(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】簡易建物用エアコンシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20240318BHJP
F24F 1/60 20110101ALI20240318BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240318BHJP
F24F 1/0043 20190101ALI20240318BHJP
【FI】
F24F5/00 Z
F24F1/60
F24F13/20
F24F1/0043 416
(21)【出願番号】P 2020182771
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513014101
【氏名又は名称】キャピー・インターナショナル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520426438
【氏名又は名称】株式会社東部レントオール
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 徹也
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 一敏
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132629(JP,A)
【文献】特開平11-093266(JP,A)
【文献】実開昭52-158053(JP,U)
【文献】特開2007-232363(JP,A)
【文献】特開2005-030740(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03584507(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F24F 1/60
F24F 13/20
F24F 1/0043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口可能な窓部を一部に有する簡易建物に付設して当該簡易建物の内部の空調を行う簡易建物用エアコンシステムであって、前記簡易建物の窓部に外部から隣接可能な立体形に構成し、下端に複数の移動用キャスタを備える第一フレームユニット,この第一フレームユニットの内側に配設した室外機,及び前記第一フレームユニットの外側に取付けることにより、当該第一フレームユニットの外方に突出させた室内機を有するエアコンユニットと、前記エアコンユニットを載置可能なユニット支持部を上端に有するとともに、底面部の開口から、内側に前記エアコンユニットを収容可能に構成し、かつ収容時に前記エアコンユニットの周囲の少なくとも一部を覆う立体形の第二フレームユニットとを具備してなることを特徴とする簡易建物用エアコンシステム。
【請求項2】
前記第二フレームユニットは、下端に当該第二フレームユニットの高さを調整可能な高さ調整機能部を備えることを特徴とする請求項1記載の簡易建物用エアコンシステム。
【請求項3】
前記室内機が挿通する開口部を有し、かつ前記簡易建物の内壁に装着して前記窓部を閉塞する内部カバーシートを備えることを特徴とする請求項1記載の簡易建物用エアコンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルター等の簡易建物における内部の空調を行う簡易建物用エアコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口可能な窓部を一部に有する簡易建物に付設して当該簡易建物における内部の空調を行う簡易建物用エアコンシステムとしては、特許文献1に開示される空調機ユニットが知られている。
【0003】
この空調機ユニットは、室内機・室外機分離型の一般的な既製の空調機を用いて、テント向けに簡便に使用でき、しかも可搬性や設置の融通性や経済性にも優れ、運転中の騒音も小さい小型の空調機ユニットの提供を目的としたものであり、具体的には、空調機の室内機と室外機とを、一つのユニットフレームに上下の配置にして、しかも室内機は該ユニットフレームの室内機格納室内に格納して設置するとともに、この室内機格納室内に仕切板を着脱可能に設置し、室内機格納室の前面開口から室内機までの空間を、吸気側空間部と吹き出し側空間部とに上下に二分するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の空調機ユニット(簡易建物用エアコンシステム)は、次のような問題点があった。
【0006】
即ち、一体型の大型ユニットに室外機と室内機を内蔵し、このユニットから冷気をテント内部へ送り込み、かつテント内部の空気をユニットに戻すように構成されるため、全体が一体型のユニットになることに加え、室内機側に、仕切板を設置した室内機格納室を設ける必要があるなど、ユニット全体の大型化及び重量化、さらには構成の煩雑化及びコストアップを招くとともに、特に、保管性や搬送性において不利となる。
【0007】
また、比較的小型のテントを空調対象としているため、冷気を高い位置から放出できない難点がある。通常、冷気は下方へ対流するため、空調効率を高めるなどの観点からエアコンの設置高さを比較的高い位置になるように設置することも多いが、一体性のユニット故に高さを確保しにくい。
【0008】
この結果、特に、速やかに搬入して設置する必要があるとともに、比較的大型の簡易建物となる医療用又は救援用のシェルターなどにおいては使用しにくい問題があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した簡易建物用エアコンシステムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る簡易建物用エアコンシステム1は、上述した課題を解決するため、開口可能な窓部51を一部に有する簡易建物50に付設して当該簡易建物50の内部の空調を行うエアコンシステムを構成するに際して、簡易建物50の窓部51に外部から隣接可能な立体形に構成し、下端に複数の移動用キャスタ11…を備える第一フレームユニットF1,この第一フレームユニットF1の内側に配設した室外機2,及び第一フレームユニットF1の外側に取付けることにより、当該第一フレームユニットF1の外方に突出させた室内機3を有するエアコンユニットUaと、エアコンユニットUaを載置可能なユニット支持部F2uを上端に有するとともに、底面部の開口F2dから、内側にエアコンユニットUaを収容可能に構成し、かつ収容時にエアコンユニットUaの周囲の少なくとも一部を覆う立体形の第二フレームユニットF2とを具備してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、発明の好適な態様により、第二フレームユニットF2の下端には、当該第二フレームユニットF2の高さを調整可能な高さ調整機能部12…を設けることができる。他方、エアコンシステム1には、室内機3が挿通する開口部13iを有し、かつ簡易建物50の内壁52に装着して窓部51を閉塞する内部カバーシート13を設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係る簡易建物用エアコンシステム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 第一フレームユニットF1と第二フレームユニットF2を組合わせ使用できるとともに、第二フレームユニットF2は、支持機能と収容機能の二機能を兼用するため、使用時には、第二フレームユニットF2を第一フレームユニットF1の支持台として利用し、エアコンユニットUa(第一フレームユニットF1)を所定の高さに設置することができるとともに、非使用時には、第二フレームユニットF2の内側へエアコンユニットUa(第一フレームユニットF1)を収容して全体の高さをほぼ半分にすることができる。これにより、システム全体の小型化及び軽量化を図れるため、保管性及び搬送性を高めることができるとともに、エアコンUにとっての最適な設置高さを確保できる。しかも、室内機3を簡易建物50の内部に直接臨ませることができるため、付属品等を大幅に削減可能となり、システム構成全体の煩雑化を回避してコストダウンを図ることができる。
【0014】
(2) 第一フレームユニットF1の下端には、複数の移動用キャスタ11…を設けたため、第一フレームユニットF1と第二フレームユニットF2を組合わせにより、非使用時には、高さをほぼ半分にした状態で移動及び保管することができる。これにより、使用時には、移動用キャスタ11…の無い第二フレームユニットF2を支持台に利用することにより、エアコンユニットUaを安定に支持することができる。
【0015】
(3) 第二フレームユニットF2を構成するに際し、底面部の開口F2dからエアコンユニットUaを収容可能に構成したため、エアコンユニットUaに第二フレームユニットF2を被せるのみで収容できる。これにより、収容作業の迅速化及び容易化を図れるとともに、移動時や保管時等におけるエアコンユニットUaの保護を図ることができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、第二フレームユニットF2の下端に、当該第二フレームユニットF2の高さを調整可能な高さ調整機能部12…を設ければ、エアコンユニットUaの高さを任意に調整(設定)できるため、エアコンユニットUaの高さを窓部51の高さに容易にマッチングさせることができるとともに、設置の安定化を図ることができる。
【0017】
(5) 好適な態様により、エアコンシステム1に、室内機3が挿通する開口部13iを有し、かつ簡易建物50の内壁52に装着して窓部51を閉塞する内部カバーシート13を設ければ、エアコンシステム1の設置に伴う窓部51の密閉性を容易に確保できるとともに、内壁52の外観性(デザイン性)を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の好適実施形態に係るエアコンシステムをシェルター(簡易建物)に設置した状態を示す側面図、
【
図2】本発明の好適実施形態に係るフレーム装置を構成する第一フレームユニットの斜視図、
【
図3】同フレーム装置を構成する第二フレームユニットの斜視図、
【
図4】同エアコンシステムの設置方法及び取外し方法の手順を説明するためのフローチャート、
【
図5】同エアコンシステムの設置対象となるシェルターの外観図、
【
図7】同エアコンシステムをシェルターに設置した状態の外部から見たフレームユニットをハッチングで示した背面図、
【
図8】同エアコンシステムをシェルターに設置した状態の内部から見た正面図、
【
図9】同エアコンシステムのエアコンユニットの収容方法の説明図、
【
図10】同エアコンシステムのエアコンユニットを収容した状態の側面図、
【
図11】本発明の変更実施形態に係るフレーム装置を構成する第一フレームユニットの斜視図、
【
図12】同フレーム装置を構成する第二フレームユニットの斜視図、
【
図13】本発明の変更実施形態に係るエアコンシステムをシェルター(簡易建物)に設置した状態を示す側面図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
最初に、基本実施形態に係る簡易建物用エアコンシステム1に用いるフレーム装置Fの構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0020】
基本実施形態に係るフレーム装置Fは、
図2に示す第一フレームユニットF1と
図3に示す第二フレームユニットF2の組合わせにより構成する。
【0021】
第一フレームユニットF1は、例えば、アルミニウム素材等の軽量金属素材により形成した断面正方形の直線棒材を所定長さに切断した複数本(例示は十七本)のフムームメンバ同士を、結合部品j…により連結して全体を直方体形(立体形)に組立てる。
【0022】
具体的には、
図2に示すように、それぞれ四本のフムームメンバにより構成した矩形の前フレーム体部21と後フレーム体部22を備え、所定の間隔を空けて配した前フレーム体部21と後フレーム体部22の、右側のフムームメンバ同士を、上下方向に配した三本のフムームメンバを有するリンクフレーム群23により連結するとともに、左側のフムームメンバ同士を、上下方向に配した三本のフムームメンバを有するリンクフレーム群24により連結する。
【0023】
また、前フレーム体部21の上下方向中間位置における左右のフムームメンバ間には、一本のフムームメンバによる補助フレーム25を架設するとともに、後フレーム体部22の上下方向中間位置における左右のフムームメンバ間には、一本のフムームメンバによる補助フレーム26を架設する。さらに、下端に位置する左右のリンクフレーム群23と24間の中間位置には補助フレーム27を架設する。この場合、前側の補助フレーム25は、後述する室内機3の取付部を兼用するとともに、下端の補助フレーム27は、室外機3の取付部を兼用する。
【0024】
さらに、第一フレームユニットF1の下端には、複数の移動用キャスタ11…を設ける。例示は、四つの移動用キャスタ11…を四隅のそれぞれに設けた場合を示す。このように、第一フレームユニットF1の下端に移動用キャスタ11…を設ければ、第一フレームユニットF1と第二フレームユニットF2を組合わせにより、非使用時には、高さをほぼ半分にした状態で移動及び保管することができるとともに、使用時には、移動用キャスタ11…の無い第二フレームユニットF2を支持台に利用することにより、エアコンユニットUaを安定に支持することができる。
【0025】
他方、第二フレームユニットF2も、第一フレームユニットF1と同様に、例えば、アルミニウム素材等の軽量金属素材により形成した断面正方形の直線棒材を所定長さに切断した複数本(例示は十四本)のフムームメンバ同士を、結合部品j…により連結して全体を第一フレームユニットF1よりも大きい直方体形(立体形)に組立てる。
【0026】
具体的には、
図3に示すように、それぞれ四本のフムームメンバにより構成した矩形の前フレーム体部31と後フレーム体部32を備え、所定の間隔を空けて配した前フレーム体部31と後フレーム体部32の、上側のフムームメンバ同士を、左右方向に配した四本のフムームメンバを用いたユニット支持部F2uとして機能するリンクフレーム33a,33b,33c,33dにより連結する。また、下側のフムームメンバの左端同士を、一本のフムームメンバを用いたリンクフレーム34により連結するとともに、下側のフムームメンバの右端同士を、一本のフムームメンバを用いたリンクフレーム35により連結する。この場合、底面部には開口F2dが設けられるため、この開口F2dから後述するエアコンユニットUaを収容可能となる。このように構成すれば、エアコンユニットUaに第二フレームユニットF2を被せるのみで収容できるため、収容作業の迅速化及び容易化を図れるとともに、移動時や保管時等におけるエアコンユニットUaの保護を図ることができる。
【0027】
また、第二フレームユニットF2の下端には、当該第二フレームユニットF2の高さを調整可能な複数の高さ調整機能部12…を設ける。例示は、四つの高さ調整機能部12…を四隅のそれぞれに設けた場合を示す。高さ調整機能部12は、所定長さのボルトを利用して構成した脚部12fを、縦方向のフムームメンバの下端に螺合したものであり、螺合位置をロックするロックナットを備えている。このような高さ調整機能部12…を設ければ、後述するエアコンユニットUaの高さを任意に調整(設定)できるため、エアコンユニットUaの高さを窓部51の高さに容易にマッチングさせることができるとともに、設置の安定化を図ることができる。
【0028】
さらに、第二フレームユニットF2では、前フレーム体部31に、この内側空間を覆って閉塞する矩形の前パネル36を取付けるとともに、後フレーム体部32に、この内側空間を覆って閉塞する矩形の後パネル37を取付ける。なお、38…は、主にリンクフレーム33a,33b,33c,33dの上面に貼付けた防音及び防振を兼ねたゴム素材を用いたクッションシートを示す。
【0029】
次に、フレーム装置Fを用いた基本実施形態に係る簡易建物用エアコンシステム1の構成について、
図1-
図3及び
図10を参照して説明する。
【0030】
まず、第一フレームユニットF1は、エアコンUを支持することによりエアコンユニットUaを構成する。基本実施形態で示すエアコンUは、住宅用の汎用エアコンであり、室外機2と室内機3を備える。この場合、室外機2は、
図1及び
図2に示すように、第一フレームユニットF1を構成する後フレーム体部22の下端のフレームメンバ22dと補助フレーム27の上に室内機2を載置し、ボルトナット等の固定具により固定する。また、前フレーム体部21の前面における上部位置には、この前フレーム体部21及び補助フレーム25を利用し、ボルトナット等の固定具を用いて室内機3を固定する。
【0031】
これにより、室外機2を第一フレームユニットF1の内側に配設し、かつ室内機3を第一フレームユニットF1の外側に取付けることにより、当該第一フレームユニットF1の外方に突出させたエアコンユニットUaが構成される。そして、この状態において、室外機2と室内機3間における冷媒配管等の必要な接続を行う。
【0032】
一方、第二フレームユニットF2は、基本的にそのまま使用することができる。この場合、第二フレームユニットF2は、支持機能と収容機能の二機能を兼用する。即ち、第二フレームユニットF2は、エアコンシステム1の使用時に、上端によりエアコンユニットUaを支持する第一の機能となる支持機能を備える。このため、
図3に示すように、ユニット支持部F2uを構成する四本のリンクフレーム33a,33b,33c,33dを選択してエアコンユニットUaの下端を載置することができる。他方、エアコンシステム1の非使用時には、内側にエアコンユニットUaを収容する第二の機能となる収容機能を備える。
【0033】
この場合、エアコンユニットUaを収容した際には、エアコンユニットUaの周囲の少なくとも一部が第二フレームユニットF2に覆われることになる。したがって、第二フレームユニットF2の大きさは、
図10に示すように、室内機3を含むエアコンユニットUaを収容することができ、かつ収納時に、第二フレームユニットF2の下端が接地面から所定高さの位置に浮くように、大きさ及び寸法を選定する。
【0034】
次に、基本実施形態に係る簡易建物用エアコンシステム1の設置方法(利用方法)について、
図1-
図3及び
図5-
図10を参照しつつ
図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0035】
図5は、エアコンシステム1の設置対象である医療用シェルター50sを示す。エアコンシステム1は、このような医療用シェルター50sをはじめ、テントやプレハブ小屋等の、特に、一時的に使用する各種簡易建物50の空調に好適である。なお、医療用シェルター50s(簡易建物50)は、開口可能な窓部51を一部に備えることが設置の条件になるとともに、前述した第一フレームユニットF1は、この窓部51に対して外部から隣接可能に構成する。
【0036】
エアコンシステム1の設置に際しては、まず、エアコンシステム1を医療用シェルター50sの近傍まで搬入する(ステップS1)。この場合、
図10に示すように、エアコンユニットUaに、第二フレームユニットF2を被せた状態になっており、かつ第二フレームユニットF2の下端は浮いた状態になるため、接地した移動用キャスタ11…により、容易に移動させることができる。
【0037】
一方、医療用シェルター50sは窓部51を開放する(ステップS2)。例示の医療用シェルター50sの窓部51は、内壁52の一部を構成する内面シート61と、外面(外壁)53を構成する透明シートを含む窓シート62を備えるため、
図6に示すように、例えば、内面シート61は下方へ折り畳むとともに、窓シート62は上方へ巻き上げることにより、窓部51を開放することができる。
【0038】
次いで、エアコンシステム1の第二フレームユニットF2を持ち上げることにより、エアコンユニットUaから離脱し、
図6に示すように、窓部51の下方における外面53の隣接位置に設置する(ステップS3)。この後、
図6に示す点線矢印Dsのように、エアコンユニットUaを第二フレームユニットF2の上端におけるユニット支持部F2uの上に載置するとともに、エアコンユニットUaの第一フレームユニットF1を窓部51に隣接させ、室内機3を窓部51から医療用シェルター50sの内部へ突出させる(ステップS4)。この状態におけるエアコンシステム1と医療用シェルター50sは
図1に示す位置関係となる。
【0039】
そして、各高さ調整機能部12…により脚部12fの高さ位置を調整し、エアコンユニットUaの高さの微調整を行うとともに、四つの脚部12f…を全て接地状態にして第二フレームユニットF2が安定するように調整を行う(ステップS5)。この後、
図6に示す別途用意した内部カバーシート13を点線矢印Diに示すように、医療用シェルター50sの内壁52に装着する(ステップS6)。この内部カバーシート13は、室内機3が挿通する開口部13iを有し、かつ内壁52に装着して窓部51を閉塞する機能を備える。このような内部カバーシート13を設ければ、エアコンシステム1の設置に伴う窓部51の密閉性を容易に確保できるとともに、内壁52の外観性(デザイン性)を確保できる。これにより、エアコンシステム1の設置が終了し、通常の住宅用エアコンとして使用することができる(ステップS7)。
【0040】
一方、設置したエアコンシステム1を医療用シェルター50sから取り外す手順について説明する(ステップS8)。この場合、まず、内部カバーシート13の取り外しを行う(ステップS9)。次いで、エアコンユニットUaの取り外しを行い、
図9に示すように、地面等の接地面Eに載置する(ステップS10)。そして、第二フレームユニットF2を持ち上げ、
図9に示す点線矢印Ddのように、エアコンユニットUaの上に被せるように、搭載する(ステップS11)。これにより、エアコンユニットUaは第二フレームユニットF2の内側に収容される。この状態を
図10に示す。この状態では、第二フレームユニットF2の上端における少なくとも中間位置のリングフレーム33b,33cが、第一フレームユニットF1の上端におけるフレームメンバにより支持され、第二フレームユニットF2の下端は、接地面Eから上方へ浮いた状態となる。
【0041】
これにより、この状態で、エアコンシステム1は、移動用キャスタ11…により容易に移動させることができる(ステップS12)。そして、この後は、医療用シェルター50sの窓部51を元の状態に復帰させればよい(ステップS13)。即ち、内面シート61を窓部51を含む内壁52に装着するとともに、窓シート62を窓部51を含む外壁53に装着すればよい。
【0042】
よって、このような基本実施形態に係る簡易建物用エアコンシステム1によれば、基本的な構成として、医療用シェルター50sの窓部51に外部から隣接可能な立体形の第一フレームユニットF1,この第一フレームユニットF1の内側に配設した室外機2,及び第一フレームユニットF1の外側に取付けることにより、当該第一フレームユニットF1の外方に突出させた室内機3を有するエアコンユニットUaと、エアコンユニットUaを載置可能なユニット支持部F2uを上端に有するとともに、内側にエアコンユニットUaを収容可能に構成し、かつ収容時にエアコンユニットUaの周囲の少なくとも一部を覆う立体形の第二フレームユニットF2とを具備してなるため、第一フレームユニットF1と第二フレームユニットF2を組合わせ使用できるとともに、第二フレームユニットF2は、支持機能と収容機能の二機能を兼用する。この結果、使用時には、第二フレームユニットF2を第一フレームユニットF1の支持台として利用し、エアコンユニットUa(第一フレームユニットF1)を所定の高さに設置することができるとともに、非使用時には、第二フレームユニットF2の内側へエアコンユニットUa(第一フレームユニットF1)を収容して全体の高さをほぼ半分にすることができる。これにより、システム全体の小型化及び軽量化を図れるため、保管性及び搬送性を高めることができるとともに、エアコンUにとっての最適な設置高さを確保できる。しかも、室内機3を簡易建物50の内部に直接臨ませることができるため、付属品等を大幅に削減可能となり、システム構成全体の煩雑化を回避してコストダウンを図ることができる。
【0043】
次に、本発明の変更実施形態に係る簡易建物用エアコンシステム1に用いるフレーム装置Fの構成について、
図11及び
図12を参照して説明する。
【0044】
変更実施形態に係るフレーム装置Fは、
図2及び
図3に示した基本実施形態と同様、
図11に示す第一フレームユニットF1と
図12に示す第二フレームユニットF2の組合わせにより構成する。
【0045】
変更実施形態は、基本実施形態に対して、第一フレームユニットF1に、設置した際に、窓シート62を下方へ垂らすことができるようにするとともに、この垂らした窓シート62により窓部51の開口の全部又は一部を覆うことができるようにシート収容空間Siを設けた点,及び第二フレームユニットF2に、第一フレームユニットF1に備える移動用キャスタ11…を収容する逃げ空間Sc…を設けた点が異なる。
【0046】
まず、変更実施形態に係る第一フレームユニットF1は、
図11に示すように、
図2に示した左右のリンクフレーム群23と24における最上部に位置するリンクフレームの前半部分をカットすることにより、後フレーム体部22により片持支持されるフレームメンバ23u,24uを設け、かつ先端同士をリンクフレーム23rにより連結するとともに、
図2に示した左右のリンクフレーム群23と24における中間部に設けたリンクフレームを、第一フレームユニットF1の強度を損なわない範囲で、できるだけ下方の位置となるように変更し、リンクフレーム23m,24mとして設けたものである。なお、
図2に示した一本の補助フレーム27は、変更実施形態では二本の補助フレーム27a,27bにより構成した。これにより、前フレーム体部21の内側には、設置時に、垂らした窓シート62を収容可能なシート収容空間Siが形成される。
【0047】
また、変更実施形態に係る第二フレームユニットF2は、
図12に示すように、
図3に示した前フレーム体部31の上端のフレームメンバの位置を、下方へオフセットした位置に変更してフレームメンバ31uとし、このフレームメンバ31uの中間位置とリンクフレーム33bの先端を縦方向のフレームメンバ31sにより連結するとともに、このフレームメンバ31uの他の中間位置とリンクフレーム33cの先端を縦方向のフレームメンバ31tにより連結したものである。これにより、前フレーム体部31の上部には、ユニット支持部F2uに載置したエアコンユニットUaの移動用キャスタ11…が収容される逃げ空間Sc…が形成される。なお、33p,33qは、リンクフレーム33aと33b間,リンクフレーム33cと33d間,の中間位置同士をそれぞれ連結した補強フレームを示す。
【0048】
これにより、第二フレームユニットF2とエアコンユニットUaを簡易建物50(医療用シェルター50s)に対して設置した際には、エアコンユニットUaの移動用キャスタ11…が第二フレームユニットF2の逃げ空間Sc…に収容されるため、
図13に示すように、第一フレームユニットF1における前フレーム体部21の前面を、第二フレームユニットF2における前フレーム体部31の前面に対して、同一垂直面上,又はそれよりも前方へ位置させることができる。この結果、第一フレームユニットF1と簡易建物50(医療用シェルター50s)の相対距離を任意に設定することができる。そして、窓シート62は、
図13に示すように、下方へ垂らすことにより、エアコンユニットUa(第一フレームユニットF1)におけるシート収容空間Siに収容できるため、この窓シート62により窓部51の開口の全部又は一部を覆うことができる。
【0049】
その他、
図11-
図13に示す変更実施形態において、
図1-
図3に示した基本実施形態と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。また、
図11-
図13に示す変更実施形態においても、
図1-
図3に示した基本実施形態と同様に使用することができるとともに、同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0051】
例えば、第一フレームユニットF1及び第二フレームユニットF2を構成するフレームメンバの素材は、変形を生じない素材であれば、例示の軽量金属素材をはじめ、硬質合成樹脂素材,木質素材等であってもよく、同様の機能を発揮できる各種素材を利用できるとともに、形状的に、単純な角材を例示したが、断面円形の丸棒材等の各種フレーム材料により置換可能である。さらに、第二フレームユニットF2の下端に、当該第二フレームユニットF2の高さを調整可能な高さ調整機能部12…を設けた場合を示したが、例示の形態をはじめ、伸縮機能により大幅な調整ストロークを確保できる各種調整機能部を利用できるとともに、必須のものではなく、例えば、第一フレームユニットF1側に設けてもよい。一方、第二フレームユニットF2は、底面部の開口F2dからエアコンユニットUaを収容可能に構成したが、側面部であってもよい。また、室内機3が挿通する開口部13iを有し、かつ簡易建物50の内壁52に装着して窓部51を閉塞する内部カバーシート13を設けることが望ましいが、外観性を気にしない場合には、設けることを要せず、必須の構成要素ではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るエアコンシステムは、シェルター,テント,プレハブ小屋等の簡易建物における内部の空調を行うエアコンシステムとして利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1:簡易建物用エアコンシステム,2:室外機,3:室内機,11…:移動用キャスタ,12…:高さ調整機能部,13:内部カバーシート,13i:内部カバーシートの開口部,50:簡易建物,51:簡易建物の窓部,52:簡易建物の内壁,F:フレーム装置,F1:第一フレームユニット,F2:第二フレームユニット,F2u:ユニット支持部,F2d:底面部の開口,Ua:エアコンユニット,U:エアコン