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特許7455148医療用チューブ接続用のストレインリリーフアダプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】医療用チューブ接続用のストレインリリーフアダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61M39/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021576365
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2019038571
(87)【国際公開番号】W WO2020256743
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-06-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャコブ ワイナー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ブッキアネリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ポリティス
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0049519(US,A1)
【文献】国際公開第2018/033628(WO,A1)
【文献】特表2014-515623(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111680(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/002299(WO,A1)
【文献】特開2000-271228(JP,A)
【文献】特開2013-005865(JP,A)
【文献】特開2014-087644(JP,A)
【文献】特表2017-506115(JP,A)
【文献】欧州特許第00450330(EP,B1)
【文献】特開2013-066720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのためのストレインリリーフアダプタであって、
可撓性本体であって、
流体コネクタとポンプコネクタの一方に接続するように構成された第1の端部と、
チューブに接続するように構成された第2の端部と、
第1および第2の端部を流体的に接続する中空の流体経路と、および
前記第1および第2の端部との間に配置された複数の外部ストレインリリーフ隆起部と
を備える可撓性本体を備え、
前記複数のストレインリリーフ隆起部のうち隣接するものは、前記第2の端部から前記第1の端部に向かう方向に沿って直径が大きくなり、
前記流体経路は、前記第1の端部から延び、第1の直径を有する第1の部分と、前記第2の端部から延び、第2の直径を有する第2の部分とを有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、アダプタ。
【請求項2】
前記流体経路は、前記第1および第2の端部の間に少なくとも1つの内部テーパーを有する、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記流体経路は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置された内部テーパー、を有する、請求項2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記流体経路は前記チューブを受け入れるために第2の端部でテーパー状になっている、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記複数のストレインリリーフ隆起部のうち隣接するものは、前記第2の端部から前記第1の端部に向かう方向に沿って軸方向の厚みが増加する、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項6】
薬物送達装置であって、
患者に挿入可能なカニューレを有する基部に接続するための流体コネクタと、
チューブと、
前記チューブと前記流体コネクタの間の流体経路を提供し、前記チューブと前記流体コネクタの間の接続に可撓性を与えるためにその外側に配置された複数のストレインリリーフ隆起部を有する可撓性のストレインリリーフアダプタと、
ポンプと、および
前記チューブと前記ポンプとの間の流体経路を提供し、前記チューブと前記ポンプとの間の接続に可撓性を提供するためにその外側に配置された複数のストレインリリーフ隆起部を有する、第2の可撓性ストレインリリーフアダプタとを備え、
前記ストレインリリーフアダプタの前記複数のストレインリリーフ隆起部、および、前記第2のストレインリリーフアダプタの前記複数のストレインリリーフ隆起部のうち隣接するものは、第2の端部から第1の端部に向かう方向に沿って直径が大きくなり、
前記流体経路は、前記第1の端部から延び、第1の直径を有する第1の部分と、前記第2の端部から延び、第2の直径を有する第2の部分とを有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、薬物送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器、より具体的には、医療機器のチューブ接続に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間使用すると、特に活動的な患者の場合、輸液セットなどのラインセットに亀裂が生じる可能性がある。このような亀裂は、例えば、チューブがポンプや流体コネクタなどに接続されているジョイントでしばしば発生する。ジョイントのより良い保護が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、 本発明の一態様は、薬剤送達デバイス用のストレインリリーフアダプタを提供することである。
【0004】
本発明の前述の及び/又は他の態様は、薬物送達デバイス用のストレインリリーフアダプタであって、流体コネクタ及びポンプコネクタの一方に接続するように構成された第1の端部と、チューブに接続するように構成された第2の端部と、第1及び第2の端部を流体連通する中空流路と、第1及び第2の端部の間に配置された複数の外部ストレインリリーフ隆起部と、を有する可撓性の本体を含むストレインリリーフアダプタを提供することによって達成される。
【0005】
本発明の前述の及び/又は他の態様は、薬物送達デバイスであって、患者に挿入可能なカニューレを有する基部に接続するための流体コネクタと、チューブと、チューブと流体コネクタの間に流体経路を提供し、チューブと流体コネクタの間の接続に可撓性を与えるためにその外側に配置されたストレインリリーフ隆起部を有する可撓性ストレインリリーフアダプタとを含む薬物送達デバイスを提供することによっても、達成される。
【0006】
本発明の前述の及び/又は他の態様は、薬物送達デバイスを組み立てる方法であって、患者に挿入可能なカニューレを有する基部に接続するための流体コネクタを提供するステップと、チューブを提供するステップと、可撓性ストレインリリーフアダプタの第1の端部を流体コネクタに接続するステップと、ストレインリリーフアダプタの第2の端部をチューブに接続して、それによってチューブから流体コネクタに至る流路を形成するステップと、を含む薬物送達デバイスを組み立てる方法を提供するステップとによっても実現される。
【0007】
本発明の追加的なおよび/または他の態様および利点は、以下の説明に記載されるか、説明から明らかとなり、または、本発明の実施によって知られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態の上記及び/又は他の態様および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
図1図1は、本発明の一実施形態によるストレインリリーフアダプタの斜視図である。
図2図2は、図1のアダプタの断面図である。
図3図3は、チューブおよび流体コネクタを備えた図1のアダプタを組み立てる斜視図である。
図4図4は、図3の流体コネクタに接続された図1のアダプタの斜視図である。
図5図5は、図3のチューブおよび流体コネクタに接続された図1のアダプタの斜視図である。
図6図6は、薬物送達デバイスを組み立てる方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面に図示されている本発明の実施形態が参照されており、同じ参照番号は、全体を通じて同じ要素を参照する。本明細書で説明される実施形態は、図面を参照することによって、本発明を例示するものであるが、これに限定するものではない。
【0010】
本開示が、以下で説明されるか、または図面に図示される、構造の詳細、および構成要素の配置に、その適用が限定されないことを当業者によって理解されよう。本明細書の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。また、本明細書中で使用する表現および用語は、説明のためのものであって、限定するものと見なすべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、または「有する(having)」およびこれらの変形の使用は、それ以降に掲載されるアイテムおよびその同等物ならびに付加的なアイテムを包含することが意味される。別段の限定がない限り、本明細書における用語「接続された」、「結合された」、および「据え付けられた」、およびそれらの変形は、広く使用され、ならびに直接的および間接的な接続、結合、および据え付けを包含する。加えて、用語「接続された」および「結合された」およびそれらの変形は、物理的または機械的な接続または結合に制限されない。さらに、「上がる」、「下がる」、「底」、「上」、「前」、「後」、「上部」、「下部」、「上向き」、「下向き」などの用語、および他の方向記述子は、本発明の例示的な実施形態の説明を容易にすることを意図し、本発明の例示的な実施形態の構造を任意の特定の位置または向きに限定することを意図するものではない。「実質的に」または「およそ」などの程度の用語は、所与の値の周りの合理的な範囲、例えば、記載される実施形態の製造、組み立て、および使用に関連する一般的な許容範囲を参照することが当業者によって理解される。
【0011】
図1は、本発明の実施形態による可撓性ストレインリリーフアダプタ100の斜視図である。アダプタ100は、ポンプまたは薬物送達デバイスの流体コネクタに接続するように構成された第1の端部102を有し、チューブに接続するように構成された第2の端部104を有する可撓性プラスチック本体101を含む。図1および2に示されるように、アダプタ100は、アダプタ100の外部に軸方向に配列された複数のストレインリリーフ隆起部106を有する。
【0012】
一実施形態によれば、ストレインリリーフ隆起部106のそれぞれは、アダプタ100を放射状に取り囲む。図1から図12に示される実施形態では、図1および2に示されるように、ストレインリリーフ隆起部106の隣接するものは、第1の端部102から第2の端部104に向かう方向に沿って直径が減少する。さらに、ストレインリリーフ隆起部106は、第1の端部102から第2の端部104に向かう方向に沿って軸方向の厚さが減少する。さらに、ストレインリリーフ隆起部106は、実質的に等間隔に配置されている。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、ストレインリリーフ隆起部の異なる間隔および/またはサイジングを使用できることを理解するであろう。
【0013】
図2に示されるように、アダプタ100の第2の端部104は、チューブの端部を受け入れるのを助けるために第1の内向きテーパー108を有する。第1の内向きテーパーまたは第1のテーパー部分108に軸方向に隣接するのは、チューブ着座部分110であり、次に第2の内向きテーパー112である。第2のテーパー112に隣接するのは、第1の端部まで完全に延びる、より小さな直径の部分または降圧部分114である。降圧部分114、第2の内向きテーパー112、チューブ着座部分110、および第1のテーパー部分108は、アダプタ100を通って延びる中空の流体経路を形成する。
【0014】
図3に示すように、アダプタ100は、好ましくは、流体コネクタ200とチューブ300との間に配置される。一実施形態によれば、アダプタ100を流体コネクタと結合するために、アダプタ100の第1の端部102と流体コネクタの開口部202との間の摩擦嵌合は、アダプタ100を流体コネクタ200と保持するのに十分な相互接続を提供する。別の実施形態によれば、組み立て者は、コネクタの第1の端部102の周りおよび/または流体コネクタ200の開口部202にUV硬化性接着剤のリングを分配し、第1の端部102を開口部202に挿入し、続いて接着剤を硬化させるためにUV光を照射する。
【0015】
一実施形態によれば、アダプタ100は、UV硬化を助けるために半透明または透明である。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、アダプタ100を別の要素と接合するための他の接着剤または方法を使用できることを理解するであろう。
【0016】
アダプタ100を流体コネクタ200に結合するのと同様に、組み立て者は、チューブ300の第1の端部および/またはアダプタの第2の端部104に摩擦嵌合またはUV硬化性接着剤を使用して、アダプタ100をチューブ300に結合することができる。
【0017】
同様に、組み立て者は、チューブ300の第2の端部を第2の可撓性ストレインリリーフアダプタ100の第2の端部104に接続し、第2のアダプタ100の第1の端部102をポンプコネクタキャップまたはポンプ(図示せず)に直接結合して、ポンプと流体コネクタ200との間に流体経路を形成する。
【0018】
図6は、薬物送達デバイスを組み立てる方法400を示している。動作410および420において、組み立て者は、流体コネクタ200およびチューブ300を提供する。動作430において、組み立て者は、可撓性ストレインリリーフアダプタ100の第1の端部102を流体コネクタ200に接続する。そして、動作440において、組み立て者は、アダプタ100の第2の端部104をチューブ300に接続し、それによって、可撓性インラインストレインリリーフアダプタ100を介して、チューブ300から流体コネクタ200への流体経路を形成する。
【0019】
前述の実施形態では、アダプタ100は、流体コネクタに接合された別個の部品であった。しかし、アダプタ100および流体コネクタ200は、本発明の範囲から逸脱することなく、単一構造として一体的に形成することができる。一実施形態によれば、製造業者は、第1の成形ショットで流体コネクタ200の本体204(開口部202を含む)を形成し、続いて、第2の成形ショットとして開口部202にアダプタを形成することができる。一実施形態によれば、第2のショットの材料は、第1の成形ショットの材料よりも柔軟性がある。
【0020】
メーカーが最初の成形ショットに採用できる材料の例には、アクリロニトリル-ブタジエンスチレン(ABS-IneosのLustran(登録商標)など)、ポリカーボネート(PC- SABICのLexan(登録商標)など)、ナイロン(DuPontのZytel(登録商標)など)、シクロオレフィンポリマー(COP-例:ZeonのZEONEX(登録商標)およびZEONOR(登録商標))、ポリオキシメチレン(POM-例:DuPontのDelrin(登録商標))、およびポリフェニレンサルファイド(PPS-例:SABIC)がある。メーカーが2番目の成形ショットに採用できる材料の例には、熱可塑性エラストマー(TPE)、スチレン系ポリマー、またはオレフィンベースのポリマー(Teknor ApexのMedalist(登録商標)、その他のスチレン系ポリマー、Polyone、Dynaflex、OnFlex、Versaflexのオレフィンベースのポリマーなど)、熱可塑性オレフィン(TPO)ベースのTPE(たとえば、DowのENGAGE(登録商標))、TPE(たとえば、Infuseの)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU-BASFのElastollan(登録商標)、またはLubrizolのPellethane(登録商標)など)がある。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、製造業者は、本体204およびアダプタ100を単一の成形ショットで形成することができる。
【0022】
本発明の実施形態を使用することにより、流体/ベース接続およびリザーバ/ポンプ接続でのチューブジョイントの寿命を改善することができる。チューブのジョイントに本発明の柔軟なインラインストレインリリーフアダプタを採用することにより、エンドユーザーまたは患者は、ラインセット不良の可能性を低くして、そうでなければジョイントに疲労が生じるような状況でも、製品の長期使用をすることができる。
【0023】
本発明のほんの少数の実施形態が示されおよび説明されてきたが、本発明は、説明された実施形態に限定されない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に他の変更を加えることもできることを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態、特徴および/または要素のうちの任意のものは、組み合わされる実施形態、特徴および/または要素が互いに矛盾しない限り、具体的に開示されない様々な付加的な組み合わせを形成するように互いに組み合わされてもよい。そのような変更および組み合わせの全ては、添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されるような本発明の範囲内であると考えられる。
【0024】
複数の実施形態の様々な態様は、独立して、またはそれらの組み合わせで使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6