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特許7455192タンパク質含有食品を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】タンパク質含有食品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/26 20060101AFI20240315BHJP
   A23J 3/22 20060101ALI20240315BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240315BHJP
   A23J 3/04 20060101ALI20240315BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240315BHJP
【FI】
A23J3/26
A23J3/22
A23J3/14
A23J3/04
A23L13/00 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022511009
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2020073444
(87)【国際公開番号】W WO2021032866
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】19192660.9
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19202278.8
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20184014.7
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501003320
【氏名又は名称】ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Buehler AG
【住所又は居所原語表記】Gupfenstrasse 5, CH-9240 Uzwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バインベルガー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュティルメマン,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ビントハーブ,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,バースカー
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-518198(JP,A)
【文献】特表2002-543818(JP,A)
【文献】CHO.K.Y.,NEW GENERATION OF HEALTHY SNACK FOOD BY SUPERCRITICAL FLUID EXTRUSION,Journal of Food Processing and Preservation,2010年,Vol.34,pp.192-218
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J、A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 原材料を押出機に計量供給するステップであり、少なくとも1つの原材料が、タンパク質、好ましくは、植物性タンパク質、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、特に、酵母、細菌、微細藻類、カビなどの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物であり、乾燥原材料中のタンパク質含有量が、50%超、特に好ましくは60%~90%の範囲であり、前記乾燥原材料中のデンプン含有量が、50%以下、好ましくは5~30%の範囲であり、前記原材料が、繊維含有量を有する少なくとも1つの成分を含む、ステップ、
b) 前記押出機内で前記原材料を混合して混合物を製造するステップ、
c) 前記混合物を押し出して押出物を製造するステップであり、前記押出物の固形物含有量が、20%~60%の範囲、好ましくは30%~50%の範囲である、ステップ、
d) 前記押出物を100℃未満の温度に冷却しながら、冷却ダイを通して前記押出物を前記押出機から引き出すステップ
を含む、タンパク質含有発泡食品を製造するための方法において、ステップd)の後に15~30重量%、好ましくは19~23重量%の範囲のタンパク質含有量、および45~70重量%、好ましくは55~65重量%の液体含有量、好ましくは含水量を有する発泡製品がもたらされるようにガスを供給することによって、制御された細孔形成が前記押出機内で行われ
前記発泡製品が、狭いサイズ分布の直径約0.1~1mmの分布した細孔を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ガスを前記押出機に導入することによって、前記ガスが前記押出機に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガスが、CO、N、NO、またはSOからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスが、ステップa)で計量供給された前記原材料の総重量に対して、0.01~5重量%の量で前記押出機に導入されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記押出機によって導入される比機械的エネルギー入力が、10Wh/kg~120Wh/kgの範囲、好ましくは15Wh/kg~30Wh/kgの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記押出機内の温度が、80℃~180℃の範囲、好ましくは120℃~170℃の範囲、特に好ましくは130~160℃の範囲に設定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記押出機に計量供給されたすべての原材料の総重量に対して、好ましくは1%~10%の範囲の割合で、前記押出機の分配本体および/または前記冷却ダイ自体に油が注入されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記発泡製品が、分布した閉鎖空洞を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡製品が、縦方向(F)において、10~50N、好ましくは15~40N、より好ましくは12~20Nの範囲、および横方向(F)において、10~90N、好ましくは15~70N、より好ましくは15~50Nの範囲の最大力を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法によって得ることが可能なタンパク質含有発泡食品であって、15~30重量%、好ましくは19~23重量%の範囲のタンパク質含有量、および45~70重量%、好ましくは55~65重量%の液体含有量、好ましくは含水量を有することを特徴とする、タンパク質含有発泡食品。
【請求項11】
代替肉製品であることを特徴とする、請求項10に記載のタンパク質含有発泡食品。
【請求項12】
前記タンパク質含有発泡食品のL値は、肉製品のL値からの逸脱が20%以下、好ましくは15%以下であることを特徴とする、請求項11に記載のタンパク質含有発泡食品。
【請求項13】
前記タンパク質含有発泡食品は、繊維状かつ多孔性であり縦方向に配向された架橋された構造を有し、好ましくは、縦方向(F)において、10~50N、好ましくは15~40N、より好ましくは12~20Nの範囲、および横方向(F)において、10~90N、好ましくは15~70N、より好ましくは15~50Nの範囲の最大力を呈することを特徴とする、請求項12に記載のタンパク質含有発泡食品。
【請求項14】
前記タンパク質含有発泡食品が、好ましくは、狭いサイズ分布の直径約0.1~1mmの分布した細孔と、分布した相互接続した閉鎖空洞とを有する多孔質構造を有し、前記空洞が、好ましくは、50~70%の範囲の正規偏差で100~300μmの直径を有することを特徴とする、請求項10から13のいずれか1項に記載のタンパク質含有発泡食品。
【請求項15】
前記タンパク質含有発泡食品は、少なくとも1つの植物性タンパク質、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、例えば、酵母、細菌、微細藻類、カビなどの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物を含む食品であることを特徴とする、請求項10から14のいずれか1項に記載のタンパク質含有発泡食品。
【請求項16】
細胞培養のためのベースとしての、請求項10から15のいずれか1項に記載のタンパク質含有発泡食品の使用。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法によって、タンパク質含有発泡食品を製造するための、ガス供給ユニットならびに前記ガス供給ユニットの位置に設けられた混錬および/または混合要素を備える押出機の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、植物性タンパク質、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、例えば、酵母、細菌、微細藻類、カビなどの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物に基づいて50重量%超、好ましくは60重量%~90重量%のタンパク質含有量を有する、少なくとも1つの乾燥原材料から得られる新規な発泡およびテクスチャ加工されたタンパク質リッチな食品に関する。そのような食品は、以下で、タンパク質含有テクスチャ物(texturate)とも呼ばれ、好ましい実施形態によると、代替肉製品(「肉代替物」)と呼ばれる。本発明はまた、そのような新規の発泡およびテクスチャ加工されたタンパク質リッチな食品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物性タンパク質をベースにした肉代替物などの新規な食品は、持続可能性のトレンドの一部としてますます重要になっている。それらの製造のための従来の方法は通常、以下のステップ:
- 原材料を秤量する/投入するステップ、
- 原材料を混合するステップ、
- 前処理するステップ(任意選択的)、
- 特に冷却ダイを用いて、押し出すステップ、
- 切断するステップ
を含む。
【0003】
代替肉製品を受け入れるための主な課題は、それらのテクスチャ、それらの色、およびそれらの官能特性(歯切れ)を、本物の肉製品の対応する特性に可能な限り一致させることである。しかしながら、既知の方法および市場で入手可能な方法を使用して製造された代替肉製品は、それらのテクスチャ、それらの色、およびそれらの歯切れにおいて、本物の肉とは著しく異なる。これは、これまでに市販されている肉代替物の柔らかさまたはジューシーさと同様に、繊維質にも当てはまる。一般に、新規の食品はそれぞれ、消費者に受け入れられるために、テクスチャ、色、および歯切れに関して同じ課題に直面する。
【0004】
上記の違いの理由は、熱エネルギー(押出機のハウジングおよび冷却ダイ内の冷却水を加熱すること、またはシステムに蒸気を導入すること)および機械的エネルギー(比機械的エネルギー入力)が導入される非常に高エネルギーのプロセスを伴うことである。しかしながら、このプロセスにおいてエネルギーの供給が増加すると、必然的にテクスチャ化がより強くなり、これは、最終的な製品の歯切れまたは柔らかさに悪影響を及ぼし、製品がゴムのような性質を有するようになる。
【0005】
製品の水分含有量が高いため、押出しプロセスに続いて押出物(最終的な製品)を凍結する必要もある。凍結プロセスは、第2の相を含むことが可能になるようにテクスチャを改変し、したがって、押出物の歯切れおよびジューシーさが有利な影響を受ける。凍結の代わりに、押出物は調理される、および/または真空コーティングにかけられる。どちらの方法ステップも、第2の相を含むことを可能にするが、非常に複雑でもある。
【0006】
EP1059040A1には、タンパク質リッチな材料を押出機内で処理し、押出機の端部に配置された冷却ダイから引き出すことによって100℃以下の温度に冷却する、方法が記載されている。
【0007】
WO96/34539A1には、タンパク質リッチな材料を押出機内で処理し、押出機の端部に配置された冷却ダイから引き出すことによって冷却する、方法が記載されている。このようにして得られた製品は、本物の肉と十分には類似していない。
【0008】
WO2012/158023A1には、押出しによって水性ダイズタンパク質組成物からダイズタンパク質押出物を製造するための方法が記載されている。少なくとも50重量%の水を有する組成物は、押出機から出るときに、一般的な周囲条件下での水の沸点(すなわち、常圧下で100℃)以下に冷却される。このようにして得られた製品は、比較的連続した細孔構造を有し、その特性は、対応する液体をこれらの細孔に注入することによって改変することができる。
【0009】
この方法では、押出機から出るときに水蒸気が形成されることによって生じる押出し製品の細孔構造は、純粋にランダムである。さらに、細孔の変動は、使用されるタンパク質、その濃度、およびプロセス制御に依存する。しかしながら、多数のパラメータおよびそれらの相互関係は複雑であり、一定の製品品質は、非常に狭い構成においてのみ保証される。したがって、細孔の品質は、プロセス制御を介して適度に制御することしかできない。微細孔の形成に狙いを定めて影響を与えることは可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。特に、可能な限り均質な細孔品質を有し、かつ許容されるテクスチャおよび色特性を有するタンパク質リッチな発泡食品は、なかでも製品の歯切れおよび柔らかさを改善するために、制御された手法で製造可能であるべきである。さらに、他の相もまた、従来技術で必要とされる凍結、調理、または真空コーティングの方法ステップなしで製品に含めることが可能であるべきである。製造に必要なエネルギーも可能な限り削減するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、タンパク質リッチな発泡製品を得ること、および独立請求項に従ってそれを製造する方法を発明することによって達成される。
【0012】
タンパク質含有発泡食品を製造するための本発明による方法は、以下のステップ:
a) 原材料を押出機に計量供給するステップであり、少なくとも1つの原材料が、タンパク質、好ましくは、植物性タンパク質、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、例えば、酵母、細菌、微細藻類、カビなどの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物であり、乾燥原材料中のタンパク質含有量が、50%超、特に好ましくは60%~90%の範囲であり、乾燥原材料中のデンプン含有量が、50%以下、好ましくは5~30%の範囲であり、原材料が、繊維含有量を有する少なくとも1つの成分を含む、ステップ、
b) 押出機内で原材料を混合して混合物を製造するステップ、
c) 混合物を押し出して押出物を製造するステップであり、押出物の固形物含有量が、20%~60%の範囲、好ましくは30%~50%の範囲である、ステップ、
d) 押出物を100℃未満の温度に冷却しながら、冷却ダイを通して押出物を押出機から引き出すステップ
を含み、ステップd)の後に15~30重量%、好ましくは19~23重量%の範囲のタンパク質含有量、および45~70重量%、好ましくは55~65重量%の液体含有量、好ましくは含水量を有する発泡製品がもたらされるようにガスを供給することによって、細孔が押出機内で制御された手法で形成される。
【0013】
本発明によると、発泡食品、好ましくは代替肉製品における制御された細孔形成、および本物の肉の特性への製品特性の関連する適合は、押出しプロセス中に押出機にガスを供給することによって達成することできると見出された。WO2012/158023A1の方法とは対照的に、細孔形成プロセスの特定の制御、特に、少なくとも部分的に相互接続された細孔の特定の制御は、特定の量のガスを供給することによって可能であるため、細孔形成は、本発明による方法によって制御される。
【0014】
焼き菓子またはスナック製品もしくは朝食用シリアルなどの同様の食品の製造中にガスを供給することが公知である。US-6,207,214では、韓国の焼き菓子を押出しで製造する際に、COが押出機に導入される。しかしながら、これらは、ここで関連するタンパク質リッチな発泡食品、好ましくは、高いタンパク質含有量を有する代替肉製品とは根本的に異なる製品であり、これらは、それらの特性の点で大きく異なる。
【0015】
本発明によると、ガスは、通常の条件(1bar、20℃)下で気体状である物質を意味すると理解される。本発明によって使用することができるガスの例は、CO、N、NO、NH、またはSOである。
【0016】
本発明によると、処理された材料において制御された細孔形成を達成するために、ガスが押出機に供給される。本発明によると、この供給は、
- 供給口を介して押出機にガスを導入すること、および/または
- 原材料として添加されたガス形成化合物と原材料として添加されたガス放出化合物との反応によって押出機内でガスを放出すること
によって行うことができる。
【0017】
したがって、本発明の一実施形態によると、原材料は、少なくとも1つのガス形成化合物および少なくとも1つのガス放出化合物を含有し得る。ガスは、ステップc)の押出しの間に、ガス形成化合物とガス放出化合物との化学反応によって形成される。
【0018】
本発明によると、ガス形成化合物は、押出機内にて一般的な条件下で、適切なガス放出化合物と反応してガスを放出する物質を意味すると理解される。ガス形成化合物の典型的な例は、炭酸塩または炭酸水素塩などの生理学的に許容される塩、例えば、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、または炭酸水素ナトリウム(NaHCO)であり、これらの塩からCOが放出され得る。別の例は、スタッグホーン塩(炭酸水素アンモニウム(NHHCO)と、炭酸アンモニウム((NHCO)と、カルバミン酸アンモニウム(NHCONH)との混合物)であり、この塩からNHおよびCOのガスが放出され得る。
【0019】
ガス(特に好ましくはCO)は、ガス放出化合物を使用する反応によって、これらのガス形成化合物から放出され得る。これは、対応するガス形成化合物と反応してガスを形成する任意の化合物であり得る。ガス放出化合物は、通常、生理学的に許容される酸である。酸は、例えば、クエン酸、二リン酸二水素二ナトリウムもしくはオルトリン酸一カルシウムなどのリン酸化合物、酒石酸もしくはその塩のうちの1つ(例えば、酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩))、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、またはグルコノデルタラクトンであり得る。酸は、遊離酸として、またはそれらの無水物もしくは塩の形態で使用され得る。
【0020】
本発明によると、供給すべきガスは、好ましくは、この実施形態では、押出機内での酸塩基反応によって生成される。例えば、二酸化炭素(CO)ガスは、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)塩とクエン酸(C)との反応によって生成され得る。
【0021】
押出物のテクスチャには、ガス形成化合物およびガス放出化合物、好ましくは塩および酸、ならびにそれらの重量割合を適切に選択することによって、狙いを定めた手法で影響を与えることができる。このようにして、第2の相および場合によってはさらなる相を制御して含めることが可能になる。これによって、水、またはブイヨン、脂肪もしくは油などの香味成分の吸収の改善が確実になり、これは、押出物の歯切れ挙動に対して有利な効果を有する。
【0022】
ガス形成化合物およびガス放出化合物、好ましくは塩および酸は、押出機に計量供給される乾燥原材料に添加され得るか、またはこれに添加される。あるいは、酸を液体の形態で押出機に別々に供給することもできる。
【0023】
ガス形成化合物およびガス放出化合物は、好ましくは、押出機に計量供給されるすべての原材料の総重量に対して、0.1重量%~5重量%、特に好ましくは0.2重量%~1.6重量%の割合で原材料中に一緒に存在する。対応する反応の化学量論比に応じて、ガス形成化合物とガス放出化合物との、好ましくは塩と酸との質量比は、可能な最も完全なガス放出を達成するために、好ましくは1:1~6:1の範囲である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によると、ガスを押出機に導入することによって、ガスが押出機に供給される。
【0025】
したがって、本発明のこの実施形態によると、少なくとも1つのガスが、ステップc)の押出し中に押出物に導入される。これは、通常、ガス容器(例えば、圧力ボトル)に接続されており、かつ(例えば、バルブを介して)押出機へのガスの制御された導入を可能にする、押出機の供給口を通して行われる。
【0026】
この実施形態において本発明によって使用することができるガスの例は、CO、N、NO、NH、またはSO、好ましくはCOまたはNである。ガスは、気体状態で、あるいは液化ガスとして導入されてもよい。
【0027】
ガスの導入によって、制御された細孔形成も確実になる。SOを使用すると、原材料に含有されるタンパク質とのジスルフィド架橋が形成される可能性があり、その結果、製品のテクスチャにさらなる影響が生じる。ガスは、例えば、押出機に計量供給された原材料の総重量に対して、0.01~5重量%、好ましくは0.05~2.5重量%の量で押出機に導入されてもよい。例えば、ガスはまた、原材料が押出機から出た後に、押出機内で押し出された原材料1kg(キログラム)あたり、ガス0.5~3.0g(グラム)、好ましくは1.0~1.5gの量で導入されてもよい。
【0028】
本発明によると、ガスは、10~50bar、好ましくは15~30barの範囲の圧力で押出機に導入されることが好ましい。本発明によると、押出物は、押出機内のガスのための供給口の位置で、80~180℃、好ましくは120~170℃、特に好ましくは130~160℃の範囲の温度を有する。
【0029】
本発明によると、原材料は、押出機に計量供給され、少なくとも1つの原材料は、タンパク質、好ましくは、植物性タンパク質、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、例えば、酵母、細菌、微細藻類、カビなどの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物である。「少なくとも1つの原材料がタンパク質である」という用語はまた、原材料が、タンパク質を含有するか、またはタンパク質源を構成する、実施形態も包含する。
【0030】
植物は、好ましくはタンパク質源として使用され、例えば、マメ科植物(例えば、エンドウ、ルピナス、またはソラマメなどのマメ)、シリアル(例えば、コムギ、ダイズ、ナタネ、またはヒマワリ)、または藻類である。しかしながら、乳タンパク質もしくは乳清タンパク質などの動物性タンパク質、または筋肉の肉もしくは結合組織からのタンパク質も使用され得る。しかしながら、本発明によると、動物性タンパク質を含まない製品を製造することが好ましい。例えば、昆虫性タンパク質、細胞タンパク質、特に、酵母、細菌、微細藻類、カビなどからの細胞タンパク質も使用され得る。
【0031】
本発明によると、原材料は、好ましくは、繊維含有量を有する少なくとも1つの成分を含む。例えば、それらの乾燥重量の少なくとも50%の繊維含有量を有するエンドウ繊維を挙げることができる。
【0032】
タンパク質含有原材料は、液体と一緒に押出機に投入される。前述のように、これは、上記のような少なくとも1つのタンパク質含有原材料および上記のような1つの液体である。任意選択的に、ガス形成化合物およびガス放出化合物は、これらの化合物の化学反応を介してガスを放出することによってガスを供給すべき場合に、添加され得る。
【0033】
水、ブイヨン、および/または油含有香味成分などの油含有物質が液体として使用され得る。
【0034】
本発明によると、タンパク質含有原材料および液体は、乾燥原材料中のタンパク質含有量が、50%超、特に好ましくは60%~90%の範囲になるような比で計量供給される。したがって、乾燥原材料中のデンプン含有量(炭水化物含有量)は、50%以下、好ましくは5~30%の範囲である。
【0035】
さらに、代替肉製品の製造に一般的に使用される添加剤が添加され得る。例えば、塩化ナトリウムなどの塩、脂肪、油、または他の脂質が、すべての乾燥原材料の総重量に対して、好ましくは0.1~10重量%の量で添加され得る。
【0036】
本発明による方法は、湿潤テクスチャ物の製造に使用される。湿潤テクスチャ物とは、ステップc)における押出物の固形物含有量が、20%~60%の範囲、好ましくは30%~50%の範囲である、押出物を意味すると理解される。残りの80~20%、好ましくは70~50%は、上記の液体のうちの1つ、好ましくは水である。湿潤テクスチャ物の場合、乾燥原材料中のタンパク質含有量が、50%超、特に好ましくは60%~90%の範囲である場合、有利であると証明されている。
【0037】
本発明によると、対応する食品の製造のために従来技術で使用される市販の押出機を使用することができる。例としては、WO2012/158023A1に挙げられている押出機、またはBuehlerの押出機、特に二軸押出機が含まれる。そのような押出機は、20~60、好ましくは25~50、特に好ましくは25~40の範囲のL/D比(長さ対直径)を有することが好ましい。本発明によると、押出機は、好ましくは300~500rpm、特に好ましくは350~400rpmで操作される。
【0038】
予め秤量した原材料は、押出機の第1の部分に計量供給される。あるいは、異なる原材料を異なる部分で押出機に順次添加することもできる。
【0039】
1つ以上の原材料を、押出機に計量供給するステップa)の前に前処理してもよい。このようにプロセスにおけるタンパク質マトリックスの滞留時間に影響を与えることができる。目下、滞留時間が長いほど、より多くの数の架橋フィラメントが押出し中に生成されるため、繊維構造の改善がもたらされると想定されている。本発明によると、前処理における滞留時間は、好ましくは3~600秒、特に好ましくは3~60秒、特に好ましくは5~15秒である。
【0040】
計量供給された原材料は、押出機内で互いに混合され、それによって、液体、好ましくは水性のタンパク質組成物が形成される。ミキサーは、高速ミキサーとして構成され得る。これは、水および蒸気の供給ラインを有し得る。押出機は、水の供給ラインおよび任意選択的に蒸気の供給ラインを有し得る。
【0041】
液体、好ましくは水性のタンパク質組成物は、押出機内で処理される。ここで、組成物は、使用されるタンパク質に応じて、タンパク質の変性温度を上回って、好ましくは80~180℃、より好ましくは120~160℃、特に好ましくは130~150℃の範囲の温度に加熱される。押出機のハウジングは、好ましくは温度制御されている。組成物は、圧力(通常1~60bar、好ましくは8~20bar、特に好ましくは10~15bar)下で混錬されて、均質な混合物を形成する。これには、通常、10~120Wh/kg、好ましくは15~30Wh/kgのエネルギー入力が伴う。
【0042】
本発明による方法は、原則的に、10~600kg/hの範囲のスループットで操作され得る。本発明によると、このプロセスは、10~60kg/h、好ましくは20~50kg/h、特に好ましくは30~40kg/hのスループットで、あるいは100~600kg/h、好ましくは300~600kg/h、特に好ましくは400~550kg/hのスループットで実施されることが好ましく、押出機内の材料は、少なくとも2分、好ましくは少なくとも4分の保持時間(滞留時間)を有することが好ましい。
【0043】
本発明による方法の一実施形態によって導入されるガスは、入口領域の近く、中間領域、または出口領域のいずれかで、押出機の異なる位置に導入されてもよい。本発明によると、ガスのための供給口は、好ましくは、冷却ダイ近傍(すなわち、押出機出口)に、好ましくは冷却ダイの前の押出機の長さの最後の3分の1に、特に好ましくは冷却ダイの前の押出機の長さの最後の4分の1に位置する押出機の部分に位置している。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によると、従来の搬送要素の代わりに、導入されたガスを押出物と集中的に混合してガスを押出物中に分散させるための混錬および/または混合要素が押出機内のガスの供給口の位置に存在する。そのような要素は公知である。例としては、いわゆるイーゲルスクリュー(Igel screws)、バリアスクリュー、T要素(例えば、Extricom製)を挙げることができる。これらは、高い分配および分散混合効果と同時に、製品に低エネルギー入力を与える。
【0045】
したがって、本発明はまた、好ましくは本明細書に記載の本発明の方法によって、タンパク質含有食品を製造するための、ガス供給ユニットならびにガス供給ユニットの位置に設けられた混錬および/または混合要素を備える押出機の使用に関する。
【0046】
ステップc)での押出し後に、さらなるステップd)で、押出物を、冷却ダイを通して押出機から引き出し、通常の条件下で、押出物を水の沸点未満、すなわち100℃未満の温度にする。押出機のための冷却ダイは十分に知られている。本発明によると、押出物は、好ましくは、50~90℃の範囲の温度に冷却される。
【0047】
得られる発泡製品は、15~30重量%、好ましくは19~23重量%の範囲のタンパク質含有量、および45~70重量%、好ましくは55~65重量%の液体含有量、好ましくは含水量を有する。好ましくは、得られる発泡製品は、狭いサイズ分布の直径約0.1~1mmの均一に分布した細孔と、より好ましくは追加的に均一に分布した閉鎖空洞とを有する。
【0048】
好ましい実施形態によると、冷却ダイ内での改善された壁滑りを達成し、したがって、より容易なプロセス制御を達成するために、例えば、押出機に計量供給されるすべての原材料の総重量に対して、1%~10%の範囲、好ましくは2%~6%の範囲、特に好ましくは3%~4%の範囲の割合で、押出機の分配本体および/または冷却ダイ自体に油を注入することができる。例えば、ヒマワリ油などの食用油が使用される。添加剤のための、例えば、油、脂肪、またはカルシウムおよび/もしくはアルギン酸塩のための1つ以上の供給ラインが設けられ、それによって、この供給ラインは、有利には冷却ダイの近くで、またはその内部へと開口している。好ましくは、供給ラインは、添加剤を押出物中に輸送する。
【0049】
カルシウム化合物とアルギン酸塩との組み合わせは、製品の少なくとも部分的なゲル化を引き起こすため、ジューシーさに影響を与え得る。カルシウム化合物およびアルギン酸塩は、異なる時間で、または同時に添加することができ、また混合物として添加することもできる。ガスが添加された後に、ただし押出し製品が固化する前に、カルシウム化合物およびアルギン酸塩を添加することが有利である。
【0050】
押出物は、押出機から出た後に、公知の手法でさらなるステップにおいて適切な形状およびサイズに切断することができ、特に細孔を外部から少なくとも部分的に到達可能にすることができる。
【0051】
分散ガス画分および気泡サイズ/サイズ分布は、テクスチャ特性(例えば、柔らかさ、硬さ、咀嚼性などの「歯切れおよび咀嚼特性」)に定量的な影響を及ぼし、それから、構造パラメータを分散気相に適合させることによってこれらの感覚特性を適合させることができる。(マトリックス固有の臨界値まで)ガス画分が増加し、かつ泡サイズが低下すると(ガス体積分率は一定)、構造体が硬化すると想定される。これは、切断する/噛み切る際に構造破壊を開始するのに必要な最大力で表される硬さの増加につながるが、破壊に必要な変形量が増加するため、咀嚼性に影響する。したがって、マトリックスの発泡は、例えば、鶏肉から牛肉などの、肉に類似した歯切れ/咀嚼特性を適合させるための手段の範囲を拡大する。
【0052】
例えばパン生地またはスナック製品を製造するための、従来技術に記載されている方法とは対照的に、本発明による方法は、原材料中に存在するタンパク質の変性が起こる温度で実施される。また、本発明による方法は、デンプン結晶が溶融する(「ゼラチン化」)温度で実施される。本発明によると、押出機内では、例えば、80℃~180℃の範囲、好ましくは120℃~170℃の範囲、特に好ましくは130~160℃の範囲の温度が適用される。当技術分野に記載されている方法では、タンパク質の変性または「ゼラチン化」を回避するために、より低い温度が使用される。また、パン生地は、典型的には、冷却ダイを通して押し出されるのではなく、それらの構造体を固化するための後続のベーキングプロセスにかけられる。
【0053】
本発明によると、例えばそれらのテクスチャ、色、および歯切れについて、従来技術からのタンパク質含有食品よりも肉製品に対応するタンパク質含有発泡食品(すなわち、乾燥重量の50%超のタンパク質含有量を有する食品)を製造することができる。しかしながら、本発明によると、(乾燥重量の50%超のタンパク質含有量を有する)他の発泡タンパク質含有食品も提供することができる。例えば、本物のムースよりも構造安定性の高いムースのような食品を得ることができる。
【0054】
特に有利なタンパク質含有食品は、押出物中にガスを導入するステップを伴う本発明による方法によって得ることができる。
【0055】
ガス形成物質およびガス放出物質の添加を使用する本発明による方法によって製造されたタンパク質含有食品は、典型的には、150%、好ましくは100%の最大オーバーラン(すなわち、押出機出口の高さを超える高さであり、したがってサンプル体積が拡大されている)を有し、かつ/または狭いサイズ分布の直径約0.1~1mm、好ましくは0.7~0.7mmの均一に分布した細孔を有する。
【0056】
ガスの導入を使用して本発明によって製造されたタンパク質含有食品は、典型的には、150%、好ましくは100%の最大オーバーラン(すなわち、押出機出口の高さを超える高さであり、したがってサンプルの体積が増加している)を有し、かつ/または狭いサイズ分布の直径約0.1~0.3mmの均一に分布した細孔を有する。
【0057】
本発明によると、「狭いサイズ分布」とは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の個々の細孔の直径が、上記の値からの逸脱がわずか0.1~10%、好ましくは0.2~5%であることを意味する。
【0058】
細孔の平均面積またはいくつかの相互接続された細孔によって形成される空洞の平均面積は、21’292±36’110μmであり、平均最小直径および平均最大直径は、それぞれ125±73μmおよび239±153μmである。
【0059】
細孔および細孔分布は、当技術分野で公知であるように、顕微鏡検査またはX線トモグラフィーによって分析することができる。
【0060】
本発明によって製造されたタンパク質含有発泡食品の色は、発泡なしで製造された同等のタンパク質含有食品の色よりも著しく明るい。色は、SCI(正反射光を含む)で従来の分光光度計を使用して測定される。測定すべきサンプルは、光がサンプル材料を透過せず、かつ測定口がサンプル材料で完全に覆われるように、十分に厚い層を有する必要がある。反射測定は、d/8°測定ジオメトリで昼光(D65)によって実施される。L、a、b、およびC値が決定される。L値は明度を示し、正のa値は赤色を示す。正のb値は、材料の黄色度を表す。彩度は、C値によって表される。
【0061】
本発明によって製造された(合成)タンパク質含有食品は、参照肉製品のL値からの逸脱が20%以下、好ましくは15%以下であるL値によって区別される。適用分野に応じて、参照として使用される肉製品は、鶏肉、豚肉、牛肉、または子羊肉などの既知の肉製品から選択される。L値が単独で参照肉製品のL値に類似していると、食品は代替肉製品にはならないことに留意されたい。代替肉製品として適格であるためには、食品はまた、本明細書に記載されているテクスチャおよび多孔性に関する条件を満たす必要がある。例えば、参照鶏肉製品のL値に類似したL値を有するスナック製品は、スナック製品のテクスチャおよび多孔性が参照鶏肉製品のテクスチャおよび多孔性に比類しないという明確な理由から、代替肉製品として適格ではない。
【0062】
本発明によって製造されたタンパク質含有発泡食品は、繊維状かつ多孔性であり縦方向に配向された架橋された構造をさらに特徴とする。乾燥すると、個々の層は、互いに離れることはなく、互いに結合したままになる。
【0063】
本発明によって製造されたタンパク質含有発泡食品は、閉鎖空洞を有し、かつ空洞が均一に分布している多孔質構造によってさらに区別される。空洞は、好ましくは、50~70%の範囲の正規偏差で100~300μmの直径を有する。
【0064】
したがって、本発明はまた、好ましくは本明細書に記載の本発明による方法によって得ることが可能な、タンパク質含有発泡食品であって、食品のL値は、肉製品のL値からの逸脱が20%以下、好ましくは15%以下である、タンパク質含有発泡食品に関する。
【0065】
本発明によるタンパク質含有発泡食品は、好ましくは、繊維状かつ多孔性であり縦方向に配向された架橋された構造を有する。
【0066】
本発明はまた、好ましくは本明細書に記載の本発明による方法によって得ることが可能な、タンパク質含有発泡食品であって、食品のL値は、好ましくは、肉製品のL値からの逸脱が20%以下、好ましくは15%以下であり、食品が、閉鎖空洞を有し、かつ空洞が均一に分布している多孔質構造を有し、空洞が、好ましくは、50~70%の範囲の正規偏差で100~300μmの直径を有する、タンパク質含有発泡食品に関する。
【0067】
本発明によるタンパク質含有発泡食品は、特定のテクスチャを特徴とする。これらの製品は、中央の空洞の周りに配置された縦方向に配向された層を有する。好ましくは、これらの層は、互いに非常に稠密に並べて配置されているのではなく、小さな空洞によって途切られている。これによって、多孔質構造が生じる。本発明の好ましい実施形態によると、本発明の発泡食品は、乾燥すると、互いに離れずにある箇所で互いに結合された、はっきりと認識可能な個々の層を呈する。繊維状構造は、製造プロセスで使用されるダイに対応して、縦方向に配向されている。
【0068】
本発明によるタンパク質含有発泡食品は、縦方向(F)において、10~50N、好ましくは15~40N、より好ましくは12~20Nの範囲であり、横方向(F)において、10~90N、好ましくは15~70N、より好ましくは15~50Nの範囲である、切断するまたは噛み切る際に製品の構造を破壊するために必要な最大力(ピーク力)を特徴とする。
【0069】
最大力は、「V」スロットブレードがセットされたWarnzer-Brazlerブレードを使用して決定することができる(https://textureanalysis-professionals.blogspot.com/2014/12/texture-analysis-in-action-blade-set.html)。この分析は、製品の切断特性または歯切れ特性を定量化するのに役立つ。すべてのテクスチャ分析測定は、25℃の室温で行われる。
【0070】
ブレードセットは、リバーシブルブレード、スロット付きブレードインサート、およびブレードホルダを備える。リバーシブルブレードは、一方の端部にナイフエッジを有し、他方の端部に平らなギロチンエッジを有する。操作中、ブレードは、テクスチャアナライザに直接ネジ留めされるブレードホルダによってしっかりと保持されている。スロット付きブレードインサートは、台に直接配置されており、製品の支持を提供しながらブレードのガイドとして機能する。
【0071】
本発明によるタンパク質含有発泡食品は、横方向(押し出されるストランドの流れ方向に対して直角)(F)に切断されるのみならず、押し出されるストランドの流れ方向に対して平行(F)にも切断され、それぞれの最大力(ピーク力)は、先のWarnzer-Brazlerブレードセットを使用して決定することができ、ニュートン(N)で表すことができる。
【0072】
パン生地とは対照的に、本発明によるタンパク質含有発泡食品は、それらの機械的特性、すなわち、それらのF値およびF値に関して顕著な異方性を示す。異方性指数は、F値とF値との比(A=F/F)から計算することができ、製品の繊維性の尺度を表す。
【0073】
一般に、本発明によるタンパク質含有発泡食品の場合、F値は、それらのF値よりも低く、そのため、本発明によるタンパク質含有発泡食品は、>1、好ましくは>2、特に好ましくは2~2.5、さらにより特に好ましくは2.1~2.4の異方性指数を呈する。本発明によるタンパク質含有発泡食品は、細胞培養のためのベース(マトリックス)として使用することができる。なぜなら、その多孔質構造は、細胞の成長に有益な効果を有し、タンパク質含有発泡食品はまた、例えば発泡食品の細孔に供給可能な、細胞培養に好適な栄養素または他の成分を含有し得るからである。
【0074】
少なくとも一部の領域でタンパク質含有発泡食品の外側表面を開口させて、それによって、細孔の少なくとも一部が到達可能であることが好ましい。
【0075】
本発明によるタンパク質含有食品は、動物用飼料としても使用され得る。押出し後のプロセスでは、押出物の細孔は、栄養素および/または香料などの動物用飼料に一般的な添加剤で強化されている。
【0076】
本発明はまた、押出物が冷却ダイから出る前に、栄養素、香味物質、油、および/または脂肪などの添加剤で押出物を強化するための1つ以上の供給ラインを有する冷却ダイに関する。
【0077】
本発明は、いくつかの非限定的な例示的な実施形態に基づいて、以下でより詳細に説明する。
【0078】
A.湿潤テクスチャ物の製造
上記の押出機、例えばBuehlerのPolyTwin BCTL-42 32L/D押出機を、押出機として使用することができる。
【0079】
使用されるタンパク質に応じて、押出機のハウジングは、例えば、80℃~180℃の範囲、好ましくは120℃~160℃の範囲、特に好ましくは130~150℃の範囲の温度に設定される。この場合、押出機のハウジングは、異なる温度に、例えば、入口領域では120℃、中間領域では160℃、および出口領域では140℃に設定することができる。
【0080】
乾燥原材料中のタンパク質含有量は、50%超、特に好ましくは60%~90%の範囲である。例えば、マメ科植物またはコムギタンパク質などの植物性タンパク質をタンパク質として使用することができるが、乳タンパク質などの動物性タンパク質も使用することができる。さらに、昆虫性タンパク質もしくは細胞タンパク質、特に、酵母、細菌、微細藻類、カビなどからの細胞タンパク質、または異なるタンパク質の混合物を使用することができる。押出物は、液体として、水、ブイヨン、および/または油含有香味成分を含有し得る。液体は、特に好ましくは、その沸点近傍の温度を有する。
【0081】
乾燥した原材料を押出機に計量供給し、そこで、これらを液体と一緒に圧力および温度作用下(例えば、1bar~60bar、好ましくは8bar~20bar、特に好ましくは10bar~15barの範囲)で混錬して、均質な組成物にする。この方法の過程で、タンパク質はほどかれ、冷却ダイに入るときに架橋フィラメントへと整列する。組成物は、プロセスの過程で、周囲温度からタンパク質の変性に必要な温度まで加熱される。例えば、ダイズタンパク質の場合、これは約140℃である。120℃の処理温度が、エンドウタンパク質またはヒマワリタンパク質に好適であることが証明されている。原材料の品質に応じて、160℃が必要になる場合もある。
【0082】
押出物は、押出機から出るときに、冷却デバイス、例えば冷却ダイを通過する。これには、組成物を、周囲条件で一般的な沸点未満の温度レベルに、例えば、50℃~90℃の範囲の温度にするという作業が伴う。これを達成するために、40℃~90℃、好ましくは50℃~70℃の範囲の温度を有する冷却水を冷却ダイに使用する。
【0083】
冷却ダイ内での改善された壁滑りを達成し、したがってより容易なプロセス制御を達成するために、例えば、押出機に計量供給されるすべての原材料の総重量に対して、1%~10%の範囲、好ましくは2%~6%の範囲、特に好ましくは3%~4%の範囲の割合で、押出機の分配本体および/または冷却ダイ自体に油を注入することができる。例えば、ヒマワリ油などの食用油が使用される。
【0084】
押出物は、10kg/h~600kg/hの範囲、例えば、10~60kg/hの範囲、好ましくは20kg/h~50kg/hの範囲、より好ましくは30kg/h~40kg/hの範囲、あるいは100~600kg/h、好ましくは300~600kg/h、特に好ましくは400~550kg/hの範囲のスループットで押出機に通される。押出機によって導入される比機械的エネルギー入力は、10Wh/kg~120Wh/kgの範囲、好ましくは15Wh/kg~30Wh/kgの範囲であってもよく、これは、全体的として原材料混合物に依存する。保持時間(滞留時間)は、少なくとも2分、好ましくは少なくとも4分であることが好ましい。
【0085】
(微)細孔形成が化学反応によって生じる場合、塩および酸は、好ましくは、乾燥原材料に添加されるべきである。可能な塩は、例えば、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムである。クエン酸、酒石酸、またはその塩、およびグルコノデルタラクトンを酸として使用することができる。さらに、二リン酸二水素二ナトリウムまたはオルトリン酸一カルシウムなどのリン酸塩含有酸担体が好適である。ここで、混合比を変更して、放出されるガスの量を制御することができる。1:1~6:1の範囲の塩と酸との比が好ましい。COまたはNHは、好ましくは、細孔形成ガスとして放出される。
【0086】
上記の化学ガス放出の代わりに、(微)細孔形成を、(好ましくは圧力下で圧縮された)ガスを導入することによって実行することもできる。例としては、CO、N、およびSOが含まれる。圧力下で圧縮された、液体であり得るガスを、例えばホースを介して、押出機に通過させることができる。ガス流量は、電磁弁および流量計によって調整することができる。ガスは、好ましくは、押出機に計量供給された原材料の総重量に対して、0.05%~5%の範囲で添加される。
【0087】
前処理ステップを使用することによって、プロセスの柔軟性を著しく増加させることができる。したがって、プロセスにおけるタンパク質マトリックスの滞留時間に影響を与えることができる。前処理における滞留時間は、3秒~600秒の範囲、好ましくは3秒~60秒の範囲、特に好ましくは5秒~15秒の範囲であり得る。
【0088】
塩および酸を用いて肉の模造品を製造するための例示的な配合表は、以下の通りである。
【0089】
【表1】
【0090】
例えば、以下の配合表のうちの1つを使用して、ガスの導入により肉の模造品を製造することができる。
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
最終的な製品中の含水量は、有利に、30%超であり、好ましくは30%~70%の範囲である。
【0094】
非限定的な図面および実施例を参照して、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)および参照サンプル(鶏の胸肉)との色の外観の比較の図である。
図2】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)および参照サンプル(鶏の胸肉)との繊維状構造の比較の図である。
図3a】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)との多孔性の比較の図である。
図3b】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)との多孔性の比較の図である。
図3c】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)との多孔性のさらなる比較の図である。
図3d】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)との多孔性のさらなる比較の図である。
図4a】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)とのテクスチャ値の比較の図である。
図4b】本発明によって製造された製品と、従来式に製造された製品(発泡なし)との異方性指数値の比較の図である。
図5a】異なるガス注入速度で本発明によって製造された製品の外観の比較の図である。
図5b】異なるガス注入速度で本発明によって製造された製品の外観の比較の図である。
図5c】異なるガス注入速度で本発明によって製造された製品の外観の比較の図である。
図6】本発明によって製造された製品のテクスチャ値の比較の図である。
図7a】市販のスナック製品の変動するテクスチャプロファイルの図である。
図7b】本発明による発泡製品の変動するテクスチャプロファイルの図である。
図8a】本発明によって製造された製品の多孔性の顕微鏡画像である。
図8b】本発明によって製造された製品の多孔性の顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
例1
(冷却ダイの前の最後から2番目のバレルセグメント上の)追加のガス供給ユニットおよびガス供給ユニットの位置にある混錬/混合要素を有するBuehlerの30mm二軸押出機内にて、以下の原材料を、145℃、380rpm、および60℃の冷却ダイ温度で処理した。
【0097】
【表4】
【0098】
スループットは30kg/hであった。15~30barの圧力を有する23g/minのNを押出物中に導入した。
【0099】
製造されたタンパク質含有食品は、ダイ出口で100%のオーバーラン(すなわち、押出機出口の高さを超える高さであり、したがってサンプル体積が拡大されている)を有しており、常圧で室温に冷却した後に、30~60%のオーバーランに収縮した。このようにして製造されたタンパク質含有発泡食品は、狭いサイズ分布の直径約0.1~0.3mmの非常に均一に分布した細孔を有していた。
【0100】
例2(比較)
窒素を押出物に導入しなかったこと以外は、例1を繰り返した。
【0101】
色の測定
例1および2からの製品を、SCI(正反射光を含む)で従来の分光光度計を使用して測定した。測定すべきサンプルは、サンプル材料を通る光の透過がなく、測定口がサンプル材料で完全に覆われるような層厚を有していた。反射測定を、d/8°測定ジオメトリを使用して昼光(D65)によって実施した。L、a、b、およびC値を決定した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
比較例2による押出物は、55.61の最も低いL値を有しており、したがって、すべてのサンプルの中で最も暗かった。例1による本発明の押出物は、71.06のL値を有しており、したがって、参照サンプルのL値(79.66の鶏の胸肉)に近づいた。
【0104】
比較例2による押出物はまた、11.10の最も高い赤色成分を有していたが、例1による本発明の押出物における割合は、7.22でより低かった。参照サンプル(鶏の胸肉)における1.53のa値は、サンプル中にごくわずかに赤みがかっていることを示す。
【0105】
値によって表される黄色度は、比較例2による押出物および例1による本発明の押出物において比較的同じであった(それぞれ26.55および27.75)。参照としての鶏の胸肉は、13.96のb値を有していた。
【0106】
値は、彩度を表し、a値およびb値から計算することができる。これは、比較例2による押出物および例1による本発明の押出物において類似していた(例2については28.77であり、例1については26.74である)。鶏の胸肉の彩度は、14.04でより低かった。
【0107】
これらの色の違いを図1に示す。図1は、左側に、比較例2によって製造された製品を示し、中央に、例1によって製造された本発明の製品を示し、右側に、参照サンプル(鶏の胸肉)を示す。例1によるサンプルは、参照サンプルの外観にかなりより近づいていることを見出すことができる。
【0108】
繊維状構造
繊維状構造は、植物タンパク質の熱によるテクスチャ化によって達成される繊維状構造と比較して、肉片(ここでは参照サンプルとしての鶏の胸肉)の筋繊維構造の違いを説明することを意図している。この目的のために、例1および2による押出物を引き裂いて開き、内部構造を巨視的および微視的に分析した。この結果を図2に示す。
【0109】
比較例2によって製造された製品は、はっきりと層状に構築されており、内部コアは、長さが真っ直ぐであった。その周りに層が次々と配置されていた。これは、プロセスおよびダイにおいて材料に加えられたせん断力を反映している。サンプルの水分含有量が高いことを理由に、これらの層は、比較的稠密に保持されていた。しかしながら、比較例2によって製造された製品は、空気中で乾燥させたらすぐに、個々の層が、はっきりと互いに離れた。
【0110】
例1によって製造された本発明の製品は、縦方向に配向された層に関して、比較例2によって製造された製品の構造と同様の構造を有していた。しかしながら、内部コアはなく、空洞だけであった。次いで、せん断力によって層がこの空洞の周りに配置された。このサンプルでは、これらの層は、互いに非常に稠密に配置されてはいないが、小さな空洞によって途切られていた。これによって、多孔質構造が生じた。例1によって製造された本発明の生成物は、乾燥し始めたらすぐに、個々の層がよりはっきりと認識可能になっただけでなく、多孔質構造および架橋も結果として生じた。個々の層は、もはや互いに離れることはなく、ある箇所で互いに結合していた。2つのテクスチャ化されたサンプルの繊維状構造は、熱プロセスにおいて、ダイに対応して、縦方向に配向されていた。参照サンプルである鶏の胸肉は、目に見えてより稠密であり、かつより複雑にネットワーク化されている。
【0111】
多孔性
各サンプルの薄片を作製し、透過光によってサンプルと細孔との間のコントラストを生成した。画像は、KEYENCEのVHX6’000デジタル顕微鏡を使用して記録および処理した。この結果を図3a)および3b)に示す。
【0112】
多孔性は、例1によって製造された本発明の製品において非常に顕著であり、したがって、乾燥状態での構造的凝集も確実にしたことが分かる。個々の空洞は閉鎖されており、均一に分布しており、外縁の空洞はより小さかった。中心に近いほど、空洞は大きくなる。空洞の平均面積は、21,292±36,110μmであり、平均最小直径および平均最大直径は、125±73μmまたは239±153μmであった。これらの結果は、表2に要約されている。
【0113】
【表6】
【0114】
比較例2によって製造された製品は、わずかに不規則な多孔質構造しか有していなかった。外側の領域にはほとんど多孔性は見られず、内側部分には空洞が見られた。これらは、プロセス中の層状配置によるものであり、また、個々の層が互いにそれほど強くはネットワーク化されておらず、水分が失われた後に互いに比較的迅速に切り離されるという陳述を強調している。
【0115】
テクスチャ
切断するまたは噛み切る際に例1および2による製品の構造を破壊するために必要な最大力(ピーク力)を、「V」スロットブレードがセットされたWarnzer-Brazlerブレードを使用して決定した(https://textureanalysis-professionals.blogspot.com/2014/12/texture-analysis-in-action-blade-set.html)。この分析は、製品の切断特性または歯切れ特性を定量化するのに役立つ。すべてのテクスチャ分析測定を25℃の室温で行った。
【0116】
押し出されたサンプルを、テクスチャ分析のために、サンプル調製の一部として、30mm×30mmの正方形片に切断した。13~16mm(例1)および10mm(例2)の厚さを有する例1および2によって製造されたサンプルを、横方向(押し出されるストランドの流れ方向に対して直角)(F)に切断するのみならず、押し出されるストランドの流れ方向に対して平行(F)にも切断し、それぞれの最大力(ピーク力)を決定して、ニュートン(N)で表した。すべての測定を3回実施した。
【0117】
切断速度は50mm/minに設定し、切断距離は40mmであった。これらの結果を図4aに示す。
【0118】
例1による本発明の製品は、切断の両方向(FおよびF)において、比較例2の製品と比較して、より高い強度を有することが分かる。
【0119】
図4bは、両方のサンプルの異方性指数を示しており、この異方性指数は、F値とF値との比(A=F/F)から計算することができ、製品の繊維性の尺度を表す。例1による本発明の製品についての値は、比較例2の製品についての値と比較して、著しく低下しており、これは、例1による本発明の製品の繊維性が増加していることを提示している。
【0120】
鶏肉または牛肉などの肉製品についての異方性指数は、1に近く、1.1~1.75の範囲であったが、魚肉については、異方性指数は、4.95であり、これは、魚肉の縦方向および横方向のテクスチャのばらつきが大きいことを示す。
【0121】
パン生地は、F値およびF値に関して、顕著な異方性を有しない。
肉類似物についてのテクスチャプロファイルを押し出された発泡スナック製品と比較し、テクスチャにおける違いを、肉代替物(図5b)のより滑らかなテクスチャプロファイルと比較して変動するスナック製品「knusperbrot」(図5a)のテクスチャプロファイルによって確認した。これは、カリカリ感があることからブレードがサンプルを貫通するときに複数の力ピークを有する「knusperbrot」のテクスチャにおける根本的な違いによるものである。
【0122】
例3
追加のガス供給ユニットを有するBuehlerの42mm二軸押出機内で、以下の原材料を最大152℃の温度および400rpmのスクリュー速度で処理した。
【0123】
エンドウタンパク質分離物 43.2%
エンドウ繊維 8.8%
水 47.5%
油 0.5%。
【0124】
押出機へのガス注入速度は、4つの異なる試験で、0g/h、35g/h、52g/h、および70g/hの速度に保った。冷却ダイの出口における総スループットは、35Kg/hであった。
【0125】
テクスチャ
(a)代替肉の分析
テクスチャ分析は、例3にあるように製造されたサンプルについて実行した。図5は、3つのレベルのガス注入速度で製造されたサンプルの比較を表す。例3の製品の構造を切断するために必要な最大力(ピーク力)は、厚さ1mmのWarner Bratzler Blade Setを使用して決定した。この分析は、製品の切断特性または歯切れ特性を定量化するのに役立つ。すべてのテクスチャ分析測定を25℃の室温で行った。
【0126】
例3によって製造された押し出されたサンプルを、テクスチャ分析のために、サンプル調製の一部として、20mm×20mmの正方形片に切断した。次いで、サンプルを、横方向(押し出されるストランドの流れ方向に対して直角)(F)に切断するのみならず、押し出されるストランドの流れ方向に対して平行(F)にも切断し、それぞれの最大力(ピーク力)を決定して、MPaで表した。各切断方向について、6回の繰り返しを行った。これらの結果を図6に示す。
【0127】
両方向の切断力の比を計算し、異方性指数(A=F/F)として表した。ガス注入速度が0g/h超の発泡製品についてのA値は1.1~1.5であり、非発泡製品についてのこの値がより1に近かった。
【0128】
(b)肉製品の分析
比較のために、「長方形」スロットブレード(HDP/WBR)と厚さ1.016mmとを有するWarner Blatzerブレードを使用して、市場で入手可能な鶏肉、牛肉、および魚肉製品のテクスチャ分析を実行した。Warner-Bratzlerブレードの切断速度は1mm/秒に設定し、ブレードはサンプルを貫通した。サンプルは25℃で測定した。各サンプルについて、合計3回の繰り返しを測定した。
【0129】
これらの肉および魚肉製品についての最大力の平均は、横方向で45.0~175.1N、縦方向で10.0~99.9Nの範囲であると見出された。
【0130】
鶏肉または牛肉などの肉製品についての異方性指数は、1に近く、1.1~1.75の範囲であったが、魚肉については、異方性指数は、4.95であり、これは、魚肉の縦方向および横方向のテクスチャのばらつきが大きいことを示す。
【0131】
肉類似物についてのテクスチャプロファイルを押し出された発泡スナック製品と比較し、テクスチャにおける違いを、肉代替物(図7b)のより滑らかなテクスチャプロファイルと比較して変動するスナック製品「knusperbrot」(図7a)のテクスチャプロファイルによって確認した。これは、カリカリ感があることからブレードがサンプルを貫通するときに複数の力ピークを有する「knusperbrot」のテクスチャにおける根本的な違いによるものである。
【0132】
図8aおよびbには、例3によって製造された製品の多孔性の顕微鏡画像が示されている。ガス注入速度が70g/hである例3の発泡製品についての光学顕微鏡(20倍)画像は、相互接続された細孔が発泡製品の内部に存在することを示す。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4a
図4b
図5a
図5b
【図 】
図6
図7a
図7b
図8a
図8b