(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電気化学FETセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/414 20060101AFI20240315BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240315BHJP
A61B 5/1473 20060101ALI20240315BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01N27/414 301V
G01N27/414 301U
G01N27/414 301L
G01N27/414 301R
G01N27/416 338
A61B5/1473
A61B5/1486
(21)【出願番号】P 2022502031
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 IB2020000568
(87)【国際公開番号】W WO2021009559
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522012592
【氏名又は名称】キューラブ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QuLab Medical Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】レフラー,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】タミル,イダン
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】マササ,ヒラ
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037407(WO,A1)
【文献】特表2018-538535(JP,A)
【文献】特表2015-531491(JP,A)
【文献】GINET Patrick et al.,CMOS-compatible fabrication of top-gated field effect transistor silicon nanowire-based biosensors,Journal of Micromechanics and Microengineering,2011年05月04日,Vol.21, No.6,Article No.065008
【文献】SHEN Mo-Yuan et al.,Silicon nanowire field-effect-transistor based biosensors: From sensitive to ultra-sensitive,Biosensors and Bioelectronics,2014年04月15日,Vol.60,pp.101-111
【文献】LIM Cheol-Min et al.,Improved sensing characteristics of dual-gate transistor sensor using silicon nanowire arrays defined by nanoimprint lithography,Science and Technology of Advanced Materials,2017年,Vol.18, No.1,pp.17-25
【文献】KRIVITSKY Vadim et al.,Cellular Metabolomics by a Universal Redox-Reactive Nanosensors Array: From the Cell Level to Tumor-on-a-Chip Analysis,Nano Letters,2019年03月18日,Vol.19,pp.2478-2488
【文献】PATOLSKY Fernando et al.,Fabrication of silicon nanowire devices for ultrasensitive, label-free, real-time detection of biological and chemical species,Nature Protocols,2006年11月16日,Vol.1, No.4,pp.1711-1724
【文献】SCHUTT Julian et al.,Compact Nanowire Sensors Probe Microdroplets,Nano Letters,2016年07月14日,Vol.16,pp.4991-5000
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/414,
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、
ソース端子、ドレイン端子、および複数のナノワイヤを備える電界効果トランジスタ増幅器であって、前記複数のナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を前記ドレイン端子に電気的に接続する電界効果トランジスタ増幅器と、
第1の側と、当該第1の側の反対側の第2の側とを有する絶縁体と、を備え、
前記作用電極は、前記絶縁体の前記第1の側に配置され、
前記電界効果トランジスタ増幅器が、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
これにより、前記絶縁体は、前記作用電極と、前記電界効果トランジスタ増幅器との間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
これにより、前記絶縁体は、前記分析物溶液と、前記電界効果トランジスタ増幅器との間の直接接触を防ぐように構成され、
前記作用電極は、化学種が前記分析物溶液中に存在する場合、前記電界効果トランジスタ増幅器の位置での電界の変化が誘発されるように構成され、
前記電界効果トランジスタ増幅器は、電界が変化すると、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の対応する変化が誘導されるように構成される、
センサ。
【請求項2】
前記作用電極、前記電界効果タトランジスタ増幅器、および前記絶縁体は、積み重ねられた構成である、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記作用電極、前記電界効果トランジスタ増幅器、および前記絶縁体は、平面内に並んで構成されている、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記作用電極材料が少なくとも1つの貴金属を備える、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記作用電極材料が金属を備える、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記センサの全体のサイズは、0.00005mm
2から0.005mm
2である、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記作用電極の露出部分は、1ミクロンから1,000ミクロンの主寸法を有する、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記複数のナノワイヤは、1から100個のナノワイヤを備える、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサは、前記作用電極上に配置されたヒドロゲルをさらに備え、前記ヒドロゲルは、前記分析物溶液中の分析物と相互作用するように構成された少なくとも1つの酵素を含む、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記酵素は、グルコースオキシダーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミナーゼオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、L-グルタミン酸、コリンオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、ペルオキシダーゼ、ラクケース、チロシナーゼ、3-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、またはグルタミン酸デヒドロゲナーゼの1つを含む、
請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは、β-d-グルコース、L-乳酸、グルタミン、コレステロール、グリセロール、ピルビン酸、エタノールL-グルタミン酸、コリンアセチルコリン、1-アスコルビン酸、コルチゾール、クレアチニン、クレアチニン、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸またはアセト酢酸の少なくとも1つと相互作用する酵素を含む、
請求項9に記載のセンサ。
【請求項12】
前記化学種は、過酸化水素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、アスコルビン酸、カフェイン、アセトアミノフェン、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)またはキノン補因子のうちの1つである、
請求項9に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センシングに関し、より具体的には、生物学的液体中の生物学的分析物を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液または他の溶液中のさまざまな化学的および生物学的分析物の検出は、アンペロメトリー、電位差測定、またはインピーダンスベースの技術を含む、確立された様々な電気化学的方法を使用して達成できる。
【0003】
多くの市販の3電極アンペロメトリーセンサには、作用電極、対電極、および参照電極が含まれる。一般的な設定では、3つの電極が分析物溶液と接触しているか、分析物溶液に浸されている。市販のアンペロメトリーセンサの主寸法は、通常、長さが約10mmである。アンペロメトリー技術の場合、固定電圧が参照電極と作用電極に印加され、特定の分析物のレドックス反応を促進し、作用電極と対電極の間に検出可能な電流を生成する。
【0004】
一方、従来、電位差測定技術は、電子の通過によって電気化学反応が発生することなく、2つのそのような電極間の電位を受動的に測定するように構成できる。 そのため、電位差測定では、測定対象の分析物は測定プロセスの影響を受けない。 従来、電位差測定センサは、作用電極と参照電極を含む2電極構成を最小限に使用して、溶液中のレドックス種の存在によって引き起こされる作用電極電位の変化を測定する。
【0005】
(本願は、国際出願PCT/IB2020/000568の日本国への国内移行出願であり、国際出願PCT/IB2020/000568に先行技術文献の記載がないため、「先行技術文献」の欄への記載ができません。)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この要約は、本発明の様々な態様の概要であり、以下の詳細な説明のセクションでさらに詳細に説明されるいくつかの概念を紹介している。この要約は、特許請求の範囲に係る主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に係る主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。前記主題は、明細書全体、一部またはすべての図面、および各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0007】
本開示の実施形態、以下のセンサに関し、前記センサは、
分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、
ソース端子、ドレイン端子、および複数のナノワイヤを備える増幅器であって、前記複数のナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を前記ドレイン端子に電気的に接続する増幅器と、
第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する絶縁体と、を備え、
前記作用電極は、前記絶縁体の前記第1の側に配置され、
(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、および(c)前記複数のナノワイヤが、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
これにより、前記絶縁体は、前記作用電極と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
これにより、前記絶縁体は、前記分析物溶液と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接接触を防ぐように構成され、
前記作用電極は、電子伝達メディエーターが前記分析物溶液中に存在する場合、前記複数のナノワイヤの位置での電界の変化が誘発されるように構成され、
前記複数のナノワイヤは、電界が変化すると、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の対応する変化が誘導されるように構成される。
【0008】
一実施形態では、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の距離は、10ミクロンから100ミクロンの範囲である。
【0009】
一実施形態では、前記絶縁体は、10ミクロンから1mmの範囲の厚さを有する。
【0010】
一実施形態では、前記複数のナノワイヤのそれぞれは、10ミクロンから100ミクロンの範囲の長さを有する。
【0011】
一実施形態では、前記作用電極、前記電界効果トランジスタ、および前記絶縁体は、積み重ねられた構成である。
【0012】
一実施形態では、前記作用電極材料は、金、チタン、または白金のうちの少なくとも1つを備える。
【0013】
一実施形態では、前記センサは、0.00005mm2から0.005mm2のフットプリントを有する。
【0014】
一実施形態では、前記作用電極は、1ミクロンから10,000ミクロンの主要な寸法を有する。
【0015】
一実施形態では、前記ナノワイヤは、正方形、長方形、三角形、または台形の断面のうちの1つを有する。
【0016】
一実施形態では、前記センサは、1から100個のナノワイヤを備える。
【0017】
一実施形態では、前記センサは、前記作用電極上に配置されたヒドロゲルをさらに備え、前記ヒドロゲルは、前記分析物溶液中の分析物と相互作用するように構成された少なくとも1つの酵素を含む。
【0018】
一実施形態では、前記酵素は、グルコースオキシダーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミナーゼオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、L-グルタミン酸、コリンオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼおよびアスコルビン酸オキシダーゼまたはクレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、ペルオキシダーゼ、ラクケース、チロシナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼまたはグルタミン酸デヒドロゲナーゼの1つを含む。
【0019】
一実施形態では、前記ヒドロゲルは、β-d-グルコース、L-乳酸、グルタミン、コレステロール、グリセロール、ピルビン酸、エタノールL-グルタミン酸、コリンアセチルコリン、1-アスコルビン酸、コルチゾール、クレアチニン、クレアチニン、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸またはアセト酢酸の少なくとも1つと相互作用するように構成される。
【0020】
一実施形態では、前記電子伝達メディエーターは、過酸化水素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、アスコルビン酸、カフェイン、アセトアミノフェン、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)およびフラビンモノヌクレオチド(FMN)またはキノン補因子のうちの1つである。
【0021】
一実施形態では、前記センサは、前記作用電極上に堆積された接着剤層をさらに備え、前記接着剤層は、ヒドロゲルを作用電極に接着するように構成される。
【0022】
一実施形態では、前記ナノワイヤのそれぞれは、1から500ナノメートルの範囲の直径を有する。
【0023】
本開示の実施形態はまた、マイクロプローブセンシングデバイスに関し、前記マイクロプローブセンシングデバイスは、複数のマイクロプローブと、第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する絶縁体と、を備えるマイクロプローブセンシングデバイスであって、
前記複数のマイクロプローブのぞれぞれは、分析物溶液に挿入されるように構成された先端と、前記先端に配置されたセンサとを含み、
各センサは、分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、増幅器とを備え、
前記増幅器は、ソース端末と、ドレイン端子、および複数の前記ナノワイヤを備え、
前記ナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を前記ドレイン端子に電気的に接続し、
前記ナノワイヤのそれぞれは、1から500ナノメートルの範囲の直径を有し、
前記作用電極は、前記絶縁体の前記第1の側に配置され、
(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、および(c)前記複数のナノワイヤは、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
前記絶縁体は、前記作用電極と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
それによって、前記絶縁体は、分析物溶液と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接接触を防ぐように構成され、
前記作用電極は、電子伝達メディエーターが分析物溶液中に存在する場合、前記複数のナノワイヤの位置での電界の変化が誘発されるように構成され、
前記複数のナノワイヤは、電界が変化すると、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の対応する変化が誘導されるように構成される。
【0024】
一実施形態では、前記複数のマイクロプローブ上の各センサは、前記作用電極を共有する。
【0025】
一実施形態では、前記複数のマイクロプローブは、少なくとも2つの電子伝達メディエーターを検出するように構成される。
【0026】
一実施形態では、前記複数のマイクロプローブが平行に配置されている。
【0027】
本開示の実施形態はまた、分析物溶液中のグルコースの存在を決定する方法に関し、前記方法は、
センシングデバイスの第1のマイクロプローブの先端および第2のマイクロプローブの先端を前記分析物溶液に挿入し、
前記第1および第2のマイクロプローブのそれぞれは、先端に配置されたセンサを含むみ、
各センサは、
分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、
ソース端子、ドレイン端子、および複数のナノワイヤを備える増幅器であって、前記ナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を、前記ドレイン端子に電気的に接続する増幅器と、
第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する絶縁体と、を備え、
前記作用電極は、前記絶縁体の第1の側に配置され、
(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、および(c)複数の前記ナノワイヤは、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
これにより、前記絶縁体は、前記作用電極と、(a)前記ソース端子、(b)ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
これにより、前記絶縁体は、前記分析物溶液と、(a)前記ソース端子、(b)ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの直接接触を防ぐように構成され、
前記第1のマイクロプローブの前記センサの前記作用電極は、その中に埋め込まれたヒドロゲルを含み、前記ヒドロゲルは、グルコースオキシダーゼを含み、
前記第1のマイクロプローブの前記センサの前記複数のナノワイヤの位置で、
(a)過酸化水素を形成する、グルコースオキシダーゼと分析物溶液中のグルコースとの反応により、および
(b)前記第1のマイクロプローブの前記センサの前記作動電極と、
(1)前記分析物溶液中に存在するレドックス種との、および
(2)前記グルコースオキシダーゼと前記グルコースとの反応によって形成される、
過酸化水素とのレドックス反応により、第1の電界に第1の変動を誘発し、
前記第2のマイクロプローブの前記センサの前記作用電極と、前記分析物溶液中に存在する前記レドックス種とのレドックス反応によって、前記第2のマイクロプローブの前記センサの前記複数のナノワイヤの位置で第2の電界に第2の変動を誘発し、
前記第1のマイクロプローブの前記センサの前記ソース端子と、前記第1のマイクロプローブの前記センサの前記ドレイン端子との間に、第1の電流の第1の変動を誘発し、前記第1の電流の前記第1の変動は、前記第1の電界の前記第1の変動に対応し、
前記第2のマイクロプローブの前記センサの前記ソース端子と、前記第2のマイクロプローブの前記センサの前記ドレイン端子との間に、第2の電流の第2の変動を誘発し、前記第2の電流の第2の変動は、前記第2の電界の前記第2の変動に対応し、
前記第1の電流の前記第1の変動と、前記第2の電流の前記第2の変動との間の差に基づいて、前記分析物溶液中に存在するグルコースの量を決定する。
【0028】
本開示の実施形態はまた、分析物溶液中に存在する干渉化学種の望ましくない検出を電気化学的に濾過するための方法に関し、前記方法は、
センシングデバイスの先端に配置されたセンサを分析物溶液に挿入し、
前記センサは、
前記分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、
ソース端子、ドレイン端子、および複数のナノワイヤを備える増幅器であって、前記複数のナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を前記ドレイン端子に電気的に接続する増幅器と、
第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する絶縁体と、を備え、
前記作用電極は、前記絶縁体の前記第1の側に配置され、
(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、および(c)前記複数のナノワイヤは、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
これにより、前記絶縁体は、前記作用電極と、(a)前記ソース端子、(b)ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
これにより、前記絶縁体は、前記分析物溶液と、(a)前記ソース端子、(b)ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの直接接触を防ぐように構成され、
前記作用電極は、前記化学種が前記分析物溶液中に存在する場合、前記複数のナノワイヤの位置での電界の変化が誘発されるように構成され、
前記複数のナノワイヤは、電界が変化すると、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の対応する変化が誘発されるように構成され、
前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の最小変動が、望ましくない前記化学種の存在によって誘導されるように、(a)バックゲート電圧と、(b)作用電極電圧と、(c)ソース電圧を調整する。
【0029】
本開示の実施形態はまた、感度およびドリフト補正をキャリブレーションするための方法に関し、前記方法は、
センシングデバイスの先端に配置されたセンサを分析物溶液に挿入し、
前記センサは、
前記分析物溶液と接触して配置されるように構成された作用電極と、
ソース端末、ドレイン端子、および複数のナノワイヤを備える増幅器であって、前記複数のナノワイヤのそれぞれが、前記ソース端子を前記ドレイン端子に電気的に接続する増幅器と、
第1の側および前記第1の側の反対側の第2の側を有する絶縁体と、を備え、
前記作用電極は、前記絶縁体の前記第1の側に配置され、
(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、および(c)前記複数のナノワイヤは、前記絶縁体の前記第2の側に配置され、
これにより、前記絶縁体は、前記作用電極と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接的な電気的接触を防ぐように構成され、
これによって、前記絶縁体は、前記分析物溶液と、(a)前記ソース端子、(b)前記ドレイン端子、または(c)前記複数のナノワイヤのいずれかとの間の直接接触を防ぐように構成され、
前記作用電極は、化学種が分析物溶液中に存在する場合、前記複数のナノワイヤの位置での電界の変化が誘発されるように構成され、
前記複数のナノワイヤは、電界が変化すると、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の対応する変化が誘発されるように構成され、
前記ソース端子と前記ドレイン端子の間の電流の最大変動が分析物の存在によって引き起こされるように。(a)バックゲート電圧、(b)作用電極電圧、および(c)ソース電圧を調整して、特定の分析物のセンサのパフォーマンスグラフで特異点を特定する。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。 ここで詳細に図面を具体的に参照して示される詳細は、例として、および本発明の実施形態の例示的な議論の目的のためである。 これに関して、図面とともに取られた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なシリコンナノワイヤ(SiNW)電界効果トランジスタ(FET)センサの概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のSiNW FETセンサのナノワイヤの例示的な断面形状の概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、酵素含有センシングヒドロゲルを備えた作用電極の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に従って実施された実験で使用されたSiNW FETシステムの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、レドックス反応に応答した、SiNW FETシステムのナノワイヤを横切る電流の変化のグラフである。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に従って実施された実験で使用されたSiNW FETシステムの別の概略図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、レドックス反応に応答した、SiNW FETシステムのナノワイヤを横切る電流の変化のグラフである。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による例示的なSiNW FETセンサの概略図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による例示的なSiNW FETセンサの概略図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なFETセンサが1mMの過酸化水素および342μMのアスコルビン酸溶液に導入されたときのIsd電流のグラフである。
【
図11】アスコルビン酸レドックス信号を調整するように調整された、本開示のいくつかの実施形態による例示的なFETセンサが、1mMの過酸化水素および342μMのアスコルビン酸溶液に導入されたときのIsd電流のグラフである。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、FETセンサをキャリブレーションするための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図13】インビトロ条件下での、本開示のいくつかの実施形態による、SiNW FETグルコースセンサのキャリブレーションされた応答のグラフである。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、異なる作用電極電圧でのリン酸緩衝液に対するSiNW FETセンサの応答のグラフである。
【
図15】さまざまな作用電極電圧での過酸化水素に対するSiNW FETセンサの応答のグラフである。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態によるマルチマイクロプローブセンシングチップの概略図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態によるマルチマイクロプローブセンシングチップの斜視図である。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングチップのマイクロプローブの拡大図である。
【
図19】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップのマイクロプローブの概略図である。
【
図20】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの作用電極のためのSiNW FETセンサーセットアップの概略図である。
【
図21】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの製造前のシリコンオンインシュレータウェーハの概略図である。
【
図22】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第1のステップの概略図である。
【
図23】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第2のステップの概略図である。
【
図24】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第3のステップの概略図である。
【
図25】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第4のステップの概略図である。
【
図26】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第5のステップの概略図である。
【
図27】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第6のステップの概略図である。
【
図28】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第7のステップの概略図である。
【
図29】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第8のステップの概略図である。
【
図30】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第9のステップの概略図である。
【
図31】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第10のステップの概略図である。
【
図32】本開示のいくつかの実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップの例示的な製造方法における第11のステップの概略図である。
【
図33】本開示のいくつかの実施形態による、経時的なSiNW FETセンサからの電流の流れを示すグラフである。
【
図34】本開示のいくつかの実施形態によるマルチマイクロプローブセンシングチップの拡大図である。
【
図35】本開示のいくつかの実施形態によるマイクロプローブセンシングシステムの概略図である。
【
図36】本開示のいくつかの実施形態によるマイクロプローブセンシングシステムのパッチ部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、または使用を制限することを決して意図するものではない。全体で使用されているように、範囲は、範囲内のすべての値を説明するための省略形として使用される。範囲内の任意の値を範囲の終点として選択できる。さらに、本明細書で引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照されることにより本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用文献の定義との間に矛盾がある場合、本開示が優先する。
【0033】
本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、添付の図面に関連して読むことを意図しており、これらは、書面による説明全体の一部と見なされるべきである。本明細書に開示される本発明の実施形態の説明において、方向または方向への言及は、単に説明の便宜のために意図されており、本発明の範囲を限定することを決して意図されていない。
【0034】
「下部」、「上部」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上の方」、「下の方」、「左」、「右」、「トップ」、「ボトム」などの相対的な用語 」およびその派生物(例えば、「水平方向」、「下向き」、「上向き」など)は、その時点で説明されている、または議論中の図面に示されている方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、明示的に示されていない限り、装置を特定の方向に構築または操作する必要はない。
【0035】
「取り付けられた」、「貼り付けられた」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」、「据え付けられた」などの用語は、特に明記されていない限り、可動または固定のアタッチメントまたは関係の両方と同様に、構造が介在する構造を介して直接的または間接的に相互に固定または取り付けられる関係を指す。
【0036】
明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0037】
「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などのような空間的または方向的な用語は、本発明が様々な代替の向きをとることができるので、限定的であると見なされるべきではない。
【0038】
明細書および特許請求の範囲で使用されるすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって変更されるものとして理解されるべきである。「約」という用語は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0039】
特に明記しない限り、本明細書に開示されるすべての範囲または比率は、そこに含まれるありとあらゆるサブ範囲またはサブ比率を包含すると理解されるべきである。たとえば、「1から10」という指定された範囲または比率は、最小値1と最大値10の間の(およびそれを含む)すべてのサブ範囲、つまり、1から6.1、3.5から7.8、5.5から10など、最小値が1以上で、最大値が10以下で終わるすべてのサブ範囲またはサブ比率を含むと見なす必要がある。
【0040】
「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序または年代順を指すことを意図するのではなく、代わりに、異なる条件、特性、または要素を指す。
【0041】
本明細書で参照されるすべての文書は、その全体が参照により組み込まれる。
【0042】
「少なくとも」という用語は、「以上」を意味する。 「~よりも大ではない」という用語は、「以下」を意味する。
【0043】
「含む」という用語は「備える」と同義である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「BGM」という用語は、血糖モニタリングを指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「CGM」という用語は、連続的なグルコースモニタリングを指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「作用電極」または「WE」という用語は、「フロントゲート電極」または「ウォーターゲート電極」とも呼ばれる。作用電極は、典型的には、金属、例えば、 金、堆積電極であり、電圧源に接続される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「作用電極電圧」または「WE電圧」という用語は、電圧源計/電位差計によってWEに印加される電位である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「仕事関数」または「WF」という用語は、固体から固体表面の外側の真空中の点まで電子を除去するために必要なエネルギーを表す。WFは電位、つまり、表面/界面の電位、たとえば、溶液内にあるWEでの表面/界面電位を表す。WFは、電子ボルトeVで測定される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「Isd」または「ソース-ドレイン電流」という用語は、半導体トランジスタをそのソース電極からそのドレイン電極に通過する電流を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「バックゲート」または「Bg」という用語は、ほとんどの場合、シリコンSOI(シリコンオンインシュレータ)ウェーハのボトム部(ハンドル)に配置される、より遠隔の(WEまたはフロントゲートに対して)電気バイアス電圧ゲートを指す。)。生物学的および電気化学的アプリケーションでは、FETのBgは溶液/分析物から電気的に分離される。
【0051】
本明細書で使用される場合、「相互コンダクタンスグラフ」という用語は、デバイスの出力を流れる電流をデバイスの入力を横切る電圧に関連付ける電気的特性を指す。相互コンダクタンス値は、フロント/バックゲート電位を連続的に変化(スイープ)しながらIsdを測定することによって得られる。
【0052】
本明細書で使用される場合、電界効果トランジスタ(FET)の「閾値電圧」または「Vth」という用語は、ソース端子とドレイン端子との間に導電経路を作成するために必要な最小のゲートからドレインへの電圧を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ワイヤ」という用語は、導電性を有する、すなわち、それ自体、それ自体上、および/またはそのバルク内で電荷を通過させる能力を有する任意の材料を指す。いくつかの実施形態では、ナノチューブとして定義される中空構造を使用することができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ナノワイヤ」という用語は、ナノスケールの細長い半導体ワイヤのような構造のタイプを指し、ほとんどの場合、固体のエッチングによって、または気相または液相からの触媒成長によってシリコン前駆体から形成される。例えば、いくつかの実施形態では、ナノワイヤは、「シリコンナノワイヤ」または「SiNW」であり得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「PB」という用語は、リン酸緩衝液を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「グルコースオキシダーゼ」または「GOX」という用語は、グルコースの過酸化水素およびD-グルコノ-δ-ラクトンへの酸化を触媒するオキシドレダクターゼである酵素を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「乳酸オキシダーゼ」または「LOX」という用語は、FMN(フラビンモノヌクレオチド)依存性アルファヒドロキシル酸酸化酵素を指す。この酵素は、溶存酸素の存在下でL-乳酸のピルビン酸への酸化を触媒し、過酸化水素を形成する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「電界効果トランジスタ」または「FET」という用語は、電流の流れを制御するために電界を使用する電子デバイスを指す。これは、ゲート端子に電圧を印加することによって実現される。これにより、ドレイン端子とソース端子の間の導電率が変化する。FETは、シングルキャリアタイプの動作を伴うため、ユニポーラトランジスタとしても知られている。多くの異なるタイプの電界効果トランジスタが存在する。電界効果トランジスタは一般に、低周波数で非常に高い入力インピーダンスを示す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ」または「MOSFET」という用語は、シリコンの制御された酸化によって最も一般的に製造される一種の電界効果トランジスタを指す。この電界効果トランジスタは、絶縁ゲートを有し、その電圧がデバイスの導電率を決定する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「相補型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ」または「CMOS-FET」という用語は、p型およびn型MOSFETの相補的かつ対称的なペアを使用する典型的な設計スタイルを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「イオン感応性電界効果トランジスタ」または「ISFET」という用語は、溶液中のイオン濃度を測定するために使用される電界効果トランジスタを指す。 イオン濃度(H+など、pHスケールを参照)が変化すると、それに応じてトランジスタを流れる電流も変化する。ここでは、溶液をゲート電極として使用する。基板と酸化物表面の間の電圧は、イオンシースによって発生する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「電気化学的検出」という用語は、試験化合物におけるレドックス反応または相互作用から生成される電流または電位の変化を検出することができる分析方法を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「酸化還元反応」または「レドックス反応」という用語は、2つの種の間の電子の移動を伴う化学反応のタイプを指す。酸化とは、分子、原子、またはイオンによる電子の喪失または酸化状態の増加を指し、「還元」とは、分子、原子、またはイオンによる電子の獲得または酸化状態の減少を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「アンペロメトリー」または「ボルタンメトリー」という用語は、化学用途で使用される場合、電流または電流の変化に基づく溶液中の化学種の検出を指す。たとえば、アンペロメトリーは、炭素繊維電極を使用して小胞放出イベントを研究するために電気生理学で使用される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「電位差測定」という用語は、化学用途で使用される場合、電位の変化に基づく溶液中の化学種の検出を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「アンペロメトリー滴定」という用語は、滴定反応によって生成される電流を測定することによって等量点の決定が行われるタイプの滴定を指す。アンペロメトリーは、滴定の等量点と終点の推定に使用できる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「電位差滴定」という用語は、レドックス反応の直接滴定に類似した技術である。これは、酸を特徴付ける便利な手段である。 インジケーターは必要ない。 代わりに、電位は分析物、通常は電解質溶液全体で測定される。
【0068】
本明細書で使用される場合、「非特異的センサ」または「キャリブレーションマイクロニードル」という用語は、酵素または分析物特異的膜を含まないヒドロゲル層を伴うまたは伴わないFETセンサを表す。このようなセンサの目的は、分析物中の化学種のバックグラウンド(基礎レベル)を検出することである。この非特異的センサは、別のセンサとして記録された実際の特異的測定からの固有のレドックスや温度効果など、組織内の環境変化を下部構造化するために使用される。
【0069】
本明細書で使用される場合、「化学種」という句は、化学プロセスまたは測定に供される原子、分子、分子フラグメント、イオンなどを表す。一般に、化学種は、定義された時間スケールで同じ分子エネルギーレベルのセットを探索できる化学的に同一の分子実体の集合として定義できる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「レドックス反応種」という句は、酸化還元剤または還元剤のいずれかとしてレドックス反応または還元酸化反応に関与することができ、別の物質の1つまたは複数の原子の酸化数を変更することができる部分または化合物を表す。このフレーズは、酸化剤と還元剤の両方を説明するために使用される。
【0071】
本明細書で使用される場合、「酸化剤(oxidizing agent)/酸化剤(oxidative agent)」または「酸化的部分(oxidizing moiety)/酸化的部分(oxidative moiety)」または「酸化種(oxidizing species)/酸化種(oxidative species)」とも交換可能に呼ばれる「酸化剤(oxidizer)」は、別の物質の1つまたは複数の原子の酸化数を上げることができる部分、種、または化合物を表す。典型的には、そのような変化は、他の物質から酸化部分または化合物へのプロトンの変換を伴う。説明したようなセンシングシステムを使用して検出するのに適した例示的な酸化剤には、活性酸素種(ROS)または活性酸素種によって生成される化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
活性酸素種には、酸素原子がフリーラジカル形態(不対電子を有する)である酸素含有分子および/またはイオン、または一重項状態の1つまたは酸素フリーラジカルまたは酸素を特徴とする種を容易に生成する分子またはイオンが含まれる。例には、オゾン、過酸化物、RO-、およびROO-が含まれるが、これらに限定されない。ここで、Rは有機部分または水素である。水またはその他の非プロトン性溶媒の存在下では、ROSは通常過酸化水素を生成する。したがって、過酸化水素または他の任意の過酸化物は、本発明のいくつかの実施形態による例示的な酸化剤である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「還元剤(reductant)」は、交換可能に「還元剤(reducing agent)/還元剤(reductive agent)」または「還元部分(reducing moiety)/還元部分(reductive moiety)」または「還元種(reducing species)/還元種(reductive species)」とも呼ばれ、別の物質の酸化数を減らすことができる部分、種、または化合物を表す。通常、このような変化には、還元剤から他の物質へのプロトンの変換が含まれる。
【0074】
還元剤には、例えば、1つまたは複数のプロトンの放出時に安定な陰イオンを形成する部分または種が含まれる。例示的なそのような薬剤には、例えば、1つまたは複数のプロトンを放出すると安定なエノラートアニオンを形成するヒドロキシル含有薬剤が含まれる。アミンオキシド基を含む化合物または部分は、例として本明細書に示されている。代表的な例として、N-アルキル-またはΝ、Ν-ジアルキル-ヒドロキシルアミン(例えば、DMHA)を挙げる。 他の既知の還元剤も企図される。
【0075】
本明細書で使用される場合、「デバイ長」は、有意な電荷分離が起こり得る距離を表す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、少なくとも20%、典型的には少なくとも50%、または少なくとも80%、および最大約99.99%(質量)の水を含む三次元繊維状ネットワークを表す。ヒドロゲルは、ほとんどが水であるが、液体分散媒体内の天然および/または合成高分子鎖で作られた三次元架橋固体様ネットワークにより、固体または半固体のように振る舞う材料と見なすことがでる。本発明のいくつかの実施形態によれば、ヒドロゲルは、それを調製するために使用される前駆体に応じて、様々な長さおよび化学組成のポリマー鎖を含み得る。ポリマー鎖は、化学結合(共有結合、水素結合、イオン/複合体/金属結合、通常は共有結合)によって相互接続(架橋)されたモノマー、オリゴマー、ブロックポリマーユニットで構成できる。ネットワーク形成材料は、セグメント間の相互接続(架橋)を備えた拡張された細長い構造を形成する小さな凝集分子、粒子、またはポリマーのいずれかを含む。架橋は、共有結合、協調的、静電的、疎水性、または双極子-双極子相互作用、またはネットワークセグメント間の鎖の絡み合いの形をとることができる。本実施形態の文脈において、ポリマー鎖は、好ましくは、本質的に親水性である。
【0077】
本発明の実施形態によると、ヒドロゲルは、生物学的起源のものであるか、または合成的に調製され得る。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ヒドロゲルは生体適合性であり、生物学的部分がその中に含浸または蓄積されるとき、活性は生物学的部分が維持される、すなわち、生物学的部分の活性の変化は 生理学的媒体中の生物学的部分の活性と比較して、30%以下、または20%以下、または10%以下である。生物学的部分は、センシング部分または分析物であり得る。
【0079】
本実施形態によるヒドロゲルを形成するために使用可能な例示的なポリマーまたはコポリマーには、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、および前述のいずれかのコポリマーが含まれる。他の例には、架橋基によって官能化された、または適合性のある架橋剤と組み合わせて使用可能な、ポリエーテル、ポリウレタン、およびポリ(エチレングリコール)が含まれる。
【0080】
いくつかの特定の非限定的な例には、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N、N'-メチレンビスアクリルアミド)、ポリ(N- (N-プロピル)アクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシアクリルアミド)、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、およびデキストラン、アルギン酸塩、アガロースなどの多糖類、および 前述の任意のコポリマーが含まれる。
【0081】
いくつかの実施形態において、そのようなポリマー鎖を形成するヒドロゲル前駆体は、それらの任意の組み合わせを含めて企図される。
【0082】
ヒドロゲルは、典型的には、二官能性または三官能性または多官能性のモノマー、オリゴマーまたはポリマーから形成されるか、またはそれらの存在下で形成され、これらは集合的にヒドロゲル前駆体またはヒドロゲル形成剤と呼ばれ、2、3またはそれ以上の重合性基を有する。複数の重合性基の存在は、そのような前駆体を架橋可能にし、三次元ネットワークの形成を可能にする。
【0083】
例示的な架橋性モノマーには、限定されないが、2つまたは3つの重合性官能基を有するジおよびトリアクリレートモノマーのファミリーが含まれ、そのうちの1つは架橋性官能基と見なすことができる。例示的なジアクリレートモノマーには、限定されないが、メチレンジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)nジメタクリレート(nEGDMA)のファミリーが含まれる。例示的なトリアクリレートモノマーには、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)エステル、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリチルトリアクリレートおよびグリセロールトリアクリレート、ホスフィニリジントリス(オキシエチレン)トリアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
ヒドロゲルは、柔らかく、もろくて弱いものから、硬くて弾力性があり丈夫な材料までの範囲の物理的形態をとることがある。ソフトヒドロゲルは、弾性および粘弾性パラメータを含むレオロジーパラメータによって特徴付けられ得るが、ハードヒドロゲルは、これらの用語が当技術分野で知られているように、引張強度パラメータ、弾性、貯蔵および損失弾性率によって適切に特徴付けられる。
【0085】
ヒドロゲルの柔らかさ/硬さは、とりわけ、ポリマー鎖の化学組成、「架橋度」(鎖間の相互接続されたリンクの数)、水性媒体の含有量と組成、および温度によって支配される。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態によると、ヒドロゲルは、主要な架橋ネットワークに化学的に接続されていないが、むしろ機械的に絡み合っている、および/またはその中に浸漬されている高分子ポリマーおよび/または繊維要素を含み得る。そのような高分子繊維要素は、織られる(例えば、メッシュ構造のように)か、または不織布であり得、そしていくつかの実施形態では、ヒドロゲルの繊維ネットワークの補強材料として役立つことができる。そのような高分子の非限定的な例には、ポリカプロラクトン、ゼラチン、ゼラチンメタクリレート、アルギン酸塩、アルギン酸塩メタクリレート、キトサン、キトサンメタクリレート、グリコールキトサン、グリコールキトサンメタクリレート、ヒアルロン酸(HA)、HAメタクリレート、および他の非架橋の天然または合成高分子鎖などが含まれる。本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、そのような非架橋添加剤の量は少量であり、典型的には、1mlのヒドロゲル形成前駆体溶液中で100mgを超えない。
【0087】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは多孔性であり、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの細孔の少なくとも一部はナノ細孔であり、ナノスケール範囲で平均体積を有する。
【0088】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、ヒドロゲルは、ヒドロゲルとナノ構造の表面上の適合性反応性基との間に形成される共有結合によって、直接またはリンカーを介して、ナノ構造の表面に共有結合する。
【0089】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、交換可能に「標的分析物」または「標的分子」とも呼ばれ、以下のような小分子および生体分子を含む化学的および生物学的種を包含するが、ただしペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドに限定されない。
【0090】
いくつかの実施形態において、サンプルは、本明細書に記載されるような生物学的サンプルであり、分析物は、生体分析物、すなわち、生物学的システム、例えば、本明細書に定義される対象の生物学的システムに存在する化学的または生物学的種である。
【0091】
いくつかの実施形態では、分析物という用語は、爆発物、麻薬、および他の危険物を指すことができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、バイオアナライトはバイオマーカーである。
【0093】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」という用語は、対象における疾患または障害の存在および/または重症度を示す化学的または生物学的種を説明する。例示的なバイオマーカーには、代謝産物などの小分子、および抗原、ホルモン、受容体、および任意の他のタンパク質などの生体分子、ならびにポリヌクレオチドが含まれる。 病状の存在および/または重症度を示す他の種が企図される。
【0094】
本明細書で使用される場合、「親和性部分」という用語は、所定の親和性、好ましくはマーカーまたはバイオマーカーに特異性をもって結合する分子を指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、「アミンオキシド」という用語は、-N(OR ')(R' ')または-N(OR')-基を説明し、ここで、R'およびR”は、本明細書で定義される通りである。この用語は、アミンオキシドが上記で定義されているように末端基である場合は-N(OR')(R”)基を指し、この句が上で定義されているように、アミンオキシドは末端基である。
【0096】
本明細書に記載の基、部分または化合物が置換されるときはいつでも、置換基は、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、 本明細書で定義される、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジンおよびヒドラジンであり得る。
【0097】
本明細書で使用される場合、「配位子」という用語は、中心の金属原子に結合して配位錯体を形成するイオンまたは分子(官能基)を意味する。金属との結合は、一般に、配位子の電子対の1つまたは複数の正式な寄付を伴う。
【0098】
本明細書で使用される場合、「過酸化物」という用語は、構造R-O-O-Rを有する化合物の群を説明する。[1]過酸化物のO-O基は、過酸化物基またはペルオキソ基と呼ばれる。 酸化物イオンとは対照的に、過酸化物イオンの酸素原子の酸化状態は-1である。
【0099】
本明細書で使用される場合、「カロメル」という用語は、式Hg2Cl2を有する塩化水銀鉱物を表す。カロメルは、飽和カロメル電極内の金属水銀と塩化物溶液の間の界面として使用され、これは、電気化学で溶液のpHと電位を測定するために使用される。ほとんどの電気化学測定では、電気化学セルの電極の1つを一定の電位に保つ必要がある。このいわゆる参照電極は、作用電極の電位の制御を可能にする。
【0100】
本明細書で使用される「Pt電極」という用語は、水素を容易に吸着することができ、不活性金属であることがセルの作動中のレドックス反応に関与しないために使用される白金電極を表す。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化物」および「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、1つまたは複数のハロゲン化物でさらに置換された、上記で定義されたアルキル基を表す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「硫酸塩」という用語は、-O-S(=O)2-OR'末端基を表し、この用語は上記で定義される通りであり、また、-O-S(=O)2-O-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りである。ここで、R'は上記で定義されているとおりである。
【0104】
本明細書で使用される場合、「チオ硫酸塩」という用語は、-O-S(=S)(=O)-OR'末端基または-O-S(=S)(=O)-O-結合基を表し、これら句は上記で定義されている通りであり、R'は上記で定義された通りである。
【0105】
本明細書で使用される場合、「亜硫酸塩」という用語は、-O-S(=O)-O-R'末端基または-O-S(=O)-O-基連結基を表し、これら句は上記で定義されている通りであり、ここで、R'は上記で定義された通りである。
【0106】
本明細書で使用される場合、「チオサルファイト」という用語は、-O-S(=S)-O-R'末端基または-O-S(=S)-O-基連結基を表し、これら句は上記で定義されている通りであり、ここで、R'は上記で定義された通りである。
【0107】
本明細書で使用される場合、「スルフィン酸塩」という用語は、-S(=O)-OR'末端基または-S(=O)-O-基連結基を表し、これらの句は上記で定義されてとおりであり、ここで、R'は 上記で定義されている通りである。
【0108】
本明細書で使用される場合、「スルホキシド」または「スルフィニル」という用語は、-S(= O)R'末端基またはn-S(= O)-結合基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R'は上記で定義されている通りである。
【0109】
本明細書で使用される場合、「スルホン酸」という用語は、-S(=O)2-R'末端基または-S(=O)2-結合基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、ここで、R 'は本明細書で定義されている通りである。
【0110】
本明細書で使用される場合、「S-スルホンアミド」という用語は、-S(=O)2-NR'R”末端基または-S(= O)2-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R’およびR”は本明細書で定義されている通りである。
【0111】
本明細書で使用される場合、「N-スルホンアミド」という用語は、R'S(=O)2-NR”-末端基または-S(=O)2-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R’およびR”は本明細書で定義されている通りである。
【0112】
本明細書で使用される場合、「ジスルフィド」という用語は、-S-SR'末端基または-S-S-結合基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R’は本明細書で定義されている通りである。
【0113】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「カルボニル」または「カーボネート」という用語は、-C(= O)-R'末端基または-C(= O)-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R’は本明細書で定義されている通りである。
【0114】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「チオカルボニル」という用語は、-C(= S)-R'末端基または-C(=S)-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りであり、R'は本明細書で定義されているとおりである。
【0115】
本明細書で使用される場合、「オキシム」という用語は、=N-OH末端基または=N-O-連結基を表し、これらの句は上記で定義されている通りである。
【0116】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を表す。
【0117】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-O-アルキルおよび-O-シクロアルキル基の両方を表す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-O-アリールおよび-O-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0119】
本明細書で使用される場合、「チオヒドロキシ」という用語は、-SH基を表す。
【0120】
本明細書で使用される場合、「チオアルコキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-S-アルキル基および-S-シクロアルキル基の両方を表す。
【0121】
本明細書で使用される場合、「チオアリールオキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-S-アリールおよび-S-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0122】
本明細書で使用される場合、「シアノ」という用語は、-C≡N基を表す。
【0123】
本明細書で使用される場合、「イソシアネート」という用語は、-N=C=O基を表す
【0124】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NO2基を表す。
【0125】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化アシル」という用語は、上記で定義されるように、R””がハロゲン化物である-(C=O)R””基を表す。
【0126】
本明細書で使用される場合、「アゾ」または「ジアゾ」という用語は、-N=NR'末端基または-N=N-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'は、上記で定義される通りである。
【0127】
本明細書で使用される場合、「C-カルボキシレート」という用語は、-C(=O)-OR '末端基または-C(= O)-O-結合基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'は本明細書で定義される。
【0128】
本明細書で使用される場合、「O-カルボキシレート」という用語は、-OC(=O)R'末端基または-OC(=O)-結合基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'は本明細書で定義されている通りである。
【0129】
本明細書で使用される場合、「C-チオカルボキシレート」という用語は、-C(=S)-OR'末端基または-C(=S)-O-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'は本明細書で定義されている通りである。
【0130】
本明細書で使用される場合、「O-チオカルボキシレート」という用語は、-OC(=S)R'末端基または-OC(=S)-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'は本明細書で定義されている通りである。
【0131】
本明細書で使用される場合、「N-カルバメート」という用語は、R''OC(=O)-NR'-末端基または-OC(=O)-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR"は本明細書で定義されている通りである。
【0132】
本明細書で使用される場合、「O-カルバメート」という用語は、-OC(=O)-NR'R''末端基または-OC(=O)-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0133】
本明細書で使用される場合、「O-チオカルバメート」という用語は、-OC(=S)-NR'R''末端基または-OC(=S)-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0134】
本明細書で使用される場合、「N-チオカルバメート」という用語は、R''OC(=S)NR'-末端基または-OC(=S)NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0135】
本明細書で使用される場合、「S-ジチオカルバメート」という用語は、-SC(=S)-NR'R''末端基または-SC(=S)NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0136】
本明細書で使用される場合、「N-ジチオカルバメート」という用語は、R''SC(=S)NR'-末端基または-SC(=S)NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0137】
本明細書で使用される場合、本明細書で「尿素」とも呼ばれる「尿素」という用語は、-NR'C(=O)-NR''R'''末端基または-NR'C(=O)-NR''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りであり、R'''は本明細書でR'およびR''について定義されている通りである。
【0138】
本明細書で使用される場合、本明細書で「チオ尿素」とも呼ばれる「チオ尿素」という用語は、-NR'-C(=S)-NR''R'''末端基または-NR'-C(=S)-NR''-連結基を表し、R'、R''およびR'''は、本明細書で定義される通りである。
【0139】
本明細書で使用される場合、「C-アミド」という用語は、-C(=O)-NR'R''末端基または-C(=O)-NR'-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0140】
本明細書で使用される場合、「N-アミド」という用語は、R'C(=O)-NR''-末端基またはR'C(=O)-N-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0141】
本明細書で使用される場合、「グアニル」という用語は、R'R''NC(=N)-末端基または-R'NC(=N)-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'およびR''は本明細書で定義されている通りである。
【0142】
本明細書で使用される場合、「グアニジン」という用語は、-R'NC(=N)-NR''R'''末端基または-R'NC(=N)-NR''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0143】
本明細書で使用される場合、「ヒドラジン」という用語は、-NR'-NR''R'''-末端基または-NR'-NR''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''、およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0144】
本明細書で使用される場合、「シリル」という用語は、-SiR'R''R'''末端基または-SiR'R''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''のそれぞれは本明細書で定義されている通りである。
【0145】
本明細書で使用される場合、「シロキシ」という用語は、-Si(OR')R''R'''末端基または-Si(OR')R''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''のそれぞれは本明細書で定義されている通りである。
【0146】
本明細書で使用される場合、「シラザ」という用語は、-Si(NR'R'')R'''末端基または-Si(NR'R'')-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''のそれぞれは本明細書で定義されている通りである。
【0147】
本明細書で使用される場合、「テトラオルトシリケート」という用語は、-O-Si(OR')(OR'')(OR''')末端基または-O-Si(OR')(OR'')-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0148】
本明細書で使用される場合、「ヒドラジド」という用語は、-C(=O)-NR'-NR''R'''末端基または-C(=O)-NR'-NR''-連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0149】
本明細書で使用される場合、「チオヒドラジド」という用語は、-C(=S)-NR'-NR''R'''-末端基または-C(=S)-NR'-NR'' -連結基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0150】
本明細書で使用される場合、「メチレンアミン」という用語は、-NR'-CH2-CH=CR''R'''-末端基または-NR'-CH2-CH= CR''-結合基を表し、これらの句は上記で定義される通りであり、R'、R''およびR'''は本明細書で定義されている通りである。
【0151】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、センシングに関するものであり、より具体的には、以下のような分析物の存在および/または量を決定するための方法およびシステムに関する。ただし、生物学的サンプルなどのサンプル中の生物分析物、およびそれらの使用に限定されない。当業者は、本開示が、その適用において、以下の説明に記載され、および/または図面および/または実施例に示される構成要素および/または方法の詳細および/または配置に必ずしも限定されないことを理解するであろう。本開示は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実施または実施することができる。
【0152】
本発明は、トランジスタのゲートの電極が作用電極として直接作用する電界効果トランジスタ(FET)の使用に関する。本発明では、作用電極としてゲートの電極を使用することにより、様々な電極電位、および/またはそれらの任意の組み合わせを適用することによって、感度、特異性、および選択性を高めることができる。したがって、印加される電位は、分析される特定のレドックス種の電位と一致するように調整することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、化学的に不活性な不動態化層を使用して、レドックス種との直接相互作用からゲート酸化物材料を分離することにより、分析物-ゲート相互作用が排除される。この不動態化層は、イオン、pH、およびその他の溶液の影響を劇的に低減するだけでなく、ゲート表面の劣化による信号のドリフトを防ぐことができる。さらに、このセットアップでシリコンナノワイヤ(SiNW)ベースのFETを使用することにより、本開示のいくつかの実施形態によれば、優れたセンサ感度が実証されている。本開示のいくつかの実施形態によれば、優れたセンサ感度は、SiNWの表面積対体積比が高いために達成される。
【0153】
通常、市販のセンサはアンペロメトリー測定に依存しているため、ノイズレベルを超える電流を許容するために作用電極で十分な電子を収集する必要がある。対照的に、本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示のノワイヤに敏感なFETのセットアップでは、作用電極への小さな電位差測定の変化が、以下でさらに詳細に説明するように、隣接するFETにかなりの検出可能な電流変化を生成する。したがって、ナノワイヤに敏感なFETは、市販の電気化学センサと比較して、本開示のいくつかの実施形態によれば、小型化されたフットプリントを有し、FETを以下のようなコンパクトなデバイスに配置することを可能にする。ただし、間質液中の代謝物やその他の化学物質の配列をセンシングすることを目的としたマイクロプローブまたは低侵襲マイクロプローブに限定されない。本開示のいくつかの実施形態によれば、そのような小さなフットプリントのセンサの感度は、既存の電気化学センサと比較した場合、比類のないものである。さらに、本開示のいくつかの実施形態によれば、そのような小さなセンサを使用する別の利点は、0.1mm2、または0.5mm2、または1.0mm2または2.0mm2よりも小さい面積を有するセンサアレイを形成する能力であり、複数の異なる分析物を並行して検出できる。
【0154】
別の実施形態では、MOSFETベースの技術を使用してナノワイヤセンシング要素を置き換えることができ、分析物溶液と接触する作用電極としてMOSFETの金属ゲートを有する。さらに別の実施形態では、CMEXベースの技術を使用して、分析物溶液と接触する作用電極としてCMEXの金属ゲートを有するナノワイヤセンシング要素を置き換えることができる。
【0155】
(FETセンサ)
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、作用電極、絶縁体、およびFET増幅器を含む、メディエーターを含まない、レドックス調整可能な、電気化学的FET増幅センシングシステム(FETセンシングシステム)が提供される。本開示の実施形態による、FETセンシングシステムは、サンプル、例えば、生物学的サンプル中の分析物の存在および/または量を検出するように構成される。
【0156】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示の例示的な実施形態による、調整可能な電位差測定レドックスFETセンサ100の概略図である。FETセンサ100は、作用電極102として使用されるゲート電極と、少なくとも1つのナノワイヤ110によってドレイン端子108に接続されたソース端子106を含むFET増幅器104とを備える。
図1に示されるように、FET増幅器104は、化学的および電気的絶縁体114によって作用電極102および分析物溶液120から絶縁されている。図に示されるように、分析物溶液120は、ウェル壁143によって規定されるウェル144内に位置している。作用電極102をFET増幅器104からこのように分離することにより、作用電極102を、FET増幅器104と分析物溶液120との間の接触なしに、ウェル144内の分析物溶液120内に配置することができる。実施電極102のみを分析物溶液120に露出させたまま、絶縁体114によって分析物溶液120からFET増幅器104を物理化学的に分離することは、FETセンサ100の特異性を高め、少なくとも、説明されるように、望ましくないFET電位ドリフトを低減する。以下でさらに詳しく説明する。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態では、作用電極102は、電圧源124に接続された単一の作用電極である。本発明のいくつかの実施形態では、作用電極102は、チタン、タンタル、および/またはカーボンなどの腐食に対して非常に耐性がある、例えば、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、または同様の貴金属などの貴金属を備える。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態では、露出した作用電極102の主寸法は、長さが約200マイクロメートルである。主寸法とは、表示された平面で最も長い寸法である。たとえば、丸線の断面の主寸法は、断面の円形の直径である。要素の長方形の断面の主寸法は、長方形の対角線の長さである。要素の三角形の断面の主寸法は、三角形の底辺の長さである。他の実施形態では、作動電極102の主寸法は、1ミクロンから10,000ミクロン、または100ミクロンから10,000ミクロン、または750ミクロンから10,000ミクロン、または1,500ミクロンから10,000ミクロン、または2,500ミクロンから10,000ミクロン、または5,000ミクロンから10,000、あるいは7,500ミクロンから10,000ミクロンである。
【0159】
いくつかの実施形態では、作用電極102の主寸法は、1ミクロンから12,000ミクロンである。他の実施形態では、作動電極102の主寸法は、1ミクロンから10,000ミクロン、または1ミクロンから7,500ミクロン、または1ミクロンから5,000ミクロン、または1ミクロンから2,500ミクロン、または1ミクロンから1,000ミクロン、または1ミクロンから500ミクロン、または1ミクロンから250ミクロンである。
【0160】
他の実施形態では、作用電極102の主寸法は、50ミクロンから約250ミクロンである。他の実施形態では、作用電極102の主寸法は、100ミクロンから750ミクロン、または750ミクロンから5,000ミクロン、または250ミクロンから7,000ミクロン、または2,500ミクロンから3,000ミクロン、または1,000ミクロンから3,000ミクロン、または150ミクロンから8,000ミクロンである。
【0161】
作用電極102は、分析物溶液120中の分析物118と相互作用するように構成される。具体的には、分析物118から作用電極102への電子移動があり、これは、FET増幅器104によって検出される電界を生成する。本発明のいくつかの実施形態では、この電子移動は、作用電極102と分析物118との間のレドックス反応の結果である。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態では、レドックス反応は、
図3に示されるように、作用電極102上に堆積された酵素含有センシングヒドロゲル116のために起こる。具体的には、センシングヒドロゲル116およびヒドロゲル中の酵素の量は、分析物溶液120中の分析物118と接触すると、レドックス分子が生成され、作用電極電位のシフトをもたらすように選択される。
【0163】
本明細書で定義されるように、「ヒドロゲル」は、少なくとも20%、または少なくとも50%、または少なくとも80%、および最大約99.99%(質量)の水を含む三次元繊維状ネットワークである。ヒドロゲルは、ほとんどが水であるが、液体分散媒体内の天然および/または合成高分子鎖で作られた三次元架橋固体様ネットワークにより、固体または半固体のように振る舞う材料と見なすことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒドロゲルは、それを調製するために使用される前駆体に応じて、様々な長さおよび化学組成のポリマー鎖を含み得る。ポリマー鎖は、化学結合(共有結合、水素結合、イオン/複合体/金属結合、通常は共有結合)によって相互接続(架橋)されたモノマー、オリゴマー、ブロックポリマーユニットで構成できる。
【0164】
本実施形態によるセンシングヒドロゲル116を形成するために使用可能な例示的なポリマーまたはコポリマーには、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、および前述のいずれかのコポリマーが含まれる。他の例には、ポリエーテル、ポリウレタン、官能化ポリ(エチレングリコール)、レドックスヒドロゲル(Og-複合体ベースのレドックスヒドロゲルなど)、およびマクロマーが含まれる。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態では、センシングヒドロゲル116は、任意選択の接着剤層(図示せず)を介して作用電極102に接着される。接着剤層のいくつかの例には、ポリウレタン、自己組織化単分子膜、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態におけるセンシングヒドロゲル116は、分析物溶液120においてセンシングされる特定の対応する分析物118と相互作用する少なくとも1つのタイプの酵素128を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、センシングヒドロゲル116内の酵素は、グルコースオキシダーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミナーゼオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼおよびアスコルビン酸オキシダーゼまたはクレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、ペルオキシダーゼ、ラクケース、チロシナーゼまたは3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロナーゼを含む。酵素は、酵素が特定の分析物118、例えば、β-d-グルコース、L-乳酸、グルタミン、コレステロール、グリセロール、ピルビン酸、エタノールL-グルタミン酸、コリンアセチルコリン、1-アスコルビン酸、コルチゾール、クレアチン、クレアチニン、2-ヒドロキシブチレートまたは3-ヒドロキシブチレート、と相互作用するように選択され、例えば、過酸化水素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)およびフラビンモノヌクレオチド(FMN)およびキノン補因子などの電子伝達補因子を形成する。補因子は、鉄硫黄クラスターなどの無機物、またはヘムなどの有機金属物である可能性がある。したがって、これらの実施形態では、電子輸送補因子の形成は、作用電極電位の電気的シフトを引き起こし、その結果、FET増幅器104に影響を与える周囲の電界の変化をもたらす。フェリシアニドやフェロセン、メチレンブルー、フェナジン、メチルバイオレット、アリザリンイエロー、プルシアンブルー、チオニン、アズールAおよびC、トルイジンブルー、無機レドックスイオンなどのメディエーターをサンプルに添加するか、電極表面に固定化できる。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態では、追加の制限膜を作用電極102上に堆積させて、分析物118の拡散速度および/または濃度の制御を提供することもできる。本発明のいくつかの実施形態において、制限膜は、ナフィオン、酢酸セルロース、ポリピロール、ポリウレタン、キトサン、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、HAs/ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)およびポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)/PDDAなどの半透膜119である。これらの半透膜119はまた、例えば、尿酸、乳酸、アスコルビン酸、アセトアミノフェンおよび酸素などの干渉種の検出を減少させることができる。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態では、共重合体マトリックスに埋め込まれた、酢酸セルロース殺生物剤、ホスホリルコリン(PC)置換メタクリレート単位を含むポリマー、抗菌性N-ハラミンポリマー、フルオロアルキルジオール含有ポリウレタン、ポリ(エーテル)グラフト化ポリ(ウレタン)、およびヘキサメチルジシロキサン/02のプラズマポリマー、エポキシ樹脂、ナフィオン、ポリペプチド、ポリ(エチレングリコールPEG)、ポリグリセロール(PG)、多糖類、ポリオキサゾリン、ポリ(プロピレンスルホキシド)、2-メタクリロイル-ロキシエチルホスホリルコリン(MPC)、ポリ(ホスホエステル)、ビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、および、ホスホリルコリン、ポリ(カルボキシ-ベタインアクリルアミド)(pCBAA)、スルホベタインまたはカルボキシベタインポリマーのような双性イオン性ポリマー、のような防汚層は、センシングヒドロゲル116への分析物拡散の目詰まりおよび混乱を防ぐために使用することができる。
【0169】
図1に戻ると、FET増幅器104は、少なくとも1つのナノワイヤ110によって接続されたソース端子106およびドレイン端子108を含む。作用電極102の電界の近くに、少なくとも1つのナノワイヤ110を横切って、ソース端子106からドレイン端子108への電流の連続的な流れがある。しかしながら、例えば、作用電極102の上部にあるセンシングヒドロゲル116に含まれ、半透過性膜119および分析物118と接触している酵素128による生体分析物の酵素的レドックス反応によって生成されるレドックス種による周囲電界の変化は、少なくとも1つのナノワイヤ110を横切って流れる電流の増加または減少をもたらし得る。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のナノワイヤを使用することができる。複数のナノワイヤが使用される場合、ナノワイヤは、本発明のいくつかの実施形態では、アレイに配置される。例えば、ナノワイヤは、互いにほぼ平行に配置することができる。本発明のいくつかの実施形態では、FET増幅器は、1ナノワイヤから100ナノワイヤ、または1ナノワイヤから90ナノワイヤ、または1ナノワイヤから90または1ナノワイヤから75ナノワイヤ、または1ナノワイヤから60ナノワイヤ、または1ナノワイヤから45ナノワイヤ、または1ナノワイヤから25ナノワイヤ、または1ナノワイヤから10ナノワイヤ、または1ナノワイヤから5ナノワイヤを含み得る。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態では、FET増幅器は、5ナノワイヤから100ナノワイヤ、または15ナノワイヤから100ナノワイヤ、または30ナノワイヤから100ナノワイヤ、または40ナノワイヤから100ナノワイヤ、または55ナノワイヤから100ナノワイヤ、または70ナノワイヤから100ナノワイヤ、または85ナノワイヤから100ナノワイヤ、または95ナノワイヤから100ナノワイヤを含み得る。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態では、FET増幅器は、15ナノワイヤから65ナノワイヤ、または2ナノワイヤから7ナノワイヤ、または10ナノワイヤから15ナノワイヤ、または12ナノワイヤから25ナノワイヤ、または35ナノワイヤから55ナノワイヤを含み得る。
【0173】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、1ナノメートルから500ナノメートル、または50ナノメートルから500ナノメートルまで、または150ナノメートルから500ナノメートルまで、または200ナノメートルから500ナノメートルまで、または250ナノメートルから500ナノメートルまで、または375ナノメートルから500ナノメートルまで、または450ナノメートルから500ナノメートルまでの平均直径を有する円形断面を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、円形断面の平均直径は、1ナノメートルから450ナノメートルまで、または1ナノメートルから400ナノメートルまで、または1ナノメートルから300ナノメートルまで、または1ナノメートルから250ナノメートルまで、または1ナノメートルから200ナノメートルまで、または1ナノメートルから150ナノメートルまで、または1ナノメートルから100ナノメートルまで、または1ナノメートルから50ナノメートルである。
【0175】
いくつかの実施形態では、円形断面の平均直径は、10ナノメートルから50ナノメートルまで、または150ナノメートルから400ナノメートルまで、または50ナノメートルから300ナノメートルまで、または100ナノメートルから250ナノメートルまで、または200ナノメートルから250ナノメートルまで、または100ナノメートルから150ナノメートルまで、または400ナノメートルから450ナノメートルまで、または350ナノメートルから450ナノメートルまでである。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、非円形の断面を有し得る。例えば、少なくとも1つのナノワイヤ110の断面は、任意の形状、これらに限定されないが、円形、正方形、長方形、楕円形、管状を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、規則的または不規則な形状の断面を有し得る。
図2は、本開示の実施形態による、少なくとも1つのナノワイヤ110のいくつかの例示的な断面を示している。例えば、ナノワイヤは、これらに限定されないが、楕円形111、半楕円形113、長方形115、六角形117、または台形119を含み得る。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、5ナノメートルから1000ナノメートル、または25ナノメートルから1000ナノメートル、
または50ナノメートルから1000ナノメートル、または75ナノメートルから1000ナノメートル、または100ナノメートルから1000ナノメートル、または150ナノメートルから1000ナノメートル、または200ナノメートルから1000ナノメートル、または300ナノメートルから1000ナノメートル、または500ナノメートルから1000ナノメートル、または700ナノメートルから1000ナノメートル、または800ナノメートルから1000ナノメートル、または900ナノメートルから1000ナノメートルの非円形断面主寸法を有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、5ナノメートルから900ナノメートル、または5ナノメートルから800ナノメートル、または5ナノメートルから700ナノメートル、または5ナノメートルから600ナノメートル、または5ナノメートルから500ナノメートル、または5ナノメートルから400ナノメートル、
または5ナノメートルから300ナノメートル、または5ナノメートルから200ナノメートル、または5ナノメートルから150ナノメートル、または5ナノメートルから100ナノメートル、または5ナノメートルから50ナノメートル、または5ナノメートルから25ナノメートル、または5ナノメートルから10ナノメートルの非円形主要寸法を有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、10ナノメートルから100ナノメートル、または25ナノメートルから75ナノメートル、または250ナノメートルから750ナノメートル、または300ナノメートルから500ナノメートル、または100ナノメートルから400ナノメートル、または50ナノメートルから150ナノメートルの非円形主寸法を有する。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、1ミクロンから500ミクロンの範囲の長さを有する。本明細書で定義されるように、長さは、ソース端子106に接続された第1の端部からドレイン端子108に接続された第2の端部まで延びる少なくとも1つのナノワイヤの寸法である。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、10ミクロンから500ミクロン、または50ミクロンから500ミクロン、または100ミクロンから500ミクロン、または150ミクロンから500ミクロン、または200ミクロンから500ミクロン、または250ミクロンから500ミクロン、または300ミクロンから500ミクロン、または400ミクロンから500ミクロンの範囲の長さを有する。
【0181】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、1ミクロンから400ミクロン、または1ミクロンから300ミクロン、または1ミクロンから250ミクロン、または1ミクロンから200ミクロン、または1ミクロンから100ミクロン、または1ミクロンから50ミクロン、または1ミクロンから25ミクロン、または1ミクロンから10ミクロンの範囲の長さを有する。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、10ミクロンから50ミクロン、または50ミクロンから150ミクロン、または25ミクロンから100ミクロン、または300ミクロンから400ミクロン、または75ミクロンから200ミクロン、または5ミクロンから75ミクロンの範囲の長さを有する。
【0183】
電界感度を高めるために、本開示のいくつかの実施形態では、FET増幅器104は、シリコンナノワイヤ(SiNW)を含む。本開示のいくつかの実施形態では、SiNWは、それらの著しく高い表面積対体積比のために、周囲の電界の小さな変化に応答する。たとえば、ナノワイヤの平らな部分が基板と接触している半円筒形のナノワイヤを想定すると、半円筒半径Rは50ナノメートル(nm)であり、ナノワイヤの長さLは10ミクロン、つまり、10,000ナノメートルである。半円筒ナノワイヤの体積は、V=Pi/2*R2*Lであり、半円筒の表面積は、S=2*Pi/2*R*Lである。表面積対体積比は比率(表面積/体積)=2/R=1/25=0.04nm-1である。
【0184】
別の例では、正方形の断面を有するナノワイヤを想定し、正方形の辺の長さSLは50nmであり、ナノワイヤの長さLは10ミクロン、すなわち10,000nmである。ナノワイヤの体積は、V=SL2*Lであり、基板と接触していないナノワイヤの表面積、つまり長方形要素の3つの面は、S=3*SL*Lである。表面積対体積比は、比率(表面積/体積)=3/SL=3/50=0.06nm-1である。
【0185】
一実施形態では、表面積対体積比(表面積/体積)は、1.000nm-1未満、または0.800nm-1未満、または0.500nm-1未満、または0.250nm-1未満、または0.100nm-1未満、または0.080nm-1未満、または0.040nm-1未満、または0.020nm-1未満、または0.010nm-1未満、または0.005nm-1未満、または0.003nm-1未満、または0.002nm-1未満である。したがって、ソース-ドレイン電流(Isd)フローの変化は最小限の損失で発生し、優れたセンサ感度を提供する。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、
図2に示されるように、少なくとも1つのナノワイヤ110は、基板の上に吊るされ得る。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態では、典型的なFETセンサとは異なり、現在のFETセンサ100の少なくとも1つのナノワイヤ110は、以下でさらに詳細に説明するように、分析物118と接触せず、システム設計の柔軟性と同様に多くの性能上の利点を提供する。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110の表面は、化学的に不動態化されている。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110の表面は、化学的に不動態化され、分析物溶液120から生じる電気的ノイズを低減する。他の実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤがカプセル化されている。他の実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤはカプセル化され、電気的および化学的に分離され、環境または溶液から保護される。他の実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110は、金属酸化物、ポリマー、および/または他の絶縁体のコーティングでカプセル化されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノワイヤ110のカプセル化は、少なくとも1つのナノワイヤ110の敏感な表面の化学修飾と同様に、作用電極102の信号と、分析物118と少なくとも1つのナノワイヤ110との直接接触から生じ得る信号による分離をもたらす。また、少なくとも1つのナノワイヤ110を積み重ねられた構成でカプセル化することにより、作用電極120を少なくとも1つのナノワイヤ110の上に配置することができ、
図9に示され、以下に説明するように、形状係数の低減を可能にする。
【0188】
一実施形態では、カプセル化は、少なくとも1つのナノワイヤを絶縁体で覆うことによって達成される。一実施形態では、少なくとも1つの覆われたナノワイヤが絶縁体内に埋め込まれている。
【0189】
図1に示されるように、本発明のいくつかの実施形態では、FETセンサ100は、作用電極102に印加される電圧の調整を可能にするバックゲート電極126をさらに含む。この実施形態では、バックゲート電極126は、シリコンベースの電極である。
図1に示されるように、バックゲート電極126は、FET増幅器104の下に配置され、これを支持する誘電体酸化物層130によって、FET増幅器104から分離されている。FETセンサ104の選択性は、バックゲート電極126を使用して調整され、作用電極102に異なる電圧設定を印加することによって、異なるレドックス種を特異的にセンシングすることができる。さらに、誘電体酸化物層130によって分析物溶液120からバックゲート電極126を物理化学的に分離することは、FETセンサ100の特異性をさらに高め、望ましくないレドックス電位ドリフトを排除する。
【0190】
図4~7は、本発明のいくつかの実施形態における、FETセンサ100の一般的な作用メカニズムを示している。具体的には、レドックス種と開示されたデバイスとの相互作用は、作用電極102に関して、eVの単位で特定の仕事関数(WF)を形成する。これは、作用電極の初期電位バイアスに応じて、3つの可能な結果のうちの1つにつながる。最初に考えられる結果は、WFと作用電極電位が等しい場合に発生する(ΦWF=ΦWF)。ここでは、全体の電位は変化しないため、隣接するFETIsdは変化しない。
【0191】
2番目に考えられる結果は、WFが作用電極電位よりも高い場合に発生する(ΦWF>ΦWE)。この状況では、全体的な電位が加算され、P型半導体ではIsdが減少し、N型半導体ではIsdが増加する。
図4-5は、P型半導体でIsdが還元される2番目のシナリオ、つまり少なくとも1つのナノワイヤ110を示している。この構成では、分析物Aは作用電極の正分極をもたらし、隣接するP型シリコンナノワイヤ110での自由電荷キャリア(+)の枯渇をもたらし、それによってドレイン端子108を流れる電流を減少させる。この電流の減少を
図5のグラフに示す。
【0192】
3番目に考えられる結果は、WFが作用電極電位よりも低い場合に発生する(ΦWF<ΦWE)。この状況では、全体的な電位は、作用電極102とWFとの間の差を表し、その結果、P型半導体ではIsdが増加し、N型半導体ではIsdが減少する。
図6-7は、P型半導体(シリコンナノワイヤ110)でIsdが増加するこの3番目のシナリオを示している。この構成では、分析物Bは、作用電極102の負の分極を引き起こし、隣接するシリコンナノワイヤ110に自由電荷キャリア(+)を蓄積させ、それにより、ドレイン端子108を流れる電流を増加させる。この電流の増加を
図7のグラフに示す。
【0193】
前述のように、開示されたFETセンサ100のセットアップは、部分的にはシリコンナノワイヤの使用のために、優れたセンサ感度を有する。市販のセンサはアンペロメトリー測定に依存するが、作用電極で十分な数の電子を収集して、電気ノイズレベルを超える電流信号を提供する必要がある。さらに、市販のセンサは通常、分析物溶液と接触する少なくとも2つの電極を必要とする。これにより、電気ノイズが増加し、センサの寸法も増加する。たとえば、一般的な市販のセンサの長さは約10mmである。対照的に、シリコンナノワイヤに敏感なFETセンサ100では、作用電極102への小さな電位差測定の変化が、隣接するFET増幅器104にかなりの電流上昇を生成する。アンペロメトリーセンサと比較して、この増加した電流上昇のために、本発明のいくつかの実施形態では、FETセンサ100は、約0.0025mm2(0.05x0.05mm)の小型化されたフットプリントを有し得る。他の実施形態では、FETセンサ100は、0.00005mm2から0.005mm2、または0.00006mm2から0.005mm2、または0.0001mm2から0.005mm2、または0.0005mm2から0.005mm2、または0.001mm2から0.005mm2の小型化されたフットプリントを有する。
【0194】
他の実施形態では、FETセンサ100は、0.00005mm2から0.001mm2、または0.00005mm2から0.0005mm2、または0.00005mm2から0.0001mm2、または0.00005mm2から0.00006mm2の小型化されたフットプリントを有し得る。
【0195】
他の実施形態では、FETセンサ100は、0.0001から0.001mm2、または0.0025から0.0005mm2、または0.0006から0.001mm2の小型化されたフットプリントを有し得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、FETセンサ100は、約0.2mmの長さの小型化された主要な長さを有する。他の実施形態では、FETセンサ100は、0.1mmから1.5mm、または0.1mm~1.3mm、または0.1mm~1.1mm、または0.1mm~0.9mm、または0.1mm~0.7mm、または0.1mm~0.5mm、または0.1mmから0.3mmの小型化された主要長さを有する。
【0197】
いくつかの実施形態では、FETセンサ100は、0.3mmから1.5mm、または0.5mmから1.5mm、または0.7mm~1.5mm、または0.9mm~1.5mm、または1.1mm~1.5mm、または1.3mmから1.5mmの小型化された主要長さを有する。
【0198】
他の実施形態では、FETセンサ100は、0.3mmから1.1mm、または0.7mm~0.9mm、または0.9mm~1.3mm、または0.5mm~1.1mm、または0.3mm~0.5mm、または0.5mm~1.1mm、または0.7mmから1.3mmの小型化された主要長さを有する。FETセンサ100の主要な長さは、間質液中の複数の異なる代謝物および他の化学物質をセンシングすることを目的としたマイクロプローブまたは低侵襲マイクロプローブなどのコンパクトなデバイスにFETセンサ100を配置することを可能にする。現在のFETセンサ100の小型化されたサイズを
図8に見ることができる。
【0199】
図9は、本発明のいくつかの実施形態における、調整可能な電位差測定レドックスFETセンサ200のコンパクトな層状設計を示しており、少なくとも1つのナノワイヤ210が化学的および電気的絶縁体214で覆われているために形状係数が低減されている。この実施形態では、少なくとも1つのシリコンナノワイヤ(SiNW)210がソース端子およびドレイン端子に接続されて、FET増幅器104と同様に、FET増幅器204を形成する。しかしながら、この実施形態では、FET増幅器204、作用電極202、および化学的および電気的絶縁体214は、積み重ねられた構成にある。具体的には、作用電極202は、FET増幅器204上に積み重ねられた絶縁体214上に積み重ねられる。絶縁体214は、FET増幅器204を、作用電極202およびウェル244内の分析物溶液220から分離する。ウェルは、図に示すように、ポリマーウェル壁243によって定義される。さらに、この実施形態では、FETセンサ200、バックゲート電極226および誘電体酸化物層230は、
図9に示されるように、両方のFET増幅器204の下に配置され、よりコンパクトなセンサ設計およびフォームファクタの低減を提供する。
【0200】
(FETセンサのキャリブレーション)
本発明におけるキャリブレーションプロセスの1つの目的は、作用電極の性能がロバストで十分に敏感である電圧値または電圧値範囲を特定することである。場合によっては、校正プロセスにより、作用電極のこの性能レベルをサポートするバックゲート電極の電圧値または電圧値範囲も特定される。
【0201】
本発明のいくつかの実施形態では、キャリブレーションプロセスは、様々な理由で必要とされ得る。たとえば、複数のFETセンサが使用されている場合、異なる製造ロットのデバイス間で違いが生じることがある。また、同じ製造ロット内では、センサの性能に違いがある場合がある。 他の例では、パフォーマンス曲線が類似した形状を持っているが、何らかの方法でシフトしている可能性がある複数のセンサを操作するときに、キャリブレーションが必要になる場合がある。さらに、場合によっては、センサのパフォーマンスが、天然素材の劣化や環境または外部要因によって変動する可能性があり、これは、キャリブレーションによって説明できる。
【0202】
本発明の一態様では、ロバストなセンサ性能により、センサは、標的分析物を繰り返しかつ一貫して識別することができ、他の材料およびノイズの影響を受けない。本発明の別の態様では、キャリブレーションプロセスは、所与の分析物についてのセンサの性能グラフにおける特異点を特定することに基づいている。特異点は、特定の分析物に対するセンサの応答(つまり、Isd電流の変化)が最小化されるか、目立たなくなる電圧値または小さな電圧範囲である可能性がある。
【0203】
本発明のいくつかの実施形態では、特定の分析物に対するセンサの感度は、電圧レベルが特異点での電圧値から増加または減少するにつれて増加する。一例では、特異点は、応答グラフのピークまたは谷として識別できる。山または谷の側面では、応答は非常に敏感である。これは、たとえば、応答グラフの一次導関数の分析で見ることができる。山または谷では、一次導関数の値はゼロである。 山または谷の側では、一次導関数の絶対値はゼロより大きくなる。つまり、センサの応答が強化される。したがって、高感度の場合、作用電極電圧は、特異点電圧+/-オフセット電圧レベルに等しい値に優先的に設定される。
【0204】
例示的な実施形態では、キャリブレーションプロセスは2つのモードを含む。特異点電圧の識別が特定の作用電極電圧のバックゲート電圧を変更することによって達成される「粗キャリブレーションモード」と、特異点電圧の識別が行われる「微調整キャリブレーションモード」とが、与えられた固定バックゲート電圧に対して、作用電極電圧を変更することによって達成される。ただし、2つのモード間に相互作用があり、キャリブレーションモードのシーケンスが重要になる場合がある。特異点電圧の最終決定は、特定の固定バックゲート電圧に対して微調整モードで行う必要がある。
【0205】
特異点電位が決定されると、オフセット電圧がバックゲート電圧と作用電極電圧に印加される。オフセット電圧レベルと方向も分析物固有であり、実験を通じて経験的に決定される。例えば、本発明の一実施形態では、過酸化水素センシングの場合、典型的な作用電極オフセットは、約+/-0.2から0.5vであり、一般的なバックゲートオフセットは、約+/-0.5~1vである。これらのオフセットは、センサ性能に対する堅牢性と感度、つまり、目的の分析物に対する一貫した高い応答を提供する。
【0206】
図10~11は、本発明のいくつかの実施形態において、対象の物質のみが分析物溶液中で検出されるように、センサの適切な調整が干渉する可能性のある物質または化学種の濾過を提供する方法の例を提供する。具体的には、
図10~11は、一例では、アスコルビン酸レドックスによる干渉を防ぐ方法を示している。
図10と
図11のメトグラフは、1mM過酸化水素と342uMアスコルビン酸溶液に導入されたときの同じデバイスのIsd電流記録を示している。ただし、バックゲート電圧(VBg)と作用電極電圧(VWE)は異なる。
図10では、VBg=-1v、VWE=-0.2である。 これらの設定を使用すると、過酸化水素の存在により電流レベルが上昇するが、アスコルビン酸に対するセンサの応答は低下する。
【0207】
図12は、本発明のいくつかの実施形態における、例示的なキャリブレーション工程のフローチャートである。モード1、バックゲート粗キャリブレーションモードでは、作用電極電圧を一定に保ちながら、バックゲート電圧を変更する。各バックゲート電圧設定で、特異点が特定されるまで応答が確認される。次に、バックゲートの動作電圧は、特異点が識別される電圧レベル+/-電圧オフセットに等しい電圧レベルに設定される。バックゲートの粗キャリブレーションが完了すると、作用電極電圧の微調整キャリブレーションが開始される場合がある。
【0208】
図12のモードIと水平の点線で区切られたモードIIでは、作用電極の微調整キャリブレーションは、バックゲート電圧を一定に保ちながら作用電極の電圧を変更することによって実行される。各作用電極の電圧設定で、特異点が特定されるまで応答が分析される。作用電極の電圧は、特異点が+/-電圧オフセットで識別された電圧レベルに等しい電圧レベルに設定される。
【0209】
場合によっては、作用電極の微調整キャリブレーションのみを含む部分キャリブレーションで十分な場合がある。たとえば、センサが過去にキャリブレーションされており、定期的なキャリブレーションが予定されている場合、動作中のセンサのパフォーマンスを検証するための運用上の動機がある場合、または、センサコンポーネントの機能が低下することが懸念される場合である。バックゲートの粗キャリブレーションは、主に新しいセンサに適用するか、作用電極の微調整キャリブレーション手順で特異点を特定できない状況で適用できる。
【0210】
図13は、本発明のいくつかの実施形態における、この例では、異なるグルコース濃度(リン酸緩衝液中)に対するインビトロ条件下でのグルコースセンサのキャリブレーションされた応答のグラフを示す。見てわかるように、グラフはグルコース濃度のlog2に対して線形であり、濃度が増加するにつれて電流が増加し、正規化されたセンサは信号を示している。
【0211】
図14は、本発明のいくつかの実施形態において、作用電極電圧が-0.7Vから0.7Vの範囲にわたって掃引されるときの作用電極電圧(WE)に対してプロットされた電流(Isd)のグラフを示す。各トレースは、上記と同じセンサユニットによって繰り返し記録された電流レベルを表す。
図14に示すサンプルでは、センサがリン酸緩衝液(PB)にさらされている間に電流が記録され、作用電極でレドックス反応が発生しなかった。その結果、
図14に示す電流のプロットは、比較的滑らかな曲線に従う。同様の実験で、同じセンサが1mM過酸化水素溶液にさらされている間に電流が記録され、レドックス反応が発生した。その結果、測定電流にばらつきが生じた。見られるように、変曲点は、約-0.2Vの平衡電圧で存在し、最大電流上昇応答は約0.05Vであり、最大電流上昇応答は約-0.45Vである。その結果、このような電圧スイープは、-0.2Vを変曲点として識別する。これは、過酸化水素に対するセンサの応答を低下させる(たとえば、調整する)電圧設定である。これらの発見は、例示的な離散固定電圧実験とよく相関しており、その結果を
図15に示す。
【0212】
グラフからわかるように、異なるWE電位で分析対象物をPBと過酸化水素の間で切り替えると、3つの異なるレジームを観察できる。グラフから、-0.2vのWE電圧では、過酸化水素の導入に応じたIsdの正味の変化は無視できることがわかる。これは、電圧掃引実験で観察された変曲点と相関している(
図15)。約0~0.1VのWE電圧では、過酸化水素に応答して目に見える正味のIsd電流上昇があり、これは0.05vで
図15に見られる最大電流上昇応答と相関している。WE電圧が約-0.3v~-0.4vの場合、過酸化水素に応答して正味のIsd電流が減少する。
【0213】
(マルチマイクロプローブセンシングチップ)
図16~20は、本開示の例示的な実施形態による、マルチマイクロプローブセンシングチップ132を示している。
図16~19に見られるように、センシングチップ132は、センシングチップ132のブリッジ部分134から外向きに延びる少なくとも1つのセンシングマイクロプローブ136を含む。少なくとも1つのセンシングマイクロプローブ136は、マイクロプローブ142の先端をブリッジ部分134に接続する本体140を有する。マイクロプローブの先端142は、円錐形、円筒形、管状形、およびピラミッド形を含むがこれらに限定されない任意の形状を有することができる。一実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136の先端142は、それが低侵襲性の皮膚貫通マイクロプローブを形成するように鋭利である。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136は真っ直ぐであるが、真っ直ぐではない形状(例えば、湾曲したマイクロプローブ、フック形状のマイクロプローブ、またはセミフック形状のマイクロプローブ)も企図される。少なくとも1つのマイクロプローブ136は、マイクロプローブアレイのブリッジ部分134から垂直に突出することができる。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136は、センシングチップ132のブリッジ部分134に取り付けられた、またはそれと一体のベース138を有し、本体140は、センシングチップ132のブリッジ部分134から離れて延びる。先端142は、基部138の遠位にある本体140の遠位にある。
【0214】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136は、中空であるか、またはその中に埋め込まれたウェル144を備えており、少なくとも1つのマイクロプローブ136が、少なくとも1つのマイクロプローブ136の外側の媒体と流体を交換することを可能にするための少なくとも1つの開口部が含まれている。
図20は、その遠位部分にウェル144を備えたセンシングマイクロプローブ136の一部を示す拡大概略図である。遠位ウェルアーキテクチャの別の実施形態では、FETセンシング要素は、誘電体材料に埋め込まれるなどの別の環境/コンパートメントに配置することができ、センサのウェル部分での分析物レドックス活性の結果としてWE電位のセンシングを可能にする。
【0215】
本明細書で使用される「ウェル」という用語は、いくつかの実施形態では、断面の円形、長方形、または楕円形の開口部を有する流体コンパートメントを指す。いくつかの実施形態では、開口部は、主寸法が0.1 mm未満、または0.3mm未満、または0.5mm未満、または0.7mm未満、または0.9mm未満、または1.1mm未満、または1.3mm未満、または1.5mm未満である。いくつかの実施形態では、楕円形の開口部は、主寸法の90%未満、または80%未満、または70%未満、または60%未満、または50%未満、または40%未満、または30%未満、または20%未満の小さな寸法を有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、開口部は、0.1mm、0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1.1mm、1.3mmまたは1.5mm未満の主要寸法を有する実質的に長方形の形状である。いくつかの実施形態では、実質的に長方形の開口部は、主寸法の90%、または80%、または70%、または60%、または60%、または50%、または40%、または30%または20%未満の副寸法を有する。
【0217】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブは、先端に開口部を有する。本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロプローブまたはその一部は、多孔性であり得る。あるいは、少なくとも1つのマイクロプローブは、その本体に形成された1つまたはいくつかの開口部のみを備えた非多孔性であり得る。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブは、非分解性材料を含む。
【0218】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブの直径は、バクテリアが貫通傷に侵入することを可能にする穴を開けることを避けるため、約1μm未満の残留穴(マイクロプローブの挿入および引き抜き後)を残すように選択される。貫通部分の長さは、本発明のいくつかの実施形態では、貫通部分が、例えば、角質層を超えて皮膚を貫通することを可能にするように選択される。本発明のいくつかの実施形態では、貫通部分の長さは、真皮層ではなく、生存可能な表皮層に先端を配置するように選択される。例示的な実施形態では、貫通部分の長さは、0.05mmから1mmまで、または0.05mmから0.8mmまで、または0.05mmから0.75mmまで、または0.05mmから0.6mmまで、または0.05mmから0.5mmまで、または0.05mmから0.4mmまで、または0.05mmから0.3mmまで、または0.05mmから0.25mmまで、または0.05mmから0.15mmまでである。
【0219】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通部分の長さは、0.05mmから1mm、または0.15mmから1mm、または0.2mmから1mm、または0.35mmから1mm、または0.45mmから1mm、または0.5mmから1mm、または0.75mmから1mm、または0.85mmから1mm、または0.9mmから1mmである。
【0220】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通部分の長さは、0.35mmから0.75mm、または0.55mmから0.65mm、または0.75mmから0.95mmである。他の実施形態では、貫通部分の長さは、1mm未満、または2mm未満、または3mm未満、または4mm未満、または5mm未満である。
【0221】
センシングチップは、金属、セラミック、半導体、有機物、ポリマー、複合材料など、さまざまな材料で構成できるが、これらに限定されない。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態では、マイクロプローブアレイは、様々な長さのマイクロプローブ、ベース部分の材料、本体部分の直径(すなわち、ゲージ)、先端部分の形状、マイクロプローブ間の間隔、コーティングなどを含む。
【0223】
本発明のいくつかの実施形態では、各マイクロプローブ136は、マイクロプローブ136の遠位部分に配置されているが、これに限定されないFETセンサ100を含む。本発明のいくつかの実施形態による、少なくとも1つのマイクロプローブ136上に配置されたFETセンサ100の拡大概略図が
図20に示されている。図に示されるように、各マイクロプローブ136は、マイクロプローブ136が分析物に浸漬されるときに、その中に集まる分析物溶液120と接触するようにウェル144に配置される作用電極102を含む。作用電極102は、少なくとも1つのマイクロプローブ136の長さの少なくとも一部をセンシングチップ132の主要部分134まで延びるトレース137を含む。いくつかの実施形態では、作用電極102およびトレース137は、同じ材料で形成されている。いくつかの実施形態では、作用電極102および/またはトレース137の一部は、覆われるか、またはカプセル化され得る。
図20に示されるように、センシングチップ132の主要部分134上で、少なくとも1つのFET増幅器104が、作用電極102のすぐ近くに配置されている。上記のように、FET増幅器104は、ソース端子106、ドレイン端子108、およびソース端子とドレイン端子106、108を接続する少なくとも1つのナノワイヤ110を含む。例示的な実施形態では、各FETセンサ100は、多代謝物センシング能力を達成するために、上記の酵素が埋め込まれたセンシングヒドロゲル116などの異なる分析物固有の材料を使用して機能化されるように設計される。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、各FETセンサは、少なくとも1つのマイクロプローブ136に埋め込まれた作用電極102に取り付けられたセンシングヒドロゲル116を含み得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136は、それぞれ2つのFETセンサ100を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、FETセンサ100は、作用電極102の電気的変化を検出する2つ以上のFET増幅器104を含む。
【0225】
本発明のいくつかの実施形態では、チップは、キャリブレーションに使用される1つまたは複数のマイクロプローブを含み、これらはまた、少なくとも1つのセンシングマイクロプローブと同様に、主要部分から外向きに突出している。キャリブレーションマイクロプローブは、少なくとも1つのセンシングマイクロプローブと同じ構造を有し得るが、本発明のいくつかの実施形態では、分析物溶液中の分析物と反応するように構成された酵素または任意の部分を含むヒドロゲルを欠いている。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、キャリブレーションマイクロプローブは、生体分析物以外の物質に親和性を有する部分を有するヒドロゲルを含む。あるいは、キャリブレーションマイクロプローブは、非センシング部分または酵素を有するヒドロゲルを有し得る。
【0226】
図21~32は、本発明のいくつかの実施形態における、マイクロチップ製造の例示的な方法を示している。
図21に示されるように、例示的な実施形態では、埋め込み酸化物層150および極薄シリコンデバイス層(例えば、<100nm)152を備えたシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェーハ148が使用される。デバイス層は、例えば、10
15~10
17原子/ cm
3のドーパント濃度を有し得る。
【0227】
ステップ1では、
図22に示されるように、シリコンデバイス層152は、eビーム、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーまたは他の同等のナノリソグラフィー技術を介してリソグラフィー的にパターン化される。次に、デバイス層152は、湿式異方性化学エッチングまたは反応種を用いた乾式プラズマベースのシリコンエッチングを介してエッチングされて、少なくとも1つのナノワイヤ110またはナノワイヤアレイを形成することができる。
【0228】
ステップ2において、少なくとも1つのナノワイヤ110が形成された後、
図23に示されるように、バックゲート126が、埋め込まれた酸化物層150を通してエッチングされる。具体的には、バックゲート126は、リソグラフィーでパターン化され、次に、フォトリソグラフィー、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーを介して、埋め込まれた酸化物層150を通してエッチングされる。次に、埋め込まれた酸化物層150は、反応性種を用いた湿式等方性化学エッチングまたは乾式プラズマベースの二酸化ケイ素エッチングによってエッチングされる。
【0229】
図24に示されるステップ3では、フォトリソグラフィー、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーが、作用電極102および結合パッド190のレジストをリソグラフィーでパターン化するために使用される。具体的には、金属スタックは、蒸着、スパッタリング、または電着を介して、リソグラフィーでパターン化されたレジストに堆積される。金属スタックには、接着とケイ化物形成のための初期層と、環境にさらすための貴金属層が含まれている。本発明のいくつかの実施形態では、初期層は、チタン、ニッケル、またはTiNのうちの1つである。
【0230】
図25に示されるステップ4において、天然二酸化ケイ素は、湿式等方性エッチングまたは乾式エッチングによってエッチングされ、金属スタック194が、金属スタックとナノワイヤ、この実施形態では、SiNW110との間にナノワイヤ接点196を形成するための蒸発、スパッタリングまたは電着を介して、リソグラフィーでパターン化されたレジストに堆積される。いくつかの実施形態では、金属スタック194は、接着およびケイ化物形成のための初期層(Ti、NiまたはTiN)と、電気抵抗が低い第2の金属層(Al、AlSi、AlSiCu、Pd、Au、Cu、またはAg)と、次の不動態化層への接着を改善するための3番目の最上層(Ti、Al、Cr)を含む。
【0231】
図26に示されるステップ5において、少なくとも1つのナノワイヤ接点(図示せず)は、不活性窒素またはアルゴン雰囲気中で、または形成ガスを用いて、急速熱アニーリング(RTA)を受けることができる。RTAによって誘発されたケイ化物の形成は、ナノワイヤ接触の界面体積197への変換をもたらす。
【0232】
図27に示すステップ6において、不動態化層188は、原子層堆積(ALD)、誘導結合プラズマ-化学蒸着(ICP-CVD)またはテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を介して電気的分離のために堆積される。本発明のいくつかの実施形態における不動態化層188は、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素または酸窒化ケイ素のうちの1つを備える。
【0233】
図28に示されているステップ7では、フォトリソグラフィー、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーを介して、レジストがウェーハの裏側にリソグラフィーでパターン化されている。バックゲートハンドル198は、湿式異方性シリコンエッチングまたはプラズマベースの異方性ディープシリコンエッチング(DSE)を介してシリコンでエッチングされる。
【0234】
図29~30に示されるステップ8では、開口174は、不動態化層188上にリソグラフィーでパターン化されている。次に、開口174は、等方性湿式化学エッチングまたは反応種を用いたプラズマベースの乾式エッチングを介して不動態化層188を通してエッチングされ、作用電極102、バックゲート電極126、および少なくとも1つのナノワイヤ110を露出させる。このエッチングは、少なくとも1つのナノワイヤ110の貴金属を環境にさらす。
【0235】
図31に示されるステップ9では、厚い永久フォトレジスト192が、フォトリソグラフィー、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーを介してリソグラフィーでパターン化されて、ウェル144を形成する。本発明のいくつかの実施形態では、フォトレジスト192は5から50ミクロンの範囲にある。本発明のいくつかの実施形態では、フォトレジスト192は、SU-8またはポリイミドで形成されている。
【0236】
図31に示されるステップ10において、レジストは、フォトリソグラフィー、ステッパーまたはスキャナーリソグラフィーを介してリソグラフィーでパターン化され、ウェル144およびウェル壁143、少なくとも1つのマイクロプローブおよびマイクロチップを規定する。次に、不動態化層は、反応種を用いた湿式化学エッチングまたはプラズマベースの乾式エッチングによってエッチングされる。埋め込み酸化物層は、ウェットケミカルエッチングまたは反応種を使用したプラズマベースのドライエッチングでもエッチングされ、ハンドル層のシリコンは、プラズマベースの異方性ディープシリコンエッチング(DSE)でエッチングされる。
【0237】
最後に、
図32に示されるステップ11において、特異化されたマイクロチップ132は、マイクロチップ132をウェーハに接続するタブを破壊することによってシリコンウェーハから除去される。
【0238】
図33は、本発明のいくつかの実施形態において、使用中に、単一のFETセンサ100を備えたマイクロチップ132が、例えば、化学種の異なる濃度を経時的にどのように測定できるかを示す。この実施形態では、FETセンサ100は、過酸化水素を測定するように調整されている。
図33は、経時的な単一のFETセンサ100からの電流の記録を示している。測定は、固定された作用電極電圧の下で行われた。グラフから分かるように、過酸化水素濃度を変化させると、FET増幅器104を流れる電流レベルが変化する。具体的には、過酸化水素濃度の増加は電流レベルの減少をもたらし、過酸化水素濃度の減少は電流レベルの増加をもたらす。たとえば、過酸化水素濃度を10μMから1mMに変更すると、電流レベルが約150nAから70nAに減少する。
【0239】
図34は、本発明のいくつかの実施形態において、この例では、分析物溶液中のグルコース、乳酸塩およびアスコルビン酸(AA)を監視するように構成されたマルチマイクロプローブセンシングチップ132の例示的なセットアップを示す。この実施形態では、マルチマイクロプローブセンシングチップは、それぞれがFETセンサを含む6つのマイクロプローブを含む。例示的な実施形態は、グルコース、乳酸塩およびアスコルビン酸を検出するように構成されたデバイスの特定の議論を含むが、デバイスは、他の分析物(すなわち、β-d-グルコース、L-ラクテート、グルタミン、コレステロール、グリセロール、ピルビン酸塩、エタノールL-グルタミン酸、コリンアセチルコリン、1-アスコルビン酸、コルチゾール、クレアチン、クレアチニン、2-ヒドロキシブチレートまたは3-ヒドロキシブチレート)を、酵素(すなわち、グルコースオキシダーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミナーゼオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼおよびコリンオキシダーゼ、またはクレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼまたは3-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲ)の使用を介して、本明細書に記載されているより広い原理から逸脱することなく酵素基質として検出するように構成できることは、当業者には明らかであろう。
【0240】
具体的には、マルチマイクロプローブセンシングマイクロチップ132は、第1のFETセンサ156を有する第1のマイクロプローブ154を含む。この実施形態では、第1のFETセンサ156の作用電極には、GOX含有ヒドロゲルが埋め込まれている。GOXは、分析対象溶液中のグルコースと反応して過酸化水素(H2O2)を生成する。マイクロチップ132の第2のマイクロプローブ158は、第2のFETセンサ160を含む。この実施形態では、第2のFETセンサ160の作用電極には、LOX含有ヒドロゲルが埋め込まれている。LOXは、分析対象物溶液中の乳酸と反応してH2O2を生成する。マルチマイクロプローブセンシングチップ132の第3のマイクロプローブ162は、第3のFETセンサ164を含む。しかしながら、第3のFETセンサ164の作用電極は、酵素を含まないヒドロゲルで埋め込まれている。したがって、第3のFETセンサ164は、分析物溶液内のすべてのバックグラウンド分析物を検出して、第1および第2のFETセンサ156、160からの測定値の補正を可能にする。この実施形態では、第1、第2、および第3のFETセンサ156、160、164のそれぞれは、同じ電圧設定を有し、その結果、第3のFETセンサ164は、バックグラウンドノイズを補償するためのブランクセンサとして機能する。したがって、第1のFETセンサ出力から第3のFETセンサ出力を差し引くことにより、分析物溶液中のグルコースの量を計算することができる。同様に、2番目のFETセンサ出力から3番目のFETセンサ出力を差し引くことにより、分析物溶液中の乳酸の量を計算することができる。
【0241】
マルチマイクロプローブセンシングチップ132の第4のマイクロプローブ166に目を向けると、その上に配置された第4のFETセンサ168は、この実施形態では、アスコルビン酸センサとして示されている。この実施形態では、第4のFETセンサ166の作用電極は、酵素を欠くヒドロゲルで埋め込まれ、その電圧は、アスコルビン酸(AA)センシングを最大化するように調整される。例えば、バックゲート/作用電極電圧は、より負の値に設定され得る。マルチマイクロプローブセンシングチップ132の第5のマイクロプローブ170は、第5のFETセンサ172を含む。この実施形態では、第5のFETセンサ172の作用電極は、過酸化水素を生成せず、デヒドロアスコルビン酸および水のみを生成するアスコルビン酸オキシダーゼ(AAOX)で埋め込まれている。したがって、AAOXを使用してAAを除去し、4番目のセンサ出力から5番目のFETセンサ出力を差し引くことにより、AA濃度を計算できる。マルチニードルセンシングチップ132の第6のマイクロプローブ173は、第6のFETセンサ175を含む。この実施形態では、第6のFETセンサ175の作用電極は、イオン特異的イオノフォア膜を埋め込まれて、ビューベリシン(Ca2+、Ba2+)、カルシマイシンまたはA23187(Mn2+、Ca2+、Mg2+)、セゾマイシン、シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)(H+)、エンニアチン(アンモニウム)、ラミシジンA(H+、Na+、K+)、イオノマイシン(Ca2+)、ラサロシド(K+、Na+、Ca2+、Mg2+)、モネンシン(Na+、H+)、ニゲリシン(K+、H+、Pb2+)、ノナクチン(アンモニウムイオノフォアI)、サリノマイシン(K+)、テトロナシン、バリノマイシン(カリウムイオノフォアI) 、ナラシン、のような、またはそれらの組み合わせの特定のイオンの測定を可能にする。
【0242】
(マイクロプローブセンシングシステム)
図35~36に示される本発明のいくつかの実施形態では、マルチマイクロプローブセンシングチップ132は、センシングシステム180に組み込まれる。本発明のいくつかの実施形態では、センシングシステム180は、複数の生体分析物の存在、不在、または量を監視することを可能にするパッチまたは取り外し可能なインプラントとして構成される。
図35に示されるように、本発明のいくつかの実施形態では、センシングシステム180は、対象(ヒトまたは動物)の皮膚に接触するための皮膚接触面184を有するセンサパッチ182を備える。本発明のいくつかの実施形態では、センサパッチ182は、1つまたは複数のセンシングマイクロプローブ136が皮膚接触面から外向きに突出するように、マルチマイクロプローブセンシングチップ132を保持するように構成される。例示的な実施形態では、少なくとも1つのマイクロプローブ136は、センサパッチ182の表面184から垂直に、または表面184から鋭角で突出することができる。本発明のいくつかの実施形態では、回路がセンサパッチ182に取り付けられている。本発明のいくつかの実施形態では、回路は、マイクロプローブに対して基板の反対側に配置される。
【0243】
図36は、本開示の例示的な実施形態による、センサパッチ182を示している。センサパッチ表面184は、本発明のいくつかの実施形態では、接着面であり、基板が皮膚に付着することを可能にする。例えば、表面は、皮膚付着性材料を含むか、またはそれでコーティングすることができる。本発明のいくつかの実施形態において、センサパッチ182はまた、掻痒、紅潮、発疹、疼痛、湿疹および皮膚炎症などの、しかしこれらに限定されない皮膚刺激を予防または軽減するために選択される物質を含む。本発明のいくつかの実施形態では、センサパッチ182は可撓性である。例えば、センサパッチ182は、少なくとも部分的に、織布、不織布、プラスチックフィルムなどで作ることができる。センサパッチ182の部分は、例えば、エラストマーポリマーでできている。適切なエラストマーポリマー基板材料は、一般に、製造プロセス(ソフトリソグラフィー、ステレオリソグラフィー、および三次元ジェット印刷など)との適合性に基づいて選択される。ポリマーの化学的性質、前駆体、合成方法、反応条件、および潜在的な添加剤の途方もない多様性を考えると、使用が考えられる材料は多数ある。エラストマーポリマーの代表的な例には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリウレタン、およびシリコンが含まれるが、これらに限定されない。一般に非エラストマーであるポリマーもまた企図される。そのようなポリマーの代表的な例には、PMWAおよびポリカーボネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0244】
センサパッチ182が2つ以上の材料でできている実施形態も企図される。例えば、センサパッチ182の一部は、織布または不織布、またはフィルムから作製することができ、すなわち、本発明のいくつかの実施形態では、皮膚付着材料でコーティングされ、別の部分は、マイクロ流体インターフェースとして機能する。 ここで、マイクロプローブ136は、マイクロ流体界面上に形成されるか、またはマイクロ流体界面と一体に形成される。マイクロ流体インターフェースは、ファブリックやフィルムよりも剛性を高くすることができる。
【0245】
センサパッチ182の横方向の寸法は、表面14を受け取る対象の器官のサイズに応じて変化し得る。センサパッチ182の典型的な横方向の直径は、限定されないが、約10mmから約50mmである。
【0246】
上記のように、本発明のいくつかの実施形態では、分析物溶液中のレドックス種に対するFETセンサの応答は、例えば、回路によって処理および測定することができる。本発明のいくつかの実施形態では、回路は、例えば、FET増幅器のドレイン端子を通過する電流を測定するように構築することができる。
【0247】
センシングチップ上に配置されたFET増幅器は、本発明のいくつかの実施形態では、回路に直接または間接的に接続されている。この回路はFETアンプに電圧を印加する。回路には通常、電源と電圧計または電流計が含まれる。センシングヒドロゲルと溶液中の分析物との間の反応がレドックス反応である場合、本発明のいくつかの実施形態では、回路は、作用電極へのバックゲートの電圧設定を制御するように構成される。
【0248】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本開示の特定の特徴もまた、単一の実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本開示の様々な特徴はまた、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本開示の他の任意の説明された実施形態で適切として提供され得る。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、これらの実施形態の本質的な特徴とは見なされない。
【図 】