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特許7455194サイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】サイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
E03D9/08 C
E03D9/08 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022513536
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020090946
(87)【国際公開番号】W WO2021057043
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】201921639756.5
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201921639964.5
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519356397
【氏名又は名称】厦門科牧智能技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】KOMOO INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】林孝發
(72)【発明者】
【氏名】林孝山
(72)【発明者】
【氏名】林山
(72)【発明者】
【氏名】劉祖華
(72)【発明者】
【氏名】林根遠
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2505728(EP,A2)
【文献】特開2019-132052(JP,A)
【文献】特開2004-360285(JP,A)
【文献】実開昭61-180270(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108954849(CN,A)
【文献】特開平8-120736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生洗浄装置の洗浄水路に設置されるとともに、洗浄水を貯えるためのタンクを含み、前記タンクに入水構造及び吐水構造が設けられているサイホン作用を防止する貯水装置であって、
前記タンクには更にオーバーフロー構造が設けられており、前記入水構造の吐水面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面よりも高くなっており、
前記入水構造は入水管を含み、前記入水管の一端には、前記タンク内に位置する吐水口が設けられており、前記吐水口の吐水面が前記入水構造の吐水面を構成しており、前記入水管の他端には入水口が設けられており、前記入水口が前記タンクの外部と通じており、
前記オーバーフロー構造はオーバーフロー管を含み、前記オーバーフロー管の上端には前記タンク内に位置するオーバーフロー口が設けられており、前記オーバーフロー口のオーバーフロー面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面を構成しており、前記オーバーフロー管の底端には排水口が設けられており、前記排水口が前記タンクの外部と通じており、
前記オーバーフロー管及び前記入水管は前記タンクの底板上に縦方向に立設され、前記入水口は下部、前記吐水口は上部に設置され、
前記オーバーフロー管はタンクの内側面に近接又は密着しており、前記オーバーフロー管は前記入水管の吐水口から離間していることを特徴とする貯水装置であって、
ウォーターポンプと前記タンク内に設置される加熱室を含み、
前記ウォーターポンプにより前記洗浄水が前記加熱室に搬送され、前記洗浄水は加熱され、
前記オーバーフロー管の上端は、加熱室の底端よりも高くなっており、加熱室の外部放出熱を利用することを特徴とする貯水装置
【請求項2】
前記入水口は前記タンクの底壁又は側壁又は天井壁に位置し、或いは、前記入水管の他端は、前記入水口が前記タンクの外側に位置するよう、前記タンクの外側まで延伸していることを特徴とする請求項1に記載のサイホン作用を防止する貯水装置。
【請求項3】
前記排水口は前記タンクの底壁又は側壁に位置し、或いは、前記オーバーフロー管の底端は、前記排水口が前記タンクの外側に位置するよう、前記タンクの外側まで延伸していることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイホン作用を防止する貯水装置。
【請求項4】
前記タンクは、底板と、底端が開口した上ハウジングを含み、底板は、前記上ハウジングの底端開口箇所に密封状に接続され、前記入水管及びオーバーフロー管は底板に設置され、前記吐水構造は上ハウジング又は底板にそれぞれ設置され、或いは、前記入水管及びオーバーフロー管は上ハウジングに設置され、前記吐水構造は上ハウジング又は底板にそれぞれ設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイホン作用を防止する貯水装置。
【請求項5】
前記底板と上ハウジングは超音波溶接により固定され、前記入水管、オーバーフロー管及び底板は一体的に射出成型され、或いは、前記入水管、オーバーフロー管及び上ハウジングは一体的に射出成型されることを特徴とする請求項4に記載のサイホン作用を防止する貯水装置。
【請求項6】
洗浄水を噴射するためのスプレー洗浄装置を含む衛生洗浄装置であって、
更に、請求項1~5のいずれか1項に記載のサイホン作用を防止する貯水装置を含み、前記スプレー洗浄装置は、前記衛生給水装置が位置する洗浄水路の末端に位置することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項7】
衛生洗浄装置の洗浄水路に設置されるとともに、洗浄水を貯えるためのタンクを含み、前記タンクに入水構造が設けられており、前記入水構造は入水管を含み、前記入水管の一端には、前記タンク内に位置する吐水口が設けられているサイホン作用を防止する貯水装置であって、
前記タンクにはオーバーフロー構造が更に設けられており、前記オーバーフロー構造はオーバーフロー管を含み、前記オーバーフロー管の上端には前記タンク内に位置するオーバーフロー口が設けられており、前記オーバーフロー口のオーバーフロー面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面を構成しており、前記吐水口は前記オーバーフロー口よりも高くなっており、
前記吐水口の吐水面が前記入水構造の吐水面を構成しており、前記入水管の他端には入水口が設けられており、前記入水口が前記タンクの外部と通じており、
前記オーバーフロー管の底端には排水口が設けられており、前記排水口はタンクの外部と通じており、
前記オーバーフロー管及び前記入水管は前記タンクの底板上に縦方向に立設され、前記入水口は下部、前記吐水口は上部に設置され、
前記オーバーフロー管はタンクの内側面に近接又は密着しており、前記オーバーフロー管は前記入水管の吐水口から離間していることを特徴とする貯水装置であって、
ウォーターポンプと前記タンク内に設置される加熱室を含み、
前記ウォーターポンプにより前記洗浄水が前記加熱室に搬送され、前記洗浄水は加熱され、
前記オーバーフロー管の上端は、加熱室の底端よりも高くなっており、加熱室の外部放出熱を利用することを特徴とする貯水装置
【請求項8】
前記排水口はタンクの底壁又は側壁底部に位置することを特徴とする請求項に記載の貯水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレタンクの発明に関し、特に、サイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の臀部洗浄及び/又は女性器洗浄に用いられる衛生洗浄装置は、定圧弁を用いて都市給水の水流を安定させることで、水圧の安定を実現している。しかし、実際の状況においては、このような期待を達成できない。なぜなら、都市給水の位置や高度等の様々な制御不能要因によって水圧は度々変動するからである。また、水圧の変動によって、衛生洗浄装置から送出される水の温度は突然冷たくなったり熱くなったりしやすく、ユーザエクスペリエンスに深刻な影響を及ぼす。そのため、従来技術では、タンク付きの衛生洗浄装置が登場している。この種の装置では、タンクを利用して洗浄水を蓄積し、内部における能動的な給水方式を実現している。これにより、外部管路における水圧変動の影響が排除され、ユーザエクスペリエンスが向上する。しかし、タンクの入水構造の吐水面は水中に沈んでいるため、給水管に負圧が発生すると、タンク内の水が給水管に逆流することで水源を汚染してしまう。そこで、従来技術では、タンクの上部に通気口を開設したものや、タンクの入水構造に逆止弁部材を設置したものがある。ところが、通気口を設置した場合には、通気口に漏れや詰まりが発生しやすいとの問題がある。また、逆止部材を設置する場合には、逆止弁のコスト及び逆止弁の装着工程が増加する。且つ、逆止弁を装着し忘れた場合や機能喪失した場合には、サイホン作用の防止効果を達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に存在する技術的課題に対し、サイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
サイホン作用を防止する貯水装置は、衛生洗浄装置の洗浄水路に設置されるとともに、洗浄水を貯えるためのタンクを含む。前記タンクには入水構造及び吐水構造が設けられている。前記タンクには更にオーバーフロー構造が設けられており、前記入水構造の吐水面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面よりも高くなっている。
【0006】
更に、前記入水構造は入水管を含む。前記入水管の一端には、前記タンク内に位置する吐水口が設けられており、前記吐水口の吐水面が前記入水構造の吐水面を構成している。前記入水管の他端には入水口が設けられており、前記入水口が前記タンクの外部と通じている。
【0007】
更に、前記入水口は前記タンクの底壁又は側壁に位置する。或いは、前記入水管の他端は、前記入水口が前記タンクの外側に位置するよう、前記タンクの外側まで延伸している。
【0008】
更に、前記オーバーフロー構造はオーバーフロー管を含む。前記オーバーフロー管の上端には前記タンク内に位置するオーバーフロー口が設けられており、前記オーバーフロー口のオーバーフロー面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面を構成している。前記オーバーフロー管の底端には排水口が設けられており、前記排水口が前記タンクの外部と通じている。
【0009】
更に、前記オーバーフロー管はタンクの内側面に近接又は密着しており、前記オーバーフロー管は前記入水管の吐水口から離間している。
【0010】
更に、前記排水口は前記タンクの底壁又は側壁底部に位置する。或いは、前記オーバーフロー管の底端は、前記排水口が前記タンクの外側に位置するよう、前記タンクの外側まで延伸している。
【0011】
更に、前記タンクは、底板と、底端が開口した上ハウジングを含む。底板は、前記上ハウジングの底端開口箇所に密封状に接続される。前記入水管及びオーバーフロー管は底板に設置され、前記吐水構造は上ハウジング又は底板にそれぞれ設置される。或いは、前記入水管及びオーバーフロー管は上ハウジングに設置され、前記吐水構造は上ハウジング又は底板にそれぞれ設置される。
【0012】
更に、前記底板と上ハウジングは超音波溶接により固定される。前記入水管、オーバーフロー管及び底板は一体的に射出成型される。或いは、前記入水管、オーバーフロー管及び上ハウジングは一体的に射出成型される。
【0013】
本発明は、更に、衛生給水装置を提供する。前記衛生給水装置は、ヒータ及びウォーターポンプを含み、更に、上記の本発明で記載したサイホン作用を防止する貯水装置を含む。前記ヒータはタンクからの洗浄水を加熱するために用いられ、前記ウォーターポンプは洗浄水の搬送動力を提供する。
【0014】
本発明は、更に、衛生洗浄装置を提供する。前記衛生洗浄装置は、洗浄水を噴射するためのスプレー洗浄装置を含み、更に、上記の本発明で記載した衛生給水装置を含む。前記スプレー洗浄装置は、前記衛生給水装置が位置する洗浄水路の末端に位置する。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0016】
前記タンクにはオーバーフロー構造が更に設けられており、前記入水構造の吐水面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面よりも高くなっている。そのため、本発明のタンクはオーバーフロー機能を有するだけでなく、サイホン作用防止機能も有しており、且つ、入水構造内に逆止弁部材を設置する必要もない。よって、本発明は、空気口の開設や逆止弁部材の組み付けが不要である。これにより、本発明の組立プロセスが簡略化されるとともに、材料コストの低下に有利となる。
【0017】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に詳細に説明する。ただし、本発明におけるサイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置は実施例に限らない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1における本発明の貯水装置の概略分解図である。
図2図2は、実施例1における本発明の貯水装置の概略構造図である。
図3図3は、実施例1における本発明の貯水装置の断面図である。
図4図4は、実施例1における本発明の貯水装置の入水状態の概略図(断面)である。
図5図5は、実施例1における本発明の貯水装置のオーバーフロー状態の概略図(断面)である。
図6図6は、実施例1における本発明の衛生給水装置の概略分解図である。
図7図7は、実施例1における本発明の衛生給水装置の概略斜視図である。
図8図8は、実施例2における本発明の貯水装置の概略分解図である。
図9図9は、実施例2における本発明のタンクの上ハウジングの断面図である。
図10図10は、実施例2における本発明の貯水装置の入水状態の概略図(断面)である。
図11図11は、実施例2における本発明の貯水装置のオーバーフロー状態の概略図(断面)である。
図12図12は、実施例2における本発明の衛生給水装置の概略分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願書類で記載する高さとは、タンクのいずれかの位置と地面との距離を意味する。
【実施例1】
【0020】
図1図5を参照して、本発明のサイホン作用を防止する貯水装置は、衛生洗浄装置の洗浄水路に設置されるとともに、洗浄水を貯えるためのタンク1を含む。前記タンク1には入水構造及び吐水構造が設けられている。また、前記タンク1には更にオーバーフロー構造が設けられており、前記入水構造の吐水面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面よりも高くなっている。
【0021】
本実施例において、前記入水構造は入水管3を含む。前記入水管3の一端には、前記タンク1内に位置する吐水口31が設けられており、前記吐水口31の吐水面が前記入水構造の吐水面を構成している。また、前記入水管3の他端には入水口32が設けられており、前記入水口32が前記タンク1の外部と通じている。前記吐水口31の吐水面とは、吐水口31の端縁が位置する面を意味する。その他の実施例において、前記入水構造は、タンクの側壁又は天井壁に設けられる入水口、前記入水構造の吐水面及び入水口の内縁が位置する面である。
【0022】
図2に示すように、本実施例において、前記入水口32は前記タンク1の側壁に位置しているが、これに限らない。その他の実施例において、前記入水口32はタンク1の底壁に位置する。
【0023】
本実施例において、前記オーバーフロー構造はオーバーフロー管2を含む。前記オーバーフロー管2の上端は、前記タンク1内に位置するオーバーフロー口21となっており、前記オーバーフロー口21のオーバーフロー面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面を構成している。また、前記オーバーフロー管2の底端には排水口22が設けられており、前記排水口22が前記タンク1の外部と通じている。具体的に、前記排水口22は前記タンク1の底壁に位置している。ただし、これに限らず、その他の実施例において、前記排水口22は前記タンク1の側壁底部に位置する。前記オーバーフロー口21のオーバーフロー面とは、オーバーフロー口21の端縁が位置する面を意味する。その他の実施例において、前記オーバーフロー構造は、タンクの側壁に設けられるオーバーフロー口、前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面及びオーバーフロー口の内縁が位置する面である。
【0024】
本実施例において、前記オーバーフロー管2はタンク1の内側面に近接している。これにより、オーバーフロー管2はタンク1の内部により大きなスペースを譲ることができるため、その他の部品を装着しやすい。具体的に、前記オーバーフロー管2は、後述する上ハウジングの内側面に近接している。また、前記オーバーフロー管2は前記入水管3の吐水口31から離間している。よって、入水管3からの入水時に、入水管3付近の水面に発生する変動によって水がオーバーフロー管2から流出するとの事態は発生せず、水の損失が低減する。
【0025】
本実施例において、前記吐水構造は、具体的に、前記タンク1内に設置される引水管(図示しない)と、前記タンク内に設置される加熱室111を含む。前記引水管の底端には入水口が設けられている。また、前記入水口はタンクの底壁に近接している。引水管の上端は加熱室111と連通している。加熱室の上端は開口しており、吐水可能なエンドカバー13によって覆われている。前記オーバーフロー管2の上端は、加熱室111の底端よりも高くなっている。そのため、タンク内の水面は加熱室111を浸すことができ、これにより、加熱室111の外部放出熱を利用してタンク内の水を予熱可能である。その他の実施例において、前記吐水構造は、前記タンクの側壁又は底壁に設置される吐水孔である。
【0026】
本実施例において、前記タンク1は、底板12と、底端が開口した上ハウジング11を含む。底板12は、前記上ハウジング11の底端開口箇所に密封状に接続される。具体的に、前記底板12は、超音波溶接によって四方を上ハウジング11に固定される。前記オーバーフロー管2及び入水管3は底板12上に立設される。且つ、前記オーバーフロー管2、入水管3及び前記底板12は一体的に射出成型される。具体的に、前記底板12は、平板式のメインプレート121と、前記メインプレート121の上面の辺縁に突設される小側壁122を含む。前記メインプレート121はタンク1の底壁を構成し、前記上ハウジング11の四方の側壁及び小側壁122は前記タンクの側壁を構成する。前記入水管の入水口は、前記小側壁122に位置する。また、前記吐水構造は上ハウジング11に設置される。
【0027】
本発明におけるサイホン作用を防止する貯水装置は、図4に示すように、入水時に水が入水口32から進入し、入水管3の内部経路に沿って上方へと流れ、最後に、入水管3の吐水口31から流出してタンク1内に落下する。また、入水過程では、タンク1内の空気が徐々に押し出されて、オーバーフロー管2から排出される。入水を制御するための装置(前記装置は、一般的に、タンク内に設置される水位検出器、入水口32に設置される電磁弁、及び、水位検出器や電磁弁の動作状態と協調する制御装置を含む)が機能を喪失し、入水口32からの入水が継続した結果、タンク1内の水が最高水位線を上回った場合には、図5に示すように、余分な水がオーバーフロー管2上端のオーバーフロー口21から進入し、オーバーフロー管2の内部経路に沿って排水口22に向かって流れる。そして、最終的にはトイレタンク内へと落下する。
【0028】
前記吐水口31は前記オーバーフロー口21よりも高くなっているため、吐水口31は常に水中に沈むことがなく、オーバーフロー口21上方の空気層内に位置している。よって、入水口32に接続される給水管に負圧が発生したときにタンク1内の水が逆流することはなく、水源の汚染が回避される。
【0029】
前記オーバーフロー管2は、排気可能であるとともに、オーバーフロー作用を奏することも可能である。且つ、オーバーフロー時には、水をトイレタンク内に直接排出可能であり、その他の管路を接続する必要がない。そのため、本発明のタンクは外観がよりシンプルで美しく、且つ、いっそう取り付けやすい。
【0030】
図6図7を参照して、本発明の衛生給水装置は、ヒータ、ウォーターポンプ30、タンク10を含む。前記タンク10には、上記実施例1で記載した本発明のサイホン作用を防止する貯水装置を使用する。また、前記ヒータは、タンク10からの洗浄水を加熱する。前記ウォーターポンプ30は、タンク1に進入した洗浄水がヒータを通過して送出されるよう、洗浄水の搬送動力を提供する。
【0031】
本実施例において、前記ヒータは瞬間式であり、セラミックス加熱チップ20を含む。セラミックス加熱チップ20は、前記タンク10に設けられた加熱室111内に前記エンドカバー13を利用して設置される。前記ウォーターポンプ30は、2つの保護カバー40と50の間に設置され、一方の保護カバー40を介してエンドカバー13に接続されるとともに、前記加熱室111と連通する。
【0032】
本発明の衛生洗浄装置は、洗浄水を噴射するためのスプレー洗浄装置(図示しない)を含むほか、更に、上記実施例1で記載した本発明の衛生給水装置を含む。前記スプレー洗浄装置は、前記衛生給水装置が位置する洗浄水路の末端に位置する。具体的に、前記スプレー洗浄装置は前記ウォーターポンプの下流側に位置して、前記ウォーターポンプが引き出した洗浄水を噴射することで、臀部洗浄又は女性器洗浄を実現する。
【実施例2】
【0033】
図8図11を参照して、本発明におけるサイホン作用を防止する貯水装置は、上記実施例1と以下の点において異なっている。即ち、前記入水管3の底端は、前記入水口32が前記タンク1の外側に位置するよう、前記タンク1の外側まで延伸している。また、前記オーバーフロー管2の底端も、前記排水口22が前記タンク1の外側に位置するよう、前記タンク1の外側まで延伸している。
【0034】
本実施例においても同様に、前記タンクは上ハウジング11及び底板12を含む。前記オーバーフロー管2及び入水管3は、上ハウジング11の中腹に一体的に射出成型されており、且つ、上ハウジング11の内側面に密着している。前記上ハウジング11の上端は開口しており、エンドカバー13によって覆われている。
【0035】
図10に示すように、入水時には水が入水口32から進入し、入水管3の内部経路に沿って上方へと流れ、最後に、入水管3の吐水口31から流出してタンク1内に落下する。また、入水過程では、タンク1内の空気が徐々に押し出されて、オーバーフロー管2から排出される。入水を制御するための装置(前記装置は、一般的に、タンク内に設置される水位検出器、入水口32に設置される電磁弁、及び、水位検出器や電磁弁の動作状態と協調する制御装置を含む)が機能を喪失し、入水口32からの入水が継続した結果、タンク1内の水が最高水位線を上回った場合には、図11に示すように、余分な水がオーバーフロー管2上端のオーバーフロー口21から進入し、オーバーフロー管2の内部経路に沿って排水口22に向かって流れる。そして、最終的にはトイレタンク内へと落下する。
【0036】
図12を参照して、本発明の衛生給水装置は、ヒータ、ウォーターポンプ30、タンク10を含む。前記タンク10には、上記実施例2で記載した本発明のオーバーフロー付き貯水装置を使用する。前記ヒータはタンク10からの洗浄水を加熱する。また、前記ウォーターポンプ30は洗浄水の搬送動力を提供する。
【0037】
本実施例において、前記ヒータは瞬間式であり、セラミックス加熱チップ20を含む。セラミックス加熱チップ20は、エンドカバー13を利用して前記タンク10の加熱室111内に設置される。前記ウォーターポンプ30の入水端は、エンドカバー13を介して前記加熱室111と連通する。
【0038】
本発明の衛生洗浄装置は、洗浄水を噴射するためのスプレー洗浄装置(図示しない)を含むほか、更に、上記実施例2で記載した本発明の衛生給水装置を含む。前記スプレー洗浄装置は、前記衛生給水装置が位置する洗浄水路の末端に位置する。具体的に、前記スプレー洗浄装置は前記ウォーターポンプの下流側に位置して、前記ウォーターポンプが引き出した洗浄水を噴射する。
【0039】
上記の実施例は、本発明におけるサイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置を更に説明するために用いたにすぎず、本発明は実施例に限らない。本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対し行われる任意の簡単な修正、等価の変形及び補足は、いずれも本発明の技術方案の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、サイホン作用を防止する貯水装置、衛生給水装置及び衛生洗浄装置を開示する。前記貯水装置は、衛生洗浄装置の洗浄水路に設置されるとともに、洗浄水を貯えるためのタンクを含む。前記タンクには入水構造及び吐水構造が設けられている。前記タンクには更にオーバーフロー構造が設けられており、前記入水構造の吐水面が前記オーバーフロー構造のオーバーフロー面よりも高くなっている。本発明のタンクは、オーバーフロー機能を有するだけでなく、サイホン作用防止機能も有しているため、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12