(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】多空洞タービン翼用のセラミック中子
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20240315BHJP
B22C 9/24 20060101ALI20240315BHJP
F01D 5/18 20060101ALI20240315BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20240315BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B22C9/10 F
B22C9/24 C
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/00 D
(21)【出願番号】P 2021000819
(22)【出願日】2021-01-06
(62)【分割の表示】P 2017549652の分割
【原出願日】2016-03-22
【審査請求日】2021-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502255911
【氏名又は名称】サフラン
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】シルバン パカン
(72)【発明者】
【氏名】シャルロット マリー デュジョル
(72)【発明者】
【氏名】パトリス ウノー
(72)【発明者】
【氏名】ユーグ ドニ ジュベール
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ベルナール バンサン ロランジェ
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3040158(JP,B2)
【文献】特開2008-151112(JP,A)
【文献】特開2014-196735(JP,A)
【文献】特開平11-287103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/00 - 9/30
F01D 5/00 - 5/34
F01D 9/00 - 9/06
F02C 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するために使用されるセラミック中子であって、前記中空タービン翼は、前縁空洞及び後縁空洞(28、30、32)と、少なくとも一つの中央空洞(20、22)と、前記少なくとも一つの中央空洞と前記中空タービン翼の吸込側壁との間に配置された第1の側方空洞(24)と、前記少なくとも一つの中央空洞と前記中空タービン翼の圧力側壁との間に配置された第2の側方空洞(26)とを含む、ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するために使用されるセラミック中子において、
前記セラミック中子は、前記前縁空洞及び前記後縁空洞(28、30、32)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)と前記第1の側方空洞(24)と前記第2の側方空洞(26)の全てを単一要素として構成するように成形されており、且つ、冷却空気
が、前記前縁空洞及び前記後縁空洞(28、30、32)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)と前記第1の側方空洞(24)と前記第2の側方空洞(26)の全ての内部に供給されるようにするために、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を形成するための側方中子部(60、62)を含み、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を形成するための前記側方中子部(60、62)は、前記前縁空洞及び前記後縁空洞(28、30、32)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)を形成するための主中子部(42、44、48、50、52)に接続され、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を形成するための前記側方中子部(60、62)は、第一に、少なくとも二つのセラミック接合部(70)を介して中子付根(46、54)において、前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)に直接接続し、第二に、前記中空タービン翼の内部隔壁の厚さを規定する位置決めの複数の他のセラミック接合部(64、66、68)を介して前記セラミック中子に沿った種々の高さにおいて、前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)の間隔を制御するものである一方、前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)の所定の臨界域についての追加の冷却空気の保証も行い、
前記セラミック中子は、バスタブ(18)を形成するためのものであり、前記バスタブの厚さを規定する位置決めのセラミック接合部(57)を介して
前記少なくとも一つの中央空洞
(20、22)を形成するための
中央中子部
(44、48)に接続される一方、翼先端において冷却空気が排気されることを保証する中子部(59)を更に含み、
第1の中央空洞(20)と二つの側方空洞(24及び26)との間の接合部により残された孔(76及び78)と、第2の中央空洞(22)と二つの側方空洞(24及び26)との間の接合部により残された孔(72及び74)は異なる高さに配置されていることを特徴とするセラミック中子。
【請求項2】
前記所定の臨界域は、最大熱機械応力にさらされた前記第1の側方空洞及び前記第2の側方空洞の区間から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック中子。
【請求項3】
前記セラミック接合部は、溶融金属を鋳造しながら前記内部隔壁の機械的強度を保証するように定められた区分のものであることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック中子。
【請求項4】
ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するための請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミック中子の使用。
【請求項5】
ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するための製造方法であって、前記中空タービン翼は、前縁空洞及び後縁空洞(28、30、32)と、少なくとも一つの中央空洞
(20、22)と、前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)と前記中空タービン翼の吸込側壁との間に配置された第1の側方空洞(24)と、前記少なくとも一つの中央空洞と前記中空タービン翼の圧力側壁との間に配置された第2の側方空洞(26)とを含む、ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するための製造方法において、
前記製造方法は、前記前縁空洞及び前記後縁空洞
(28、30、32)と、前記少なくとも一つの中央空洞
(20、22)並びに前記第1の側方空洞
(24)及び前記第2の側方空洞
(26)に対応する単一要素セラミック中子を製造する工程を含み、前記単一要素セラミック中子は、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を形成するための側方中子部(60、62)を含み、前記
側方中子部(60、62)は、
前記前縁空洞及び前記後縁空洞(28、30、32)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)を形成するための主中子部(42、44、48、50、52)に接続され
、
前記第1の側方空洞
(24)及び前記第2の側方空洞
(26)を形成するため
の前記
側方中子部(
60、62)は、
冷却空気が、前記前縁空洞及び前記後縁空洞
(28、30、32)と前記少なくとも一つの中央空洞
(20、22)と前記第1の側方空洞(24)と前記第2の側方空洞(26)の内部に供給されるように、第一に
、少なくとも二つのセラミック接合部(70)を介して中子付根(46、54)において、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)を前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)に直接接続し、第二に、前記中空タービン翼の内部隔壁の厚さを規定する位置決めの複数の他のセラミック接合部(64、66、68)を介して前記単一要素セラミック中子に沿った種々の高さにおいて、
前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)と前記少なくとも一つの中央空洞(20、22)の間隔を制御す
るものである一方、前記第1の側方空洞(24)及び前記第2の側方空洞(26)の所定の臨界域についての追加の冷却空気の保証も行い、前記単一要素セラミック中子は、このように鋳型及び前記鋳型に流し込まれた溶融金属に設けられるように形成されており、
前記単一要素セラミック中子は、バスタブ(18)を形成するためのものであり、前記バスタブの厚さを規定する位置決めのセラミック接合部(57)を介して
前記少なくとも一つの中央空洞
(20、22)を形成するための
中央中子部
(44、48)に接続される一方、翼先端において冷却空気が排気されることを保証する中子部(59)を更に含
み、
第1の中央空洞(20)と二つの側方空洞(24及び26)との間の接合部により残された孔(76及び78)と、第2の中央空洞(22)と二つの側方空洞(24及び26)との間の接合部により残された孔(72及び74)は異なる高さに配置されていることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法のステップを備える、中空タービン翼を備えるタービンエンジンを製造するための製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタービンエンジンタービン用の翼群の一般的分野に関し、特に、冷却回路を内蔵し、ロストワックス鋳造技術により製造されたタービン翼に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、タービンエンジンは燃焼室を備え、燃焼室内において、空気と燃料とが燃焼前に混合される。このような燃焼の結果発生したガスは、燃焼室から下流へ流れ、その後、高圧タービン及び低圧タービンに供給される。各タービンは、一以上の動翼段(回転翼車輪と称される)と交互に並ぶ一以上の固定翼段(ノズルとして知られる)を備え、該段では、翼又は羽根が、タービンの回転翼の周囲全体にわたって円周方向に間隔を空けて配置される。このようなタービン翼又は羽根は、燃焼ガスの超高温にさらされ、該温度は、ガスとじかに接触した翼又は羽根により損傷することなく耐え得る値を優に上回る値に達するため、翼又は羽根の寿命を制限することになる。
【0003】
この問題を解決するために、このような翼又は羽根に内蔵型冷却回路を搭載することが知られており、冷却回路は、高水準の熱的有効性を示し、周囲に保護膜を生成するための翼又は羽根の壁内の送り穴とともに各翼又は羽根の内部に空気の組織的流れ(例えば、単純な直接供給型空洞、U字又は「トロンボーン」型空洞)を形成することにより翼又は羽根の温度を低減するように図る。
【0004】
しかしながら、上記技術にはいくつかの欠点がある。まず、トロンボーン型空洞を含む回路には、回路を貫通する空気による仕事を最大化するという利点があるものの、空気をかなり加熱することになるため、トロンボーン型空洞の端部に位置する複数の穴の熱的有効性の低下につながる。同様に、直接供給による前縁空洞及び後縁空洞を有する構成は、通常翼の先端で観察される高い温度レベルで効果的な応答を与えることができない。そして、種々の空洞は、翼型の異なる区間の関数として変動する厚さの壁のみによりガス流路から分離される。翼群又は羽根群を冷却することに充てられ得る流量に対する制約を仮定し、且つ、現在ガス流路において温度上昇傾向にあると仮定すると、空気流量を大幅に増大させることなく、したがって、エンジンの性能に不利な影響を及ぼすことなく、上記の種の回路で効果的に翼又は羽根を冷却することはできない。
【0005】
図5は、翼付根14と翼先端16との間を径方向に延びる空気力学的面又は翼型12を有するガスタービンエンジンの高圧タービン翼10を示す。翼付根は、翼を回転翼円板に取り付けることができるように成形される。翼先端は、翼型に対して相対的に横方向に延びる底部と、翼型12の壁を延長する縁部を形成する壁とにより構成されたバスタブ形状の部分18を形成する。原理を示すためのものにすぎない例として
図6の断面図に示されるように、翼型12は、複数の空洞20、22、24、26、28、30及び32を有する。第1の中央空洞20及び第2の中央空洞22は、翼型の付根から先端まで延び、二つの他の空洞24及び26は、中央空洞と翼の吸込側壁との間に吸込側壁に沿って、且つ、中央空洞と翼の圧力側壁との間に圧力側壁に沿って、中央空洞の両側に配置される。そして、空洞28は、前縁に近接する翼の部分に位置し、二つの空洞30及び32は、後縁に近接する翼の部分において一直線に順に並ぶ。
【0006】
空洞の形状及び数、並びに、外穴34及び36の位置及び後縁溝38の形状は、実例として示されるが、これらの要素のすべては、概して、翼が浸漬される燃焼ガスからの熱に最も感受性がある区間において熱効率を最大化するように最適化されることが想定される。内部空洞は、熱交換を向上させるために撹拌器(不図示)を更に備えることが多い。
【0007】
出願者名義のある特許文献に記載されるように、従来、高圧タービン翼及び羽根は、一つ以上のセラミック中子を(複雑性に依存して)金型に位置決めし、完成した翼又は羽根の内面を形成する外面を構成することにより内部に製作された回路の形状を有するように、ロストワックス鋳造により製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
特に、冷却回路は、
図5及び
図6における冷却回路のように、複数の空洞を有し、該空洞は、鋳造されるのに好適な金属壁厚さを保証するために、(高温ガスから隔離された複数の低温中央空洞、及び、異なる空気供給を行う複数の微細外側空洞を形成するための)複数の別個のセラミック中子を合わせて組み立てることを必要とする。したがって、これは、複雑操作を構成し、該操作において、セラミック中子の付根及び先端を介して手作業で実行される組立操作は、鋳造により翼の先端にバスタブが形成されることを妨げることにより、場合によっては上記区間における翼の機械的強度を制限することになり得る高価な追加の仕上げ操作(例えば、蝋付けによりバスタブ又は栓材料を追加する)を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、現行の手作業での組立よりも確実な方法で、溶融金属を鋳造した後の金属隔壁の厚さに対応する空洞間距離の保証もしつつ、従来技術の回路で必要とされる上記組立操作及びバスタブ仕上げ操作を省略するように単一の中子を使用して製作され得るタービン翼用の冷却回路を提案することにより複数の別個の中子を手作業で組み立てることに関連した欠点を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、ロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造するために使用されるセラミック中子であって、上記翼は、少なくとも一つの中央空洞と、上記少なくとも一つの中央空洞と上記翼の吸込側壁との間に配置された第1の側方空洞と、上記少なくとも一つの中央空洞と上記翼の圧力側壁との間に配置された第2の側方空洞とを含むセラミック中子が提供される。上記中子は、上記空洞を単一要素として構成するように成形されており、且つ、冷却空気と共に上記空洞の内部に供給されるようにするために、中子部を含み、上記中子部は、上記第1の側方空洞及び上記第2の側方空洞を形成するためのものであり、且つ、中子部に接続され、上記中子部は、上記少なくとも一つの中央空洞を、第一に、少なくとも二つのセラミック接合部を介して中子付根において、第二に、上記翼の内部隔壁の厚さを規定する位置決めの複数の他のセラミック接合部を介して上記中子に沿った種々の高さにおいて、形成するためのものである一方、上記第1の側方空洞及び上記第2の側方空洞の所定の臨界域についての追加の冷却空気の保証も行う。
【0012】
また、上記中子は、バスタブを形成するためのものであり、上記バスタブの厚さを規定する位置決めのセラミック接合部を介して少なくとも一つの中央空洞を形成するための上記中子部に接続される一方、翼先端において冷却空気が排気されることを保証する中子部を更に含む。
【0013】
翼本体を介したこれらの接合部を利用することで、翼先端における組立装置が不要になることにより、翼本体と同一の機械的特性を有する鋳造バスタブを得ることができる。また、付根を介した側方空洞の主な供給材料は、気流及び完成した翼型の外壁の冷却全体をより良く制御し、中子において、種々の空洞への供給材料は、射出後、合わせられることにより、中子の機械的強度を更に高めることができる。
【0014】
意図した実施形態において、上記所定の臨界域は、最大熱機械応力にさらされた上記第1の側方空洞及び上記第2の側方空洞の区間から選択され、上記セラミック接合部は、溶融金属を鋳造しながら上記内部隔壁の機械的強度を保証するように定められた区分のものである。
【0015】
本発明は、上述したような単一要素中子によりロストワックス鋳造技術を利用してタービンエンジン用の中空タービン翼を製造する方法と、このような方法を利用して製造された複数の冷却翼を備える任意のタービンエンジンタービンとの両方を更に提供する。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、限定的な性質を持たない実施形態を示す添付図面を参照することによりなされる以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のタービン翼中子の圧力側面図である。
【
図2】本発明のタービン翼中子の圧力側面図である。
【
図3】接合区間を示すための翼の高さにおける断面の
図1及び
図2の中子の図である。
【
図4A】翼に沿った異なる高さにおける断面図である。
【
図4B】翼に沿った異なる高さにおける断面図である。
【
図4C】翼に沿った異なる高さにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2は、翼に対して相対的な吸込側面図及び圧力側面図のそれぞれにおいて、タービンエンジン用のタービン翼を製造するためのセラミック中子40を示す。セラミック中子は、図示された例において、単一要素を形成する七つの部分又は列を含む。燃焼ガスが到達する側に設けられるべき第1の列42は、鋳造後に形成されるべき前縁空洞28に対応し、第2の列44は、それに隣接する中央空洞20に対応する。この空洞は、鋳造後、中子40の第1の列付根46が存在することにより生じる流路(不図示)を介して冷却空気流を受け取る。他の三つの列48、50及び52は、往復経路をたどり、中子の付根を形成するために第1の列付根46に接続された第2の列付根54が存在することにより生じる別の流路により搬送された第2の冷却空気流を受け取る、順に並んだ空洞22、30及び32に対応する。第1の列42と第2の列44とは、鋳造後、前縁空洞28を冷却するための供給孔(
図4Aの参照符号80を参照)に対応する一連の橋梁56により互いに接続される。少なくとも二つの上部橋梁57は、上記列及び中子40の先端59との接続において、鋳造中バスタブの底部における隔壁についての所望の厚さを得ることができ、空気排気孔を形成するように寸法も合わせられる。第4の列50に関して、鉛直に傾斜した小橋梁58は、製作されるべき翼の補強領域を有効にする中子のより薄肉の領域を形成する。
【0019】
種々の橋梁の大きさは、中子40を処理しつつ、それを使用不可にし得る橋梁の破損を回避するように定められる。検討中の例では、橋梁は、中子40の高さに沿って、特に、中子の第1の列42において、略一定の間隔を空けて配置されることにより分布される。
【0020】
本発明に従って、中子40は、横方向に配置され、溶融金属を鋳造する際に固体の空洞間壁を形成する余地を残すようにいずれも第2の列44及び第3の列48から所定の間隔を空けて設けられた第6の列60及び第7の列62を更に有する。これらの列を保持し、中子集合に剛性を与えるために、第6の列60の底端は、第1の列付根46に接続され、第7の列62の底端は、第2の列付根54に接続され、鋳型へ溶融金属を流し込みながら形成された内部隔壁に対して機械的強度を与えるのになお充分な寸法の小区分(例えば、
図3の参照符号64、66及び68を参照)の多数のセラミック接合部は、二つの側方列と中央の第2の列及び第3の列との間で翼の機能部分に配置される。
【0021】
二つの列付根接続部(第7の列62の付根におけるセラミック接合部70のみを介したものが示される)が存在することにより、鋳造後、側方空洞24及び26が、中央空洞20及び22の冷却空気供給流路に直接接続されるので、中子の機械的強度が更に高まり、完成した翼型において、冷却空気の内部気流及び外壁の冷却全体をより良く制御するように中子の付根を介した供給が向上する。
【0022】
図4A、
図4B及び
図4Cは、翼に沿った(又は中子に沿った)異なる高さにおける二つの中央空洞20及び22と二つの側方空洞24及び26との間の接合部により残された孔72、74、76及び78を示す。
図4Aにおいて、二つの孔72及び74が中央空洞22と各側方空洞24及び26との間に空気流路を規定し、孔80が橋梁56により生じる前縁空洞28と同じ高さであることがわかる。
図4Bにおいて、孔76は、中央空洞20と側方空洞24との間に空気流路を規定し、
図4Cにおいて、孔78は、中央空洞20と側方空洞26との間に空気流路を規定する。
【0023】
ひとたび単一要素中子が製作されれば、次の、翼を製造するロストワックス方法は、従来技術であり、その本質は、中子が蝋を注入する前に配置される射出成型金型を最初に形成することにある。このような方法で作成されるような蝋型は、その後、鋳型(シェル鋳型としても知られる)を製作するためにセラミック懸濁により構成されるスラリーに浸漬される。そして、蝋が除去され、シェル鋳型が焼成されるので、溶融金属を、その後、シェル鋳型に流し込むことができる。
【0024】
中子の中央列と側方列とを相互接続するセラミック接合部のために、それらの相対的間隔が翼の高さ全体にわたって制御される。これらの接合部は、完成した翼において、中央空洞から最大熱機械応力にさらされた側方空洞の区間へ向かって冷却空気の追加の供給を生じさせるように位置決めもなされることにより、翼の局所的な熱効率及び寿命も向上させる。特に、これらの接合部は、以下を保証するように寸法が合わせられ、配置される。
鋳造中の機械的強度、
中央空洞及び側方空洞の相対的な位置決め、即ち、翼における内部隔壁の厚さ、及び、
特に前縁への近接に対応する、臨界域における充分な追加の冷却空気。