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特許7455128遠心式クリーナーのリジェクト・チャンバ、及び遠心式クリーナー
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  • 特許-遠心式クリーナーのリジェクト・チャンバ、及び遠心式クリーナー 図1
  • 特許-遠心式クリーナーのリジェクト・チャンバ、及び遠心式クリーナー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】遠心式クリーナーのリジェクト・チャンバ、及び遠心式クリーナー
(51)【国際特許分類】
   B04C 5/18 20060101AFI20240315BHJP
   B04C 5/23 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B04C5/18
B04C5/23
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021537064
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 FI2020050051
(87)【国際公開番号】W WO2020157383
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】62/799,144
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20195354
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニッケネン、アンティ
(72)【発明者】
【氏名】パルッティ、ミロ
(72)【発明者】
【氏名】ハフ、ジェイソン
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0129457(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103201042(CN,A)
【文献】特開2010-201280(JP,A)
【文献】特表2005-527360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04C 1/00-11/00
B01D 45/00-45/18
B65G 53/00-53/28;53/32-53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心式クリーナーのリジェクト・チャンバ(1)であって、前記リジェクト・チャンバ(1)は、前記遠心式クリーナーのコーン(2)が上を向いているときに前記遠心式クリーナーの前記コーン(2)の下に取り付けられるように構成され、また前記リジェクト・チャンバ(1)は、前記リジェクト・チャンバ(1)の底部にリジェクト出口(7)を有しており、
前記リジェクト・チャンバ(1)は、前記リジェクト・チャンバ(1)の中心に希釈装置(3)を有し、前記希釈装置(3)は、前記リジェクト・チャンバ(1)に希釈流体を送出するための少なくとも1つの希釈ノズル(4)を有していること及び
前記少なくとも1つの希釈ノズル(4)は、前記希釈装置(3)の周りの環状空間(5)を横断する希釈流体の交差外向き流れを達成するために外側に向けられ、それにより前記遠心式クリーナーの前記コーン(2)から前記リジェクト・チャンバ(1)まで下方に流れる流体の旋回運動の速度を低下させることを特徴とする、リジェクト・チャンバ(1)。
【請求項2】
前記希釈装置(3)はクリーナー・ノズル(6)を有し、前記クリーナー・ノズル(6)は、リジェクトされる粒子がないように前記リジェクト出口(7)を維持するために前記リジェクト出口(7)に向けられていることを特徴とする、請求項1に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項3】
1つの希釈ノズル(4)が、前記希釈装置(3)の、前記クリーナー・ノズル(6)とは反対の側にあることを特徴とする、請求項2に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項4】
前記希釈ノズル(4)は対称に位置合わせされ、その対称面は前記リジェクト出口(7)の中心及び前記希釈装置(3)の中心軸によって画定されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項5】
前記希釈ノズル(4)の水平方向における配置が、前記希釈装置(3)の内部半径の方向から45度未満だけ異なっていることを特徴とする、請求項1から4までいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの希釈ノズル(4)は、水平面から60度未満上方に向けられていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの希釈ノズル(4)は、水平面から45度未満上方に向けられていることを特徴とする、請求項6に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの希釈ノズル(4)及び前記クリーナー・ノズル(6)は、前記リジェクト出口(7)と同じ中心軸を有することを特徴とする、請求項2又は3、或いは請求項2又は3を引用する請求項4から7までのいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項9】
前記希釈装置(3)は、前記リジェクト・チャンバ(1)の内壁に対して非対称に配置されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの希釈ノズル(4)は、前記遠心式クリーナーの前記コーン(2)の底部端部(9)の下に向けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載のリジェクト・チャンバ(1)を有する遠心式クリーナー。
【請求項11】
前記希釈装置(3)は、前記遠心式クリーナーの前記コーン(2)の前記底部端部(9)より高くまで延在していないことを特徴とする、請求項10に記載の遠心式クリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式クリーナー、及びそのリジェクト・チャンバに関し、リジェクト・チャンバは、少なくとも1つの希釈ノズルを有する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロサイクロンのような遠心式クリーナーは、多くの異なる方法により底部エリアで希釈が行われるものとして知られている。CA885026が、クリーナーのリジェクト・チャンバまでの希釈流れを開示している。米国特許第4696737号が、サイクロンのコーンの下で接線方向に並流的に加えられる追加の低固体の流れを有するハイドロサイクロンを開示している。最も軽い粒子が、主サイクロンまで、そしてアクセプト出口まで逆流する。米国特許第4151083号が、重い不純物の分離効率を向上させるためにリジェクト・チャンバ内の渦流を最小にする向流希釈流れを開示している。米国特許第2927693号が、分離を強化するための、接線方向の並流的な希釈液の送出及び接線方向のリジェクト出口を開示している。EP1509331が、中央希釈装置をコーン内部まで延在させる中央希釈ノズルを開示している。米国特許第2953248号が、遠心式クリーナーのリジェクト出口を洗浄するための一時的な希釈のための構成を開示している。希釈流れは、妨害粒子(bloacking particles)をリジェクト出口から周期的に吹き飛ばす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】CA885026
【文献】米国特許第4696737号
【文献】米国特許第4151083号
【文献】米国特許第2927693号
【文献】EP1509331
【文献】米国特許第2953248号
【発明の概要】
【0004】
遠心式クリーナーは、通常、3つの主要なパート:頂部側の供給パート、コーン、及びリジェクト・チャンバを有する。クリーナーはしばしば、多数のクリーナーを有する密な層として構成される。クリーナーはしばしば、1つおきのクリーナーで異なる方向の渦流を有して空間を節約して導管の構成をより単純なものとするように構成される。したがってクリーナー・ユニットの頂部側パートのために2つの異なるボディが存在する必要がある。向流である希釈流れによりリジェクト・チャンバ内で渦流が止めなければならない場合も、2つの異なるセットのリジェクト・チャンバが必要となる。これらのパートは摩耗することから、一定の間隔で交換される。交換可能ではないが2つの同様のパートを有することにより、限られた維持・修理スケジュールにおいて混乱及びエラーが発生することになる。クリーナーのコーンまで延在する希釈ノズルがコーンの底部を部分的に塞ぐことになる。これにより、リジェクト・チャンバからアクセプト出口までの最も軽い粒子の逆流も妨げられることになる。クリーナーは、品質ロス及び容量問題を引き起こす妨害なしで一定に動作しなければならない。
【0005】
リジェクト・チャンバ内の渦流の速度を下げるための新しい手法が開発された。クリーナーのコーン部からリジェクト・チャンバまでの渦流を横断するように、少なくとも1つの鋭い(sharp)希釈液流れが中央希釈装置(central dilution arrangement)から外側に方向付けられる。希釈流れは、渦流内の障害物又は棒状体(stick)のように働き、渦流の速度を下げる。本発明によるリジェクト・チャンバ及び希釈装置が請求項1によって詳細に定義され、本発明のリジェクト・チャンバ及び希釈装置を有する遠心式クリーナーが請求項10で定義される。
【0006】
リジェクト・チャンバが、希釈流体をリジェクト・チャンバに送出するための少なくとも1つの希釈ノズルを有する中央希釈装置(又は中央希釈構成)を有し、またリジェクト・チャンバは、リジェクト・チャンバの底部にリジェクト出口を有する。少なくとも1つの希釈ノズルが遠心式クリーナーのコーンの下方の環状空間を横断するように希釈液流れを噴射すると、遠心式クリーナーのコーンからリジェクト・チャンバまでの流体の旋回(circulating)運動の速度が低下する。希釈水の流れがリジェクト・チャンバの外周まで到達することになり、渦流の速度が低下することで、最も軽い粒子がリジェクト・チャンバの中央上部まで移動してアクセプト出口に到達することができる。渦流の速度が低下することでリジェクト・チャンバの摩耗も低減される。硬い妨害物では、リジェクト粒子がそれらを摩耗させることにより、及びリジェクト粒子によって希釈液の供給が行われ得ないことにより、速度を低下させることができない。パルプ繊維を分離する場合、懸濁液がフィラー材料の粒子を含む可能性がある。本発明により、軽量のフィラー粒子が処理済みの懸濁液から良好に回収され得る。リジェクト・チャンバ内で渦流の速度が下げられ、コーン内の渦流が影響を受けないので、最も小さいリジェクト粒子は、アクセプト流れ(accept flow)から分離するのにより多くの時間を有する。
【0007】
希釈装置がリジェクト出口の方を向く洗浄ノズルをさらに有する場合、希釈流体の流れが、リジェクト粒子のない状態にリジェクト出口を維持する。したがって、この同じ中央希釈装置が洗浄タスクも実施することができ、必要となる希釈入口が1つのみとなる。単一の希釈ノズルが洗浄ノズル及び/又はリジェクト出口の反対の希釈装置の側にある場合、希釈装置が両方の渦流方向を管理することができる。複数の希釈ノズルが存在する場合、希釈ノズルは好適には対称に位置合わせされ、この対称面はリジェクト出口の中心及び希釈装置の中心軸によって画定される。リジェクト出口がリジェクト・チャンバに非対称に配置される場合、希釈ノズル及び/又はクリーナー・ノズルも、プロセスを最適化するために非対称に位置合わせ、及び/又は配置されてもよい。
【0008】
希釈装置が遠心式クリーナーのコーンの底部端部より高いところまで延在しない場合、希釈装置は、最も軽い粒子がアクセプト出口まで上方に流れるのを妨害しない。この希釈効果の低い配置構成(low dilution arrangement)はまた、リジェクトされた粒子がリジェクト・チャンバの入口のところで妨害されるのを回避するのを補助する。
【0009】
希釈ノズルはその水平方向軸が径方向外側を向く場合に最も容易に製造され得る。また、特には対称な希釈装置では、渦流の方向の逆を向くように希釈ノズルを水平方向において非対称に位置合わせすることにより、速度低下の効果をわずかに増大させることができる。このアライメント(配置)は、希釈装置の内部半径の方向と45度未満異なっているべきである。
【0010】
希釈ノズルからの希釈流体の流れは、クリーナーのコーンの下の流れを標的としなければならないが、希釈流体の流れの長さは、渦流の最も強いところである流れの最も外側の端部においてもなお効果的となるように短いものであるべきである。希釈ノズルが水平方向において0度で位置合わせされると、通常、リジェクト・チャンバの壁までの距離が最も短くなる。希釈ノズルがコーンの底部端部の下にくることを理由として、コーンの端部に近いところでも適切な効果を得るためには希釈ノズルを上方に向ける必要がある可能性がある。垂直方向におけるアライメント角度は水平面から上方に60度未満であるべきである。最も好適には、希釈流体の上方の流れを回避するために、垂直方向におけるアライメント角度が上方に45度未満であるべきである。実際に最適な角度は対向する壁の輪郭に依存する。流れが、対向する壁に当たる場合、流れの大部分の向きを下向きにすべきである。
【0011】
希釈ノズル及び洗浄ノズルがリジェクト出口と同じ中心軸を有する場合、ノズルの製造において製造プロセスの選択肢が最も広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】遠心式クリーナーの底部エリアを示す垂直方向切断図である。
図2】希釈装置を示す水平方向切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
遠心式クリーナーは垂直姿勢以外でも組み立てられ得るが、本開示では言及する配向は添付図面を参照したものである。
【0014】
図1は、遠心式クリーナーの底部エリアの切断図を示す。リジェクト・チャンバ1が遠心式クリーナーのコーン2の下に取り付けられる。リジェクト・チャンバ1の底部に、中央希釈装置3及びリジェクト出口7が存在する。希釈入口8が希釈流体を希釈装置3の中まで導入する。希釈装置3の希釈ノズル4が、好適には上向きに角度αで位置合わせされており、希釈装置3の周りの環状空間5を横断するような希釈流体の鋭い(sharp)外向き流れを達成する。希釈ノズルは、希釈装置3の最も上側の部分に存在すべきである。コーン2の底部端部9は、コーン品の外側テーパ端部の最も低い位置ではなく、円錐サイクロン部の端部にあり、それにより、希釈流れを下向き且つ外向きに転換する。希釈装置3はリジェクト・チャンバ1の一体部分であってよく、又はリジェクト・チャンバ1に取り付けられる挿入物であってよい。希釈装置3はリジェクト・チャンバ1の対称中心に正確に位置合わせされていなくてもよい。リジェクト・チャンバ1の内壁に対してわずかに非対称位置にあることは、許容可能な(acceptable)粒子のリジェクト出口7への流入を最小化することにより、分離特性をさらに最適化し得る。
【0015】
好適には、希釈装置3は洗浄ノズル6をさらに有する。洗浄ノズル6は、リジェクト出口7の方への鋭い流れ(又は強い流れ)を生じるように位置合わせされる。それにより、リジェクトされた粒子がリジェクト出口7上に障害を形成しなくなる。この位置合わせは、好適には、リジェクト出口7の中心を狙いとするが、洗浄機能を最適化するために中心のわずかに上方又は下方に、或いは中心からわずかにずれたところに位置合わせされてもよい。洗浄流れが直接にリジェクト出口7の中に入るので、洗浄流れの希釈効果は低減される。例えば穿孔又は成形ベースの製造方法をより容易にするために、希釈ノズル4及び洗浄ノズル6はリジェクト出口7と等しい中心軸を有する。希釈ノズル4及び洗浄ノズル6の直径は等しい大きさである必要はなく、流出特性を最適化するために、それらの内部形状がわずかにテーパ状であってよく、又は他の実質的に管状形状であってもよい。洗浄ノズル6は、希釈ノズルより低い位置にあるべきである。
【0016】
図2は、異なる指向角βを有するように水平方向に位置合わせされた3つの希釈ノズル4の実施例を示す。指向角βは、それらノズルの水平方向における中心軸と、希釈装置3の半径Rとの間に形成される。この実施例では、希釈ノズル4は対称に配置される。対称面は、リジェクト出口7の中心及び希釈装置3の中心軸によって画定される。ノズルの指向角βは、図2に示される方向とは異なる方向を向いていてもよく、例えば特定の渦流の方向に逆らうような、また他の垂直方向位置合わせされるような向きであってもよい。
図1
図2