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特許7455206触媒成形体、その製造方法及びこれを用いた環状ケトンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】触媒成形体、その製造方法及びこれを用いた環状ケトンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/04 20060101AFI20240315BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240315BHJP
   C07C 45/61 20060101ALI20240315BHJP
   C07C 49/603 20060101ALI20240315BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
B01J23/04 Z
B01J37/04 102
C07C45/61
C07C49/603
C07B61/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022530222
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 KR2021004437
(87)【国際公開番号】W WO2022092457
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140233
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516298504
【氏名又は名称】コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Korea Kumho Petrochemical Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】100,Cheonggyecheon-ro,Jung-gu,Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,キョンホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジン ウ
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-073975(JP,A)
【文献】特表2009-509728(JP,A)
【文献】特開平03-295805(JP,A)
【文献】特表2019-511352(JP,A)
【文献】特開昭61-026509(JP,A)
【文献】特開2020-094053(JP,A)
【文献】特開2003-144932(JP,A)
【文献】特開平09-169688(JP,A)
【文献】特開平09-241204(JP,A)
【文献】特公昭46-011097(JP,B2)
【文献】特開2009-233662(JP,A)
【文献】特開平03-080936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 45/61
C07C 49/603
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)触媒粉末及びバインダーを含む混合粉末を製造する段階と、
(b)前記混合粉末に第1の水溶液を混合してスラリーを製造する段階と、
(c)前記スラリーを成形及び熱処理して触媒成形体を得る段階と、を含む、触媒成形体の製造方法であって、
前記バインダーは、前記触媒成形体100重量部を基準に4~8重量部となる量の酸化カルシウムを含む、触媒成形体の製造方法。
【請求項2】
(a)触媒粉末及びバインダーを含む混合粉末を製造する段階と、
(b)前記混合粉末に第1の水溶液を混合してスラリーを製造する段階と、
(c)前記スラリーを成形及び熱処理して触媒成形体を得る段階と、を含む、触媒成形体の製造方法であって、
前記バインダーは、前記触媒成形体100重量部を基準に0.1~4.5重量部となる量の有機バインダーと前記触媒成形体100重量部を基準に4~8重量部となる量の酸化カルシウムを含む、触媒成形体の製造方法。
【請求項3】
(a)触媒粉末及びバインダーを含む混合粉末を製造する段階と、
(b)前記混合粉末に第1の水溶液を混合してスラリーを製造する段階と、
(c)前記スラリーを成形及び熱処理して触媒成形体を得る段階と、を含む、触媒成形体の製造方法であって、
前記バインダーは、前記触媒成形体100重量部を基準に4~8重量部となる量の酸化カルシウムを含み、
第1の水溶液は、前記触媒成形体100重量部を基準に0.1~1重量部となる量の水酸化アルカリを含む、触媒成形体の製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の触媒成形体の製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、マグネシウム及びアルミニウムのモル比(Mg/Al)が1.0~5.0である、請求項4に記載の触媒成形体の製造方法。
【請求項6】
(i)非環状ケトンを含む反応物を準備する段階と、
(ii)前記反応物を反応器内で請求項1~5のいずれか1項に記載の触媒成形体の製造方法により得られた触媒成形体と反応させる段階と、を含む、環状ケトンの製造方法。
【請求項7】
前記(ii)段階は、回分式または連続式工程により行われる、請求項6に記載の環状ケトンの製造方法。
【請求項8】
前記(ii)段階後、
(iii)前記(ii)段階の生成物のうち環状ケトンを分離する段階をさらに含む、請求項6または7に記載の環状ケトンの製造方法。
【請求項9】
前記(i)段階の反応物として前記(iii)段階で分離した原料をリサイクルする、請求項8に記載の環状ケトンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
触媒、その製造方法およびそれを用いた環状ケトンの製造方法に関することが提示される。
【背景技術】
【0002】
アセトンのような非環状ケトンは生産過剰状態であり、これを用いて高付加価値物質を製造するための技術の開発が行われている。アセトン誘導体のうちイソホロン(isophorone;IPH)は、様々な化学製品の中間体、溶媒などに使用されている。
【0003】
従来、イソホロンを製造する様々な方法が紹介されたが、最も一般的な方法に該当する均一系触媒(homogeneous catalyst)を用いた回分式(batch)工程は、アセトンと触媒を混合してアルドール縮合反応を行った後、中和、ろ過及び蒸留を通じてイソホロンを製造し工程が複雑であるという問題点がある。また、毎回分ごとに温度を調節し、触媒の中和塩による廃棄物が発生して工程コストが高い。
【0004】
回収可能な固体不均一触媒(heterogeneous catalyst)を用いて中和工程を省略する技術が試みられたことがあるが、これも触媒回収のためのろ過工程が必須であり、毎回分ごとに工程条件の制御が必要であり、触媒の機械的強度が不足して破損により粒子が小さくなりすぎて回収が困難になるという問題点がある。
【0005】
固定床反応器(fixed-bed reactor)を用いて連続式(continuous)工程を適用すると、イソホロンの連続生産が可能で、工程を単純化できるが、従来の触媒は、反応安定性と機械的強度が不足して反応進行によって触媒寿命が急減し、製品生産に困難があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の側面は、前述した従来技術の問題点を解決するのためのもので、その目的は、機械的強度、触媒安定性に優れており、副産物生成量が少ない触媒成形体とその製造方法を提供することである。
【0007】
他の目的は、前述した触媒成形体を用いて単純化された工程により環状ケトンを製造することにより分離精製工程におけるエネルギー使用量を低減させ、運転時間を延長して収率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一側面によると、(a)触媒粉末及びバインダーを含む混合粉末を製造する段階、(b)前記混合粉末に第1の水溶液を混合してスラリーを製造する段階、及び(c)前記スラリーを成形及び熱処理して触媒成形体を得る段階を含む、触媒成形体の製造方法を提供する。
【0009】
一実施例において、前記触媒は、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であってもよい。
【0010】
一実施例において、前記触媒は、マグネシウム及びアルミニウムのモル比(Mg/Al)が1.0~5.0であってもよい。
【0011】
一実施例において、前記バインダーは、触媒成形体100重量部を基準に1~20重量部の無機バインダーを含んでもよい。
【0012】
一実施例において、前記バインダーは、触媒成形体100重量部を基準に0.1~4.5重量部の有機バインダーを含んでもよい。
【0013】
一実施例において、前記第1の水溶液は、触媒成形体100重量部を基準に0.1~1重量部の水酸化アルカリを含んでもよい。
【0014】
本明細書の他の一側面は、前述した触媒成形体の製造方法により製造された、触媒成形体を提供する。
【0015】
一実施例において、圧縮強度が10N以上であってもよい。
【0016】
一実施例において、直径が1.0~10.0mmであってもよい。
【0017】
本明細書のさらに他の一側面は、(i)非環状ケトンを含む反応物を準備する段階、及び(ii)前記反応物を反応器内で前述した触媒成形体と反応させる段階を含む、環状ケトンの製造方法を提供する。
【0018】
一実施例において、前記(ii)段階は、回分式または連続式工程により行われてもよい。
【0019】
一実施例において、前記(ii)段階後、(iii)前記(ii)段階の生成物のうち環状ケトンを分離する段階をさらに含んでもよい。
【0020】
一実施例において、前記(i)段階の反応物として前記(iii)段階で分離した原料をリサイクルしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本明細書の一側面によると、機械的強度、触媒安定性に優れており、副産物生成量の少ない触媒成形体を製造しうる。
【0022】
他の一側面によると、前述した触媒成形体を用いて単純化された工程により環状ケトンを製造することにより、分離精製工程におけるエネルギー使用量を低減させ、運転時間を延長して収率を向上させることができる。
【0023】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本明細書による触媒成形体の一例を示したものである。
【0025】
図2図2は、本明細書による触媒成形体が適用された反応器の一例の概要図を示したものである。
【0026】
図3図3は、本明細書による触媒成形体の長時間安定性を確認した実験結果を示したものである。
【0027】
図4図4は、本明細書による触媒成形体の不純物の存在下での安定性を確認した実験結果示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照し、本発明を説明する。しかし、本発明は、様々な相異なる形で具現されてもよく、したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。また、図面において本発明を明確に説明するため、説明と関係のない部分は省略しており、明細書の全体を通じて類似した部分に対しては、類似した図面符号を付けた。
【0029】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を介して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0030】
本明細書において数値的値の範囲が記載されたとき、その具体的な範囲が特に記載のない限り、その値は、有効数字に対する化学における標準規則に従って提供された有効数字の精度を持つ。例えば、10は、5.0~14.9の範囲を含み、数字10.0は、9.50~10.49の範囲を含む。
【0031】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0032】
触媒成形体の製造方法
本明細書の一側面による触媒成形体の製造方法は、(a)触媒粉末及びバインダーを含む混合粉末を製造する段階、(b)前記混合粉末に第1の水溶液を混合してスラリーを製造する段階、及び(c)前記スラリーを成形及び熱処理して触媒成形体を得る段階を含んでもよい。
【0033】
前記(a)段階は、連続式工程にも適用可能な優れた機械的強度を持つ成形体の製造のため、活性を持つ触媒粉末をバインダーと混合して混合粉末を製造する段階であってもよい。
【0034】
前記触媒は、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であってもよい。例えば、前記触媒は、マグネシウム及びアルミニウムがモル比(Mg/Al)1.0~5.0、例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0またはこれらのうち2つの値の間の範囲からなるものであってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記Mg/Alモル比が1.0~3.0の範囲に収まると、環状ケトンの選択度が60%以上であってもよい。このような触媒の一例としては、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)、クインティナイト(quintinite)、フォルゲライト(fougerite)などのような金属酸化物ないし金属水酸化物のうち少なくとも一つが挙げられる。
【0035】
前記バインダーは、触媒成形体100重量部を基準に1~20重量部、例えば、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部またはこれらのうち2つの値の間の範囲の無機バインダーを含んでもよい。前記無機バインダーは、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al)、ボヘマイト(AlOOH)の中から選ばれた少なくとも一つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記バインダーは、触媒成形体100重量部を基準に0.1~4.5重量部、例えば、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1.0重量部、1.1重量部、1.2重量部、1.3重量部、1.4重量部、1.5重量部、1.6重量部、1.7重量部、1.8重量部、1.9重量部、2.0重量部、2.1重量部、2.2重量部、2.3重量部、2.4重量部、2.5重量部、2.6重量部、2.7重量部、2.8重量部、2.9重量部、3.0重量部、3.1重量部、3.2重量部、3.3重量部、3.4重量部、3.5重量部、3.6重量部、3.7重量部、3.8重量部、3.9重量部、4.0重量部、4.1重量部、4.2重量部、4.3重量部、4.4重量部、4.5重量部またはこれらのうち2つの値の間の範囲の有機バインダーを含んでもよい。前記有機バインダーは、例えば、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxy methyl cellulose;MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(carboxy methyl cellulose sodium salt)、酢酸の中から選ばれた少なくとも一であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記バインダーは、前述した含量の無機バインダー及び有機バインダーをそれぞれ含んでもよい。
【0038】
前述した触媒、バインダーの組成及び含量によって触媒成形体の機械的物性と環状ケトンの収率、選択度を改善するとともに副産物の収率を低減させることができる。
【0039】
前記(b)段階は、前記混合粉末に第1の水溶液を混合して各成分の分散及び成形が容易なスラリー状で製造してもよい。
【0040】
前記第1の水溶液は、触媒成形体100重量部を基準に0.1~1重量部の水酸化アルカリを含んでもよく、前記水酸化アルカリの含量は、例えば、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1.0重量部またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。
【0041】
前記水酸化アルカリは、増進剤として触媒の環状ケトンに対する選択度を向上させ、副産物の収率を減少させることができる。
【0042】
前記(c)段階は、(c1)前記スラリーを加圧成形する段階、(c2)15~35℃で1~48時間1次乾燥させる段階、(c3)90~120℃で1~24時間2次乾燥させる段階、及び(c4)350~650℃で1~10時間焼成させる段階を含んでもよい。
【0043】
前記(c1)段階は、所定の形態で触媒成形体を形成する段階で、加圧により成形体の圧縮強度が改善されることがある。前記加圧成形は、押出機、ローラープレスなどで行われてもよい。
【0044】
前記(c2)段階は、常温下で1次的に乾燥を行って水分を除去するものであってもよく、例えば、1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間またはこれらのうち2つの値の間の範囲の時間で行われてもよい。
【0045】
前記(c3)段階は、高温条件下で2次乾燥を行うもので、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃またはこれらのうち2つの値の間の範囲の温度で1時間、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間またはこれらのうち2つの値の間の範囲の時間で行われてもよい。
【0046】
前記(c4)段階は、350℃、375℃、400℃、425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃またはこれらのうち2つの値の間の範囲の温度で1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間またはこれらのうち2つの値の間の範囲の時間の間焼成を行って水分と有機バインダーを除去するものであってもよい。
【0047】
触媒成形体の乾燥及び焼成を前記(c2)~(c4)のように温度条件を異にして段階別に行うと、水分などの除去速度を調節して触媒成形体の機械的強度を改善し、触媒作用が可能な面積を最大化できる。
【0048】
触媒成形体
本明細書の他の一側面による触媒成形体は、前述した触媒成形体の製造方法によって製造されてもよい。図1は、本明細書の一実施例による触媒成形体の一例を示したものである。
【0049】
前記触媒成形体は、圧縮強度が10N以上であってもよい。例えば、10N、11N、12N、13N、14N、15N、16N、17N、18N、19N、20N、21N、22N、23N、24N、25N、26N、27N、28N、29N、30N、31N、32N、33N、34N、35N、36N、37N、38N、39N、40N、41N、42N、43N、44N、45N、46N、47N、48N、49N、50N、51N、52N、53N、54N、55N、56N、57N、58N、59N、60N、61N、62N、63N、64N、65N、66N、67N、68N、69N、70N、71N、72N、73N、74N、75N、76N、77N、78N、79N、80N、81N、82N、83N、84N、85N、86N、87N、88N、89N、90N、91N、92N、93N、94N、95N、96N、97N、98N、99N、100Nまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記触媒成形体は、バインダーの組み合わせと増進剤、乾燥工程により優れた機械的強度を持つことができる。
【0050】
前記触媒成形体は、直径が1.0~10.0mm、例えば、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、9.5mm、10.0mmまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。
【0051】
前記触媒成形体は、アルドール縮合反応の速度を増加させることができ、また、十分な機械的強度と安定性を持つため、固定床触媒反応器に適用されてもよい。
【0052】
また、前記触媒成形体は、200~350℃の高温下でも安定性に優れており、長時間反応を行っても活性が維持されて連続式反応器に適切に適用されてもよい。
【0053】
環状ケトンの製造方法
本明細書のさらに他の一側面による環状ケトンの製造方法は、(i)非環状ケトンを含む反応物を準備する段階、及び(ii)前記反応物を反応器内で前述した触媒成形体と反応させる段階を含んでもよい。
【0054】
図2は、前記環状ケトンの製造方法が適用された反応器の一例を示したものである。
【0055】
図2を参照すると、前記(i)段階は、非環状ケトンを含む反応物を混合機で混合後、予熱器で加熱するものであってもよい。
【0056】
前記(ii)段階の反応は、不均一系触媒反応であり、回分式または連続式工程により行われてもよい。従来の環状ケトン製造方法は、触媒の安定性と機械的強度が不足して連続式工程により行われるのが困難であるという問題点があり、回分式反応器に反応物と触媒を混合して投入した後、中和及びろ過工程を行う均一系触媒工程を用いた。寿命に優れた前記触媒成形体を使用すると、スラリー反応器を用いた回分式工程または固定床反応器を用いた連続式工程をすべて適用しうる。
【0057】
前記(ii)段階の反応が回分式工程により行われると、前記(i)段階で準備された反応物を前述した触媒成形体と混合した後、回分式反応器内でアルドール縮合反応を行い、ろ過を通じて触媒成形体を回収し、生成物は、蒸留を通じて得ることができる。
【0058】
前記(ii)段階の反応が連続式工程により行われると、前記(i)段階で準備された反応物を前述した触媒成形体が充填された反応器に投入するものであってもよく、前記反応器は、200~350℃、例えば、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃またはこれらのうち2つの値の間の範囲の温度で反応を行ってもよい。前記反応器は、触媒成形体が0.15~1.50h-1、例えば、0.15h-1、0.20h-1、0.25h-1、0.30h-1、0.35h-1、0.40h-1、0.45h-1、0.50 1h-1、0.55h-1、0.60h-1、0.65h-1、0.70h-1、0.75h-1、0.80h-1、0.85h-1、0.90h-1、0.95h-1、1.00h-1、1.05h-1、1.10h-1、1.15h-1、1.20h-1、1.25h-1、1.30h-1、1.35h-1、1.40h-1、1.45h-1、1.50h-1またはこれらのうち2つの値の間の範囲の空間速度(Liquid Hourly Space Velocity、LHSV)条件を満たすように充填されたものであってもよい。空間速度が低すぎると、目的とする生成物の選択度が減少することがあり、高すぎると、反応が十分に行われず工程転換率が低く非経済的になり得る。空間速度が0.20~0.80h-1の条件を満たすと、60%以上の環状ケトン選択度と10%未満の副産物収率を同時に満たすことができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
前記(ii)段階の反応が連続式工程により行われると、相対的に生成物の収率が増加し、毎回分の昇温、冷却及び触媒回収のためのろ過工程が必要な回分式工程に対して工程コストが節減できる。従来の触媒の使用時、高温条件下または長時間使用時に安定性が不足して連続式工程の適用が困難であったが、前記触媒成形体を使用してこれを解決しうる。
【0060】
前記(ii)段階後、(iii)前記(ii)段階の生成物のうち環状ケトンを分離する段階をさらに含んでもよい。前記分離は、公知の様々な方法、例えば、ろ過、蒸留、減圧濃縮、層分離、吸着、吸収、抽出などの様々な方法を組み合わせて環状ケトン、リサイクル原料及び副産物に分離するものであってもよい。
【0061】
前記(i)段階で反応物として前記(iii)段階で分離した原料を混合して使用することにより、リサイクルが可能である。
【0062】
例えば、前記(iii)段階は、生成物を層分離して水を除去し、蒸留を通じて環状ケトン、リサイクル原料及び副産物に分離するものであってもよい。前記触媒成形体は、不純物を含む蒸留されたリサイクル原料の使用時にも十分な安定性を持つため、このように再循環の流れを適用して環状ケトンを製造しうる。
【0063】
以下、本発明の実施例に対して、さらに詳細に説明する。ただし、以下の実験結果は、前記実施例のうち代表的な実験結果のみを記載したものであり、実施例などによって本発明の範囲と内容が縮小されるか、または制限されて解釈されることはできない。以下で明示的に提示していない本発明の様々な具現例のそれぞれの効果は、当該部分で具体的に記載するものとする。
【0064】
製造例
マグネシウム-アルミニウム酸化物触媒粉末、無機バインダー及び有機バインダーを混合して混合粉末を製造した。前記混合粉末に増進剤及び蒸留水を混合した水溶液を添加し、押出後、25℃で24時間1次乾燥した。これを105℃で12時間2次乾燥した後、500℃で4時間焼成して水と有機バインダーを除去して触媒成形体を製造した。
【0065】
実施例1
前記触媒粉末を公知の共沈法で製造してアセトンを用いたイソホロンの製造時、マグネシウム-アルミニウムのモル比(Mg/Al)による前記触媒成形体の特性を確認し、その結果を下記表1に示した。残りの条件は、全て同様に維持した。
【0066】
【表1】
【0067】
前記表1を参照すると、前記触媒成形体は、副産物の収率に対してIPH収率が2~4倍と高いので、副産物の生成を最小化して環状のケトンを製造できた。Mg/Alのモル比1.0~3.0を満たす実施例1-1~実施例1-3は、IPH選択度が60%以上であるので、優れており、モル比3.0~3.5内外でアセトン転換率及びIPH選択度が同時に急減することが確認できる。
【0068】
実施例2
前記無機バインダーの種類、含量及び成形設備を異にして、前記触媒成形体の特性を確認し、その結果を下記表2~表3に示した。残りの条件は、全て同様に維持した。
【0069】
【表2】
【0070】
前記表2を参照すると、無機バインダーを含まない比較例2-1や無機バインダーとして酸化マグネシウムを含む比較例2-2は、混合粉末の間で結合力が不足して圧縮強度が不十分であったが、無機バインダーとして酸化カルシウムまたは酸化アルミニウムを含む実施例2-1~実施例2-4は、10N以上の高い圧縮強度を有し、固定床触媒反応器に適用可能であった。特に、酸化カルシウム5重量%を添加した実施例2-2は、副産物収率は低く、IPH選択度は高かった。
【0071】
【表3】
【0072】
前記表3を参照すると、無機バインダーを含み、ローラープレスで加圧成形するか、または焼成工程を適用した実施例2-5、実施例2-6は、実施例2-2に対して圧縮強度が著しく改善され、IPH収率も増加した。また、無機バインダーとして酸化カルシウムと酸化アルミニウムを組み合わせた実施例2-7と実施例2-8は、IPH収率と圧縮強度に優れており、これと同時に副産物収率の増加を最小化できた。
【0073】
実施例3
前記有機バインダーの種類、含量を異にし、前記触媒成形体の特性を確認し、その結果を下記表4に示した。残りの条件は、全て同様に維持した。
【0074】
【表4】
【0075】
前記表4を参照すると、有機バインダーの含量が5重量%である比較例3-1は、圧縮強度が大きく減少し、有機バインダー触媒成形体から十分に除去されず、適用が困難であったが、有機バインダーを1~3重量%含む実施例3-1~実施例3-4は、IPH収率と圧縮強度を改善できた。
【0076】
実施例4
前記増進剤及び蒸留水の種類及び含量を異にして前記触媒成形体の特性を確認し、その結果を下記表5に示した。残りの条件は、全て同様に維持した。
【0077】
【表5】
【0078】
前記表5を参照すると、増進剤として水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む実施例4-2~実施例4-5は、副産物収率が減少し、圧縮強度も改善された。
【0079】
実施例5
前記触媒成形体の固定床触媒反応器内での連続式反応を行うときの安定性を確認した。固定床触媒反応器の概要図は、図2に示した。
【0080】
前記触媒成形体を反応温図285℃、反応圧力1barg、LHSV0.20/hの条件下で純粋なアセトンのみを投入して反応を行い、その結果を図3に示した。
【0081】
また、前記反応器で蒸留塔を通じてアセトン及び酸化メシチルを再循環させて適用時の安定性を確認するため、アセトン96%、酸化メシチル1.6%、3次-メチルベンゼン0.1%、水1.3%を投入して前記触媒成形体の不純物に対する影響を確認し、その結果を図4に示した。
【0082】
図3を参照すると、前記触媒成形体は、1,500時間以上の反応を行うときにもIPH収率が低下せず、優れた安定性を有することが確認できる。また、図4を参照すると、前記触媒成形体は、不純物の存在下でも安定性に優れており、反応後にアセトンを再循環させても活性が大きく低下しなかった。
【0083】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を持つ者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形可能であることが理解できるだろう。したがって、前述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。例えば、単一型で説明されている各構成要素は、分散して行われてもよく、同様に分散したものと説明されている構成要素も結合した形で行われてもよい。
【0084】
本発明の範囲は、後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解されるべきである。
図1
図2
図3
図4