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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】食品処理装置及び食品処理方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20240315BHJP
   A22C 25/04 20060101ALI20240315BHJP
   A22C 25/08 20060101ALI20240315BHJP
   A23N 3/04 20060101ALI20240315BHJP
   B65G 47/48 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22C25/04
A22C25/08
A23N3/04
B65G47/48
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021544379
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052976
(87)【国際公開番号】W WO2020161231
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】19155711.5
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521162931
【氏名又は名称】マレル・サーモン・アクティエセルスカブ
【氏名又は名称原語表記】Marel Salmon A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ケア,アナス
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0054674(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02477275(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0144880(US,A1)
【文献】国際公開第2016/023557(WO,A1)
【文献】国際公開第03/077662(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02353395(EP,A1)
【文献】特表2019-501021(JP,A)
【文献】特開2002-281891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00-17/16
A22C 21/00-21/06
A22C 25/04
A22C 25/08
A23N 3/00- 3/06
B07C 5/342
B65G 47/48-47/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(4,5,34)と出口(6,35)との間において、受入食品を搬送方向に搬送するコンベヤシステム(2,3,31,32)と、
前記コンベヤシステムに沿って配置され、前記受入食品の画像データを取得して前記画像データを送信する画像システム(9)と、
前記受入食品の画像を表す画像データを受信するように構成され、前記画像データに基づいて、前記受入食品のそれぞれについて更なる処理を必要とするか否かを示す処理指標を決定するために、前記画像データを処理するように構成される処理器(8)と、
前記コンベヤシステムに沿って配置される複数の加工部(7,33)と、
前記処理指標に基づいて、更なる処理のために選択される食品を、更なる処理のために選択されない食品と区別して識別するように構成された識別構造と、
を備える食品処理装置であって、
前記コンベヤシステムは、少なくとも2つの食品の列を備え、
該少なくとも2つの食品の列のうち、前記加工部の位置から最も離れた食品の列は、処理されるべきでない食品のための列であり、前記加工部に最も近い少なくとも1つの食品の列は、処理されるべき食品のための列であり、
前記食品処理装置は、更なる処理のために選択された前記食品を、更なる処理を行わないために選択された他の前記食品と区別するように構成された1つ以上の物体分流器(10,36)をさらに備え、
前記1つ以上の物体分流器(10)は、更なる処理のために選択された前記食品が前記加工部に沿って延びるコンベヤライン上の任意の場所に位置し、更なる処理のために選択されない前記食品が前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上の前記任意の場所とは別の場所に位置するように、前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上で前記食品を移動させるように構成されている、食品処理装置。
【請求項2】
廃棄が選択された食品を識別するための識別構造を更に備える、請求項1に記載の食品処理装置。
【請求項3】
前記加工部(7,33)は、前記画像システム(9)に対して搬送方向の下流側に配置されている、請求項1又は2に記載の食品処理装置。
【請求項4】
閾値又は設定をシステムに入力するためのタッチスクリーン、及び/又は、データ入力装置を更に備え、前記閾値又は設定は、前記受入食品のそれぞれについて前記処理指標を決定するために前記処理器によって使用される識別子に関する、請求項1~3のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項5】
前記識別子は、形状、長さ、重さ、色、欠陥、骨、膜、軟骨、脂肪、色の変化、血斑、メラニン色素の斑点、隙間のある構造、トリミングの欠陥、パターン、生物自身に由来する不要物、又は異物のグループから選択された特性に関して選択される、請求項4に記載の食品処理装置。
【請求項6】
前記コンベヤシステム(2,3,31,32)は、更なる処理のために選択された食品を前記加工部に割り当てられるように、前記加工部に沿って延びる1つ以上のコンベヤライン(2,3,31,32)を備える、請求項1~5のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項7】
1つ以上の前記物体分流器は、廃棄される食品を、更なる処理のために選択された前記食品と、更なる処理を行わないために選択された前記食品とから更に区別する、請求項1~6のいずれか1項に記載の食品処理装置。
【請求項8】
前記コンベヤシステムは、2つ以上のコンベヤベルトが、第1コンベヤベルトの送り出し端部を第2コンベヤベルトの送り込み端部の前に配置され、食品が前記第1コンベヤベルトから前記第2コンベヤベルトに搬送される、請求項1~7のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項9】
1つ以上の前記物体分流器は、前記第1コンベヤベルトの送り出し端部、及び/又は、前記第2コンベヤベルトの送り込み端部の少なくとも一方を他方から遠ざけるように、少なくとも一方の端部を他方の端部に対して上向き、下向き、又は平行に移動させ、前記第1コンベヤベルトの送り出し端部と前記第2コンベヤベルトの送り込み端部との間に開口部が形成されるように構成されるシステムを備える、請求項に記載の食品処理装置。
【請求項10】
更なる処理のために選択された前記食品に対して、処理ガイドを生成するように構成された誘導制御部を備える、請求項1~のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項11】
前記誘導制御部は、前記画像システムとデータ通信し、前記取得された画像データに基づいて前記処理ガイドを生成するように構成されている、請求項10に記載の食品処理装置。
【請求項12】
前記加工部は、前記誘導制御部とデータ通信し、前記誘導制御部から前記処理ガイドを受信するように構成されている、請求項10又は11に記載の食品処理装置。
【請求項13】
前記加工部は、前記食品の手動の処理のために構成され、且つ、前記処理ガイドを視覚化するように構成された電子ディスプレイを備える、請求項10~12のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項14】
前記処理ガイドは、前記食品のトリミングを定義する切断パターンを備える、請求項10~13のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項15】
前記誘導制御部は、前記画像データに基づいて、前記食品の表面の品質が容認された食品領域のパターン、及び、品質が拒否された食品領域のパターンを生成するように構成されている、請求項10~14のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【請求項16】
入口と出口との間において、受入食品を搬送方向に搬送するコンベヤシステムと、
前記コンベヤシステムに沿って配置され、前記受入食品の画像データを取得し、前記画像データを送信する画像システム(9)と、
前記受入食品の画像を表す画像データを受信するように構成され、前記画像データに基づいて、前記受入食品のそれぞれについて更なる処理を必要とするか否かを示す処理指標を決定するために、前記画像データを処理するように構成される処理器と
前記コンベヤシステムに沿って配置された複数の加工部と、を備える装置であって、
前記コンベヤシステムは、少なくとも2つの食品の列を備え、
該少なくとも2つの食品の列のうち、前記加工部の位置から最も離れた食品の列は、処理されるべきでない食品のための列であり、前記加工部に最も近い少なくとも1つの食品の列は、処理されるべき食品のための列であり、
前記装置は、更なる処理のために選択された前記食品を、更なる処理を行わないために選択された他の前記食品と区別するように構成された1つ以上の物体分流器(10,36)をさらに備え、
前記1つ以上の物体分流器(10)は、更なる処理のために選択された前記食品が前記加工部に沿って延びるコンベヤライン上の任意の場所に位置し、更なる処理のために選択されない前記食品が前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上の前記任意の場所とは別の場所に位置するように、前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上で前記食品を移動させるように構成されている、装置において、
処理を必要とする食品を選択するために前記処理指標を使用する工程、及び、選択された食品と前記コンベヤシステム上の他の食品とを識別する工程を含む、
食品処理方法。
【請求項17】
前記選択された食品を識別する工程は、前記受入食品を、選択されない食品として割り当てる工程を含む、請求項16に記載の食品処理方法。
【請求項18】
前記選択された食品を処理する工程を含む、請求項16又は17に記載の食品処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受入食品を入口と出口との間で搬送方向に搬送するコンベヤシステムを備える食品処理装置に関する。例えば、コンベヤに沿って配置された画像システムは、受入食品の画像データを取得する。当該画像システムとデータ通信する処理器(processor)は、当該取得された画像データを処理し、受入食品のそれぞれについて処理指標を決定するように構成される。例えば、画像システムに対して搬送方向の下流側には、コンベヤに沿って複数の加工部が配置される。食品の識別子を測定又は識別することによって、食品は、測定又は識別された識別子に基づいて更に処理され、食品の品質が向上する。
【背景技術】
【0002】
最近の食品処理システムにおいて、食品に関する種々の情報は、食品が処理されている間に識別されて記録される。例えば、産地、重量、大きさ、及びその他の特徴が記録され得る。最終製品の品質を向上させようとするとき、カメラシステムは、例えば、食品の色、形状、又は大きさに関する特徴を識別するために使用される。そのようなシステムは、通常、例えば、ラベリングのため、又は、食品の一部の具体的な大きさを定義するために、食品に指標を付けるのに使用される。
【0003】
本発明の実施形態の目的は、食品処理において改善された物流を提供することにあり、特に、処理速度を向上させ、手動の作業量を減少させ、処理の効率を向上させることにある。また、本発明の実施形態の目的は、食品の品質を向上させるための、及び、顧客の要求などの事前に決定された品質を満たす食品の一括処理のための、システム及び方法を提供することにある。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本発明の実施形態は、処理指標が、食品が更なる処理を必要とするか否かを示す食品処理装置を提供する。当該食品処理装置は、当該処理指標に基づいて更なる処理のために選択された食品を、選択されない食品と区別して識別するように構成された識別構造を備える。
【0005】
それに応じて、本発明は、処理の必要性に基づいて食品を分配することを容易にする。その結果、食品の一部のみ、すなわち、特定の処理の必要性を有する食品は、例えば、自動の又は手動の作業によって再処理されるために加工部に送られる。これにより、更なる処理が必要な食品のみが処理され、残りの食品が加工部を迂回することができるため、著しく高い処理能力を提供することが期待される。このことは、全般的に全ての食品に関する作業量を増加させることなく、顧客の要求に基づいて所望の品質のレベルを設定する機会を提供する。
【0006】
コンベヤシステムは、1つ又は複数の独立したコンベヤを備えてもよい。当該コンベヤは、コンベヤベルトなどのベルト、又は、食品用としてよく知られた類似の搬送構造体で構成されてもよい。
【0007】
本明細書における食品は、生物を維持するために消費されるあらゆる種類の物質であってもよく、例えば、野菜、肉、又は魚などの植物又は動物由来の食品を含み、家禽の肉、牛肉、又は任意の類似の種類などの食品を含む。魚は、サケ、マス、ティラピア、タラ、ハドック、ブリ、又はバラマンディなどの、任意の魚であってもよい。食品は、魚のフィレであってもよい。好ましくは、サケ及びマスのフィレである。好ましくは、そのようなフィレは、新鮮であり、すなわち、冷凍されていない。
【0008】
搬送方向は、入口及び出口によって定義される。入口及び出口は、単純に、コンベヤシステムのコンベヤの開始部及び終了部であってもよい。
【0009】
画像システムは、食品産業における処理検査で知られているあらゆる種類のものであってもよく、例えば、熱赤外イメージングシステム、通常の可視スペクトルカメラ、X線スペクトル用のX線カメラ、又は低エネルギX線用のX線カメラを含む。好ましい実施形態において、画像システムは、映像及び低エネルギX線を備える。別のより好ましい実施形態において、画像システムは、映像のみを有し、X線を有していない。映像システムは、2D映像及び/又は3D映像であってもよい。それらのようなカメラは、先行技術においてよく知られている。画像システムは、食品処理装置の一部であってもよい。その場合、画像システムは、コンベヤシステムに沿って配置され、コンベヤシステムによって搬送される食品の画像データを取り込むように構成される。画像システムで映像を使用する場合、画像データは、食品の表面及び輪郭を示し、すなわち、当該表面及び当該表面に位置するものを検出することができる。画像システムに低エネルギX線を含めることによって、少量のカリウムを有する魚の骨も検知することができる。
【0010】
画像データは、画像データを処理して処理指標を決定するように構成される処理器に伝達される。
【0011】
受入食品毎に決定される処理指標は、更なる処理の必要性を示す指標である。比較的単純な実装の1つにおいて、処理指標は、「はい」又は「いいえ」を、すなわち、「更に処理されるべき」又は「更に処理されるべきではない」ことを示す2進整数である。より高度な実装において、処理指標は、例えば、数が大きいほど処理の必要性が高いことを示す1から10までの整数であってもよい。その上、処理指標は、廃棄のために選択された食品を識別するための識別構造を更に備えてもよい。食品の廃棄は、更なる処理において容認できる品質を得ることができない場合に関連し、これは、後述する識別子のいくつかのレベルを合計することによって、一定の定められた水準を超えていることで示されてもよい。
【0012】
処理指標は、食品における様々な定義済みの識別子に基づいて定義され得る。以下に、処理指標の定義のためにいくつか又は全てが使用され得る識別子のリストを示す。
a)長さ、重さなどの食品の大きさ。
b)食品の色。
c)食品の色の変化。
d)食品の形状。
e)全体的及び/又は局所的な、最小の脂肪含有量。
f)全体的及び/又は局所的な、最大の脂肪含有量。
g)食品の内部及び/又は食品の表面の識別可能なパターン。
h)食品に付着した膜又は脂肪、骨の一部、腱、軟骨、魚肉に付着した褐色の肉、又は、魚のひれなど、生物自体に由来する不要なもの。
i)血斑、メラニン色素の斑点、隙間のある構造などの、食品の内部及び/又は食品の表面の、有機的な欠陥。
j)石、金属部品、プラスチック部品などの異物。
【0013】
上記の識別子a)-j)は、下限及び/又は上限、最小値、又は有無などで定義されてもよい。単純な実施例において、食品は、下限及び/又は上限から外れている場合、更なる処理のために選択される。より高度な実装において、例えば、所望のサイズ、色、色の変化、又は形状と、実際のサイズ、色、色の変化、又は形状との間の差が大きくなる場合、処理指標の数値は、増加し得る。
【0014】
上記の識別子g)は、針、骨片、又は同様の望ましくない物体などの、食品における特定の項目を検出した確率を表す統計値に基づいて定義されてもよい。単純な実施例において、統計値が事前に決定された範囲外にある場合、食品は、更なる処理のために選択される。より高度な実装において、統計値が増加又は減少した場合、処理指標の数値は、増加し得る。
【0015】
いくつかの識別子は、異なるレベルで検出可能である。血斑及びメラニン色素の斑点などは、例えば、5×5mm以上まで検出可能であり、魚の皮目における皮膚の斑点は、例えば、10×10mm以上まで検出可能である。
【0016】
色を判定する場合、色は、カラーチャートに従って判定されてもよい。サケの魚肉の色の判定において、カラーチャートは、サケの魚肉の15色を示すサーモファン(SalmoFan)(登録商標)色見本であってもよい。サーモファンは、画像システムによって得られた画像を分析する際に、処理器によって使用されてもよい。
【0017】
食品の処理指標を決定するとき、例えば、本明細書において上述した、食品の種々の領域の組み合わせのような識別子を分析することで、食品の処理指標の決定が実行されてもよい。サケの場合、そのような領域は、図7に示されるようなものであってもよい。このように、各領域において、いくつかの識別子に対応する副指標が決定されてもよく、食品の無処理、更なる処理、又は廃棄に関する食品全体の指標を得るために、当該副指標が使用されてもよい。
【0018】
食品処理装置は、システムに設定を入力するためのタッチスクリーン、及び/又は、データ入力装置を更に備えてもよく、その設定は、受入食品のそれぞれについて処理指標を決定するために処理器によって使用される識別子に関する。設定の異なる組み合わせは、食品処理装置に保存されてもよいし、設定の組み合わせを再度使用する必要があるときに、迅速且つ容易に呼び出されてもよい。
【0019】
食品処理装置で使用できる識別子は、画像システムに依存する。ある識別子は、2D映像カメラでスキャン/測定/識別され、他の識別子は、3D映像カメラ又はX線カメラ、又は、それらの組み合わせを必要とする。2D映像は、色、血斑及びメラニンの斑点、トリミングの欠陥(例えば、腹膜、腹びれ、又は背中の欠陥)、皮膚の斑点、及び、褐色の肉などのスキャンに使用できる。
【0020】
本明細書に記載されているように、個々の食品の画像分析を行うことによって、画像装置に沿って搬送される食品の品質管理を行うことができる。種々の一群の魚など、種々の一群の食品に対して異なるレベルの識別子が選択されてもよく、少なくとも顧客によって要求され得る特定の品質を有する食品を製造することが可能である。異なる顧客は、食品に対して異なる品質要求を有してもよく、また、ある顧客は、種々の注文に対して異なる品質要求を有してもよい。本明細書に記載の方法及びシステムは、より多くの、要求された品質を満たす食品を獲得する。
【0021】
1個から10個まで、例えば、2、4、6、8個である複数の加工部は、コンベヤシステムに沿って配置されてもよい。画像システムが、食品処理装置の一部であり且つコンベヤシステムに沿って配置される場合、加工部は、画像システムに対して搬送方向における下流側に配置されてもよい。従って、加工部は、画像データが取得された後に食品を受け入れることができる。加工部は、人が食品を処理するように構成された手動の加工部を有してもよいし、食品を機械処理するための自動の加工部を有してもよいし、手動の加工部と自動の加工部との組み合わせであってもよい。
【0022】
本明細書では、選択処理と識別処理とが区別される。選択処理は、更に処理される食品が選択される処理であり、識別処理は、選択された食品が選択されなかった食品とより確実に区別され得る処理である。
【0023】
選択処理は、処理指標に基づいて食品を更に処理するために、作業者の選択によって手動で実行されてもよいし、又は機械によって処理されてもよい。
【0024】
ある同じ処理指標は、加工部の作業負荷に応じて異なる結果をもたらすことがある。加工部の作業負荷が低い場合、特定の処理指標を有する食品は、更なる処理のために選択され得る。加工部の作業負荷が高い場合、同じ処理指標を有する食品は、更なる処理のために選択されないかもしれない。
【0025】
識別構造は、処理器の一部として統合されてもよく、処理器によって制御されてもよく、又は、更なる処理のために選択される食品を識別して、選択された食品と更なる処理のために選択されない食品とをより確実に区別するように構成される独立したコンピュータなどの独立した装置によって構成されてもよい。単純な形態において、識別構造は、コンベヤベルトなどのコンベヤに沿った特定の位置に配置される、処理されるべきでない食品についての1つ以上の列と、コンベヤベルトなどのコンベヤに沿った特定の位置に配置される、更なる処理の対象となるべき食品についての他の1つ以上の列とを備えてもよい。例えば、加工部の位置から最も離れた食品の列は、処理されるべきでない食品の列とすることができ、例えば、加工部に最も近い1列又は2列の食品の列は、処理されるべき食品の列とすることができる。好ましくは、食品を搬送するコンベヤベルトにおいて、食品が手動で直接的に処理される場合、処理される食品の列が1列のみ、加工部に対して最も近い位置にあるべきである。これにより、更なる処理を行う際、作業者が過剰な負荷を受ける恐れが少なくなる。
【0026】
識別処理は、例えば、以下の識別工程の1つ以上を含んでもよい。
i)選択された食品にタグを取り付ける、又は、選択された食品に直接的にスタンプ又は同様のマークを使用する。
ii)選択された食品を、コンベヤの別の場所に搬送する又は別のコンベヤに移動させる。
iii)光又は同様の電子制御式の識別手段を使用して、食品が更なる処理のために選択されたことを、照明又はその他の信号で知らせる。
【0027】
識別構造は、処理指標に基づいて再び実行された選択処理に基づいて、識別を行う。
【0028】
選択処理及び識別処理の両方は、例えば、画像システムとデータ通信する処理器に組み込まれる、1つ又は複数のコンピュータ装置によって自動的に制御されて実行されてもよい。
【0029】
一実施形態において、画像システムは、コンベヤシステムに沿って配置され、受入食品の画像データを取得し、受入食品の画像データを処理器に送信する。別の実施形態において、受入食品の画像データは、別の場所で、すなわち、受入食品が食品処理装置に入る前に取得される。
【0030】
コンベヤシステムは、更なる処理のために選択された食品を加工部において取り上げることを可能にするため、加工部に沿って延びる1つ以上のコンベヤラインを備えてもよい。1つのコンベヤラインは、コンベヤベルトなどのコンベヤをいくつか備えてもよい。少なくとも2つ以上のコンベヤベルトが、第1コンベヤベルトの送り出し端部と第2コンベヤベルトの送り込み端部との間に配置されるので、第1コンベヤベルトから第2コンベヤベルトに食品を搬送することができる。
【0031】
物体分流器は、更なる処理のために選択された食品を他の食品と区別するように構成されてもよい。物体分流器は、例えば、更なる処理のために選択された食品が加工部に沿って延びるコンベヤライン上のある場所に位置し、且つ、更なる処理のために選択されなかった食品が加工部に沿って延びるコンベヤライン上の別の場所に位置するように、更なる処理のために選択された食品を、加工部に沿って延びるコンベヤライン上で移動させるように構成されてもよい。物体分流器は、コンベヤライン上で食品を移動又は案内するように構成された可動アームを備えてもよい。
【0032】
また、1つ以上の物体分流器は、廃棄される食品を、更なる処理のために選択された食品と、更なる処理を行わないために選択された食品とに区別してもよい。1つ以上の物体分流器による区別は、1つ以上の物体分流器が、第1コンベヤベルトの送り出し端部、及び/又は、第2コンベヤベルトの送り込み端部の少なくとも一方を他方から遠ざけるために構成されるシステムを備えるように、例えば、第1コンベヤベルトの送り出し端部と第2コンベヤベルトの送り込み端部との間に開口部を形成するために少なくとも一方の端部を他方の端部に対して上向き、下向き、又は平行に移動させるように、実行されてもよい。処理器は、廃棄される食品を指定するように構成されてもよい。廃棄される食品に関する情報は、物体分流器に送信されてもよい。
【0033】
処理器は、更なる処理のために、選択された食品を選択された加工部に指定するように構成されてもよい。その指定は、個々の加工部の作業負荷に基づいてもよく、加工部の特定の技術又は加工部の作業者の特定の技術と、更なる処理の必要性に関連する特定の骨片などを除去するための特定の能力などの特定の要件との組み合わせに基づいてもよい。単純な形態において、加工部の作業者は、事前に決定された品質特性に従って、更なる処理のために選択された食品を処理する。例えば、サケのフィレの場合、そのような品質特性は、トリムA、トリムB、トリムC、及びトリムDなどのトリムタイプに基づいて決定されてもよい。サケのフィレのトリムガイドは、当業者に知られている。トリムDは、上述の4つの品質(トリムタイプ)の中で最も高い品質のフィレである。
【0034】
加工部は、食品を配送するために共通の出口を利用してもよい。一実施形態において、コンベヤシステムは、第1コンベヤライン及び第2コンベヤラインを備える。第1コンベヤラインは、入口と出口との間に延在する。第2コンベヤラインは、第1コンベヤラインに隣接して延在し、更なる処理のために選択される食品を第1コンベヤラインから受け入れるように配置される。このレイアウトにおいて、選択されていない食品は、単純に入口から出口まで第1コンベヤライン上を移動し続けてもよい。選択された食品は、第2コンベヤラインに移動することによって識別されてもよく、例えば、作業者が選択された食品を取り上げることができる加工部は、更なる処理を実行して、完成した食品を第1コンベヤラインに戻す。食品は、隣接する2つのコンベヤラインの代わりに、1つのコンベヤベルトなどの1つのコンベヤライン上のいくつかの列に配置されてもよく、少なくとも加工部に最も近い列には、更なる処理のための食品が配置される。
【0035】
1つ以上の加工部は、処理指標を利用する主加工部として構成されてもよい。主加工部は、他の加工部との間で食品を分配することができる。
【0036】
識別処理が、選択された食品をコンベヤライン上の別個の場所に移動させる工程、又は、選択された食品をあるコンベヤラインから別のコンベヤラインに移動させる工程を有する場合、食品処理装置は、前述の物体分流器を使用してもよい。物体分流器は、更なる処理のために選択された食品を他の食品と区別するように構成されてもよい。起動制御部は、選択された食品の処理指標、及び、事前に定義された閾値又は設定に基づいて、選択された食品に対して物体分流器を起動するように構成されてもよい。その場合、起動制御部は、選択処理を自動的に実行する。
【0037】
物体分流器は、例えば、食品を前述の第1コンベヤラインから第2コンベヤラインに移動させるように構成されてもよい。
【0038】
更なる処理のために選択された食品に対して、処理ガイドを生成する、誘導制御部が実装されてもよい。
【0039】
誘導制御部は、画像システムとのデータ通信が行われてもよいし、取得された画像データに基づいて処理ガイドを生成するように構成されてもよい。一例として、誘導制御部は、更なる処理が必要な箇所を示すために、画面上又は食品に直接的に、音声又は視覚的な表示を行うように構成されている。
【0040】
処理ガイドは、処理能力及び歩留まりの両方を向上させ得る。処理能力は、作業者が食品の検査をする必要なく何をすべきかをより正確に知ることができるので、向上させることができる。歩留まりは、例えば、トリミング処理において、食品を切りすぎないようにどこをカットすべきかの知識を向上させることができるので、向上させることができる。
【0041】
加工部は、誘導制御部とのデータ通信が行われてもよいし、誘導制御部から処理ガイドを受信するように構成されてもよい。加工部は、例えば、食品の手動の処理のために構成され、且つ、処理ガイドを視覚化するように構成された電子ディスプレイを備えてもよい。
【0042】
処理ガイドは、食品のトリミングを定義する切断パターンを備えてもよい。誘導制御部は、加工部がトリミングを実行できるように、画像データに基づいて、食品の表面の容認された食品領域のパターン、及び、拒否された食品領域のパターンを生成するように構成されていてもよい。
【0043】
誘導制御及び/又は選択処理は、顧客の要求に基づいて行われてもよい。顧客の要求の例は、処理指標の定義に使用され得る識別子として、既に述べたパラメータを有してもよい。従って、顧客は、例えば、以下の1つ又は複数に関連する要件を伝えることができる。
a)長さ、重さなどの食品の大きさ。
b)食品の色。
c)食品の色の変化。
d)食品の形状。
e)全体的及び/又は局所的な、最小の脂肪含有量。
f)全体的及び/又は局所的な、最大の脂肪含有量。
g)食品の内部及び/又は食品の表面の識別可能なパターン。
h)食品に付着した膜又は脂肪、骨の一部、腱、軟骨、魚肉に付着した褐色の肉、又は、魚のひれなど、生物自体に由来する不要なもの。
i)血斑、メラニン色素の斑点、隙間のある構造などの、食品の内部及び/又は食品の表面の、有機的な欠陥。
j)石、金属部品、プラスチック部品などの異物。
【0044】
これらの顧客の要求は、電子的に食品処理装置に伝達され、選択処理に使用されてもよい。
【0045】
本明細書に記載された複数の食品処理装置は、1つの食品処理工場において異なる目的のために使用されてもよい。サケなどの魚を処理する場合、食品処理装置は、品質管理及び再加工の必要のない食品が加工部を迂回できるような製品の選別に使用されてもよい。そのような品質管理は、フィレ処理後の魚(サケ)のフィレ、フィレ処理及びトリミング処理後の魚(サケ)のフィレ、及び/又は、皮剥ぎ処理後の魚(サケ)のフィレに対して行われてもよい。皮剥ぎ処理は、通常、フィレ処理及びトリミング処理の後に行われる。魚(サケ)のフィレは、食品処理装置を使用することによって、例えば、サイズ及び品質の等級付けをされてもよい。
【0046】
魚又は魚のフィレなどの、食品の2つの側面の品質検査は、食品の一側面の品質検査を行うための、本明細書に記載の第1食品加工装置と、食品の他側面の品質検査を行うための、本明細書に記載の第2食品加工装置との組み合わせによって実行されてもよい。第1食品加工装置の出口の後又は出口、又は、第2食品加工装置の入口の前又は入口には、食品回転器が配置されてもよい。魚のフィレを処理する場合、そのような食品回転器は、フィレ回転器であってもよい。
【0047】
第2の態様において、本発明は、
入口と出口との間において、受入食品を搬送方向に搬送するコンベヤシステムと、
前記コンベヤシステムに沿って配置され、前記受入食品の画像データを取得して前記画像データを送信する画像システムと、
前記受入食品の画像を表す画像データを受信し、前記画像データに基づいて、前記受入食品のそれぞれについて更なる処理を必要とするか否かを示す処理指標を決定するために、前記画像データを処理するように構成される処理器と、
前記コンベヤシステムに沿って配置される複数の加工部と、
を備える装置における、食品処理方法を提供する。
【0048】
食品処理方法は、処理を必要とする食品を選択するために処理指標を使用する工程、及び、選択された食品とコンベヤシステム上の他の食品とを識別する工程を含む。
【0049】
選択された食品を識別する工程は、受入食品を、選択されない食品として割り当てる工程を含んでもよい。
【0050】
食品処理方法は、脂肪、骨、軟骨などの不要な部分を除去するために食品をトリミングするなど、選択された食品を処理する工程を含んでもよく、及び/又は、本明細書に記載の識別子などの他の特性に関連していてもよい。
【0051】
食品の処理は、画像データに基づいて作成された処理計画に従って実行されてもよい。
【0052】
選択された食品が処理されると、選択された食品は、選択されなかった食品と混合されてもよい。すなわち、処理された食品は、選択されなかったために処理されなかった食品と一緒に食品処理装置の出口から出されてもよい。
【0053】
好ましい実施形態において、加工部での作業及びシステムへの識別子の値の入力を除く、全ての工程が自動的に実行される。
【0054】
食品処理装置に関して記載された特徴は、記載された食品処理方法においても使用することができ、その逆も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明の一実施形態による食品処理装置を示す斜視図である。
図2図1に示す装置の平面図である。
図3図1に示す装置の種々の実施形態を示す図である。
図4図1に示す装置の種々の実施形態を示す図である。
図5A】処理の目安となるカットラインを、画面又は加工部の食品の表面に表示した様子を示す図である。
図5B】処理の目安となるカットラインを、画面又は加工部の食品の表面に表示した様子を示す図である。
図6】処理の目安となるカットラインを、画面又は加工部の食品の表面に表示した様子を示す図である。
図7】魚のフィレの品質を判断する際に考慮すべきいくつかの区域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、それぞれが異なるコンベヤ部2’,2’’,2’’’を有する複数の個別のコンベヤライン2,3が設けられているコンベヤシステムを備える、食品処理装置1を示す。図示された食品処理装置は、互いに向かって対称に配置された2つの装置を有するデュアルライン(2つのライン)であるが、食品処理装置は、1つのラインのみを備えてもよい。第1コンベヤ部2’には、受入食品を受け入れる入口4,5が形成されている。開示された実施形態において、2つの別々のコンベヤライン2,3が、それぞれの入口5,4を有している。受入食品は、出口6に到達するまでに、第1コンベヤ部2’から第2コンベヤ部2’’へと搬送され、且つ、第2コンベヤ部2’’から第3コンベヤ部2’’’へと搬送される。廃棄されるべき食品は、第2コンベヤ部2’’などで廃棄することができる。コンベヤベルトは、廃棄されるべき食品が、あるコンベヤベルトの送り出し端部と次のコンベヤベルトの送り込み端部との間に入るように開口部などを形成する。廃棄される食品は、第2コンベヤ部2’’の下で収集することができる。
【0057】
サケのフィレを処理する場合、入口4,5に受け入れられる食品は、フィレ処理後のサケのフィレ、フィレ処理及びトリミング処理の後のサケのフィレ、又は皮剥ぎ処理後のサケのフィレであってもよい。皮剥ぎ処理は、通常、フィレ処理及びトリミング処理の後に行われる。
【0058】
加工部7は、コンベヤシステムの各コンベヤライン2,3に沿って配置され、作業者が搬送される食品にアクセスすること及び処理が必要な食品を処理することを可能にする。
【0059】
食品の処理は、特に、余分な脂肪が除去されるなどのトリミング、又は、食品から不要な断片を取り除く骨抜きであってもよい。サケのフィレのトリミングは、トリムA、トリムB、トリムC、又はトリムDなどのトリムタイプに起因し得る。
【0060】
図示された食品処理装置には、手動の作業をするための加工部が設けられている。加工部は、作業者を必要としない自動の加工部であってもよい。
【0061】
処理器8は、計算機処理ユニット(CPU)及びCPUの構成に対応するソフトウェアコードを備える。処理器は、加工部に対して上流側に位置する画像システム9から画像データを受信するように構成されている。
【0062】
画像データは、例えば、カラー写真などの従来の写真として食品の画像を表す。画像は、X線画像又は超音波画像を有してもよい。
【0063】
画像データが処理器8において受信されると、画像データは、処理指標に変換される。別の実施形態において、処理器8は、画像システム9に統合されている。
【0064】
処理器8は、画像データに基づいて、受入食品の各々について処理指標を識別し、食品の処理の必要性を示すか、又は処理の必要がないことを示す。
【0065】
一実施形態において、処理指標は、食品に対する所望の最終結果の画像又は画像データと、特定の食品を撮影した画像又は得られた画像データとの比較の結果である。画像又は画像データの差は、整数に変換される。
【0066】
他の実施形態において、画像データは、特徴又は識別子を認識するために処理される。そのような特徴は、色の特徴、食品の境界形状の特徴などの形状の特徴、又は、食品の表面又は中の望ましくない物体の形状の特徴であってもよい。写真における特徴を認識するための方法及び装置は、先行技術においてよく知られている。1つ以上の、又は、事前に決定された特徴を発見することが、処理の必要性を示す処理指標を始動させてもよい。
【0067】
図示された食品処理装置は、コンベヤライン上の特定の場所に食品を押し進めることができる可動アームの形状である、識別構造又は物体分流器10を備える。図示された食品処理装置においては、物体分流器が食品を搬送方向に対して略直交方向に押し進めるので、図2に示すように、1つのコンベヤベルト上に、食品を2列又は3列などに並べることができる。
【0068】
選択された食品がコンベヤラインの片側の同じ場所に押し進められると、それらは処理が必要な食品として識別され、その後の加工部は、それらの識別された食品の処理を実行できる。
【0069】
画像システム9は、受入食品の写真を取得し、その写真を画像データに変換する。画像データは、処理器8に送信される。
【0070】
図2は、食品処理装置1を上方から見た図を示す。この図において、食品処理装置1が、加工部7に沿って延びる2つの別個のコンベヤライン2,3を備えることがより明確に見られる。コンベヤライン2,3は並行に作動し、各コンベヤラインの選択された食品は、各コンベヤライン2,3の縁部に沿った特定の位置に移動される。従って、加工部7の作業者は、関連する食品12を容易に識別し、それらを取り上げて処理することができる。図示された実施形態において、2つのコンベヤライン2,3は、本質的に同一であるが、対称にレイアウトされている。
【0071】
物体分流器10は、入口4,5と出口6との間の搬送方向において、画像システム9の後且つ加工部7の前に配置されている。従って、処理が必要な食品12は、加工部7に到着する前に、処理のために選択されない食品と区別することができる。
【0072】
物体分流器10は、更なる処理の対象となった選択された食品12を、コンベヤラインの端部、すなわち、加工部7に最も近い位置に移動させる。選択された食品12のみがこの位置に移動されるので、選択された食品は、容易に識別される。
【0073】
起動制御部は、処理指標に基づいて物体分流器10を起動する。開示された実施形態において、起動制御部及び処理指標を決定するための処理器は、同じ処理器8(図示せず)に統合されている。あるいは、起動制御部及び処理器の一方又は両方は、画像システム9に統合されてもよい。
【0074】
より高度な実装において、処理器8は、選択された食品の更なる処理のために、選択された食品12を、複数の加工部7のうちの特定の1つの加工部7に指定することができる。この場合、食品処理装置は、選択された食品12を選択された加工部7に誘導できるように、対応する加工部7と関連してそれぞれ配置された複数の物体分流器10を備えてもよい。
【0075】
図1及び図2に示される食品処理装置において、全ての加工部は、食品を配送するために1つの同じ出口6を利用する。
【0076】
図2は、加工部7が処理できない場合に食品を保管できる保管部11を食品処理装置に備えてもよいことを示す。また、食品12から取り除かれ、コンベヤライン2,3の下を走るコンベヤによって搬送される除去部を回収する容器42も図示されている。本実施形態において、出口6に除骨部43が図示されているが、この除骨部は、魚のフィレから小骨を除去するためのものであってもよい。
【0077】
図3は、コンベヤシステムが第1コンベヤライン31及び第2コンベヤライン32を備える食品処理装置の一実施形態の概略図を示す。2つのコンベヤラインは、隣接して配置され、加工部33は、第2コンベヤライン32に沿って配置されている。
【0078】
第1コンベヤライン31は、入口34と出口35との間に延び、第2コンベヤライン32は、第1コンベヤライン31から更なる処理のために選択された食品(図示せず)を受け入れるために、第1コンベヤライン31に対して十分近くに配置されている。
【0079】
加工部33は、更に処理された食品を第1コンベヤライン31上に戻すことができるように配置され、食品が出口35に誘導される。
【0080】
この実施形態において、物体分流器36は、支点部37にヒンジ接続され、破線38で示された位置に移動し、それによって、物体分流器36として示された位置に戻るまで、選択された食品を第1コンベヤライン31から第2コンベヤライン32に移動させるように構成されている。
【0081】
図4は、第2コンベヤライン32の加工部33が、食品(図示せず)を第1コンベヤライン31に戻すために第1コンベヤラインに十分に近接していない場合の代替的な実施形態を示している。この実施形態において、第2コンベヤライン32の端部にある第2物体分流器41が、処理された食品を第1コンベヤライン31に戻す。
【0082】
図3及び図4の各加工部に示されたモニタ39は、誘導制御部(図示せず)からデータを受け入れるようにそれぞれ構成されている。データは、更なる処理のために選択された食品を処理するための、例えば、食品のトリミングのためのカット指示を含む処理ガイドを有する(例えば、図6に示されたサケのフィレのトリムラインを参照)。
【0083】
図5Aは、切断線をモニタに表示できることを示し、図5Bは、切断線を食品に直接表示できることを示している。この切断線は、作業者(図示せず)によって、直接的にレーザ光で食品にマークされる。
【0084】
図6は、魚のフィレの切断線を、モニタ上又は食品に直接表示することができることを示す。破線で描かれた切断線は、魚のフィレに直接的にレーザ光を当てることによって示すことができる。図示されたフィレにおいて、大きく囲まれた腹部が周囲よりも明るく、フィレのヘッド(head)部分の小さな腹部も他の部分よりも明るく、フロント(front)部分において、黒い部分が観察された。
【0085】
図7は、魚のフィレのいくつかの容認可能な区域を示し、魚のフィレが要求された品質に適合しているかどうかを判断する際に、これらの区域のいくつか、又は、全てを考慮に入れることができる。図示されている区域は、背中51,52,53、前部54,56、腹部59,60,61,62,63、ロイン55,57、及び尾部58である。これらの区域の1つ又は複数に異なる識別子が割り当てられてもよく、各区域の品質は、識別子が存在するか否か、すなわち、「はい」/「いいえ」の記載、事前に決定された値以上であること、及び/又は、選択された品質タイプの最小及び最大の要件に従って決定されてもよい。選択された各区域の品質が決定されてもよく、本明細書の他の箇所に記載されているように、全体的な品質が計算されてもよい。
【0086】
(第1実施形態)
入口(4,5,34)と出口(6,35)との間で、受入食品を搬送方向に搬送するコンベヤシステム(2,3,31,32)と、
前記受入食品の画像を表す画像データを画像システム(9)から受信するように構成され、前記画像データに基づいて、前記受入食品のそれぞれについて更なる処理を必要とするか否かを示す処理指標を決定するために、前記画像データを処理するように構成される処理器(8)と、
前記コンベヤシステムに沿って配置される複数の加工部(7,33)と、
前記処理指標に基づいて、更なる処理のために選択された食品を、更なる処理のために選択されない食品と区別して識別するように構成された識別構造と、
を備える、食品処理装置。
【0087】
(第2実施形態)
前記コンベヤシステムに沿って配置され、前記受入食品の画像データを取得して前記画像データを前記処理器に送信する画像システム(9)を備える、第1実施形態に記載の食品処理装置。
【0088】
(第3実施形態)
前記加工部(7,33)は、前記画像システム(9)に対して搬送方向の下流側に配置されている、第2実施形態に記載の食品処理装置。
【0089】
(第4実施形態)
前記コンベヤシステム(2,3,31,32)は、更なる処理のために選択された食品を前記加工部で取り上げられるように前記加工部に沿って延びる1つ以上のコンベヤライン(2,3,31,32)を備える、第1~第3実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0090】
(第5実施形態)
更なる処理のために選択された前記食品を他の前記食品と区別するように構成された物体分流器(10,36)を備える、第1~第4実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0091】
(第6実施形態)
前記物体分流器(10)は、更なる処理のために選択された前記食品が前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上の任意の場所に位置し、更なる処理のために選択されない前記食品が、前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上の前記任意の場所とは別の場所に位置するように、前記加工部に沿って延びる前記コンベヤライン上で前記食品を移動させるように構成されている、第4又は第5実施形態に記載の食品処理装置。
【0092】
(第7実施形態)
選択された食品の前記処理指標、及び、事前に定義された閾値に基づいて、前記選択された食品に対して前記物体分流器を起動させるように構成された起動制御部を備える、第5又は第6実施形態に記載の食品処理装置。
【0093】
(第8実施形態)
前記処理器(8)は、選択された前記食品の更なる処理のために、選択された前記食品を複数の前記加工部のうちの選択された前記加工部に指定するように構成されている、第1~第7実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0094】
(第9実施形態)
前記加工部(7,33)は、前記食品を配送するために前記出口を利用する、第1~第8実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0095】
(第10実施形態)
前記コンベヤシステムは、第1コンベヤライン(31)及び第2コンベヤライン(32)を備え、
前記第1コンベヤラインは、前記入口(34)と前記出口(35)との間に延在し、
前記第2コンベヤライン(32)は、前記第1コンベヤラインに隣接して延在し、且つ、前記第1コンベヤライン(31)から更なる処理のために選択された食品を受け入れるように配置されている、第1~第9実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0096】
(第11実施形態)
前記第2コンベヤライン(32)は、前記加工部(33)に沿って延び、且つ、更なる処理のために選択された食品が前記加工部で取り上げられることを可能にする、第10実施形態に記載の食品処理装置。
【0097】
(第12実施形態)
前記第2コンベヤライン(32)に沿って配置された前記加工部(33)は、更に処理された食品を前記第1コンベヤライン(31)上に戻すことができるように配置される、第11実施形態に記載の食品処理装置。
【0098】
(第13実施形態)
前記物体分流器(36)は、食品を前記第1コンベヤラインから前記第2コンベヤラインに移動させるように構成されている、第5及び第10~第12実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0099】
(第14実施形態)
1つ以上の前記加工部は、前記処理指標を利用する主加工部である、第1~第13実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0100】
(第15実施形態)
更なる処理のために選択された前記食品に対して、処理ガイドを生成するように構成された誘導制御部を備える、第1~第14実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0101】
(第16実施形態)
前記誘導制御部は、前記画像システムとデータ通信し、取得された前記画像データに基づいて前記処理ガイドを生成するように構成されている、第15実施形態に記載の食品処理装置。
【0102】
(第17実施形態)
前記加工部は、前記誘導制御部とデータ通信し、前記誘導制御部から前記処理ガイドを受信するように構成されている、第15又は第16実施形態に記載の食品処理装置。
【0103】
(第18実施形態)
前記加工部は、前記食品の手動の処理のために構成され、且つ、前記処理ガイドを視覚化するように構成された電子ディスプレイを備える、第15~第17実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0104】
(第19実施形態)
前記処理ガイドは、前記食品のトリミングを定義する切断パターンを備える、第15~第18実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0105】
(第20実施形態)
前記誘導制御部は、前記画像データに基づいて、前記食品の表面の容認された食品領域のパターン、及び、拒否された食品領域のパターンを生成するように構成されている、第15~第19実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0106】
(第21実施形態)
前記誘導制御部は、前記食品に対する顧客の要求を受信するように構成され、且つ、前記顧客の要求に基づいて閾値を選択するように構成されている、第1~第20実施形態のいずれか1つに記載の食品処理装置。
【0107】
(第22実施形態)
入口と出口との間において、受入食品を搬送方向に搬送するコンベヤシステムと、
前記受入食品の画像を表す画像データを画像システムから受信し、前記画像データに基づいて、前記受入食品のそれぞれについて更なる処理を必要とするか否かを示す処理指標を決定するために、前記画像データを処理するように構成される処理器と、
前記コンベヤシステムに沿って配置された複数の加工部と、
を備える装置において、
処理を必要とする食品を選択するために前記処理指標を使用する工程、及び、選択された食品と前記コンベヤシステム上の他の食品とを識別する工程を含む、
食品処理方法。
【0108】
(第23実施形態)
前記選択された食品を識別する工程は、前記受入食品を、選択されない食品として割り当てる工程を含む、第22実施形態に記載の食品処理方法。
【0109】
(第24実施形態)
前記選択された食品を処理する工程を含む、第22又は第23実施形態に記載の食品処理方法。
【0110】
(第25実施形態)
前記選択された食品を処理する工程は、前記画像データに基づいて作成された処理計画に従って行われる、第24実施形態に記載の食品処理方法。
【0111】
(第26実施形態)
処理された前記食品が、選択されない前記食品と混合される、第24又は第25実施形態に記載の食品処理方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7