IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大阪製薬の特許一覧

<>
  • 特許-ダニ誘引剤 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ダニ誘引剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/02 20060101AFI20240318BHJP
   A01P 19/00 20060101ALI20240318BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20240318BHJP
   A01N 63/32 20200101ALI20240318BHJP
   A01N 63/34 20200101ALI20240318BHJP
【FI】
A01N37/02
A01P19/00
A01N37/06
A01N63/32
A01N63/34
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019106651
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200253
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】得野 克成
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-089310(JP,A)
【文献】特開平06-256109(JP,A)
【文献】分析化学,1996年,Vol.45, No.10,p.927-932
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数6~18の脂肪酸と、ビール酵母又は米麹から選ばれる少なくとも一種とを含 有し、
前記脂肪酸と、前記ビール酵母又は米麹から選ばれる少なくとも一種の配合量の比は、 (前記ビール酵母又は米麹から選ばれる少なくとも一種)/(前記脂肪酸)=150~ 60000である
ことを特徴とするダニ誘引剤。
【請求項2】
前記脂肪酸が、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラ ウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン 酸、オクチル酸、イソステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リ ノレン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のダニ誘 引剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダニを捕獲して死滅させる前段階において、まずは所定の場所にダニを誘引する効果を奏する製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダニは、適度な湿度及び温度が保たれている屋内に置かれている絨毯、カーペットなどの敷物や、布団、毛布、枕などの寝具、或いはセーター、コートなどの衣服や、ぬいぐるみなどの玩具などにおいて広く生息している。ダニの死骸やフンが粉砕されて生じた微粒子が空気中を舞って、人が吸い込んだり人に付着したりすることにより、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などの種々のアレルギー反応を示すようになると言われている。
【0003】
このようなダニに起因しアレルギー反応を引き起こすアレルゲンを発生させないために、ダニを駆除することが好ましいが、ダニは広い範囲で生息しているために、ダニの駆除剤を噴霧するなどの方法では効果が低く、高い効果を得るためには多量の駆除剤を使用する必要があり実用性に乏しい。このため、種々の箇所に生息しているダニを極力特定箇所に引き寄せて駆除するために、誘引剤が使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1において、炭素数が4から18の直鎖脂肪酸から選ばれた1種以上のか鉱物を有効成分としたダニ誘引組成物が開示され、実施例3にはそのうちオクタン酸が0.2g/m2となるように塗布された不織布シートにおいてダニ誘引効果が奏することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-87739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のダニの誘引剤では、使用される脂肪酸が特有の臭気を有するために設置されている周囲では不快感を誘発することから、その使用量を少なくしながらも、高い誘引効果が求められているという課題があった。
【0007】
そこで、本発明では、製造が容易であり、ダニの誘引効果が高いダニ誘引剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明は、炭素数6~18の脂肪酸と、ビール酵母又は米麹から選 ばれる少なくとも一種とを含有し、前記脂肪酸と、前記ビール酵母又は米麹から選ばれ る少なくとも一種の配合量の比は、(前記ビール酵母又は米麹から選ばれる少なくとも 一種)/(前記脂肪酸)=150~60000であることを特徴とするダニ誘引剤であ る。
【0011】
〔2〕そして、前記脂肪酸が、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、 カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン 酸、ステアリン酸、オクチル酸、イソステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、 リノール酸、リノレン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1 〕に記載のダニ誘引剤である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用する脂肪酸の量を減らしてその特有の臭気による不快感を低減しながらも、ダニの高い誘引効果を奏する。すなわち、本発明によれば、炭素数6~18の脂肪酸、若しくは、発酵食品又は食品を発酵させる微生物の少なくとも一方をそれぞれ単独で使用した場合の効果の和よりも高い誘引効果が得られ、炭素数6~18の脂肪酸と、発酵食品又は食品を発酵させる微生物の少なくとも一方を包含することによる相乗効果が得られることから、ダニの誘引効果を奏しながらも、使用する脂肪酸の量を減らしてその特有の臭気による不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明等の効果を確認するための試験方法を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のダニ誘引剤に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0015】
本発明のダニ誘引剤に用いられる脂肪酸は、炭素数6~18の脂肪酸である。当該脂肪酸を単独で使用した場合にも、ダニに対しておおよそ一定の誘引効果を奏する。
【0016】
炭素数6~18の脂肪酸としては、このうち直鎖の脂肪酸、分岐鎖を有する脂肪酸や、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を用いることができる。具体的には、直鎖の飽和脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸が好ましい。そして、分岐鎖を有する飽和脂肪酸としては、オクチル酸、イソステアリン酸などが好ましい。そして、直鎖の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましい。
【0017】
炭素数6~18の脂肪酸は、ダニ捕獲器などに設置される不織布やろ紙などの誘引剤の担持体に対して、0.0001~0.5g/m2となる量を塗工されることが好ましく、0.001~0.1g/m2となる量を塗工されることがさらに好ましい。炭素数6~18の脂肪酸が前記の量を塗工されると、発酵食品又は食品を発酵させる微生物の少なくとも一方と相乗的にダニを誘引することができる。
【0018】
本発明のダニ誘引剤に用いられる発酵食品は、所定の食品が微生物により発酵されたものである。当該発酵食品を単独で使用した場合にも、ダニに対しておおよそ一定の誘引効果を奏する。
【0019】
発酵食品としては、例えば、チーズ、バター、ヨーグルト、納豆、みそ、醤油、パンなどが好ましい。これらの発酵食品は、それぞれ単独で使用することもできるし、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0020】
発酵食品は、ダニ捕獲器などに設置される不織布やろ紙などの誘引剤の担持体に対して、5~90g/m2となる量を塗工されることが好ましく、15~60g/m2となる量を塗工されることがさらに好ましい。発酵食品が前記の量を塗工されると、炭素数6~18の脂肪酸と相乗的にダニを誘引することができる。
【0021】
本発明のダニ誘引剤に用いられる食品を発酵させる微生物は、カビや酵母などの菌類である。当該微生物を単独で使用した場合にも、ダニに対しておおよそ一定の誘引効果を奏する。
【0022】
食品を発酵させる微生物としては、酵母菌、麹菌、乳酸菌、納豆菌などが好ましい。これらの微生物は、それぞれ単独で使用することもできるし、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0023】
食品を発酵させる微生物は、ダニ捕獲器などに設置される不織布やろ紙などの誘引剤の担持体に対して、5~110g/m2となる量を塗工されることが好ましく、15~90g/m2となる量を塗工されることがさらに好ましい。当該微生物が前記の量を塗工されると、炭素数6~18の脂肪酸と相乗的にダニを誘引することができる。
【0024】
炭素数6~18の脂肪酸と、発酵食品又は食品を発酵させる微生物の少なくとも一方の配合量の比は、(発酵食品又は食品を発酵させる微生物の少なくとも一方)/(炭素数6~18の脂肪酸)=10~900000であることが好ましく、150~60000であることがさらに好ましい。配合量の比がこの範囲であると、使用する脂肪酸の量を減らしてその特有の臭気による不快感を低減しながらも、相乗的にダニを誘引することができるので実際に使用可能な誘引剤を製造することができる。
【0025】
さらに本発明のダニ誘引剤の酸化による劣化などの腐食を防止するため、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(α-トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤を添加することができる。また、防腐を目的に、パラオキシ安息香酸エステルを添加することもできる。
【実施例
【0026】
〔実施例1〕
JIS L 1920「繊維製品の防ダニ性能試験方法」を参考にして、図1に示すようにしてダニの誘引性を試験した。すなわち、まず、直径約40mmのろ紙に、カプロン酸を0.001g/m2となる量、チーズを14.3g/m2となる量を塗工して検体1とし、直径約40mmの第1シャーレ2に敷き詰める。そして、ダニ培地3を第1シャーレ2よりも直径の大きい第2シャーレ4内に均一に広げ、10000匹相当分のダニを載置する。その第2シャーレ4の中央に第1シャーレ2を重ねて載置して、23~27℃の温度で、70~89%RHの湿度で、24時間静置した。その後、第2シャーレ4から第1シャーレ2内へのダニの侵入数を計測した。そして、脂肪酸、発酵食品、食品を発酵させる微生物のいずれも塗工しないろ紙を用いた以外は同様に試験を行い、第2シャーレ4から第1シャーレ2内へのダニの侵入数を計測し、コントロールとした(参考例0)。このコントロールにおける第1シャーレ内へのダニの侵入数に対する実施例1における第1シャーレ内へのダニの侵入数の比を効力比として算出した結果、5.15であった。なお、これらの試験は少なくとも3回以上行われ、上記結果は各試験結果の相加平均として示されている。
【0027】
そして、カプロン酸とチーズについては、それぞれ実施例1と同様に試験を行い、それぞれの効力比を算出した。すなわち、ろ紙にカプロン酸を0.001g/m2となる量を塗工した以外は、実施例1と同様に試験を行い、コントロールに対する効力比を算出した結果、1.01であった(参考例1)。ろ紙にチーズを14.3g/m2となる量を塗工した以外は、実施例1と同様に試験を行い、コントロールに対する効力比を算出した結果、1.76であった(参考例11)。さらに、この参考例1の効力比と参考例11と効力比の和に対する実施例1の効力比の比を算出すると(実施例1の効力比/(参考例1の効力比+参考例11の効力比))、1.86となり、カプロン酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、カプロン酸とチーズとの相乗効果があることがわかった。この結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
〔実施例2~8〕
表1に示すように、各種脂肪酸とチーズを併用して、実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とチーズとの相乗効果があることがわかった。
【0030】
〔比較例1~2〕
表1に示すように、プロピオン酸又はアラキジン酸とチーズを併用して、実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、プロピオン酸又はアラキジン酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とチーズとの相乗効果がないことがわかった。
【0031】
〔実施例9~16、比較例3~4〕
表2に示すように、各種脂肪酸とチーズを併用して、各種脂肪酸を0.01g/m2とした以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とチーズとの相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とチーズとの相乗効果がないことがわかった。
【0032】
【表2】
【0033】
〔実施例17~24、比較例5~6〕
表3に示すように、各種脂肪酸とチーズを併用して、各種脂肪酸を0.1g/m2とした以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とチーズとの相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とチーズとの相乗効果がないことがわかった。
【0034】
【表3】
【0035】
〔実施例25~48、比較例7~12〕
表4、表5、表6に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて所定量のバターを用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、バターをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とバターとの相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、バターをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とバターとの相乗効果がないことがわかった。
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
〔実施例49~72、比較例13~18〕
表7、表8、表9に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて所定量のビール酵母を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、ビール酵母をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とビール酵母との相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、ビール酵母をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とビール酵母との相乗効果がないことがわかった。
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
〔実施例73~96、比較例19~24〕
表10、表11、表12に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて所定量の米麹を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、米麹をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸と米麹との相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、米麹をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸と米麹との相乗効果がないことがわかった。
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】
〔実施例97~120、比較例25~30〕
表13、表14、表15に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズを実施例1~24等よりもさらに増量して用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とチーズとの相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、チーズをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とチーズとの相乗効果がないことがわかった。
【0048】
【表13】
【0049】
【表14】
【0050】
【表15】
【0051】
〔実施例121~144、比較例31~36〕
表16、表17、表18に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて、実施例25~48等よりも多い量のバターを用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、バターをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とバターとの相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、バターをそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とバターとの相乗効果がないことがわかった。
【0052】
【表16】
【0053】
【表17】
【0054】
【表18】
【0055】
〔実施例145~168、比較例37~42〕
表19、表20、表21に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて実施例49~72等よりも多い量のビール酵母を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、ビール酵母をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸とビール酵母との相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、ビール酵母をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸とビール酵母との相乗効果がないことがわかった。
【0056】
【表19】
【0057】
【表20】
【0058】
【表21】
【0059】
〔実施例169~192、比較例43~48〕
表22、表23、表24に示すように、各種脂肪酸をそれぞれ0.001g/m2、0.01g/m2、0.1g/m2とし、また、チーズに替えて実施例73~96等よりも多い量の米麹を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。いずれの実施例においても、各種脂肪酸、米麹をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1より有意に大きく、各種脂肪酸と米麹との相乗効果があることがわかった。また、比較例においては、プロピオン酸又はアラキジン酸、米麹をそれぞれ単独に使用したときの和に対する比が1未満又は1と同程度であり、プロピオン酸又はアラキジン酸と米麹との相乗効果がないことがわかった。
【0060】
【表22】
【0061】
【表23】
【0062】
【表24】
【0063】
以上の結果より、各炭素数6~18の各種脂肪酸であるカプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸と、発酵食品であるチーズ、バター又は食品を発酵させる微生物であるビール酵母、米麹を併用することにより、それぞれ使用した場合の効果の和よりも高い相乗的な誘引効果が得られることがわかった。
【符号の説明】
【0064】
1・・・検体
2・・・第1シャーレ
3・・・ダニ培地
4・・・第2シャーレ
図1