(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】マスフローコントローラおよびコントローラアルゴリズム
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
(21)【出願番号】P 2021510768
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 US2019048577
(87)【国際公開番号】W WO2020047101
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ルル
(72)【発明者】
【氏名】バーウィン バナレス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ホワイトリー
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0197446(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/00 - 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流量を制御するマスフローコントローラであって、
前記流体を受け取る流入口と、
バルブの動作を制御することによって前記マスフローコントローラの流出口から出る前記流体の前記流量を調節する、前記バルブに結合されたバルブアクチュエータと、
流路を通る前記流体の流量に関する圧力、および温度信号値のうちの少なくとも1つを測定する少なくとも1つのセンサと、
所望の流体流速および前記信号値のうちの前記少なくとも1つを使用して前記バルブアクチュエータの線形応答を制御するために、前記マスフローコントローラの前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記バルブのリフトとの関係を示すゲイン値をアクチュエータゲインとして決定する、前記バルブアクチュエータに結合された線形化制御システムと、
前記少なくとも1つの信号値に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って、前記バルブのリフトと前記流体の流量との関係を示す動作特性をバルブモデルゲインとして決定するバルブモデル化システムと、を備え、
前記線形化制御システムは、フィルタリングされた設定点値、少なくとも1つのリアルタイム流体パラメータ値、前記アクチュエータゲイン、および前記バルブモデルゲインから、前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記流体の流量との関係を示すゲイン値を決定する、マスフローコントローラ。
【請求項2】
前記線形化制御システムは、
前記マスフローコントローラのメモリデバイスに記憶された前記バルブのドライブ値を除去し、
前記圧力および温度信号値に基づいて対応する流量値を決定し、
前記決定された流量値をリフト値に変換し、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定する、ように構成される、請求項1に記載のマスフローコントローラ。
【請求項3】
前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶するメモリモジュールをさらに備える、請求項2に記載のマスフローコントローラ。
【請求項4】
前記線形化制御システムは、
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定し、
f’(g(x))=A*lift
x
3+B*lift
x
2+C*lift
x+Dを使用してリフト(lift
x)の関数として前記アクチュエータゲインを決定し、ここで、A、B、C、Dは比例定数であり、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定する、ように構成され、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、請求項2に記載のマスフローコントローラ。
【請求項5】
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、
Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、前記アクチュエータゲインであり、g’(x)は、前記バルブモデルゲインである、請求項1に記載のマスフローコントローラ。
【請求項6】
マスフローコントローラを通る流体の流量を制御する方法であって、
流入口を通る前記流体を受け取ることと、
バルブアクチュエータを使用してバルブの動作を制御することによって前記マスフローコントローラの流出口から出る前記流体の前記流量を調節することと、
所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサから、流路を通る前記流体の流量に関する圧力、温度値、および流速の信号値のうちの少なくとも1つと、を受信することと、
前記信号値のうちの前記少なくとも1つを使用して前記バルブの線形応答を制御するために、前記マスフローコントローラの前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記バルブのリフトとの関係を示すゲイン値をアクチュエータゲインとして決定することと、
前記少なくとも1つの信号値に従って流体特性を決定することと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って、前記バルブのリフトと前記流体の流量との関係を示す動作特性をバルブモデルゲインとして決定することと、を有し、
前記線形応答は、前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記流体の流量との関係を示すdDrive/dFlowを決定することによって制御される、方法。
【請求項7】
前記マスフローコントローラのメモリユニットに記憶された前記バルブのドライブ値を除去することと、
前記圧力および温度信号値に基づいて対応する流量値を決定することと、
前記決定された流量値をリフト値に変換することと、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定することと、をさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メモリモジュールに前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶することをさらに有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定することと、
f’(g(x))=A*lift
x
3+B*lift
x
2+C*lift
x+Dを使用してリフト(lift
x)の関数として前記アクチュエータゲインを決定することであって、ここで、A、B、C、Dは比例定数である、ことと、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定することと、をさらに有し、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、
Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、前記アクチュエータゲインであり、g’(x)は、前記バルブモデルゲインで
ある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マスフローコントローラにおいて使用するためのプロセス制御システムであって、
バルブアクチュエータおよびメモリデバイスと通信可能に結合され、所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサからの、流路を通る流体の流量に関する圧力、温度、および流速の信号値うちの少なくとも1つと、を使用してバルブの線形応答を制御するために、前記マスフローコントローラの前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記バルブのリフトとの関係を示すゲイン値をアクチュエータゲインとして決定する線形化モジュールを備え、
前記線形化モジュールは、
前記少なくとも1つの信号値に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って、前記バルブのリフトと前記流体の流量との関係を示す動作特性をバルブモデルゲインとして決定するバルブモデル化システムと、をさらに備える、プロセス制御システム。
【請求項12】
前記線形応答は、前記バルブのリフトを制御するドライブ値と前記流体の流量との関係を示すdDrive/dFlowを決定することによって制御される、請求項11に記載のプロセス制御システム。
【請求項13】
前記バルブモデル化システムは、
前記マスフローコントローラのメモリユニットに記憶された前記バルブのドライブ値を除去し、
前記圧力および温度信号値に基づいて対応する流量値を決定し、
前記決定された流量値をリフト値に変換し、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定する、ようにさらに構成される、請求項11に記載のプロセス制御システム。
【請求項14】
前記メモリデバイスは、前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶する、請求項13に記載のプロセス制御システム。
【請求項15】
前記線形化モジュールは、
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定し、
f’(g(x))=A*lift
x
3+B*lift
x
2+C*lift
x+Dを使用してリフト(lift
x)の関数として前記アクチュエータゲインを決定し、ここで、A、B、C、Dは比例定数であり、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してゲインを決定する、ようにさらに構成され、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、請求項13に記載のプロセス制御システム。
【請求項16】
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、前記アクチュエータゲインであり、g’(x)は、前記バルブモデルゲインである、請求項15に記載のプロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Mass Flow Controller and controller algorithm」と題する2018年8月29日に出願された米国仮特許出願第16/116,780号への優先権を主張する。その内容全体が全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、流路を通る流体の流量(flow)を制御するマスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controllers:質量流量制御器)に関し、より詳細には、マスフローコントローラバルブの線形応答を制御することによってマスフローコントローラのゲインを制御するMFCおよびコントローラアルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0003】
MFCは、所望の流速と、流体の測定された温度、圧力、および流速のリアルタイムフィードバック測定値と、に基づいて、流路を通る流体の流量を制御するデバイスである。このプロセスを制御するとともに所望の流速を維持するために、マスフローコントローラは、フィードバック測定値に従って所望の流速を達成するためにバルブの開閉を電気機械的に制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現行では、利用可能なMFCは、種々の非線形アーティファクトに起因したシステムへの雑音を導入することなく所望の流速をコンスタントかつ連続的に維持するのに必要な有限レベルの制御を維持するのに必要な精巧性を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、流体の流量を制御するマスフローコントローラが提示される。該マスフローコントローラは、流体を受け取る流入口と、バルブの動作を制御することによって該マスフローコントローラの流出口から出る流体の流量を調節する、バルブに結合されたバルブアクチュエータと、流路を通る流体の流量に関する流体タイプ、圧力、および温度値信号のうちの少なくとも1つを測定する少なくとも1つのセンサと、バルブアクチュエータに結合され、所望の流体流速および信号値(値信号)のうちの少なくとも1つを使用してバルブの線形応答を制御することによって該マスフローコントローラのゲイン値を制御する線形化制御システムと、を備え、線形応答は、アクチュエータドライブ(drive)値の変化および流体の流量の変化dDrive/dFlowを決定することによって制御される。
【0006】
一実施形態では、線形化制御システムは、少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、バルブ仕様および決定された流体特性に従ってバルブの要求される動作特性を決定するバルブモデル化システムと、をさらに備える。バルブモデル化システムは、所望の流体流速を得るために、バルブのリフトを制御するドライブ値を決定するようにさらに構成され、ドライブ値は、流体流速の変化に対するバルブリフト間の関係によって決定される。線形化制御システムは、マスフローコントローラのメモリデバイスに記憶されたバルブのドライブ値をスイープし(sweep)、圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定し、決定された流量値をリフト値に変換し、流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定するように構成される。マスフローコントローラは、バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶するメモリモジュールをさらに備える。線形化制御システムは、g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数(derivative)を決定し、f’(g(x))=A*liftx
3+B*liftx
2+C*liftx+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定し、dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定するように構成され、X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である。Y1およびY2は、流速値X1およびX2のおよそ±1%に対応する計算されたリフト値である。
【0007】
さらに他の実施形態では、マスフローコントローラを通る流体の流量を制御する方法が提供される。方法は、流入口を通る流体を受け取ることと、バルブアクチュエータを使用してバルブの動作を制御することによってマスフローコントローラの流出口から出る流体の流量を調節することと、所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサから、流路を通る流体の流量に関する圧力、温度値、流速、および流体タイプ信号のうちの少なくとも1つと、を受信することと、信号値のうちの少なくとも1つを使用してバルブの線形応答を制御することによって、マスフローコントローラのゲインを制御することと、を有し、線形応答は、アクチュエータドライブ値の変化および流体の流量の変化dDrive/dFlowを決定することによって制御される。方法は、少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定することと、バルブ仕様および決定された流体特性に従ってバルブの要求される動作特性を決定することと、をさらに有する。方法は、所望の流体流速を得るために、バルブのリフトを制御するドライブ値を決定することをさらに有し、ドライブ値は、流体流速の変化に対するバルブリフト間の関係によって決定される。方法は、マスフローコントローラのメモリユニットに記憶されたバルブのドライブ値をスイープすることと、圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定することと、決定された流量値をリフト値に変換することと、流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定することと、をさらに有する。方法は、メモリモジュールにバルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶することをさらに有する。方法はまた、g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定することと、f’(g(x))=A*liftx
3+B*liftx
2+C*liftx+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定することと、dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定することと、を有し、X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である。Y1およびY2は、流速値X1およびX2のおよそ±1%に対応する計算されたリフト値である。
【0008】
またさらに他の実施形態では、マスフローコントローラにおいて使用するためのプロセス制御システムが提供される。該制御システムは、バルブアクチュエータおよびメモリデバイスと通信可能に結合され、所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサからの、流路を通る流体の流量に関する圧力、温度値、流速、および流体タイプのうちの少なくとも1つと、を使用してバルブの線形応答を制御することによって、マスフローコントローラのゲインを制御する線形化モジュールを備える。該線形化モジュールは、少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、バルブ仕様および決定された流体特性に従ってバルブの要求される動作特性を決定するバルブモデル化システムと、をさらに備える。線形応答は、アクチュエータドライブ値の変化および流体の流量の変化を決定することによって制御される。バルブ制御システムは、マスフローコントローラのメモリユニットに記憶されたバルブのドライブ値をスイープし、圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定し、決定された流量値をリフト値に変換し、流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定するようにさらに構成される。線形化モジュールは、g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定し、f’(g(x))=A*liftx
3+B*liftx
2+C*liftx+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定し、dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してゲインを決定するようにさらに構成され、X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である。Y1およびY2は、流速値X1およびX2のおよそ±1%に対応する計算されたリフト値である、請求項19に記載のプロセス制御システム。
【0009】
更なる実施形態、利点、および新規の特徴は、詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】或る特定の例示の実施形態による、MFCのブロック図である。
【
図2】或る特定の実施形態による、MFCの制御バルブの線形応答を制御するコントローラシステムの図である。
【
図3A】或る特定の例示の実施形態による、コントローラシステムのバルブおよび流体流量(fluid flow)モデル化アルゴリズムの図である。
【
図3B】或る特定の例示の実施形態による、コントローラシステムの流体流量制御アルゴリズムの図である。
【
図4A】或る特定の例示の実施形態による、コントローラシステムのフィルタリングプロセスを通過した後の制御コマンドフィルタリングランプ(ramp)信号の図である。
【
図4B】或る特定の例示の実施形態による、関連プロセス信号に関連するフィルタリングされた設定点値(set point value)の精密プロセス制御を実証する性能グラフである。
【
図4C】異なるコントローラシステム設定に対する圧力ベースMFC応答時間対設定点値の性能グラフである。
【
図5】或る特定の例示の実施形態による、コンピューティングマシンおよびシステムアプリケーションを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の特徴および利点がより完全に理解されるように、ここで、添付の図とともに詳細な説明を参照する。添付の図において、異なる図における対応する数字は、対応する部分を指す。
【0012】
本開示の様々な実施形態の作成および使用について以下詳細に考察するが、本開示は、多種多様の具体的な状況で具現することができる多くの適用可能な発明の概念を提供することが理解されるべきである。本明細書で考察する具体的な実施形態は、単に例示的なものであり、本開示の範囲を定めるものではない。明確にするために、本開示では、実際の実施態様の全ての特徴については記載しない場合がある。当然ながら、任意のこうした実際の実施形態の展開において、実施態様によって異なる、システム関連の制約およびビジネス関連の制約とのコンプライアンスなど、開発者の具体的な目標を達成するために、多くの実施態様に特有の判断を行わなければならない。さらに、こうした開発努力は、複雑かつ時間がかかる可能性があるが、本開示の利益を有する当業者には日常的な業務である、ということが理解されよう。
【0013】
本明細書において提示されるMFCおよび制御アルゴリズムは、多くの実用的な応用を有し、例えば、MFCおよび制御アルゴリズムは、半導体処理分野において使用される場合、顕著な利点を提供する。制御アルゴリズムは、例えば、制御範囲全体にわたる、かつ全ての動作条件下での高速、精密、および一貫した過渡応答特性を達成する制御アルゴリズムを実施することによって、従来のMFCに優る利点を提供する。本明細書において提示される制御アルゴリズムは、流量制御アルゴリズム、流量モデル化アルゴリズム、およびバルブモデル化アルゴリズムを含み、これらのアルゴリズムは、共にMFCのバルブ動作の精密な線形応答制御を提供することによってMFC動作を著しく改善することができる。さらに、設定点制御コマンド入力フィルタリングは、望ましくない非線形過渡応答を制御するために安定性および一貫性を追加することができる。
【0014】
制御アルゴリズムは、MFC内で完全に自己充足型(self-contained)とすることができる。このことの利点は、異なる流体タイプが構成されるにつれて、また、実際の温度、圧力、および流速が変化するにつれて、リアルタイムで流体特性をモデル化することができることである。このことの他の利点は、流量モデル化アルゴリズムによって提供される流体特性を使用して、所望の流速のために要求されるバルブ開放と、その流量を達成するのに必要とされるドライブ信号と、の間の関係を確立することができることである。本明細書において記載される流量制御アルゴリズムは、PIDコントローラの一形式であるGLL(ゲイン-リード-ラグ:Gain-Lead-Lag)コントローラとすることができ、これは、変数とシステムのプラントゲインを線形化するためのダイナミックゲイン入力(以降GLLゲインと称される)とを組み込み、このGLLゲインは、フィードバック信号の、コントローラの出力に対する導関数(derivative)である。非リアルタイムGLLゲイン計算を実行する代替方法は、オフラインの2次元テーブルおよび外部ソフトウェアを使用することである。この実装の望ましくない属性は、GLLゲインテーブル生成が実際の温度および圧力ではなく事前に定義された圧力範囲および温度に基づいており、2次元ゲインテーブルが大量の記憶領域を要求し、テーブルの生成に時間を要する可能性があるということである。
【0015】
MFCファームウェア内に実装される流量モデル化アルゴリズムおよびバルブモデル化アルゴリズムは、顕著な利点を提供する。例えば、GLLゲイン計算は、各処理サイクルに対して実行することができる。テーブル生成の必要はない。バルブモデル化アルゴリズムは、リアルタイムで圧力、温度、および流速を処理することができ、したがって、異なる流体タイプの流量をより正確に管理することができる。GLLゲインは、本質的には、流量の所与の変化のために要求されるドライブ変化の量である。GLLゲインは、1/(dFlow/dDrive)またはシンプルにdDrive/dFlowと表すことができる。GLLゲインは、dDrive/dFlowと表すことができるので、ドライブ対流量の関係を決定することができる。以下でより詳細に論述するように、バルブモデル化アルゴリズムを使用して、流量からリフトを決定することができ、また、逆にリフトから流量を決定することもできる。
【0016】
さらに、圧力トランスデューサの高速応答時間に起因して、過渡流量制御応答時間をより厳格な許容誤差(tighter tolerance)に指定することが可能である。例えば、過渡流量応答時間を200ms±10ms以内に制御することができる。これは、従来のシステムに優る顕著な改善である。これは、流量コントローラコマンド入力に対して種々のフィルタリング関数を使用して達成することができる。コマンドフィルタリングの他の利点は、GLLコントローラが今やコマンド入力とプロセス変数との間の小さい誤差で制御する必要があるのみであり、そのため、GLLコントローラを、安定性を損なうことなくより高い応答性であるようにチューニングすることが可能であるということである。コマンドフィルタリングがなければ、コマンド入力のいかなる変化でもGLLコントローラに大きく瞬時的な誤差が与えられる。さらに他の利点は、非常に少ない時間および労力で段階的な応答時間を容易に提供する手段を提供するということである。従来、より厳格な過渡応答時間許容誤差または一般的にはより高速な過渡応答時間が要求された場合、所望の結果を取得するために多数のチューニングパラメータを精緻化するために多大な時間および労力が通常要求された。コマンドフィルタリングがあれば、これは、大半の事例において単一の属性を調整することによって迅速かつ容易に達成することができる。
【0017】
ここで
図1を参照すると、或る特定の例示の実施形態による、全体的に100として表記されるMFCのブロック図が示されている。MFC100は、ステップ102と、マスフローメータ104と、バルブ108およびアクチュエータ110を収容するバルブアセンブリ106と、を備えることができ、これらの全ては、ステップ102上の流体流入口114と流体流出口116との間に取り付けられることができる。MFC100は、マスフローメータ104とバルブアセンブリ106との間で通信可能に結合されたバルブ制御システム118をさらに備えることができる。加えて、マスフローコントローラ100は、上流位置および下流位置において流路に結合されるとともに、バルブ制御システム118に通信可能に結合された流入口圧力トランスデューサ120および流出口圧力トランスデューサ122を備えることができる。マスフローメータ104は、流体が通過して流れるバイパスチャネル124と、流体のうちのより少量の部分が通過して流れ、流速センサ126を有する他のチャネルと、を備えることができる。加えて、マスフローコントローラ100は、サーマルマスフローセンサを使用して、温度および流速を測定することができるが、コリオリベースセンサおよび差圧センサを含む他のセンサタイプを使用することができる。コリオリベースセンサは、温度、流量プロファイル、密度、粘度、および均一性に関係なく質量流量を決定することが可能である。
【0018】
実用時には、流体が圧力トランスデューサ120および122ならびに流速センサ126を通過して流れるにつれて、リアルタイム圧力データ、流速データ、および温度データは、バルブ制御システム118に提供されることができる。流体の流速は、感度を良くすることができ、流体タイプ、流入口および流出口圧力、温度、流速設定点値、ならびにバルブ動作特性を含む複数の動作条件は全て、流体流速に影響を与える、すなわち、所望の設定速度からの速度の偏差を引き起こす可能性がある。バルブ制御システム118は、バルブ108の動作を制御するために、流体タイプ、流入口および流出口圧力トランスデューサ読み取り値、流速設定点値、ならびにバルブ仕様に基づいて、バルブ108への、および流速への調整をもたらす誤り訂正ドライブ信号をバルブアクチュエータ110に提供することによって、リアルタイムでバルブ10の動作を制御することができる。比例制御、積分制御、比例積分(PI:Proportional-Integral)制御、微分制御、比例微分(PD:Proportional-Derivative)制御、積分微分(ID:Integral-Derivative)制御、および比例積分微分(PID:Proportional-Integral-Derivative)制御などのフィードバック制御方法を使用して、マスフローコントローラにおいて流体の流量を制御することができる。
【0019】
ここで
図2を参照すると、或る特定の例示の実施形態による、全体的に200として表記される、制御バルブ170の線形応答を制御するMFCコントローラシステムが示されている。制御(コントローラ)システム200は、MFC100のゲインをより正確に制御するために、流量モデル化アルゴリズム、バルブモデル化アルゴリズム、および流量制御アルゴリズムを含む制御アルゴリズムを実行する。コントローラシステム200は、設定点(SP:Set Point)フィルタ202と、ゲイン-リード-ラグ(GLL:Gain-Lead-Lag)コントローラ204と、流量制御およびモデル化システム206と、を備える。GLLコントローラ204は、バルブ170の応答を制御するために、SP値およびフィードバック(FB:FeedBack)信号、例えば、圧力もしくは温度またはその双方を受信する。流量制御およびモデル化システム206は、SPコマンド、センサ入力データ、およびバルブ仕様に従って、その応答をさらに制御することによって、GLLコントローラ204のチューニングを補強する。処理に先立って設定点値をフィルタリングし、処理中にモデル化アルゴリズムを使用することによって、バルブ170の応答時間は、より厳格に制御することができ、広範な動作条件にわたってより一貫性があるものとすることができる。さらに、処理に先立って設定点値を適切にフィルタリングすることによって、バルブ応答時間に影響を与える非線形過渡アーティファクトは、除去されるかまたは大幅に低減されることができる。
【0020】
SPフィルタ202は、受信した設定点(SP)値をフィルタリングし、フィルタリングされた値をGLLコントローラ204ならびにモデル化および流量制御システム(modeling and flow control system)206に送信する。SP値は、流体流速値とすることができる。SPフィルタ202は、コマンド変化速度に対して急激で不連続な変化がないことを確実にするために、スルーレート(slew-rate)制限フィルタなどの構成可能なレート制限フィルタ、およびローパスフィルタを含むことができる。設定点を遅延させることによって、設定点データおよび測定値の処理がより正確になり、したがって、非線形過渡アーティファクトを大幅に低減させることができるか、または除去することができる。GLLコントローラ204は、バルブアクチュエータ208にドライブコマンドを提供することによって、バルブ170のリフトを制御するように機能する。モデル化および流量システム206は、入力/出力圧力値、温度値、流体タイプ値に対するSP値およびリアルタイム測定値を受信する。モデル化および流量システム206は、バルブ仕様データにアクセスするとともにこれを処理することができ、決定された流体モデル化特性およびバルブ仕様データに基づいて、適切なゲインを決定し、それに応じてバルブ(値)170のリフトを制御することができる。
【0021】
ここで
図3Aを参照すると、或る特定の例示の実施形態による、全体的に250として表記される、バルブおよび流体流量モデル化アルゴリズムが示されている。アルゴリズム250は、フィルタリングされたSP値が読み取られるブロック252において開始される。SP値は、ユーザによって提供されるか、または、MFCの中へプログラミングし、使用事例に応じて周期的に調整することができる。ブロック254において、特定の値に対するドライブ値がスキャンされて、所与の圧力および温度における対応する流速値が決定される。ブロック256において、アルゴリズム250によって、利用可能なバルブ仕様を使用して、決定された流速は、予測リフト値に変換される。ブロック258において、流量の所与の変化に対するドライブとリフトとの間の関係、すなわち、GLLゲインが計算される。
【0022】
フィルタリングされたSP値の導入によって、非線形過渡効果(non-linear transient effects)を結果としてもたらすオーバーシュートは、除去または大幅に低減され、圧力、および任意選択で他の環境の読み取り値に従ったGLLゲインのより正確な特定が可能になる。以下の表に示されるように、或る範囲のフィルタリングされた設定点値および一組の流体測定読み取り値に対するゲイン計算にわたって、オーバーシュートは、検出されなかった。
【0023】
【0024】
GLLゲインは、プラントゲインの逆数と定義することができる。プラントゲインは、流体流量を示すフィードバック制御信号の、GLLコントローラの出力、すなわち、ドライブに対する導関数と定義することができる。設定点値を適切にフィルタリングし、プラントゲインの逆数に等しいGLLゲインを設定することによって、定ループゲイン(constant loop gain)を達成することができる。したがって、例えば、ガス、温度、流入口および流出口圧力ならびに流速などの動作条件の広範囲にわたって、一貫したバルブ応答時間が達成されることができる。
【0025】
GLLゲインは、dDrive/dFlowと表すことができ、すなわち、ドライブの変化は、流量の変化の関数であり、したがって、バルブの応答時間をより正確に制御するために、ドライブと流量との間の適切な関係を決定することができる。一般に、g(x)が流体流量(SCCM)の関数としてのバルブモデルからの予測リフトであり、f(x)がコントローラドライブ(フルスケールドライブのうちの一定割合)であり、Yが流量の関数としてのコントローラドライブである場合、Y=f(g(x))である。GLLゲインは、dY/dx=f’(g(x))g’(x)、すなわちdDrive/dFlowを使用して決定することができ、ここで、f’(g(x))は、アクチュエータゲイン、すなわち、dDrive/dLiftであり、g’(x)は、バルブモデルゲイン、すなわち、dLift/dDriveである。アクチュエータゲインf’(g(x))は、ドライブの、予測リフトに対する導関数である。バルブ特性評価プロセスは、ドライブ対予測リフト曲線を取得するのに使用することができる。ドライブ対予測リフトの導関数を計算して、アクチュエータゲイン曲線を生成することができる。曲線は、例えば、n次多項式、区分線形関数(piecewise-linear function)、スプライン(脊椎)などの任意の形式における曲線をデバイスにおいて表すことができる。バルブモデルゲインg’(x)は、予測リフトの、現在の動作条件の周辺の流量に対する導関数の有限差分法計算である。これでは、流量とコントローラ設定点との間の誤差が0に近づく。使用されるバルブモデルに応じて、関与する式を直接微分することが可能であり、閉形式導関数と表すことができる。いずれの実施態様でも、有限計算または閉形式は、等しく良好に機能することができる。
【0026】
ここで
図3Bを参照すると、或る特定の例示の実施形態による、全体的に300として表記される、流体流量制御アルゴリズムが示されている。GLLゲインを決定するための以下で提供されるアルゴリズム方法が有効であるものの、GLLゲインを計算する他の方法を使用することができることが理解されるべきである。これは、GLLゲインを決定することができる単に1つの方法である。流体流量制御アルゴリズムは、流量の所与の変化に対するドライブ値とリフトとの間の関係を計算する。アルゴリズムは、或る流速に対するリフト対流速関係が、以下の式1を使用して決定されるブロック302から開始される。
[式1]
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)
ここで、Y1、Y2は、流速X1、X2の±1%、またはおよそ±1%に対応するリフト値である。X1およびX2、またはそれらの差は、設定点値および実際の流速測定値から取得された流速の変化を定義する。リフト値は、メモリに記憶されたバルブ仕様から索出することができる。ブロック304において、アルゴリズム300は、以下の式2、
[式2]
f’(g(x))=A*lift
x
3+B*lift
x
2+C*lift
x+D
およびホーナ法(Horner’s rule)を使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定する。導関数の係数は、メモリに記憶するとともに、メモリから索出することができる。ブロック306において、アルゴリズム300は、以下の式3を使用してGLLゲインを決定する。
[式3]
dY/dx=f’(g(x))g’(x)
その後、対応するドライブ信号値は、バルブアクチュエータ208を制御するためにGLLコントローラ204に送信される。
【0027】
GLLゲイン単位は、fractionalDrive/fractionalFlowにおいて表すことができる。実際のGLLゲイン計算の場合、使用される単位は、Drive(ボルト)/FLow(SCCM:Standard Cubic Centimeters per Minute(毎分標準立方センチメートル))として表すことができる。そのような表現の理由は、特性評価後にデバイスのドライブフルスケールレンジを変化させるため、または、特性評価後にデバイスの構成済みフルスケールレンジを変化させるためということがあり得る。アルゴリズムは、GLLゲイン値が使用される前に、Drive(ボルト)/Flow(SCCM)からfractionalDrive/fractionalFlowへのGLLゲイン値の必要な変換を実行することができる。しかしながら、GLLゲイン単位は、GLLコントローラ204が動作するように構成される単位で表されることができる。
【0028】
図4Aにおいて、フィルタ202におけるフィルタリングの前後の設定値コマンドの一例が示される。「lpf_ramp」として示されるトレースは、レート制限およびローパスフィルタを通過した後の合成ランプ信号を示している。この事例では、ローパスフィルタ20ms時定数と組み合わされた200msの傾斜時間(ramp time)は、250ms内で最終値の98%以内である出力を生成する。
図4Bでは、供給電圧と、正規化流量、一定割合流量(fractional flow)およびフィルタリングされたSP値と、に関連するフィルタリングされた設定点値の精密プロセス制御を実証する一例のグラフが示されている。容易に識別することができるように、フィルタリングされたSP値と流量との間の差または誤差は最小であり、ほとんど存在していない。
図4Cでは、コントローラシステム200がフィルタ202を使用せず流量制御およびモデル化システム206が無効化される場合と、コントローラシステム200がフィルタ202を使用せず流量制御およびモデル化システム206が有効化される場合と、コントローラシステム200がフィルタ202を使用し流量制御およびモデル化システム206が有効化される場合と、のSP値のパーセンテージに対する異なる応答時間のグラフが示されている。フィルタおよびゲイン制御がなければ、応答時間は、設定点にわたって135ms~315ms(180msのスプレッド)のいずれの値にもなり得る。ゲイン制御を有効化することにより、一貫性が3倍増加した。SPフィルタリングおよびゲイン制御の双方を有効化することにより、±10ms幅の設定点にわたる最良の一貫性が提供される。
【0029】
ここで
図5を参照すると、実施形態例によるコンピューティングマシン400およびシステムアプリケーションモジュール500が示されている。コンピューティングマシン400は、様々なコンピュータ、モバイルデバイス、ラップトップコンピュータ、サーバ、組み込みシステム、または本明細書に提示するコンピューティングシステムのうちの任意のものに対応することができる。モジュール500は、コンピューティングマシン400が本明細書に提示する様々な方法および処理機能を実行するのを容易にするように設計された、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェア要素、例えば、他のOSアプリケーションならびにユーザおよびカーネル空間アプリケーションを含むことができる。コンピューティングマシン400は、プロセッサ410、システムバス420、システムメモリ430、記憶媒体440、入力/出力インターフェース450、例えば、セルラ/GPS、BLUETOOTH(登録商標)またはWiFiなどのネットワーク470と通信するためのネットワークインターフェース460などの様々な内部コンポーネントまたは付属コンポーネントを含むことができる。
【0030】
コンピューティングマシンは、従来のコンピュータシステム、組み込みコントローラ、ラップトップ、サーバ、モバイルデバイス、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータ、カスタマイズされたマシン、他の任意のハードウェアプラットフォーム、またはそれらの任意の組み合わせ(combination)もしくは複合(multiplicity)として実装することができる。コンピューティングマシンは、データネットワークまたはバスシステムを介して相互接続された複数のコンピューティングマシンを用いて機能するように構成された分散システムとすることができる。
【0031】
プロセッサ410は、本明細書に記載する動作および機能を実行し、要求フローおよびアドレスマッピングを管理し、計算を実行しコマンドを生成するために、コード命令を実行するように設計されることができる。プロセッサ410は、コンピューティングマシンにおけるコンポーネントの動作を監視および制御するように構成されることができる。プロセッサ410は、汎用プロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、再構成可能プロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、コントローラ、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリート(discrete)ハードウェアコンポーネント、他の任意の処理ユニット、またはそれらの任意の組み合わせもしくは複合とすることができる。プロセッサ410は、単一の処理ユニット、複数の処理ユニット、単一の処理コア、複数の処理コア、専用処理コア、コプロセッサ、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。或る特定の実施形態によれば、プロセッサ410は、コンピューティングマシン400の他のコンポーネントとともに、1つまたは複数の他のコンピューティングマシン内で実行するソフトウェアベースまたはハードウェアベースの仮想コンピューティングマシンとすることができる。
【0032】
システムメモリ430は、リードオンリーメモリ(「ROM」)、プログラマブルリードオンリーメモリ(「PROM」)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(「EPROM」)、フラッシュメモリ、または電力の印加の有無にかかわらずプログラム命令もしくはデータを記憶することができる他の任意のデバイスなどの不揮発性メモリを含むことができる。システムメモリ430は、また、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、スタティックランダムアクセスメモリ(「SRAM」)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(「DRAM」)および同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(「SDRAM」)などの揮発性メモリも含むことができる。システムメモリ430を実装するために、他のタイプのRAMも用いることができる。システムメモリ430は、単一のメモリモジュールまたは複数のメモリモジュールを用いて実装されることができる。システムメモリ430は、コンピューティングマシンの一部であるものとして示すが、当業者であれば、主題となる技術の範囲から逸脱することなく、システムメモリ430は、コンピューティングマシン400とは別個でもよいことが理解されよう。システムメモリ430は、記憶媒体440などの不揮発性記憶デバイスを含むかまたはそれとともに動作することができることも理解されるべきである。
【0033】
記憶媒体440は、ハードディスク、フロッピーディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(「CD-ROM」)、デジタルバーサタイルディスク(「DVD」)、ブルーレイディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、他の不揮発性メモリデバイス、ソリッドステートドライブ(「SSD」)、任意の磁気記憶デバイス、任意の光記憶デバイス、任意の電気記憶デバイス、任意の半導体記憶デバイス、任意の物理ベース記憶デバイス、他の任意のデータ記憶デバイス、またはそれらの任意の組み合わせもしくは複合を含むことができる。記憶媒体440は、1つもしくは複数のオペレーティングシステム、アプリケーションプログラムおよびプログラムモジュール、データ、または他の任意の情報を記憶することができる。記憶媒体440は、コンピューティングマシンの一部とするかまたはコンピューティングマシンに接続することができる。記憶媒体440はまた、サーバ、データベースサーバ、クラウドストレージ、ネットワークアタッチトストレージなどのコンピューティングマシンと通信する1つまたは複数の他のコンピューティングマシンの一部とすることもできる。
【0034】
アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールは、コンピューティングマシンが本明細書に提示する様々な方法および処理機能を実行することを容易にするように構成された1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェア要素を含むことができる。アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールは、システムメモリ430、記憶媒体440または両方と関連してソフトウェアまたはファームウェアとして記憶される1つまたは複数のアルゴリズムまたは命令のシーケンスを含むことができる。したがって、記憶媒体440は、プロセッサ410による実行のために命令またはコードを記憶することができる機械またはコンピュータ読み取り可能媒体の例を表すことができる。機械またはコンピュータ読み取り可能媒体は、概して、プロセッサ410に命令を提供するために用いられる単数または複数の任意の媒体を指すことができる。アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールに関連するこうした機械またはコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータソフトウェア製品を含むことができる。アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールを含むコンピュータソフトウェア製品はまた、ネットワーク、任意の信号搬送媒体、または他の任意の通信もしくは配信技術を介して、アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールをコンピューティングマシンに配信する1つまたは複数のプロセスまたは方法にも関連付けられることができることを理解されたい。アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールはまた、ハードウェア回路、もしくはマイクロコードなどのハードウェア回路を構成するための情報、またはFPGAもしくは他のPLDのための構成情報も含むことができる。1つの実施形態例では、アプリケーションモジュール500および他のOSアプリケーションモジュールは、本明細書に提示するフローチャートおよびコンピュータシステムによって記載される機能動作を実行することができるアルゴリズムを含むことができる。
【0035】
入力/出力(「I/O」)インターフェース450は、1つまたは複数の外部(external)デバイスに結合し、1つまたは複数の外部デバイスからデータを受信し、1つまたは複数の外部デバイスにデータを送信するように構成することができる。こうした外部デバイスは、様々な内部(internal)デバイスとともに、周辺デバイスとしても知られ得る。I/Oインターフェース450は、様々な周辺デバイスをコンピューティングマシンまたはプロセッサ410に結合する電気的接続および物理的接続の両方を含むことができる。I/Oインターフェース450は、周辺デバイス、コンピューティングマシンまたはプロセッサ410の間でデータ、アドレスおよび制御信号を通信するように構成することができる。I/Oインターフェース450は、小型コンピュータシステムインターフェース(「SCSI」)、シリアル接続SCSI(「SAS」)、ファイバーチャネル、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(「PCI」)、PCIエクスプレス(PCIe)、シリアルバス、パラレルバス、アドバンストテクノロジーアタッチメント(「ATA」)、シリアルATA(「SATA」)、ユニバーサルシリアルバス(「USB」)、Thunderbolt、FireWire、様々なビデオバスなどの任意の標準インターフェースを実装するように構成することができる。I/Oインターフェース450は、1つのインターフェースまたはバス技術のみを実装するように構成することができる。代替として、I/Oインターフェース450は、複数のインターフェースまたはバス技術を実装するように構成することができる。I/Oインターフェース450は、システムバス420の一部として、システムバス420の全てとして、またはシステムバス420とともに動作するように、構成することができる。I/Oインターフェース450は、1つまたは複数の外部デバイス、内部デバイス、コンピューティングマシンまたはプロセッサ410の間の送信をバッファリングするための1つまたは複数のバッファを含むことができる。
【0036】
I/Oインターフェース450(420)は、コンピューティングマシンを、マウス、タッチスクリーン、スキャナ、電子デジタイザ、センサ、受信器、タッチパッド、トラックボール、カメラ、マイクロフォン、キーボード、他の任意のポインティングデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含む様々な入力デバイスに結合することができる。I/Oインターフェース450は、コンピューティングマシンを、ビデオディスプレイ、スピーカ、プリンタ、プロジェクタ、触覚フィードバックデバイス、オートメーション制御、ロボットコンポーネント、アクチュエータ、モータ、ファン、ソレノイド、バルブ、ポンプ、送信器、信号発信器、ライトなどを含む様々な出力デバイスに結合することができる。
【0037】
コンピューティングマシン400は、ネットワーク上における1つまたは複数の他のシステムまたはコンピューティングマシンへのNIC460を通しての論理接続を用いて、ネットワーク化環境において動作することができる。ネットワークとしては、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、インターネット、ワイヤレスアクセスネットワーク、有線ネットワーク、モバイルネットワーク、電話網、光ネットワークまたはそれらの組み合わせを挙げることができる。ネットワークは、任意のトポロジのパケット交換ネットワーク、回線交換ネットワークとすることができ、任意の通信プロトコルを使用することができる。ネットワーク内の通信リンクは、光ファイバーケーブル、自由空間光通信(free-space optics)、導波路、導電体、ワイヤレスリンク、アンテナ、無線周波数通信などの様々なデジタルまたはアナログ通信媒体を伴うことができる。
【0038】
プロセッサ410は、システムバス420を介してコンピューティングマシンの他の要素または本明細書で考察した様々な周辺機器に接続されることができる。システムバス420は、プロセッサ410内、プロセッサ410外、またはその両方とすることができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態によれば、プロセッサ410、コンピューティングマシンの他の要素、または本明細書で考察した様々な周辺機器のうちの任意のものを、システムオンチップ(「SOC」)、システムオンパッケージ(「SOP」)またはASICデバイスなどの単一のデバイスに組み込むことができる。
【0039】
実施形態は、本明細書に記載および例示した機能を具現するコンピュータプログラムを含むことができ、コンピュータプログラムは、機械読み取り可能媒体に記憶された命令と命令を実行するプロセッサとを備えるコンピュータシステムにおいて実装される。しかしながら、コンピュータプログラミングにおいて実施形態を実装する多くの異なる方法があり得ることが明らかであるはずであり、実施形態は、例示的な実施形態において別段の開示がない限り、コンピュータプログラム命令のいかなる1つのセットにも限定されるものとして解釈されるべきではない。さらに、熟練したプログラマであれば、添付のフローチャート、アルゴリズム、および本出願の本文における関連する説明に基づき、開示する実施形態のうちの一実施形態を実装するためにこうしたコンピュータプログラムを書くことができるであろう。したがって、プログラムコード命令の特定のセットの開示は、実施形態を作成および使用する方法を十分に理解するために必要であるとみなされない。さらに、当業者であれば、本明細書に記載する実施形態の1つまたは複数の態様を、1つまたは複数のコンピューティングシステムにおいて具現され得るように、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせによって実行することができることが理解されよう。さらに、コンピュータによって実行される行為へのいかなる言及も、2つ以上のコンピュータがその行為を実行することができるため、単一のコンピュータによって実行されるものと解釈されるべきではない。
【0040】
本明細書に記載した実施形態例は、前述した方法および処理機能を実行するコンピュータハードウェアおよびソフトウェアとともに使用することができる。本明細書に記載したシステム、方法および手続きは、プログラマブルコンピュータ、コンピュータ実行可能ソフトウェアまたはデジタル回路において具現することができる。ソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能媒体に記憶することができる。例えば、コンピュータ読み取り可能媒体としては、フロッピーディスク、RAM、ROM、ハードディスク、リムーバブルメディア、フラッシュメモリ、メモリスティック、光媒体、光磁気媒体、CD-ROMなどを挙げることができる。デジタル回路としては、集積回路、ゲートアレイ、ビルディングブロックロジック、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを挙げることができる。
【0041】
上記で提示した実施形態において記載したシステム例、方法例および行為例は、例示的なものであり、代替実施形態では、様々な実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、或る特定の行為は、異なる順序で、互いに並行して実施し、完全に省略し、および/もしくは異なる実施形態例の間で組み合わせることができ、ならびに/または、或る特定の追加の行為を実施することができる。したがって、こうした代替実施形態は、本明細書の説明に含まれる。
【0042】
本明細書において用いられる場合、文脈によりその他の場合が明らかに示される場合を除き、単数形(the singular forms "a", "an" and "the")は、複数形も包含することが意図される。本明細書において用いられる場合、「備える、含む(comprises)」および/または「備えている、含んでいる(comprising)」という用語は、述べられている特徴、完全体(integers)、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つもしくは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、ならびに/またはそれらの群の存在もしくは追加を除外しないことがさらに理解されよう。本明細書において用いられる場合、「および/または(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意および全ての組み合わせを含む。本明細書において用いられる場合、「X~Y(between X and Y)」および「約X~Y(between about X and Y)」などの句は、XおよびYを含むと解釈されるべきである。本明細書において用いられる場合、「約X~Y(between about X and Y)」などの句は、「約X~約Y(between about X and about Y)」を意味する。本明細書において用いられる場合、「約XからY(from about X to Y)」などの句は、「約Xから約Y(from about X to about Y)」を意味する。
【0043】
本明細書において用いられる場合、「ハードウェア」は、ディスクリート部品の組み合わせ、集積回路、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他の好適なハードウェアを含むことができる。本明細書において用いられる場合、「ソフトウェア」は、1つまたは複数のオブジェクト、エージェント、スレッド、コード行、サブルーチン、別個のソフトウェアアプリケーション、1つまたは複数のプロセッサにおける(当該プロセッサは、1つまたは複数のマイクロコンピュータまたは他の好適なデータ処理ユニット、メモリデバイス、入力出力デバイス、ディスプレイ、キーボードもしくはマウスなどのデータ入力デバイス、プリンタおよびスピーカなどの周辺機器、関連するドライバ、制御カード、電源、ネットワークデバイス、ドッキングステーションデバイス、またはプロセッサもしくは他のデバイスとともにソフトウェアシステムの制御下で動作する他の好適なデバイスを含む)、2つ以上のソフトウェアアプリケーションで動作する2つ以上のコード行もしくは他の好適なソフトウェア構造、または他の好適なソフトウェア構造を含むことができる。1つの例示的な実施形態では、ソフトウェアは、オペレーティングシステムなどの汎用ソフトウェアアプリケーションで動作する1つもしくは複数のコード行または他の好適なソフトウェア構造と、専用ソフトウェアアプリケーションで動作する1つもしくは複数のコード行または他の好適なソフトウェア構造と、を含むことができる。本明細書において用いられる場合、「結合する(couple)」と「結合する(couples)」および「結合された(coupled)」などの同源の(cognate)用語とは、(銅伝導体などの)物理的接続、(データメモリデバイスのランダムに割り当てられたメモリロケーションなどを介してなどの)仮想接続、(半導体デバイスの論理ゲートなどを介するなどの)論理接続、他の好適な接続、またはこうした接続の好適な組み合わせを含むことができる。「データ」という用語は、データフィールド、データバッファ、データ値および送信者/受信先アドレスデータを有するデータメッセージ、受信システムまたはコンポーネントにデータを用いて或る機能を実行させる、データ値および1つもしくは複数の演算子を有する制御メッセージ、またはデータの電子処理のための他の好適なハードウェアもしくはソフトウェアコンポーネントなどのデータを使用し、搬送し、または記憶するための好適な構造を指すことができる。
【0044】
概して、ソフトウェアシステムは、所定のデータフィールドに応答して所定の機能を実行するようにプロセッサ上で動作するシステムである。例えば、システムは、システムが実行する機能と、システムが機能を実行するデータフィールドと、によって定義することができる。本明細書において用いられる場合、NAMEシステム(NAMEは、通常は、システムによって実行される汎用機能の名称である)は、プロセッサ上で動作し、開示されるデータフィールドに対して開示された機能を実行するように構成されるソフトウェアシステムを指す。具体的なアルゴリズムが開示されない限り、関連するデータフィールドを用いて機能を実行する当業者には既知である任意の好適なアルゴリズムは、本開示の範囲内にあるものとして企図される。例えば、送信元アドレスフィールド、受信先アドレスフィールドおよびメッセージフィールドを含むメッセージを生成するメッセージシステムは、バッファデバイスまたはバッファシステムなどの、プロセッサの好適なシステムまたはデバイスから、送信元アドレスフィールド、受信先アドレスフィールドおよびメッセージフィールドを取得することができ、送信元アドレスフィールド、受信先アドレスフィールドおよびメッセージフィールドを、(電子メールメッセージ、TCP/IPメッセージ、または送信元アドレスフィールド、受信先アドレスフィールドおよびメッセージフィールドを有する他の任意の好適なメッセージフォーマットなどの)好適な電子メッセージフォーマットにアセンブルすることができ、ネットワークなどの通信媒体を介して、プロセッサの電子メッセージングシステムおよびデバイスを用いて電子メッセージを送信することができる、プロセッサ上で動作するソフトウェアを含む。当業者であれば、本開示の例示的な実施形態を示すように意図されているが、好適なプログラミング言語でのプログラミングまたはプロセッサに精通していない人などの当業者以外の人に指導を提供するようには意図されていない、上述した開示に基づいて、特定のアプリケーションに対して特定のコーディングを提供することができるであろう。或る機能を実行する具体的なアルゴリズムは、フローチャート形式でまたは他の好適なフォーマットで提供することができ、データフィールドおよび関連する機能は、例示的な動作順序で示すことができ、順序は、好適であるように再配置することができ、限定するように明示的に言及されない限り限定するものとして意図されない。
【0045】
本開示の実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示した。この説明は、網羅的であることも、開示した正確な形態に本開示を制限することも意図されておらず、上記教示に鑑みて変更形態および変形形態が可能であり、または本開示の実践から得ることができる。当業者が、本開示を様々な実施形態において、想定される特定の使用に適合された様々な変更形態とともに利用することが可能になるように、本開示の原理およびその実際の応用を説明するために実施形態を選択および説明した。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態の設計、動作状況および配置構成において、他の置換え、修正、変更および省略を行うことができる。例示の実施形態および他の実施形態のこのような変更形態および組合せは、上記説明を参照すれば当業者にとって明白である。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような任意の変更形態または実施形態を包含することが意図される。
上述の実施形態は下記のように記載され得るが、下記に限定されるものではない。
[構成1]
流体の流量を制御するマスフローコントローラであって、
前記流体を受け取る流入口と、
バルブの動作を制御することによって前記マスフローコントローラの流出口から出る前記流体の前記流量を調節する、前記バルブに結合されたバルブアクチュエータと、
流路を通る前記流体の流量に関する流体タイプ、圧力、および温度値信号のうちの少なくとも1つを測定する少なくとも1つのセンサと、
所望の流体流速および前記信号値のうちの前記少なくとも1つを使用して前記バルブアクチュエータの線形応答を制御するために該マスフローコントローラのゲイン値を決定する、前記バルブアクチュエータに結合された線形化制御システムと、を備え、
前記線形化制御システムは、フィルタリングされた設定点値、少なくとも1つのリアルタイム流体パラメータ値、バルブモデルデータ、アクチュエータゲイン、およびバルブモデルゲインから、前記ゲイン値を決定する、マスフローコントローラ。
[構成2]
前記線形化制御システムは、
前記少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って前記バルブの要求される動作特性を決定するバルブモデル化システムと、をさらに備える、構成1に記載のマスフローコントローラ。
[構成3]
前記バルブモデル化システムは、前記所望の流体流速を得るために、前記バルブのリフトを制御するドライブ値を決定するようにさらに構成され、
前記ドライブ値は、流体流速の変化に対するバルブリフト間の関係によって決定される、構成2に記載のマスフローコントローラ。
[構成4]
前記線形化制御システムは、
前記マスフローコントローラのメモリデバイスに記憶された前記バルブのドライブ値をスイープし、
前記圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定し、
前記決定された流量値をリフト値に変換し、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定する、ように構成される、構成1に記載のマスフローコントローラ。
[構成5]
前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶するメモリモジュールをさらに備える、構成4に記載のマスフローコントローラ。
[構成6]
前記線形化制御システムは、
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定し、
f’(g(x))=A*lift
x
3
+B*lift
x
2
+C*lift
x
+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定し、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定する、ように構成され、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、構成4に記載のマスフローコントローラ。
[構成7]
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、
Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、アクチュエータゲインであり、g’(x)は、前記バルブモデルゲインである、構成1に記載のマスフローコントローラ。
[構成8]
マスフローコントローラを通る流体の流量を制御する方法であって、
流入口を通る前記流体を受け取ることと、
バルブアクチュエータを使用してバルブの動作を制御することによって前記マスフローコントローラの流出口から出る前記流体の前記流量を調節することと、
所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサから、流路を通る前記流体の流量に関する圧力、温度値、流速、および流体タイプ信号のうちの少なくとも1つと、を受信することと、
前記信号値のうちの前記少なくとも1つを使用して前記バルブの線形応答を制御することによって、前記マスフローコントローラのゲインを制御することと、を有し、
前記線形応答は、アクチュエータドライブ値の変化および前記流体の流量の変化dDrive/dFlowを決定することによって制御される、方法。
[構成9]
前記少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定することと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って前記バルブの要求される動作特性を決定することと、をさらに有する、構成8に記載の方法。
[構成10]
前記所望の流体流速を得るために、前記バルブのリフトを制御するドライブ値を決定することをさらに有し、
前記ドライブ値は、流体流速の変化に対するバルブリフト間の関係によって決定される、構成9に記載の方法。
[構成11]
前記マスフローコントローラのメモリユニットに記憶された前記バルブのドライブ値をスイープすることと、
前記圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定することと、
前記決定された流量値をリフト値に変換することと、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定することと、をさらに有する、構成8に記載の方法。
[構成12]
メモリモジュールに前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶することをさらに有する、構成11に記載の方法。
[構成13]
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定することと、
f’(g(x))=A*lift
x
3
+B*lift
x
2
+C*lift
x
+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定することと、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してコントローラゲインを決定することと、をさらに有し、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、構成11に記載の方法。
[構成14]
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、
Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、アクチュエータゲインであり、g’(x)は、バルブモデルゲインである、構成13に記載のマスフローコントローラ。
[構成15]
マスフローコントローラにおいて使用するためのプロセス制御システムであって、
バルブアクチュエータおよびメモリデバイスと通信可能に結合され、所望の流体流速と、少なくとも1つのセンサからの、流路を通る前記流体の流量に関する圧力、温度値、流速、および流体タイプのうちの少なくとも1つと、を使用してバルブの線形応答を制御することによって、前記マスフローコントローラのゲインを制御する線形化モジュールを備え、
前記線形化モジュールは、
前記少なくとも1つの値信号に従って流体特性を決定する流量モデル化システムと、
バルブ仕様および前記決定された流体特性に従って前記バルブの要求される動作特性を決定するバルブモデル化システムと、をさらに備える、プロセス制御システム。
[構成16]
前記線形応答は、アクチュエータドライブ値の変化および前記流体の流量の変化dDrive/dFlowを決定することによって制御される、構成15に記載のプロセス制御システム。
[構成17]
前記バルブモデル化システムは、
前記マスフローコントローラのメモリユニットに記憶された前記バルブのドライブ値をスイープし、
前記圧力および温度値信号に基づいて対応する流量値を決定し、
前記決定された流量値をリフト値に変換し、
流量の所与の変化に対するドライブ値とリフト値との間の関係を決定する、ようにさらに構成される、構成15に記載のプロセス制御システム。
[構成18]
前記メモリデバイスは、前記バルブの複数のドライブ値およびリフト値を記憶する、構成17に記載のプロセス制御システム。
[構成19]
前記線形化モジュールは、
g’(x)=(Y2-Y1)/(X2-X1)を使用して流速に対するリフト対流量関係の導関数を決定し、
f’(g(x))=A*lift
x
3
+B*lift
x
2
+C*lift
x
+Dを使用してリフトの関数としてアクチュエータゲインを決定し、
dY/dx=f’(g(x))g’(x)を使用してゲインを決定する、ようにさらに構成され、
X1およびX2は、流速値であり、Y1およびY2は、対応するリフト値である、構成17に記載のプロセス制御システム。
[構成20]
前記ゲイン値は、dY/dx=f’(g(x))g’(x)によって定義され、Yは、コントローラドライブであり、f’(g(x))は、アクチュエータゲインであり、g’(x)は、バルブモデルゲインである、構成19に記載のプロセス制御システム。