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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】梱包装置及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20240315BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B65H35/07 F
B65B13/18 A
B65B13/18 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021127687
(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公開番号】P2023022679
(43)【公開日】2023-02-15
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎗水 みどり
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-247251(JP,A)
【文献】特開2014-108882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
B65B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着面を有するテープが巻回されたテープロールを支持する支持部を有し、前記接着面を上方に向けた前記テープが前記テープロールから引き出されるロール支持台と、
前記テープロールから引き出された前記テープが、前記接着面を上方に向けた姿勢で載せられる載置面を有し、前記載置面に載せられた前記テープが梱包物に貼り付けられる梱包台と、を備え
前記梱包台は、前記テープロールから前記テープを引き出しながら当該テープの前記接着面に前記梱包物を押し付けるための押付面を有し、
前記押付面は、前記載置面における前記テープロール側とは反対側に、前記載置面に連続すると共に前記載置面に対して下方へ傾斜して形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記梱包台は、前記テープロールから引き出された前記テープの先端部の前記接着面が一時的に貼り付けられる貼付部を有し、
前記貼付部は、前記載置面における前記テープロール側とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記梱包台は、前記載置面及び前記押付面が形成された弾性体を有する請求項1または2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記弾性体は、発泡プラスチック、ウレタン、硬質スポンジのいずれかであることを特徴とする請求項に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記載置面に対する前記押付面の傾斜角は、30度以上、60度以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項6】
前記ロール支持台と前記梱包台の少なくとも一方を、前記テープロールからの前記テープの引き出し方向に沿って移動可能に支持するベース部材を更に備え、
前記ロール支持台には、前記テープロールから引き出される前記テープの経路に配置されて前記テープを切断するテープカッタが設けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項7】
前記ロール支持台は、前記テープロールから引き出された前記テープを下方へ押さえるテープガイド部材を有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項8】
接着面を有するテープが巻回されたテープロールを支持する支持部と、前記テープを切断するカッタと、を有し、前記接着面を上方に向けた前記テープが前記テープロールから引き出されるロール支持台と、
前記テープロールから引き出された前記テープが、前記接着面を上方に向けた姿勢で載せられる載置面を有し、前記テープロールから前記テープを引き出しながら当該テープに梱包物を押し付けるための押付面が、前記載置面における前記テープロール側とは反対側に、前記載置面に連続すると共に前記載置面に対して下方へ傾斜して形成された梱包台と、を備える梱包装置を用いて、
前記テープロールから引き出されたテープが、前記梱包台の前記載置面及び前記押付面に沿って掛け渡され、
前記梱包物が前記載置面に載せられることで、前記載置面に載せられた前記テープが前記梱包物に貼り付けられ、
前記載置面に載せられた前記梱包物が前記押付面側へ転がされることで、前記押付面に渡された前記テープが前記梱包物に貼り付けられ、
前記テープが貼り付けられた前記梱包物が、前記載置面から離れる方向へ移動されながら前記テープが前記テープロールから引き出され、
前記梱包物が、前記押付面に沿って渡された前記テープと共に前記押付面に押し付けられ、前記押付面に沿って前記梱包物が前記載置面側へ転がされることで、前記テープロールから前記テープが引き出されながら当該テープが前記梱包物に巻き付けられるように貼り付けられることを特徴とする梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物品を発送する際の梱包工程では、梱包用のテープを梱包物に巻き付けるように貼り付ける梱包作業が行われる。このような梱包作業では、テープをテープロールから引き出しながら、テープの接着面を梱包物に沿って貼り付けるように梱包物を回転させたり、梱包物を保持しながらテープを切断したりする動作が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-306984号公報
【文献】特開平10-338234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープロールから引き出されたテープの接着面を梱包物に沿って貼り付けながら、梱包物を回転させてテープを巻き付けて、テープの終端を切断して貼り付ける一連の梱包作業は、作業者の熟練を要する。
【0005】
このような一連の梱包作業を、特に片手の不自由な障碍者が行う場合には、片手で梱包物を保持する動作と、梱包物に貼り付けられたテープの終端を切断する動作とを同時に行うことになり、梱包作業をスムーズに行うことが難しい。そのため、障碍者が片手だけで梱包作業を行うときには、例えば、梱包物に貼り付けられたテープの終端を切断した後、テープの終端側を梱包物に沿って貼り付けている。しかし、テープの終端側が長い場合、テープの終端側を取り扱うときにテープの接着面同士が貼り付き、梱包物にテープが適切に貼り付けられない梱包不良になる問題がある。また、作業者を保護するための手甲や装具等を着用する際には、片手だけでの梱包作業が更に困難になる。
【0006】
1つの側面では、本発明は、片手だけで梱包物にテープを容易かつスムーズに巻き付けて貼り付けることができる梱包装置及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、梱包装置は、ロール支持台と、梱包台と、を備える。ロール支持台は、接着面を有するテープが巻回されたテープロールを支持する支持部を有し、接着面を上方に向けたテープがテープロールから引き出される。梱包台は、テープロールから引き出されたテープが、接着面を上方に向けた姿勢で載せられる載置面を有し、載置面に載せられたテープが梱包物に貼り付けられる。梱包台は、テープロールからテープを引き出しながらテープの接着面に梱包物を押し付けるための押付面を有する。押付面は、載置面におけるテープロール側とは反対側に、載置面に連続すると共に載置面に対して下方へ傾斜して形成されている。
【発明の効果】
【0008】
片手だけで梱包物にテープを容易かつスムーズに巻き付けて貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の梱包装置を示す側面図である。
図2図2は、実施例の梱包装置を示す平面図である。
図3図3は、実施例の梱包装置の梱包台の要部を示す側面図である。
図4図4は、実施例における梱包台の押付面を示す側面図である。
図5図5は、実施例の梱包装置を拡張した状態を示す平面図である。
図6図6は、実施例の梱包装置を用いて梱包物にテープを巻き付ける作業手順を説明するための平面図である。
図7図7は、実施例の梱包装置を用いて梱包物にテープを巻き付ける作業手順を説明するための平面図である。
図8図8は、実施例における梱包台の押付面を利用して梱包物にテープを巻き付ける梱包方法を説明するための側面図である。
図9図9は、実施例における梱包台の押付面を利用して梱包物にテープを巻き付ける梱包方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する梱包装置及び梱包方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する梱包装置及び梱包方法が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
図1は、実施例の梱包装置を示す側面図である。図2は、実施例の梱包装置を示す平面図である。図1及び図2に示すように、実施例の梱包装置1は、接着面4aを有するテープ4が巻回されたテープロール3を支持するロール支持台6と、テープ4が梱包物5に貼り付けられる梱包台7と、を備える。また、梱包装置1は、ロール支持台6及び梱包台7を、テープ4の引き出し方向(以下、A方向と称する。)に沿って移動可能に支持するベース部材8を備える。
【0012】
ここで、梱包物5は、片手で取り扱える物品であって、テープ4が巻き付けられる物品である。梱包物5としては、一例として、複数の乾電池を並べてまとめたものや、片手で取り扱える小箱等が用いられる。テープロール3のテープ4としては、例えば、セロハンテープ、ビニールテープ、ガムテープ等の粘着テープが用いられる。梱包装置1は、例えば、作業台等の上に載せられた状態で、着座した作業者によって使用される。
【0013】
梱包装置1のロール支持台6は、テープロール3を支持する一対の支持部6aと、一対の支持部6aが設けられた基部6bと、を有しており、接着面4aを上方に向けたテープ4がテープロール3から引き出される。一対の支持部6aは、テープロール3の径方向に亘って支持する枠状に形成されており、テープロール3の幅方向の両側にそれぞれ配置されている。一対の支持部6aの間に支持されたテープロール3は、基部6b上に回転自在に支持されている。なお、ロール支持台6には、テープロール3のロール芯を回転自在に支持する支軸(図示せず)が設けられてもよい。
【0014】
また、ロール支持台6は、テープロール3から引き出されたテープ4を切断するテープカッタ11と、テープロール3から引き出されたテープ4を下方へ押さえるテープガイド部材12と、を有する。
【0015】
テープカッタ11は、テープロール3から引き出されるテープ4の経路に配置されており、ロール支持台6の基部6bにおける梱包台7に隣り合う位置に、刃先を梱包台5側に向けて固定されている。作業者は、テープカッタ11を通過するテープ4を下方へ押し下げることにより、テープカッタ11の刃先によってテープ4を切断する。
【0016】
テープガイド部材12は、長尺な板状に形成されており、先端部12aがテープカッタ11近傍のテープ4に接するように配置されている。テープガイド部材12の基端部12bは、回動軸13を介して支持部6aに支持されており、テープガイド部材12が回動軸13まわりに回動可能とされている。テープガイド部材12は、その自重でテープ4をテープカッタ11側に押し下げており、テープロール3から引き出されたテープ4に張力を与えてテープ4の浮き上がりを抑える。これにより、テープロール3の径方向における下側から引き出されたテープ4を経路に沿ってスムーズに送ると共に、テープカッタ11によってテープ4をスムーズに切断できる。
【0017】
梱包装置1の梱包台7は、テープロール3から引き出されたテープ4が、接着面4aを上方に向けた姿勢で載せられる載置面15を有しており、載置面15に載せられたテープ4が梱包物5に貼り付けられる。
【0018】
図3は、実施例の梱包装置1の梱包台7の要部を示す側面図である。図4は、実施例における梱包台7の押付面を示す側面図である。
【0019】
また、梱包台7は、図3及び図4に示すように、テープロール3から引き出されたテープ4の先端部、つまり梱包物5に巻き付け始められるテープ4の始端側の接着面4aが一時的に貼り付けられる貼付部16を有する。貼付部16は、載置面15におけるテープロール3側とは反対側、つまりA方向におけるテープロール3側とは反対側の、梱包台7の側面に設けられている。
【0020】
テープ4の始端側は、載置面15に沿って引き出されたテープ4の接着面4aを上方に向けた姿勢を保つように貼付部16に貼り付けられる。これにより、テープロール3から引き出されたテープ4の始端側を梱包台7に容易に仮止めできるので、テープ4の始端側の接着面4a同士が貼り付いてテープ4が使用不能になることを防ぐことができる。
【0021】
貼付部16は、例えば、テープ4の始端側の幅方向における接着面4aの一部が貼り付けられる突起状に形成されており、後述する梱包台7の押付面17よりも下方に配置されている。貼付部16の形状は限定されるものではなく、テープ4の接着面4aが部分的に貼り付けられる形状であればよい。
【0022】
また、貼付部16は、貼付部16に貼り付けられたテープ4をスムーズに剥がせるように、例えば、テープ4の接着面4aと剥離性を高める凹凸が形成されてもよい。また、梱包台7は、貼付部16が形成される代わりに、テープ4の始端側の接着面4aを梱包台7の側面に向けるように曲げることで、梱包台7の側面に一時的に貼り付けられてもよい。
【0023】
また、梱包台7は、テープロール3からテープ4を引き出しながらこのテープ4の接着面4aに梱包物5を押し付けるための押付面17を有する。押付面17は、載置面15におけるテープロール3側とは反対側に、載置面15に連続すると共に載置面15に対して下方へ傾斜して形成されている。
【0024】
作業者は片手で、テープロール3からテープ4を引き出しながら梱包物5を押付面17に押し付けることにより、テープ4に適度の張力を生じさせて梱包物5に貼り付けられるので、テープ4に皺が生じることが抑えられる。また、作業者は片手で、押付面17に沿って梱包物5を転がすことにより、梱包物5にテープ4を容易に巻き付けて貼り付けることができる。
【0025】
図4に示すように、載置面15に対する押付面17の傾斜角θは、30度以上、60度以下に形成されている。このような傾斜角θの押付面17を利用することにより、作業者は片手だけで、載置面15から押付面17に掛け渡されたテープ4に梱包物5を貼り付けるように梱包物5を押付面17に容易に押し付けると共に、押付面17に沿ってテープ4をテープロール3から引き出しながら、梱包物5を押付面17に沿って容易に転がすことができる。
【0026】
なお、載置面15と押付面17との境界部分18に角が生じないように曲面が形成されてもよい。これにより、押付面17側から境界部分18を乗り越えて載置面15側へ梱包物5を転がしてテープ4を巻き付ける際、梱包物5に貼り付けられるテープ4に皺が生じることを抑え、梱包物5をスムーズに載置面15上まで転がすことができる。
【0027】
梱包台7は、載置面15及び押付面17が形成された弾性体20を有する。弾性体20としては、例えば、発泡スチロール等の発泡プラスチックや、ウレタン、硬質スポンジのいずれかが用いられる。例えば、テープ4としてセロハンテープを用いて、梱包台7の弾性体20として発泡スチロールを用いる場合には、テープ4と梱包台7との間に静電気が生じ易くなり、静電気による吸着力でテープ4を載置面15や押付面17に保持させることが可能になる。このため、接着面4aを上方に向けた姿勢でテープ4が梱包台7に載せられた状態の安定性を高められる。
【0028】
載置面15及び押付面17が弾性体20に形成されることにより、例えば、梱包物5を押付面17に沿って転がしたときに押付面17が弾性変形することで、梱包物5の外周面に沿ってテープ4に皺が生じることを抑えて適切に貼り付けられる。また、例えば、押付面17が発砲プラスチックで形成されることで、カッターナイフ等を用いて押付面17を適正な傾斜角θに容易に加工することができる。さらに、押付面17の傾斜角θを梱包物5の種類毎に適切になるように加工することも容易である。同様に、例えば、片手の不自由な作業者毎に使用する片手の可動範囲に合わせて、押付面17の傾斜角θを調節する加工も容易に行うことができる。
【0029】
梱包装置1のベース部材8は、図1に示すように、A方向に沿って延びる板状に形成されており、ロール支持台6と梱包台7をそれぞれ移動可能に支持している。ベース部材8には、図2に示すように、ロール支持台6の基部6bと梱包台7における下部を移動可能に支持するガイド溝8aが、A方向に沿って形成されている。このため、ベース部材8のガイド溝8aに沿ってロール支持台6及び梱包台7を移動させることで、梱包台7とロール支持台6との間の距離Dが調節され、梱包台7に対するテープカッタ11の位置を容易に調節することができる。
【0030】
特に片手が不自由な作業者がテープカッタ11の位置を調節する場合には、ロール支持台6と梱包台7のいずれかのうち、片手で移動させ易い方を選択して移動させることができる。さらに、ロール支持台6と梱包台7の両方をそれぞれ移動させることにより、一方のみを移動させる場合と比べて片手の移動範囲が大きくなることが避けられるので、片手が不自由な作業者であっても容易に調節を行うことができる。
【0031】
図5は、実施例の梱包装置1を拡張した状態を示す平面図である。図5に示すように、ロール支持台6と梱包台7は、ベース部材8のガイド溝8aに沿って、A方向において互いに離れる方向にそれぞれ移動されることにより、梱包台7に対するテープカッタ11の位置が調節される。このように、作業者の体格や、作業者である障碍者の不自由の度合等に合わせてテープカッタ11を最適な位置に調節することにより、梱包作業時に作業者がテープカッタ11に接触することを防ぎ、作業者の安全性が高められる。例えば、片手が不自由な作業者の不自由の度合が高い場合、梱包台7とテープカッタ11との間隔を広く確保することができる。
【0032】
なお、本実施例では、ベース部材8によってロール支持台6と梱包台7の両方が移動可能に支持されたが、この構造に限定されるものではなく、ロール支持台6と梱包台7のいずれか一方のみが移動可能に支持されて他方にベース部材8の一端が固定されてもよい。また、図示しないが、ベース部材8には、ロール支持台6の移動及び梱包台7の移動を規制するロック部材が設けられてもよい。
【0033】
また、梱包台7は、図示しないが、A方向(テープロール3からのテープ4の引き出し方向)に分離するように組み合わされた一組の台部材を有するように構成されてもよい。これにより、一組の台部材をA方向に分離することで、梱包台7の載置面15を広げることが可能になる。これにより、梱包物5の大きさに合わせて載置面15の大きさを調節することが可能になり、作業性を高めることができる。この場合、例えば、一組の台部材は、ベース部材8のガイド溝8aに沿って移動可能に支持されて、一組の台部材の噛み合わせ部が載置面15に形成される。梱包台7は、一組の台部材が噛み合わせ状態を保ちながら分離することにより、載置面15を広げると共に載置面15に梱包物5を載せることができる。
【0034】
(梱包装置を用いた梱包作業)
以上のように構成された梱包装置1を用いて梱包物5にテープ4を巻き付ける作業手順を、図面を参照して説明する。図6及び図7は、実施例の梱包装置1を用いて梱包物5にテープ4を巻き付ける作業手順を説明するための平面図である。ここでは、梱包物5として箱を用いて説明する。
【0035】
まず、実施例における梱包作業の全体の流れを説明する。図1図2及び図5に示すように、テープロール3から引き出されたテープ4は、接着面4aを上方に向けた姿勢で梱包台7の載置面15及び押付面17に沿って掛け渡されて、載置面15に載せられる。また、テープロール3から引き出されたテープ4の始端側の接着面4aは、梱包台7の貼付部16に一時的に貼り付けられる。続いて、梱包装置1は、ロール支持台6及び梱包台7がベース部材8のガイド溝8aに沿って移動され、梱包台7に対するテープカッタ11の位置が調節される。梱包台7に対するテープカッタ11の位置は、テープ4が載置面15及び押付面17に掛け渡される前に予め調節されてもよい。
【0036】
図6に示すように、作業者は、片手で梱包物5を載置面15に載せることで、載置面15に載せられたテープ4を梱包物5に貼り付ける。続いて、作業者は、片手でテープ4の始端側を貼付部16から剥がし、このテープ4の始端側を梱包物5の側面に沿って貼り付ける。なお、梱包台7の押付面17を利用してテープ4を梱包物5に巻き付けて貼り付ける梱包作業については後述する。
【0037】
次に、作業者は、片手で梱包物5を載置面15上でテープロール3側へ90度転がすことで、テープロール3からテープ4を引き出しながら梱包物5の外周面に沿ってテープ4を貼り付ける。図7に示すように、作業者は、片手で載置面15上において梱包物5をテープロール3側へ更に90度転がすことで、テープ4を梱包物5に巻き付けて貼り付ける。
【0038】
最後に、作業者は、片手でテープカッタ11の近傍のテープ4を押し下げることでテープカッタ11によってテープ4の終端側を切断し、このテープ4の終点側を摘まんで、載置面15上に載置された梱包物5の外周面に沿って貼り付ける。このように作業者は、片手だけで梱包物5の外周面に沿ってテープ4を容易かつスムーズに巻き付けて貼り付けることができる。なお、梱包物5の種別に応じて、テープ4が載置面15及び押付面17に掛け渡された後に続いて、テープカッタ11によってテープ4の終端側が切断されてもよい。
【0039】
(梱包台の押付面を利用した梱包方法)
また、上述した梱包作業において、作業者は、梱包台7の押付面17を利用することにより、梱包物5にテープ4を巻き付けてもよい。梱包台7の押付面17を用いた梱包方法は、テープロール3から引き出したテープ4が、梱包台7の載置面15及び押付面17に沿って掛け渡され、梱包物5が載置面15に載せられることで、載置面15に載せられたテープ4は梱包物5に貼り付けられ、載置面15に載せられた梱包物5が押付面17側へ転がされることで、押付面17に渡されたテープ4が梱包物5に貼り付けられ、テープ4が貼り付けられた梱包物5が、載置面15から離れる方向へ移動されながらテープ4がテープロール3から引き出される。また、梱包方法は、梱包物5が、押付面17に沿って渡されたテープ4と共に押付面17に押し付けられ、押付面17に沿って梱包物5が載置面15側へ転がされることで、テープロール3からテープ4が引き出されながらこのテープ4が梱包物5に巻き付けられるように貼り付けられる。
【0040】
この梱包方法について図面を参照して説明する。図8は、実施例における梱包台7の押付面17を利用して梱包物5にテープ4を巻き付ける梱包方法を説明するための側面図である。図9は、実施例における梱包台7の押付面17を利用して梱包物5にテープ4を巻き付ける梱包方法を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図8及び図9に示すように、作業者は、片手だけを使って、テープロール3から引き出したテープ4を、梱包台7の載置面15及び押付面17に沿って掛け渡し(図9のステップS1)、梱包物5を、テープ4が載せられた載置面15に載せることで(図9のステップS2)、載置面15に載せられたテープ4を梱包物5に貼り付ける。次に、作業者は、片手だけを使って、載置面15に載せられた梱包物5を押付面17側へ転がし(図9のステップS3)、梱包物5をテープ4と共に押付面17に押し付けることで、押付面17に渡されたテープ4を梱包物5に貼り付ける。
【0042】
続いて、作業者は、片手だけを使って、テープ4が貼り付けられた梱包物5を、載置面15から離れる方向へ移動させながらテープ4をテープロール3から引き出す(図9のステップS4)。このときテープロール3から引き出されたテープ4は、押付面17に沿って渡される。次に、作業者は、片手だけを使って、梱包物5をテープ4と共に押付面17に押し付け、押付面17に沿って梱包物5を載置面15側へ転がす(図9のステップS5)。
【0043】
この動作により、押付面17上で転がされた梱包物5の外周面に、押付面17に渡されたテープ4がスムーズに巻き付けられ、押付面17に押し付けながらテープ4に適度の張力を生じさせた状態で梱包物5に貼り付けられる。このため、梱包台7の押付面17は、片手で梱包物5を回転させながらテープ4を巻き付ける動作を補助する面として機能し、梱包物5に巻き付けられるテープ4に皺が生じることを抑えるように容易に貼り付けることができる。このように、作業者は、片手だけを使って、テープロール3からテープ4を引き出しながらこのテープ4を梱包物5に巻き付けるように貼り付ける(図9のステップS6)。
【0044】
上述のように押付面17に沿って梱包物5を転がすことで、載置面15及び押付面17が、テープロール3から引き出されたテープ4を保持する仮想的な片手のように機能し、片手だけで梱包物5にテープ4を容易かつスムーズに巻き付けて貼り付けることができる。
【0045】
(実施例の効果)
以下、上述した実施例の効果を説明する。実施例の梱包装置1は、接着面4aを上方に向けたテープ4がテープロール3から引き出されるロール支持台6と、テープロール3から引き出されたテープ4が、接着面4aを上方に向けた姿勢で載せられる載置面15を有し、載置面15に載せられたテープ4が梱包物5に貼り付けられる梱包台7と、を備える。これにより、作業者は、片手だけで梱包物5にテープ4を容易かつスムーズに巻き付けて貼り付けることができる。このため、作業者は、一方の片手で梱包作業を行いながら、必要に応じて他方の片手で別の作業を行うことも可能になる。特に、片手が不自由な作業者であっても、梱包物5にテープ4を容易かつスムーズに巻き付けることができるので、作業効率を安定的に高めることができる。また、作業者を保護するための手甲や装具等を着用する場合であっても、片手だけでの梱包作業を無理なく行うことができる。
【0046】
また、実施例の梱包装置1の梱包台7は、テープロール3から引き出されたテープ4の先端部の接着面4aが一時的に貼り付けられる貼付部16を有する。貼付部16は、載置面15におけるテープロール3側とは反対側に設けられている。これにより、テープロール3から引き出されたテープ4の始端側を梱包台7に容易に仮止めできるので、テープ4の始端側の接着面4a同士が貼り付いてテープ4が使用不能になることを防ぐことができる。
【0047】
また、実施例の梱包装置1の梱包台7は、テープロール3からテープ4を引き出しながらこのテープ4の接着面4aに梱包物5を押し付けるための押付面17を有する。押付面17は、載置面15におけるテープロール3側とは反対側に、載置面15に連続すると共に載置面15に対して下方へ傾斜して形成されている。これにより、作業者は片手で、テープロール3からテープ4を引き出しながら梱包物5を押付面17に押し付けることにより、テープ4に適度の張力を生じさせて梱包物5に貼り付けられるので、テープ4に皺が生じることが抑えられる。また、作業者は片手で、押付面17に沿って梱包物5を転がすことにより、梱包物5にテープ4を容易に巻き付けて貼り付けることができる。
【0048】
また、実施例の梱包装置1の梱包台7は、載置面15及び押付面17が形成された弾性体20を有する。これにより、梱包物5を押付面17に沿って転がしたときに押付面17が弾性変形することで、梱包物5の外周面に沿ってテープ4に皺が生じることを抑えて適切に貼り付けることができる。
【0049】
また、実施例の梱包装置1の梱包台7が有する弾性体20は、発泡プラスチック、ウレタン、硬質スポンジのいずれかである。これにより、弾性体20の加工性が確保されるので、押付面17を適正な傾斜角θに容易に加工することができる。また、テープ4としてセロハンテープを用いて、梱包台7の弾性体20として発泡スチロールを用いる場合、テープ4と梱包台7との間に静電気が生じ易くなり、静電気による吸着力でテープ4を載置面15や押付面17に保持させることが可能になる。
【0050】
また、実施例の梱包装置1の梱包台7は、載置面15に対する押付面17の傾斜角θが、30度以上、60度以下である。このような傾斜角θの押付面17を利用することにより、作業者は片手だけで、押付面17に渡されたテープ4に梱包物5を貼り付けるように梱包物5を押付面17に容易に押し付けると共に、押付面17に沿ってテープ4をテープロール3から引き出しながら、梱包物5を押付面17に沿って容易に転がすことができる。
【0051】
また、実施例の梱包装置1は、ロール支持台6と梱包台7の少なくとも一方を、テープロール3からのテープ4の引き出し方向に沿って移動可能に支持するベース部材8を備える。ロール支持台6には、テープロール3から引き出されるテープ4の経路に配置されてテープ4を切断するテープカッタ11が設けられている。これにより、梱包台7とロール支持台6との間の距離Dが調節され、梱包台7に対するテープカッタ11の位置を容易に調節することができる。そのため、作業者の体格や、作業者である障碍者の不自由の度合等に合わせてテープカッタ11を最適な位置に調節することにより、梱包作業時に作業者がテープカッタ11に接触することを防ぎ、作業者の安全性が高められる。
【0052】
また、実施例の梱包装置1のロール支持台6は、テープロール3から引き出されたテープ4を下方へ押さえるテープガイド部材12を有する。これにより、テープガイド部材12によってテープロール3から引き出されたテープ4に張力を与えてテープ4の浮き上がりを抑えられるので、テープロール3から引き出されたテープ4を経路に沿ってスムーズに送り、テープ4をスムーズに切断できる。
【符号の説明】
【0053】
1 梱包装置
3 テープロール
4 テープ
4a 接着面
5 梱包物
6 ロール支持台
7 梱包台
8 ベース部材
11 テープカッタ
12 テープガイド部材
15 載置面
16 貼付部
17 押付面
20 弾性体
図1
図2
図3
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図9