(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】リンク作動装置
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20240315BHJP
F16H 21/54 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B25J11/00 D
F16H21/54
(21)【出願番号】P 2023126680
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2019145973の分割
【原出願日】2019-08-08
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 賢蔵
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-58969(JP,A)
【文献】特開2014-46434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0166404(US,A1)
【文献】特開2017-219122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 11/00
F16H 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラレルリンク機
構を備えるリンク作動装置であって、
前記パラレルリンク機構は、
少なくとも3つのリンク機構と、
基端側に配置され、前記少なくとも3つのリンク機構のうちの第1リンク機構および第2リンク機構にそれぞれ接続された第1回転体および第2回転体と、
先端側
のリンクハブとを備え、
前記第1回転体および前記第2回転体
は、互いに回転自在に連結され、
前記少なくとも3つのリンク機構の各々は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記
先端側のリンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記第1リンク機構の第1リンク部材は、前記第1回転体に固定されており、
前記第2リンク機構の第1リンク部材は、前記第2回転体に固定されており、
前記少なくとも3つのリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは、球面リンク中心点で交わり、
前記第1回転体および前記第2回転体の回転中心軸は、前記球面リンク中心点と交わ
る、リンク作動装置。
【請求項2】
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記球面リンク中心点に対する前記先端側のリンクハブの姿勢に関するデータが与えられると、前記第1回転体および前記第2回転体の回転角度を決定するように構成される、請求項1に記載のリンク作動装置。
【請求項3】
前記パラレルリンク機構は、
前記少なくとも3つのリンク機構のうちの第3リンク機構に接続された第3回転体をさらに備え、
前記第1~第3回転体は、回転中心軸が一致するように配置され、
前記第3回転体は、前記第1回転体および前記第2回転体と互いに回転自在に連結される、請求項1に記載のリンク作動装置。
【請求項4】
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記先端側のリンクハブに取り付けられたエンドエフェクタに対する回転処理を行なう場合には、前記第1回転体および前記第2回転体の回転角度に加えて前記第3回転体の回転角度を決定するように構成される、請求項3に記載のリンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リンク作動装置は、精密で広範な作動範囲を必要とする産業機器等に用いられる。リンク作動装置は、駆動源とリンク機構からなる。リンク機構の一種としてパラレルリンク機構が知られている。
【0003】
コンパクトな構成でありながら、精密で広範な作動範囲の動作が可能なリンク作動装置として、たとえば、特開2015-194207号公報(特許文献1)に示されるようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2015-194207号公報(特許文献1)のリンク作動装置は、基端側のリンクハブと先端側のリンクハブとを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して連結した構成としている。このリンク作動装置は、コンパクトでありながら、精密かつ広範な作動範囲の動作が可能である。
【0006】
しかし、特開2015-194207号公報(特許文献1)のリンク作動装置では、3組以上のリンク機構に設けた姿勢制御用の駆動源に対して、先端側のリンクハブが回転2自由度で動作する。そのため、さらなる回転自由度を加えるには、リンク作動装置の外側に装置全体を回転させる機構を必要とする。この結果、装置全体が大型化するという問題があった。また、構造上、リンク機構の折れ角に応じて先端側のリンクハブの回転半径が変化するとともに、当該先端側のリンクハブの回転移動における回転中心の位置を固定できない。すなわち、基端側のリンクハブから見て先端側のリンクハブは固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を移動できないため、先端側のリンクハブの動作をイメージしにくいといった課題があった。
【0007】
この発明の目的は、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能なパラレルリンク機構を用いたリンク作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、パラレルリンク機構と制御装置とを備えるリンク作動装置に関する。パラレルリンク機構は、基端側の第1リンクハブと、少なくとも3つのリンク機構と、少なくとも3つのリンク機構のうちの第1リンク機構および第2リンク機構にそれぞれ接続された第1回転体および第2回転体と、先端側の第2リンクハブとを備える。第1回転体および第2回転体の各々は、第1リンクハブと回転自在に連結される。少なくとも3つのリンク機構の各々は、第1リンク部材と、第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含む。第2リンク部材は、第2リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続される。第1リンク機構の第1リンク部材は、第1回転体に固定されており、第2リンク機構の第1リンク部材は、前記第2回転体に固定されている。少なくとも3つのリンク機構において、第1回転対偶部の第1中心軸と、第2回転対偶部の第2中心軸とは、球面リンク中心点で交わる。前記第1回転体および前記第2回転体の回転中心軸は、前記球面リンク中心点と交わる。制御装置は、第2リンクハブの球面リンク中心点に対する姿勢に相当する法線ベクトルを表す情報が与えられると、第1回転体および第2回転体の回転角度を決定するように構成される。
【0009】
好ましくは、前記パラレルリンク機構は、少なくとも3つのリンク機構のうちの第3リンク機構に接続された第3回転体をさらに備える。制御装置は、情報が与えられると、第1~第3回転体の回転角度を決定するように構成される。
【0010】
より好ましくは、制御装置は、情報が与えられた時点の第3回転体の回転角度では情報が示す前記法線ベクトルが示す折れ角が実現できない場合には、第1回転体の回転角度を変更して、折れ角を実現するように第1~第3回転体の回転角度を決定する。
【0011】
さらに好ましくは、制御装置は、第3回転体の回転角度を変更する場合には、第2リンクハブに取り付けられたエンドエフェクタに対する回転処理を併せて実行するように構成される。
【発明の効果】
【0012】
上記によれば、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能なリンク作動装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係るリンク作動装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示したリンク作動装置のパラレルリンク機構の正面模式図である。
【
図3】
図2の線分III-IIIに示した断面からから見た先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
【
図4】
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【
図5】
図1に示したパラレルリンク機構の基本姿勢を説明するための斜視模式図である。
【
図6】
図1に示したパラレルリンク機構の姿勢変更時の動作を説明するための斜視模式図である。
【
図7】
図6に示したパラレルリンク機構の上面模式図である。
【
図8】制御装置100が実行するパラレルリンク機構の制御を説明するためのフローチャートである。
【
図9】制御装置100が実行する教示動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】折れ角θ1に対する制限が大きい場合のパラレルリンク機構の姿勢を示した斜視図である。
【
図11】
図10に示した姿勢に対応する第1リンク部材4a~4cの基端部の配置を示す図である。
【
図12】折れ角θ1に対する制限が小さい場合のパラレルリンク機構の姿勢を示した斜視図である。
【
図13】
図12に示した姿勢に対応する第1リンク部材4a~4cの基端部の配置を示す図である。
【
図14】実施の形態2において制御装置100が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】実施の形態3に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0015】
[実施の形態1]
<パラレルリンク機構の構成>
図1は、実施の形態1に係るリンク作動装置の構成を示す図である。
図1に示すリンク作動装置1000は、パラレルリンク機構200と、制御装置100と、アクチュエータ111~113と、回転角検出部121~123とを備える。
【0016】
制御装置100は、回転角検出部121~123がそれぞれ検出した回転角度ωa~ωcを受けてパラレルリンク機構200の姿勢を教示することができる。また、制御装置100は、アクチュエータ111~113に対して、目標回転角度ωa*~ωc*を出力し、パラレルリンク機構200の姿勢を制御することができる。
【0017】
制御装置100は、教示部101と、駆動部103と、手動操作部105と、記憶部106と、表示部107とを含む。教示部101、駆動部103は、それぞれ変換部102,104を含む。
【0018】
教示部101、駆動部103としては中央演算装置(CPU)を用いることができる。記憶部106としては、メモリ、ハードディスクなどを用いることができる。記憶部106に保存されたプログラムおよびデータがCPUに読み込まれることによって、CPUは教示部101または駆動部103として動作する。
【0019】
教示部101は、回転角検出部121~123から角度ωa,ωb,ωcを取得し、これを変換部102でパラレルリンク機構200の姿勢を示すデータに変換し、表示部107に出力するなどの教示動作を行なう。
【0020】
駆動部103は、手動操作部105または上位プロセッサから与えられたパラレルリンク機構200の目標姿勢を示すデータを変換部104で目標角度ωa*,ωb*,ωc*に変換し、目標角度を実現するようにアクチュエータ111~113を駆動する。
【0021】
図2は、
図1に示したリンク作動装置のパラレルリンク機構の正面模式図である。
図3は、
図2の線分III-IIIに示した断面からから見た先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
図4は、
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【0022】
図1~
図4に示したパラレルリンク機構200は、基端側の第1リンクハブ1と、3つのリンク機構11と、3つの回転体2a~2cと、先端側の第2リンクハブ3とを備える。基端側の第1リンクハブ1は、円盤状の部材である。なお、
図1に示した基端側の第1リンクハブ1の平面形状は円形状であるが、当該平面形状は三角形状、四角形状などの多角形状、あるいは楕円形状、半円形状など他の任意の形状であってもよい。また、基端側の第1リンクハブ1は
図1に示すような板状体であってもよいが、他の任意の形状であってもよく、他の機械装置の一部であってもよい。また、リンク機構11の数は3以上であればよく、たとえば4または5としてもよい。
【0023】
3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側の第1リンクハブ1と回転可能に連結される。3つの回転体2a~2cは、固定部材としてのボルト7とナット8とにより基端側の第1リンクハブ1に接続されている。3つの回転体2a~2cには上記ボルト7を通すため中央部に穴が形成されている。ボルト7の端に位置する頭部と回転体2aとの間にはワッシャ9が配置されている。積層された3つの回転体2a~2cの間には回転抵抗低減部材19がそれぞれ配置されている。また、積層された3つの回転体2a~2cのうち最も基端側の第1リンクハブ1側に位置する回転体2cと基端側の第1リンクハブ1との間にも回転抵抗低減部材19が配置されている。
【0024】
3つの回転体2a~2cは、平面形状がほぼ円形状である。3つの回転体2a~2cは、それぞれの外周部にリンク機構11を接続するための突出部が形成されている。突出部は回転体2a~2cの外周端面から外側に突出した凸形状部である。3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。
【0025】
3つのリンク機構11の各々は、第1リンク部材4a~4cと第2リンク部材6a~6cとを含む。1つめの第1リンク部材4aは、回転体2aの突出部に固定される。2つめの第1リンク部材4bは回転体2bの突出部に固定される。3つめの第1リンク部材4cは回転体2cの突出部に固定される。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に固定する方法は、任意の方法を用いることができる。たとえば、固定部材としてのネジ56によって第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cに固定してもよい。あるいは、第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に溶接して固定してもよく、接着剤層を介して固定してもよい。
【0026】
第1リンク部材4a~4cは、屈曲部を有する柱状の形状を有している。第1リンク部材4a~4cの長さは互いに異なっている。最も基端側の第1リンクハブ1に近い位置に配置された回転体2cに接続された第1リンク部材4cが最も長くなっている。また、最も基端側の第1リンクハブ1から遠くに配置された回転体2aに接続された第1リンク部材4aが最も短くなっている。第1リンク部材4a~4cは、回転体2a~2cの表面に垂直な方向に伸びる第1部分と、第1部分の伸びる方向に対して斜めに伸びる第2部分と、第1部分と第2部分との接続部である上記屈曲部とを含む。
図2に示すように、第1リンク部材4a~4cの第1部分の一方端部が回転体2a~2cに固定されている。第1部分の上記一方端部と反対側の他方端部が、第2部分の一方端部と接続されている。第2部分において一方端部と反対側の他方端部が第2リンク部材6a~6cとそれぞれ回転可能に接続されている。第2部分は、一方端部から他方端部に向けて、回転体2a~2cの回転中心軸12から徐々に離れるように構成されている。つまり、第1リンク部材4a~4cの第2部分の伸びる方向は、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0027】
1つめの第2リンク部材6aは、第1リンク部材4aに第1回転対偶部25aにおいて回転可能に接続される。2つめの第2リンク部材6bは、第1リンク部材4bに第1回転対偶部25bにおいて回転可能に接続される。3つめの第2リンク部材6cは、第1リンク部材4cに第1回転対偶部25cにおいて回転可能に接続される。第1回転対偶部25a~25cは、それぞれ第1中心軸15a~15cを有する。第1中心軸15a~15cは、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。また、第1中心軸15a~15cは、回転中心軸12に近づくにつれて回転体2a~2cから離れるように、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0028】
第1回転対偶部25a~25cの構造は、任意の構成とすることができる。たとえば、第1回転対偶部25a~25cは、第1中心軸15a~15cに沿って伸びる軸部と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第1リンク部材4a~4cの部分と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第2リンク部材6a~6bの部分とにより構成されていてもよい。この場合、軸部を中心軸として第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cは回転可能となっている。第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cの貫通穴から軸部が抜けることを防止するため、軸部の両端にはたとえば位置決め部材としてのナットが固定されていてもよい。
【0029】
あるいは、軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか一方に接続されており、当該軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方に形成された貫通穴に挿入された状態となっていてもよい。軸部に対して第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方が回転可能になっていてもよい。軸部の先端部には貫通穴から軸部が抜けることを防止するための位置決め部材としてのナットなどが固定されていてもよい。
【0030】
第2リンク部材6a~6cは、第1中心軸15a~15cの伸びる方向と交差する方向に伸びる第1部分と、当該第1部分の先端部から第1中心軸15a~15cに沿って伸びる第2部分とを含む。第1部分の上記先端部と反対側の根元部は、第1リンク部材4a~4cと回転可能に接続された第1回転対偶部25a~25cの一部となっている。
【0031】
第2リンク部材6a~6cは、先端側の第2リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。第2回転対偶部26a~26cは、それぞれ第2中心軸16a~16cを有する。具体的には、第2回転対偶部26a~26cは、第2中心軸16a~16cに沿って伸びる軸部と、当該軸部を挿入する貫通穴が形成された先端側の第2リンクハブ3の突出部と、当該突出部を挟むように配置され、軸部を挿入する貫通穴が形成された一対の壁部とを含む。一対の壁部は第2リンク部材6a~6cの第2部分の先端部に形成されている。軸部はボルト17とナット18とにより構成される。軸部を中心として、先端側の第2リンクハブ3の突出部と第2リンク部材6a~6cとは回転可能になっている。一対の壁部と先端側の第2リンクハブ3の突出部との間には、
図3に示すように回転抵抗低減部材29が配置されている。回転抵抗低減部材29としては、上述した一対の壁部および突出部との間の摩擦係数を低減できる任意の部材を用いることができる。たとえば、回転抵抗低減部材29として摩擦係数がより低い樹脂製のシム・ワッシャなどを用いることができる。
【0032】
第2中心軸16a~16cは、第1中心軸15a~15cと異なる方向に伸びるとともに、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。第2中心軸16a~16cは、回転体2a~2cの回転中心軸12にたとえば直交する方向に伸びている。
【0033】
3つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとは球面リンク中心点30で交わる。3つ以上の回転体2a~2cの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。上記のような関係を満たせば第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cの配置は任意に変更できる。
図3からわかるように、3つの第2リンク部材6a~6cのそれぞれにおいて、先端側の第2リンクハブ3側から視て(以下、平面視)第1中心軸15a~15cと第2中心軸16a~16cとのなす角度が実質的に90°である。また、球面リンク中心点30を中心とした周方向において、第1中心軸15a~15cは等間隔に配置されている。
【0034】
先端側の第2リンクハブ3の平面形状は六角形状であるが、他の任意の多角形状であってもよい。当該平面形状は円形状、楕円形状など任意の形状であってもよい。
【0035】
3つのリンク機構11は、平面視において円周上に等間隔に配置されている。すなわち、の第1中心軸15a~15cについて、平面視において球面リンク中心点30から見て隣接する2つの第1中心軸のなす角度が120°である。また、第2中心軸16a~16cについて、平面視において球面リンク中心点30から見て隣接する2つの第2中心軸のなす角度が120°である。なお、3つのリンク機構11を平面視において円周上に異なる間隔で配置してもよい。
【0036】
<パラレルリンク機構の動作>
図5は、
図1に示したパラレルリンク機構の基本姿勢を説明するための斜視模式図である。
図6は、
図1に示したパラレルリンク機構の姿勢変更時の動作を説明するための斜視模式図である。
図7は、
図6に示したパラレルリンク機構の上面模式図である。
【0037】
図4、
図5に示すように、三つの第1リンク部材4a~4cの基端部を等角度間隔に配置すると、先端側の第2リンクハブ3の姿勢を表す法線ベクトルは、回転体2a~2cの回転軸と一致する。
【0038】
一方、
図6に示すように、三つの第1リンク部材4a~4cの角度間隔を異ならせるように3つの回転体2a~2cを回転させると、基端側の第1リンクハブ1に対する先端側の第2リンクハブ3の姿勢を任意に変更できる。つまり、3つの回転体2a~2cのうちの3つの回転角度を制御することにより、球面リンク中心点30から見た先端側の第2リンクハブ3の姿勢における折れ角θ1および旋回角θ2を制御できる。つまり、先端側の第2リンクハブ3の姿勢は折れ角θ1および旋回角θ2という2自由度を有する。
【0039】
ここで、折れ角θ1とは、
図6に示すように、第2中心軸16a~16cのすべてに垂直であって球面リンク中心点30を通る直線である先端側リンクハブ中心軸31(先端側の第2リンクハブの法線ベクトルの向き)と、回転体2a~2cの回転中心軸12とのなす角度である。
図7に示すように、旋回角θ2とは、球面リンク中心点30を通り、回転中心軸12が垂直に交わる平面(XY平面)に上記先端側リンクハブ中心軸31(法線ベクトルに相当)を投影した直線と、XY平面において球面リンク中心点30を原点として設定したX軸とのなす角度である。
【0040】
<パラレルリンク機構の制御>
図8は、制御装置100が実行するパラレルリンク機構の制御を説明するためのフローチャートである。
図1、
図8を参照して、まず、制御装置100は、ステップS1において、先端側の第2リンクハブ3の目標法線ベクトルに対応する情報を受信する。この情報は、たとえば、手動操作部105から入力されたり、上位の制御装置から送信されたり、予め記憶部106に記憶されたりしている。
【0041】
続いて、ステップS2において、制御装置100は、変換部104において受信した情報を対応するωa,ωb,ωcに変換する。
【0042】
変換部104における変換は、数式を用いた演算による変換であっても良いが、折れ角θ1および旋回角θ2を入力とし、角度ωb,ωcを出力とするような変換テーブルを用いても良い。たとえば、このような変換テーブルは、パラレルリンク機構200の角度ωb,ωcをある角度ごとに増加または減少させ、そのときの法線ベクトル(x,y,z)を予め測定しておけばよい。また、法線ベクトル(x,y,z)の代わりに、折れ角θ1および旋回角θ2を予め測定しておいても良い。このような変換テーブルの例を表1に示す。このような変換テーブルが予め記憶部106に記憶されている。変換部104は、記憶部106に記憶されているこのような変換テーブルを参照して変換を行なう。なお、実施の形態1では、ωa=0に固定されているため、変換テーブルは、角度ωb,ωcについてデータがあればよい。
【0043】
【0044】
上記の表1において、β,γは、パラレルリンク機構200の各部材の寸法などによって決まる稼働可能角度範囲の初期値である。表1では、各初期値β,γに対して角度を1°毎に増加させてそれに対応する法線ベクトルN(Nx,Ny,Nz)のデータが登録されている。なお、法線ベクトルNに対応する折れ角θ1、旋回角θ2をデータとして登録しても良い。また、角度の増分を1°としたがこれには限定されない。変換テーブルのωb、ωcの増分をもう少し大きな増分とした場合には、データ間を補完してより細かいデータが入力された場合の変換に使用しても良い。
【0045】
続いて、ステップS3において、制御装置100は、得られた角度に対応して目標角度ωa*,ωb*,ωc*を決定し、第1リンク部材4a~4cの基端部の位置が目標角度ωa*,ωb*,ωc*と一致するようにアクチュエータ111~113を駆動部103によって駆動する。
【0046】
実施の形態1のリンク作動装置1000では、パラレルリンク機構200の先端側の第2リンクハブ3の姿勢を、指示された姿勢に一致させるために、制御装置100が
図8で説明したようにアクチュエータを駆動する。
【0047】
これに対して、たとえば、ダイレクトティーチング実行時、または異常復帰後等で現在位置が不明な状態からの始動時には、制御装置100が角度ωa,ωb,ωcを計測して、そのときの第2リンクハブ3の姿勢を教示する。
【0048】
図9は、制御装置100が実行する教示動作を説明するためのフローチャートである。
図1、
図9を参照して、まずステップS11において、制御装置100は、回転角検出部121~123を用いて、角度ωa,ωb,ωcを取得する。
【0049】
そしてステップS12において、制御装置100は、教示部101の変換部102において、先端側の第2リンクハブ3の法線ベクトルN(x、y、z)に角度ωa,ωb,ωcを変換する。実施の形態1ではωa=0であるので、既出の表1に示した変換テーブルを用いて変換することができる。変換部102は、記憶部106に予め記憶された表1のような変換テーブルを参照して変換を行なう。
【0050】
続いて、ステップS13において、教示部101は、表示部107に現在の姿勢に対応する法線ベクトルを示す情報を表示し、得た法線ベクトルを記憶部106に記憶させ、姿勢の初期情報またはダイレクトティーチングの情報とする。
【0051】
以上説明したように、実施の形態1に示したリンク作動装置1000は、パラレルリンク機構200と制御装置100とを備える。パラレルリンク機構200は、基端側の第1リンクハブ1と、少なくとも3つのリンク機構11と、少なくとも3つのリンク機構11のうちの第1リンク機構11b、第2リンク機構11cにそれぞれ接続された第1回転体2b、第2回転体2cと、先端側の第2リンクハブ3とを備える。第1回転体2bおよび第2回転体2cの各々は、第1リンクハブ1と回転自在に連結される。少なくとも3つのリンク機構11の各々は、第1リンク部材4a~4cと、第1リンク部材4a~4cに第1回転対偶部25a~25cにおいて回転可能に接続された第2リンク部材6a~6cとを含む。第2リンク部材6a~6cは、第2リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。第1リンク機構11bの第1リンク部材4bは、第1回転体4bに固定され、第2リンク機構11cの第1リンク部材4cは、第2回転体2cに固定されている。少なくとも3つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸と、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸とは、球面リンク中心点で交わる。第1回転体2bおよび第2回転体2cの回転中心軸は、球面リンク中心点と交わる。制御装置100は、第2リンクハブ3の球面リンク中心点に対する姿勢に相当する法線ベクトルを表す情報が与えられると、第1回転体2bおよび第2回転体2cの回転角度ωb,ωcを決定するように構成される。
【0052】
このようにすれば、基端側の第1リンクハブ1に対して先端側の第2リンクハブ3を、2自由度で動作させることができる。つまり、2つの回転体2b~2cを回転させることにより、基端側の第1リンクハブ1に対して先端側の第2リンクハブ3を、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができる。また、回転体2b~2cの回転運動により先端側の第2リンクハブ3の姿勢を制御するので、上記パラレルリンク機構200を用いたコンパクトなリンク作動装置を実現できる。さらに、先端側の第2リンクハブ3が、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動するので、先端側の第2リンクハブ3の動作をイメージしやすい。
【0053】
なお、実施の形態1のように回転体のうち1つを固定して使用する場合には、回転体を1つ削除し、基端側の第1リンクハブ1に1つの第1リンク部材を固定しても良い。
【0054】
[実施の形態2]
実施の形態1では、3つのリンク機構11のうちの1つの第1リンク部材4aを基準位置に固定して制御する例を説明した。しかし、このように制御すると、旋回角によっては、折れ角に制限が生じる範囲がある。
【0055】
図10は、折れ角θ1に対する制限が大きい場合のパラレルリンク機構の姿勢を示した斜視図である。
図11は、
図10に示した姿勢に対応する第1リンク部材4a~4cの基端部の配置を示す図である。
【0056】
図10の姿勢は、旋回角θ2が第1リンク部材4aの基端部の方向になっている。このような場合には、第2リンク部材6aが先端側の第2リンクハブ3と干渉し、
図10に示すように折れ角θ1は、およそ45°程度が上限となる。
【0057】
図12は、折れ角θ1に対する制限が小さい場合のパラレルリンク機構の姿勢を示した斜視図である。
図13は、
図12に示した姿勢に対応する第1リンク部材4a~4cの基端部の配置を示す図である。
【0058】
図12の姿勢は、旋回角θ2が第1リンク部材4aの基端部と第1リンク部材4cの基端部のちょうど中間の方向になっている。このような場合には、第2リンク部材6a~6cはいずれも先端側の第2リンクハブ3と干渉しにくい。このような姿勢では、折れ角θ1は、およそ90°近くが上限となる。
【0059】
ここで、実施の形態1では、ωa=0に固定して角度ωb,ωcを2自由度のθ1,θ2に対応させた。しかし、ωaを可変に構成していれば、
図12に示す姿勢を任意の方向に向けて取ることが可能となる。
【0060】
すなわち、すべての回転体2a~2cを
図5の矢印に示すように同方向に同角度だけ回転させることで、先端側の第2リンクハブ3の姿勢を維持したまま、回転中心軸12(
図2参照)を中心に第2リンクハブ3を回転させることができる。このとき、回転体2a~2cの突出部間、すなわち第1リンク部材4a~4cの基端部間の相対的な位置関係は維持される。
【0061】
また、回転体2b,2cに加えて、
図6に示すように、回転体2aの回転方向や回転角度を異ならせることにより、基端側の第1リンクハブ1に対する先端側の第2リンクハブ3の姿勢を任意に変更できる。つまり、3つの回転体2a~2cの回転角度を制御することにより、球面リンク中心点30から見た先端側の第2リンクハブ3の姿勢における折れ角θ1、旋回角θ2および回転角を制御できる。つまり、先端側の第2リンクハブ3の姿勢は折れ角θ1、旋回角θ2および回転角という3自由度を有する。
【0062】
ここで、回転角とは、基端側の第1リンクハブ1に対して回転中心軸12を中心に第1リンク部材4aの基端部が
図4に示す基準位置から回転する場合の回転角度ωaである。
【0063】
ただし、先端側の第2リンクハブ3に取り付けるエンドエフェクタ302(
図2の破線で示す)の種類によっては、エンドエフェクタに回転処理を行なう必要がある。たとえば、方向性を有しない針のようなエンドエフェクタであれば回転処理は不要である。一方、エンドエフェクタが検査などに使用するカメラなどの場合には、映像を回転させるようにカメラ画像を回転させる処理を行なうことが望ましい。また、エンドエフェクタ302がワークをピックアップする2本指のハンドのような場合には、ハンドを回転させる回転機構301(
図2の破線で示す)を先端側の第2リンクハブ3に設け、回転角ωaに応じて回転させることが望ましい。このような画像の回転処理またはハンド等のエンドエフェクタの物理的な回転処理が必要に応じて実行される。
【0064】
図14は、実施の形態2において制御装置100が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
図1および
図14を参照して、制御装置100は、ステップS21において、先端側の第2リンクハブ3の目標法線ベクトルに対応する情報を受信する。
【0065】
続いて、ステップS22において、制御装置100は、ステップS21で取得した情報に対応する折れ角θ1が45°以上であるか否かを判断する。なお、ここでは判定しきい値を45°としたが、パラレルリンク機構200の構造によって、判定値は適宜変更される。
【0066】
折れ角θ1が45°以上でない場合(ステップS22でNO)には、回転角を変化させる必要がないので、ステップS26において回転角ωa=0とし、ステップS27において、制御装置100は、実施の形態1の場合と同様に変換部104において受信した情報を対応するωb,ωcに変換する。変換部104における変換は、数式を用いた演算による変換であっても良いが、折れ角θ1および旋回角θ2を入力とし、角度ωb,ωcを出力とするような変換テーブルを用いても良い。
【0067】
一方、折れ角θ1が45°以上である場合(ステップS22でYES)には、回転角を変化させないと、先端側の第2リンクハブ3と第2リンク部材6aとが干渉してしまうため、制御装置100は、ステップS23において回転角ωa=αとする。リンク機構11が3つである場合には、たとえば、α=60°とすることができるが、αは0°以外の他の値であっても良い。そして、ステップS24において、制御装置100は、変換部104において受信した情報を対応するωb,ωcに変換する。変換テーブルを使用する場合、ステップS27では実施の形態1と同様のωa=0の場合の変換テーブルを参照した、ステップS24では、予めωa=αの場合の変換テーブルを用意して記憶部106に記憶させておき、ωa=αの場合の変換テーブルを参照するようにする。
【0068】
さらに、制御装置100は、ステップS25において、必要に応じて先端側の第2リンクハブ3に取り付けられているエンドエフェクタに対する回転処理を行なう。ここでの回転処理は、エンドエフェクタで撮影された画像を回転させる処理の場合や、物理的にエンドエフェクタを回転させる処理の場合等がある。
【0069】
続いて、もしくは同時に、ステップS28において、制御装置100は、得られた角度に対応して目標角度ωa*,ωb*,ωc*を決定し、第1リンク部材4a~4cの基端部の位置が目標角度ωa*,ωb*,ωc*と一致するようにアクチュエータ111~113を駆動部103によって駆動する。
【0070】
実施の形態2のリンク作動装置では、少なくとも3つのリンク機構は11、第1~第3リンク機構である。少なくとも2つの回転体は、第1~第3リンク機構11にそれぞれ対応する第1~第3回転体2a~2cである。
【0071】
前記パラレルリンク機構200は少なくとも3つのリンク機構11のうちの第3リンク機構11aに接続された第3回転体2aをさらに備える。制御装置100は、情報が与えられると、第1回転体2bの回転角度ωb、第2回転体2cの回転角度ωcに加え、第3回転体2aの回転角度ωaを決定するように構成される。
【0072】
このように、実施の形態2では、回転体として3つの回転体2a~2cを設けているので、折れ角θ1、旋回角θ2に加えて回転角αの3自由度でパラレルリンク機構200を動かすことができる。
【0073】
好ましくは、
図14で説明したように、制御装置100は、目標の法線ベクトルを示す情報が与えられた時点の第3回転体2aの回転角度では情報が示す法線ベクトルが示す折れ角θ1が実現できない場合には、(S22でYES)、第1回転体2aの回転角度ωaを変更して、折れ角θ1を実現するように回転体2a~2cの回転角度ωa~ωcを決定する(S23,S24)。
【0074】
さらに好ましくは、制御装置100は、第1回転体2aの回転角度を変更する場合には、第2リンクハブ3に取り付けられたエンドエフェクタに対する回転処理(S25)を併せて実行するように構成される。
【0075】
このように、実施の形態2のリンク作動装置では、パラレルリンク機構200の先端側の第2リンクハブ3の姿勢を指示された姿勢に一致させるために、制御装置100が
図14で説明したようにアクチュエータを駆動する。これによって、どの旋回角θ2の方向に対しても折れ角θ1の稼働範囲を広くすることができる。
【0076】
[実施の形態3]
実施の形態1および2では、回転体2a~2cがアクチュエータ111~113によって駆動された。たとえば、中空の回転軸などを使用して2つの回転体を回転させることができる。これに対して実施の形態2では、アクチュエータとして、姿勢制御用駆動源35a~35cを基端側の第1リンクハブに取り付けた例を説明する。なお、アクチュエータの制御については、実施の形態1または実施の形態2で説明した方法を適用するので、ここでは説明は繰り返さない。
【0077】
図15は、実施の形態3に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
図15に示したリンク作動装置1001は、基本的には
図1~
図14に示したパラレルリンク機構200を利用したリンク作動装置である。
図15に示したリンク作動装置1001は、パラレルリンク機構200と、当該パラレルリンク機構200を駆動するための姿勢制御用駆動源35a~35cとを主に備える。
【0078】
図15に示したリンク作動装置1001においては、基端側の第1リンクハブ1が回転体2a~2cの外周より外側にまで延びるように形成されている。つまり基端側の第1リンクハブ1の平面視における大きさは回転体2a~2cの平面視における大きさより大きくなっている。基端側の第1リンクハブ1の平面形状は、
図15に示すような円形状であってもよいが、他の任意の形状、たとえば四角形や三角形などの多角形状であってもよく、楕円形状などでもよい。基端側の第1リンクハブ1には3つの姿勢制御用駆動源35a~35cが固定部36a~36cを介して固定されている。姿勢制御用駆動源35a~35cとしては、たとえば電動モータなどを用いることができる。
【0079】
姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転体2a~2cと歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して駆動力を伝達可能に接続されている。姿勢制御用駆動源35a~35cは、平面視において回転中心軸12を中心として周方向に実質的に等間隔に配置されている。なお、姿勢制御用駆動源35a~35cの配置は上記周方向において異なる間隔で配置されていてもよい。
【0080】
具体的には、姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部に歯車38が接続されている。また回転体2a~2cの外周部には回転伝達部材37a~37cがネジなどの固定部材47により固定されている。回転伝達部材37a~37cは、外周部に歯車部を有する円環状の部材である。なお、回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材37a~37cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。
【0081】
回転伝達部材37a~37cの歯車部は姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸に接続された歯車38と噛み合っている。姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸が回転することにより、歯車38および回転伝達部材37a~37cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。
【0082】
回転体2a~2cにはリンク機構11の第1リンク部材4a~4cが固定部材46としてのネジにより固定されている。回転体2a~2cが姿勢制御用駆動源35a~35cにより回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側の第2リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0083】
以上説明したように、実施の形態3に係るリンク作動装置1001は、パラレルリンク機構200と、姿勢制御用駆動源35a~35cとを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側の第1リンクハブ1に対する先端側の第2リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。
【0084】
この場合、姿勢制御用駆動源35a~35cが複数のリンク機構11を個別に制御することで、先端側の第2リンクハブ3を広範囲かつ精密に動作させることができる。また、上記のようなパラレルリンク機構を用いることで、軽量かつコンパクトなリンク作動装置を実現できる。
【0085】
上記リンク作動装置は、少なくとも3つの回転体2a~2cに接続された回転伝達部材37a~37cを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、回転伝達部材37a~37cを介して少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させる。この場合、回転体2a~2cに別部材としての回転伝達部材37a~37cを設置するので、回転伝達部材37a~37cの材質を回転体2a~2cの材質とは独立して選択できる。
【0086】
なお、実施の形態3においても実施の形態1のように回転体のうち1つを固定して使用する場合には、回転体を1つ削除し、基端側の第1リンクハブ1に1つの第1リンク部材を固定しても良い。
【0087】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 第1リンクハブ、2a~2c 回転体、3 第2リンクハブ、4a~4c 第1リンク部材、6a~6c 第2リンク部材、7,17 ボルト、8,18 ナット、9 ワッシャ、11,11a~11c リンク機構、12,15a~15c,16a~16c 回転中心軸、19,29 回転抵抗低減部材、25a~25c 第1回転対偶部、26a~26c 第2回転対偶部、30 球面リンク中心点、31 先端側リンクハブ中心軸、35a~35c 姿勢制御用駆動源、36a~36c 固定部、37a~37c 回転伝達部材、38 歯車、46,47 固定部材、56 ネジ、100 制御装置、101 教示部、102,104 変換部、103 駆動部、105 手動操作部、106 記憶部、107 表示部、111~113 アクチュエータ、121~123 回転角検出部、200 パラレルリンク機構、1000,1001 リンク作動装置。