(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】薬物透過性構成部材を備えた薬物送達デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61M37/00 590
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021029910
(22)【出願日】2021-02-26
(62)【分割の表示】P 2019078461の分割
【原出願日】2014-03-17
【審査請求日】2021-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514274409
【氏名又は名称】タリス バイオメディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒジン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,カレン
(72)【発明者】
【氏名】サンソーネ,マシュー
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0191068(US,A1)
【文献】特表2005-502426(JP,A)
【文献】米国特許第5629008(US,A)
【文献】国際公開第2009/029958(WO,A2)
【文献】特表2012-520148(JP,A)
【文献】特開昭60-181015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M31/00
A61M37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な薬物送達デバイスであって:
第一の材料で構成された第一の壁構造体、及び第二の材料で構成された親水性の第二の壁構造体で囲まれた閉鎖薬物リザーバ内腔を有するハウジング;及び
前記薬物リザーバ内腔に含まれる薬物(ここで、該薬物は固体形である)を含み、
前記第一の壁構造体は、前記薬物に対して不透過性であり、及び前記第二の壁構造体は、前記薬物に対して透過性であり、
前記第一の壁構造体、及び前記第二の壁構造体は、一緒に細長い管を形成し、第一及び第二の壁構造体は共に前記細長い管の
全長に沿って延びており、
前記第一及び第二の壁構造体は、水に対して透過性であり、前記デバイスは、固体形の前記薬物が、第一及び第二の壁構造体を通って、前記薬物リザーバ内腔に侵入した水と接触すると、前記第二の材料を通った拡散によって前記閉鎖薬物リザーバ内腔から可溶化薬物を放出するように構成されている、
前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、膀胱内に挿入し保持するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスが、患者の尿道を通して患者の膀胱内に挿入するのに適した相対的直線形状と、膀胱内にデバイスを保持するのに適した保持形状の間で弾性的に変形可能である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
保持フレーム内腔、及びその中に配置された保持フレームを更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第一の材料がシリコーンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第二の材料が熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第二の材料が、親水性のエラストマー材料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一の材料及び前記第二の材料は、2つの異なった高分子材料である、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第一及び前記第二の壁構造体が共押出法で形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記薬物が1つ以上の固体薬物ユニットの形状である、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記薬物が低溶解性薬物である、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記薬物が高溶解性薬物である、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記薬物が、リドカイン、ゲムシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、トロスピウム、トルテロジン、オキシブチニン、またはマイトマイシンCを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記薬物が、キナーゼ阻害剤である、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記薬物が、複数の錠剤の形態である、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記薬物送達デバイスが、保持フレーム内腔、及びその中に配置された保持フレームを更に含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記保持フレームがニチノールワイヤを含む、請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年3月15日に出願された、米国特許仮出願61/799733に優先権を主張し、それを参照することにより本明細書に導入したものとする。
【0002】
本開示は、一般的に、埋め込み可能な医療デバイスの分野であり、とりわけ薬物透過性の構成部材を有する薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能な医療デバイス及び方法は、全身に及ぶ薬物送達に関連する問題を避けるための標的、例えば、局部的または部分的な、薬物送達に公知である。しかし、ある組織部位への薬物の局所送達は、特に低侵襲性デバイスによる拡張した薬物送達、及びデバイスそれ自身の存在から生じる患者の不快感を最小に保つ方法に関しては改善の余地がある。問題は、ある薬物に対して、例えば、相対的に低水溶性ものに対して、及び/または、患者へのデバイスの配備中および配備後の不要な不快感及び痛みを避けるためにデバイスを十分小さく維持しながら、薬物が数日または数週間の長期間に亘る治療レベルに基く制御された放出を必要とするある治療に対して特に重要である。
【0004】
TARISバイオメディカル社出願の米国特許出願公開、第2012/0203203号(TB121)、第2012/0089122号(TB117)、第2011/0060309号(TB108)、第2011/0152839号(TB 112)、及び第2010/0331770号(TB101)は、ハウジングから薬物の制御された放出を提供する種々の薬物送達デバイスを説明している。長期間に亘って薬物を局部的に放出する間、デバイスは、患者の膀胱内に自由に浮遊し、それでもなお、我慢できる程度に、そして完全に、患者の膀胱内に保持できる。しかし、膀胱内薬物送達デバイスの新しいデザイン、及び異なるさまざまな薬物に対して、効果的な放出速度で薬物を送達することが可能なその他の埋め込み可能デバイスを提供することは望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、第一の壁構造と親水性の第二の壁構造で囲まれた閉鎖された薬物リザーバ内腔、及び薬物リザーバ内腔に含まれる薬物を含む、埋め込み可能な薬物送達デバイスが提供され、ここに、第一の壁構造体は薬物に対して不透過性であり、第二の壁構造体は薬物に対して透過性である。一実施形態において、第一の壁構造体は、円筒管であり、及び第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置された端壁である。別の実施形態において、第一の壁構造体と第二の壁構造体は互いに隣接し、一緒に円筒管を形成する。
【0006】
別の態様において、患者に対して制御された薬物放出を提供する方法が提供され、該方法は、(i)患者体内に第一の壁構造体と親水性の第二の壁構造体で囲まれた、閉鎖された薬物リザーバ内腔を含む薬物送達デバイスを配置すること、及び(ii)第二の壁構造体を通した拡散を経由して薬物リザーバ内腔から薬物を放出すること、ここで、第一の壁構造体は薬物に対して不透過性であり、第二の壁構造体は薬物に対して透過性であることを含む。一実施形態において、第一の壁構造体は、円筒管であり、及び第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置された端壁である。別の実施形態において、第一の壁構造体及び第二の壁構造体は互いに隣接し、一緒に円筒管を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図2】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図3】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図4A】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の一部の分解透視図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図5】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の部分断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図6】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の部分断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図7】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の部分断面平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図8A】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の平面図であり、ここに、第二の壁構造体は端壁である。
【
図9】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の断面図であり、ここに、第一及び第二の壁構造体は一緒に円筒管を形成する。
【
図10A】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の分解透視図であり、ここに、第一及び第二の壁構造体は一緒に円筒管を形成する。
【
図11A】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の分解断面図であり、ここに、第一及び第二の壁構造体は一緒に円筒管を形成する。
【
図12A】埋め込み可能な薬物送達デバイスの一実施形態の分解透視図であり、ここに、第一及び第二の壁構造体は一緒に円筒管を形成する。
【
図13】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるゲムシタビン塩酸塩の累積量を示すグラフである。
【
図14】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるゲムシタビン塩基の累積量を示すグラフである。
【
図15】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるγ線照射されたゲムシタビン塩酸塩の累積量を示すグラフである。
【
図16】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるゲムシタビン塩酸塩の累積量を示すグラフである。
【
図17】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるゲムシタビン塩基の累積量を示すグラフである。
【
図18】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるγ線照射されたゲムシタビン塩酸塩の累積量を示すグラフである。
【
図19】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるゲムシタビン塩酸塩のパーセント量を示すグラフである。
【
図20】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるゲムシタビン塩基のパーセント量を示すグラフである。
【
図21】経時的に、HP-93A-100ポーチから放出されるγ線照射されたゲムシタビン塩酸塩のパーセント量を示すグラフである。
【
図22】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるゲムシタビン塩酸塩のパーセント量を示すグラフである。
【
図23】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるゲムシタビン塩基のパーセント量を示すグラフである。
【
図24】経時的に、HP-60D-60ポーチから放出されるγ線照射されたゲムシタビン塩酸塩のパーセント量を示すグラフである。
【
図25】経時的に、サイズが変化する薬物透過性の端壁ディスクを有するデバイスからゲムシタビンの放出速度を示すグラフである。
【
図26】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する静的及び回転したデバイスからゲムシタビンの放出速度を示すグラフである。
【
図27】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを一端に有するデバイスからゲムシタビンの放出速度を示すグラフである。
【
図28】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する静的及び回転したデバイスからゲムシタビンの放出速度を示すグラフである。
【
図29】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する静的及び回転したデバイスから放出されたゲムシタビンの累積量を示すグラフである。
【
図30】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する静的及び回転したデバイスから放出されたゲムシタビンのパーセント量を示すグラフである。
【
図31】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する静的及び回転したデバイスからゲムシタビンの放出速度を示すグラフである。
【
図32】経時的に、薬物透過性の端壁ディスクを有する四つのモジュールデバイスから放出されたゲムシタビンの累積量を示すグラフである。
【
図33】種々の時間における、2′,2′-ジフルオロ-2′-デオキシウリジン(dFdU)の生体内尿中の濃度を示すグラフである。
【
図34】経時的に、一端に薬物透過性端壁ディスクを有する単一モジュールデバイスから放出される塩化トロスピウムの累積量を示すグラフである。
【
図35】経時的に、一端に薬物透過性端壁ディスクを有する単一モジュールデバイスから放出される塩化トロスピウムの累積量を示すグラフである。
【
図36】経時的に、一端に薬物透過性端壁ディスクを有する単一モジュールデバイスから放出されるリドカイン塩酸塩の累積量を示すグラフである。
【
図37】互いに隣接し、円筒管を形成する第一及び第二の壁構造体を有するデバイスから放出される、リドカイン塩酸塩の累積量を経時的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
改良された埋め込み可能な薬物送達デバイスが提供される。特定の実施形態において、デバイスは、膀胱内挿入及び持続的薬物送達用に構成され、好ましくは、薬物の治療上有効な量の0次放出速度を提供する。
【0009】
ある薬物に対して、浸透圧送達機構により、3日を超えて4日間まで、0次の放出速度を達成することは困難であるかもしれないということが判明した。実験において、3日から4日後に、薬物放出速度が急激に低下し、それは膀胱内の薬物の尿濃度を、治療期間の終了前に、最小の有効濃度以下に低下させ得ることになる。例えば、全体的な埋め込みシステムの制限サイズのため、薬物とより多く、または、より高密度に充填された浸透剤を単に提供することにより、0次放出速度の期間を延長することは、必ずしも現実的ではない。代わりに、全治療期間中で全体の一次薬物放出速度を提供することも、また、必ずしも現実的ではない。何故ならば、治療期間の終了に向かって、薬物放出速度を減衰させても、放出速度は、尚、薬物の最小有効濃度より上になるほど十分高い初期ピークの薬物放出速度を有することは安全であるとは言えないからである。
【0010】
従って、本明細書に記載された特別のデバイスが開発され、ここに、浸透性の薬物放出機構の代わりに、薬物放出が、薬物透過性ポリマー、またはデバイスハウジング部分を画定するマトリックス部材を通した薬物の拡散により制御される。一実施形態において、デバイスは、薬物透過性のポリマー部材を含む。
【0011】
一態様において、第一の壁構造体と親水性の第二の壁構造体で囲まれた閉鎖された薬物リザーバ内腔、及び薬物リザーバ内腔に含まれる薬物を有するハウジングを含む埋め込み可能な薬物送達デバイスが提供され、ここに、第一の壁構造体は、水に対して透過または不透過であり、そして第二の壁構造体は薬物に対して透過である。デバイスの薬物リザーバを囲み、及び画定する壁は、第一の壁構造体として提供する第一の材料、及び第二の壁構造体として提供する第二の材料より作られ、薬物の放出が、本質的に、第二の材料を通してのみ発生する。一実施形態において、デバイスは、開口部を含まず、薬物の放出は、第二の壁構造体を通した拡散のみにより発生する。本明細書で使用するとき、用語「薬物に対して不透過」及び「水に対して不透過」は、治療放出期間中、壁構造体を経由して、本質的にいかなる薬物も、または水も放出されない様に、薬物又は水に対して実質的に不透過である壁構造体を言う。
【0012】
膀胱内での使用のために、患者にとっての不快感及びいらだちを避け、または緩和させるために、排尿筋の収縮の間、デバイスが従順する(即ち、容易に曲げられ、柔らかい感触)ことは重要である。それ故、第一及び第二の構造材料のジュロメータ硬度が重要であり、デバイスハウジングが膀胱内で適切に従順であることを維持しながら与えられたサイズのデバイスハウジングを構成する際、高ジュロメータ硬度を有する材料の割合に制限があり得るということは指摘される。例えば、Tecophilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン(Lubrizol社製)は、80A~65Dなどの70Aより大きいショア硬度を有し、一方、シリコーンはショア硬度50A~70Aを有する管を形成する。従って、水膨潤する親水性で、薬物透過性の第二の材料でデバイスを完全に作るより、むしろこれら2つの異なった高分子材料の組み合わせを活用することの方が有益であり得る。
【0013】
好ましい実施形態において、デバイスは、患者の尿道を通して、患者の膀胱内に挿入するのに適切な相対的に直線状形状と、膀胱内にデバイスを保持するのに適切な保持形状の間で、弾性的に変形可能である。一実施形態において、デバイスは、更に、保持フレーム内腔と保持フレーム内腔に位置する保持フレームを含む。実施形態において、保持フレームは、二つ又はそれ以上のハウジングユニットを含んでもよい。
【0014】
第一の壁構造体は、シリコーンで形成できる。例えば、ハウジングは、シリコーン管を含むことができ、シリコーン管の壁は、第一の壁構造体として提供される。他の実施形態において、第一の壁構造体は、他の水透過性材料で形成されてもよい。好ましい実施形態において、薬物は固体形であり(たとえば、単数の錠剤、または複数の錠剤)、そして第一の壁構造体は、薬物リザーバ内腔にある間、薬物の生体内での可溶化を可能にするために水透過性である。例えば、第一の壁構造体は、約50Aから約70Aのショアジュロメータ硬度を有するシリコーンで形成できる。
【0015】
第二の壁構造体は、水を吸収するよう設計された親水性ポリマーである。例えば、第二の壁構造体は、少なくとも部分的に親水性ポリウレタン、親水性ポリエステル、または親水性ポリアミドで形成された親水性のエラストマー材料であってもよい。好ましい実施形態において、第二の壁構造体としては、Tecophilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン、HydroThane(登録商標)熱可塑性ポリウレタン(AdvanSource Biomaterials社製);Quadraphilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン(Biomerics,LLC社製)(ALCグレードは、脂肪族ポリカーボネートを基礎とし、及びALEグレードは、脂肪族ポリエーテルを基礎とする親水性
ポリウレタンである。);HydroMed(登録商標)(AdvanSource Biomaterials社製)または、Dryflex(登録商標)(HEXPOL社製TPE)などの熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。他の親水性ポリマーとしては、ポリエーテルブロックアミド、Pebax(登録商標)MV 1074 SA 01 MED(Arkema社製)があり、それは可撓性及び親水性のポリエーテル、並びに剛性のポリアミドより作られた熱可塑性エラストマーである。例えば、第二の壁構造体の親水性材料は、約70A~約65Dのショアジュロメータ硬度を有してもよい。特定の材料及びその厚さ及び壁面積は、特定の薬物放出プロフィール、例えば、水及び薬物透過速度を達成するために選択できる。
【0016】
第一及び第二の壁構造体の配置は、多様な形体をとり得る。非限定の例としては、
図1~12Cが示される。ある実施形態において、第一の壁構造体は円筒管であり、第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置される端壁であり、または、第一の壁構造体及び第二の壁構造体は、互いに隣接し、そして一緒に円筒管を形成する。即ち、薬物の放出は、閉鎖されたデバイスハウジングの部分を画定する薬物透過性の構成部材を通した薬物拡散により制御される。薬物透過性の壁構造体は、デバイスからの制御された薬物拡散の望ましい速度を提供するために、位置し、寸法が決められ、材料特性を有することができる。
【0017】
図1~8Bで示す一実施形態において、第一の壁構造体は、円筒管であり、及び第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置される端壁である。ある実施形態において、第一の壁構造体は、円筒管であり、及び第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置される端壁であり、及び第二の壁構造体は、円筒管の内腔で安定化されるディスク形体である。示す通り、第一の壁構造体は、円筒管の形体であってもよく、及び第二の壁構造体は、一端または両端においてディスク形体であってもよい。ディスクは、多様な機械的または接着手段を用いて、円筒管の内腔に安定化されていてもよい。例えば、ディスクは、ディスクと管の間の摩擦的係合;管の内壁のノッチ;適切な接着剤;または、1つ若しくはそれ以上のワッシャ、または他の構造安定化部材を経由して円筒管の内腔に安定化できる。ある実施形態において、第一の壁構造体、1つ若しくはそれ以上のワッシャ、または安定化部材、及び/または、接着剤は、シリコーンで作られる。
【0018】
図1~3は、第一の壁構造体104;及び親水性の第二の壁構造体106で囲まれた閉鎖された薬物リザーバ内腔を有するハウジング102;及び薬物リザーバ内腔に含まれる複数の薬物錠剤の形体の薬物108を含む埋め込み可能な薬物送達デバイス100を示し、ここに第一の壁構造体104は、薬物に対して不透過であり、及び第二の壁構造体106は、薬物に対して透過性である。第二の壁構造体106は、円筒管である第一の壁構造体104の少なくとも一端に配置される端壁である。第二の壁構造体106は、円筒管104の内腔内に安定化されたディスク形体である。
図1で示す通り、ディスク106は、円筒管104の内腔に対して摩擦的嵌合であってもよく、または接着されてもよい。
図2で示す通り、外部ワッシャ110は、ディスク106に隣接し、そして円筒管104の内腔内にそれを安定化させる。
図3で示す通り、外部ワッシャ110及び内部ワッシャ112は、ディスク106をサンドイッチし、そして円筒管104の内腔内にそれを安定化させる。
図3で示す通り、内部ワッシャ112に隣接する薬物錠剤109は、内部ワッシャ112の内径内に嵌合するために、他の薬物錠剤108に対して小さい錠剤直径を有してもよい。薬物錠剤109は、省略してもよく、そしてそのような場合、内部ワッシャ112内にボイドスペースがあるかもしれず、それは、薬物放出が開始する前に誘導、または遅延時間をもたらすかもしれない。内部ワッシャ112内のボイドスペースに依存して、遅延時間は変更でき、または制御できる。
【0019】
ディスク安定化ワッシャの構成部材は、多様な形体を取ることが可能である。非限定の例
は、
図4A~7で示される。
図4A~4Dで示す通り、内部及び外部ワッシャ412、410は、ディスク406を挟める。内部ワッシャ412に隣接する薬物錠剤409は、内部ワッシャ412の内径内に嵌合するために、他の薬物錠剤408に対して小さい錠剤直径を有してもよい。それ故、ワッシャ410、412、ディスク406及び薬物錠剤408、409は、円筒管(即ち、第一の壁構造体)内に配置されてもよい。例えば、内部及び外部ワッシャは、シリコーンで作られてもよく、及び親水性のディスクは、Tecophilic(登録商標)であってもよい。一実施形態において、ワッシャは、内径2.16mm及び外径2.77mmを有し、薬物錠剤は、2.16mm及び2.64mmの直径を有する。ある実施形態において、
図4A~4Cで示す通り、ワッシャ410、412は、接着剤(例えば、室温加硫型(RTV)シリコーン)を受け入れるために、1つ若しくはそれ以上のねじ溝413を含む。一実施形態において、ねじ溝は、0.3mmの直径を有する。例えば、接着剤は、内部及び外部ワッシャの一方又は両方に塗布してもよい。外部ワッシャ410の内表面は、水または体液と接触するとき、そのような表面の初期湿潤を支援するために、親水性材料で覆われてもよい。例えば、外部ワッシャの内表面は、塩化ナトリウム、尿素、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性賦形剤で、粉末形体、または外部ワッシャ内のボイドスペースに嵌合できる錠剤形体のいずれかで覆われてもよい。更に、外部ワッシャの内表面は、第二の壁構造体を構築するために使用される親水性のポリマーで被覆できる。適切な親水性ポリマーの被覆方法は、外部ワッシャの内表面の基材条件に依存して変化する。
【0020】
図5で示す通り、一実施形態において、第一の壁構造体504は、管の残部の内径より小さい管の末端内径を有する円筒管である。
図5で示す通り、円筒管504の端部の内径は、円筒管504の端部が一端でディスク506を安定化させるために、ディスク506の直径より小さくてもよい。内部ワッシャ512は、他端でディスク506を安定化させるために使用してもよい。
【0021】
図6で示す通り、一実施形態において、第一の壁構造体は、ハウジングインサート620を有する円筒管604である。ハウジングインサート620は、一端でディスク606を安定化させるために、円筒管604内に固定される。
図6で示す通り、ハウジングインサート620は、円筒形状であってもよく、インサート620が円筒管604内に固定化できるような外径を有してもよい円筒形のハウジングインサート620の端部の内径は、インサート620の端部が、一端でディスク606を安定化させるために、ディスク606の直径より小さくてもよい。外部ワッシャ610は、他端でディスク606を安定化させるためにハウジングインサート620内に配置されてもよい。薬物錠剤608は、円筒管604の内腔内で提供されてもよい。
【0022】
図7は、ハウジングインサート720を有するデバイスの別の実施形態を図示する。ハウジングインサート720は、一端でディスク706を安定化させるために、円筒管704に固定される。内部ワッシャ712は、他端でディスク706を安定化させる。薬物錠剤708は、円筒管704の内腔及びインサート720で提供される。
【0023】
図8は、デバイスの各端部においてワッシャで安定化したディスク806を有する薬物送達デバイス800の一実施形態を図示する。ディスク806は、内部ワッシャ812と外部ワッシャ810の間で安定化する。薬物錠剤は、錠剤808より小さい直径を有するディスク806に隣接する薬物錠剤809で、円筒管804の内腔内で提供される。
【0024】
それ故、閉鎖したハウジングが、円筒管の第一壁構造体及び端壁の第二壁構造体で形成されるデバイスのアセンブリは、多くの形体を取り得る。特定の薬物処方が与えられると、次のパラメータ:ディスク材料、肉厚、及び直径;内部ワッシャの内径、外径及び長さ;外部ワッシャの内径、外径及び長さ;内部ワッシャ内の初期ボイドスペース(例えば、大
きいボイドは、長い放出遅延時間をもたらすかもしれない。)は、薬物の放出プロフィールに影響を与えるために適合化させてもよい。例えば、内部ワッシャ及び外部ワッシャは、ディスクが縦方向の両方で安定化するために、シリコーン管に固定してもよい。一実施形態において、ワッシャは、高ジュロメータ硬度のシリコーン(例えば、Nusil Technology LLC社製のMED-4780)、及びシリコーン接着剤(例えば、Nusil Technology LLC社製のMED3-4213)が、ワッシャと管の間の界面に塗布される。
【0025】
親水性ポリマーの壁構造体は、水を吸収し、膨潤する傾向にあり、膨潤度は、ポリマーの吸水挙動に依存する。従って、ディスクの肉厚は、望ましい薬物放出速度を達成するために、使用される親水性ポリマーのタイプ及びその吸水度を元に選択できる。内部ワッシャにおける初期のボイドスペースは、また、薬物放出プロフィールにおける遅延時間のプログラムを組むために使用できる。全体として、ディスクを通した薬物の放出速度を低下させるために、ディスクの直径、内部ワッシャの内径、及び外部ワッシャの内径は、縮小してもよく、そして外部、及び/または、内部ワッシャの単数または複数の長さ、及びディスクの肉厚は、増加してもよい。
【0026】
他の実施形態において、
図9~12Cで図示するように、第一の壁構造体及び第二の壁構造体は、互いに隣接し、一緒に円筒管を形成する。例えば、そのようなデバイスは、共押出法で形成してもよい。一実施形態において、共押出された第一及び第二の壁構造体は、望ましい特性を保持する熱可塑性ポリマーである。
【0027】
図9で示す通り、第一の壁構造体904及び第二の壁構造体906は、薬物製剤908を含む内腔を有する円筒管を一緒に形成する。第二の壁構造体906は、少なくとも、第一の壁構造体904の長さの部分に沿って延長するストリップ形状であり、そして薬物に対して透過性があるが、一方、第一の壁構造体904は、薬物に対して透過性がない。ある実施形態において、多様な親水性ストリップまたは領域は、単一のデバイスで使用してもよい。
【0028】
図10A~10Cは、第一の壁構造体1004が、第二の壁構造体1006により、閉鎖された円筒管を形成するデバイスの別の実施形態を図示する。
図10A~10Cにおいて、第一の壁構造体1004は、その側壁に開口部を有する管形体である。親水性バンド1006は、第一の壁構造体1004のそれと同様にサイズが決められる開口部を有するスリーブ1005内に嵌合するように、サイズ、形状が決められる。親水性バンド1006は、親水性材料が管1004内の開口部を被覆するように、管1004の周囲に配置され、それにより、閉鎖された管1004を形成する。スリーブ1005は、バンド1006を安定化させるために、バンド1006上に配置してもよいが、一方、薬物の放出を可能にするために、スリーブ1005の開口部を第一の壁構造体1004の開口部と整列することにより、バンド1006を露出させる。例えば、接着剤は、第一の壁構造体にスリーブ及びバンドアセンブリを接着するために、スリーブの内腔に塗布してもよい。
図10Cで示す通り、親水性の第二の壁バンド1006の内径は、その中にバンド1006を収納するためのノッチを有するスリーブ1005の内径と同一面にあってもよい。ある実施形態において、第一の壁構造体の管、スリーブ、及び/または、接着剤は、シリコーンで作られ、一方、親水性のバンドは、Tecophilic(登録商標)などの熱可塑性ポリウレタンで作られる。
【0029】
図11A~11Bは、第一の壁構造体1104が、第二の壁構造体1106で閉鎖された円筒管を形成するデバイスの別の実施形態を図示する。第一の壁構造体1104は、その側壁に3つの開口部を有する管形状である。第一の壁構造体1104は、その側壁に3つの開口部を有する管の形状である。親水性の第二の壁構造体1106は、薬物錠剤110
8を含む管形状である。親水性の管1106は、管1106の親水性材料が第一の壁構造体1104の各々の開口部に配置されるために、第一の壁構造管1104内に嵌合するようにサイズと形状が決められ、それにより、閉鎖された円筒管を形成する。例えば、第一の壁構造管は、その中に、1つまたはそれ以上の開口部を有してもよい。ある実施形態において、第一の壁構造体は、その中に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の開口部を有する。
【0030】
図12A~12Cは、第一の壁構造体1204が親水性の第二の壁構造体1206で閉鎖された円筒管を形成するデバイスの別の実施形態を図示する。第一の壁構造体1204は、その側壁に3つの開口部を有する管形状である。親水性の第二壁構造体1206は、親水性の第二壁1206が管1204の各々の開口部に配置されるように、管1204の内部に嵌合するためにサイズ及び形状が決められ、それにより閉鎖された円筒管を形成する半円筒状インサートである。親水性の第二の壁構造体は、開口部を含む管の周囲のみに沿って延長するようにサイズが決められる薄いストリップ形状を取ってもよい。
【0031】
あるいは、親水性の第二の壁構造体は、開口部を含む管の円周の約50%~約100%延長してもよい。ある実施形態において、管はシリコーンであり、一方、親水性のインサート構造体は、Tecophilic(登録商標)などの熱可塑性ポリウレタンである。
【0032】
それ故、望ましい薬物放出速度を達成するために、第二の壁構造体のサイズ、形状、肉厚及び材料特性が選択できる。その上、開口部が露出した第二の壁構造体を活用する実施形態において、また、望ましい薬物放出速度を達成するために、単数または複数の開口部のサイズ及び数は選択できる。
【0033】
第一及び第二の壁構造体が一緒に円筒管を形成する実施形態において、いずれの適切な端部プラグまたは閉鎖部も、薬物が積載された後、管の端部をシールするために使用してもよい。これらの端部プラグ/閉鎖部は、管の外面に露出する親水性のポリマー部分が(例えば、外管の部分を形成することにより、または外管における開口部を経由して露出することにより、)薬物放出のための唯一の経路であることを確実にする。第二の壁構造体が管の端壁を形成する実施形態において、端部プラグまたは閉鎖部は、単数または複数の第二の壁構造体を含む単数または複数の端部に存在しない。即ち、第二の壁構造体がデバイスの端部を形成する実施形態において、第二の壁構造体が薬物放出経路を提供するために遮断しないように、端部キャップまたは閉鎖部は使用されない。
【0034】
好ましい実施形態において、デバイスは、薬物の治療上有効量を放出するように構成され、ここに薬物送達デバイスからの薬物の放出速度が、少なくとも36時間に亘って0次である。一実施形態において、薬物送達デバイスからの薬物の放出速度は、少なくとも7日間に亘って本質的に0次である。ある実施形態において、デバイスは、例えば、内部ワッシャ内のボイドスペースに起因した遅延時間の後、薬物の放出が始まるように構成される。ある実施形態において、遅延時間は、少なくとも約30分間、約12時間から約24時間、または、約2日間まであり得る。
【0035】
好ましい実施形態において、薬物はゲムシタビン塩酸塩及び塩化トロスピウムである。一実施形態において、少なくとも25mg/日のゲムシタビンが7日間に亘って放出される。別の実施形態において、少なくとも1mg/日の塩化トロスピウムが、7日~3ケ月間に亘って放出される。他の実施形態において、他の薬物が本明細書で記載されたデバイスで送達できる。
【0036】
埋め込み可能な薬物送達デバイスの他の態様
本明細書に開示されているデバイス及び方法は、米国特許第8182464及び米国特許
第8343516、並びに米国特許出願公開第2009/0149833号(MIT12988);米国特許出願公開第2010/0331770号(TB101);米国特許出願公開第2010/0060309 (TB108);米国特許出願公開第2011/0202036号(TB107);米国特許出願公開第2011/0152839号(TB112);PCT/US11/46843:2011年8月5日出願(TB 113);米国特許出願第13/267560号:2011年10月6日出願(TB116);米国特許出願第13/267469号:2011年10月6日出願(TB117);及び米国特許出願第13/347513号:2012年1月10日出願(TB120)に記載のものを元に組み立てられ、それら各々は参照することにより、本明細書に導入したものとする。
【0037】
ある実施形態において、デバイスは、患者の膀胱内への挿入と保持用に構成されている。例えば、デバイスは、
図8Aで示す通り、患者の体腔内へ内腔を通した挿入に適切な相対的に直線状の形状と、体腔内にデバイスを保持するのに適切な保持形状の間で弾性的に変形することが可能である。膀胱内に配置した後の保持形状において、例えば、デバイスは、排尿力または別の力に対応して排泄に抵抗するかもしれない。デバイスが内腔または体腔内に保持するように設計されるので、それらは、膀胱に関連するものなど、従来の処置の幾つかの欠陥を克服することができる。本明細書に記載したデバイスは、一度挿入することができ、そして手術や頻繁な介入操作なしで希望する時間に亘って薬物を放出できる。結果として、デバイスは、感染や副作用の機会を低下させ、膀胱内へ局所的にまたは部分的に送達する薬物の量を増加させ、または処置プロセス中、患者の生活の質を向上させ得る。薬物の放出後、デバイスは、例えば、膀胱鏡や鉗子などによって除去でき、または回収手順を回避するために、少なくとも部分的には、生体内分解性であり得る。
【0038】
デバイスは、錠剤、カプセル、またはペレットなどの一つまたはそれ以上の固体薬物ユニットの形状で、少なくとも一つの薬物を充填できる。患者に対して1つまたはそれ以上の薬物を固体形状で提供することは、しばしば有益である。固体薬物は、全デバイスの容量に対して、相対的に大きい薬物有効積載量を提供することができ、及び出荷、貯蔵中、使用前、または薬物放出前の薬物の安定性を潜在的に強化することができる。しかし、固体薬物は、治療上有効量を薬物透過性の構成部材を通して、そして患者の周辺組織内へ拡散させるために、生体内では可溶化にすべきである。
【0039】
各々の薬物リザーバ内腔は、1つまたは数個の薬物錠剤または他の固体薬物ユニットを保持してもよい。一実施形態において、デバイスは、多くの個別の薬物リザーバ内腔の間で、ミニ錠剤などの約10~100個の円筒状の薬物錠剤を保持する。ある実施形態において、ミニ錠剤は、それぞれ、約1.5~約3.1mmなどの約1.0~約3.3mmの直径、及び約2.0~約4.5mmなどの約1.5~約4.7mmの長さを有してもよい。
【0040】
デバイスは、膀胱鏡またはカテーテルを用いて患者内に挿入できる。一般的に、成人用の膀胱鏡は、外径約5mmであり、約2.4mm~約2.6mmの内径を有する稼働チャンネルを有する。実施形態において、膀胱鏡は、内径4mmまたはそれ以上の大きい内径を備えた稼働チャンネルを有してもよい。それ故、デバイスは相対的にサイズが小さくてもよい。それ故、デバイスが相対的に直線形状に対して弾性的に変形される場合、成人患者用のデバイスは、全外径で、約2.0mm~約2.4mmの間など、約2.6mmより小さくてもよい。小児患者に対しては、デバイスの寸法は、例えば、解剖学的サイズの差異、及び/または、成人と小児患者の間の薬物投与量の差異を元に、小さく、例えば、比例的に小さくすべきと想定される。挿入を可能にすることに加えて、デバイスを相対的に小さいサイズにすることは、また、膀胱に対する患者の不快感及びトラウマを低減できるかもしれない。
【0041】
一実施形態において、デバイスの全体構成は、大半の患者に対して生体内での耐容性を促進する。特別の実施形態において、デバイスは、膀胱の特徴、及び米国特許出願公開第2011/0152839号(TB112)に記載されたデザイン上の考察を元に、耐容性のために構成され、それは参照により本明細書に導入されたものとする。
【0042】
デバイスが占める3次元スペース内で、保持形状においては、いずれの方向でもデバイスの最大寸法は、充満時の膀胱の大まかな直径で、好ましくは10cm以下である。幾つかの実施形態において、デバイスの最大寸法は、いずれの方向においても、約8cm、7cm、6cm、5cm、4.5cm、4cm、3.5cm、3cm、2.5cmまたはそれ以下など、約9cm以下であってもよい。特定の実施形態において、デバイスの最大寸法は、いずれの方向においても、約6cm、5cm、4.5cm、4cm、3.5cm、3cm、2.5cm、またはそれ以下など、約7cm以下である。好ましい実施形態において、デバイスの最大寸法は、いずれの方向においても、約5cm、4.5cm、4cm、3.5cm、3cm、2.5 cm、またはそれ以下など、約6cm以下である。より具体的には、デバイスで占められる3次元スペースは、3つの垂直方向で画定される。これらの方向の1つに沿って、デバイスはその最大寸法を有し、そしてその他の2つの方向に沿っては、より小さい寸法を有してもよい。例えば、その他の2つの方向におけるより小さい寸法は、約3.5cm、3cm、2.5cm、またはそれ以下など、約4cm以下であってもよい。好ましい実施形態において、デバイスは、これらの方向の内、少なくとも一つが3cm以下の寸法を有する。
【0043】
幾つかの実施形態において、デバイスが不均一形状であるために、デバイスは、3方向の内少なくとも2方向で、及びある場合には、各々3方向で異なった寸法を有してもよい。不均一形状のため、デバイスは、空の膀胱内では、減少した圧縮の方向付けを達成することでき、それは、また、形状が不均一性であるからである。換言すれば、空の膀胱内におけるデバイスの特定の方向付けは、デバイスを膀胱壁に対する接触圧を低下させ、患者に対してより耐容可能にできる。
【0044】
デバイスの全体形状は、膀胱壁とのその係合または接触を低下させるために、デバイスをそれ自身膀胱内で再方向付けすることを可能にできる。例えば、デバイスの全体の外形は湾曲してもよく、デバイスの全て、若しくは大部分の外面または露出面は、実質的に丸味を帯びてもよい。デバイスはまた、鋭い端部を実質的に欠いてもよく、そして外表面は、膀胱壁との低下した摩擦的係合を経験する材料から形成してもよい。そのような構成は、デバイスが膀胱壁に対する低い接触圧を与えるために、デバイスを空の膀胱内にそれ自身を再配置することを可能にする。換言すれば、デバイスは、膀胱壁に対して、低いエネルギ位置へスリップし、またはころがってもよく、それはデバイスが少ない圧縮を経験する位置を意味する。
【0045】
一実施形態において、デバイスが3次元スペースを占めても、デバイスは、一般的に、形状が平面的である。そのようなデバイスは、その周囲で実質的に対称である短軸、及びその周囲で短軸に対して実質的に垂直である長軸を画定できる。デバイスは、約6cmを超えない長軸方向の最大寸法を有してもよく、そして、特別の実施形態においては、約4.5cm、約4cm、約3.5cm、約3cm、またはそれ以下など、5cm以下である。デバイスは、約4.5cmを超えない短軸の方向で最大寸法を有してもよく、そして、特定の実施形態においては、約3.5cm、約3cm、またはそれ以下などの、4cm以下である。デバイスは、長軸断面と短軸断面の両方において、実質的にその全外周の回りに湾曲する。換言すれば、デバイスの全体外形は湾曲し、デバイスの断面形状は丸味を帯びている。それ故、デバイスを平面に置くとき、デバイスの内側で完全に保護される2つの平らな端部のエッジを除いて、デバイスはエッジを実質的に含まない。これらの特徴は、デバイスが空の膀胱内にあるとき、それ自身を低下した圧縮位置に再方向付けすることを
可能にする。
【0046】
デバイスは、また、膀胱内の移動性を可能にするほど保持形状において十分小さくてもよい。特に、デバイスは、配置されたとき、膀胱が充満した大半の条件下で全膀胱を通して、自由に、スムーズに移動できるほど十分に小さくてもよく、それが患者のデバイスに対する耐容性を支援する。
【0047】
デバイスは、また、ハウジング構成部材において、構造部材に低密度材料を使用することにより、及び/または、例えば、米国特許出願公開第2012/0089121号(TB116)に記載のガスまたはガス発生材料をハウジング内に導入することにより、浮力を支援するように構成でき、それは、参照により本明細書に導入したものとする。一般的に、乾燥、及び薬物が装填された状態のデバイスは、約0.7g/mL~約1.3g/mLの範囲など、約0.5g/mL~約1.5g/mLの範囲の密度を有してもよい。幾つかの実施形態において、乾燥、及び薬物が装填された状態のデバイスは、1g/mLより小さい密度を有する。
【0048】
埋め込み可能な薬物送達デバイスは、薬物製剤の放出に続いて、デバイスの外植または回収を必要としないので、完全に、または部分的に生体内分解性であるように作ることができる。幾つかの実施形態において、デバイスが部分的に浸食した際、膀胱から排泄されるために、十分に小さい非浸食性の断片に分割するように、デバイスは、部分的に生体内分解性である。本明細書で使用するとき、用語「生体内分解性」は、デバイスまたはその一部が、溶解、酵素加水分解、浸食、再吸収またはその組み合せにより生体内で分解することを意味する。一実施形態において、この分解は、デバイスから薬物の放出の意図した反応速度を妨害しないとき発生する。例えば、デバイスの実質的な浸食は、薬物製剤が、実質的に、または完全に放出した後まで発生しない。別の実施形態において、デバイスは浸食可能であり、及び薬物製剤の放出が、浸食可能なデバイス本体の分解または浸食特性により、少なくとも部分的に制御される。本明細書に記載のデバイスは、米国特許出願公開第2012/0089122号(TB117)に記載のものと適合するように設計され、それは、参照により本明細書に導入したものとする。
【0049】
構造体の有用な生体適合性で、浸食可能な材料は、当該分野で公知である。そのような適切な材料の例としては、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、
ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、擬似ポリ(アミノ酸)、ポリ(セバシン酸グリセロール)(PGS)、そのコポリマー、及びその混合物から選択される合成ポリマーが挙げられる。一実施形態において、再吸収可能な合成ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、及びその混合物から選択される。その他の硬化可能な生体再吸収可能なエラストマーとしては、ポリ(カプロラクトン)(PC)誘導体、アミノアルコールを基礎とする、ポリ(エステルアミド)(PEA)、及びポリ(クエン酸オクタンジオールエステル)(POC)が挙げられる。PCを基礎としたポリマーは、エラストマー的性質を得るために、リシンジイソシアネート、又は2,2-ビス(ε-カプロラクトン-4-イル)プロパンなどの追加の架橋剤を必要とする。
【0050】
或いは、埋め込み可能な薬物送達デバイスは、少なくとも、部分的に非生体内分解性であってもよい。それは、当該分野で公知の医療用グレードのシリコーン管で作られてもよい。適切な非再吸収可能な材料のその他の例としては、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、セルロースアセテート、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリアミド、及び他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、そのコポリマー、及びその組み合せ
物から選択される合成ポリマーが挙げられる。薬物製剤の放出に続いて、デバイス、及び/または、保持フレームは、実質的に完全で、または複数の部分で除去できる。
【0051】
薬物送達デバイスは、患者へ挿入する前に殺菌できる。一実施形態において、デバイスは、他の殺菌プロセスを使用してもよいが、γ線照射、またはエチレンオキシド殺菌などの適した処理を用いて殺菌される。
【0052】
体腔内でのデバイスの保持
本明細書に記載のデバイスは、患者の膀胱(または他の体腔)内へ内腔を通しての挿入に適切な相対的に直線形状と膀胱(または他の体腔)内にデバイスを保持するために適した保持形状の間で弾性的に変形可能である。ある実施形態において、薬物送達デバイスは、自然に、保持形状をとり、そして、手動で、または外部装置の助力で、体内への挿入のため、相対的に直線形状に変形し得る。配置されると直ちに、デバイスは、体内での保持のため、自発的に、または、自然に、初期の保持形状を取ることができる。
【0053】
本開示の目的のために、用語「保持形状」は、一般的に、意図した埋め込み位置にデバイスを保持するのに適したいかなる形状をも意味し、膀胱内にデバイスを保持するのに適した
図8Aで示すコイル状、または「ねじ巻き状」形状を含むが、それに限定されない。同様に、用語「相対的に直線形状」は、一般的に、体内への薬物送達デバイスの配置に適切ないかなる形状も意味し、カテーテルの稼働チャンネル、膀胱鏡、または尿道などの体内の内腔に位置するその他の配備機器に適した直線状、または細長い形状を含むが、それに限定されない。
【0054】
幾つかの実施形態において、薬物送達デバイスは、相対的に直線形状と保持形状の間で弾性的に変形可能である保持フレームを必要としない。これらの実施形態において、ハウジングが形成される材料は、デバイスを2つの形状間で弾性的に変形可能にする。
【0055】
他の実施形態において、薬物送達デバイスは、ハウジングに関連する保持フレームを含む。保持フレームの性質は、デバイスをスプリングとして機能させ、圧縮荷重に対応して変形するが、荷重が除去されると同時に初期形状に戻る。
【0056】
図8A~8B、9、11A~11B、及び12A~12Cで示す通り、ハウジングは、1つ又はそれ以上の保持フレーム内腔822、922、1122、及び1222をそれぞれ含んでもよく、それを通して少なくとも保持フレーム824、924、1124、1224の部分がそれぞれねじ絞めされる。幾つかの実施形態において、ハウジングは、分離した保持フレーム内腔を含まず、保持フレームは、接着剤などその他いかなる手段でもハウジングに固定されるか、または保持フレームと薬物は、同一内腔を占有する。
【0057】
ある実施形態において、デバイスそれ自身のような保持フレームは、自然に保持形状を取ってもよく、相対的に直線形状に変形してもよく、体内への挿入時に、同時に保持形状に戻ってもよい。保持形状における保持フレームは、体腔内に保持できるような形状であってもよく、そして相対的に直線形状の保持フレームは、カテーテルまたは膀胱鏡などの配置機器の稼働チャンネルを通して体内に挿入されるための形状であってもよい。そのような結果を得るために、保持フレームは、埋め込まれると直ちに、デバイスが相対的に低プロフィールの形状を取ることを妨げるように、選択された弾性限界、弾性率、及び/または、スプリング定数を有してもよい。そのような構成は、想定内の力の元で、体内からのデバイスの偶発的な排除を制限したり、または阻止することができる。例えば、デバイスは、排尿または排尿筋の収縮の間、膀胱内に保持できる
【0058】
好ましい実施形態において、デバイスは、患者の尿道を通して延長するカテーテルまたは
膀胱鏡を通した挿入に適合した相対的に直線形状と、カテーテルまたは膀胱鏡の端部からデバイスの解放後、膀胱内にデバイスを保持するのに適合した湾曲した、またはコイル形状(即ち、排尿中、膀胱からの排除を阻止するために)の間で、弾性的に変形可能である。この実施形態の特定の構成において、デバイスは、保持フレームとして提供する弾性ワイヤ、またはストリップを有し、そして弾性ワイヤ、またはストリップは、デバイス上で圧縮荷重が存在しないとき、及びデバイスが排尿または患者の排尿筋の他の収縮時による膀胱壁からの圧縮下にあるとき、湾曲した、またはコイル状の形状でデバイスを維持するために、スプリングとして作用する。
【0059】
ある実施形態において、保持フレームは、弾性ワイヤ、または、弾性ストリップを含み、または、それから成る。一実施形態において、弾性ワイヤは、当該分野で公知の生体内分解性の形状記憶材料、または、生体内分解性の形状記憶ポリマーを含む。弾性ワイヤは、また、相対的に低弾性率エラストマーを含んでもよく、それは刺激を与えること、または膀胱若しくは他の埋め込み部位内に潰瘍を引き起こすことを比較的少なくすることができ、及びデバイスを除去する必要がないように生分解性であってもよい。低弾性率エラストマーの例としては、ポリウレタン、シリコーン, スチレン系熱可塑性エラストマー、及びポリ(セバシン酸グリセロール)(PGS)が挙げられる。弾性ワイヤは、1つまたはそれ以上のシリコーン、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、Silitek、Tecoflex、C-flex、及びPercuflexから形成されるコーティング剤などの生物適合性ポリマーで被覆してもよい。
【0060】
幾つかの実施形態において、保持フレーム内腔は、保持フレーム、及びNusil Technology LLC社製のMED3-4213などのシリコーン接着剤などの充填材料を含んでもよいが他の充填材料を使用してもよい。充填材料は任意であり、省略してもよい。しかし、その含有物は、保持フレーム周りの保持フレーム内腔を充填し得、保持フレームに沿って伸長し、または捻じり、またはその回りを回転する薬物リザーバ内腔の傾向を低下させ得、一方、保持フレームに関連して選択された方向に薬物リザーバ内腔を維持する。
【0061】
ねじ巻き形状をとる保持フレームは、圧縮力に相対的に耐性がある。ねじ巻き形状は、本質的に2つの半円を含み、各々は、それ自身小さいアーチを含み、大きいアーチを共有する。ねじ巻き形状が初めに圧縮されると、大きいアーチは、大半の圧縮力を吸収し、変形を開始するが、しかし、継続した圧縮により、小さいアーチが重なり、その後、3つのアーチ全てが圧縮力に抵抗する。全体としてのデバイスの圧縮に対する抵抗は、2つの半円が重なり、排尿中膀胱が収縮するとき上昇し、デバイスが崩壊し、及び空隙を作ることを妨げる。
【0062】
保持フレーム(または、保持フレームなしの実施形態におけるハウジングそれ自身)が、形状記憶材料を含む実施形態において、フレームを形成するために使用される材料は、「形状を記憶」し、そして膀胱内に入れられると体温に曝露されるように、デバイスに熱を付与されると、同時に保持形状を取る。フレームの巻線、コイル、またはスパイラルは、多くの構成を取り得る。例えば、フレームは、1つまたはそれ以上のループ、カール、または半円を含むカール構成であってもよい。弾性ワイヤの端部は、軟質であるようにする、とがっていないようにする、内側に曲げる、一緒に組み合せる、またはそれらの組み合せをすることなどにより、組織のかぶれ、傷痕を避けるために適合させ得る。
【0063】
保持フレームは、平面に限定される2次元構造、回転楕円体の内部を占める構造のような3次元構造、または、それらの幾つかの組合せを有してもよい。フレームは、直線的に、または放射状に連結し、同一方向に、または別の方向に曲がり、及び、重なり、若しくは重ならない、1つまたはそれ以上のループ、カール、または半円を含んでもよい。フレー
ムは、2次元、または3次元構成に配置された、1つ若しくはそれ以上の円、または楕円を含んでもよく、円または楕円は、閉鎖若しくは開放されてもよく、同一若しくは異なったサイズを有し、重なり、若しくは、重ならず、及び、1つまたはそれ以上の連結点で一緒に組合せられる。保持フレーム部分は、また、球体スペース、割り当てられた回転楕円体形状を有するスペース、または、偏球状の回転楕円体形状を有するスペースなどの回転楕円体形状のスペースを占め、またはその周囲を取り巻く形状の3次元構造であってもよい。
【0064】
保持フレーム部分は、球状スぺースを占め、またはその周囲を巻きつけるように形成してもよい。保持フレーム部分は、一般的に、異なった面にある2つの交叉する円、内側にカールする端部を有する異なった面にある2つの交叉する円、異なった面にある3つの交叉する円、または球状スパイラル形状を取ってもよい。各々のこれらの例において、保持フレーム部分は、配置機器を通した配置のために、直線形状に伸長できる。保持フレーム部分は、球状スペース、または他の回転楕円体形状のスペースの周囲を、またはそれを通してその他多様な手法で巻き付けてもよい。保持フレーム及び保持フレーム内腔の1つまたは両方は、ハウジングそれ自身が、本明細書記載のいずれかの保持形状になり、またはそれに変形し得る場合、省略してもよい。更なる構成の例は、本明細書に参照することにより導入した米国特許出願に記載されている。
【0065】
薬物製剤と固体薬物錠剤
一般的に、薬物製剤は、デバイスハウジング内に積載される固体薬物ユニットに形成される。各々の固体薬物ユニットは、選択的に付与された形状を実質的に保持する固体(組立、貯蔵、及び埋め込み前の取扱いの間、送達デバイスが、通常曝露される温度及び圧力条件下で)で、分離した物体である。薬物ユニットは、他の構成も可能であるが、錠剤、カプセル、ペレット、またはビーズの形状であってもよい。
【0066】
固体の薬物ユニットは、安定した、測定可能な製造プロセスを用いて形成できる。特に、低侵襲性手法で患者の膀胱、または別の空洞、内腔、または組織部位内へ配置できる薬物送達デバイスのハウジング内に、錠剤を積載し、及び効率的に貯蔵するために、薬物錠剤はサイズと形状が決められる。
【0067】
固体薬物ユニットは、直接の粉末圧縮化、または錠剤化工法、成形工法、または薬学分野で公知のその他の工法で作られてもよい。適切な薬物錠剤を形成する方法は、米国特許出願公開第2010/0330149号(TB102)に記載されており、それは参照することにより本明細書に導入したものとする。薬物製剤は、また、稼働可能な形体でデバイスハウジング内に積載され、そこで固めてもよい。例えば、薬物製剤が溶融し、及び固体化した構成の実施形態において、薬物製剤は、溶融し、溶融形体でデバイスハウジング内に注入し、その後固体化することができる。薬物製剤は、また、デバイスハウジングで押出され、ハウジング内で固めて、その後、薬物の露出面でセグメントを形成するために、ハウジングの長さ方向に沿ったスペース位置で切断してもよい。
【0068】
固体薬物ユニットは、薬物製剤を含み、それは薬物内容物を含み、そして賦形剤内容物を含んでもよい。好ましい実施形態において、薬物内容物は、1つまたはそれ以上の薬物、または薬学的に活性な成分(API)を含み、一方、賦形剤内容物は、1つまたはそれ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む。薬物製剤は、体腔若しくは内腔に局部的に送達し、または体腔若しくは内腔に部分的に送達するのに有用なものなど、本質的に、治療薬、予防薬、または診断薬のいずれかを含むことができる。薬物製剤は、APIのみを含んでもよく、または1つ若しくはそれ以上の賦形剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、本明細書に記載のいずれかの特定の薬物を言う用語「薬物」は、塩形体、遊離酸形体、遊離塩基形体、及び水和物などのその代替形体を含む。用語「賦形剤」は当該分野で公知
であり、本薬物ユニットに有用な賦形剤の代表的な例としては、結合剤、滑材、流動促進剤、崩壊剤、着色剤、充填剤、希釈剤、被覆剤、または保存剤などの成分、並びに、製造、安定性、分散性、湿潤性、及び/または、薬物の放出動力学、または薬物ユニットの投与を支援するためのその他非活性成分などが含まれてもよい。薬物は、活性成分のその他の形体/型の間で、小分子、巨大分子、生物学的代謝産物であってもよい。
【0069】
選択された(小さい)サイズを与えれた薬物送達デバイスに貯蔵し、及びそれから放出できる薬物量を最大化するために、薬物ユニットは、好ましくは、高重量分率の薬物またはAPIを、固体薬物ユニットの製造及びデバイスの組立て、使用上の配慮事項のために必要とするとき、減少した、若しくは、小重量分率の賦形剤と一緒に含む。この開示目的のために、薬物またはAPIに関連した、「重量分率」、「重量パーセント」、及び「重量によるパーセント」などの用語は、塩形体、遊離酸形体、遊離塩基形体、または水和物形体などの採用した形体での薬物またはAPIを言う。例えば、塩形体で90重量%を有する薬物の固体薬物ユニットは、その薬物を遊離塩基形体で90重量%以下含むことになる。
【0070】
一実施形態において、固体薬物ユニットは、50重量%以上の薬物である。別の実施形態において、75重量%、またはそれ以上の固体薬物ユニットの重量は、固体薬物ユニットの製造を支援する滑剤、及び結合剤などの賦形剤を含む残部重量を有する薬物である。本開示の目的のために、薬物またはAPIと関連した用語「高重量分率」は、賦形剤が固体薬物ユニットの25重量%以下を、好ましくは、20重量%以下、より好ましくは、15重量%以下、尚さらにより好ましくは、10重量%以下を構成することを意味する。幾つかのケースにおいて、薬物内容物は、固体薬物ユニットを約75重量%、またはそれ以上を含む。より具体的には、薬物内容物は、薬剤錠剤の約80重量%、またはそれ以上を含む。例えば、薬物内容物は、固体薬物ユニットの約85重量%~約99.9重量%の間を含む。幾つかの実施形態において、賦形剤内容物は、完全に省略できる。
【0071】
一実施形態において、薬物及び賦形剤は選択され、そして固体薬物ユニットは、デバイスが可溶化薬物を放出するために膀胱内に位置するとき、固体薬物ユニットが可溶化できるために水溶性に処方される。
【0072】
個々の固体薬物ユニットは、本質的に、本明細書に記載されたデバイス内に嵌合するいずれかの選択された形状及び寸法を有してもよい。一実施形態において、固体薬物ユニットは、ハウジングにおける薬物リザーバ内腔が実質的に固体薬物ユニットの選択された数で充填されるように、サイズ及び形状が決められる。各々の固体薬物ユニットは、特定ハウジングの薬物リザーバ内腔の断面形状に実質的に対応する断面形状を有してもよい。例えば、薬物ユニットは、実質的に、円筒形の薬物リザーバの内腔に位置するために、実質的に円筒形状であり得る。積載されると、固体薬物ユニットは、幾つかの実施形態において、実質的に、薬物リザーバ内腔に充填し、薬物ハウジング部分を形成する。
【0073】
一実施形態において、固体薬物ユニットは、デバイスがその配置構成にあるとき、1列に整列した形状をとる。例えば、各々の固体薬物ユニットは、ハウジング内における薬物リザーバ内腔の断面形状に対応する断面形状を取ってもよく、そして各々の固体薬物ユニットは、隣接する固体薬物ユニットの端面に対応する端面形状であってもよい。固体薬物ユニット間の裂け目、またはひびは、配置中のデバイスの変形、または移動を収容でき、一方個々の薬物ユニットを固体形体に保持することを可能にする。それ故、薬物送達デバイスは、各々の薬物ユニットが、隣接する薬物ユニットに関連して移動することが可能であるため、固体薬物を積載したにも関わらず、相対的に可撓性であり、または変形可能である。
【0074】
固体薬物ユニットが、薬物送達デバイスを経由した膀胱のような体の内腔または空洞への挿入、または埋め込みのために設計される実施形態において、薬物ユニットは、尿道のような体内の自然内腔を通した挿入のため適切にサイズ及び形状が決められる「ミニ錠剤」であってもよい。本開示の目的のために、用語「ミニ錠剤」は、一般的に、端面及び実質的に円筒形状の側面を有する、実質的に、円筒形状である固体薬物ユニットを示す。ミニ錠剤は、約1.5~約3.1mmの間など、約1.0~約3.2mmの範囲で端面に沿って伸長する直径を有する。ミニ錠剤は、約2.0~約4.5mmの間など、約1.7~約4.8mmの範囲で、側面に沿って伸長する長さを有する。錠剤の摩損度は、約2%以下であってもよい。固体薬物ユニット及びシステム及び同物を製造する方法の実施形態は、参照することにより本明細書に導入した米国特許出願に関連して、更に、以下に記載される。
【0075】
一実施形態において、薬物製剤は、固体形状である。別の実施形態において、薬物製剤は、乳化液または懸濁液、ゲルまたはペーストなどの半固体形状である。例えば、薬物製剤は、高度に粘調な乳化液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用するとき、固体形体は、特に指示のない限り、半固体形状を含む。一実施形態において、薬物製剤は、液体形状である。
【0076】
薬物は低溶解性の薬物であってもよい。本明細書で使用するとき、用語「低溶解性」は、37℃で、水中、約0.01mg/mL~約10mg/mLの溶解度を有する薬剤を言う。他の実施形態において、薬物は高溶解性の薬物である。本明細書で使用するとき、用語「高溶解性」は、37℃で、水中、約10mg/mL以上の溶解度を有する薬剤を言う。例えば、ある薬物製剤の大まかな溶解度は、塩化トロスピウム:500mg/mL;リドカイン塩酸塩:680mg/mL;リドカイン塩基:8mg/mL;ゲムシタビン塩酸塩:80mg/mL;ゲムシタビン塩基:15mg/mL;オキシブチニン塩酸塩:50 mg/mL;オキシブチニン塩基:0.012mg/mL;及びトルテロジン酒石酸塩:12mg/mLである。
【0077】
一実施形態において、薬物送達デバイスは、膀胱癌及び前立腺癌などの腎臓又は尿路癌を治療するために使用される。
使用され得る薬物としては、抗増殖剤、細胞毒物剤、化学療法剤、またはそれらの組み合わせを含む。尿路癌の治療に適切であり得る薬物の代表例としては、カルメット-ゲラン桿菌(BCG)ワクチン、ドセタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、バルルビシン、ゲムシタビン、マイコバクテリア細胞壁-DNA複合体(MCC)、メトトレキセート、ビンブラスチン、チオテーパ、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、フルオロウラシル、ロイプロリド、ジエチルスチルベストロール、エストラムスチン、メゲストロール酢酸塩、シプロテロン、フルタミド、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(即ち、SERM、タモキシフェンなど)、ボツリヌス毒素、及びシクロホスファミドが挙げられる。薬物はモノクロナール抗体、TNF阻害剤、アンチロイキン等を含んでもよい。薬物は、イミキモド、またはその他TLR7作動薬を含むTLR作動薬など免疫調整剤であり得る。薬物は、また、繊維芽細胞成長因子受容体-3(FGFR3)-選択的チロシンキナーゼ阻害剤、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤、または、マイトゲン-活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、中でも、その組み合せ物などのキナーゼ阻害剤であり得る。その他の例としては、セロコキシブ, エロロチニブ、 ゲフ
ィチニブ、パクリタキセル、ポリフェノンE、バルルビシン、ネオカルジノスタチン、アパジコン、ベリノスタット、インゲノールメブテート、ウロシジン(MCC)、プロキシニウム(VB4845)、BC819(BioCancell Therapeutics社製)、キーホールリンペットヘモシアニン、LOR2040(Lorus Therapeutics社製)、ウロカニン酸、OGX427(OncoGenex社製)、及びSCH721015(Schering-Plough社製)が挙げられる。薬物治療
は、従来の放射線照射、または、癌性の組織を標的とする外科的治療を組み合わせてもよい。
【0078】
一実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、麻酔薬、鎮痛薬、及びその組み合せも積載する。麻酔薬としては、アミノアミド、アミノエステル、またはその組み合せであってもよい。アミノアミド、またはアミドクラスの麻酔薬の代表例としては、アルチカイン、ブピバカイン、カルチカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、及びトリメカインが挙げられる。アミノエステルまたはエステルクラスの麻酔薬としては、アミロカイン、ベンゾカイン、ブタカイン、クロロプロカイン、コカイン,シクロメチルカイン、ジメトカイン、ヘキ
シルカイン、ラロカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、オルトカイン、ピペロカイン、プロカイン、プロパラカイン、プロポキシカイン、プロキシメタカイン、リソカイン、及びテトラカインが挙げられる。これらの麻酔薬は一般的に、弱塩基であり、そして麻酔薬は、また、遊離塩基または水和物形体でも使用できるが、それらを水溶性にするために、塩酸塩などの塩として処方されてもよい。ロントカインなどのその他の麻酔薬も、また、使用してもよい。薬物は、また、オキシブチニン、またはプロピベリンなどの麻酔効果を提示する抗ムスカリン化合物であってもよい。薬物は、また、本明細書に記載のその他の薬物を、単体若しくは局部麻酔薬との組み合わせで含んでもよい。
【0079】
ある実施形態において、鎮痛薬はオピオイドを含む。オピオイド作動薬の代表例としては、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベンジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタジン、コデイン、デソモルフィン、 デクストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン
、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチル酪酸塩、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼンフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジンン、イソメタドン、ケトベミドン、レビルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モリフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモリフィン、ノルレボルファノール、ノルメタゾン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキソモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、薬学的に許容可能なその塩、及びその混合物が挙げられる。μ、κ、δ及び痛覚受容のオピオイド受容体作動薬などの他のオピオイド薬物も想定される。
【0080】
他の適切な疼痛緩和剤の代表的な例としては、サリチルアルコール、フェナゾピリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、フルフェニザール、イブプロフェン、インドプロフェン、インドメタシン、及びナプロキセンなどの薬剤が挙げられる。
【0081】
ある実施形態において、薬物送達デバイスは、間質性膀胱炎、放射線膀胱炎、膀胱痛症候群、前立腺炎、尿道炎、術後疼痛、および腎結石などの炎症症状を治療するために使用される。これらの症状用の具体的薬物の非限定の例としては、リドカイン、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸塩、スロデキシド)、ペントサン・ナトリウムポリ硫酸塩(PPS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、オキシブチニン、マイトマイシンC、ヘパリン、フラボキサテート、ケトロラック、シクロスポリン、またはその組み合わせ物が挙げられる。腎結石用としては、疼痛を治療し、及び/または、腎臓結石の溶解を促進するために、単数または複数の薬物が選択され得る。
【0082】
IC治療に使用できる薬物の他の非限定の例としは、タネズマブなどの神経成長因子モノクロナール抗体(MAB)拮抗剤、及びPD-299685またはガベペンチンなどの、カルシウムα-2-δモジュレータが挙げられる。証拠は、外因的な膀胱へのNGF送達が膀胱の過活動を誘導し、解離した膀胱求心性神経細胞の興奮性を増大させるので、膀胱が局部的に神経成長因子(NGF)を発現することを示唆している(Nature Rev Neurosci 2008;9:453~66)。したがって、記載した薬物送達デバイスを用いて、NGFに対してMABまたは他の作用物質を局部的に送達し、治療効率のための必要な全用量を著しく低下させることは、有益であるかもしれない。証拠は、また、ガバペンチンなどの電圧感受性のカルシウムチャンネルユニットを結合することがフィブロミアルギアなどの神経因性疼痛の疾病治療に有効であり、及びICと神経因性疼痛の間での共通の機構が存在するかもしれないことを示唆している(参照:Tech Urol. 2001 Mar,7(1):47~49)。従って、記載の送達デバイス用いて、PD-299685、またはガバペンチンなどのカルシウムチャンネルα-2-δモジュレータを局部的に送達し、IC治療の用量に関連する全身毒性を最小化することは、有益であるかもしれない。
【0083】
その他の膀胱癌治療としては、アパジコン、アドリアマイシン、AD-32、ドキソルビシン、ドキセタキセル、エピルビシン、ゲムシタビン、HTI-286(ヘミアステルリン同族体)、イダルビシン、γ-リノレン酸、ミトザントロン、メグルミン、及びチオテパなどの小分子;EGF-デクストラン、HPC-ドキソルビシン、IL-12、IFN-a2b、IFN-γ、 α-ラクタルブミン、p53アデノベクタ、TNFαなどの大
分子;エピルビシン+BCG、IFN+ファルマルビシン、ドキソルビシン+5-FU(経口)、BCG+IFN、及び百日咳毒素+膀胱切除などの組み合せ;マクロファージ及びT細胞などの活性細胞;IL-2及びドキソルビシンなどの膀胱内注入;BCG+抗線維素溶解薬(パラメチル安息香酸、またはアミノカプロン酸)及びドキソルビシン+ベラピミルなどの化学増感剤:ヘキシルアミノレブリナート、5-アミノレブリン酸、ヨードデオキシウリジン、HMFG1 Mab+Tc99mなどの診断/増撮剤; 及びホルマ
リンなどの局部毒性の管理剤(出血性膀胱炎)が挙げられる。
【0084】
薬物送達デバイスは、例えば、緊急失禁および神経性尿失禁、並びに膀胱三角炎を含む、尿失禁、頻尿、あるいは尿意切迫を治療するために使用できる。使用できる薬物としては、抗コリン作動薬、鎮痙薬、抗ムスカリン作動薬、β-2作動薬、α-アドレナリン作動薬、抗痙攣薬、ノルエピネフリン受容阻害剤、セロトニン受容阻害剤、カルシウムチャンネルブロッカー、カリウムチャンネル開放剤、及び筋弛緩剤が挙げられる。尿失禁治療用の適切な薬物の代表例としては、オキシブチニン、S-オキシブチチン、エメプロニウム、ベラパミル、イミプラミン、フラボキセート、アトロピン、プロパンテリン、トルテロジン、ロシベリン、クレンブテロール、ダリフェエナシン、テロジリン、トロスピウム、ヒヨシアミン、ピロピベリン、デスモプレッシン、バミカミド、クリジニウムブロミド、ジシクロミン塩酸塩、グリコピロレートアミノアルコールエステル、イプラトロピウムブロミド、メペンゾレートブロミド、メトスコポラミンブロミド、スコポラミン臭化水素酸塩、イオトロピウムブロミド、フェソテロジンフマール酸塩、YM-46303(山之内製薬(株)製、日本)、ランペリソン(日本化薬(株)製、日本)、イナペリソン、NS-21(日本新薬-Orion、Formenti、日本/イタリア)、NC-1800(日本ケミファ(株)製、日本)、ZD-6169(Zeneca(株)製、英国)、及びスチロニウムヨージドが挙げられる。
【0085】
更に別の実施形態において、本膀胱内薬物送達デバイスは、膀胱、前立腺、腎臓、および尿道を含む感染症を治療するために使用される。抗生物質、抗菌、抗真菌、抗原虫薬、防腐剤、抗ウイルス薬および他の抗感染薬は、そのような感染症の治療のために投与することができる。感染症の治療用の薬物の代表例としては、マイトマイシン、シプロフロキサ
シン、ノオルフロキサシン、オフロキサシン、マタナミン、ニトロフラントイン、アムピシリン、アモキシリン、ナフシリン、トリメトプリム、スルホンアミド、トリメトプリムスルファメトキサゾール、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、テトラサイクリン、カナマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、及びアミノグリコシドが挙げられる。
【0086】
他の実施形態において、薬物送達デバイスは、膀胱又は子宮のような尿生殖器部位の線維症を治療するために使用される。線維症を治療するための薬物の代表例としては、ペントキシフィリン(キサンチン同族体)、抗TNF、抗TGF作動薬、GnRH同族体、外因性プロゲスチン、抗プロゲスチン、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、ダナゾール及びNSAIDsが挙げられる。
【0087】
埋め込み可能な薬物送達デバイスは、また、痙攣性または弛緩性神経因性膀胱を治療するために用いることができる。神経因性膀胱を治療するための薬物の代表的な例としては、リドカイン、ブピバカイン、メピバカイン、プリロカイン、アルチカイン、及びロピバカインなどの鎮痛薬や麻酔薬;抗コリン薬;オキシブチニン、またはピロピベリンなどの抗ムスカリン薬;カプサイシンまたはレシニフェラトキシンなどのバニロイド;
M3ムスカリンアセチルコリン受容体(mAChR)に作用するものなどの抗ムスカリン剤;バクロフェンなどのGABAB作動薬を含む鎮痙剤;バクロフェン;ボツリヌス毒素;カプサイシン;α-アドレナリン拮抗薬;抗けいれん薬;アミトリプチリンなどのセロトニン再取り込み阻害剤;及び神経成長因子拮抗薬が挙げられる。様々な実施形態において、Reitz et al.,Spinal Cord 42:267~72(2004)に記載の通り、薬物は、膀胱求心性神経に作用するもの、または遠心性コリン作動性伝達に作用するものであってもよい。
【0088】
一実施形態において、薬物は、神経排尿筋の過活動、及び/または、低従順性の排尿筋に
基づく尿失禁の治療のために公知のものから選択される。このタイプの薬物の代表例としては、膀胱弛緩薬(例えば、オキシブチニン(顕著な筋弛緩作用と局所麻酔活動を有する抗ムスカリン剤)、プロピベリン、イムプラトロプリウム、チオトロピウム、トロスピウム、テロジリン、トルテロジン、プロパンテリン、オキシフェンシクリミン、フラボキセート、及び3環系抗うつ剤);膀胱と尿道を支配する神経を遮断するための薬物(例えば
、バニロイド(カプサイシン、レシニフェラトキン)、ボツリヌス-A毒素);または、排尿筋収縮強度、排尿反射、排尿括約筋強調不全を調節する薬物(例えば、GABAb作動薬(バクロフェン)、ベンゾジアゼピン)が挙げられる。別の実施形態において、薬物は、神経括約筋欠乏に基づく失禁治療のために、公知ものから選択される。この薬物の例としは、α-アドレナリン作動薬、エストロゲン、β-アドレナリン作動薬、3環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン)が挙げられる。更に別の実施形態において、薬物は、膀胱を容易に空にすることができる公知のもの(例えば、α-アドレナリン拮抗薬(フェントラミン)またはコリン作動薬)から選択される。更に、別の実施形態において、薬物は、抗コリン薬(例えば、ジシクロミン)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ベラパミル)、トロパンアルカロイド(例えば、アトロピン、スコポラミン)、ノシセプチン/オルファニンFQ、及びベタネコール(例えば、M3ムスカリン作動薬、コリンエステル)の間から選択される。
【0089】
ある実施形態において、薬物は、トリアムシノロン、ブデソニド、またはプレドニソロンなどのステロイドである。
【0090】
ある実施形態において、薬物は、リドカイン、ゲムシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、トロスピウム、 トルテロジン、オキシブチニ
ン、またはマイトマイシンCである。
【0091】
他のデバイスの特徴
本明細書に記載のデバイスは、埋め込みまたは回収手順の一部として、医療従事者によって、デバイスの(例えば、X線画像化または蛍光透視法により)の検出または表示を容易にするために、放射線不透過性部分または構造を含んでもよい。一実施形態において、ハウジングは、例えば、当該分野で公知の硫酸バリウム、または他の放射線不透過性材料など、放射線不透過性充填材を含む材料で構成されている。いくつかのハウジングは、ハウジングを形成する材料の加工中に、硫酸バリウムまたは他の適切な材料などの放射線不透過性の充填剤を配合することにより、放射線不透過性にしてもよい。
【0092】
放射線不透過性材料は、保持フレームを含むこれらの実施形態において保持フレームと関連付けてもよい。超音波イメージング又は蛍光透視画像は、生体内でデバイスを撮像するために使用することができる。
【0093】
埋め込み可能な薬物送達デバイスのハウジングは、更に、ひも、ループ、また体腔からのデバイスの除去を容易にする、例えば、固体薬物ユニットからの薬物製剤の放出に続いて、非吸収性のデバイスの除去のための他の構造などの回収機能を含んでもよい。ある場合、デバイスは、尿道を通してデバイスを引くひもを係合することにより膀胱から除去できる。カテーテルまたは膀胱鏡の内腔内、または尿道内への回収機能によりデバイスを引くとき、デバイスは相対的に狭く、または直線形状を取るように構成される。
【0094】
薬物送達の方法
本明細書に開示される装置および方法は、ヒト、男性若しくは女性、大人若しくは子供、に対する使用、または獣医学的用途若しくは家畜用など、動物に対する使用に適合させることができる。従って用語「患者」は、ヒトまたは他の哺乳類の被験者を言う。
【0095】
ある実施形態において、患者に薬物の制御された放出を提供する方法は、(i)患者に薬物送達デバイスを配置し、デバイスは、第一の壁構造体及び親水性第二の壁構造体で囲まれた閉鎖された薬物リザーバ内腔を含み、(ii)第二の壁構造体を通した拡散を経由して薬物リザーバ内腔から薬物を放出することを含む。ここに、第一の壁構造体は、薬物に対して不透過性であり、第二の壁構造体は、薬物に対して透過性である。一実施形態において、第一の壁構造体は円筒管であり、第二の壁構造体は、円筒管の少なくとも一端に配置される端壁であり、または第一の壁構造体及び第二の壁構造体は、互いに隣接し、そして一緒に円筒管を形成する。例えば、デバイスは、本明細書に記載のいずれの機能、または機能の組み合せを含んでもよい。
【0096】
デバイスは非外科的に埋め込まれ、そして、薬物は、埋め込み手法が終了した後、数日、数週間、数ケ月、またはそれ以上の間、送達できる。一実施形態において、患者に薬物送達デバイスを埋め込むことは、配置機器を経由して、患者の体腔または内腔へデバイスを挿入することを含む。例えば、デバイスは、尿道などの体の自然内腔に位置するカテーテルまたは膀胱鏡などの配置機器を通して、膀胱などの体腔へ配置できる。機器の配置は、一般的に、体腔から除去されるが、一方、薬物送達デバイスは、所定の治療期間の間、膀胱または他の体腔内にとどまる。
【0097】
幾つかの実施形態において、デバイスは、他の手法の、その前、その間、その後のいずれかで、独立した手法で、または別の泌尿器科的、または他の手法で、または手術と組み合わせて、患者の膀胱内に配置することができる。デバイスは、手術前、手術後、またはその両方で、治療または予防のために局所的、及び/または、部分的に組織に送達される1つ又はそれ以上の薬物を放出できる。
【0098】
一実施例において、デバイスは、配置機器を介して薬物送達デバイスを通過させ、配置機器から体内へデバイス解放することによって埋め込まれる。デバイスが膀胱などの体腔内へ配置される場合、デバイスが、配置機器から内腔内へ進入するとき、伸長し、または高プロフィール形状のような保持形状を取る。配置機器は、カテーテル、例えば、尿道カテーテルまたは膀胱鏡などいかなる適切な内腔デバイスであってもよい。これらの用語は、特に明確に指示のない限り、本明細書では、相互に交換可能に使用される。配置機器は市場で入手可能であり、またはデバイスは本薬物送達デバイス用に特別に適合される。一実施形態において、患者に薬物送達デバイスを配置することは、(i)デバイスを相対的に直線形状に、弾性変形をさせ;(ii)患者の尿道を通してデバイスを挿入し;及び(iii)膀胱内でデバイスを保持するのに適した保持形状を取るために、患者の膀胱内でデバイスを解放することを含む。
【0099】
薬物送達デバイスは、探針により、または滑剤、または他の流体の流れにより、例えば、膀胱内へ通過すると、薬物送達デバイスが機器の内腔を出るまで駆動する配置機器を通して通過できる。それ故、デバイスは、治療の必要性に応じて、成人または子供で、男または女のヒト患者の膀胱に埋め込むことができる。
【0100】
生体内に配置されると、デバイスは、実質的に、局部的に、配置部位における1つまたはそれ以上の組織に対して、及び/または、部分的に配置部位から遠位方向の他の組織へ、1つ又はそれ以上の症状の治療のために、1つ又はそれ以上の薬物を放出できる。放出は制御され、そして薬物を有効量長期間で放出できる。その後、デバイスは除去され、吸収され、排泄され、またはその組み合せでもよい。ある実施形態において、デバイスは、膀胱内に滞在し、2週間、3週間、4週間、1ケ月またはそれ以上の期間など、事前に決められた期間に亘って薬物を放出する。
【0101】
埋め込まれると、デバイスは、希望する、事前に決められた期間にわたり、薬物の望ましい量の長期的、連続的、断続的、または周期的放出を提供することができる。実施形態において、デバイスは、12時間、24時間、5日間、7日間、10日間、14日間、または、20、25、30、45、60、または90日間またはそれ以上の期間など、長期間に亘って薬物の望ましい用量を送達できる。薬物の送達速度及び用量は、送達する薬物、治療する疾病または症状に依存して選択できる。一実施形態において、薬物送達デバイスからの薬物の放出速度は、少なくとも36時間に亘って0次である。一実施形態において、薬物送達デバイスからの薬物の放出速度は、本質的に少なくとも7日間に亘って0次である。
【0102】
ある実施形態において、デバイスからの薬剤の溶出は、デバイス内の薬剤溶解に続いて、発生する。体液はデバイスに進入し、薬物に接触し、そして薬物を溶解し、その後、溶解した薬物はデバイスから拡散する。例えば、デバイスが膀胱内に埋め込まれるケースでは、薬物が尿に接触したとき、溶解できる。一実施形態において、デバイスから薬物を放出することは、第二の壁構造体、または第一及び第二の壁構造体の両方を通して吸収した水で薬物を溶解することを含む。
【0103】
デバイスは、間質性膀胱炎、放射線膀胱炎、骨盤痛、膀胱炎、過活動膀胱症候群、膀胱癌、神経因性膀胱、神経因性または非神経因性膀胱-括約筋機能不全、感染症、手術後の疼痛、または膀胱に送達される薬物で治療する他の疾患、障害、症状を治療するために使用できる。デバイスは、局部的に膀胱に、及び部分的に膀胱近辺の他の部位に薬物を放出できる。デバイスは、膀胱容量、従順性、および/または、阻害されない収縮の頻度などの膀胱の機能を改善する、膀胱またはその他周辺部分における痛みや不快感を軽減する、、または、その他の効果またはその組み合せを有する薬物を送達できる。膀胱に配置するデバイスは、また、腎臓、尿道、尿管、陰茎、精巣、精嚢、輸精管、射精管、前立腺、膣、
子宮、卵巣、または卵管、その他の器官の間、またはその組み合せを含む、体内の泌尿器科や生殖器科系内の他の位置など、他の泌尿生殖器部位に、1つ、または、それ以上の薬物の治療上有効な量を送達できる。例えば、薬物送達デバイスは、他の疾患、障害、および症状の間、腎臓結石または線維症、勃起不全の治療に用いることができる。
【0104】
一実施形態において、デバイスは、異なった時間において放出される2つの有効積載量を有してもよい。第一の有効積載量は、相対的に迅速放出に適用でき、一方、第二の有効積載量は、連続した放出に適用できる。
【0105】
その後、デバイスが非吸収性または、さもなくば、取り外しの必要のある場合に体内から回収できる。この目的のための回収デバイスは、当該分野で公知であり、または特別に製造できる。デバイスは、また、デバイス全体が吸収され、またはデバイスが、例えば、排尿中、膀胱から排除するために、十分分解するときなどいずれかのとき、回収が不必要となるために、完全に、または部分的に生体内分解性、吸収性、または生分解性であり得る。デバイスは、いくつかの薬物、または好ましくは、大半の、またはすべての薬物が放出されるまで、回収され、または吸収されなくてもよい。必要な場合、回収と同じ手順の間、または後で、新しい薬物が積載されたデバイスは、実質的に埋め込まれてもいてもよい。
【0106】
本発明は、以下の非限定の実施例を参照することにより、更に、理解できるであろう。
【実施例】
【0107】
[実施例1]
Tecophilic(登録商標)フィルムで形成し、ゲムシタビン (GEM)を積載したポーチの体外での薬物透過性試験をおこなった。このポーチ上へのγ線照射の効果も、また調査した。
【0108】
ポーチは、HP-93A-100及びHP-60D-60のフィルムで、厚さ0.5mmで作られた(フィルムは、Lubrizol社より提供された)。
(http://www.lubrizol.com/Medical/Products/Tecophilic.html)
これらの熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、生体適合性、及び乾燥樹脂の100重量%までの平衡水分量を吸収できる能力、並びに、その他の特性より選択された。使用したフィルム材料の材料特性は、以下の表1に示す。
【表1】
【0109】
各ポーチは、以下の通りに処方したゲムシタビン塩酸塩、または、塩基の単一錠剤を各ポーチに積載した後、各ポーチの全4端をヒートシールした2枚のフィルムから作られた:(1)ゲムシタビン塩酸塩:89%のGEM HCl、10%のイソマルト、1%のLubritab(非水溶性);または
(2)ゲムシタビン塩基:90%のGEM塩基、5%のPEG8k、5%のPVP。
幾つかのポーチは、γ線照射された(25kGy)。ポーチは、その後、37℃で、21mLの脱イオン水中に置かれた。その後、各時間点で、5回反転させ、1mLのサンプルを取り、次いで脱イオン水1mLを再充填した。
【0110】
放出された薬物の蓄積量(mgFBE、または遊離塩基当量での)、及びパーセント量は、
図13~24に図示した。結果は、塩酸塩または塩基形体のいずれも、ゲムシタビンが、0.5mm厚のTecophilic(登録商標)フィルムを透過したことを示した。HP-93A-100(低ジュロメータ硬度)では、HP-60D-60(高ジュロメータ硬度)より早い放出を観察した。ゲムシタビン塩酸塩(高溶解性)は、ゲムシタビン塩基(低溶解性)より早く放出した。γ線照射からは、悪影響は観察されなかった。
[実施例1A]
【0111】
各ポーチが1錠のゲムシタビン(GEM)HCl、及び4錠の尿素を積載すること以外は、実施例1のとおり構成したポーチを作った。ポーチは、その後、37℃で、21mLの脱イオン水内に置いた。その後、各時間点で、5回反転させ、1mLのサンプルを取り、次いで脱イオン水1mLを再充填した。
【0112】
サンプルから放出した薬物及び尿素のパーセント量は、以下の表2~4に図示する。結果は、ゲムシタビン及び尿素が、0.5mm厚のTecophilic(登録商標)フィルムを、1日で透過したことを示した。HP-93A-100(低ジュロメータ硬度)では、HP-60D-60(高ジュロメータ硬度)より早い放出を観察した。
【表2】
【表3】
【表4】
[実施例1B]
【0113】
肉厚、0.020′′のHP-93A-100及びHP-60D-60フィルム(フィルムは、Lubrizol社から提供された)を四角形(0.5インチ×0.5インチ)に切断し、37℃、50mLの脱イオン水中に置いた。各フィルムの質量は、フィルムの吸水率を測定するために、T=0及び再度T=1日で測定した。各フィルムの面積は、また、吸水に基づくフィルムの面積増加を測定するために、T=0及び再度T=1日で測定した。結果を以下の表-5に示す。HP-93A-100(低ジュロメータ硬度)は、HP-60D-60(高ジュロメータ硬度)より、質量及び水による膨潤が増加し、または面積の拡大が観察された。
【表5】
[実施例2]
【0114】
MED-4750(Nusil社製)で作られたシリコーン管は、ID:2.64mm、肉厚:0.20mmの寸法であった。2.6mm:ODを有する複数のゲムシタビン塩酸塩錠剤を、シリコーン管内に全ゲムシタビン塩酸塩の有効積載量、約380mgを積載した。錠剤薬物芯の各末端は、HP-60D-60(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られた0.5mm厚のディスクを有した。ディスクの直径は、
図25に示す。ディスクは、シリコーン管のIDに比べてサイズが大きく、それ故、それらは、管内に摩擦的に嵌合された。シリコーン管内の各デバイスのレイアウトは、ディスク-錠剤-ディスクであった。3つのデバイスは、組立てられ、体外での放出実験のため、脱イオン水中、37℃で置かれた。結果を
図25で示す。Y軸はゲムシタビンの放出速度を示し、単位は、mgFBE(遊離塩基当量)/日であった。
[実施例3]
【0115】
MED-4750(Nusil社製)で作られたシリコーン管は、ID:2.64mm、肉厚:0.20mmの寸法であった。OD:2.6mmを有する複数のゲムシタビン塩酸塩錠剤は、シリコーン管内に、全ゲムシタビン塩酸塩の有効積載量を約200mgで積載した。各デバイスは、錠剤薬物芯の各々の端部が、HP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有した。各ディスクの寸法は、肉厚:約0.5mm、OD:3.0mmであった。ディスクのOD(3.0mm)は、シリコーン管のID(2.64mm)より大きく、それ故、ディスクは、シリコーン管内に摩擦的に嵌合した。更に、MED-4780(Nusil社製)で作られたシリコーンワッシャが、ディスクの外側への移行を安定化させるために、ワッシャの周囲に塗布したシリコーン接着剤(MED3-4213)で各ディスクの隣に位置づけられていた。シリコーンワッシャは、ID,OD及び長さの概略寸法が、それぞれ、2.5mm、3.2mm及び2mmであった。シリコーン管内での各デバイスのレイアウトは:シリコーンワッシャ-ディスク-錠剤-ディスク-シリコーンワッシャであった。6つのデバイスが組み立てられ、体外での放出実験用に、脱イオン水中、37℃で置かれた。それらは、2つのグループに分けられた。1つのグループにおいて、放出ジャーは、他のグループ(「静的」とラベル)と対照的に回転体内で、4rpmで回転した(「回転体」とラベル)。結果は
図26で示す。以下に示す各エラーバーは、平均値の周囲の標準偏差である(各グループに対してn=3)。Y軸は、ゲムシタビン放出速度を示し、単位は、mgFBE (遊離塩基等量)/日である。
[実施例4]
【0116】
MED-4750(Nusil社製)で作られたシリコーン管は、ID、2.64mm、肉厚0.20mmの寸法であった。2.6mmのODを有する複数のゲムシタビン塩酸塩錠剤を、シリコーン管内に全ゲムシタビン塩酸塩の有効積載量で約97mgを積載した。デバイスは、薬物芯の1端に、HP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有し、他端は、シリコーン接着剤でシールされていた。各ディスクの寸法は、約0.5mmの肉厚、3.0mmのODであった。ディスクのOD(3.0mm)が、シリコーン菅のID(2.64mm)より大きかったので、それ故、ディスクはシリコーン管内に摩擦的に嵌合した。更に、ディスクの両端に位置するポリイミドワッシャが存在した。ポリイミドワッシャの寸法は、2.67mmのID、0.064mmの肉厚及び約1~2mmの長さであった。シリコーン管内の各デバイスのレイアウトは:シールした、ポリイミド外部ワッシャ-ディスク-ポリイミド内部ワッシャ-錠剤であった。3つのデバイスが組み立てられ、体外での放出実験のため、脱イオン水中に、37℃で置いた。結果を
図27で示した。以下に示す各エラーバーは、平均値の周囲の標準偏差である(n=3)。Y軸は、ゲムシタビン放出速度を示し、単位は、mgFBE(遊離塩基等量)/日である。
[実施例5]
【0117】
実験した3つの実験グループ:1)4rpmで回転体内で回転する放出ジャーを有する1つのモジュールデバイス(「回転体」);2)回転ジャーなしの1つモジュールデバイス(「静的」);及び3)回転ジャーなしの4つのモジュールデバイス(「静的」)が存在した。各モジュールは、ID:2.64mm及び0.20mmの肉厚の寸法を有するMED-4750(Nusil社製)で作られたシリコーン管を含む。2.6mmのODを有する複数のゲムシタビン塩酸塩の錠剤が、全量約190mgの有効積載量ゲムシタビン塩酸塩を有する各モジュールでシリコーン管内に積載された。錠剤の処方は、90%のゲムシタビン塩酸塩、5%のPVP、2.5%のNeusilin、及び2.5%のステアリン酸マグネシウムであった。各モジュールは、錠剤薬物の芯の各端部に、HP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有した。各ディスクの寸法は、肉厚:約0.5mm、OD:3.0mmであった。ディスクのOD(3.0mm)がシリコーン管のID(2.64mm)より大きいので、それ故、ディスクは、シリコーン管内に摩擦的に嵌合した。各モジュールは、ディスクの外側への移動を安定化するため、周囲にシリコーン接着剤(MED3-4213)を湿布して各ディスクに次いで位置付けられた、MED-4780で作られたシリコーン外部ワッシャを有する。シリコーン外部ワッシャは、ID,OD及び長さの寸法は、それぞれ、約2.5mm、3.2mm、及び2mmであった。更に、各モジュールは、2.67mmのID、0.064mmの肉厚、約4mmの長さを備えたポリイミド内部ワッシャを有していた。内部ワッシャは、ディスクが初期に錠剤と接触するように、錠剤で充填された。シリコーン管中の各モジュールのレイアウトは、シリコーン外部ワッシャ-ディスク-ポリイミド内部ワッシャ-錠剤-ポリイミド内部ワッシャ-ディスク-シリコーン外部ワッシャであった。
【0118】
放出された薬物の累積量およびパーセント量、並びに、薬物放出速度は、
図28~31に図示し:1つのモジュールデバイス(静的)、1つのモジュールデバイス(回転体)、及び4つのモジュールデバイス(静的)(n=3/各グループ)であった。
図31において、各エラーバーは、平均値の周囲の標準偏差であり、そしてY軸は、ゲムシタビンの放出速度を示し、単位はmmgFBE(遊離塩基当量)/日である。幾つかのエラーバーは、記号より小さい。非撹拌グループと撹拌グループの放出媒体の間にゲムシタビン放出速度(静的と回転体)の有意差が存在しなかった。また、4つのモジュールのゲムシタビン放出速度は、1つのモジュールデバイスの約4倍であった。
[実施例6]
【0119】
ゲムシタビン塩酸塩は、4つのモジュールデバイスで試験した。各モジュールは、MED-4750(Nusil社製)で作られた、2.64mmのIDと0.20mmの肉厚の寸法を有するシリコーン管を含んでいた。2.6mmのODを有する複数の錠剤をシリコーン管に積載した。錠剤処方は、90%のゲムシタビン塩酸塩、5%のPVP、 2.5%のNeusilin、及び2.5%のステリン酸マグネシウムであった。4つのモジュールデバイスに積載した錠剤の質量は、約800mgであった。シリコーン管は、
図5Aで示す0.51mmのID及び0.20mmの肉厚の追加の内腔を有し、ニチノールの保持フレームは、内腔内に挿入された。各モジュールは、錠剤薬剤の芯の両端で、HP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有した。各ディスクは、約0.5mmの肉厚と3.0mmのODであった。ディスクのOD(3.0mm)は、シリコーン管のID(2.64mm)より大きく、それ故、ディスクは、シリコーン管内に摩擦的に嵌合された。各モジュールは、それをシリコーン管内に固定するために、ワッシャの周囲に塗布したシリコーン接着剤でディスクに次いで位置づけた、MED-4780(Nusil社製)で作られた内部及び外部シリコーンワッシャを有した。シリコーン外部ワッシャは、ID、OD及び長さがそれぞれ、約2.5mm、3.2mm、及び2mmの寸法を有し、そしてシリコーン内部ワッシャは、ID、OD及び長さがそれぞれ約1.58mm、2.77mm、及び2mmの寸法であった。シリコーン管の各モジュールのレイアウトは:シリコーン外部ワッシャ-ディスク-シリコーン内部ワッシャ-錠剤-シリコーン内部ワッシャ-ディスク-シリコーン外部ワッシャである。
【0120】
3ユニットの体外での放出実験(R204-4~6)は、37℃で実施した。放出媒体は脱イオン水であり、時点サンプルは14日間に亘って収集した。放出した薬物の累積量及びサンプルの尿濃度を測定した。結果を
図32に示す。各エラーバーは平均値の周囲の標準偏差である(n=3)。幾つかのエラーバーは記号より小さい。
【0121】
同一デザインを有するデバイスは、ゲッチンゲンミニ豚で生体内試験をおこなった。各デバイスは、膀胱鏡により、非外科的に尿道を通して動物の膀胱内に挿入した。ゲムシタビン+2′,2′-ジフルオロ-2′-デオキシウリジン(dFdU)、その最終代謝物の尿濃度を、8日間に亘って測定した。
【0122】
結果を
図33で示す。8日間の調査の後、各デバイスは膀胱鏡及び鉗子により、非外科的に尿道を通して除去した。
[実施例7]
【0123】
塩化トロスピウムを、単一モジュールデバイスで試験した。モジュールは、MED-4750(Nusil社製)で作られ、寸法が2.64mmのID及び0.20mmの肉厚のシリコーン管を含む。2.6mmのODを有する複数のトロスピウム錠剤を、シリコーン管内に積載した。錠剤製剤は、賦形剤なしの塩化トロスピウムであり、各モジュール内に積載された錠剤質量は、約330mgであり、錠剤芯長は、5cm長さであった。シリコーン管は、0.51mmのID 及び0.20mmの肉厚を備えた追加の内腔を有し、ニチノール保持フレームが内腔に挿入された。各モジュールは、錠剤薬物芯の一端でHP-93A-100(Tecophilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有し、一方、他端は、シリコーン接着剤でシールした。各ディスクの寸法は、約0.5mmの肉厚、及び3.0mmのODであった。ディスクディスクのOD(3.0mm)は、シリコーン管のID(2.64mm)より大きく、それ故、ディスクは、シリコーン管に摩擦的に嵌合した。各モジュールは、MED-4780(Nusil社製)で作られ、ワッシャの周囲に塗布したシリコーン接着剤で各ディスクに次いで位置づけたシリコーンワッシャを有した。シリコーンワッシャは、ID、OD、及び長さがそれぞれ約
2.5mm、3.2mm、及び2mmの寸法であった。シリコーン管での各モジュールのレイアウトは:シリコーンワッシャ-ディスク―錠剤―シールであった。
【0124】
3つのユニットでの体外での放出実験は、37℃で実施した。放出媒体は、pH4.5で、0日~14日に亘る、150mMの酢酸アンモニウム緩衝液であった。次に、14日~21日間で、L104-1~L104-3の各ユニットは、それぞれ異なるpH及び浸透圧:pH8及び1000mmol/kg、pH4及び450mmol/kg、pH8及び450mmol/kgの人口尿の1つに移動した。その後、21日からは、放出媒体は、全てのユニットに対してpH4.5で、150mMの酢酸アンモニウム緩衝液であった。放出薬物の累積量は、
図34で示される。
[実施例8]
【0125】
塩化トロスピウムは、単一モジュールのデバイスで試験した。モジュールは、MED-4750(Nusil社製)で作られ、寸法が2.64mmのID及び0.20mmの肉厚のシリコーン管を含む。2.6mmのODを有する複数のトロスピウム錠剤を、シリコーン管内に積載した。錠剤製剤は、塩化トロスピウム(80.75重量%)、PlasdoneK-29/32(4.25重量%)、PROSOLV SMCC50(14.0重量%)、及びステアリン酸マグネシウム(1重量%)であり、各モジュールに積載される錠剤質量は、約900mgであり、錠剤芯長は14cmであった。シリコーン管は、0.51mmのID及び0.20のmm肉厚を有する追加の内腔を有し、ニチノールの保持フレームは、内腔内に挿入された。各モジュールは、錠剤薬物芯の一端にHP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有し、一方他端はシリコーン接着剤でシールされていた。各ディスクの寸法は、約0.5mm肉厚、3.0mmのODであった。ディスクのOD(3.0mm)は、シリコーン管のID(2.64 mm)より大きく、それ故、ディスクは、シリコーン管に摩擦的に嵌合した。各モジュールは、それを固定するために、ワッシャの周囲に塗布したシリコーン接着剤で各ディスクに次いで位置づけた、MED-4780(Nusil社製)で作られたシリコーンワッシャを有した。シリコーンワッシャは、ID、OD、及び長さがそれぞれ約2.5mm、3.2mm、及び2mmの寸法をであった。シリコーン管での各モジュールのレイアウトは:シリコーンワッシャ-ディスク―錠剤―シールであった。
【0126】
体外での実験が37℃で実施され、放出媒体は、pH4.5で、150mMの酢酸アンモニウム緩衝液であり、サンプルは3ケ月に亘って採取した。放出媒体を、2週間毎新しいものに変更した。結果を
図35に示す。各々のエラーバーは、平均値の周囲の標準偏差(n=3)である。幾つかのエラーバーは記号より小さかった。
[実施例9]
【0127】
リドカイン塩酸塩を、単一モジュールシステムで試験した。モジュールは、MED-4750(Nusil製)で作られ、2.64mmのID及び0.20mmの肉厚の寸法を有するシリコーン管を含んだ。2.64mmのODを有する、複数のリドカイン塩酸塩の錠剤は、シリコーン管に積載された。錠剤の処方は、リドカイン塩酸塩一水和物(89.5重量%)、 Plasdone K-29/32(2.5重量%)、及び ポリグリコール8000 PF(8.0重量%)であり、各モジュールに積載した錠剤質量は、約320mgであり、錠剤芯長は5cmであった。各モジュールは、錠剤薬物芯の一端にHP-93A-100(Tecophilic(登録商標):熱可塑性ポリウレタン)で作られたディスクを有し、一方、他端はシリコーン接着剤でシールした。各ディスクの寸法は、約0.5mmの肉厚、3.0mmのODであった。ディスクのOD(3.0mm)が、シリコーン管のID(2.64mm)より大きく、それ故、ディスクは、シリコーン管を摩擦的に嵌合した。各モジュールは、それを固定するためにワッシャの周囲に塗布したシリコーン接着剤で各ディスクに次いで位置づけたMED-4780(Nusil社製)で作
られたシリコーンワッシャを有した。シリコーンワッシャは、約2.5mm、3.2mm、及び2mmの寸法をであった。シリコーン管での各モジュールのレイアウトは:シリコーンワッシャ-ディスク―錠剤―シールであった。
【0128】
体外での放出実験は、脱イオン水中、37℃で実施し、サンプルは8日間に亘って収集した。結果を
図36に示す。各エラーバーは、平均値の周囲での標準偏差であった(n=2)。幾つかのエラーバーは記号より小さい。
[実施例10]
【0129】
リドカイン塩酸塩は、以下のレイアウトを有するサイドホールデバイス内で試験した:2つのホールを有する内部シリコーン管-親水性のポリマーバンド-2つのホールを有する外部シリコーンスリーブ。内部シリコーン管は、MED-4750(Nusil社製)で作られ、1.52mmのID、0.2mmの肉厚を有し、リドカイン錠剤を含む。錠剤の処方は、リドカイン塩酸塩一水和物(89.5重量%)、Plasdone K-29/32(2.5重量%)、及びポリグリコール8000PF(8.0重量%)であった。積載した錠剤質量は、約105mgであり、そして錠剤芯長は5cmであった。2つのホールは、約1.2mmの直径であり、内部シリコーン管及び外部シリコーンスリーブ両方で、手動式パンチで作られた。2つのパンチホールは、互いに対向して位置した。親水性のポリマーバンドは、HP-93A-100(Tecophilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン)で作られ、2.64mmのOD、0.2mmの肉厚、1cmの長さであった。外部シリコーンスリーブは、3.05mmのID、0.2mmの肉厚、2cmの長さであった。外部シリコーンスリーブは、3.05mmのID、0.2mmの肉厚、2cmの長さであった。シリコーン接着剤を内部シリコーン管と外部シリコーンスリーブの間で塗布した。内部シリコーン管と外部シリコーンスリーブ間のホールは、整列した。
【0130】
体外での放出実験は、脱イオン水中、37℃で実施し、サンプルは7日間に亘って収集した。結果は、
図37で示す。各エラーバーは、平均値の周囲での標準偏差である(n=2)。幾つかのエラーバーは記号より小さい。
【0131】
本明細書に引用される公開情報、及びそれらを引用する材料は、参照することにより具体的に導入したものとする。本明細書に記載の方法及びデバイスの改質及び変更は、前述の詳細な記載から当業者に明らかである。そのような改質及び変更は、添付の特許請求範囲内に入ることを意図する。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[発明1]
埋め込み可能な薬物送達デバイスであって:
第一の壁構造体、及び親水性の第二の壁構造体で囲まれた閉鎖薬物リザーバ内腔を有するハウジング;及び
前記薬物リザーバ内腔に含まれる薬物を含み、
前記第一の壁構造体は、前記薬物に対して不透過性であり、及び前記第二の壁構造体は、前記薬物に対して透過性であり、
(i)前記第一の壁構造体は、円筒管であり、及び前記第二の壁構造体は、前記円筒管の少なくとも一端に配置された端壁であり;または
(ii)前記第一の壁構造体、及び前記第二の壁構造体は、互いに隣接して、一緒に円筒管を形成する、
薬物送達デバイス。
[発明2]
前記デバイスが、膀胱内に挿入し保持するように構成される、発明1記載のデバイス。
[発明3]
前記デバイスが、患者の尿道を通して患者の膀胱内に挿入するのに適した相対的直線形状と、膀胱内にデバイスを保持するのに適した保持形状の間で弾性的に変形可能である、発明2記載のデバイス。
[発明4]
保持フレーム内腔、及びその中に配置された保持フレームを更に含む、発明3記載のデバイス。
[発明5]
前記第一の壁構造体がシリコーンを含む、発明1記載のデバイス。
[発明6]
前記第二の壁構造体が熱可塑性ポリウレタンを含む、発明1記載のデバイス。
[発明7]
前記第一の壁構造体が円筒管であり、及び前記第二の壁構造体が前記円筒管の少なくとも一端に配置された端壁であり、及び前記第二の壁構造体が円筒管の内腔で安定化したディスク形状である、発明1記載のデバイス。
[発明8]
前記ディスクが、内部ワッシャと外部ワッシャの間に挟まれた、発明7記載のデバイス。
[発明9]
前記第一の壁構造体及び前記第二の壁構造体が互いに隣接して一緒に円筒管を形成しており、前記第一及び前記第二の壁構造体が共押出法で形成される、発明1記載のデバイス。
[発明10]
前記薬物が1つ以上の固体薬物ユニットの形状である、発明1記載のデバイス。
[発明11]
前記薬物が低溶解性薬物である、発明1記載のデバイス。
[発明12]
前記薬物が高溶解性薬物である、発明1記載のデバイス。
[発明13]
前記薬物が、リドカイン、ゲムシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、トロスピウム、トルテロジン、オキシブチニン、またはマイトマイシンCを含む、発明1記載のデバイス。
[発明14]
患者に対して薬物の制御された放出を提供する方法であって:
前記患者内に薬物送達デバイスを配置し、前記デバイスは、第一の壁構造体と親水性の第二の壁構造体で囲まれた閉鎖された薬物リザーバ内腔を含み;
薬物を前記第二の壁構造体を通した拡散を経由して前記薬物リザーバ内腔から放出し;
前記第一の壁構造体は、薬物に対して不透過性であり、前記第二の壁構造体は、前記薬物に対して透過性であり;
(i)前記第一の壁構造体は円筒管であり、前記第二の壁構造体は、前記円筒管の少なくとも一端に配置された端壁であり;または
(ii)前記第一の壁構造体及び前記第二の壁構造体は、互いに隣接して一緒に円筒管を形成する;
方法。
[発明15]
患者内への前記薬物送達デバイスの埋め込みが、配置機器を通して、前記デバイスを患者の体腔、または内腔内に挿入することを含む、発明14記載の方法。
[発明16]
前記患者内に前記薬物送達デバイスを配置することは:
前記デバイスを相対的直線形状に弾性的に変形し;
患者の尿道を通して前記デバイスを挿入し;及び
膀胱内にデバイスを保持するのに適した保持形状をとるように患者の膀胱内へ前記デバイスを解放する;
ことを含む、発明14記載の方法。
[発明17]
前期薬物送達デバイスから、前記薬物を放出する速度が、少なくとも36時間に亘って0
次である、発明14記載の方法。
[発明18]
前期薬物送達デバイスから、前記薬物を放出する速度が、少なくとも7日間に亘って本質的に0次である、発明14記載の方法。
[発明19]
前記薬物が、リドカイン、ゲムシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、トロスピウム、トルテロジン、オキシブチニン、又はマイトマイシンCを含む、発明18記載の方法。
[発明20]
前記薬物の放出が、更に、前記第二の壁構造体、または前記第一及び前記第二の壁構造体の両方を通して吸収される水で前記薬物を可溶化することを含む、発明14記載の方法。
[発明21]
前記薬物が1つ以上の固体薬物ユニットの形状である、発明20記載の方法。