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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/22 20060101AFI20240315BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20240315BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240315BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
C08G18/22
C08G18/18
C08G18/00 L
C08G101:00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022552457
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020020782
(87)【国際公開番号】W WO2021177945
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】カラペチャン,ヌーニ
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502143(JP,A)
【文献】特表2017-528567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0102694(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174817(US,A1)
【文献】特開昭53-102994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1つの第三級アミノ化合物、および(B)銅(II)-カルボキシレート、その水和物および前記第三級アミノ化合物(A)との付加物からなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物を含む組成物であって、ここで結合していない第三級アミノ化合物(A)を含み、第三級アミン化合物(A)対Cu(II)-化合物(B)の重量比は、>2:1であり、少なくとも1つのイソシアネート化合物と、少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物との反応のための触媒としての、
組成物の使用
【請求項2】
第三級アミン化合物(A)対Cu(II)-化合物(B)の重量比は、>4:1、好ましくは>9:1、より好ましくは>19:1である、請求項1に記載の組成物の使用
【請求項3】
組成物が調製して室温(25℃)で少なくとも14日間静置した後に均質な液体を形成する、請求項に記載の組成物の使用
【請求項4】
少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)は、少なくとも1つのさらなる官能基を有し、 官能基は、好ましくはヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、アミド、カルバメート、第一級、第二級または第三級アミノ基から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項5】
第三級アミノ基のモル量と第三級アミノ化合物中の任意選択のさらなる官能基のモル量の合計の、組成物中に存在するCu(II)のモル量に対するモル比(Σ(第三級アミノ基のモル+任意選択の官能基のモル)/Cu(II)のモル)は、>4:1であり、好ましくは>6:1であり、最も好ましくは>10:1である、請求項1から4のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項6】
第三級アミノ化合物(A)は、
i.第一級、第二級および第三級アミノ基から選択される、少なくとも1つのさらなるアミノ基を有する第三級アミノ化合物;
ii.少なくとも1つのヒドロキシル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とヒドロキシル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が3を除く少なくとも2つである;
iii.少なくとも1つのエーテル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とエーテル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が少なくとも2である;
からなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項7】
1つまたは複数の補助成分(C)、ここで補助成分(C)は好ましくはポリオール、例えば、
i.多芳香族アルコールとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール
ii.テトラヒドロフランの開環重合反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iii.アンモニアおよび/またはアミンとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iv.多官能性開始剤、例えばジオールと、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトン、例えば、ヒドロキシルカプロン酸またはε-カプロラクトンの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
v.多官能性グリコール、例えばジオールと、多官能性酸、例えば、アジピン酸、コハク酸などの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
vi.シュウ酸エステルおよびジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリオキサメートポリオール;
vii.ジイソシアネートおよびジアミン、例えばヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリウレアポリオール;
viii.グラフトポリオールとしても知られるコポリマーポリオール、ポリアミンとして知られる第一級および第二級アミン末端ポリマー、
希釈剤、例えば、
ix.水、グリコール(エチレングリコール、ジ-、トリ-エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ-、トリ-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールなど)、グリコールのモノ-およびジ-アルキルエーテル、
ポリウレタン添加剤、例えば、
x.可塑剤;
xi.グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなどの架橋剤
xii.ポリウレタン形成のためのさらなる従来の触媒
およびそれらの混合物、からなる群から選択される、
をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項8】
組成物が、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)を、銅(II)-カルボキシレート(B)およびその水和物からなる群より選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)を、前記組成物が結合していない第三級アミノ化合物を含む量で、任意選択で1つまたは複数の補助成分(C)の存在下で混合することを含む工程で製造される、請求項1から7のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項9】
組成物が、
>50から98重量部の第三級アミノ化合物(A)、および
2から<50重量部の銅(II)-化合物(B)、
および成分(A)および(B)の100重量部に基づいて、
0から2000重量部の1つまたは複数の補助成分(C)を含む、
請求項1から8のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項10】
組成物が、
66から95モル%の第三級アミノ化合物(A)、および
5から34モル%の銅(II)-化合物(B)を含み、
ここで成分(A)および(B)の合計量は100モル%になる、
請求項1から9のいずれかに記載の組成物の使用
【請求項11】
水が発泡剤または共発泡剤として使用されるポリウレタン、特にポリウレタンフォームの製造のための触媒としての請求項1から10のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかで定義された組成物の存在下で、イソシアネート化合物をイソシアネート反応性化合物と反応させることを含む、イソシアネート付加生成物の製造のための方法。
【請求項13】
イソシアネートがポリイソシアネートであり、そしてイソシアネート反応性化合物がポリオールであり、そして方法が、ポリウレタン、特にポリウレタンフォームを製造するためのものであり、ここで水が発泡剤または共発泡剤として使用される、請求項12に記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
【請求項14】
イソシアネート付加生成物はポリウレタン、好ましくはポリウレタンフォームであり、気泡ポリウレタンまたは非気泡ポリウレタンから選択され、そして方法は任意選択で水などの発泡剤を含む、請求項12または13に記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかで定義された組成物は、すべての成分を含む組成物全体の総重量に基づいて約0.005重量%から約5重量%の量で存在する、請求項12から14のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)および少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)を含む組成物、前記組成物の製造方法、特に、少なくとも1つのイソシアネート化合物と少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物との反応のための触媒としての、特に、ポリウレタン、特にポリウレタンフォームなどのポリイソシアネート重付加生成物の製造のための触媒としての前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PU)フォームは、通常、発泡剤(水などの化学発泡剤、およびペンタン、シクロペンタン、ハロ炭化水素などの物理発泡剤)、触媒(第三級アミン、スズ、ビスマス、亜鉛などの有機金属誘導体)、シリコーンベースの界面活性剤およびその他の助剤の存在下で、ジイソシアネートまたはポリイソシアネート(またはそのプレポリマー)を、2つ以上の活性水素を含む化合物(鎖延長剤、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルアミンなど)と反応させることによって製造される。
【0003】
ポリウレタンフォームの製造中の反応物質のうち、ゲル化と発泡という2つの主要な反応が触媒によって促進される。高い触媒活性を示す効率的なゲル化触媒の開発は、ポリウレタンフォームに必要な硬化時間の短縮を有益に可能にし、これにより最終フォーム物品の生産サイクルを有利に短縮する。有機スズ化合物は、多くの場合、ゲル反応を促進する最適な触媒である。有機スズ触媒は、環境および労働者の曝露の観点からますます努力が求められている。その結果、効率的で非毒性のゲル触媒がPU業界で強く求められている。
【0004】
US2017/0225158A1は、機械的に起泡されたフォームおよびエラストマーの調製のための、溶媒に溶解された銅(II)-化合物を含む銅触媒組成物の使用を記載している。WO2012/006263A1は、ポリウレタンエラストマーの製造のための銅触媒の使用を記載している。この触媒は、特定の多座配位子の銅錯体で構成されている。多座配位子は、一般にシッフ塩基の誘導体であり、少なくとも1つの窒素を含んでいる。そのような触媒の製造は、最初に配位子を調製しなければならず、その後、特定の銅錯体化合物をそれから調製しなければならないため、手の込んだものである。同様に、e-Polymers 2015; 15(2): 119-126は、軟質ポリウレタンフォーム製造用の低排出触媒としての特定の銅-アミン錯体の使用を記載している。WO2002048229A1は、ポリウレタンの製造における触媒としてのアミン含有カルバメートを記載している。
【0005】
ほとんどのポリウレタンフォームは、揮発性有機化合物を放出する。これらの放出物は、例えば、原材料に存在する混入物、触媒、分解生成物、または未反応の揮発性出発物質または他の添加剤で構成され得る。ポリウレタンフォームからのアミンの放出は、特に車の内装用途、家具またはマットレスでの主要なトピックとなっており、したがって、市場はますます低放出フォームを要求している。特に自動車産業では、フォーム中の揮発性有機化合物(VOC)と凝縮性化合物(フォギングまたはFOG)を大幅に削減する必要がある。PUフォームのVOCおよびFOGプロファイルの評価は、VDA278テストによって行うことができる。軟質成形フォームから放出されるVOCの主成分の1つは、アミン触媒である。このような放出物を削減するには、蒸気圧が非常に低い触媒を使用する必要がある。あるいは、触媒が反応性ヒドロキシル基またはアミン基を有する場合、それらはポリマーネットワークに結合することができる。そうである場合、フォギング試験で微量の残留アミン触媒が検出される。しかし、反応性アミンの使用には問題がないわけではない。反応性アミンは、湿潤エージング圧縮永久歪みなどの一部の疲労特性を低下させることが知られている。さらに、広く使用されている反応性アミンは単官能性であり、ポリマーの成長中に連鎖停止を促進し、ポリマーマトリックスに共有結合することにより、触媒としての活性を失う。したがって、低放出プロファイルを持つ効率的なポリウレタン触媒の開発は、現代のポリウレタン産業の重要な目標の1つである。
【0006】
ポリウレタンフォームの製造中の反応物質のうち、ゲル化と発泡という2つの主要な反応が触媒によって促進される。したがって、高い触媒活性を示す効率的なゲル化触媒の開発は、ポリウレタンフォームに必要な硬化時間を有利に短縮することを可能にし、これにより最終フォーム物品の製造サイクルを有利に短縮する。有機スズ化合物は、多くの場合、ゲル反応を促進する最適な触媒である。有機スズ触媒は、環境および労働者の曝露の観点からますます努めることが求められている。その結果、効率的で非毒性のゲル触媒がPU業界で強く求められている。
【発明の概要】
【0007】
従来技術でなされた試みにもかかわらず、特に、触媒の性能による、ポリウレタンフォームの硬化度に依存するより高い押し込み荷重(力)たわみまたはILD(IFD)によって反映される、硬さ、剛性または耐荷重能力などの改善された物理的特性を有するポリウレタンフォームを調製することができる、簡単で安価な成分から容易に調製できる触媒組成物が依然として必要とされている。
【0008】
本発明者らは驚くべきことに、特定の触媒組成物が前述の要件を満たし、特定の配位子の複雑な製造およびそれからの銅錯体化合物の製造を必要としない、安価な成分から容易に調製できることを見出した。触媒組成物は、優れた触媒性能を提供し、ポリウレタンフォームのより良好な硬化度および改善された物理的特性をもたらし、低放出プロファイルを有するポリウレタン形成における効率的な触媒として使用することができる。
【0009】
本発明によれば、したがって、(A)少なくとも1つの第三級アミノ化合物、および(B)Cu(II)-カルボキシレートからなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物、その水和物および第三級アミノ化合物(A)との可能な付加物を含む組成物が提供され、ここで、前記組成物は結合していない第三級アミノ化合物(A)を含む。
【0010】
Cu(II)-カルボキシレート(B)には、例えば、カルボン酸のアニオンを有するCu(II)-塩が含まれる。カルボン酸およびそれらのアニオン形態「カルボキシレート」は、特に、任意選択で置換されたカルボン酸、例えば、任意選択で置換された脂肪族飽和モノカルボン酸;任意選択で置換された脂肪族不飽和モノカルボン酸;任意選択で置換された脂肪族飽和ポリ(例えば、ジ-)カルボン酸、任意選択で置換された複素環式カルボン酸、任意選択で置換された芳香族カルボン酸から誘導される。好ましくは、これらのカルボン酸には、任意選択で置換された炭素原子30個までの脂肪族飽和カルボン酸が含まれる。任意選択の置換基には、特にヒドロキシ、アミノ(-NH、-NHRおよび-NR(Rはヒドロカルビル基である)を含む)、ハロゲン、アルコキシ(エーテル官能基をもたらす)、複素環基が含まれる。置換カルボン酸の中でも、サリチル酸、乳酸などのヒドロキシ官能性カルボン酸が最も好ましい。好ましい銅(II)-カルボキシレートには、炭酸、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、飽和および不飽和脂肪酸、ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシル置換カルボン酸、例えば、乳酸(2-ヒドロキシプロパン酸)、3-ヒドロキシプロパン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、イソクエン酸、マンデル酸、タルトロン酸、酒石酸、芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、複素環カルボン酸、例えば、ニコチン酸、ピロリジン-2-カルボン酸、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、およびアミノ酪酸の銅(II)-塩が含まれる。酢酸銅(II)、クエン酸銅(II)、シュウ酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、銅(II)-エチルヘキサノエート、銅(II)-リシノレエート、銅(II)-ステアレート、銅(II)-パルミテート、銅(II)-ラウレート、銅(II)-パルミトレレエート、銅(II)-リノレエート、銅(II)-リノレネートなど、およびそれらの水和物、例えば、クエン酸銅(II)2.5水和物、および酢酸銅(II)1水和物が特に好ましく、酢酸銅(II)(Cu(OOCCH)およびその水和物、特に酢酸銅(II)一水和物などが最も好ましい。したがって、本発明に従って使用されるCu(II)-カルボキシレート(B)は、Cu(OAc)(en)およびCu(OAc)(trien)(ここで、OAcはアセテート、enはエチレンジアミン、trienはトリエチレンテトラミンである)などの錯化されたCu(II)-カルボキシレート(B)の使用を含まない。すなわち、以下に説明するように、本発明による組成物は、特に、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)と、銅(II)-カルボキシレート(B)またはその水和物からなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)とを混合することにより調製される。
【0011】
前記銅(II)-化合物(B)と前記第三級アミノ化合物(A)との可能な付加物は、特に配位共有結合N->CuまたはO->Cu、およびN->Cuを伴うO->Cuなどを形成することによって、組成物中に形成され得る。しかしながら、本発明による組成物は、結合していない第三級アミノ化合物(A)を含むことを特徴とし、すなわち、これらの組成物は、特に、規定の化学量論の銅と第三級アミノ化合物(A)との任意の特定の配位錯化合物から排他的に形成されるわけではなく、それらは遊離の、すなわち結合していない第三級アミノ化合物(A)を含む。しかしながら、本発明による組成物は、結合していない第三級アミノ化合物(A)を含むことを特徴とし、すなわち、これらの組成物は、特に、規定の化学量論の銅と第三級アミノ化合物(A)との任意の特定の配位錯化合物から排他的に形成されるわけではなく、それらは遊離の、すなわち結合していない第三級アミノ化合物(A)を含む。したがって、未結合第三級アミノ化合物(A)は、特に銅(II)-化合物に結合しないかまたは配位しない遊離第三級アミノ化合物が組成物中に存在することを意味する。
【0012】
通常、本発明の組成物中の結合していない第三級アミノ化合物(A)の存在は、銅(II)-化合物(B)に対して適切な量の前記第三級アミノ化合物(A)を使用することによって保護される。
【0013】
本発明の組成物における好ましい実施形態では、第三級アミン化合物(A)対Cu(II)-化合物(B)の重量比は、>2:1、好ましくは>4:1、より好ましくは>9:1、最も好ましくは>19:1である。
【0014】
本発明の組成物中の結合していない第三級アミノ化合物(A)を有するために必要な、本発明の組成物中の第三級アミノ化合物(A)の量を決定するアプローチの例は、以下の通りである。銅原子の潜在的配位部位および第三級アミノ化合物(A)の潜在的配位原子が考慮される。たとえば、ジメチルエタノールアミンは、1分子あたり2つの潜在的な配位原子(NおよびO)を有している。銅原子での配位部位の上限は6である(しかし、カルボン酸塩が銅原子の配位圏にとどまることがあり得るため、その数をはるかに下回ることがあり得る。たとえば、Cu(II)-アセテート一水和物の二核構造([Cu(ac)(HO)]を参照)。1モルの銅の6つの潜在的な配位部位を完全に飽和させるには、3モルのジメチルエタノールアミンが必要になることになり、すなわちジメチルエタノールアミンとCuのモル比>3:1が適していることになる。
【0015】
非結合第三級アミノ化合物(A)が例えば25から150℃の範囲の温度で、100mmHg未満の圧力などの真空中で適切に本発明の組成物から蒸発させることができるかどうかを決定することにより、非結合第三級アミノ化合物(A)の存在を決定するのにも適していることがあり得る。
【0016】
驚くべきことに、銅(II)-化合物(B)と第三級アミノ化合物(A)との単なる混合物が、特にポリウレタンの形成において相乗的に触媒作用を及ぼす室温で均質な液体を形成することが見出された。
【0017】
好ましくは、本発明による組成物は、室温(約25℃)で均質な液体を形成する。好ましくは、特に成分を互いに混合することによる調製後のかかる組成物は、室温(約25℃)で静置すると、少なくとも14日間、好ましくは少なくとも1ヶ月間、この均質な液体の状態に留まる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)は、好ましくはヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、アミド、カルバメート、第一級、第二級または第三級アミノ基から選択される少なくとも1つのさらなる官能基を有し、より好ましくは、第三級アミノ化合物(A)は、ヒドロキシル(-OH)およびエーテル(-O-)基から選択される少なくとも1つの基を含み、さらにより好ましい第三級アミノ化合物(A)は、少なくとも1つのヒドロキシル(-OH)および少なくとも1つのエーテル(-O-)基を含む。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)中の追加の官能基は、銅(II)-化合物(B)中のCu(II)イオンを配位することができる。
【0020】
好ましくは、銅(II)-化合物(B)は、Cu(II)-カルボキシレートまたはその水和物、より好ましくは銅(II)-アセテートまたはその水和物から選択される。
【0021】
本発明による組成物において、好ましくは、第三級アミノ基のモル量と第三級アミノ化合物中の任意選択のさらなる官能基のモル量との合計の、組成物中に存在するCu(II)のモル量に対するモル比(Σ(第三級アミノ基のモル+任意選択の官能基のモル)/Cu(II)のモル)は、4:1を超え、好ましくは6:1を超え、最も好ましくは10:1を超える。
【0022】
さらに好ましくは、本発明による組成物において、第三級アミノ化合物(A)の量は、第三級アミノ化合物(A)が銅(II)-化合物(B)を溶解し、室温(約25℃)で均質な液体を形成することができるようなものである。
【0023】
本発明による組成物中の銅(II)-化合物(B)に対する第三級アミノ化合物(A)のモル比は、>2、好ましくは>3、より好ましくは>4である。
【0024】
最も好ましいのは、銅(II)-化合物(B)が銅(II)-アセテートまたはその水和物である、本発明による組成物である。
【0025】
第三級アミノ化合物(A)は、単一の第三級アミノ化合物(A)または第三級アミノ化合物(A)の1つまたは複数の混合物の使用を含む。
【0026】
好ましくは、第三級アミノ化合物(A)は、
i.第一級、第二級および第三級アミノ基から選択される、少なくとも1つのさらなるアミノ基を有する第三級アミノ化合物;
ii.少なくとも1つのヒドロキシル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とヒドロキシル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が3を除く少なくとも2つである;
iii.少なくとも1つのエーテル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とエーテル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が少なくとも2である;
およびそれらの混合物からなる群から選択される。さらに好ましい第三級アミノ化合物(A)は、多重結合を含まない脂肪族飽和第三級アミンから選択される。
【0027】
以下に、特に好ましい第三級アミノ化合物(A)を示す:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

およびそれらの混合物。最も好ましい第三級アミノ化合物(A)は、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノールである。
【0028】
本発明による組成物は、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)と、Cu(II)-カルボキシレートおよびその水和物からなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)とを、前記組成物が結合していない第三級アミノ化合物(A)を含む量で、混合することによって、好ましくは室温(25℃)で均質な溶液として得ることができる。本発明によれば、組成物は、1つまたは複数の補助成分(C)をさらに含むことができる。これらの補助成分(C)は、本発明による組成物の調製時に都合よく添加され得る。このような補助成分(C)は、好ましくは、ポリウレタン形成のための反応物および添加剤から、およびポリウレタンのための添加剤から選択される。
【0029】
具体的には、補助成分(C)は、
ポリオール、例えば、
i.多芳香族アルコールとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール
ii.テトラヒドロフランの開環重合反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iii.アンモニアおよび/またはアミンとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iv.多官能性開始剤、例えばジオールと、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトン、例えば、ヒドロキシルカプロン酸またはイプシロン-カプロラクトンの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
v.多官能性グリコール、例えばジオールと、多官能性酸、例えば、アジピン酸、コハク酸などの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
vi.シュウ酸エステルおよびジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリオキサメートポリオール;
vii.ジイソシアネートおよびジアミン、例えばヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリウレアポリオール;
viii.グラフトポリオールとしても知られるコポリマーポリオール、ポリアミンとして知られる第一級および第二級アミン末端ポリマーなど;
希釈剤、例えば、
ix.水、グリコール(エチレングリコール、ジ-、トリ-エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ-、トリ-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールなど)、グリコールのモノ-およびジ-アルキルエーテルなど
ポリウレタン添加剤、例えば、
x.可塑剤;
xi.グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなどの架橋剤
xii.ポリウレタン形成のためのさらなる従来の触媒
およびそれらの混合物など、からなる群から選択することができる。
【0030】
補助成分(C)としてのポリウレタン添加剤は、界面活性剤、難燃剤、連鎖延長剤、架橋剤、接着促進剤、帯電防止添加剤、加水分解安定剤、UV安定剤、潤滑剤、抗菌剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせをさらに含むことができる。
【0031】
本発明による組成物は、1つまたは複数の希釈剤を含むことができる。そのような希釈剤は、ポリウレタン形成におけるその後の使用に関して、非反応性または反応性希釈剤であり得る。特定の実施形態では、希釈剤は、イソシアネート反応性化合物または非イソシアネート反応性化合物から選択される。
【0032】
特に好ましいのは、室温(約25℃)で沈殿を生じない量の水を除くさらなる希釈剤を含まない本発明による組成物である。本発明による組成物中の水の存在は、その後のポリウレタン形成反応において発泡剤として作用するので、特に有用である。
【0033】
本発明による組成物の製造方法は、好ましくは、少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)を、銅(II)-カルボキシレート(B)およびその水和物からなる群より選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)を、前記組成物が結合していない第三級アミノ化合物を含む量で、任意選択で1つまたは複数の補助成分(C)の存在下で混合する工程を含む。前述のように、混合工程は好ましくは室温(25℃)で実施されるが、この工程では25℃を超える高温も可能である。
【0034】
本発明による特に好ましい組成物は、
・>50から98重量部の第三級アミノ化合物(A)、および
・2から<50重量部の銅(II)-化合物(B)、および
・成分(A)および(B)の100重量部に基づいて、0から2000重量部の1つまたは複数の補助成分(C)を含み、
本発明による組成物は、好ましくは、
66から95モル%の第三級アミノ化合物(A)、および
5から34モル%の銅(II)-化合物(B)を含み、
ここで成分(A)および(B)の合計量は100モル%になる。
【0035】
本発明による組成物は、好ましくは触媒として使用される。より好ましくは、それらは少なくとも1つのイソシアネート化合物と少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物との反応のための触媒として使用され、特にそれらはポリイソシアネート重付加生成物の製造のための触媒として使用される。このようなポリイソシアネート重付加生成物は、通常、ウレタン基および尿素基から選択される基からなる1つまたは複数の官能基を有する。
【0036】
本発明による組成物の特に好ましい使用には、水が発泡剤または共発泡剤として使用されるポリウレタン、特にポリウレタンフォームの製造のための触媒としての使用が含まれる。
【0037】
したがって本発明は、本発明の組成物を含む触媒組成物にも関する。
【0038】
本発明はさらに、イソシアネート化合物をイソシアネート反応性化合物と、上で定義した本発明による組成物の存在下で反応させることを含む、イソシアネート付加生成物の製造方法に関する。このようなプロセスでは、好ましくは、イソシアネート化合物はポリイソシアネートであり、イソシアネート反応性化合物はポリオールであり、プロセスは、ポリウレタン、好ましくはポリウレタンフォームを水が発泡剤または共発泡剤として使用されて製造するためのものである。
【0039】
特に、本発明によるイソシアネート付加生成物の製造方法は、気泡または非気泡ポリウレタンから選択されるポリウレタン、好ましくはポリウレタンフォームの製造方法を含み、この方法は任意選択で水などの発泡剤の使用を含む。
【0040】
前記請求項のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造方法であって、ここで方法はポリウレタンを製造するためのものであり、そして方法は任意選択で、界面活性剤、難燃剤、連鎖延長剤、架橋剤、接着促進剤、帯電防止添加剤、加水分解安定剤、UV安定剤、潤滑剤、抗菌剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどの補助成分(C)の添加を含む。
【0041】
本発明によるイソシアネート付加生成物の製造方法において、上記で定義した本発明の組成物は、好ましくは、すべての成分を含む組成物全体の総重量に基づいて約0.005重量%から約5重量%の量で存在する。
【0042】
本発明はさらに、上記定義のイソシアネート付加生成物の製造方法から得られる、フォームを形成するイソシアネート付加生成物に関する。フォームを形成するこのようなイソシアネート付加生成物は、好ましくは、スラブストック、成形フォーム、軟質フォーム、硬質フォーム、半硬質フォーム、スプレーフォーム、熱成形可能なフォーム、微孔質フォーム、履物用フォーム、連続気泡フォーム、独立気泡フォーム、接着剤からなる群から選択される。
【0043】
典型的なポリウレタンフォーム形成組成物は、例えばWO2016/039856に記載されており、そして(a)ポリオール;(b)イソシアネート;(c)本発明による組成物、(d)界面活性剤、(e)発泡剤などの任意選択の成分、および他の任意選択の成分(C)、例えば、界面活性剤、難燃剤、連鎖延長剤、架橋剤、接着促進剤、帯電防止添加剤、加水分解およびUV安定剤、潤滑剤、抗菌剤、本発明による組成物以外の触媒を含み、および/または、コンパクトまたは気泡ポリウレタン材料の製造には、他の用途に特化した添加剤を使用できる(The polyurethanes book, Editors DavidRandall and Steve Lee, John Willey & Sons, LTD, 2002)。ポリオール(a)成分は、ポリウレタンフォームを形成するのに有用な任意のポリオールであり得る。
【0044】
上記で定義した本発明による組成物を含む触媒組成物に加えて、本発明による組成物以外の1つまたは複数の追加の触媒を使用することも可能である。これらの追加の触媒は、本発明による組成物に添加することができ、またはポリウレタン形成の工程で別々に添加することができる(WO2012/006263,頁22,[23])。
【0045】
本明細書で使用される「ポリウレタン」という用語は、2つ以上のイソシアネート基を含むイソシアネートと、2つ以上の活性水素を含む化合物、例えばポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、グラフトポリオールとしても知られるコポリマーポリオール)および/またはポリアミンとして知られる第一級および第二級アミン末端ポリマーとの反応生成物を指す。これらの反応生成物は、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素として当業者に一般的に知られている。気泡および非気泡フォームを形成する際の反応は、任意選択で発泡剤を含む。ポリウレタンフォームの製造では、反応には発泡剤とその他の任意選択の成分、例えば、界面活性剤、難燃剤、連鎖延長剤、架橋剤、接着促進剤、帯電防止添加剤、加水分解およびUV安定剤、潤滑剤、抗菌剤、触媒および/またはコンパクトまたは気泡ポリウレタン材料の製造に使用され得る他の用途に特化した添加剤が含まれる(The polyurethanes book, Editors David Randall and Steve Lee, JohnWilley & Sons, LTD, 2002)。典型的には、エチレングリコール、ジ-、トリ-エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ-、トリ-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールまたは他のジオールが鎖延長剤として使用されることが知られている。本発明の触媒材料は、ワンショット発泡、準プレポリマーおよびプレポリマープロセスを使用する、軟質、半軟質、および硬質フォームを製造するのに特に適している。本発明のポリウレタン製造プロセスは、典型的には、ポリオール、一般に約10から約700のヒドロキシル価を有するポリオール、有機ポリイソシアネート、発泡剤および当業者に知られている任意選択の添加剤、および少なくとも1つが本発明の第三級アミン化合物から選択される1つまたは複数の触媒の反応が含まれる。発泡剤および任意選択の添加剤として、軟質および半軟質フォーム配合物(以下、単に軟質フォームと呼ぶ)には、一般に、例えば、水、有機低沸点補助発泡剤または任意選択の非反応性ガス、シリコーン界面活性剤、本発明による組成物以外の任意選択の触媒、および任意選択の単数または複数の架橋剤も含まれる。硬質フォーム配合物には、しばしば、低沸点有機材料と発泡用の水の両方が含まれる。
【0046】
ポリウレタンフォームを製造するための「ワンショットフォームプロセス」は、ポリイソシアネート、有機ポリオール、水、本発明による組成物以外の触媒、単数または複数の界面活性剤、任意選択の発泡剤などを含む、発泡ポリウレタン製品を製造するために必要な(または望ましい)成分のすべてが、効率的に混合され、移動するコンベヤまたは適切な形状の金型に流し込んで硬化させるワンステッププロセスである(Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes, by MihailIonescu, Rapra Technology LTD. (2005))。ワンショットプロセスは、プレポリマーおよび準プレポリマープロセスと対比されることになる(Flexible polyurethane foams, by Ron Herrington and Kathy Hock, DowPlastics, 1997)。プレポリマープロセスでは、現在使用されているほとんどのプレポリマーがイソシアネート-ティップド(tipped)である。利用可能なすべてのヒドロキシル部位と反応するのにちょうど十分な量のポリイソシアネートを添加すると、厳密なプレポリマーが形成される。過剰または残留イソシアネートモノマーが存在する場合、生成物は準プレポリマーと呼ばれる。プレポリマーまたは準プレポリマーは、フォーム生成成分の非存在下で最初に調製される。第2のステップでは、高分子量ポリウレタン材料は、プレポリマーと水および/または鎖延長剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールまたはジアミンとの反応によって触媒の存在下で形成される。
【0047】
本発明の組成物は、単独の触媒として、またはポリイソシアネート付加生成物を形成するための1つまたは複数の追加の触媒、例えば第三級アミン、例えば上記のアルキルアミン、有機金属触媒、例えば有機スズ触媒、金属塩触媒、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属カルボキシレート触媒、他の遅延作用触媒、または他の既知のポリウレタン触媒と組み合わせて使用することができる。有機金属触媒または金属塩触媒も、ポリウレタンフォーム配合物に使用することができ、しばしば使用される。例えば、軟質スラブストックフォームの場合、一般に好ましい金属塩および有機金属触媒は、それぞれオクタン酸第一スズおよびジブチルスズジラウレートである。軟質成形フォームの場合、例示的な有機金属触媒は、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジアルキルメルカプチドである。硬質フォームの場合、例示的な金属塩および有機金属触媒は、それぞれ酢酸カリウム、オクタン酸カリウムおよびジブチルスズジラウレートである。金属塩または有機金属触媒は通常、ポリウレタン配合物に少量、典型的には組成物の総重量に基づいて100部当たり約0.001部(pphp)から約0.5pphpで使用される。
【0048】
ポリウレタンを製造するための本発明の方法において、特にワンショット発泡手順において特に有用なポリオールは、軟質スラブストックフォーム、軟質成形フォーム、半軟質フォーム、および硬質フォームの製造のために当技術分野で現在使用されているタイプのいずれかである。そのようなポリオールは、典型的には周囲温度および圧力で液体であり、約15から約700の範囲のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含む。ヒドロキシル価は、好ましくは軟質フォームでは約20から約60、半軟質フォームでは約100から約300、硬質フォームでは約250から約700である。
【0049】
軟質フォームの場合、ポリオールの好ましい官能価、すなわちポリオール分子当たりのヒドロキシル基の平均数は、約2から約4であり、最も好ましくは約2.3から約3.5である。硬質フォームの場合、好ましい官能価は約2から約8であり、最も好ましくは約3から約5である。
【0050】
本発明の触媒組成物の存在下でポリウレタンおよび/またはポリウレアを製造する方法において、単独またはコポリマーとしての混合物で使用できる多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えば、以下の非限定的なポリオールのクラスのいずれかを含む。
(a)ポリヒドロキシアルカンと1つまたは複数のアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(b)高官能性アルコール、糖アルコール、サッカリドおよび/または高官能性アミン、必要に応じて低官能性アルコールおよび/またはアミンとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの混合物の反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(c)リン酸およびポリ亜リン酸とアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(d)ポリ芳香族アルコールとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(e)テトラヒドロフランの開環重合反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(f)アンモニアおよび/またはアミンとアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
(g)多官能性開始剤、例えばジールと、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトン、例えば、ヒドロキシルカプロン酸またはε-カプロラクトンの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
(g)多官能性ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオールと、多官能酸、例えばアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸との反応から誘導されるポリエステルポリオール;(h)シュウ酸エステルおよびジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリオキサメートポリオール;
(i)ジイソシアネートおよびジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリウレアポリオール。
【0051】
軟質フォームの場合、ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物の好ましいタイプは、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族トリオールのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物である。硬質フォームの場合、好ましいクラスのアルキレンオキシド付加物は、アンモニア、トルエンジアミン、スクロース、およびフェノール-ホルムアルデヒド-アミン樹脂(マンニッヒ塩基)のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物である。
【0052】
グラフトポリオールまたはポリマーポリオールは、軟質フォームの製造に広く使用され、標準ポリオールとともに、本発明のプロセスに有用なポリオールの好ましいクラスの1つである。ポリマーポリオールは、例えば上記のポリオールa)からe)、より好ましくはタイプa)のポリオールにおいて、ポリマーの安定な分散物を含有するポリオールである。本発明の方法に有用な他のポリマーポリオールは、ポリ尿素ポリオールおよびポリオキサメートポリオールである。
【0053】
本発明のポリウレタンフォーム形成プロセスに有用なポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含む有機化合物であり、一般に、既知の芳香族または脂肪族ポリイソシアネートのいずれかとなる。適切な有機ポリイソシアネートには、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)および2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)などの炭化水素ジイソシアネート(例えば、アルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネート)、ならびに既知のトリイソシアネートおよびポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)(ポリマーまたは粗MDIとしても知られている)が含まれる。軟質および半軟質フォームの場合、好ましいイソシアネートは、一般に、例えば、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)の混合物、組成物の総重量に基づいて、それぞれ約80%および約20%、またそれぞれ約65%および約35%の重量割合;TDIとポリマーMDIの混合物、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、約80%のTDIと約20%の粗ポリマーMDIから約50%のTDIと約50%の粗ポリマーMDIの重量割合;MDIタイプのすべてのポリイソシアネートである。硬質フォームの場合、好ましいイソシアネートは、例えば、MDIタイプおよび好ましくは粗ポリマーMDIのイソシアネートである。
【0054】
配合物中の他の材料の量に対する、使用されるフォーム配合物中に含まれるポリイソシアネートの量は、「イソシアネート指数」に関して記載される。「イソシアネート指数」は、使用されるポリイソシアネートの実際の量を、反応混合物中のすべての活性水素と反応するのに必要なポリイソシアネートの理論的に必要な化学量論量で割り、100を掛けたものを意味する(Oertel, Polyurethane Handbook, Hanser Publishers, New York, N.Y.(1985)を参照)。本発明の方法で使用される反応混合物中のイソシアネート指数は、一般に60から140の間である。より一般的には、イソシアネート指数は、軟質TDIフォームの場合、典型的には85から120;成形TDIフォームの場合、典型的には90から105;成形MDIフォームの場合、通常70から90;硬質MDIフォームの場合、一般に90から130である。ポリイソシアヌレート硬質フォームのいくつかの例は、250-400もの高いイソシアネート指数で製造されている。
【0055】
水は、軟質フォームと硬質フォームの両方で反応性発泡剤としてよく使用される。軟質スラブストックフォームの製造において、水は一般に、例えば、ポリオール配合物の100部当たり2から6.5部(pphp)、より多くの場合、ポリオール配合物の3.5から5.5pphhの濃度で使用することができる。TDI成形フォームの水レベルは、通常、例えば、ポリオール配合物の3から4.5pphpの範囲である。MDI成形フォームの場合、例えば、水レベルは通常2.5から5pphpである。硬質フォームの水レベルは、例えば、0.5から5pphpの範囲であり、より多くの場合、ポリオール配合物の0.5から2pphpの範囲である。揮発性炭化水素またはハロゲン化炭化水素および他の非反応性ガスに基づく発泡剤などの物理発泡剤も、本発明によるポリウレタンフォームの製造に使用することができる。製造される硬質断熱フォームの大部分は揮発性炭化水素またはハロゲン化炭化水素で発泡され、好ましい発泡剤はヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)および揮発性炭化水素のペンタンとシクロペンタンである。軟質スラブストックフォームの製造では、水が主な発泡剤であり;しかしながら、他の発泡剤を補助発泡剤として使用することができる。軟質スラブストックフォームの場合、好ましい補助発泡剤は二酸化炭素およびジクロロメタン(塩化メチレン)である。例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)およびトリクロロモノフルオロメタン(CFC-11)などの他の発泡剤も使用することができる。
【0056】
軟質成形フォームは通常、不活性な補助発泡剤を使用せず、いずれにせよ、スラブストックフォームよりも少ない補助発泡剤を組み込む。しかしながら、一部の成形技術では二酸化炭素を使用することに大きな関心が寄せられている。アジアおよび一部の発展途上国のMDI成形フォームは、塩化メチレン、CFC-11およびその他の発泡剤を使用している。発泡剤の量は、当業者によって認識されるように、所望のフォーム密度およびフォーム硬度に従って変化する。使用する場合、炭化水素型発泡剤の量は、例えば、ポリオール配合物の100部当たり微量からの約50部(pphp)まで変化し、そしてCOはポリオール配合物の約1から約10pphpまで変化する。
【0057】
架橋剤は、ポリウレタンフォームの製造にも使用できる。架橋剤は通常、小分子であり;通常、分子量が350未満で、イソシアネートと反応するための活性水素を含んでいる。架橋剤の官能価は3より大きく、好ましくは3と5の間である。使用される架橋剤の量は、ポリオール配合物に基づいて約0.1pphpから約20pphの間で変動し得、使用量は、必要なフォーム安定化またはフォーム硬度を達成するように調整される。架橋剤の例には、グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびテトラヒドロキシエチルエチレンジアミンが含まれる。
【0058】
本発明の方法で使用できるシリコーン界面活性剤には、例えば「加水分解性」ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、「非加水分解性」ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、シアノアルキルポリシロキサン、アルキルポリシロキサン、およびポリジメチルシロキサンオイルが含まれる。使用されるシリコーン界面活性剤のタイプおよび必要とされる量は、当業者によって認識されるように、生成されるフォームのタイプによる。シリコーン界面活性剤は、そのまま使用することも、グリコールなどの溶媒に溶解して使用することもできる。軟質スラブストックフォームの場合、反応混合物は通常、約0.1から約6pphp、より多くの場合、約0.7から約2.5pphpのシリコーン界面活性剤のレベルを含む。軟質成形フォームの場合、反応混合物は、通常、約0.1から約5pphp、より多くの場合、約0.5から約2.5pphpのシリコーン界面活性剤のレベルを含む。硬質フォームの場合、反応混合物は通常、約0.1から約5pphpのシリコーン界面活性剤、より多くの場合、約0.5から約3.5pphpのシリコーン界面活性剤のレベルを含む。使用される量は、必要なフォームセル構造とフォーム安定性を達成するために調整される。
【0059】
ポリウレタンの製造に有用な温度は、当業者によく理解されているように、フォームのタイプおよび製造に使用される特定のプロセスに応じて変化する。柔軟なスラブストックフォームは、通常、約20℃から約40℃の間の周囲温度で反応物を混合することによって生成される。フォームが上昇して硬化するコンベアは、基本的に周囲温度であり、この温度は、フォームが作られる地域や季節によって大きく異なる。軟質成形フォームは、通常、約20℃から約30℃の間、より多くの場合、約20℃から約25℃の間の温度で反応物を混合することによって製造される。混合された出発材料は、典型的には流し込みによって型に供給される。型は、好ましくは、約20℃から約70℃の間、より多くの場合、約40℃から約65℃の間の温度に加熱される。噴霧された硬質フォームの出発材料は、混合され、周囲温度で噴霧される。成形された硬質フォーム出発材料は、約20℃から約35℃の範囲の温度で混合される。本発明による軟質スラブストックフォーム、成形フォーム、および硬質フォームの製造に使用される好ましいプロセスは、出発材料が一段階で混合および反応される「ワンショット」プロセスである。
【0060】
以下に、本発明の好ましい実施形態を要約する。
1.(A)少なくとも1つの第三級アミノ化合物、および(B)銅(II)-カルボキシレート、その水和物および前記第三級アミノ化合物(A)との付加物からなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物を含む組成物であって、結合していない第三級アミノ化合物(A)を含む組成物。
2.第三級アミン化合物(A)対Cu(II)-化合物(B)の重量比は、>2:1、好ましくは>4:1、より好ましくは>9:1、最も好ましくは>19:1である、実施形態1に記載の組成物。
3.室温(約25℃)で均質な液体を形成する、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
4.調製して室温(約25℃)で少なくとも14日間静置した後に均質な液体を形成する、実施形態3に記載の組成物。
5.少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)は、少なくとも1つのさらなる官能基を有する、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
6.官能基は、ヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、アミド、カルバメート、第一級、第二級または第三級アミノ基から選択される、前記実施形態に記載の組成物。
7.官能基がCu(II)イオンを配位することができる、実施形態5または6に記載の組成物。
8.銅(II)-化合物(B)は銅(II)-カルボキシレート(B)、好ましくは銅(II)-アセテートまたはその水和物から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
9.第三級アミノ基のモル量と第三級アミノ化合物中の任意選択のさらなる官能基のモル量の合計の、組成物中に存在するCu(II)のモル量に対するモル比(Σ(第三級アミノ基のモル+任意選択の官能基のモル)/Cu(II)のモル)は、>4:1であり、好ましくは>6:1であり、最も好ましくは>10:1である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
10.第三級アミノ化合物(A)の量は、第三級アミノ化合物(A)が銅(II)-化合物(B)を溶解し、室温(約25℃)で均質な液体を形成することができるようなものである、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
11.第三級アミノ化合物(A)の銅(II)-化合物(B)に対するモル比は>2、好ましくは>3、より好ましくは>4である、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
12.銅(II)-化合物(B)は、銅(II)-アセテートまたはその水和物である、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
13.第三級アミノ化合物(A)は、
i.第一級、第二級および第三級アミノ基から選択される、少なくとも1つのさらなるアミノ基を有する第三級アミノ化合物;
ii.少なくとも1つのヒドロキシル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とヒドロキシル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が3を除く少なくとも2つである;
iii.少なくとも1つのエーテル基を有する第三級アミノ化合物、ここで第三級アミノ基の窒素原子とエーテル基の酸素原子とをつなぐ炭素原子の数が少なくとも2である;
からなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
14.第三級アミノ化合物(A)は、多重結合を含まない脂肪族飽和第三級アミンから選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
15.第三級アミノ化合物(A)は、
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

およびそれらの混合物からなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
16.少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)と、銅(II)-カルボキシレート(B)およびその水和物からなる群から選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)とを、前記組成物が結合していない第三級アミノ化合物(A)含む量で混合することにより得ることができる、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
17.1つまたは複数の補助成分(C)をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
18.補助成分(C)は、ポリウレタン形成のための反応物および添加剤、ならびにポリウレタンのための添加剤から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
19,補助成分(C)は、
ポリオール、例えば、
i.多芳香族アルコールとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
ii.テトラヒドロフランの開環重合反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iii.アンモニアおよび/またはアミンとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどとの反応から誘導されるポリエーテルポリオール;
iv.多官能性開始剤、例えばジオールと、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトン、例えば、ヒドロキシルカプロン酸またはイプシロン-カプロラクトンの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
v.多官能性グリコール、例えばジオールと、多官能性酸、例えば、アジピン酸、コハク酸などの反応から誘導されるポリエステルポリオール;
vi.シュウ酸エステルおよびジアミン、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリオキサメートポリオール;
vii.ジイソシアネートおよびジアミン、例えばヒドラジン、エチレンジアミンなどの直接ポリエーテルポリオールでの反応から誘導されるポリウレアポリオール;
viii.グラフトポリオールとしても知られるコポリマーポリオール、ポリアミンとして知られる第一級および第二級アミン末端ポリマー、
希釈剤、例えば、
ix.水、グリコール(エチレングリコール、ジ-、トリ-エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ-、トリ-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールなど)、グリコールのモノ-およびジ-アルキルエーテル、
ポリウレタン添加剤、例えば、
x.可塑剤;
xi.グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなどの架橋剤
xii.ポリウレタン形成のためのさらなる従来の触媒
およびそれらの混合物、からなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
20.1つまたは複数の希釈剤を含む、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
21.希釈剤は、イソシアネート反応性化合物または非イソシアネート反応性化合物から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
22.室温(約25℃)で沈殿を生じない量の水を除くさらなる希釈剤を含まない、前記実施形態1から18のいずれかに記載の組成物。
23.少なくとも1つの第三級アミノ化合物(A)を、銅(II)-カルボキシレート(B)およびその水和物からなる群より選択される少なくとも1つの銅(II)-化合物(B)を、前記組成物が結合していない第三級アミノ化合物を含む量で、任意選択で1つまたは複数の補助成分(C)の存在下で混合する工程を含む、前記実施形態のいずれかに記載の組成物を製造するための方法。
24.>50から98重量部の第三級アミノ化合物(A)、および
2から<50重量部の銅(II)-化合物(B)、
および成分(A)および(B)の100重量部に基づいて、
0から2000重量部の1つまたは複数の補助成分(C)を含む、
前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
25.66から95モル%の第三級アミノ化合物(A)、および
5から34モル%の銅(II)-化合物(B)を含み、
ここで成分(A)および(B)の合計量は100モル%になる、
前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
26.前記実施形態のいずれかに記載の組成物の触媒としての使用。
27.少なくとも1つのイソシアネート化合物と、ヒドロキシ官能性および/またはアミノ官能性化合物などの少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物との反応のための触媒としての、前記実施形態に記載の使用。
28.例えば、少なくとも1つのカルバメート(ウレタン)(ヒドロキシ官能性化合物との反応から)および/または尿素基(アミノ官能性化合物の反応から)を含むポリイソシアネート重付加生成物、好ましくはポリウレタンであるポリイソシアネート重付加生成物の製造のための、触媒としての前記実施形態に記載の使用。
29.ポリイソシアネート重付加生成物は、ウレタン基および尿素基から選択される基からなる1つまたは複数の官能基を有する、前記実施形態に記載の使用。
30.水が発泡剤または共発泡剤として使用されるポリウレタン、特にポリウレタンフォームの製造のための触媒としての前記実施形態に記載の使用。
31.前記実施形態のいずれかに記載の組成物を含む触媒組成物。
32.前記実施形態のいずれかで定義された組成物の存在下で、イソシアネート化合物をイソシアネート反応性化合物と反応させることを含む、イソシアネート付加生成物の製造のための方法。
33.イソシアネートがポリイソシアネートであり、そしてイソシアネート反応性化合物がポリオールであり、方法が、ポリウレタン、特にポリウレタンフォームを製造するためのものであり、ここで水が発泡剤または共発泡剤として使用される、実施形態32に記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
34.イソシアネート付加生成物はポリウレタン、好ましくはポリウレタンフォームであり、気泡ポリウレタンまたは非気泡ポリウレタンから選択され、そして方法は任意選択で水などの発泡剤を含む、前記実施形態のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
35.方法はポリウレタンを製造するためのものであり、方法は任意選択で、界面活性剤、難燃剤、連鎖延長剤、架橋剤、接着促進剤、帯電防止添加剤、加水分解安定剤、UV安定剤、潤滑剤、抗菌剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどの補助成分(C)の添加を含む、前記実施形態のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
36.前記の実施形態のいずれかで定義された組成物は、すべての成分を含む組成物全体の総重量に基づいて約0.005重量%から約5重量%の量で存在する、前記の実施形態のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法。
37.前記実施形態のいずれかに記載のイソシアネート付加生成物の製造のための方法から得られるフォームを形成するイソシアネート付加生成物。
38.スラブストック、成形フォーム、軟質フォーム、硬質フォーム、半硬質フォーム、スプレーフォーム、熱成形可能なフォーム、微孔質フォーム、履物用フォーム、連続気泡フォーム、独立気泡フォーム、接着剤からなる群から選択される、前記実施形態に記載のフォームを形成するイソシアネート付加生成物。
【0061】
本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるが、以下の実施例は本発明の特定の態様を説明し、より具体的には評価方法を説明する。実施例は、例示を目的として提示されており、本発明に対する限定として解釈されるべきではない。
【実施例
【0062】

触媒形成例
比較例1、2および3では、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール(DMEE)を触媒として使用した。
【0063】
触媒1
57.00gの2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール(428.0ミリモル)を室温で3.00gの酢酸銅(II)一水和物(15.0ミリモル)に添加し、混合物を室温でローラーミキサーにより均質化して、青色の均質な液体混合物を得た。混合物を密閉フラスコに保持し、ポリウレタンフォームを調製するための触媒として使用した。
【0064】
触媒2
21.93gの2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール(164.6ミリモル)を3.07gの酢酸銅(II)一水和物(15.4ミリモル)に室温で加え、混合物を室温でローラーミキサーで均質化して、青色の均質な液体混合物を得た。混合物を密閉フラスコに保持し、ポリウレタンフォームを調製するための触媒として使用した。
【0065】
ポリウレタンフォームの例
ポリウレタンフォームは、以下の手順に従って調製した。以下の表1、2および3のそれぞれによって表される一連の試験ごとに、個々の新しいプレミックスが調製された。反応性ポリエーテルポリオール(Hyperlite(登録商標)1629;ヒドロキシル価29.5-33.5mgKOH/g)、スチレン-アクリロニトリルポリマーで変性された反応性ポリエーテルポリオール(Hyperlite(登録商標)1639;ヒドロキシル価16.5-20.5mgKOH/g)、ジエタノールアミンの90重量%水溶液(水中DEOA90重量%)、シリコーン安定剤(Niax(登録商標)シリコーンL-3555)、および水のプレミックスは、表1、2および3(重量部)に従って調製した。プレミックスは、プラスチック容器内で、リング付きのプロペラスターラーを使用して1500rpmで20分間完全に均質化された。均質化されたプレミックスから、それぞれ318.30gのいくつかのバッチを秤量して適切な混合プラスチック容器に入れ、対応する触媒組成物を結果として添加して、完全に配合されたポリオール配合物を得た。完全に配合されたポリオール配合物を、プラスチック容器内でリング付きのプロペラスターラーを使用して3000rpmで30秒間完全に混合した。129.3gのSucranateT80イソシアネート(TDI、NCO含有量48.1%)を添加し、反応混合物を4-6秒間混合した。反応混合物を直ちに30×30×10cmのアルミニウム金型に注ぎ、金型を直ちに閉じてクランプした。金型の蓋は、四隅に直径0.4mmの4つの通気口を有していた。金型温度は、温水循環サーモスタットによって65℃に制御された。金型のコーティングには離型剤Chem-Trend(登録商標)PU-1705Mを使用した。フォームは5分後に脱型された。フォームの処理および物理的特性は、次のように評価された。
【表1A】
【0066】
各実験について、2つのフォームが調製され、提示された出口時間、破砕力、ホットILD、ILDおよび密度についてのデータは、繰り返し測定の平均値を表す。
【0067】
銅ベースの触媒組成物の触媒性能の評価は、処理および物理的特性、特にホットILDおよびILD値の比較によって行われる。ホットILD値は、フォームを脱型し、破砕して気泡を開いた後の気泡材料の耐荷重能力を表す。値が高いほど、脱型および連続気泡への破砕後のフォームは、より硬く、より密で、より良好に硬化する。ILD値は、脱型後少なくとも48時間のフォームの硬化度の適切な相対尺度である。ILD値が高いほど、フォームの硬化度が高くなり、フォームの硬度が高くなる。
【0068】
【表1B】
【0069】
驚くべきことに、Cu(OAc) OをDMEEに添加することによって調製されたPUフォーム(例1)は、著しく高いILD値(439N)を有することが見出された。DMEEのみを使用して調製された比較例1は、398NのILD値を有する。フォームパッドをその元の厚さの50%までたわませるのに必要な力がより高いことを示すより高いILD値は、本発明の触媒1組成物が有利に良好な後硬化を提供することを示す。
【0070】
【表2】
【0071】
驚くべきことに、DMEEにCu(OAc) Oを添加することによって調製されたPUフォーム(例2)は、著しく高いILD値(483N)を有するのに対し、DMEEのみを使用して調製された比較例2は、388NのILD値を有した。フォームパッドをその元の厚さの50%までたわませるのに必要な力がより高いことを示すより高いILD値は、本発明の触媒2組成物が有利に良好な後硬化を提供することを示す。
【0072】
【表3】
【0073】
驚くべきことに、0.40pbwのCu(OAc) OをDMEEに添加することによって調製されたPUフォーム(例3)は、より高い高温ILD値(195N)を有することが見出された。0.40pbwのDMEEを使用して調製された比較例3は、174Nのより低いホットILD値を有する。さらに、例3では著しく高いILD値(553N)が得られたのに対し、DMEEのみを使用して調製された比較例3は451NのILD値を有する。フォームパッドをその元の厚さの50%までたわませるのに必要な力がより高いことを示すより高いILD値は、組成物が0.40pbwのより低い濃度であっても、本発明の触媒2が有利に良好な後硬化を提供することを示す。