IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鈴健興業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-流体放出機 図1
  • 特許-流体放出機 図2
  • 特許-流体放出機 図3
  • 特許-流体放出機 図4
  • 特許-流体放出機 図5
  • 特許-流体放出機 図6
  • 特許-流体放出機 図7
  • 特許-流体放出機 図8
  • 特許-流体放出機 図9
  • 特許-流体放出機 図10
  • 特許-流体放出機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】流体放出機
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20240318BHJP
   B05B 15/652 20180101ALI20240318BHJP
   F16L 27/087 20060101ALI20240318BHJP
   F16L 37/23 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E04G23/08 Z
B05B15/652
F16L27/087
F16L37/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020129035
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025876
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503116073
【氏名又は名称】鈴健興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康修
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-012891(JP,A)
【文献】特開平06-280403(JP,A)
【文献】特開2015-227568(JP,A)
【文献】特開2009-287214(JP,A)
【文献】特開2003-172033(JP,A)
【文献】特開2000-088165(JP,A)
【文献】特開2000-104873(JP,A)
【文献】実開昭57-083986(JP,U)
【文献】特開2021-008735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
B05B 15/652
F16L 27/087
F16L 37/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象物の作業箇所に対して粉塵の発生を抑制可能な流体を放出する流体放出機において、
前記流体放出機は、前記流体を放出する放出ノズルと、該放出ノズルに連通し該放出ノズルと一体的に回転する本体回転側ボディと該本体回転側ボディを回転可能に支持する本体固定側ボディとを備える本体スイベルジョイント構造体と、該本体固定側ボディに対して相対的に前記本体回転側ボディを電動で回転駆動する本体回転駆動体と、該本体固定側ボディと連結する第1流路部材と前記本体回転側ボディの回転軸に沿って該第1流路部材に脱着可能に嵌合する第2流路部材とを有する流体継手構造体と、を備え、
前記第1流路部材は外周部に一体的に設けられる第1係合部を備え、前記第2流路部材は外周部に一体的に設けられ、該第1係合部に当接可能な第2係合部を備え、
前記第1流路部材と前記第2流路部材とが嵌合した際には、前記第1係合部と前記第2係合部との当接により、該第1流路部材に対する該第2流路部材の相対的な回転が係止される
ことを特徴とする流体放出機。
【請求項2】
請求項1において、
前記本体スイベルジョイント構造体と、前記本体回転駆動体と、を収納し、前記本体回転側ボディと一体的に回転するケーシングを備え、
前記第1流路部材の先端部は、該ケーシングの外形の接線よりも内側に位置することを特徴とする流体放出機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1流路部材は外側面に凹部を備えるプラグを備え、
前記第2流路部材は該プラグが嵌入された際に該プラグとの密閉が可能なOリングを内側面に備えるソケットを備え、
該ソケットは、更に、前記凹部に配置可能な1以上のボールと、該1以上のボールを移動可能に保持する支持孔と、外側面に沿って変位可能に配置され、自身の内側面で該1以上のボールを押圧するリング部と、を備え、
該リング部の変位によって該1以上のボールの間の距離が変化し、前記第1流路部材と前記第2流路部材との脱着状態が制御されることを特徴とする流体放出機。
【請求項4】
請求項3において、
前記プラグの前記第1係合部からの突出量と前記ソケットの前記第2係合部からの突出量との合計はゼロよりも大きいことを特徴とする流体放出機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、更に、
前記第2流路部材を支持する支持部材を備え、
該支持部材は、前記回転軸に沿う前記第2流路部材の下方に配置される支持軸と、該支持軸に展開可能に連結された3本以上の脚部と、を備えることを特徴とする流体放出機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、更に、
前記放出ノズルに連通して支持するノズル回転側ボディと、該ノズル回転側ボディを回転可能に支持し前記本体回転側ボディに連通するノズル固定側ボディと、を有するノズルスイベルジョイント構造体と、該ノズル固定側ボディに対して相対的に前記ノズル回転側ボディを電動で回転駆動するノズル回転駆動体と、を備え、
前記ノズル回転側ボディの回転軸と前記本体回転側ボディの回転軸とは、互いに直交することを特徴とする流体放出機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、更に、
前記放出ノズルに連通し、前記本体回転側ボディからの前記流体の流量を制限する開閉弁と、該開閉弁を電動で駆動する弁回転駆動体と、を備えることを特徴とする流体放出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体放出機に関する。
【背景技術】
【0002】
土木作業や建設作業、解体作業などが行われる作業現場は、その作業の性質上、作業によって粉塵等(以降、粉塵と称す)が発生することが多い。特に、建築物(解体対象物)の(全部または一部の)解体作業においては作業箇所における粉塵の発生が避けられない。粉塵に対する対策を怠れば、作業環境の悪化もさることながら、粉塵が周囲に飛散し現場周辺で生活する住民に不快感、場合によっては健康被害を与えることにもなる。そこで、解体作業に伴う粉塵の飛散を抑制するための様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1に示す流体放出機を有する粉塵抑制システムは、特に、遠隔操作で流体放出機の放出ノズルの方向を2つの電動回転装置で制御し、かつ流体の放出量を開閉弁で制御することで、作業現場の作業箇所に、流体を効率的かつ的確に放出するようにしている。
【0004】
このため、特許文献1の流体放出機を用いることで、解体作業に伴う粉塵の飛散を抑制するための散水する作業者も不要にできる。つまり、解体作業を行う作業機械の近傍に作業者を配置する必要なく、作業者を粉塵に曝すことも抑制でき、作業現場において節水をしながら作業者の作業環境をより安全にすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-227568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1で示す流体放出機では、放出ノズルに接続されている配管が屈曲可能とされていることで、放出ノズルの回転傾斜が可能となっている。しかし、逆に、配管内の流体の圧力状態が変わると、放出ノズルの方向を制御するための電動回転装置にかかる負荷が大きく変動する。そこで、本発明者は、放出ノズルに接続されている配管をすべて剛体で構成し、放出ノズルの傾斜と回転を担保するためにスイベルジョイントを用いることで、電動回転装置にかかる負荷の変動を低減し、低消費電力化と小型・軽量化とが達成可能となるよう検討している。
【0007】
しかしながら、流体放出機は、流体をある程度の範囲に放出するために、相応の大きさが必要である。更には、流体放出機を使用するのが平坦でない移動に制限のある作業現場であることから、可搬性も向上させることが必要とされていた。
【0008】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべくなされたもので、低消費電力化が可能でありながら、相応の小型・軽量化を達成しつつ高い可搬性を有することが可能な流体放出機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、作業対象物の作業箇所に対して粉塵の発生を抑制可能な流体を放出する流体放出機において、前記流体放出機が、前記流体を放出する放出ノズルと、該放出ノズルに連通し該放出ノズルと一体的に回転する本体回転側ボディと該本体回転側ボディを回転可能に支持する本体固定側ボディとを備える本体スイベルジョイント構造体と、該本体固定側ボディに対して相対的に前記本体回転側ボディを電動で回転駆動する本体回転駆動体と、該本体固定側ボディと連結する第1流路部材と前記本体回転側ボディの回転軸に沿って該第1流路部材に脱着可能に嵌合する第2流路部材とを有する流体継手構造体と、を備え、前記第1流路部材が外周部に一体的に設けられる第1係合部を備え、前記第2流路部材が外周部に一体的に設けられ、該第1係合部に当接可能な第2係合部を備え、前記第1流路部材と前記第2流路部材とが嵌合した際には、前記第1係合部と前記第2係合部との当接により、該第1流路部材に対する該第2流路部材の相対的な回転が係止されることにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
本発明においては、放出ノズルに連通し放出ノズルと一体的に回転する本体回転側ボディと本体回転側ボディを回転可能に支持する本体固定側ボディとを備える本体スイベルジョイント構造体と、本体固定側ボディに対して相対的に本体回転側ボディを電動で回転駆動する本体回転駆動体と、を備える。即ち、流体の圧力変動は本体回転側ボディの回転軸方向にかかる状態となるので、本体スイベルジョイント構造体の回転軸周りではあまりその圧力変動の影響がでない。このため、本体固定側ボディに対して相対的に本体回転側ボディを回転駆動する本体回転駆動体への負荷は、流体の圧力変動があっても、変動が少なく、本体回転駆動体へ供給する電力のマージンや本体回転駆動体の出力規模を必要最小限にすることが可能となる。同時に、本発明においては、流体継手構造体は、本体固定側ボディと連結する第1流路部材と、第1流路部材に脱着可能に嵌合する第2流路部材と、を備える。つまり、流体継手構造体を採用していることで、流体放出機では流体の流れる流路も分割でき、分割して保管や運搬をすることができる。そして、第1流路部材と第2流路部材とが嵌合した際には、第1流路部材の外周部に一体的に設けられる第1係合部と第2流路部材の外周部に一体的に設けられる第2係合部との当接により、第1流路部材に対する第2流路部材の相対的な回転が係止される。つまり、流体継手構造体を採用してもこの部分で不意に回転してしまうことを防止できるので、本体回転駆動体による放出ノズルの回転を安定して実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低消費電力化が可能でありながら、相応の小型・軽量化を達成しつつ高い可搬性を有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る粉塵抑制システムを作業現場に用いた一例を示す側面図
図2図1の粉塵抑制システムの模式図(流体放出機の正面図(A)、流体放出機の側面図(B)、圧送機構の模式図(C))
図3図2の流体放出機のケーシング等を透明視した際の上面図
図4図2の流体放出機のケーシング等を透明視した際の底面図
図5図2の流体放出機のケーシング等を透明視した際の正面図
図6図2の流体放出機の流体継手構造体を示す図(第1流路部材と第2流路部材とを接続した図(A)、第1流路部材と第2流路部材とを切り離した図(B))
図7図2の流体放出機の流体継手構造体の第1流路部材を示す図(断面図(A)、下面図(B))
図8図2の流体放出機の流体継手構造体の第2流路部材を示す図(断面図(A)、下面図(B))
図9図2の流体放出機の流体継手構造体を示す断面図(プラグがソケットに嵌入し始めたところであって、まだ第1係合部に第2係合部が嵌入していない図(A)、プラグとソケットが完全に結合した図(B))
図10図2の流体放出機の部分構成図(放出ノズル周辺の構成を示す側面図(A)、開閉弁周辺の構成を示す側面図(B))
図11図2の流体放出機の部分構成図(ケーシングを回転させる第2回転機構を示す上面図(A)、ケーシングを回転させる第2回転機構を示す側面図(B)、第2回転機構のプーリとワイヤとの関係を示す側面図(C))
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0014】
最初に、本実施形態に係る粉塵抑制システム120が使用される作業現場について説明する。
【0015】
作業現場100には、図1に示す如く、周囲に足場106が組まれ、足場106の外側に養生シート108が取り付けられている。足場106の内側の作業現場100には作業対象物である建築物104が位置している。建築物104では、後述する粉塵抑制システム120の流体放出機122から散布された流体BBの被覆した部分(包囲部分)である作業箇所102が、作業機械110で解体される。作業機械110は、例えば、無限軌道で方向自在に移動可能とされている。作業機械110には運転室112が設けられている。運転室112から、アーム体114の先端に設けられた作業アタッチメント116と、無限軌道と、を自在に操作することができる(運転室112では、作業者あるいは遠隔操作されたロボットが作業機械110を操作する)。本実施形態では、作業アタッチメント116は圧砕機であり、作業機械110はいわゆる「クラッシャー」とされている。なお、運転室112に持ち込まれた送信機(不図示)で流体放出機122を遠隔制御することができる(送信機は、運転室112の外部で、操作されていてもよい)。なお、作業箇所102は、作業アタッチメント116が建築物104に直接的に接する部分を含むとともに、作業アタッチメント116による解体によって粉塵が直接的に発生する箇所をいう。流体BBは、水でもよいし、気泡を含む流動性のある泡状物を含むことができる。
【0016】
次に、本発明に係る粉塵抑制システム120の概略構成について説明する。
【0017】
粉塵抑制システム120は、図1に示す如く、1台以上の流体放出機122と、圧送機構170と、を有している。流体放出機122は、遠隔操作によって建築物104の作業箇所102に対して粉塵の発生を抑制可能な流体BBを放出する。例えば、流体放出機122は、図2(A)、(B)に示す如く、足場106あるいは建築物104上に配置される支持部材126と、支持部材126に支持される回転軸Rz回りに回転可能な回転部材124と、を備える(なお、符号145は、回転部材124に取り付けられた把手である)。回転部材124は、Z方向で短くX方向あるいはY方向に長い略直方体形状となっている。そして、回転部材124は、図3図4図5に示す如く、板状金属材で枠形状とした(破線で示す)フレーム体144の外側に(破線で示す)ケーシング142を備え、内側に、本体スイベルジョイント構造体130と、開閉弁134と、本体回転駆動体151と、弁回転駆動体159と、制御装置164と、を収納している(すなわち、ケーシング142は、本体スイベルジョイント構造体130と、本体回転駆動体151と、を収納している)。図3に示す如く、ノズルスイベルジョイント構造体138と、放出ノズル140とは、ケーシング142の外部に配置され、回転部材124に支持されるノズル回転駆動体147により回転駆動される(すなわち、流体放出機122は、支持部材126と、流体継手構造体129と、本体スイベルジョイント構造体130と、開閉弁134と、ノズルスイベルジョイント構造体138と、放出ノズル140と、ノズル回転駆動体147と、本体回転駆動体151と、弁回転駆動体159と、制御装置164と、を備える。
【0018】
なお、流体放出機122における流体BBの流路は、図2(A)、(B)で示す如く、流路構成体128で構成される。流路構成体128は、図2(A)、(B)、図3図4図5に示す如く、T型配管128Bと、流体継手構造体129と、本体スイベルジョイント構造体130と、開閉弁134と、ノズルスイベルジョイント構造体138と、放出ノズル140と、を備える。このうち、流体継手構造体129の部分で回転部材側と支持部材側とが(ワンタッチで)脱着可能とされ、流路構成体128は回転部材側と支持部材側とに分離可能となっている。
【0019】
圧送機構170は、図2(C)に示す如く、流体放出機122に高圧水あるいは泡状物の成分を圧送する。圧送機構170は、水あるいは泡状物の成分を貯蔵するタンク部170Bと、水あるいは泡状物の成分を圧縮するポンプ部170Aと、を備える。タンク部170Bとポンプ部170A、ポンプ部170Aと流体放出機122はそれぞれ、樹脂製のフレキシブルな配管T1、T2で連結されている。
【0020】
なお、流体放出機122を遠隔操作する図示せぬ送信機は、携帯可能な形状とされており、流体BBを放出する放出ノズル140の方向を上下左右方向に変更し、且つ流体BBの放出量を制御できるようにされている。更に、送信機は、流体放出機122による流体BBの放出範囲を定めて、自動でその範囲に流体BBを放出するように設定することが可能とされている。本実施形態では、1台の送信機で、最大で16台の流体放出機122を遠隔操作可能としている。
【0021】
以下に、各構成要素について詳細に説明する。
【0022】
支持部材126は、図5に示す如く、T型配管128Bを介して流体継手構造体129の第2流路部材129Aを支持し、回転軸Rzに沿う第2流路部材129Aの下方に配置される支持軸126Aと、支持軸126Aに展開可能に連結された4本の脚部126Bと、を備える。支持軸126Aは、略円柱形状の下端部に4回対称で対となる取付部126AAを備える(つまり、図4に示すように、取付部126AAは、合計8つ設けられている)。対となる取付部126AAの間に脚部126Bは配置され、脚部126Bに設けられた図示せぬ孔にボルトBtが挿通される。このため、脚部126Bは回動可能であり、脚部126Bの他端部(ここでは、弾性部材Esの被覆がなされている部分)が互いに接近離間可能となっている。支持軸126Aは、例えば樹脂を成形したものであり、上部に配置されるT型配管128Bを固定するためのねじ穴が設けてある。なお、脚部126Bは、アルミ合金による中空の直方体である(なお、これに限らず、脚部は、3本以上であればよいし、アルミ合金ではなく、より軽量化するために、グラスファイバー等の樹脂でできた部材でもよいし、鉄棒などを用いてもよい)。
【0023】
T型配管128Bは、例えば、鉄を主成分とするものである。図5に示す如く、支持軸126Aに接続される側は雄ねじのプラグで流体BBが遮断されており、回転軸Rzから径方向に延在する部分が流体導入口128Aとなっている(流体導入口128Aに配管T2が接続される)。
【0024】
T型配管128Bの上方には、図5に示す如く、流体継手構造体129が連結されている。流体継手構造体129は、本体スイベルジョイント構造体130の本体固定側ボディ130Aと連結する第1流路部材129Bと、本体固定側ボディ130Aの中心軸(本体回転側ボディ130Bの回転軸Rz)に沿って第1流路部材129Bに脱着可能に嵌合する第2流路部材129Aと、を有する。ここで、図6(A)には第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとが嵌合した状態を示し、図6(B)には第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとが離間した状態を示す。
【0025】
まず、図7(A)、(B)を用いて、第1流路部材129Bを説明する。第1流路部材129Bは、ベース部129BAと、プラグ129BBと、第1係合部129BEと、を備える。ベース部129BAは、第1流路部材129Bの外周部であり、プラグ129BBの周囲に一体的に設けられている。プラグ129BBは、外側面に凹部129BDを備える。なお、プラグ129BBは、ベース部129BAと一体化されている部分以外のZ方向断面形状は円環形状とされている。
【0026】
第1係合部129BEは、図7(A)、(B)に示す如く、ベース部129BAと一体的に成形された2つの筒状の突出部分である(言い換えれば、第1流路部材129Bは、外周部に一体的に設けられる第1係合部129BEを備える)。2つの第1係合部129BEは、回転軸Rzに対して対称な位置(互いに回転軸Rzに対して位相が180度異なる)であって、回転軸Rz方向に沿って設けられている。そして、第1係合部129BEの内側には、凹部129BFが設けられている。ここで、符号Z1は、プラグ129BBの第1係合部129BEからの突出量とされている。即ち、本実施形態では、プラグ129BBが第1係合部129BEよりも突出している状態である。なお、図6(A)、(B)、図7(A)、図9(A)、(B)に示す破線OLは、ケーシング142の外形の接線を示す。つまり、第1流路部材129Bの先端部129BCは、ケーシング142の外形の接線OLよりも内側に位置する。
【0027】
次に、図8(A)、(B)を用いて、第2流路部材129Aを説明する。第2流路部材129Aは、ベース部129AAと、ソケット129ABと、第2係合部129AIと、を備える。ベース部129AAは、第2流路部材129Aの外周部であり、ソケット129ABの周囲に一体的に設けられている。ソケット129ABは、図8(A)、(B)、図9(A)、(B)に示す如く、プラグ129BBが嵌入された際にプラグ129BBとの密閉が可能なOリング129ADを内側面に備える。また、ソケット129ABは、更に、1以上(ここでは4つ)のボール129AFと、1以上のボール129AFを移動可能に保持する支持孔129AEと、(例えば、図8(A)の白抜き矢印で示す方向で)外側面に沿って変位可能に配置され、自身の内側面129AHIで複数のボール129AFを押圧するリング部129AHと、を備える。このため、図9(B)に示す如く、リング部129AHが上昇している際に、リング部129AHの内側面129AHIで1以上のボール129AFをプラグ129BBの凹部129BD(図7(A)参照)に押圧している状態となり、ソケット129ABからプラグ129BBを引く抜くことができない構造となる。逆に、図9(A)に示す如く、リング部129AHが下降している際に、リング部129AHの内側面129AHI(図8(A)参照)では1以上のボール129AFをプラグ129BBの凹部129BDに押圧していない状態となり、ソケット129ABからプラグ129BBを引く抜くことができる構造となる。つまり、リング部129AHの変位によって1以上のボール129AFの間の距離が変化し、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとの脱着状態が制御されることとなる。
【0028】
なお、ソケット129ABは、図8(A)、(B)に示す如く、ベース部129AAと一体化されている部分とボール129AFのある部分以外のZ方向断面形状は円環形状とされている。ここで、符号129ACは、プラグ129BBの先端部129BCを停止させる止め部である。そして、符号129AGは、ソケット129ABとリング部129AHとの間に配置され、リング部129AHを回転軸Rzの上側に絶えず押圧するコイルばねを示している(コイルばね129AGは、リング部129AHを絶えず上昇した状態としている)。
【0029】
第2係合部129AIは、図8(A)、(B)に示す如く、ベース部129AAに固定された2つの突出部分である(言い換えれば、第2流路部材129Aは、外周部に一体的に設けられる第2係合部129AIを備える)。2つの第2係合部129AIは、図8(B)に示す如く、回転軸Rzに対して対称な位置(互いに回転軸Rzに対して位相が180度異なる)であって、回転軸Rz方向に沿って設けられている。そして、第2係合部129AIの位置は、第1係合部129BEの凹部129BFに対応している。第2係合部129AIは、図9(B)に示す如く、第1係合部129BEの凹部129BFの内側に嵌入可能とされている。第2係合部129AIは、例えば、ボルトのねじ部分であり、ナットNtでベース部129AAに固定されている(第2係合部は、必ずしもボルトである必要はなく、丸棒形状のものでよい)。なお、図8(A)に示す符号Z2は、ソケット129ABの第2係合部129AIからの突出量とされている。即ち、本実施形態では、ソケット129ABが第2係合部129AIよりも突出している状態である。
【0030】
このため、まず、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとを連結させる際には、図9(A)に示す如く、ソケット129ABのリング部129AHを指などで下方に押し下げ、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとを接近させていく。すると、第1係合部129BEよりもプラグ129BBが突出しており、かつ第2係合部129AIよりもソケット129ABが突出していることから、図9(A)に示す如く、第1係合部129BEに第2係合部129AIが嵌入するよりも先に、プラグ129BBがソケット129ABに嵌入する。そして、プラグ129BBの凹部129BD(図7(A)参照)にボール129AFがはまり込む状態までプラグ129BBがソケット129ABに嵌入された際には、図9(B)に示す如く、第1係合部129BEの凹部129BFに第2係合部129AIが遊嵌する。ここで、プラグ129BBは、ソケット129ABに嵌入される部分において、回転対称の形状とされている。このため、ソケット129ABに対してプラグ129BBは自在に回転しようとする。しかし、その際には第1係合部129BEの凹部129BFに第2係合部129AIが当接することで、ソケット129ABに対するプラグ129BBの回転が防止されることになる。すなわち、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとが嵌合した際には、第1係合部129BEと第2係合部129AIとの当接により、第1流路部材129Bに対する第2流路部材129Aの相対的な回転が係止される構成となっている。
【0031】
なお、第1係合部129BEの凹部129BFが、第1係合部129BEの先端部では広くされ、奥に行くにしたがって狭まっている場合には、第1係合部129BEに第2係合部129AIを嵌入しやすく、流体継手構造体129が結合した際には第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとの間の回転ガタは少なくなる。つまり、この場合には、流体継手構造体129の脱着がよりスムーズに行え、かつ、支持部材126に対する回転部材124の回転制御をより正確に行うことができる(なお、第2係合部129AIの先端が細く、根元が太くなっている場合には、よりこの効果を顕著にすることができる)。
【0032】
本体スイベルジョイント構造体130は、図3に示す如く、第1流路部材129Bに固定される本体固定側ボディ130Aと、ケーシング142に固定され、本体固定側ボディ130Aの中心軸(回転軸Rz)周りに回転可能とされた本体回転側ボディ130Bと、を備える(即ち、流路構成体128のうち、T型配管128B、流体継手構造体129及び本体固定側ボディ130Aが支持部材126に支持され、本体回転側ボディ130B、開閉弁134、ノズルスイベルジョイント構造体138及び放出ノズル140が回転部材124に支持・固定されている。また、本体回転側ボディ130Bとケーシング142とは一体的に回転することとなる)。本体回転側ボディ130Bは、開閉弁134を介して放出ノズル140に連通し放出ノズル140と一体的に回転する。本体固定側ボディ130Aは、本体回転側ボディ130Bを回転可能に支持する。
【0033】
図3図4に示す開閉弁134は、例えばボール弁であり、ノズルスイベルジョイント構造体138を介して放出ノズル140に連通し、開閉軸134Aの(回転軸Rbを中心とした)回転により、本体回転側ボディ130Bからの流体BBの流量を制限する。
【0034】
ノズルスイベルジョイント構造体138は、図3図4に示す如く、放出ノズル140に連通して支持するノズル回転側ボディ138Bと、ノズル回転側ボディ138Bを回転可能に支持し開閉弁134を介して本体回転側ボディ130Bに連通するノズル固定側ボディ138Aと、を有する。放出ノズル140は、ノズル回転側ボディ138Bに取り付けられ、流体BBを放出する。そして、ノズル回転側ボディ138Bの回転軸Rnと本体回転側ボディ130Bの回転軸Rzとは、互いに直交する構成となっている。
【0035】
ノズル回転駆動体147は、図3に示す如く、第1電動直動機構148と、第1回転機構149と、を備え、ノズル固定側ボディ138Aに対して相対的にノズル回転側ボディ138Bを電動で回転駆動する。第1電動直動機構148は、図3に示す如く、取付部148Aと、モータ部148Bと、接続部148Cと、シリンダ部148Dと、可動部148Eと、を備える。取付部148Aは図示せぬ貫通孔を有し、接続部148Cの端部に設けられている。これにより、第1電動直動機構148は、フレーム体144に一端が取り付けられた支持ロッド146Aに軸支されている。なお、符号144Aは、支持ロッド146Aのもう一端を支持するための止め部である。
【0036】
モータ部148Bは、例えば電動モータとされている。そして、接続部148Cには例えばエンコーダが収納されている。そして、シリンダ部148Dにはボールねじが収納されており、電動モータの回転はエンコーダで読み取られ、その回転がボールねじの回転に変換される。可動部148Eは、ボールねじの回転によって、移動軸On方向に直線移動可能とされている。
【0037】
第1回転機構149は、図10(A)に示す如く、連結部149Aと、ロッド部149Bと、ピン保持部149Cと、レバー部149Dと、ピン149Eと、を備える。連結部149Aは、可動部148Eの先端に固定され、可動部148Eと一体で移動する。ロッド部149Bは、連結部149Aに支持される棒状部材であり、連結部149Aと一体で移動する。ピン保持部149Cは、ピン149Eをロッド部149Bと一体的に移動させるための部材である。レバー部149Dは、ノズルスイベルジョイント構造体138のノズル回転側ボディ138Bに設けられた板状部材であり、ピン149Eでピン保持部149Cに連結されている。
【0038】
本体回転駆動体151は、図3に示す如く、第2電動直動機構152と、第2回転機構153と、を備え、本体固定側ボディ130Aに対して相対的に本体回転側ボディ130Bを電動で回転駆動する。第2電動直動機構152は、第1電動直動機構148とほぼ同一の構成であり、図11(A)に示す如く、取付部152Aと、モータ部152Bと、接続部152Cと、シリンダ部152Dと、可動部152Eと、を備える。このため、第2電動直動機構152の説明は省略する。なお、取付部152Aにより、第2電動直動機構152は、フレーム体144に一端が取り付けられた支持ロッド146Cに軸支されている。
【0039】
第2回転機構153は、図11(A)、(B)に示す如く、連結部153Aと、ピン153Bと、ガイドレール153Cと、止め部153D、153Hと、フック153Eと、ワイヤ153Fと、プーリ153Gと、を備える。連結部153Aは、可動部152Eの先端に固定され、可動部152Eと一体で移動する。ピン153Bは、ガイドレール153Cの一端を連結部153Aに回動可能に取り付け、かつワイヤ153Fを保持する。ガイドレール153Cは、図5に示す如く、断面がコの字形状の部材であり、プーリ153Gの外周の一部を挟み込む形態で連結部153A上に配置される。止め部153Dは、ピン153Bに係止されたワイヤ153Fを牽引するフック153Eを係止する部材である。フック153Eの一端は、ワイヤ153Fを吊持可能とするU字形状とされており、もう一端はナットNtが螺合可能な螺子とされている。このため、可動部152Eの移動軸Orは、フック153Eとピン153Bとを結ぶ直線の方向とほぼ平行である。そして、止め部153Dの外側からナットNtをフック153Eの螺子の部分に螺合させることで、プーリ153Gを経由し、ピン153Bとフック153Eとの間に配置されたワイヤ153Fの張力を自在に調整することができる。即ち、ワイヤ153Fは、ガイドレール153C上で可動部152Eの移動軸Orに沿って所定の張力で保持されている状態となる。ここで、所定の張力は、ワイヤ153Fにたるみが出ない状態で、プーリ153Gを相対回転(ケーシング142を支持部材126に対して回転)させることができる張力をいうものとする。なお、ワイヤ153Fは、金属製である(樹脂製でもよいし、チェーンやベルトでもよい)。
【0040】
ここで、プーリ153Gは、図11(A)に示す如く、本体スイベルジョイント構造体130の本体固定側ボディ130Aに固定されている。プーリ153Gは、円盤形状であり、2つの溝部Tr1、Tr2を外周全てに備えている(図11(B)、(C);ただし、止め部153Hの設けられた一箇所で溝部Tr1、Tr2が1つになっている)。2つの溝部Tr1、Tr2それぞれでワイヤ153Fが係脱することで、ワイヤ153F同士の引っかかりが防止され、プーリ153Gの相対的な回転をスムーズに実現している。なお、ワイヤ153Fは、溝部Tr1、Tr2の全周回りに配置され、交差する形態とされている。プーリ153Gに対するガイドレール153Cに保持されたワイヤ153Fは、図11(A)に示す如く、プーリ153Gの接線となるようにされている。このため、ワイヤ153Fの必要長さを最小とすることができ、ワイヤ153Fの不用意なたるみを防止することができる。
【0041】
弁回転駆動体159は、図3に示す如く、第3電動直動機構160と、第3回転機構162と、を備え、開閉弁134を電動で駆動する。第3電動直動機構160は、第1電動直動機構148とほぼ同一の構成であり、図3に示す如く、取付部160Aと、モータ部160Bと、接続部160Cと、シリンダ部160Dと、可動部160Eと、を備える。このため、第3電動直動機構160の説明も省略する。なお、取付部160Aにより、第3電動直動機構160は、フレーム体144に一端が取り付けられた支持ロッド146Bに軸支されている。なお、符号144Bは、支持ロッド146Bのもう一端を支持するための止め部である。
【0042】
第3回転機構162は、図10(B)に示す如く、可動部160Eの直線移動を回転運動に変換し、放出ノズル140からの流体BBの放出量を制限する開閉弁134を開閉させる。具体的には、第3回転機構162は、開閉弁134の開閉軸134Aに設けられたレバー部162Cと可動部160Eに固定された連結部162Aとがピン162Bで連結された構成となっている。このため、可動部160Eの移動で、移動軸Obは、支持ロッド146B周りで若干揺動回転することとなる。
【0043】
図3図4に示す制御装置164は、無線部、処理部、駆動部及び電源部を備えている。無線部は図示せぬ送信機からの信号を受信する。処理部は、無線部の制御と無線部で受信した信号をデコードして制御信号として駆動部に出力する。駆動部は、制御信号に応じた駆動信号で、第1、第2及び第3電動直動機構148、152、160を駆動制御する。電源部は、例えば、充電池(外部電源を直流電源に変換する電源アダプターでもよい)であり、流体放出機122で使用する全ての電力を供給する。なお、図2(A)に示す符号164Aは操作パネルである。この操作パネル164Aにより、電源のオンオフ、各流体放出機122が使用する無線周波数の選択、流体の放出範囲の手動設定、及び自動と手動の流体放出の切替を行うことが可能とされている。
【0044】
このように、本実施形態では、第2回転機構153が、可動部152Eの直線移動を回転運動に変換し、本体回転側ボディ130Bを回転変位させる。即ち、流体BBの圧力変動は、本体回転側ボディ130Bの回転軸Rz方向にかかる状態となるので、本体スイベルジョイント構造体130の回転軸Rz周りではあまりその圧力変動の影響が出ない。このため、本体回転駆動体151の第2電動直動機構152への負荷は、流体BBの圧力変動があっても、変動が少なく、本体回転駆動体151へ供給する電力のマージンや本体回転駆動体151の出力規模を必要最小限にすることが可能である。同時に、回転部材124を回転させるのが本体回転駆動体151の第2電動直動機構152なので、回転装置のように回転部材124の方向を制限するためのリミットスイッチを別に設けなくてもよく、低コスト化が可能である。なお、これに限らず、回転部材を回転させるのが第2電動直動機構152と第2回転機構153の組み合わせではなく、回転装置で直接的に回転部材を回転させるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、第2回転機構153が、本体回転側ボディ130Bに支持されたガイドレール153Cと、ガイドレール153Cに取り付けたワイヤ153Fと、本体固定側ボディ130Aに固定されたプーリ153Gと、を備える。そして、第2電動直動機構152が、ワイヤ153Fを移動させることで、本体固定側ボディ130Aに固定されたプーリ153Gを相対的に回転させる構成となっている。このため、ワイヤ153Fの移動距離を長くし、プーリ153Gへのワイヤ153Fの巻き数を増やすことで、容易にプーリ153Gの相対的な回転範囲、即ち支持部材126に対する回転部材124の回転角度を広げることができる。同時に、ワイヤ153Fの直線移動によりプーリ153Gを相対的に回転させて回転部材124を回転させるので、回転装置で回転部材124を直接回転させる際に必要となる軸合わせの手間が不要で、組み立てにかかる工数を大幅に削減することができ、低コスト化を促進することができる。ただし、この場合には、ワイヤ153Fを移動させた際にプーリ153Gにかかるワイヤ153Fの張力によって、プーリ153Gが引っ張られて、回転軸Rzを回転角度に応じた方向に傾斜させようとする力が働く。しかし、本実施形態では、ガイドレール153Cは、断面がコの字形状であり、プーリ153Gを挟む構造となっている。これにより、プーリ153Gの傾きと回転軸Rzの傾きを防止することができるので、回転軸Rzの傾きに起因して生じるおそれのある第2電動直動機構152の上下左右への変位(がたつき)を防止でき、プーリ153Gの安定したスムーズな回転を実現することができる。更には、プーリ153Gの半径は一定であるので、プーリ153Gを回転させるためのトルクは一定とすることができる。なお、これに限らず、第2回転機構がワイヤとプーリとを備えずに、複数の歯車の組み合わせで構成されていてもよい。また、本実施形態では、ワイヤ153Fが、溝部Tr1、Tr2の全周回りに配置され、交差する形態とされている。即ち、ワイヤ153Fがプーリ153Gの全周に巻き付いており、更に、ワイヤ153Fが止め部153Hでプーリ153Gに固定されている。このため、ワイヤ153Fの移動でより確実にプーリ153Gを相対的に回転させることができる。なお、これに限らず、ワイヤが、溝部Tr1、Tr2の一部のみに係合しているだけでもよいし、ワイヤが止め部でプーリに固定されていなくてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、第2電動直動機構152が支持ロッド146Cに回動可能に支持され、プーリ153Gに係合するワイヤ153Fを支持するガイドレール153Cが第2電動直動機構152の可動部152Eに連結された連結部153Aに回動可能に支持されている。このため、移動軸Orとワイヤ153Fの方向が必ずしも平行でなくてよいので、第2電動直動機構152のプーリ153Gに対する位置決めは厳密でなくてもよい。つまり、組み立て時の第2電動直動機構152の位置決めのための工数を少なくでき、流体放出機122をより低コスト化することが可能である。なお、これに限らず、第2電動直動機構とガイドレールとが回動できないように配置されていてもよい。
【0047】
なお、従来の流体継手構造体でも、本実施形態で示したようなプラグとソケットを用いることが一般的である。即ち、従来の流体継手構造体をそのまま使用すると、接合と分離はワンタッチで実現できるものの、接合部分で自在に回転してしまうようになっている。つまり、本実施形態のように、接合後には自在な回転を制限しなければいけない場合には、従来の流体継手構造体は不都合な構成となっていた。
【0048】
しかしながら、本実施形態では、流体継手構造体129は、本体固定側ボディ130Aと連結する第1流路部材129Bと、第1流路部材129Bに脱着可能に嵌合する第2流路部材129Aと、を備える。つまり、流体継手構造体129を採用していることで、流体放出機122では流体BBの流れる流路(流路構成体128)も分割でき、分割して保管や運搬をすることが可能である。そして、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとが嵌合した際には、第1流路部材129Bの外周に一体的に設けられる第1係合部129BEと第2流路部材129Aの外周に一体的に設けられる第2係合部129AIとの当接により、第1流路部材129Bに対する第2流路部材129Aの相対的な回転が係止される。つまり、流体継手構造体129を採用しても、この部分で不意に回転してしまうことを防止できるので、本体回転駆動体151による放出ノズル140の回転軸Rz周りの回転を安定して実現することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1係合部129BEと第2係合部129AIとは、回転軸Rzに対して対称な位置にそれぞれ2つ、設けられている。このため、第1係合部129BEと第2係合部129AIの内側に来るリング部129AHを指で移動させることが極めて容易である。すなわち、流体継手構造体129の脱着を極めて容易に行うことができる。更には、第1係合部129BEと第2係合部129AIとは回転軸Rzに対して180度位相が異なり、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとが対称的な形状となることから、製造も容易でかつ回転部材124に対して、2パターンで支持部材126を取り付けることができる。すなわち、脚部126Bの設置状態を2パターンから選択することができ、流体放出機122をより安定して設置することができる。なお、これに限らず、第1係合部と第2係合部とはそれぞれ、1以上であればよい。例えば、第1係合部と第2係合部とがそれぞれ、3つで、回転軸Rzに対して3回対称の位置に設けられていれば、回転部材に対する脚部の位置を3パターンから選択できるので、さらに安定して流体放出機を設置することができる。
【0050】
また、本実施形態では、本体スイベルジョイント構造体130と、本体回転駆動体151と、を収納し、本体回転側ボディ130Bと一体的に回転するケーシング142を備え、第1流路部材129Bの先端部129BCは、ケーシング142の外形の接線OLよりも内側に位置する。すなわち、流体継手構造体129で、支持部材側と回転部材側とに分離した際には、ケーシング142から第1流路部材129Bが突出することを防止することができる。このため、流体継手構造体129で分離して移動させる際には、第1流路部材129Bの先端部129BCがケーシング142から突出することがなく、可搬性を損なうことを防止することができる。同時に、衝突などが起こりにくくなることで先端部129BCに傷や変形が生じにくくなるので、第2流路部材129Aとの脱着不良や流体漏れなどを防止することが可能となる。なお、これに限らず、第1流路部材の先端部が、ケーシングの外形の接線から外側に位置していてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、第1流路部材129Bがプラグ129BBを備え、第2流路部材129Aがソケット129ABを備え、ソケット129ABが、更に、4つのボール129AFと、支持孔129AEと、リング部129AHと、を備え、リング部129AHの変位によって4つのボール129AFの間の距離が変化し、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとの脱着状態が制御される。すなわち、回転部材側に取り付けられているのがプラグ129BBであり、支持部材側に取り付けてあるのが第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとの脱着状態を制御するリング部129AHを備えるソケット129ABである。ここで、プラグ129BBはソケット129ABよりも短く、構造が簡素であり軽い。このため、支持部材側を分離した際には、回転部材側を軽量化でき、回転部材側をより可搬し易くすることができる。また、ソケット129ABには、プラグ129BBとの密閉を保つためのOリング129ADがあり、密閉性を保つうえでプラグ129BBよりも不具合が生じやすい。このため、ソケット129ABに不具合が生じた際には、回転部材側にソケット129ABがあるよりも、ソケット129ABの交換がし易い。更には、ソケット129ABが回転部材124の内側にあるよりも、回転部材124にソケット129ABを挿入する形態をとり、その際にリング部129AHを下側に移動させるほうが、リング部129AHの移動操作が容易であり、流体継手構造体129を脱着する際の操作性を向上させることができる。
【0052】
なお、これに限らず、第1流路部材がソケットを備え、第2流路部材がプラグを備える形態であってもよい。その際であっても、リング部を上下するだけで流体継手構造体を脱着できるので、いわばワンタッチで回転部材側と支持部材側とに分離することが可能である。勿論、ソケットには、第1流路部材と第2流路部材との脱着状態を制御するリング部が設けられていなくてもよい。例えば、第1流路部材と第2流路部材との脱着状態を制御する構成は、リング部とボールの代わりに、板ばねと板ばねに設けられた突起部とを用いてもよい。あるいは、ソケットではなく、第1係合部と第2係合部との間に、第1流路部材と第2流路部材との脱着状態を制御するような構成を設けてもよい。なお、ボールの数は4つに限らず、1つ以上であればよい。
【0053】
また、本実施形態では、第1係合部129BEよりもプラグ129BBが突出しており、かつ第2係合部129AIよりもソケット129ABが突出している。つまり、プラグ129BBの第1係合部129BEからの突出量Z1とソケット129ABの第2係合部129AIから突出量Z2との合計はゼロよりも大きい。このため、必ずプラグ129BBがソケット129ABに嵌入されてから、第1係合部129BEに第2係合部129AIが嵌入される。即ち、先にプラグ129BBがソケット129ABに嵌入することで、プラグ129BBやソケット129ABに比べて小さい第1係合部129BEに第2係合部129AIを嵌入させるための大まかな位置決めがなされる。このため、第1係合部129BEに第2係合部129AIを嵌入させることが容易となり、第1流路部材129Bと第2流路部材129Aとの連結を容易に行うことができる。なお、本実施形態では、突出量Z1、Z2共にゼロ以上であったが、突出量Z1、Z2の合計がゼロよりも大きければ、同様の効果を奏することができる。なお、これに限らず、突出量Z1、Z2の合計がゼロ以下であってもよい。
【0054】
なお、ソケットとプラグを使用する場合であっても、ソケットの外側面に設けられた凹部がソケットの周方向において、ボールの位置に対応する位置のみに設けられているような構成であってもよい。その場合には、凹部が設けられていないソケットの外側面の部分と凹部との境界部分が第1係合部に相当し、ボールが第2係合部に相当するので、上記実施形態で示した第1係合部129BEと第2係合部129AIの形態を不要としてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、流体放出機122は、第2流路部材129Aを支持する支持部材126を備え、支持部材126が、支持軸126Aと、4本の脚部126Bと、を備える。このため、地面、足場106、および建築物104上に固定することなく、安定して回転部材124を支持することができる。また、4本の脚部126Bが展開可能とされているので、支持部材126を脚部126Bが展開していない状態のコンパクトな形態とすることで、収納性と可搬性(携行性)を高めることができる。そして、脚部126Bの本数が多すぎもしないので、組み立て性も良好である。なお、これに限られることなく、脚部は3本以上であればよい。回転部材の回転反力や放水時の反力を安定して受け止めるために、脚部をより多く使用すれば、脚部が展開した際には脚部の先端同士を結んだ際には円形に近くなるからである。また、脚部は、固定的に展開された状態や、脱着が容易な構成であってもよい。そもそも、流体放出機122は、支持部材を備えずに、例えば、作業現場の足場を構成する各種鉄製パイプを組み合わせることで、支持部材を構成してもよいし、既存の足場などに直接固定されてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、ノズル回転側ボディ138Bと、ノズル固定側ボディ138Aと、を有するノズルスイベルジョイント構造体138と、ノズル回転駆動体147と、を備え、ノズル回転側ボディ138Bの回転軸Rnと本体回転側ボディ130Bの回転軸Rzとは、互いに直交する。このため、放出ノズル140を、直交する2軸周りで回転移動させることができ、放出ノズル140を任意の方向に向けることができる。また、流体BBの圧力変動は、ノズル回転側ボディ138Bの回転軸Rn方向にかかる状態となるので、ノズルスイベルジョイント構造体138の回転軸Rn周りではあまりその圧力変動の影響が出ない。このため、ノズル回転駆動体147の第1電動直動機構148への負荷は、流体BBの圧力変動があっても、変動が少なく、ノズル回転駆動体147へ供給する電力のマージンやノズル回転駆動体147の出力規模を必要最小限にすることが可能である。同時に、放出ノズル140を回転させるのが第1電動直動機構148と第1回転機構149なので、回転装置のように放出ノズル140の方向を制限するためのリミットスイッチを別に設けなくてもよく、低コスト化が可能である。なお、これに限らず、ノズル回転側ボディを回転させるのが第1電動直動機構148と第1回転機構149の組み合わせではなく、回転装置で直接的に回転させるようにしてもよい。また、ノズル回転駆動体が電動でなく手動であってもよい。そもそもノズルスイベルジョイント構造体がなく放出ノズルは回転軸Rz周りで回転するだけであってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、第1回転機構149が、連結部149Aと、ロッド部149Bと、ピン保持部149Cと、レバー部149Dと、ピン149Eと、を備える。そして、第1電動直動機構148が、連結部149Aと一体とされたピン保持部149Cを直線移動させることで、レバー部149Dを回動させる。それにより、ノズル回転側ボディ138Bに固定された放出ノズル140を回転させる構成となっている。このため、回転装置で放出ノズル140を直接回転させる際に必要となる軸合わせの手間が不要で、組み立てにかかる工数を大幅に削減することができ、低コスト化を促進することができる。なお、これに限らず、第1回転機構が複数の歯車の組み合わせで構成されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、開閉弁134と、弁回転駆動体159と、を備える。このため、圧送機構170が複数の流体放出機122に共通に接続されていても、流体放出機122毎に流体放出量を電気的に制御することができる。なお、これに限らず、弁回転駆動体がなく、手動で、開閉弁が開閉されてもよい。そもそも流体放出機は開閉弁を備えていなくてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、弁回転駆動体159は、第3電動直動機構160と第3回転機構162とを備えて、開閉弁134には可動部160Eの移動に対応して回転するレバー部162Cが開閉軸134Aに設けられている。このため、第3回転機構162を簡素な構成とすることができ、小型化と低コスト化とが可能である。同時に、回転装置で開閉軸134Aを回転させる際に必要となる軸合わせの手間が不要で、組み立てにかかる工数を大幅に削減することができ、低コスト化を促進することができる。なお、これに限らず、開閉軸を回転させるのが第3電動直動機構160と第3回転機構162の組み合わせではなく、回転装置で直接的に開閉軸を回転させるようにしてもよい。また、第3回転機構が複数の歯車の組み合わせで構成されていてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、取付部148A、152A、160Aがフレーム体144の一端側(図3では、-Y方向)にのみ配置され、第1電動直動機構148、第2電動直動機構152および第3電動直動機構160がケーシング142内でほぼ同一方向に向いている。このため、第1電動直動機構148、第2電動直動機構152および第3電動直動機構160の性能劣化の要因となる防湿・防塵対策は、フレーム体144の他の一端側(図3では+Y方向)からの侵入に気を付ければよいので、一括して防湿・防塵対策を行うことが容易である。なお、これに限らず、第1電動直動機構、第2電動直動機構および第3電動直動機構のいずれかは、ケーシング内で異なる方向に配置されていてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、流体BBが水あるいは泡状物を含む。このため、流体BBが水の場合には、粉塵の飛散を効果的に低減することができるとともに、流体BBを放出できる範囲を広くでき、流体放出機122の構成を泡状物である場合に比べて簡素にすることができる。また、流体BBが泡状物の場合には、粉塵の飛散を効果的に低減することができるとともに、水を使用する量を大幅に削減でき、粉塵だけでなく臭気も効果的に防止することが可能である。なお、流体BBが泡状物である場合に、圧送機構170が単に水を送り、泡状物の原液が流体放出機122の近傍に配置されているような構成であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、遠隔操作が、1台の送信機から複数の流体放出機122に対してなされる。このため、流体放出機122の操作者を最小限に抑えることができ、かつ複数の流体放出機122を効率的に使用することができる。なお、これに限らず、1台の送信機で1台の流体放出機を操作するようにしてもよい。
【0063】
従って、本実施形態によれば、低消費電力化が可能でありながら、流体放出機122は相応の小型・軽量化を達成しつつ高い可搬性を有することが可能である。
【0064】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0065】
上記実施形態の図1では、流体放出機122が足場106に配置され、圧送機構170が地面に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、流体放出機は作業対象物(地面を含む)の上に単に置いてあるだけでもよいし、圧送機構も流体放出機と同じ位置に隣り合わせに配置されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、作業機械110として所謂「クラッシャー」を例に説明しているが、本発明の適用はこれに限られない。例えば、杭打ち機、杭抜き機、ブルドーザー、トラクターショベル、パワーショベル、バックホー、ドラグライン、クラムシェル、クローラドリル、アースドリル、クレーン、ロードカッター、ブレーカー等に適用しても同様の効果を得ることができる。要するに、土木作業や建設作業、解体作業において、粉塵が発生し得る作業を行う作業機械に対して幅広く適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、土木作業や建設作業、解体作業などの粉塵の発生する作業現場において利用できるが、特に固体構造物の解体作業、補修作業等に好適である。
【符号の説明】
【0068】
100…作業現場
102…作業箇所
104…建築物(作業対象物)
106…足場
108…養生シート
110…作業機械
112…運転室
114…アーム体
116…作業アタッチメント
120…粉塵抑制システム
122…流体放出機
124…回転部材
126…支持部材
126A…支持軸
126AA、148A、152A、160A…取付部
126B…脚部
128…流路構成体
128A…流体導入口
128B…T型配管
129…流体継手構造体
129A…第2流路部材
129AA、129BA…ベース部
129AB…ソケット
129AC、144A、144B、153D、153H…止め部
129AD…Oリング
129AE…支持孔
129AF…ボール
129AG…コイルばね
129AH…リング部
129AH1…内側面
129AI…第2係合部
129B…第1流路部材
129BB…プラグ
129BC…先端部
129BD、129BF…凹部
129BE…第1係合部
130…本体スイベルジョイント構造体
130A…本体固定側ボディ
130B…本体回転側ボディ
134…開閉弁
134A…開閉軸
138…ノズルスイベルジョイント構造体
138A…ノズル固定側ボディ
138B…ノズル回転側ボディ
140…放出ノズル
142…ケーシング
144…フレーム体
145…把手
146A、146B、146C…支持ロッド
147…ノズル回転駆動体
148…第1電動直動機構
148B、152B、160B…モータ部
148C、152C、160C…接続部
148D、152D、160D…シリンダ部
148E、152E、160E…可動部
149…第1回転機構
149A、153A、162A…連結部
149B…ロッド部
149C…ピン保持部
149D、162C…レバー部
149E、153B、162B…ピン
151…本体回転駆動体
152…第2電動直動機構
153…第2回転機構
153C…ガイドレール
153E…フック
153F…ワイヤ
153G…プーリ
159…弁回転駆動体
160…第3電動直動機構
162…第3回転機構
164…制御装置
164A…操作パネル
170…圧送機構
170A…ポンプ部
170B…タンク部
BB…流体
Bt…ボルト
Es…弾性部材
Nt…ナット
Ob、On、Or…移動軸
OL…接線
Rb、Rn、Rz…回転軸
T1、T2…配管
Tr1、Tr2…溝部
Z1、Z2…突出量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11