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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】空調制御装置及び空調制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240315BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240315BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F110:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021125605
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020313
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501158538
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穗苅 寛光
(72)【発明者】
【氏名】中根 滉稀
(72)【発明者】
【氏名】毬山 利貞
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 直幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 治
(72)【発明者】
【氏名】馬場 航
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132457(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065807(WO,A1)
【文献】特開2020-029970(JP,A)
【文献】特開2020-095616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置されている複数の空調機の中で、稼働対象の空調機を示す複数の稼働パターンを取得する稼働パターン取得部と、
それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときに、前記室内に設置されている温度センサの測定温度を示す温度データを取得する温度データ取得部と、
学習データとして、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量と、前記稼働対象の空調機が稼働しているときに前記温度データ取得部により取得された温度データとを用いて、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているとき、前記温度センサにより測定される温度を予測するための室温予測モデルを生成する予測モデル生成部と、
前記予測モデル生成部により生成された、それぞれの稼働パターンに対応している室温予測モデルに対して、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量を与えて、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度を取得し、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度に基づいて、前記複数の稼働パターンの中から第1稼働パターンを選択する稼働パターン選択部と
前記稼働パターン選択部により選択された、前記第1稼働パターンが示す稼働対象の空調機を稼働させる制御を行う空調機制御部と、
前記第1稼働パターンの選択により、前記複数の空調機のうちの少なくとも1台の空調機に対して設定された第1制御量から変更する、前記第1稼働パターンに対応している第1室温予測モデルが学習するための第2制御量を決定する制御を行う制御量変更部と、
学習データとして、前記第2制御量、前記温度データ取得部により取得された温度データとを、前記第1室温予測モデルに与える学習実行部とを備え、
前記制御量変更部は、設定可能な制御量のうち、前記第2制御量の候補となる複数の制御量に対して評価を行い、前記評価に基づいて前記第2制御量を決定する空調制御装置。
【請求項2】
前記第1制御量は、前記複数の空調機のうちの少なくとも1台の空調機に対して設定された第1設定温度であり、
前記第2制御量は、第2設定温度であり、設定可能な温度の範囲のうち、前記第2設定温度の候補となる複数の温度に対して評価を行い、前記評価に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記稼働パターン選択部は、
前記稼働パターン取得部により取得された複数の稼働パターンの中で、対応している室温予測モデルから得られる予測温度が温度上限値以下であり、かつ、対応している室温予測モデルの予測精度が閾値以内である稼働パターンを選択し、選択され前記第1稼働パターンと、第2稼働パターンとを含む2つ以上の稼働パターンの中から、稼働対象の空調機の台数が相対的に少ない1つの稼働パターンである前記第1稼働パターンを選択することを特徴とする請求項1記載の空調制御装置。
【請求項4】
記制御量変更部は、前記評価として、空調機の設定可能な温度範囲のうち、前記第2設定温度の前記候補となる複数の温度と、前記第1設定温度との温度差をそれぞれ算出し、算出したそれぞれの温度差に基づいて、前記第2設定温度に設定する順番を決定し、
前記学習実行部は、前記制御量変更部により決定された順番に基づいて前記候補となる温度のそれぞれ前記第2設定温度として前記室温予測モデルに与え、前記稼働対象の空調機が稼働しているときに、前記温度センサにより測定される温度を前記室温予測モデルに学習させることを特徴とする請求項記載の空調制御装置。
【請求項5】
調機の設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のうち、いずれかの温度を空調機の仮の設定温度として、前記学習実行部による学習済みの室温予測モデルに与えて、前記学習済みの室温予測モデルから予測温度を取得し、前記予測温度と温度上限値とに基づいて、空調機の設定温度を決定する設定温度決定部を備えたことを特徴とする請求項記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記空調機制御部は、前記稼働パターン選択部により選択された前記第1稼働パターンが示す稼働対象の空調機を前記設定温度決定部により決定された設定温度で稼働させることを特徴とする請求項記載の空調制御装置。
【請求項7】
室内に設置されている複数の空調機の中で、稼働対象の空調機を示す複数の稼働パターンを稼働パターン取得部によって取得し、
それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときに、前記室内に設置されている温度センサの測定温度を示す温度データを温度データ取得部によって取得し、
学習データとして、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量と、前記稼働対象の空調機が稼働しているときに前記温度データ取得部により取得された温度データとを用いて、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときの、前記温度センサにより測定される温度を予測するための室温予測モデルを予測モデル生成部によって生成し、
前記予測モデル生成部により生成された、それぞれの稼働パターンに対応している室温予測モデルに対して、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量を与えて、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度を取得し、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度に基づいて、前記複数の稼働パターンの中から第1稼働パターンを稼働パターン選択部によって選択し、
前記稼働パターン選択部により選択された、前記第1稼働パターンが示す稼働対象の空調機を稼働させる制御を空調機制御部によって行い、
前記第1稼働パターンの選択により、前記複数の空調機のうちの少なくとも1台の空調機に対して設定された第1制御量から変更する、前記第1稼働パターンに対応している第1室温予測モデルが学習するための第2制御量を制御量変更部によって決定し、
学習データとして、前記第2制御量と、前記温度データ取得部により取得された温度データとを、学習実行部によって前記第1室温予測モデルに与える空調制御方法であって、
前記制御量変更部は、設定可能な制御量の範囲のうち、前記第2制御量の候補となる複数の制御量に対して評価を行い、前記評価に基づいて前記第2制御量を決定する空調制御方法。
【請求項8】
コンピュータに
室内に設置されている複数の空調機の中で、稼働対象の空調機を示す複数の稼働パターンを取得する処理と、
それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときに、前記室内に設置されている温度センサの測定温度を示す温度データを取得する処理と、
学習データとして、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量と、前記稼働対象の空調機が稼働しているときに取得された温度データとを用いて、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときの、前記温度センサにより測定される温度を予測するための室温予測モデルを生成する処理と、
生成された、それぞれの稼働パターンに対応している室温予測モデルに対して、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量を与えて、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度を取得し、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度に基づいて、前記複数の稼働パターンの中から第1稼働パターンを選択する処理と、
選択された前記第1稼働パターンが示す稼働対象の空調機を稼働させる処理と、
前記第1稼働パターンの選択により、前記複数の空調機のうちの少なくとも1台の空調機に対して設定された第1制御量から変更する、前記第1稼働パターンに対応している第1室温予測モデルが学習するための第2制御量を決定する処理と、
学習データとして、前記第2制御量と、取得された温度データとを、前記第1室温予測モデルに与える処理とを実行させ、
前記第2制御量は、設定可能な制御量の範囲のうち、前記第2制御量の候補となる複数の制御量に対して評価を行い、前記評価に基づいて決定されることを特徴とするコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御装置及び空調制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンタ、又は、サーバルーム等には、複数の電子機器が設置されている。電子機器には、コンピュータのほか、通信機器等が含まれる。電子機器からの発熱による室内温度の上昇を抑えるために、データセンタ等には、複数の空調機が設置される。データセンタ等に設置されている複数の空調機のうち、一部の空調機が稼働すれば、データセンタ等の温度が一定の温度以下に保たれることがある。空調機の消費電力を抑えるためには、実際に稼働される空調機の台数が少ない方が望ましい。実際に稼働されない空調機は、予備機として利用される。
【0003】
サーバルームに設置されている複数の空調機を制御する空調制御装置の中には、複数の空調機の中で実際に稼働させる空調機を決定することができる空調制御装置(以下「従来の空調制御装置」という)がある(特許文献1を参照)。従来の空調制御装置は、電子機器から排出される高温の空気が通る通路であるホットアイルの位置と、複数の空調機の位置とを示すレイアウトデータを取得する。そして、従来の空調制御装置は、レイアウトデータに基づいて、複数の空調機の中で実際に稼働させる空調機を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-005646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の空調制御装置は、レイアウトデータを取得することができなければ、サーバルームに設置されている複数の空調機の中で実際に稼働させる空調機を決定することができないという課題があった。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、レイアウトデータを取得することなく、複数の空調機の中で実際に稼働させる空調機を決定することができる空調制御装置及び空調制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空調制御装置は、室内に設置されている複数の空調機の中で、稼働対象の空調機を示す複数の稼働パターンを取得する稼働パターン取得部と、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているときに、室内に設置されている温度センサの測定温度を示す温度データを取得する温度データ取得部と、学習データとして、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量と、稼働対象の空調機が稼働しているときに温度データ取得部により取得された温度データとを用いて、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機が稼働しているとき、温度センサにより測定される温度を予測するための室温予測モデルを生成する予測モデル生成部と、予測モデル生成部により生成された、それぞれの稼働パターンに対応している室温予測モデルに対して、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機の制御量を与えて、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度を取得し、それぞれの稼働パターンに対応した予測温度に基づいて、複数の稼働パターンの中から第1稼働パターンを選択する稼働パターン選択部と、稼働パターン選択部により選択された、第1稼働パターンが示す稼働対象の空調機を稼働させる制御を行う空調機制御部と、第1稼働パターンの選択により、複数の空調機のうちの少なくとも1台の空調機に対して設定された第1制御量から変更する、第1稼働パターンに対応している第1室温予測モデルが学習するための第2制御量を決定する制御を行う制御量変更部と、学習データとして、第2制御量、温度データ取得部により取得された温度データとを、第1室温予測モデルに与える学習実行部とを備え、制御量変更部は、設定可能な制御量のうち、第2制御量の候補となる複数の制御量に対して評価を行い、評価に基づいて第2制御量を決定する
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、レイアウトデータを取得することなく、複数の空調機の中で実際に稼働させる空調機を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る空調制御装置3を含む空調システムを示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る空調制御装置3のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図3】空調制御装置3が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図4】空調制御装置3の処理手順である空調制御方法を示すフローチャートである。
図5】空調制御装置3における一部の処理手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る空調制御装置3を含む空調システムを示す構成図である。
図7】実施の形態2に係る空調制御装置3のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図8】設定温度決定部18により決定される設定温度PTの候補を示す説明図である。
図9】設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空調制御装置3を含む空調システムを示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係る空調制御装置3のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1に示す空調システムは、電子機器が設置されている室内の温度を管理するシステムである。電子機器には、コンピュータのほか、通信機器等が含まれる。空調システムが管理する室としては、データセンタ、又は、サーバルーム等がある。
図1に示す空調システムは、N台の空調機1-1~1-Nと、M台の温度センサ2-1~2-Mと、空調制御装置3とを備えている。N,Mのそれぞれは、2以上の整数である。
【0012】
データセンタ等には、複数のサーバラックが配置されており、それぞれのサーバラックには、複数の電子機器が収納されている。図1の例では、14個のサーバラックが配置されている。
空調機1-1~1-Nは、データセンタ等に設置されている。図1の例では、N=12である。
温度センサ2-1~2-Mは、データセンタ等に設置されている。図1では、図面の簡単化のため、M=2である例を示している。実際には、数メートルの間隔で、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)が設置されている。また、温度センサ2-mは、例えば、データセンタ等の床上1.5mの位置と床上2.5mの位置とに設置されている。
温度センサ2-m(m=1,・・・,M)は、データセンタ等において、自己が設置されている位置の温度を測定し、測定温度MTを示す温度データを空調制御装置3に出力する。
【0013】
空調制御装置3は、稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14及び空調機制御部15を備えている。
稼働パターン取得部11は、例えば、図2に示す稼働パターン取得回路21によって実現される。
稼働パターン取得部11は、N台の空調機1-1~1-Nの中で、稼働対象の空調機1-kを示すG個の稼働パターンOP~OPを取得する。
稼働パターン取得部11により取得される稼働パターンOPの数Gは、例えば、N台の空調機1-1~1-Nの中から、P台以上の空調機1を選ぶ組み合わせの数であり、Pは、1以上N未満の整数である。
稼働対象の空調機が、例えば、空調機1-3,1-5,1-8,1-10であれば、k=3,5,8,10である。稼働対象の空調機が、例えば、空調機1-4,1-7,1-9であれば、k=4,7,9である。
稼働パターン取得部11は、G個の稼働パターンOP~OPを稼働パターン選択部14及び空調機制御部15のそれぞれに出力する。
【0014】
図1に示す空調システムでは、稼働パターン取得部11が、空調制御装置3の外部から稼働パターンOP(g=1,・・・,G)を取得する。しかし、これは一例に過ぎず、稼働パターン取得部11が、例えば、空調制御装置3の図示せぬ記憶装置から稼働パターンOPを取得するものであってもよい。
【0015】
温度データ取得部12は、例えば、図2に示す温度データ取得回路22によって実現される。
温度データ取得部12は、それぞれの稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)により測定された温度である測定温度MTを示す温度データを取得する。
温度データ取得部12は、取得した測定温度MTを示す温度データを、予測モデル生成部13に出力する。
【0016】
予測モデル生成部13は、例えば、図2に示す予測モデル生成回路23によって実現される。
予測モデル生成部13は、温度データ取得部12から、測定温度MTを示す温度データを取得し、空調機制御部15から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの制御量を取得する。
稼働対象の空調機1-kの制御量としては、例えば、空調機1-kの設定温度、空調機1-kの風量、又は、空調機1-kと接続されている圧縮機の稼働用電圧の周波数が想定される。図1に示す空調システムでは、空調機1-kの制御量が、空調機1-kの設定温度であるとして説明する。
予測モデル生成部13は、学習データとして、稼働パターンOP(g=1,・・・,G)が示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTと、当該稼働対象の空調機が稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データとを用いて、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)により測定される温度を予測するための室温予測モデルRTMを生成する。
予測モデル生成部13は、生成したG個の室温予測モデルRTM~RTMを稼働パターン選択部14に出力する。
【0017】
稼働パターン選択部14は、例えば、図2に示す稼働パターン選択回路24によって実現される。
稼働パターン選択部14は、稼働パターン取得部11から、G個の稼働パターンOP~OPを取得し、予測モデル生成部13から、G個の室温予測モデルRTM~RTMを取得する。
また、稼働パターン選択部14は、空調機制御部15から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTを取得する。
稼働パターン選択部14は、室温予測モデルRTM(g=1,・・・,G)に対して、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの制御量である設定温度PTを与えて、室温予測モデルRTMから予測温度FTを取得する。
稼働パターン選択部14は、予測温度FT(g=1,・・・,G)に基づいて、G個の稼働パターンOP~OPの中から、1つの稼働パターンOPSELを選択する。
稼働パターン選択部14は、選択した1つの稼働パターンOPSELを空調機制御部15に出力する。
【0018】
空調機制御部15は、例えば、図2に示す空調機制御回路25によって実現される。
空調機制御部15は、稼働パターン取得部11から、G個の稼働パターンOP~OPを取得する。
空調機制御部15は、予測モデル生成部13に対して、G個の室温予測モデルRTM~RTMを生成させるために、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させる。例えば、G=3であれば、空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させたのち、室内温度が稼働対象の空調機1-kを稼働させる前の温度に戻ってから、再度、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させるという動作を繰り返し行う。
その後、空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させたのち、室内温度が稼働対象の空調機1-kを稼働させる前の温度に戻ってから、再度、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させるという動作を繰り返し行う。
さらに、その後、空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させたのち、室内温度が稼働対象の空調機1-kを稼働させる前の温度に戻ってから、再度、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させるという動作を繰り返し行う。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させるとき、空調機1-kの設定温度PTを予測モデル生成部13及び稼働パターン選択部14のそれぞれに出力する。
稼働対象の空調機1-kの設定温度PTは、空調機制御部15の内部メモリに格納されていてもよいし、空調制御装置3の外部から与えられるものであってもよい。
空調機制御部15は、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させる。
【0019】
図1では、空調制御装置3の構成要素である稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14及び空調機制御部15のそれぞれが、図2に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、空調制御装置3が、稼働パターン取得回路21、温度データ取得回路22、予測モデル生成回路23、稼働パターン選択回路24及び空調機制御回路25によって実現されるものを想定している。
稼働パターン取得回路21、温度データ取得回路22、予測モデル生成回路23、稼働パターン選択回路24及び空調機制御回路25のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0020】
空調制御装置3の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、空調制御装置3が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
【0021】
図3は、空調制御装置3が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
空調制御装置3が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14及び空調機制御部15におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ31に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
【0022】
また、図2では、空調制御装置3の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、図3では、空調制御装置3がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、空調制御装置3における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0023】
次に、図1に示す空調システムの動作について説明する。
図4は、空調制御装置3の処理手順である空調制御方法を示すフローチャートである。
稼働パターン取得部11は、例えば、空調制御装置3の外部から、稼働対象の空調機1-kを示すG個の稼働パターンOP~OPを取得する(図4のステップST1)。
稼働パターン取得部11は、G個の稼働パターンOP~OPを稼働パターン選択部14及び空調機制御部15のそれぞれに出力する。
【0024】
空調機制御部15は、稼働パターン取得部11から、G個の稼働パターンOP~OPを取得する。
空調機制御部15は、予測モデル生成部13に対して、G個の室温予測モデルRTM~RTMを生成させるために、それぞれの稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させる。
例えば、G=2であり、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが、空調機1-3,1-8であり、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが、空調機1-5,1-10であるとする。また、全ての稼働対象の空調機1-kの設定温度PTが19度であり、コンピュータ等の電子機器が設置されている室内の温度が25度であるとする。
【0025】
この場合、空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-3,1-8を設定温度PT(=19度)で一定時間稼働させる。一定時間は、例えば、1時間、又は、1.5時間である。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-3,1-8を設定温度PTで一定時間稼働させたのち、室内温度が空調機1-3,1-8を稼働させる前の温度である25度に戻ると、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-3,1-8を設定温度PT(=19度)で一定時間稼働させる。
空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-3,1-8の稼働を、例えばQ回行わせる。Qは、2以上の整数である。
その後、空調機制御部15は、室内温度が空調機1-3,1-8を稼働させる前の温度である25度に戻ると、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-5,1-10を設定温度PT(=19度)で一定時間稼働させる。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-5,1-10を稼働させたのち、室内温度が空調機1-5,1-10を稼働させる前の温度である25度に戻ると、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-5,1-10を設定温度PT(=19度)で一定時間稼働させる。
空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-5,1-10の稼働を、例えばQ回行わせる。
【0026】
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させるとき、空調機1-kの設定温度PTを予測モデル生成部13及び稼働パターン選択部14のそれぞれに出力する。また、空調機制御部15は、それぞれの稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求を予測モデル生成部13に出力する。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kが稼働を開始してから一定時間に温度データを取得することを指示するデータ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
【0027】
温度データ取得部12は、空調機制御部15から、データ取得要求を受けると、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)の測定温度MTを示す温度データを取得する(図4のステップST2)。
例えば、G=2であり、空調機制御部15が、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-3,1-8を設定温度PTでQ回稼働させていれば、温度データ取得部12は、それぞれの稼働中に温度センサ2-mによって測定された温度である測定温度MTを示す温度データを取得する。したがって、温度データ取得部12は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-3,1-8が稼働されているときに、Q個の温度データを取得する。
また、空調機制御部15が、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-5,1-10を設定温度PTでQ回稼働させていれば、温度データ取得部12は、それぞれの稼働中に温度センサ2-mによって測定された温度である測定温度MTを示す温度データを取得する。したがって、温度データ取得部12は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-5,1-10が稼働されているときに、Q個の温度データを取得する。
温度データ取得部12は、取得したG×Q個の測定温度MTを示す温度データを予測モデル生成部13に出力する。
【0028】
予測モデル生成部13は、温度データ取得部12から、G×Q個の温度データを取得する。
予測モデル生成部13は、空調機制御部15から、稼働パターンOP(g=1,・・・,G)が示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTと、稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求とを取得する。
予測モデル生成部13は、室温予測モデルRTMの生成要求を取得すると、それぞれの室温予測モデルRTMに与えるQ個の学習データとして、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTと、Q個の温度データの中のq(q=1,・・・,Q)番目の温度データとを含むデータセットを用意する。
1番目のデータセット=空調機1-kの設定温度PT+1番目の温度データ
2番目のデータセット=空調機1-kの設定温度PT+2番目の温度データ

Q番目のデータセット=空調機1-kの設定温度PT+Q番目の温度データ
【0029】
予測モデル生成部13は、1番目のデータセットを未学習の室温予測モデルRTMに与えて、室温予測モデルRTMから出力される予測温度FTが、1番目の温度データが示す測定温度MTに近づくように、室温予測モデルRTMの内部パラメータを変更させる学習を行わせる。
次に、予測モデル生成部13は、2番目のデータセットを、1番目のデータセットによって学習が行われた室温予測モデルRTMに与えて、室温予測モデルRTMから出力される予測温度FTが、2番目の温度データが示す測定温度MTに近づくように、室温予測モデルRTMの内部パラメータを変更させる学習を行わせる。
以降、予測モデル生成部13は、q(q=3,・・・,Q)番目のデータセットを、(q-1)番目のデータセットによって学習が行われた室温予測モデルRTMに与えて、室温予測モデルRTMから出力される予測温度FTが、q番目の温度データが示す測定温度MTに近づくように、室温予測モデルRTMの内部パラメータを変更させる学習を行わせる。
予測モデル生成部13は、上記のようにして、G個の稼働パターンOP~OPのそれぞれに対応している室温予測モデルRTM(g=1,・・・,G)を生成する(図4のステップST3)。
【0030】
室温予測モデルRTMは、稼働対象の空調機1-kの設定温度PTが与えられると、一定時間後に温度センサ2-mにより測定される温度の予測温度FTを出力することができる機械学習モデルであればよく、どのような形態の予測モデルであってもよい。室温予測モデルRTMとしては、例えば、線形回帰モデル、勾配ブースティング木、又は、ニューラルネットワークが考えられる。
室温予測モデルRTMの生成処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
予測モデル生成部13は、生成したG個の室温予測モデルRTM~RTMを稼働パターン選択部14に出力する。
【0031】
ここでは、予測モデル生成部13が、学習データとして、Q個のデータセットを用いて、室温予測モデルRTMを生成している。しかし、これは一例に過ぎず、予測モデル生成部13が、Q個のデータセットのそれぞれに、データセンタ等に設置されている全ての電子機器の消費電力等を含め、学習データとして、電子機器の消費電力等を含む、Q個のデータセットを用いて、室温予測モデルRTMを生成するようにしてもよい。
【0032】
稼働パターン選択部14は、稼働パターン取得部11から、G個の稼働パターンOP~OPを取得し、予測モデル生成部13から、G個の室温予測モデルRTM~RTMを取得する。
また、稼働パターン選択部14は、空調機制御部15から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTを取得する。
稼働パターン選択部14は、設定温度PTをG個の室温予測モデルRTM~RTMのそれぞれに与えて、室温予測モデルRTM(g=1,・・・,G)から、予測温度FTを取得する。
稼働パターン選択部14は、予測温度FT(g=1,・・・,G)に基づいて、G個の稼働パターンOP~OPの中から、1つの稼働パターンOPSELを選択する(図4のステップST4)。
稼働パターン選択部14は、選択した1つの稼働パターンOPSELを空調機制御部15に出力する。
【0033】
例えば、稼働パターン選択部14は、G個の稼働パターンOP~OPの中で、対応している室温予測モデルRTM(g=1,・・・,G)から得られる予測温度FTが温度上限値Tmax以下であり、かつ、対応している室温予測モデルRTMの予測精度が閾値以内である稼働パターンを仮に選択する。温度上限値Tmaxは、室内の温度がこれ以上上昇すると、電子機器に影響がある温度であり、設定温度PTよりも数度高い温度である。温度上限値Tmaxは、稼働パターン選択部14の内部メモリに格納されていてもよいし、空調制御装置3の外部から与えられるものであってもよい。
室温予測モデルRTMの予測精度は、室温予測モデルRTMから出力されるものである。閾値としては、1.5度、又は、2度等が考えられる。したがって、閾値が例えば1.5度であれば、室温予測モデルRTMの予測精度が1.5度以内の室温予測モデルRTMが選択される。閾値は、稼働パターン選択部14の内部メモリに格納されていてもよいし、空調制御装置3の外部から与えられるものであってもよい。
稼働パターン選択部14は、仮に選択した1つ以上の稼働パターンの中で、稼働対象の空調機1-kの台数が相対的に少ない1つの稼働パターンを選択する。即ち、稼働パターン選択部14は、仮に選択した1つ以上の稼働パターンの中で、稼働対象の空調機1-kの台数が最も少ない稼働パターンを稼働パターンOPSELとして選択する。
【0034】
空調機制御部15は、稼働パターン選択部14から、稼働パターンOPSELを取得する。
空調機制御部15は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させる(図4のステップST5)。
【0035】
以上の実施の形態1では、室内に設置されている複数の空調機1-1~1-Nの中で、稼働対象の空調機1-kを示す複数の稼働パターンを取得する稼働パターン取得部11と、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、室内に設置されている温度センサ2-1~2-Mの測定温度を示す温度データを取得する温度データ取得部12とを備えるように、空調制御装置3を構成した。また、空調制御装置3は、学習データとして、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kの制御量と、稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データとを用いて、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-1~2-Mにより測定される温度を予測するための室温予測モデルを生成する予測モデル生成部13を備えている。さらに、空調制御装置3は、予測モデル生成部13により生成された、それぞれの稼働パターンに対応している室温予測モデルに対して、それぞれの稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kの制御量を与えて、それぞれの室温予測モデルから予測温度を取得し、予測温度に基づいて、複数の稼働パターンの中から、1つの稼働パターンを選択する稼働パターン選択部14を備えている。したがって、空調制御装置3は、レイアウトデータを取得することなく、複数の空調機1-1~1-Nの中で実際に稼働させる空調機1-kを決定することができる。
【0036】
図1に示す空調制御装置3では、予測モデル生成部13が、G個の室温予測モデルRTM~RTMを生成してから、稼働パターン選択部14が、G個の室温予測モデルRTM~RTMのそれぞれに対応している稼働パターンOPの中から、1つの稼働パターンOPSELを選択している。
しかし、これは一例に過ぎず、稼働パターン選択部14が、以下のようにして、1つの稼働パターンOPSELを選択するようにしてもよい。
図5は、空調制御装置3における一部の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
まず、空調機制御部15は、G個の稼働パターンOP~OPの中から、稼働対象の空調機1-kの台数が最も多いJ個の稼働パターンOP(j=1,・・・,J)を取得する(図5のステップST11)。J≦Gである。例えば、最も多い台数が(N-3)個であり、稼働対象の空調機1-kの台数が(N-3)個の稼働パターンOPがJ個あれば、J個の稼働パターンOPを取得する。Jは、1以上G以下の整数である。稼働パターンOPと稼働パターンOPとは、基本的には、互いに異なる稼働パターンである。
空調機制御部15は、取得したJ個の稼働パターンOP~OPの中で、いずれかの稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させる(図5のステップST12)。空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの稼働を例えばQ回行わせる。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させるとき、空調機1-kの設定温度PTを予測モデル生成部13及び稼働パターン選択部14のそれぞれに出力する。また、空調機制御部15は、稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求を予測モデル生成部13に出力する。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
【0038】
温度データ取得部12は、空調機制御部15から、データ取得要求を受けると、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)の測定温度MTを示すQ個の温度データを取得する(図5のステップST13)。
温度データ取得部12は、取得したQ個の温度データを予測モデル生成部13に出力する。
【0039】
予測モデル生成部13は、温度データ取得部12から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが設定温度PTで稼働されているときの、Q個の温度データを取得する。
予測モデル生成部13は、空調機制御部15から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTと、稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求とを取得する。
予測モデル生成部13は、室温予測モデルRTMの生成要求を取得すると、Q個の温度データと設定温度PTとから、上述したQ個のデータセットを用意する。
予測モデル生成部13は、それぞれのデータセットを室温予測モデルRTMに順次与えて、室温予測モデルRTMから出力される予測温度FTが、温度データが示す測定温度MTに近づくように、室温予測モデルRTMの内部パラメータを変更させる学習を繰り返し行わせる。
ここでは、予測モデル生成部13が、Q個のデータセットを室温予測モデルRTMに与えている。しかし、これは一例に過ぎず、予測モデル生成部13が、Q個のデータセットを室温予測モデルRTMに与える前に、室温予測モデルRTMの予測精度が閾値以上になれば、全てのデータセットを室温予測モデルRTMに与えないようにしてもよい。
予測モデル生成部13は、データセットを室温予測モデルRTMに繰り返し与えて、室温予測モデルRTMの機械学習を継続させることで、予測精度が閾値以上である室温予測モデルRTMを生成する(図5のステップST14)。
予測モデル生成部13は、予測精度が閾値以上である室温予測モデルRTMを稼働パターン選択部14に出力する。
【0040】
空調機制御部15は、取得したJ個の稼働パターンOP~OPの中で、未だ、稼働対象の空調機1-kを稼働させていない稼働パターンOPが残っていれば(図5のステップST15:YESの場合)、未だ、稼働対象の空調機1-kを稼働させていない稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで一定時間稼働させる(図5のステップST12)。空調機制御部15は、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの稼働を例えばQ回行わせる。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させるとき、空調機1-kの設定温度PTを予測モデル生成部13及び稼働パターン選択部14のそれぞれに出力する。また、空調機制御部15は、稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求を予測モデル生成部13に出力する。
空調機制御部15は、稼働対象の空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
【0041】
温度データ取得部12は、空調機制御部15から、データ取得要求を受けると、温度センサ2-m(m=1,・・・,M)の測定温度MTを示すQ個の温度データを取得する(図5のステップST13)。
温度データ取得部12は、取得したQ個の温度データを予測モデル生成部13に出力する。
【0042】
予測モデル生成部13は、温度データ取得部12から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kが設定温度PTで稼働されているときの、Q個の温度データを取得する。
予測モデル生成部13は、空調機制御部15から、稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTと、稼働パターンOPに対応する室温予測モデルRTMの生成要求とを取得する。
予測モデル生成部13は、室温予測モデルRTMの生成要求を取得すると、Q個の温度データと設定温度PTとから、上述したQ個のデータセットを用意する。
予測モデル生成部13は、それぞれのデータセットを室温予測モデルRTMに順次与えて、室温予測モデルRTMから出力される予測温度FTが、温度データが示す測定温度MTに近づくように、室温予測モデルRTMの内部パラメータを変更させる学習を繰り返し行わせる。
予測モデル生成部13は、Q個のデータセットを室温予測モデルRTMに与える前に、室温予測モデルRTMの予測精度が閾値以上になれば、全てのデータセットを室温予測モデルRTMに与えないようにしてもよい。
予測モデル生成部13は、データセットを室温予測モデルRTMに繰り返し与えて、室温予測モデルRTMの機械学習を継続させることで、予測精度が閾値以上である室温予測モデルRTMを生成する(図5のステップST14)。
予測モデル生成部13は、予測精度が閾値以上である室温予測モデルRTMを稼働パターン選択部14に出力する。
【0043】
稼働パターン選択部14は、J個の稼働パターンOPの中に、稼働対象の空調機1-kを稼働させていない稼働パターンOPが残っていなければ(図5のステップST15:NOの場合)、予測精度が閾値以上であるJ個の室温予測モデルRTM~RTMの中から、1つの室温予測モデルを室温予測モデルRTMj,N-3として選択する。
例えば、稼働パターン選択部14は、予測精度が閾値以上であるJ個の室温予測モデルRTM~RTMの中から、予測温度FTが温度上限値Tmax以下である1つ以上の室温予測モデルRTMを選択する。
そして、稼働パターン選択部14は、予測温度FTが温度上限値Tmax以下である1つ以上の室温予測モデルRTMの中から、室温予測モデルRTMj,N-3として、予測温度FTが最も高い室温予測モデルRTMを選択する。
稼働パターン選択部14は、選択した室温予測モデルRTMに対応する稼働パターンOPを、稼働パターンの候補OPSEL,N-3に決定する(図5のステップST16)。
【0044】
次に、空調機制御部15は、J個の稼働パターンOP~OPを除く、稼働パターンOP~OPの中に、取得済みのJ個の稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの台数よりも、稼働対象の空調機1-kの台数が1台少ない稼働パターンOPがあれば(図5のステップST17:YESの場合)、稼働対象の空調機1-kの台数が1台少ない稼働パターンOPを取得する(図5のステップST18)。例えば、稼働対象の空調機1-kの台数が最も多い台数よりも1台少ない台数が(N-4)個であり、稼働対象の空調機1-kの台数が(N-4)個の稼働パターンOPがJ’個あれば、J’個の稼働パターンOP~OPJ’を取得する。J’≦G-Jである。
稼働対象の空調機1-kの台数が(N-4)個である稼働パターンOPについても、ステップST12~ST15の処理が繰り返される。
稼働パターン選択部14は、予測精度が閾値以上である室温予測モデルRTMが1つ以上あれば、1つ以上の室温予測モデルRTMの中から、室温予測モデルRTMj,N-4として、予測温度FTが最も高い室温予測モデルRTMを選択する。
稼働パターン選択部14は、選択した室温予測モデルRTMに対応する稼働パターンOPを、稼働パターンの候補OPSEL,N-4に決定する(図5のステップST16)。
以下、J個の稼働パターンOP~OP及びJ’個の稼働パターンOP~OPを除く、稼働パターンOP~OPの中に、取得済みのJ’個の稼働パターンOPが示す稼働対象の空調機1-kの台数よりも、稼働対象の空調機1-kの台数が1台少ない稼働パターンOPがあれば、さらに、稼働パターンの候補が同様の方法で決定される。そして、1つの稼働パターンの候補OPSEL,N-5が選択される。
【0045】
稼働対象の空調機1-kの台数が1台少ない稼働パターンOPがなければ(図5のステップST17:NOの場合)、稼働パターン選択部14は、1つ以上の稼働パターンの候補の中から、1つの稼働パターンOPSELを選択する(図5のステップST19)。
即ち、稼働パターン選択部14は、1つ以上の稼働パターンの候補の中で、稼働対象の空調機1-kの台数が最も少ない稼働パターンの候補を、1つの稼働パターンOPSELとして選択する。
例えば、稼働パターンの候補が、OPSEL,N-3と、OPSEL,N-4と、OPSEL,N-5とであれば、稼働パターン選択部14は、稼働パターンの候補OPSEL,N-5を、稼働パターンOPSELとして選択する。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態2では、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kの制御量を変更する制御量変更部16を備える空調制御装置3について説明する。
【0047】
図6は、実施の形態2に係る空調制御装置3を含む空調システムを示す構成図である。図6において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
図7は、実施の形態2に係る空調制御装置3のハードウェアを示すハードウェア構成図である。図7において、図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
図6に示す空調制御装置3は、稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14、制御量変更部16、学習実行部17、設定温度決定部18及び空調機制御部19を備えている。
【0048】
制御量変更部16は、例えば、図7に示す制御量変更回路26によって実現される。
制御量変更部16は、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kの制御量を変更する。
図6に示す空調制御装置3では、制御量変更部16が、空調機1-kの制御量として、空調機1-kの設定温度PTを変更するものとする。しかし、これは一例に過ぎず、制御量変更部16が、空調機1-kの制御量として、空調機1-kの風量を変更するようにしてもよいし、空調機1-kと接続されている圧縮機の稼働用電圧の周波数を変更するようにしてもよい。
【0049】
学習実行部17は、例えば、図7に示す学習実行回路27によって実現される。
学習実行部17は、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データと、制御量変更部16による変更後の制御量である設定温度PTとを取得する。
学習実行部17は、取得した温度データと変更後の設定温度PTとを、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMに与えて、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度を室温予測モデルRTMに学習させる。
【0050】
設定温度決定部18は、例えば、図7に示す設定温度決定回路28によって実現される。
設定温度決定部18は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のうち、いずれかの温度を空調機1-kの仮の設定温度PTとして、学習実行部17による学習済みの室温予測モデルRTMに与えて、学習済みの室温予測モデルRTMから室内の予測温度FTを取得する。
設定温度決定部18は、予測温度FTと温度上限値Tmaxとに基づいて、空調機1-kの設定温度PTを決定する。
【0051】
空調機制御部19は、例えば、図7に示す空調機制御回路29によって実現される。
空調機制御部19は、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度決定部18により決定された設定温度PTで稼働させる。
【0052】
図6では、空調制御装置3の構成要素である稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14、制御量変更部16、学習実行部17、設定温度決定部18及び空調機制御部19のそれぞれが、図7に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、空調制御装置3が、稼働パターン取得回路21、温度データ取得回路22、予測モデル生成回路23、稼働パターン選択回路24、制御量変更回路26、学習実行回路27、設定温度決定回路28及び空調機制御回路29によって実現されるものを想定している。
稼働パターン取得回路21、温度データ取得回路22、予測モデル生成回路23、稼働パターン選択回路24、制御量変更回路26、学習実行回路27、設定温度決定回路28及び空調機制御回路29のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0053】
空調制御装置3の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、空調制御装置3が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
空調制御装置3が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、稼働パターン取得部11、温度データ取得部12、予測モデル生成部13、稼働パターン選択部14、制御量変更部16、学習実行部17、設定温度決定部18及び空調機制御部19におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが図3に示すメモリ31に格納される。そして、図3に示すプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
【0054】
また、図7では、空調制御装置3の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、図3では、空調制御装置3がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、空調制御装置3における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0055】
次に、図6に示す空調システムの動作について説明する。
制御量変更部16、学習実行部17、設定温度決定部18及び空調機制御部19以外は、図1に示す空調システムと同様である。ここでは、制御量変更部16、学習実行部17、設定温度決定部18及び空調機制御部19の動作について説明する。
【0056】
制御量変更部16は、稼働パターン選択部14から、選択された1つの稼働パターンOPSELを取得し、空調機制御部19から、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kの制御量として、空調機1-kの設定温度PTを取得する。
制御量変更部16は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kの設定温度PTを変更する。
例えば、制御量変更部16は、稼働パターンOPSELに対応する室温予測モデルRTMに対して、測定温度MTを効率的に学習させるため、アクティブラーニング(Active Learning)と呼ばれる方法で、空調機1-kの設定温度PTを変更する。アクティブラーニングと呼ばれる方法での設定温度PTの変更は、空調機1-kの設定可能な温度範囲の中で、現在の設定温度から最も離れている温度を次の設定温度に決定し、当該設定温度から最も離れている温度を更に次の設定温度に決定するものである。
【0057】
以下、アクティブラーニングと呼ばれる方法での設定温度PTの変更例を具体的に説明する。
制御量変更部16は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度の中で、現在設定中の設定温度PT以外の温度と、現在設定中の設定温度PTとの温度差ΔPTをそれぞれ算出する。
例えば、設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度が、19,20,21,22,23度であり、現在設定中の設定温度PTが19度であるとする。
この場合、制御量変更部16は、温度差ΔPTとして、1(=20-19)度、2(=21-19)度、3(=22-19)度及び4(=23-19)度のそれぞれを算出する。
制御量変更部16は、温度範囲に含まれている複数の温度の中から、算出したそれぞれの温度差ΔPTに基づいて、変更後の設定温度PTを選択する。
即ち、制御量変更部16は、算出した複数の温度差ΔPTの中で、絶対値が最大の温度差ΔPT(=4度)を特定し、絶対値が最大の温度差ΔPT(=4度)に対応する温度である23度を1回目の変更後の設定温度PT(=23度)に決定する。
【0058】
次に、制御量変更部16は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度の中で、未だ設定温度PTに設定されていない温度と、1回目の変更後の設定温度PT(=23度)との温度差ΔPTをそれぞれ算出する。
制御量変更部16は、温度差ΔPTとして、-3(=20-23)度、-2(=21-23)度及び-1(=22-23)度のそれぞれを算出する。
制御量変更部16は、算出した複数の温度差ΔPTの中で、絶対値が最大の温度差ΔPT(=-3度)を特定し、絶対値が最大の温度差ΔPT(=-3度)に対応する温度である20度を2回目の変更後の設定温度PT(=20度)に決定する。
【0059】
次に、制御量変更部16は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度の中で、未だ設定温度PTに設定されていない温度と、2回目の変更後の設定温度PT(=20度)との温度差ΔPTをそれぞれ算出する。
制御量変更部16は、温度差ΔPTとして、1(=21-20)度及び2(=22-20)度のそれぞれを算出する。
制御量変更部16は、算出した複数の温度差ΔPTの中で、絶対値が最大の温度差ΔPT(=2度)を特定し、絶対値が最大の温度差ΔPT(=2度)に対応する温度である22度を3回目の変更後の設定温度PT(=22度)に決定する。
【0060】
制御量変更部16は、温度範囲に含まれている複数の温度の中で、未だ設定温度PTに設定されていない温度である21度を4回目の変更後の設定温度PT(=21度)に決定する。
したがって、空調機1-kの設定温度PTは、以下のように変更される。
19度→23度→20度→22度→21度
制御量変更部16は、空調機1-kの設定温度PTの変更内容を示す設定温度変更情報を空調機制御部19に出力する。
設定温度変更情報は、設定温度PTが、19度から、23度、20度、22度、21度の順番で変更されることを示している。
【0061】
空調機制御部19は、制御量変更部16から設定温度変更情報を取得し、稼働パターン選択部14から稼働パターンOPSELを取得する。
空調機制御部19は、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMの予測精度を高めるため、設定温度変更情報が示す順番通りに空調機1-kの設定温度PTを切り替えて、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを稼働させる。
即ち、空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PT(=23度)で一定時間稼働させてから、空調機1-kを設定温度PT(=20度)で一定時間稼働させる。その後、空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PT(=22度)で一定時間稼働させてから、空調機1-kを設定温度PT(=21度)で一定時間稼働させる。
詳細は後述するが、例えば、稼働対象の空調機1-kを設定温度PT(=20度)で一定時間稼働させたとき、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ansに到達すれば、空調機制御部19は、設定温度PT(=22、21度)での空調機1-kの稼働をやめる。高精度Ansは、室温予測モデルRTMの予測精度が実用上問題のない精度であることを意味し、例えば、0.5度、又は、0.6度が考えられる。
【0062】
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを設定温度PTで稼働させるとき、1回目の変更後の設定温度PT(=23度)を学習実行部17に出力する。
空調機制御部19は、1回目の変更後の設定温度PT(=23度)で空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
【0063】
学習実行部17は、稼働パターン選択部14から、選択された1つの稼働パターンOPSELを取得する。
学習実行部17は、空調機制御部19から、1回目の変更後の設定温度PT(=23度)を取得する。
学習実行部17は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが、1回目の変更後の設定温度PT(=23度)で稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データを取得する。
学習実行部17は、取得した温度データと設定温度PT(=23度)とを、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMに与えることで、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度である設定温度PTを室温予測モデルRTMに学習させる。これにより、室温予測モデルRTMの予測精度は、学習によって向上する。その結果、予測モデルRTMから出力される予測温度FTの精度が向上する。
学習実行部17は、学習後の室温予測モデルRTMの予測精度を空調機制御部19に出力する。
【0064】
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ansに満たなければ、稼働対象の空調機1-kを2回目の変更後の設定温度PT(=20度)で稼働させる。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを2回目の変更後の設定温度PT(=20度)で稼働させるときに、2回目の変更後の設定温度PT(=20度)を学習実行部17に出力する。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ans以上であれば、以降、室温予測モデルRTMの予測精度を高めるための空調機1-kの稼働をやめる。
【0065】
学習実行部17は、空調機制御部19から、2回目の変更後の設定温度PT(=20度)を取得する。
学習実行部17は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが設定温度PT(=20度)で稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データを取得する。
学習実行部17は、取得した温度データと設定温度PT(=20度)とを、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMに与えることで、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度である設定温度PTを室温予測モデルRTMに学習させる。
学習実行部17は、学習後の室温予測モデルRTMの予測精度を空調機制御部19に出力する。
【0066】
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ansに満たなければ、稼働対象の空調機1-kを3回目の変更後の設定温度PT(=22度)で稼働させる。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを3回目の変更後の設定温度PT(=22度)で稼働させるときに、3回目の変更後の設定温度PT(=22度)を学習実行部17に出力する。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ans以上であれば、以降、室温予測モデルRTMの予測精度を高めるための空調機1-kの稼働をやめる。
【0067】
学習実行部17は、空調機制御部19から、3回目の変更後の設定温度PT(=22度)を取得する。
学習実行部17は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが設定温度PT(=22度)で稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データを取得する。
学習実行部17は、取得した温度データと設定温度PT(=22度)とを、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMに与えることで、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度である設定温度PTを室温予測モデルRTMに学習させる。
学習実行部17は、学習後の室温予測モデルRTMの予測精度を空調機制御部19に出力する。
【0068】
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ansに満たなければ、稼働対象の空調機1-kを4回目の変更後の設定温度PT(=21度)で稼働させる。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを4回目の変更後の設定温度PT(=21度)で稼働させるときに、4回目の変更後の設定温度PT(=21度)を学習実行部17に出力する。
空調機制御部19は、稼働対象の空調機1-kを稼働させるとき、データ取得要求を温度データ取得部12に出力する。
空調機制御部19は、学習実行部17から出力された室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ans以上であれば、以降、室温予測モデルRTMの予測精度を高めるための空調機1-kの稼働をやめる。
【0069】
学習実行部17は、空調機制御部19から、4回目の変更後の設定温度PT(=21度)を取得する。
学習実行部17は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが設定温度PT(=21度)で稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データを取得する。
学習実行部17は、取得した温度データと設定温度PT(=21度)とを、稼働パターンOPSELに対応している室温予測モデルRTMに与えることで、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度である設定温度PTを室温予測モデルRTMに学習させる。
【0070】
学習実行部17が、アクティブラーニングと呼ばれる方法で、空調機1-kの設定温度PTを変更することで、室温予測モデルRTMが効率的に学習される。このため、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度の全てが、設定温度PTに設定される前に、室温予測モデルRTMの予測精度が高精度Ans以上になることが想定される。したがって、設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のうち、例えば、低い温度から順番に設定温度PTに設定されるものよりも、アクティブラーニングと呼ばれる方法で設定温度PTが変更される方が、室温予測モデルRTMの精度が早く向上する。したがって、アクティブラーニングと呼ばれる方法で、設定温度PTが変更される場合、低い温度から順番に設定温度PTに設定されるものよりも、室温予測モデルRTMの学習に要する時間が短縮される。
【0071】
設定温度決定部18は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のそれぞれを空調機1-kの仮の設定温度PT’に決定する。
設定温度決定部18は、それぞれの仮の設定温度PT’を学習実行部17による学習済みの室温予測モデルRTMに与えて、学習済みの室温予測モデルRTMから、それぞれの予測温度FTを取得する。
設定温度決定部18は、複数の予測温度FTの中で、温度上限値Tmax以下の予測温度FTを特定する。
設定温度決定部18は、図8に示すように、温度上限値Tmax以下の予測温度FTの中で、最も高い温度を空調機1-kの設定温度PTに決定する。
図8は、設定温度決定部18により決定される設定温度PTの候補を示す説明図である。
図8において、横軸は時刻を示し、“Now”は、現在時刻である。縦軸は室内温度を示している。
図8の例では、仮の設定温度PT’が、19度、20度及び21度であるときの、予測温度FTが、温度上限値Tmax以下である。
仮の設定温度PT’が、19度、20度及び21度であるときの、予測温度FTの中で、最も高い温度が、仮の設定温度PT’が21度であるときの予測温度FTであるため、設定温度決定部18は、21度を空調機1-kの設定温度PTに決定する。
設定温度決定部18は、決定した空調機1-kの設定温度PTを空調機制御部19に出力する。
【0072】
空調機制御部19は、稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度決定部18により決定された設定温度PTで稼働させる。
【0073】
以上の実施の形態2では、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kの制御量を変更する制御量変更部16と、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンが示す稼働対象の空調機1-kが稼働しているときに温度データ取得部12により取得された温度データと、制御量変更部16による変更後の制御量とを、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンに対応している室温予測モデルに与えて、当該稼働対象の空調機が稼働しているときに、温度センサ2-mにより測定される温度を当該室温予測モデルに学習させる学習実行部17とを備えるように、空調制御装置3を構成した。したがって、空調制御装置3は、レイアウトデータを取得することなく、複数の空調機1-1~1-Nの中で、実際に稼働させる空調機1-kを決定できるほか、稼働対象の空調機1-kの制御量を変更することができる。
【0074】
また、実施の形態2では、稼働対象の空調機1-kの制御量が、空調機1-kの設定温度であり、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のうち、いずれかの温度を空調機1-kの仮の設定温度として、学習実行部17による学習済みの室温予測モデルに与えて、学習済みの室温予測モデルから予測温度を取得し、予測温度と温度上限値とに基づいて、空調機1-kの設定温度を決定する設定温度決定部18を備えるように、空調制御装置3を構成した。したがって、空調制御装置3は、室内の温度が温度上限値を超えない範囲で、消費電力を低減できる設定温度を決定することができる。
【0075】
図6に示す空調制御装置3では、制御量変更部16が、アクティブラーニングと呼ばれる方法で、空調機1-kの設定温度PTを変更している。
アクティブラーニングと呼ばれる方法での設定温度PTの変更は、空調機1-kの設定可能な温度範囲の中で、現在の設定温度から最も離れている温度を次の設定温度に決定するものに限るものではなく、以下のようにして、制御量変更部16が、次の設定温度を決定するものであってもよい。
【0076】
制御量変更部16は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度のそれぞれが設定温度PTに設定されたときの、それぞれの設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す評価値を、例えばベイズ最適化の手法を用いて求める。当該評価値は、設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度が高いほど、大きな値である。ベイズ最適化の手法自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、ベイズ最適化の手法を用いる場合、例えば、2つの設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す評価値が分かっていれば、残りの設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す評価値が求まる。
【0077】
図9は、設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す説明図である。
図9において、●は、設定済みの設定温度PTを示している。実線は、設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの出力温度である予測温度FTを示し、点線は、予測温度FTの真値を示している。
実線と点線との間隔が、設定温度PTに対する室温予測モデルRTMの精度を示す評価値を表している。矢印(1)~(4)の長さは、実線と点線との間隔を示している。実線と点線との間隔が狭い程、評価値が高い。図9の例では、矢印(1)の長さ<矢印(2)の長さ<矢印(4)の長さ<矢印(3)の長さである。図中、グレーの領域は、室温予測モデルRTMの信頼度が約95%の領域である。
【0078】
制御量変更部16は、空調機1-kの設定可能な温度範囲に含まれている複数の温度の中で、未だ設定温度PTに設定されていない温度に対する室温予測モデルRTMの精度を示す評価値を互いに比較する。
未だ設定温度PTに設定されていない温度が、例えば、矢印(1)~(4)に対応する温度であるとすれば、矢印(1)~(4)の長さを互いに比較する。
制御量変更部16は、評価値の比較結果に基づいて、評価値が最も小さい温度を次の設定温度PTに決定し、評価値が2番目に小さい温度をさらに次の設定温度PTに決定する。以降、制御量変更部16は、評価値が小さい温度の順番に設定温度PTを決定する。
図9の例では、制御量変更部16は、まず、評価値が最も小さい矢印(3)に対応する温度を次の設定温度PTに決定し、評価値が次に小さい矢印(4)に対応する温度をさらに次の設定温度PTに決定する。また、制御量変更部16は、評価値が次に小さい矢印(2)に対応する温度をさらに次の設定温度PTに決定し、最後に、評価値が最も大きい矢印(1)に対応する温度をさらに次の設定温度PTに決定する。
制御量変更部16が、上記のように、次の設定温度を決定する場合も、室温予測モデルRTMに対する測定温度MTの学習が効率的に行われる。
【0079】
図9の例では、制御量変更部16が、矢印の長さ順に設定温度PTに決定している。しかし、これは一例に過ぎ、制御量変更部16が、大きなグレーの領域に含まれている温度を優先して、設定温度PTに決定するようにしてもよい。
図9では、制御量変更部16が、例えば、矢印(1)に対応する温度よりも先に矢印(2)に対応する温度を設定温度PTに決定している。しかし、制御量変更部16が、グレーの領域の大きさに基づいて、矢印(2)に対応する温度よりも先に矢印(1)に対応する温度を設定温度PTに決定するようにしてもよい。
【0080】
図6に示す空調制御装置3では、学習実行部17が、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELに対して温度センサ2-mにより測定される温度を学習させたのち、空調機制御部19が、学習済みの稼働パターンOPSELが示す稼働対象の空調機1-kを設定温度決定部18により決定された設定温度PTで稼働させている。しかし、データセンタ等に設置されている電子機器の運用形態等の変更によって、稼働パターン選択部14により選択された稼働パターンOPSELが変更されることがある。このような場合、学習実行部17は、変更後の稼働パターンOPSELに対して温度センサ2-mにより測定される温度を学習させるようにすればよい。
【0081】
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1-1~1-12 空調機、2-1~2-2 温度センサ、3 空調制御装置、11 稼働パターン取得部、12 温度データ取得部、13 予測モデル生成部、14 稼働パターン選択部、15 空調機制御部、16 制御量変更部、17 学習実行部、18 設定温度決定部、19 空調機制御部、21 稼働パターン取得回路、22 温度データ取得回路、23 予測モデル生成回路、24 稼働パターン選択回路、25 空調機制御回路、26 制御量変更回路、27 学習実行回路、28 設定温度決定回路、29 空調機制御回路、31 メモリ、32 プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9