(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】内視鏡用保護具および内視鏡用保護システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61B1/00 652
(21)【出願番号】P 2022534136
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2021025367
(87)【国際公開番号】W WO2022004897
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/026165
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.olympus.co.jp/news/2020/nr01930.html 2.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65888330V01C20A1XB0000/ 3.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.jiji.com/jc/article?k=000000070.000049310&g=prt 4.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.excite.co.jp/news/article/Prtimes_2020-11-05-49310-70/?p=2 5.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.oricon.co.jp/pressrelease/753101/ 6.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.innervision.co.jp/products/release/20201221 7.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://medical.jiji.com/prtimes/21814 8.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 http://news1st.jp/archives/6392 9.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP542794_V01C20A1000000/ 10.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://news.biglobe.ne.jp/economy/1105/prt_201105_4522290625.html 11.令和2年11月6日 ウエブサイト掲載 https://cksk.org/article/trend/6111.html 12.令和2年11月6日 ウエブサイト掲載 https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1106533343/ 13.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 http://www.byoinshinbun.com/news_news.php?cs=14&id=763
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 14.令和2年11月5日 ウエブサイト掲載 https://www.eizojoho.co.jp/newspr/5519 15.令和2年11月12日 日刊工業新聞 16.令和2年11月12日 化学工業日報 17.令和2年11月12日 ウエブサイト掲載 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00578053 18.令和3年6月11日 ウエブサイト掲載 https://www.olympus.co.jp/news/2021/nr02155.html 19.令和3年6月11日 配布、一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.令和3年6月12日 配布、特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 21.令和3年11月1日 ウエブサイト掲載 https://www.olympus.co.jp/news/2021/nr02226.html 22.令和3年11月1日 配布、公益社団法人東京都医師会
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有吉 大記
(72)【発明者】
【氏名】江澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修一
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慧輔
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】松脇 由典
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 敬太
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮介
(72)【発明者】
【氏名】常藤 達礼
(72)【発明者】
【氏名】須永 正明
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-066618(JP,U)
【文献】中国実用新案第209661597(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0172768(US,A1)
【文献】特表2006-522623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0189635(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272687(US,A1)
【文献】特開昭55-166137(JP,A)
【文献】特開2003-250751(JP,A)
【文献】特開平08-010211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
A61M11/00-19/00
A62B7/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔面に装着され、前記顔面との間に略密閉された空間を形成するマスク本体と、
前記マスク本体に配設された、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートと、
前記マスク本体に配設された、外気が前記空間に流入する第2のポートと、
前記マスク本体に配設された、吸引装置と接続され、前記被検者から発生したエアロゾルが吸引される第3のポートと、
前記マスク本体に配設された、チューブが挿通される孔である第4のポートと、を具備し、
前記第1のポートは、放射状に配置された複数の第1のスリットを有するゴムからなるシャッターで覆われ、
前記第1のスリットは、前記シャッターの厚さよりも薄い第1の膜でつながっており、
前記第4のポートは、前記マスク本体の端面と第2のスリットを経由して連通することを特徴とする内視鏡用保護具。
【請求項2】
前記第1の膜は、前記シャッターの外周領域の厚さよりも中心領域の厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用保護具。
【請求項3】
前記マスク本体の材料は、青色着色剤を含有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用保護具。
【請求項4】
前記第2のポートまたは前記第3のポートに配設されるコネクタをさらに具備し、
前記コネクタは、前記第2のポートまたは前記第3のポートの内周面と、はまりあう外周面を有し、前記外周面の一部に凹部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用保護具。
【請求項5】
前記第2のスリットは、前記マスク本体の前記端面の厚さよりも、厚さが薄い第2の膜でつながっていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用保護具。
【請求項6】
前記マスク本体は、前記被検者の顔面に固定するための紐が挿通される、内径が前記紐の外径よりも小さい孔と、前記孔から延設された第3のスリットと、を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用保護具。
【請求項7】
内視鏡の挿入部が収容される筒状
で、一端にリングが設けられた第1のスリーブと
前記挿入部が挿入される第1のポートと、吸引装置と接続され、被検者から発生したエアロゾルが吸引される第3のポートと、を有し、前記被検者との間に略密閉された空間を形成するマスク本体と、を具備することを特徴とする内視鏡用保護具。
【請求項8】
前記第1のポートとかみ合って、前記第1のスリーブを前記第1のポートに固定するホックが、前記一端に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用保護具。
【請求項9】
2枚の矩形のフィルムの2辺が張り合わされており、
前記2枚のフィルムは、操作者の手が挿入される開口を有し、内視鏡の操作部が収容される、第2のスリーブであることを特徴とする内視鏡用保護具。
【請求項10】
前記2枚のフィルムは、前記開口と連通する第4のスリットをさらに有することを特徴とする請求項9に記載の内視鏡用保護具。
【請求項11】
内視鏡の操作部の処置具挿通口に挿通される処置具が収容される筒状の第3のスリーブと、
前記第3のスリーブの端部に設けられた第5のスリットにより分割された2つの端面を、前記操作部を間にはさんで、貼り合わすための固定部材と、を有することを特徴とする内視鏡用保護具。
【請求項12】
前記第3のスリーブは、畳まれて二枚の板によって挟んだ状態で梱包されることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡用保護具。
【請求項13】
被検者の顔面に装着され、前記顔面との間に略密閉された空間を形成するマスク本体と、
前記マスク本体に配設された、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートと、
前記マスク本体に配設された、外気が前記空間に流入する第2のポートと、
前記マスク本体に配設された、前記被検者から発生したエアロゾルが吸引される第3のポートと、
前記マスク本体に配設された、チューブが挿通される孔である第4のポートと、を具備し、
前記第1のポートは、放射状に配置された複数の第1のスリットを有するゴムからなるシャッターで覆われ、
前記第1のスリットは、前記シャッターの厚さよりも薄い第1の膜でつながっており、
前記第4のポートは、前記マスク本体の端面と第2のスリットを経由して連通する具備する内視鏡用保護具と、
前記第3のポートと接続される吸引装置と、を有することを特徴とする内視鏡用保護システム。
【請求項14】
前記マスク本体は、前記被検者の顔面に装着され、前記顔面との間に略密閉された空間を形成することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用保護具。
【請求項15】
一端から内視鏡の挿入部が収容される筒状の第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの他端に設けられ、被検体に装着される保護具本体の第1のポートに接続されるリングと、を具備することを特徴とする内視鏡用保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートを具備する内視鏡用保護具、および、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートを具備する内視鏡用保護具を含む内視鏡用保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の被検者の内視鏡検査を行うときに、被検者が発生する飛沫、エアロゾル等によって、医療従事者が感染するリスクがある。このため、医療従事者は、高性能マスク、フェイスガード、医療用ガウン、および、手袋等を用いることによって、感染を防止している。
【0003】
医療従事者の感染リスクをさらに低減する内視鏡用保護具が求められていた。
【0004】
国際公開第2011/127660号には、内視鏡の挿入部が挿入される挿入ポートを有し、被検者に酸素または麻酔用ガスを送る内視鏡用マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、医療従事者の感染リスクを低減する内視鏡用保護具、および、医療従事者の感染リスクを低減する内視鏡用保護システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の内視鏡用保護具は、被検者の顔面に装着され、前記顔面との間に略密閉された空間を形成するマスク本体と、前記マスク本体に配設された、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートと、前記マスク本体に配設された、外気が前記空間に流入する第2のポートと、前記マスク本体に配設された、吸引装置と接続され、前記被検者から発生したエアロゾルが吸引される第3のポートと、前記マスク本体に配設された、チューブが挿通される孔である第4のポートと、を具備し、前記第1のポートは、放射状に配置された複数の第1のスリットを有するゴムからなるシャッターで覆われ、前記第1のスリットは、前記シャッターの厚さよりも薄い第1の膜でつながっており、前記第4のポートは、前記マスク本体の端面と第2のスリットを経由して連通する。
別の実施形態の内視鏡用保護具は、内視鏡の挿入部が収容される筒状の第1のスリーブと、
前記第1のスリーブの一端に設けられ、被験者に装着される保護具本体の第1のポートに接続されるリングと、を具備する。
別の実施形態の内視鏡用保護具は、2枚の矩形のフィルムの2辺が張り合わされており、
前記2枚のフィルムは、操作者の手が挿入される開口を有し、内視鏡の操作部が収容される、第2のスリーブである。
別の実施形態の内視鏡用保護具は、内視鏡の操作部の処置具挿通口に挿通される処置具が収容される筒状の第3のスリーブと、前記第3のスリーブの端部に設けられた第5のスリットにより分割された2つの端面を、前記操作部を間にはさんで、貼り合わすための固定部材と、を有する。
別の実施形態の内視鏡用保護具は、一端から内視鏡の挿入部が収容される筒状の第1のスリーブと、前記第1のスリーブの他端に設けられ、被検体に装着される保護具本体の第1のポートに接続されるリングと、を具備する。
【0008】
実施形態の内視鏡用保護システムは、被検者の顔面に装着され、前記顔面との間に略密閉された空間を形成するマスク本体と、前記マスク本体に配設された、内視鏡の挿入部が挿入される第1のポートと、前記マスク本体に配設された、外気が前記空間に流入する第2のポートと、前記マスク本体に配設された前記被検者から発生したエアロゾルが吸引される第3のポートと、前記マスク本体に配設された、チューブが挿通される孔である第4のポートと、を具備し、前記第1のポートは、放射状に配置された複数の第1のスリットを有するゴムからなるシャッターで覆われ、前記第1のスリットは、前記シャッターの厚さよりも薄い第1の膜でつながっており、前記第4のポートは、前記マスク本体の端面と第2のスリットを経由して連通する内視鏡用保護具と、前記第3のポートと接続される吸引装置と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、医療従事者の感染リスクを低減する内視鏡用保護具、および、医療従事者の感染リスクを低減する内視鏡用保護システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図2】第1実施形態の内視鏡用保護具の正面図である。
【
図3】第1実施形態の内視鏡用保護具の作動方法のフローチャートである。
【
図4A】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図4B】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図4C】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図4D】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図4E】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図4F】第1実施形態の内視鏡用保護具の第1のポートの正面図である。
【
図5A】第1実施形態の内視鏡用保護具のポートの斜視分解図である。
【
図5B】第1実施形態の内視鏡用保護具のポートの斜視分解図である。
【
図5C】第1実施形態の内視鏡用保護具のポートの斜視分解図である。
【
図6A】第1実施形態の内視鏡用保護具のポートの正面図である。
【
図6B】第1実施形態の内視鏡用保護具のポートの正面図である。
【
図7】第1実施形態の内視鏡用保護具のポート配置の正面図である。
【
図8】第1実施形態の内視鏡用保護具の第4のポートの正面図である。
【
図9】第1実施形態の内視鏡用保護具の変形例の正面図である。
【
図10】第2実施形態の内視鏡用保護具の正面図である。
【
図11】第2実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図12】第3実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図13】第3実施形態の内視鏡用保護具の斜視分解図である。
【
図14】第3実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図15】第3実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図16】第4実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図17】第4実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図18】第5実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図19A】第5実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図19B】第5実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図20】第6実施形態の内視鏡用保護具の断面図である。
【
図21】第6実施形態の内視鏡用保護具の斜視分解図である。
【
図22】第6実施形態の内視鏡用保護具の側面図である。
【
図23】第7実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図24】第8実施形態の内視鏡用保護システムの斜視図である。
【
図25】第8実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図26A】第8実施形態の内視鏡用保護具のコネクタの斜視図である。
【
図26C】第8実施形態の内視鏡用保護具のキャップの断面図である。
【
図26D】第8実施形態の内視鏡用保護具のキャップの断面図である。
【
図26E】第8実施形態の内視鏡用保護具のキャップの断面図である。
【
図26F】第8実施形態の内視鏡用保護具のキャップの断面図である。
【
図27】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図28】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図29】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図30】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図31】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図32】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図33】第8実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図34】第9実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図35】第9実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図36】第10実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図37】第10実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図38】第10実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図39】第10実施形態の内視鏡用保護具の使用方法を説明する図である。
【
図40】第11実施形態の内視鏡用保護具の斜視図である。
【
図41】第11実施形態の内視鏡用保護システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1、
図2を用いて、第1実施形態の内視鏡用保護具(以下、「保護具」
、「内視鏡用保護マスク」ということがある。)1について説明する。なお、以下の説明において、各実施形態に基づく図面は、模式図である。各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。一部の構成要素の図示、符号の付与は省略する場合がある。
【0012】
<内視鏡用保護具の構成>
内視鏡90は、挿入部91と操作部92とユニバーサルコード93とを有する。被検者100の体内に挿入される挿入部91の先端部91Aには、撮像装置(不図示)が配置されている。
【0013】
保護具1は、被検者100に装着され、体との間に略密閉された空間を形成するマスク本体5を具備する。マスク本体5は、鼻および口を覆うように、顔面に密着する。マスク本体5は、紐19を用いて頭部に固定されている。紐19は、耳にかけられていてもよいし、頭後部だけでなく頭頂部にもかけられていてもよいし、弾性材料で構成されていてもよい。また、マスク本体5の弾性もしくは構造、または、粘着部材(テープなど)によって、マスク本体5が顔面に固定されてもよい。
【0014】
マスク本体5の形状は、空気の循環をよくするため形成される内部空間の体積が小さく、かつ、口および鼻が、マスク本体5に接触しないように設定される。内視鏡90が経口挿入される場合には、マスク本体5の形状はマウスピースを装着した被検者100を前提として設計される。
【0015】
保護具1は、少なくとも第1のポート10と第2のポート20とを具備する。
【0016】
内視鏡90の挿入部91が挿入される第1のポート10は、被検者100の口および鼻に対向する位置に1つ設けられている。第1のポート10は、経鼻および経口での内視鏡挿入を想定した大きさ、および、位置に設置している。そして、第1のポート10は、内視鏡挿入中に飛沫やエアロゾルの流出を防ぐため、リング10Aに配設されているシャッター6を有する。
【0017】
第1のポート10のシャッター6は、マスク本体5の内部の密閉性を損なうことのないように、放射線状のスリットSLによって分割された複数の舌片からなる。シャッター6の材料としては、挿入部91の外周面を傷付けないように挿入部91の外周面を構成する外皮よりも柔らかく、かつ、弾性がある、例えば、樹脂またはゴムが好適である。
【0018】
挿入部91が第1のポート10に挿入されると、シャッター6の複数の舌片は、挿入部91の外周面と当接し弾性変形する。挿入部91の周囲に大きな開口が生じることはない。
【0019】
保護具1は、筒状の第2のポート20を経由して外気がマスク本体5の内部の略密閉されている空間に流入する。
【0020】
保護具1は、被検者100による自発的な外気吸入を妨げることのないマスク本体5によって、被検者が発生する飛沫、エアロゾル等がマスク本体5の内部の略密閉空間に留まり、周囲に放出されにくい。このため、保護具1は、医療従事者の感染リスクを低減することができる。外気は、検査室/処置室の空気であるが、ガスボンベ等から共有される酸素等でもよい。
【0021】
さらに、保護具1は、筒状の第3のポート30を具備する。第3のポート30を経由してマスク本体5の内部空間の空気が吸引される。例えば、第3のポート30が吸引チューブ210によって、吸引装置200と接続される。吸引装置200に替えて、部屋の壁に配置されている減圧管を接続してもよいことは言うまでも無い。空気だけでなく、空気中に飛散している飛沫、エアロゾル等も吸引されることは言うまでも無い。すなわち、マスク本体5の内部の空間にある物質が吸引される。
【0022】
保護具1は、マスク本体5の内部空間の空気が吸引されるため、医療従事者の感染リスクを低減することができる。
【0023】
さらに、保護具1には、チューブが挿通される第4のポート40を具備する。保護具1の第4のポート40は、カニューレ、または、挿管チューブが挿通されているマスク本体5の外周の切り欠きである。カニューレは、第2のポート20を挿通してもよい。その場合は第2のポート20の孔はカニューレが挿通できる大きさとする。また、後述する第2のポート20が有する開口およびキャップが有する切れ込みもカニューレが挿通できる大きさとする。
【0024】
なお、本発明の保護具においては、第3のポート30および第4のポート40は、必須要素ではない。
【0025】
また、保護具1は、ポート61、62を更に具備する。
図2に示した保護具1では、ポート61は使用されないため、キャップ71によって塞がれている。第2のポート20と同じように外気が流入するポート62には、後述するように、ポート62の開口の大きさを制限する貫通孔のある流量調整部材であるキャップ72が配設されている。
【0026】
なお、内視鏡90は、先端部91Aに開口を有し挿入部91を挿通するチャンネルチューブ95を含む。チャンネルチューブ95の基端側の開口である処置具挿入口H95には、開口をふさぐ栓96が配設されている。
【0027】
<内視鏡用保護具の作動方法>
図3のフローチャートにそって、保護具1の作動方法を簡単に説明する。
【0028】
<ステップS10>装着工程
保護具1のマスク本体5が、顔面との間に略密閉された空間が形成される状態に、被検者100に装着される。
【0029】
マスク本体5は、塩化ビニルまたはシリコンゴム等の顔面に確実に密着でき、密閉性が担保できる柔軟な材料で構成されている。
【0030】
マスク本体5は、鼻に固定させるために、鼻と対向する領域が、予め鼻の形状に曲がっていることが好ましい。また、鼻と対向する領域が、被検者の鼻の形状に合わせて曲げることができる折り曲げ自由な素材であるマリアブル素材によって構成されていてもよい。
【0031】
個人差に応じた大きさのマスク本体5が準備されている。なお、全体形状を調整できるように、マスク本体5の外周部は折り曲げ自由な素材であるマリアブルな素材によって構成されていてもよい。
【0032】
第1のポート10は、マスク本体5の中心の開口に配設された円形のリング(円筒)10Aと、リング10Aに取り付けられたシャッター6と、を含む。リング10Aは、ナイロン、ポリアセタール、または、ポリプロピレンなど剛性のある樹脂からなる。シャッター6は、放射線状のスリットSLのあるいわゆる菊割れゴムからなる。マスク本体5は、第1のポート10の開口があるが、リング10Aによって機械的強度が担保され、形状が維持されている。第1のポート10のシャッター6は、用途に応じて交換可能である。
【0033】
なお、手術室等で使用されることも想定されるため、保護具1は滅菌処理されて袋にパッキングされていることが好ましい。
【0034】
<ステップS20>挿入工程
挿入部91が第1のポート10を経由して被検者100の体内に挿入される。
【0035】
<ステップS30>抜去工程
検査または処理が終了すると、挿入部91が被検者100の体内から抜去される。
【0036】
保護具1の作動方法では、挿入されてから抜去されるまでの期間に、空間の空気が第3のポート30を経由して吸引されるために、外気が第2のポート20を経由して空間に流入する。
【0037】
上述の内視鏡用保護具1の作動方法によれば、医療従事者の感染リスクを低減することができる。
【0038】
以上の内視鏡用保護具1を用いた検査/処置を被検者100の立場から説明する。
被検者100は、(A)待機室においてマスク本体5を装着する。(B)麻酔などの事前処置を受ける。(C)被検者100は、検査室/処置室に移動する。第3のポート30が吸引チューブ210によって、吸引装置200と接続される。(D)内視鏡を用いた検査/処置が行われる間、マスク本体5の内部の空間は換気が十分に実施されている。(E)検査/処置が終了すると、吸引チューブ210を取り外され、(F)被検者100は、マスク本体5を装着したまま、リカバリー室へ移動する。移動中も、マスク本体5の換気は、自発呼吸によって担保されている。
【0039】
または、被検者100は、検査室/処置室においてマスク本体5を装着し、検査/処置が終了すると、検査室/処置室においてマスク本体5を外しても良い。
【0040】
<第1のポートの変形例>
保護具1の略密閉空間の密閉度を劣化させないための、第1のポート10のシャッター6は、放射線状のスリットSLのある、いわゆる菊割れゴムに限られるものではない。
図4Aおよび
図4Bに示すシャッター6は、直線のスリットSLを有している。
図4Cに示すシャッター6は、経口内視鏡用の開口H11と、開口H11を塞いでいるカバー11Aと、経鼻内視鏡用の開口H12と、開口H12を塞いでいるカバー12Aと、を有する。
図4Dおよび
図4Eに示すシャッター6は、経口内視鏡用のスリットSL11と、経鼻内視鏡用のスリットSL12と、を有する。
図4Fに示すシャッター6は、経口内視鏡用の開口H11だけを有する。
【0041】
すなわち、第1のポート10の開口は、被検者の口または鼻の少なくともいずれかに対向する位置に少なくとも1つ設けられていればよい。第1のポート10の開口は、経口および経鼻に対応できるため、口および鼻に対向する位置に1つ設けられていることが好ましい。
【0042】
シャッター6は、第1のポート10から取り外し可能であることが好ましい。また、第1のポート10に複数のシャッター6が重ねて取り付けされていてもよい。
【0043】
なお、検査前および検査後、すなわち、被検者100が保護具1を装着し待機している間に、飛沫が漏れることを防ぐため、
図4Cに示すカバー11Aを有するシャッターのように、開口を完全に塞げる構成を有する保護具が好ましい。
【0044】
例えば、シャッター6を、写真撮影用レンズの虹彩絞りと同じように複数の絞り羽根を有する構成とすることによって、開口サイズが調整できる。7枚の羽根を有するシャッター6では7角形の開口が形成されるが、開口を完全に閉じることもできる。
【0045】
また、開口を有するシャッター6に、第2のシャッターとして、延性に優れたビニル樹脂、または、布のように、柔らかく、かつ、通気しない素材からなるカバーを重ねてもよい。
【0046】
例えば、検査前および検査後には、被検者100の口および鼻に対向する位置に孔のあるシャッター6の全面を塞ぐように、カバーがマスク本体5に配設されている。検査時には、カバーの位置をずらしたり、折り返したりすることで、孔の上半分または下半分が露出する。
【0047】
<第2のポート、第3のポートの変形例>
空気の経路となるポート、例えば第2のポート20または第3のポート30の少なくともいずれかは、流量が調整できることが好ましい。
【0048】
図5Aに示す第2のポート20は、マスク本体5との接合部の断面積が、先端部の断面積よりも広い。マスク本体5が被検者の頬に密着した場合、第2のポート20が塞がれて、十分な換気ができなくなるおそれがある。底面が広がっているポートは被検者の顔表面によって第2のポート20が塞がれることが少なくなる。
【0049】
また、第2のポート20は、吸引チューブまたは各種のルアーコネクタが接合される、ポートから取り外し可能なコネクタ72Aを有している。
【0050】
図5Bに示す第2のポート20は、側面に開口W20を有し、つば(傘)付きの栓である円筒状のキャップ71Aを有する。キャップ71Aを孔H20に押し込む深さを調整することによって開口W20の大きさ、すなわち、流量を調整できる。つば付きのキャップ71Aは、孔H20に深く押し込まれることがないため、マスク本体5の内面から突出することがない。またキャップ71Aが後述するオリフィス板に突き当らないことによって、オリフィス板が有する孔がキャップ71Aで塞がれることがない。さらに、第2のポート20は、側面に開口があるため、直接的な飛沫拡散を防ぐことができる。なお、
図2に示したキャップ71、72または
図5Aに示したコネクタ72Aも、つばを有していてもよい。
【0051】
図5Cに示す第2のポート20のキャップ73は、切れ込みのある当接部73Aと、円筒状の当接部73Bと、を有する。当接部73Aを孔H20に押し込む深さを調整することによって流量を調整できる。キャップ73は、当接部73Aを回転することによって換気口である切れ込みを医療従事者120がいない方向に向けることができ、医療従事者120がいない方向に換気できる。つばには、切れ込みの方向を示すマーク(矢印など)を有することが好ましい。また、当接部73Bを孔H20に押し込むと流路を遮断できる。
【0052】
図5Bに示した側面に開口W20を有する第2のポート20と、
図5Cに示した切れ込みを有するキャップ73を組み合わせてもよい。第2のポート20の開口W20とキャップ73の切れ込みとの重なり状態を変えることによって、換気の方向と流量を調整することができる。
【0053】
また、
図6Aに示す第2のポート20は、孔H20の中に複数の円形の孔H20Aを有するオリフィス板を有する。
図6Bに示す第2のポート20は、孔H20の中に複数の楕円形の孔H20Aを有するオリフィス板を有する。また、上記オリフィス板は、カニューレが挿通できる大きさの孔を一つのみ有していてもよい。
【0054】
上記第2のポート20と同じ構成を、第3のポート30が有していてもよい。また、ポートは、逆止弁を有していてもよい。また、ポートは、ろ過効率の高いフィルタ(N95など)を有していてもよい。
【0055】
<ポートの数、配置の変形例>
保護具1では、マスク本体5によって形成された空間は、ポートによってだけ外部とつながっている略密閉された空間である。
【0056】
保護具1は、少なくとも1つの第1のポート10と1つの第2のポート20とを有していれば、被検者100による自発的な外気吸入を妨げることなく、医療従事者の感染リスクを低減することができる。
【0057】
また、第3のポート30を有する場合には、マスク本体5の内部空間の空気の流れを考慮することで、最も効果的なポート配置が得られる。例えば、
図2に示したように、図面においてマスク本体5の左側に第2のポート20を有し、マスク本体5の右側に第3のポート30を有している場合には、空気は、マスク本体5の内部空間の中を左から右に向かって流れる。
【0058】
図7に示す保護具1では、マスク本体5の上部に4つの第2のポート20を有し、マスク本体5の下部に2つの第3のポート30を有する。空気は、マスク本体5の上から下に内部空間の中を流れる。
図8に示すようにマスク本体5の右上に第2のポート20を有し、マスク本体5の左下に第3のポート30を有している場合には、空気は、マスク本体5の内部空間の中を右上から左下に流れる。
【0059】
また、
図8に示す保護具1では、第4のポートは、挿管チューブが挿通する筒40である。
【0060】
保護具1のポートの数、配置、および形状は、用途に応じて適宜設定される。例えば、耳鼻咽喉頭科分野または消化器分野における使用を想定して、マスク本体5の片側(例えば、右側)にだけ第3のポート30を有していてもよいし、両側に第3のポート30を有していてもよい。
【0061】
挿入部91が細径の気管支鏡用の保護具1では、第1のポート10は第2のポートよりも開口が小さくてもよい。保護具1は、消化器用内視鏡用ポートと気管支鏡用ポートの2つの第1のポート10を有していてもよい。
【0062】
<マスク本体の外形の変形例>
マスク本体5は、被検者の目までを覆っていてもよいし、顔面全体を覆っていてもよい。逆に、手術スペースを確保する為に顔の上半分のみを覆うマスクでもよい。すなわち、
図9に示すようにマスク本体5を、
図2のマスク本体5の下部を切断した形状とし、鼻近辺のみ、マスク本体5と顔との間に隙間が形成される。鼻近辺以外は隙間ができないように、テープで塞いでもよい。
【0063】
第3のポート30は吸引チューブ210を経由して吸引装置200と接続される。被検者100が発生するエアロゾルは、マスク本体5と顔との隙間から吸引されるために、医療従事者の感染リスクを低減できる。
図9に示すように吸引チューブ210はマスク本体5の中を通して先端が被検者100の鼻近辺に位置するようにしてもよい。
【0064】
さらに、本発明のマスク本体は、
図2に示したマスク本体5の上部を切断した形状、または、上部および下部を切断した形状とすることによって、サイズを小さくしてもよい。
【0065】
<第2実施形態>
以降に説明する各実施形態の内視鏡用保護具は、保護具1と類似し、同じ効果を有する内視鏡用保護マスクであるため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0066】
図10に示す本実施形態の内視鏡用保護具1Aは、被検者100の頭から顎までを覆い、本体5の第1のポート10を覆わない、オーバーマスク(フルフェイスマスク)15を更に具備する。
【0067】
オーバーマスク15は、首が挿通される開口のある透明な袋である。例えば、ポリエチレンフィルムからなるオーバーマスク15は、マスク本体5の外周部に、例えば、溶着固定され、マスク本体5と一体化されている。被検者100は、マスク本体5を装着してからオーバーマスク15を頭にかぶり、首においてオーバーマスク15の開口を、紐等で縛って固定する。
【0068】
図11に示すオーバーマスク15Aは、マスク本体5に対応する位置にも、例えば、ゴムが外縁に配設された開口がある。このため、マスク本体5の外周部はオーバーマスク15Aに覆われている。
【0069】
オーバーマスク15、15Aは被検者100の上半身を覆っていてもよい。また、オーバーマスク15、15Aに、換気のためのポートを有していてもよい。被検者100が鼻カニューレ等のチューブを装着している場合には、チューブを固定するための固定部およびチューブを挿通するため開口があるオーバーマスク15、15Aが用いられる。
【0070】
被検者100によっては、オーバーマスクを被ると恐怖を感じることがある。このため、オーバーマスクは、頭頂部にも開口を有していてもよい。かかるオーバーマスクでは、検査が始まるまでは、オーバーマスクを目を覆わない状態とし、検査開始直前に、オーバーマスクを頭頂部まで引き延ばし、開口を頭の上でしばることができる。
【0071】
<第3実施形態>
図12に示す本実施形態の内視鏡用保護具1Bは、第1のポート10に配設され、内視鏡90の挿入部91が略密封状態に収容される挿入部用のスリーブ16を更に具備する。
【0072】
スリーブ16は、第1のポート10に配設されるリング16Aと、両端に開口のある滅菌された筒状の袋であるスリーブ16Bと、を具備する。スリーブ16の長さは、挿入部91の長さよりも少し長い。
図13に示すように、スリーブ16の開口のリング16Aは、第1のポート10のリング10Aと、はまりあうことによって、マスク本体5に隙間なく固定される。
【0073】
スリーブ16の操作部92の側の開口は、挿入部91の後端部または操作部92の下部に、例えば、テープ16Cを用いて隙間なく固定されている。なお内視鏡90が、チャンネルチューブを有する場合には、スリーブ16は、操作部92の処置具挿入孔までを覆っていることが好ましい。
【0074】
内視鏡検査では、挿入部91の先端部91Aを体内の最深部まで挿入した後に、少しずつ抜去しながら観察が行われる。しかし、被検者100の体内に挿入された挿入部91は、ウイルス等が表面に付着しているおそれがある。
【0075】
保護具1Bは、挿入部91がスリーブ16に密封されているために、医療従事者の感染リスクを低減できる。
【0076】
スリーブ16Bは、挿入部91を把持し操作するために柔軟な素材でできている。また、スリーブ16Bは、かさばらないように、薄い素材でできている。例えば、スリーブ16Bはポリエチレン等の透明または半透明の柔軟な樹脂材料により構成されている。筒状のスリーブ16Bの断面積は、リング16Aから離れるにしたがい、大きくなっていてもよいし、小さくなっていてもよい。
【0077】
図14に示すように、挿入部91が体内に挿入されるにつれ、スリーブ16Bは、例えば、蛇腹状に折りたたまれていく。そして、挿入部91が抜去されると、スリーブ16Bは、筒状に戻る。
【0078】
すなわち、保護具1Bの作動方法では、挿入工程および抜去工程において、挿入部91は、第1のポート10と連通している挿入部用のスリーブ16に収容されることによって密封されている。
【0079】
内視鏡90を抜去した後に、マスク本体5のポートは、キャップによって塞がれる。そして、例えば、マスク本体5がオーバーマスク15とともに用いられる場合には、被検者から取り外されたオーバーマスク15の首側の開口を縛ることによって、挿入部91はマスク本体5とともに密封される(
図15)
【0080】
挿入部用のスリーブ16によって、医療従事者は、挿入部91に触れること無く、検査、処理を完遂できる。また、挿入部用のスリーブ16は、滅菌処理等を行うリプロセス室までの移動中およびリプロセス室における、拡散リスクを低減できる。
【0081】
オーバーマスク15に替えて、袋を用いて、使用後の挿入部91を密封してもよい。また、マスク本体5からスリーブ16を取り外して、袋を用いて、スリーブ16のリング16Aを覆ってもよい。
【0082】
従来の内視鏡用スリーブ等は、スリーブ内の清浄空間をスリーブ外の汚染空間から保護するために用いられていた。これに対して、本発明のスリーブは、汚染された部材を略密閉状態で収容するために用いられる。
【0083】
なお、シャッター6が、マスク本体5ではなく、スリーブ16のリング16Aに、配設されていてもよい。また、マスク本体5ではなく、リング16Aに換気のための第2のポートまたは吸引のための第3のポートの少なくともいずれかが配設されていてもよい。
【0084】
リング16Aは、口径が第1のポート10のリング10Aとの接続部から離れるにしたがい、口径が小さくなっている円錐形でもよし、縦長、横長、または十字形の漏斗形状でもよい。上記形状のリング16Aを有するスリーブ16では、内視鏡挿入時に、蛇腹になったスリーブ16Bが、マスク本体5Aの中に入り込み、被検者100の口および鼻に接してしまうことがない。また、上記スリーブ16は、使用前の畳まれた状態のスリーブ16Bを、使用時に筒状に引きだすことが容易である。
【0085】
<第4実施形態>
図16に示す内視鏡は挿入部91の先端部91Aから操作部92の処置具挿入口H95まで延設されているチャンネルチューブ95を有する。処置具用のスリーブ17は、チャンネルチューブ95に挿入される処置具99が収容される。
【0086】
スリーブ17は、挿入部用のスリーブ16と同じように、例えば、ポリエチレンにより構成されている筒である。スリーブ17の長さは、処置具99の長さと略同じである。
【0087】
スリーブ17の一方の開口は、処置具挿入口H95を密閉するように操作部92の下部を覆っている。スリーブ17の他方の開口は処置具99の端部を密閉するように、ゴム17A等を用いて固定されている。なお、
図16に示したスリーブ17では、処置具99の端部はスリーブ17に収容されていないが、処置具99の全体がスリーブ17に収容されていてもよい。
【0088】
図17に示すように、処置具99がチャンネルチューブ95に挿入され、処置具99の先端が、挿入部91の先端部91Aの開口から突出する状態になると、スリーブ17は、例えば、蛇腹状に折りたたまれていく。
【0089】
すなわち、処置具99が挿入され抜去されるときに、処置具挿入口H95と連通している処置具用のスリーブ17に、処置具99は略密封状態で収容されている。
【0090】
処置具用のスリーブ17によって、医療従事者は、処置具99の操作によって感染するリスクを低減できる。マスク本体5、オーバーマスク15、および、挿入部用のスリーブ16が、処置具用のスリーブ17と併用できることは言うまでも無い。
【0091】
<第5実施形態>
図18に示すように、操作部用のスリーブ(カバー)18には内視鏡90の操作部92が収容される。
【0092】
スリーブ18は、挿入部用のスリーブ16と同じように、例えば、ポリエチレンにより構成されている筒である。スリーブ18は、チャンネルチューブ95の処置具挿入口H95を含めた操作部92を覆っている。すなわち、スリーブ18の一端はユニバーサルコード93の先端側に固定され、他端は操作部92の下部または挿入部91の基端側に固定されている。
【0093】
図19Aに示す操作部用のスリーブ18Aでは、ユニバーサルコードの先端側の開口O93と、挿入部91側の開口O91との間に操作部92を操作する医療従事者の手120が挿入される形状の凹部H18Aがある。スリーブ18Aは、スリーブ18よりも、医療従事者の操作性がよい。
【0094】
図19Bに示す操作部用のスリーブ18Bのように、単に医療従事者の手が挿入できる開口O120があってもよい。
【0095】
スリーブ18は、医療従事者が、操作部92の操作によって感染するリスクを低減できる。マスク本体5、オーバーマスク15、挿入部用のスリーブ16、および、処置具用のスリーブ17と併用できることは言うまでも無い。また、複数のスリーブが連通し一体化していてもよい。例えば、挿入部用のスリーブ16と操作部用のスリーブ18とが一体化したスリーブも好ましく用いられる。
【0096】
スリーブを含む保護具を用いた内視鏡検査は、医療従事者が行う以下の順の工程によって行われる。
【0097】
(A)挿入部91および操作部92に挿入部用のスリーブ16および操作部用のスリーブ18を装着し、スコープハンガーに内視鏡90をかける。(B)処置具99に処置具用のスリーブ17を装着し、処置具ハンガーに処置具99をかける。(C)挿入部用のスリーブ16をマスク本体5に装着する。また、処置具用のスリーブ17を処置具挿入口H95に装着する。(D)検査/処置の実施。(E)処置具用のスリーブ17を処置具挿入口H95から外し、処置具ハンガーに処置具99をかける。(F)挿入部用のスリーブ16をマスク本体5から外し、スコープハンガーに内視鏡90をかける。(G)内視鏡90および処置具99をスリーブ16、17、18がされた状態のままで、換気および医療従事者のPPE(personal protective equipment)が実施されているリプロセス室へもっていく。(H)リプロセス室で、内視鏡90および処置具99からスリーブ16、17、18をはずし、リプロセスを開始する。
【0098】
または医療従事者は、以下の順で工程を行ってもよい。
(A)処置具99に処置具用のスリーブ17を装着し、処置具ハンガーに処置具99をかける。(B)マスク本体5に予め装着された挿入部用のスリーブ16を引き延ばし挿入部91に装着する。また、処置具用のスリーブ17を処置具挿入口H95に装着する。(C)検査/処置の実施。(D)挿入部用のスリーブ16をマスク本体5から外し、スコープハンガーに内視鏡90をかける。(E)内視鏡90と処置具99をスリーブ16、17がされた状態のままで、リプロセス室へもっていく。(F)リプロセス室で、スリーブ16,17を内視鏡90および処置具99からはずし、リプロセスを開始する。なお、スリーブ16はマスク本体5から取り外されることなく、マスク本体5とともに、リプロセス室へもっていってもよい。
【0099】
<第6実施形態>
図20に示す内視鏡用保護具1Cでは、本体は、被検者の口にくわえられるマウスピース5Cである。第1のポート10は、被検者100の口に対向する位置に設けられている。
【0100】
マウスピース5Cには、第2のポート20および第3のポート30が配設されている。
【0101】
なお、
図21に示すように、マウスピース5Cは、挿入部用のスリーブ16とともに使用されることが好ましい。この場合には、マウスピース5Cの第1のポート10のリング10Aと、はまりあうスリーブ16のリング16Aに、第2のポート20および第3のポート30が配設される。
【0102】
また、
図22に示すように、マウスピース5Cは、被検者の頭を覆うオーバーマスク15Bとともに用いられることがより好ましい。すなわち、マスク本体5、オーバーマスク15、および、挿入部用のスリーブ16が、マウスピース5Cと併用できることは言うまでも無い。
【0103】
<第7実施形態>
図23に示す内視鏡用保護具(
大腸内視鏡用保護パッド)1Dでは、本体は、被検者100の臀部に装着される臀部用本体5Dである。第1のポート10は、被検者の肛門に対向する位置に設けられている。
【0104】
保護具1Dは、内視鏡用挿入口付きのパンツ5D1に装着されている。パンツ5D1は、被検者100の、腰および両足首にゴム等の伸縮素材からなるリングを有し、内部が密閉される。保護具1Dには、第2のポートおよび第3のポートが配設されている。
【0105】
図23に示した保護具1Dは挿入部用のスリーブ16とともに使用される。このため、スリーブ16に第2のポートおよび第3のポートが配設されていてもよい。また、保護具1Dはパンツ5D1に装着される替わりに紐等により直接、被検者の肛門に対向する位置に固定されてもよい。
【0106】
以上の実施の形態で説明した内視鏡90は挿入部91が可撓性の軟性鏡であるが、本発明の内視鏡は、挿入部91が先端部91Aと同じように非可撓性の硬性鏡でもよい。
【0107】
また、
図4A~
図6Bにおいて説明した第1実施形態の変形例のシャッター、キャップ、コネクタ、ポートの構成は、他の実施形態においても同様に用いることができることは言うまでも無い。
【0109】
以下、本発明の内視鏡用保護具(内視鏡診療用防護具)についてさらに詳細な構成を説明する。なお、以降に説明する各実施形態の内視鏡用保護具は、すでに説明した保護具等と類似し、同じ効果を有するため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0110】
<第8実施形態>
図24に示す本実施形態の内視鏡用保護システム2は、内視鏡用保護具である
内視鏡用保護マスク1Aと吸引装置200とを具備する。マスク1Aは、被検者100の顔面に装着され、顔面との間に略密閉された空間を形成するマスク本体5
を具備する。マスク本体5は、内視鏡90の挿入部91が挿入される第1のポート10と、外気が前記空間に流入する第2のポート20と、吸引装置200とチューブ210を経由して接続され、被検者100から発生したエアロゾルが吸引される第3のポート30と、を具備する。
【0111】
図25に示すように、第1のポート10のリング10Aは、放射状に配置された複数の第1のスリットSL10を有するゴムからなるシャッター6で覆われている。第1のスリットSL10は、シャッター6の厚さよりも、厚さが薄い第1の膜10Sでつながっている。
【0112】
マスク1Aは使用時に、操作者(医療従事者)120が指等で押圧することによって、第1の膜10Sを破ってシャッター6を開放してから、第1のポート10に内視鏡90の挿入部91が挿入される。第1の膜10Sのないシャッターと比べると、第1の膜10Sを有するシャッター6は、保管時にシャッター6が重力方向に垂れ下がることがない。経口か経鼻かのアプローチ方法によって挿入部91の外径および第1のポート10における挿入部91の最適位置は異なる。マスク1Aは操作者120が第1の膜10Sを破く位置および大きさを任意に決められる。このため、マスク1Aは、操作性が良く、かつ、形成する空間の密閉度を改善できる。
【0113】
なお、第1の膜10Sは、過度に大きく破かれるのを防止するため、シャッター6の外周領域の厚さよりも中心領域の厚さが薄いことが好ましい。
【0114】
マスク本体5は、透明樹脂を材料としてもよいが、透明樹脂は、滅菌処理されると変色(着色)することがある。マスク本体5の材料として、青色着色剤を含有する樹脂を用いることで、滅菌処理による変色が顕著ではなくなる。
【0115】
マスク本体5に配設された、第4のポート40は、例えば、挿管チューブ等のチューブが挿通される孔である。第4のポート40は、マスク本体5の端面と第2のスリットSL40を経由して連通している。第2のスリットSL40は、マスク本体5の端面の厚さよりも、厚さが薄い第2の膜40Sでつながっている。第2の膜40Sは、使用時に破られるが、エアロゾルや飛沫が漏れるのを防止するだけでなく、マスク本体5の形状を維持するために効果がある。第4のポート40も、使用時に破られる厚さが薄い膜で覆われていてもよい。
【0116】
図26A、
図26Bに示すように、例えば、第3のポート30に配設される、フランジ(つば)72Fがついている円筒状のコネクタ72Aは、第3のポート30の内周面と、はまりあう外周面72SAを有し、外周面72SAの一部に薄い膜72Sが設けられているスリットSL72(凹部)を有する。
【0117】
フランジ72Fがついているコネクタ72Aは、マスク本体5への着脱が容易である。さらに、コネクタ72Aは、第3のポート30からの抜去を更に容易にするため、スリットを有することが好ましい。しかし、スリットを有する円筒状のコネクタ72Aは、製造時に真円度が下がることがある。薄い膜72Sが設けられているスリットSL72(凹部)を有するコネクタ72Aは、抜去が容易であり、かつ、真円度が高い。
【0118】
図26C~
図26Fは、
図5Cに示したキャップ73の変形例である。
図26Cに示すキャップ74は、キャップ74が第2のポート20に挿入された時に第2のポート20の縁に当接する段差75を有する。この構成によって、キャップ74は、最も深く挿入した際にも所定の大きさの開口を確保することができる。キャップ74の切れ込み(開口部)の形状は矩形に限らず、
図26Dに示すような台形とすることで、第2のポート20の内周面との摩擦を減らしてキャップ74の着脱や回転の操作性を上げることができる。また、
図26E、
図26Fに示すように、フランジ74Fに近い側の開口を一部残して、残りの部分は
図26Bに示したコネクタ72Aと同様に薄い膜74Sで構成してもよい。
【0119】
すでに説明したように、キャップは回転することによって換気口である切れ込みを医療従事者120がいない方向に向けることができる。真円度が高いキャップは回転が容易である。
【0120】
なお、第2のポート20、第3のポート30、および、ポート61、62は、同じ大きさ同じ形状であり、吸引装置200の位置、被検者100の姿勢等に応じて、取り付けるキャップやコネクタを選択できる。例えば、第2のポート20が吸引装置200と接続されてもよい。
【0121】
図27に示すように、マスク本体5は、被検者100の顔面に固定するための紐19が挿通される孔H19を有する。紐19を被検者100の後頭部に掛けてから、紐19の両端を引くことによって、マスク本体5は被検者100の顔面に装着される。
【0122】
孔H19の内径は、紐19の外径よりも小さいが、マスク本体5は、孔H19から延設された第3のスリットSL19を有する。紐19を引くことによって、マスク本体5は顔面に密着した状態において固定され、顔面との間に略密閉された空間を形成する。
【0123】
図28、
図29に示すように、内視鏡90の挿入部91が収容される、筒状の第1のスリーブ16Bを有するスリーブ16が、マスク本体5に固定される。スリーブ16は、第1のスリーブ16Bの一端に設けられた、リング16Aとホック16
Dとを有する。スリーブ16のリング16Aは、第1のポート10のリング10Aと、はまりあうことによって、マスク本体5に隙間なく固定される。筒状のスリーブ16Bの一端のリング16Aには2つのホック16
Dが配設されている。第1のポート10のリング10Aのリング状の凸部に2つのホック16Cが、かみ合うことで、スリーブ16は固定される。
【0124】
マスク本体5とスリーブ16とは、リング10Aとリング16Aとによって固定されるため、マスク本体5に対してスリーブ16は任意の回転角度において固定可能である。また、2つのホック16Dの操作は2本の指でも可能であるため、スリーブ16は着脱が容易である。
【0125】
図30に示すように、内視鏡90の挿入部91を押し込むときには、筒状のスリーブ16Bとともに挿入部91が操作者120によって把持される。挿入部91を押し込むことによって、スリーブ16Bはマスク近傍にたたみ込まれる。このため、スリーブ16Bに生じたしわを延ばす作業が行われる
【0126】
図31に示すように、内視鏡90の挿入部91を引き出すときには、最初に、スリーブ16Bをマスク近傍にたたみ込む作業が行われる。そして、挿入部91が引き出される。
【0127】
なお、図示しないが、挿入部91には、水溶性の医療用潤滑材が予め塗布されている。また、すでに説明したように、スリーブ16Bの基端側は、例えば、挿入部91の後端部または操作部92の下部に、テープまたはリボンを用いて固定されている(
図14参照)。
【0128】
内視鏡90の挿入部91を抜去するときには、筒状のスリーブ16Bの中の空気を絞り出してスリーブ16Bがマスク近傍にたたみ込まれる。そして、
図32、
図33に示しように、ホック16
Dを外すことによって、第1のスリーブ16が、挿入部91とともに、マスク本体5から取り外される。
【0129】
<第9実施形態>
図34に示す本実施形態の内視鏡用保護具は、内視鏡90の操作部92を覆うカバー(操作部用スリーブ)18Cである。
【0130】
カバー18Cは、2枚の矩形のフィルムの2辺が張り合わされている。言い替えれば、カバー18Cは、2辺が開口となっている矩形の袋である。
【0131】
開口には、固定部材である面ファスナー18Dが配設されている。内視鏡90の操作部92を収容後に、面ファスナー18Dを閉じることで、カバー18Cは操作部92を覆った状態に固定される。
【0132】
図35に示すように、2枚のフィルムは、それぞれが操作者120の手が挿入されるポートである開口H18を有する。このため、操作者は、作業性の良い方の開口から手を挿入したり、両方の手を、それぞれの開口から挿入したり出来る。また、手を挿入した開口H18とは別の開口H18から操作部92の操作ダイヤル部を突出させてもよい。もちろん、2枚のフィルムのいずれかだけが開口H18を有していてもよい。
【0133】
開口H18は、第4のスリットSL18と挿通している。このため、開口H18が小さくても、手の挿入が容易であり、かつ、飛沫やエアロゾルの拡散、汚染を低減できる。
【0134】
<第10実施形態>
図36から
図39に示す本実施形態の内視鏡用保護具は、処置具用の第3のスリーブ17Bである。
【0135】
図36に示すように、筒状の第3のスリーブ17Bは、畳まれて二枚の板17Cによって挟んだ状態で、例えば、輪ゴム17Dによって梱包される。なお、筒状の挿入部用の第1のスリーブ16も、第3のスリーブ17Bと同じように梱包される。
【0136】
図37に示すように、第3のスリーブ17Bは畳んだ状態で処置具99の手元側まで挿入される。そして、処置具99の先端が十分に覆われる位置まで、第3のスリーブ17Bが伸ばされる。第3のスリーブ17Bの手元側は、リボン17E等を用いて処置具99に固定される。
【0137】
第3のスリーブ17Bの端部は、第5のスリットSL17により2つの端面17S1、17S2に分割されている。2つの端面17S1、17S2には、両者を貼り合わすための固定部材である面ファスナー17Fが配設されている。
【0138】
図38に示すように、操作部92を覆っているカバー18Cをまくり上げることで、処置具挿入口H95が露出する、そして、処置具99の先端が露出するように第3のスリーブ17Bを畳み込んだ状態で、処置具99が処置具挿入口H95に挿入される。
【0139】
図39に示すように、第3のスリーブ17Bの2つの端面17S1、17S2が、操作部92を間にはさんだ状態で、面ファスナー17Fによって貼り合わされる。
【0140】
<第11実施形態>
図40、
図41に示す本実施形態の内視鏡用保護具は、被検者100の臀部に装着される臀部用本体5DAを有する
大腸内視鏡用パッド1DAである。臀部用本体5DAは、外気が前記空間に流入する第2のポート20と、吸引装置200とチューブ210を経由して接続され、被検者100から発生したエアロゾルが吸引される第3のポート30と、を具備する。臀部用本体5DAは、ベルト19Aを用いて臀部に固定されている。
【0141】
内視鏡90の挿入部91が挿入される第1のポート10のシャッター6は、
図25に示したシャッター6と同じように、使用時に、操作者120が指等で押圧することによって、開放される。図示しないが、
図28と同じように、第1のスリーブ16が、臀部用本体5DAに固定される。
【0142】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせ、および応用が可能である。
【0143】
本出願は、2020年7月3日に出願された国際特許出願、PCT/JP2020/026165、国際特許出願PCT/JP2021/025367、を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
【符号の説明】
【0144】
1、1A~1D・・・内視鏡用保護具
5・・・本体
6・・・シャッター
10・・・第1のポート
15・・・オーバーマスク
16・・・挿入部用スリーブ
17・・・処置具用スリーブ
18・・・操作部用スリーブ
20・・・第2のポート
30・・・第3のポート
40・・・第4のポート
61、62・・・ポート
71~74・・・キャップ
72A・・・コネクタ
72F、74F・・・フランジ
75・・・段差
90・・・内視鏡
91・・・挿入部
91A・・・先端部
92・・・操作部
93・・・ユニバーサルコード
95・・・チャンネルチューブ
96・・・栓
99・・・処置具
100・・・被検者
120・・・医療従事者(操作者)
200・・・吸引装置