のユーザ端末200の概略位置情報(第2位置情報)を取得する部分である。なお、ユーザの位置情報は、その通信によって、当該基地局250の位置情報または当該基地局250が形成するセルの中心位置を、ユーザ端末200の概略位置情報(第2位置情報)としてもよい。それ以外においても、ネットワーク内において概略的にユーザ端末200の位置情報を取得することができる。この概略位置情報は、位置情報サーバ300に記憶されている情報であり、測位データ取得部101は、この位置情報サーバ300から概略位置情報を取得する。また、測位データ取得部101は、ユーザ端末200から送信されるGPS位置情報など詳細位置情報を取得する。
【0017】
測位データ蓄積部102は、測位データ取得部101が取得した概略位置情報またはユーザ端末200から送信されたGPS位置情報(詳細位置情報(第1位置情報))を含む測位データを記憶する部分である。
【0018】
図3(a)は、その測位データのうちユーザ端末200において取得された測位データ(端末測位データ)の具体例を示す図である。図に示される通り、測位データは、タイムスタンプ、ユーザID、座標情報(緯度、経度)、および測位データの属性情報(当該ユーザ端末のOS、OSバージョン、測位アプリケーション名、そのバージョン情報、ユーザ端末の機種名、測位種別、測位精度)を対応付けている。測位データの属性情報をキーにして、測位データを絞り込むことを可能にしている。
【0019】
図3(b)は、測位データのうち測位データ取得部101により取得された測位データ(概略測位データ)の具体例を示す図である。図に示される通り、測位データは、タイムスタンプ、ユーザID、座標情報(緯度、経度)を対応付けている。
【0020】
広域メッシュ生成部103は、所定の広域分割パターンで地図情報を分割して、複数の広域メッシュ(広域エリア)を生成する部分である。
【0021】
狭域メッシュ生成部104は、広域メッシュ生成部103が生成した広域メッシュをさらに所定の狭域分割パターンで分割して、狭域メッシュ(狭域エリア)を生成する部分である。この狭域分割パターンは、後述する地理的分解能に基づいて定義される。
【0022】
地理的分解能指定部105は、狭域メッシュ生成部104の狭域分割パターンの大きさ(分解能)を指定する部分である。例えば、狭域メッシュを100m×100mの分割パターンで分割するなどを指定する。この指定はユーザ操作により行われる。
【0023】
時間的分解能指定部106は、狭域メッシュグループ管理部108において、位置情報の時間的な集計単位の粒度を指定する部分である。例えば、時間的分解能指定部106は、1時間単位の位置情報の数、または1日単位の位置情報の数など、位置情報の数(すなわち端末数)を集計するための時間単位の粒度を指定する。この粒度は、分解能管理テーブル107に定義された時間的分解能に基づいて設定される。
【0024】
分解能管理テーブル107は、地理的分解能および時間的分解能を、分解能IDと対応付けて記述する部分である。この分解能管理テーブル107は、地理的分解能指定部105および時間的分解能指定部106が地理的または時間的分解能を指定する際に参照される。図4は、その管理テーブルの具体例である。例えば、分解能ID000000001には、時間的分解能として1ヵ月、地理的分解能として100mが定義されている。この地理的分解能は、狭域メッシュのサイズを示し、後述する狭域メッシュグループを生成する際において、100m×100mを分割パターンとして狭域メッシュが生成される。また、この時間的分解能は、位置情報の数(端末数)の取得時間単位を1ヵ月単位とすることを示す。オペレータは、この管理テーブルを参照して、分解能IDを指定することで、地理的分解能および時間的分解能を指定することができる。
【0025】
狭域メッシュグループ管理部108は、広域メッシュ生成部103、狭域メッシュ生成部104、地理的分解能指定部105、時間的分解能指定部106、および測位データ蓄積部102のそれぞれからの出力に基づいて、広域メッシュ単位おける高精細人口分布を算出するために、その前処理となる狭域メッシュグループおよびその狭域メッシュデータを生成する部分である。ここで、狭域メッシュデータは、各狭域メッシュにおけるユーザ端末数(位置情報数に相当)を示す。狭域メッシュグループは、測位データの属性情報に基づいて定められる。
【0026】
例えば、狭域メッシュグループ管理部108は、測位データ蓄積部102から測位データを取得し、OS種別および/または測位種別に基づいて、グループ化する。
【0027】
図5は、狭域メッシュグループを記述する狭域メッシュグループ管理テーブル108aの具体例を示す。図に示されるとおり、狭域メッシュグループIDごとに、OS種別および測位種別の組合せに対応付けて、狭域メッシュグループIDが割り振られている。
【0028】
狭域メッシュグループ管理部108は、グループ化した単位で、その測位データのレコード数を集計することにより、狭域メッシュごとの狭域メッシュデータを算出する。
【0029】
図6(a)は、狭域メッシュデータを記述する狭域メッシュデータ管理テーブル108bの具体例を示す。図に示されるとおり、狭域メッシュデータは、狭域メッシュグループID、分解能ID、狭域メッシュID、およびユーザ端末数を対応付けたデータである。狭域メッシュグループ管理部108は、狭域メッシュグループごとにこれら情報を記憶している。
【0030】
また、狭域メッシュグループ管理部108は、広域メッシュ単位で、その測位データのレコード数を集計することにより、広域メッシュごとの広域メッシュデータを算出する。
【0031】
図6(b)は、広域メッシュデータを記述する広域メッシュデータ管理テーブル108cの具体例を示す。図に示されるとおり、広域メッシュデータは、広域メッシュID、およびユーザ端末数を対応付けている。
【0032】
信頼度評価部109は、狭域メッシュグループ管理部108で生成された狭域メッシュグループごとの狭域メッシュデータに対する評価を行う部分である。例えば、信頼度評価部109は、狭域メッシュグループにおける狭域メッシュデータに基づいて狭域メッシュグループ間の相関を算出することにより、狭域メッシュグループ管理部108で生成したどの狭域メッシュグループを採用するか決定する。さらに、採用した一または複数の狭域メッシュグループに基づいた狭域メッシュデータと、広域メッシュにおける広域メッシュデータと、の相関係数を算出することにより、狭域メッシュグループの評価を行う。広域メッシュデータとの相関係数が高いほど、その評価は高いとする。
【0033】
人口分布推計部110は、当該狭域メッシュデータを用いて、狭域メッシュ単位ごとの端末数比を算出し、広域メッシュ単位の広域メッシュデータを、狭域メッシュの端末数比に適用することにより、狭域メッシュ単位における人口分布を算出する。
【0034】
つぎに、信頼度評価部109における信頼度評価の具体例について説明する。図7は、ある領域を、3×3の広域分割パターンで分割した広域メッシュをさらに、2×2の狭域分割パターンで分割した狭域メッシュにおける狭域メッシュデータの具体例を示す。すなわち、ある領域を6×6の狭域分割パターンで分割した狭域メッシュごとの端末数を示す模式図である。
【0035】
図7(a)は、OS種別がAであり、測位種別がGPSで端末数を狭域メッシュ単位で集計した狭域メッシュデータを示すグループ1を示す。図7(b)は、OS種別がAであり、測位種別がWi-Fiで端末数を狭域メッシュ単位で集計した狭域メッシュデータを示すグループ2を示す。図7(c)は、OS種別がBであり、測位種別がGPSで端末数を狭域メッシュ単位で集計した狭域メッシュデータを示すグループ3を示す。図7(d)は、OS種別がBであり、測位種別がWIFIで端末数を狭域メッシュ単位で集計した狭域メッシュデータを示すグループ3を示す。図7(e)は、測位データ取得部101が取得したネットワーク測位データに基づいた端末数を広域メッシュ単位で集計した広域メッシュデータを示す模式図である。
【0036】
これを用いて、狭域メッシュグループに対する信頼度評価の算出方法について説明する。
【0037】
まず、信頼度評価部109は、図7(a)~図7(d)に示される各狭域メッシュグループ同士の狭域メッシュデータの相関係数を算出する。信頼度評価部109は、所定の閾値以上の相関係数である狭域メッシュグループを選択する。この相関係数は、例えば、コサイン類似度など公知の計算手法を用いて算出される。本実施形態においては、図7(a)~図7(c)に示される狭域メッシュグループが、相互に狭域メッシュデータの相関が高いと判断され、図7(d)に示される狭域メッシュが、他の狭域メッシュデータとの相関が低いと判断される。
【0038】
相関係数が閾値以上となる狭域メッシュグループ同士が複数セットあり、それぞれのセットにおける狭域メッシュグループ同士は相関がない場合があり得る。例えば、グループA~Dがあったとして、グループAとBは相関があり、グループCとDは相関があるが、グループAとCとは相関がないなど、他のグループ間では相関がない場合である。この場合には、サンプル数を増やすために、狭域メッシュデータにおけるユーザ端末数が多いグループを採用とするのがよい。すなわち、グループAとBの全メッシュにおけるユーザ端末数と、グループCとDの全メッシュにおけるユーザ端末数を比較し、多い方のグループを採用する。
【0039】
より具体的にグループ間の相関の有無の判断を説明すると、以下の通りとなる。
【0040】
グループAと相関があるグループ:B
グループBと相関があるグループ:A
グループCと相関があるグループ:D
グループDと相関があるグループ:C
グループAと相関がないグループ:C、D
グループBと相関がないグループ:C、D
グループCと相関がないグループ:A、B
グループDと相関がないグループ:A、B
このように相関関係が把握されることにより、グループA、Bと、グループC、Dとが異なる相関セットにあることが把握できる。そして、上述したとおり、ユーザ端末数をより多く含んでいる相関セットのグループを採用するのがよい。
【0041】
なお、グループ間の相関に基づいて判断することにかえて、グループ間の同一位置におけるメッシュ同士のユーザ端末数の比率に基づいて判断してもよい。すなわち、信頼度評価部109は、グループ間において狭域メッシュデータの各メッシュの比率を算出し、その分散を算出する。例えば、図7におけるグループ1の狭域メッシュデータをグループ2の狭域メッシュデータで、各メッシュ単位で除算する。これによって、まずは、それぞれメッシュ単位で比率が算出される。そして、この比率の分散を算出する。この分散が所定の閾値以下である場合には、そのグループを採用する。これによって、評価のためのグループを選択することができる。なお、分散が閾値以下ということは、その一致の程度が同じであることを示し、相関分析と同じ観点から分析したものである。
【0042】
分散が所定値以下のグループ同士が複数セットあった場合には、上記同様、ユーザ端末数の多いグループ同士を採用する。
【0043】
また、これらにかえて、事前に測位データの属性情報に優先度を与えておき、複数のグループが選択された場合、その上位のものを採用してもよい。例えばグループAとB、グループCとDが、それぞれ相関が高いと判断された場合、グループAが、その測位データの属性情報の優先度が高いと設定されていた場合には、グループAとBを採用する。
【0044】
つぎに、信頼度評価部109は、各狭域グループのそれぞれを合計した評価用狭域メッシュデータと、広域メッシュデータとの相関係数を算出する。図8は、その算出処理を示す模式図である。図8(a)~図8(c)は、相関が高いと判断された狭域メッシュグループを示す。図8(d)は、評価用狭域メッシュデータを示す。この評価用狭域メッシュデータは、相関が高いと判断された各狭域メッシュグループの狭域メッシュデータを、その位置を同じにする狭域メッシュごとに集計したデータである。
【0045】
例えば、図8(d)における狭域メッシュpの狭域メッシュデータは、図8(a)~図8(c)における、位置を同じにする狭域メッシュp1~p3の狭域メッシュデータを合計した合計値である。他の狭域メッシュデータも同様である。
【0046】
図8(e)は、評価用広域メッシュデータを示す模式図である。評価用広域メッシュデータは、評価用狭域メッシュデータに基づいて生成される。評価用広域メッシュデータとは、広域メッシュ単位に、評価用狭域メッシュデータを集計したものである。
【0047】
例えば、図8(e)における広域メッシュtの評価用広域メッシュデータは、図8(d)における狭域メッシュp、q、r、sで示される狭域メッシュデータの合計値として算出される。
【0048】
図8(f)は、測位データ取得部101で取得されたネットワーク測位データに基づいた広域メッシュデータを示す。この広域メッシュデータは、ユーザ端末200が通信することにより得られる位置情報に基づいたものであり、その母集団は、一般的に上述したGPS測位した位置情報などの数よりも大きい。
【0049】
つぎに、信頼度評価部109は、評価用広域メッシュデータ(図8(e))と、測位データ取得部101で取得されたネットワーク測位データに基づいた広域メッシュデータ(図8(f))との相関を算出する。相関係数の算出処理は、上述と同様にコサイン類似度を用いて行われる。信頼度評価部109は、この相関係数(コサイン類似度)が、所定の閾値以上であるか否かに基づいて、評価用狭域メッシュデータを採用するか否かを判断する。すなわち相関係数が所定以上であれば、その評価用狭域メッシュデータのユーザ端末数を採用し、所定値未満であれば、採用せず、つぎの異なる狭域メッシュデータを取得する。異なる狭域メッシュデータとは、地理的分解能を変え(その分割パターンをさらに細かくする)、または時間的分解能を変えて(集計時間単位を変える)取得された狭域メッシュデータである。
【0050】
このようにして、信頼度評価部109は、生成された狭域メッシュグループから必要な狭域メッシュグループを選択し、その狭域メッシュグループの狭域メッシュデータに基づいて評価用狭域メッシュデータを生成し、この評価用狭域メッシュデータに基づいて評価用広域メッシュデータを生成し、狭域メッシュデータの評価を行う。これによって、統計的信頼度を向上させた狭域メッシュデータを得ることができる。
【0051】
なお、相関係数に基づいた処理に代えて、評価用広域メッシュデータと、広域メッシュデータとの間で、各広域メッシュ単位で比率を算出し、その分散が所定値以下である場合には、評価用狭域メッシュデータを採用するか否かを判断してもよい。
【0052】
つぎに、ユーザ端末200について説明する。ユーザ端末200は、端末測位部201、測位データ蓄積部202、および送信部203を含む。
【0053】
端末測位部201は、ユーザ端末200の位置を測位する部分であり、例えば、GPS測位により座標情報(位置情報)を取得する。そのほか、WIFIにより測位する方法、ビーコンにより測位する方法などがある。
【0054】
測位データ蓄積部202は、端末測位部201が測位した位置情報を含む測位データを記憶する部分である。測位データは、図3(a)に示される項目と同じである。
【0055】
送信部203は、測位データを人口分布集計装置100に送信する部分である。
【0056】
このように構成された人口分布集計装置100において、その動作について説明する。図9および図10は、人口分布集計装置100の動作を示すフローチャートである。事前に、オペレータは、地理的分解能指定部105および時間的分解能指定部106を操作することにより、狭域メッシュの地理的分解能および時間的分解能を指定する(S101、S102)。
【0057】
狭域メッシュグループ管理部108は、端末測位データをその属性ごとに分類し、狭域メッシュグループを生成する(S103)。例えば、OS種別がA、測位種別がGPSなどで分類して、当該OS種別等ごとに、地理的分解能で指定された分解能に従った狭域メッシュを示した狭域メッシュグループを生成する。
【0058】
狭域メッシュグループ管理部108は、各狭域メッシュグループにおける狭域メッシュごとの端末数を集計し、狭域メッシュデータを生成する(S104)。
【0059】
狭域メッシュグループ管理部108は、各狭域メッシュグループ間の相関分析を行い、相関係数を算出することで各狭域メッシュグループの信頼度を評価する(S105)。
【0060】
狭域メッシュグループ管理部108は、その相関係数が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S106)。その相関係数が、所定の閾値以上であると判断されると、その評価対象となる狭域メッシュグループの狭域メッシュデータを採用する(S107)。その相関係数が、所定の閾値未満であると判断されると、その評価対象となる狭域メッシュグループの狭域メッシュデータを採用しない(S108)。これをすべてのグループの組合せについて繰り返し行い、相関係数の算出を行う(S109)。なお、上述したとおり相関係数に基づいた判断に変えて、各メッシュ単位の比率の分散に基づいて狭域メッシュデータの採用の有無を判断してもよい。
【0061】
引き続き、図10に基づいて、その動作を説明する。狭域メッシュグループ管理部108は、採用した狭域メッシュデータを取得し(S110)、それら狭域メッシュデータから評価用広域メッシュデータを生成する(S111)。
【0062】
一方で、狭域メッシュグループ管理部108は、測位データ取得部101が取得したネットワーク測位データを測位データ蓄積部102から取得して、広域メッシュデータを生成する(S112)。
【0063】
そして、信頼度評価部109は、評価用広域メッシュデータと広域メッシュデータとの間の相関分析を行い、信頼度評価を行う(S113)。信頼度評価部109は、算出した相関係数が閾値以上であるか否かを判断し(S114)、相関係数が閾値以上であれば、評価用広域メッシュデータの元データである狭域メッシュデータを採用し(S115)、相関係数が閾値未満であれば、狭域メッシュデータを採用しない(S116)。なお、上述したとおり相関係数に基づいた判断に変えて、各広域メッシュ単位の比率の分散に基づいて評価用広域メッシュデータ(およびその元となる狭域メッシュデータ)の採用の有無を判断してもよい。
【0064】
この処理により、指定された地理的分解能および時間的分解能で生成された狭域メッシュデータの採用の有無が判断される。採用できない場合には、再度、S101に戻り、異なる地理的分解能および時間的分解能を指定し、上記処理を繰り返し行う。なお、地理的分解能および時間的分解能については、最初は最小分解能で指定され、徐々にその分解能を大きくする方向で指定されるのがよい。
【0065】
その後、人口分布推計部110は、採用した狭域メッシュデータの分布割合を、広域メッシュデータに適用して、狭域メッシュにおけるユーザ端末数(人口分布)を算出する。
【0066】
この処理により、統計的信頼度を確保した人口分布を算出することができる。なお、上述処理は、ユーザ属性ごとに集計することもできる。すなわち、ユーザ属性として、事前に性別、年代(または年齢)、居住地、趣味嗜好を、ユーザIDに紐付けておき記憶しておき、狭域メッシュデータおよび広域メッシュデータを生成する際においては、それらユーザ属性ごとに集計することもできる。
【0067】
つぎに、本実施形態の人口分布集計装置100の作用効果について説明する。本実施形態の人口分布集計装置100は、複数のユーザ端末200においてGPSなどの第1の方法に従って測位された当該ユーザ端末の位置を示す詳細位置情報を取得するとともに、ネットワークインフラによって測位法などの第2の方法により測位された複数のユーザ端末の概略位置情報を取得する測位データ取得部101と、ユーザ端末200ごとの詳細位置情報および概略位置情報を記憶する測位データ蓄積部102と、測位データ蓄積部102に記憶されている概略位置情報を用いて、予め定義された広域メッシュごとに位置するユーザ端末数を取得して広域メッシュデータを生成し、測位データ蓄積部102に記憶されている詳細位置情報を用いて、所定の位置情報取得パターンごとに、広域メッシュを所定の地理的分解能で分割した複数の狭域メッシュのそれぞれに位置するユーザ端末数を取得して狭域メッシュデータを生成する狭域メッシュグループ管理部108と、狭域メッシュデータと広域メッシュデータとに基づいて、位置情報取得パターンごとの狭域メッシュデータの信頼度を算出する信頼度評価部109と、信頼度に従って、狭域メッシュデータと広域メッシュデータとに基づいて、狭域メッシュのユーザ端末数を推計する人口分布推計部110と、を備える。
【0068】
この構成により、所定の位置情報取得パターンごとに狭域メッシュデータを生成し、それに基づいた狭域メッシュデータと広域メッシュデータとに基づいて狭域メッシュデータの信頼度の評価を行うことができる。従って、より信頼度の高い狭域メッシュデータを選択することができ、狭域メッシュの人口分布を推計することができる。すなわち統計的信頼度の高い人口分布を算出することができる。
【0069】
本実施形態においては、統計的信頼性を維持しつつ、地理的分解能の高い人口分布を算出することができる。。
【0070】
また、測位データ蓄積部102は、詳細位置情報として前記ユーザ端末の位置情報に加えて、当該詳細位置情報の属性を示す属性情報を記憶し、位置情報取得パターンは、前記属性情報に基づくものとして、狭域エリアデータを生成する。この属性は、例えば、測位種別および端末種別とする。
【0071】
一般的に、測位属性、例えば測位種別または端末種別によって、位置情報の位置の測位ずれは異なり、またその測位の状況、測位した時間によって、位置の測位ずれが異なる。本実施形態においては、測位種別または端末種別に応じた狭域メッシュデータを算出することで、位置の測位ずれが同じグループの測位データを選択することができる。従って、統計的信頼度を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態の人口分布集計装置100において、狭域メッシュグループ管理部108は、位置情報取得パターンに基づいて、詳細位置情報を複数のグループにグループ化し、それぞれのグループごとに、狭域エリアごとの詳細位置情報数を集計した狭域メッシュデータを生成する。信頼度評価部109は、グループごとに生成された狭域メッシュデータのうち所定条件を満たす狭域メッシュデータに基づいた評価用狭域メッシュデータと広域メッシュデータとに基づいて、狭域メッシュデータの信頼度を算出する。
【0073】
この構成により、グループ間で所定条件を満たす(例えば相関の高い)狭域メッシュデータを合成などして評価用メッシュデータを生成し、これに基づいて狭域メッシュデータの信頼度を評価することができる。したがって、相関が高いなど所定条件を満たす狭域メッシュデータを用いその母集団を大きくして評価をすることで、その信頼度の判断のための精度を向上させることができる。
【0074】
また、人口分布集計装置100において、信頼度評価部109は、評価用狭域メッシュデータと広域メッシュデータとの間の相関分析を行うことにより、相関係数が所定値より高いなど所定条件を満たす狭域メッシュデータの信頼度を算出する。
【0075】
より具体的には、信頼度評価部109は、グループごとに生成された複数の狭域メッシュデータに基づいて、相互に相関の高い複数の狭域メッシュデータを選択し、当該複数の狭域メッシュデータを合成して前記評価用狭域エリアデータを生成する。
【0076】
この構成により、評価用狭域メッシュデータと広域メッシュデータと関係が所定条件(相関が高い)を満たすか否かなど、その狭域メッシュデータの信頼度を算出することができる。したがって、より信頼度の高い狭域メッシュデータを選択でき、信頼度の高く高精度の人口分布を算出することができる。
【0077】
また、人口分布集計装置100において、信頼度評価部109により算出された信頼度が所定条件を満たさない場合には、狭域メッシュグループ管理部108は、分割単位を示す地理的分解能、および集計時間単位である時間的分解能の少なくともいずれか一方を変えて、再度、狭域メッシュデータを生成する。
【0078】
この構成により、分解能を変えて、再度やり直すことができ、より適切な信頼度の高い狭域メッシュデータを生成することができる。細かい分解能から大きな分解能に変遷させることが効果的である。例えば、分解能を小さくしすぎると、ユーザ端末数が0となる狭域メッシュが出ることがある。そのような人口分布データを用いて統計処理を行おうとする場合、不適切となることがあり、適度に、人口分布がばらついていた方が、統計処理上都合がよいことがある。よって、分解能を大きくすることで、狭域メッシュ単位に0となる人口分布となることを防ぐことができる。なお、逆に、分解能を小さくする方向にすること都合がよい場合もある。
【0079】
人口分布集計装置100において、第1の方法は、ユーザ端末において測位される方法であり、記第2の方法は、ネットワーク側において測位される方法とする。一般的にユーザ端末で測位される方法は、その位置情報は詳細である。一方で、ネットワーク側で測位される方法は、位置情報は概略的であるが、その母数を多くとることができる。人口分布を算出する場合には、ネットワーク側で測位される方法で得た情報を用いることで、精度のよい人口分布を算出することができる。
【0080】
上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0081】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0082】
例えば、本開示の一実施の形態における人口分布集計装置100は、本開示の人口分布集計方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図11は、本開示の一実施の形態に係る人口分布集計装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の人口分布集計装置100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0083】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。人口分布集計装置100のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0084】
人口分布集計装置100における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0085】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の広域メッシュ生成部103、狭域メッシュ生成部104、狭域メッシュグループ管理部108,信頼度評価部109,人口分布推計部110などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0086】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、人口分布集計装置100の狭域メッシュグループ管理部108、および信頼度評価部109などは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0087】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る人口分布集計方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0088】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0089】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の測位データを送受信する部分などは、通信装置1004によって実現されてもよい。通信装置1004は、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0090】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0091】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0092】
また、人口分布集計装置100は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0093】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0094】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0095】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0096】
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0097】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0098】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0099】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0100】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0101】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0102】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0103】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0104】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0105】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0106】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0107】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0108】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0109】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0110】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0111】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0112】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0113】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0114】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0115】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
100…人口分布集計装置、101…測位データ取得部、102…測位データ蓄積部、103…広域メッシュ生成部、104…狭域メッシュ生成部、105…地理的分解能指定部、106…時間的分解能指定部、107…分解能管理テーブル、108…狭域メッシュグループ管理部、108a…狭域メッシュグループ管理テーブル、108b…狭域メッシュデータ管理テーブル、108c…広域メッシュデータ管理テーブル、109…信頼度評価部、110…人口分布推計部、200…ユーザ端末、201…端末測位部、202…測位データ蓄積部、203…送信部、250…基地局、300…位置情報サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11