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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】床材セット
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
E04F15/02 B
E04F15/02 102F
E04F15/02 102L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019130242
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021014730
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】302045222
【氏名又は名称】ダイヤロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 秀典
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-069110(JP,A)
【文献】特開2019-070253(JP,A)
【文献】実開平02-118033(JP,U)
【文献】特開2001-012082(JP,A)
【文献】特開2002-227383(JP,A)
【文献】登録実用新案第3102588(JP,U)
【文献】特開2002-349048(JP,A)
【文献】特開2002-89018(JP,A)
【文献】特開昭63-70762(JP,A)
【文献】特開2017-115360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 15/04
E04F 15/08
E04F 15/10
E04F 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の床材設置領域の各辺の長さが、互いに寸法の異なる複数の部屋を含む建築に適用される規格長を任意の整数倍した長さから該規格において適用されるオフセット長を減算した長さである部屋に設置されるための床材セットであって、
1又は複数の第一の正方形床材と、
1又は複数の長方形床材と、を備え、
前記第一の正方形床材は、各辺が、前記規格長を2倍した長さから前記オフセット長を減算した値を2で割ることで得られた第一の長さを有し、
前記長方形床材は、一辺が前記第一の長さを有し、他辺が、前記規格長を4倍した長さから前記オフセット長を減算した値を4で割ることで得られた、前記第一の長さとは異なる第二の長さを有する、
床材セット。
【請求項2】
1又は複数の第二の正方形床材を更に備え、
前記第二の正方形床材は、各辺が前記第二の長さを有する、
請求項1に記載の床材セット。
【請求項3】
前記オフセット長は、前記部屋の壁の厚み及び/又は該壁と床材との間に設置される部材の幅に基づいて決定される、
請求項1に記載の床材セット。
【請求項4】
前記部屋の壁と前記床材との間に設置され、前記壁の施工誤差を吸収可能な弾性を備える畳寄せ部材を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の床材セット。
【請求項5】
前記部屋の壁に沿って前記床材の端部を覆うように設置されることで、前記壁の施工誤差によって該壁と前記床材との間に生じる空隙を隠す巾木部材を更に備える、
請求項1から4の何れか一項に記載の床材セット。
【請求項6】
前記床材設置領域の4辺を規定するための畳寄せ部材であって、上面に前記部屋の壁部材の下端が載置される畳寄せ部材を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の床材セット。
【請求項7】
前記床材は畳であり、
前記長方形床材は、
前記第一の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する第一の長方形床材と、
前記第二の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する第二の長方形床材と、の少なくとも何れかである、
請求項1から6の何れか一項に記載の床材セット。
【請求項8】
前記長方形床材は、
前記第一の長さを有する辺に畳縁を有する第一の長方形床材と、
前記第二の長さを有する辺に畳縁を有する第二の長方形床材と、の少なくとも何れかである、
請求項7に記載の床材セット。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の床材セットと、
各辺の長さが、前記規格長を任意の整数倍した長さから前記オフセット長を減算した長さである、矩形の床材設置領域と、を備え、
前記床材セットが、前記床材設置領域を隙間なく埋めるように設置された、
部屋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部屋に床材を施工するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畳を規格化できる和室の構造を提供することを目的として、六畳間や八畳間のように畳数によって広さが決められている和室において、その和室の広さに対して、畳の縦横の比率を保ちつつその大きさを小さくする一方、この畳を和室に敷いたとき、その和室の二辺にすき間が形成される構成にし、さらに、このすき間に、幅調整自在な主スペーサーを介在させることが提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、短辺と長辺の比が2:5である(短辺;340±20mm)×(長辺;850mm)の長方形状の小ユニット畳Sと、短辺と長辺の比が3:5である(短辺;510±20mm)×(長辺;850mm)の大ユニット畳Mの組み合わせによって床面構造体1を形成し、小ユニット畳Sと大ユニット畳Mが、インシュレーションボード11及びプラスチック段ボール12を芯材とし、更に芯材の上層に不織布からなるクッション材13を配設し、また芯材の下層に合成樹脂製の裏面材14を配設し積層した畳床10に対して、合成樹脂で形成またはコーティング加工した畳表20を被覆し、かつ、それらの裏面に合成樹脂発泡体からなる防滑材30を取り付けてなる床面構造体が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-177216号公報
【文献】特開2017-115360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、畳は、畳職人が現場へ赴いて和室の寸法を測り、寸法通りの畳を製作して、再び現場へ赴いて敷き込むという、現場に合わせて一点ものが製作される建材であった(置き畳を除く)。また、畳を交換する場合にも、新規施工の際と同様の手順でオーダーメイドし、和室内の全ての畳を入れ替えるという施工方法が採られていた。
【0006】
しかし、現代の住宅は、部屋寸法や施工方法における規格化が進み、寺社等の伝統的な建物を除けば、伝統的な畳施工方法は時代にそぐわなくなってきている。そして、このような手間のかかる畳施工方法が、畳の人気は依然高く、日本人の生活習慣において根強い需要が存在するにもかかわらず畳部屋が採用されない要因、ひいては畳部屋が減少する要因の一つになっている。
【0007】
加えて、部屋寸法や施工方法についての規格化が進んでいるにもかかわらず、床材の施工に手間がかかることは、畳以外の床材の場合も同様である。
【0008】
上記した問題に鑑み、本開示にかかる技術は、所定の規格に沿って寸法が定められた部屋において、簡易に施工可能な床材セットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一つの側面は、1又は複数の第一の正方形床材と、1又は複数の長方形床材と、を備え、前記第一の正方形床材は、各辺が第一の長さを有し、前記長方形床材は、一辺が前記第一の長さを有し、他辺が前記第一の長さとは異なる第二の長さを有する、床材セットである。
【0010】
また、本開示に係る床材セットは、1又は複数の第二の正方形床材を更に備え、前記第二の正方形床材は、各辺が前記第二の長さを有してもよい。
【0011】
また、前記床材セットは、矩形の床材設置領域の各辺の長さが、所定長を任意の整数倍した長さから所定のオフセット長を減算した長さである部屋に設置されるための床材セットであり、前記第一の長さは、前記所定長を2倍した長さから前記オフセット長を減算した値を2で割ることで得られた長さであり、前記第二の長さは、前記所定長を4倍した長さから前記オフセット長を減算した値を4で割ることで得られた長さであってもよい。
【0012】
また、前記オフセット長は、前記部屋の壁の厚み及び/又は該壁と床材との間に設置される部材の幅に基づいて決定されてもよい。
【0013】
また、本開示に係る床材セットは、前記部屋の壁と前記床材との間に設置され、前記壁の施工誤差を吸収可能な弾性を備える畳寄せ部材を更に備えてもよい。
【0014】
また、本開示に係る床材セットは、前記部屋の壁に沿って前記床材の端部を覆うように設置されることで、前記壁の施工誤差によって該壁と前記床材との間に生じる空隙を隠す巾木部材を更に備えてもよい。
【0015】
また、本開示に係る床材セットは、前記床材設置領域の4辺を規定するための畳寄せ部材であって、上面に前記部屋の壁部材の下端が載置される畳寄せ部材を更に備えてもよい。
【0016】
また、前記床材は畳であり、前記長方形床材は、前記第一の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する第一の長方形床材と、前記第二の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する第二の長方形床材と、の少なくとも何れかであってもよい。
【0017】
また、前記長方形床材は、前記第一の長さを有する辺に畳縁を有する第一の長方形床材と、前記第二の長さを有する辺に畳縁を有する第二の長方形床材と、の少なくとも何れかであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る技術によれば、所定の規格に沿って寸法が定められた部屋において、簡易に施工可能な床材セットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る床材セットが設置される部屋の一例を示す平面図である。
図2】実施形態に係る柱、壁及び畳寄せの位置関係の一例を示す平面図である。
図3】実施形態に係る床材セットを構成する部材の一例を示す平面図である。
図4】実施形態に係る床材セットを3畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。
図5】実施形態に係る床材セットを4.5畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。
図6】実施形態に係る床材セットを6畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。
図7】実施形態に係る床材セットを8畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。
図8】実施形態に係る、壁の下に設置される畳寄せを用いた施工構造の概略を示す断面図である。
図9】実施形態に係る、弾性を有する畳寄せを用いた施工構造の概略を示す断面図である。
図10】実施形態に係る、巾木を用いた施工構造の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る床材セットの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る床材セットを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0021】
<構成>
図1は、本実施形態に係る床材セットが設置される部屋の一例を示す平面図である。住宅等の建築/施工においては、所定の規格に沿って製造された部材を用いた建築/施工が容易となるように、部屋等のための各区画(柱2/壁3の中心から柱2/壁3の中心までの長さ)が、所定長を整数倍した長さを持って区画されることがある。例えば、この区画として尺モジュールが採用される場合、所定長には900mmや910mmが採用され、メーターモジュールが採用される場合、所定長には1000mmが採用される。なお、本開示において述べられている規格は、公的に標準化された規格に限定されない。規格には、事実上の規格や、単に1棟の建築において施工の便宜のために採用された規格も含まれる。
【0022】
この場合、ある区画は、一辺が所定長のx倍、他辺が所定長のy倍(x及びyは何れも正の整数)となるが、当該区画には、柱2や壁3、壁3と床材との間の部材(例えば、畳寄せ4)等が設置されるため、実際に畳等の床材を設置可能な領域のサイズは、当該区画のサイズよりも、所定のオフセット長ぶん小さくなる。即ち、このオフセット長は、部屋の壁3の厚み及び/又は該壁3と床材との間に設置される部材の幅に基づいて決定する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る柱2、壁3及び畳寄せ4の位置関係の一例を示す平面図である。本実施形態では、柱の中心からの壁の厚さ65mm(=柱の太さ105mm/2+壁材の厚さ12.5mm)としている。また、本実施形態では、床材として畳を例に説明するが、和室に畳を敷く場合、一般的には、壁3の内側に直接(壁3と畳が接するように)畳を敷くのではなく、壁3と畳の間に、畳寄せと呼ばれる部材4が設置される。本実施形態では、この畳寄せ4の寸法(壁3と畳の間の寸法)を15mmとして説明する。
【0024】
以下に、本実施形態に係る所定長900mm、柱の中心からの壁の厚さ65mm、オフセット長160mmである場合の、部屋の床材設置可能な領域のサイズを示す。
和室サイズ:区画のサイズ:壁の内側のサイズ:床材設置領域のサイズ
3畳:1,800mm * 2,700mm:1,670mm * 2,570mm:1,640mm* 2,540mm
4.5畳:2,700mm * 2,700mm:2,570mm * 2,570mm:2,540mm * 2,540mm
6畳:2,700mm * 3,600mm:2,570mm * 3,470mm:2,540mm * 3,440mm
8畳:3,600mm * 3,600mm:3,470mm * 3,470mm:3,440mm * 3,440mm
本実施形態に係る床材セットは、矩形の床材設置領域の各辺の長さが、所定長(本実施形態では、900mm)を任意の整数倍した長さから所定のオフセット長(本実施形態に示す例では、160mm=(柱の中心からの壁の厚さ65mm+畳寄せ15mm)*2がオフセット長として採用される)を減算した長さである部屋に設置されるための床材セットである。
【0025】
図3は、本実施形態に係る床材セットを構成する部材の一例を示す平面図である。本実施形態において、床材セットを構成する各床材は何れも畳であり、床材セットは、1又は複数の第一の正方形床材11と、1又は複数の第二の正方形床材12と、1又は複数の第一の長方形床材21と、1又は複数の第二の長方形床材22と、を含む。但し、本開示に係る床材セットは、本実施形態において示した4種類の床材を全て備える必要はない。床材セットが設置される部屋のサイズによっては、例示した4種類の床材のうち、1種類で対応可能である。また、本実施形態では、床材として畳を例に説明しているが、床材の種類は畳に限定されない。床材セットを構成する床材として採用可能な床材には、例えば、フローリング、コルク、タイル、カーペット、クッションフロア、石、等が挙げられる。
【0026】
第一の正方形床材11は、各辺が第一の長さを有する。ここで、第一の長さは、所定長を2倍した長さからオフセット長を減算した値を2で割ることで得られた長さである。例えば、所定長が900mmであり、オフセット長が160mmである場合、第一の長さは、820mm(=(900mm*2-160)/2)である。
【0027】
第二の正方形床材12は、各辺が第二の長さを有する。ここで、第二の長さは、所定長を4倍した長さからオフセット長を減算した値を4で割ることで得られた長さである。例えば、所定長が900mmであり、オフセット長が160mmである場合、第一の長さは、860mm(=(900mm*4-160)/4)である。
【0028】
第一の長方形床材21及び第二の長方形床材22は、一辺が第一の長さを有し、他辺が第一の長さとは異なる第二の長さを有する。ここで、第一の長方形床材21は、第一の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する。また、第二の長方形床材22は、第二の長さを有する辺と直交する向きの畳の目を有する。
【0029】
また、これらの床材は、畳縁を有する畳であってもよいし、畳縁を有さない畳であってもよい。なお、畳縁を有する場合、畳縁は、少なくとも畳の目と直交する辺に設けられることが通常である。即ち、第一の長方形床材21は、第一の長さを有する辺に畳縁を有し、第二の長方形床材22は、第二の長さを有する辺に畳縁を有する。但し、畳縁は、畳の4辺全てに設けられてもよい。
【0030】
<設置方法>
以下、様々なサイズの部屋に対して、本実施形態に係る床材セットが設置される例を説明する。ここでは、所定長が900mm、オフセット長160mm、第一の長さ820mm、第二の長さ860mmとして説明する。但し、本開示に係る床材セットが採用可能なサイズは、本実施形態において開示されたサイズに限定されない。
【0031】
図4は、本実施形態に係る床材セットを3畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。当該部屋は、「(所定長*2)*(所定長*3)」で区画された矩形の部屋であり、オフセット長を除くと、床材設置可能な領域として「1640mm*2540mm」の矩形領域を有する。本実施形態に係る床材セットによれば、第一の正方形床材11を2枚、第二の正方形床材12を0枚、第一の長方形床材21を2枚、第二の長方形床材22を2枚準備することで、床材設置可能領域を隙間なく埋めることが可能である。
【0032】
図5は、本実施形態に係る床材セットを4.5畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。当該部屋は、「(所定長*3)*(所定長*3)」で区画された矩形の部屋であり、オフセット長を除くと、床材設置可能な領域として「2540mm*2540mm」の矩形領域を有する。本実施形態に係る床材セットによれば、第一の正方形床材11を1枚、第二の正方形床材12を4枚、第一の長方形床材21を2枚、第二の長方形床材22を2枚準備することで、床材設置可能領域を隙間なく埋めることが可能である。
【0033】
図6は、本実施形態に係る床材セットを6畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。当該部屋は、「(所定長*3)*(所定長*4)」で区画された矩形の部屋であり、オフセット長を除くと、床材設置可能な領域として「2540mm*3440mm」の矩形領域を有する。本実施形態に係る床材セットによれば、第一の正方形床材11を0枚、第二の正方形床材12を8枚、第一の長方形床材21を2枚、第二の長方形床材22を2枚準備することで、床材設置可能領域を隙間なく埋めることが可能である。
【0034】
図7は、本実施形態に係る床材セットを8畳の部屋に設置する場合のレイアウトを示す平面図である。当該部屋は、「(所定長*4)*(所定長*4)」で区画された矩形の部屋であり、オフセット長を除くと、床材設置可能な領域として「3440mm*3440mm」の矩形領域を有する。本実施形態に係る床材セットによれば、第一の正方形床材11を0枚、第二の正方形床材12を16枚、第一の長方形床材21を0枚、第二の長方形床材22を0枚準備することで、床材設置可能領域を隙間なく埋めることが可能である。
【0035】
上記説明した床材セットによれば、所定の規格に従って区画された部屋を隙間なく床材セットで埋めることが可能である。しかし、住宅の施工においては、壁と壁の間の距離を高精度で施工することや、隣り合う壁同士が成す角度を直角に施工する事には限度があり、場合によっては、部屋の施工の寸法精度が低く、本実施形態に係る床材セットの寸法と整合しない場合がある。上記のような課題に鑑み、以下、壁と壁の間の距離や、隣り合う壁同士が成す角度の精度が十分でない場合にも、本実施形態に係る床材セットを設置可能とするために床材セットに追加可能な部材を説明する。
【0036】
<畳寄せ1>
図8は、本実施形態に係る、壁部材の下に設置される畳寄せを用いた施工構造の概略を示す断面図である。具体的には、本バリエーションにおいて、床材セットは、床材設置領域の4辺を規定するための畳寄せ部材であって、上面に部屋の壁部材の下端が載置される畳寄せ部材4aを更に備える。例えば、壁を施工する前に畳寄せ部材4aを設置することで、壁の施工精度に依存せずに、床材(例えば、畳11,12,21又は22)を敷く部分を高精度に施工することが可能となる。壁の施工精度を向上させることは困難であるが、床の上に、向かい合う距離を正しく、隣り合う角度を直角に、また歪まず直線になるように畳寄せ部材4aを設置することは容易である。そして、高精度で設置した畳寄せ部材4aの上に(畳寄せ部材4aの上面に壁部材の下端が載置されるように)壁を設置すれば、伝統的な和室と外観の変わらない和室とすることが出来る。
【0037】
<畳寄せ2>
図9は、本実施形態に係る、弾性を有する畳寄せを用いた施工構造の概略を示す断面図である。具体的には、本バリエーションにおいて、部屋の壁と床材(例えば、畳11,12,21又は22)との間に設置され、壁の施工誤差を吸収可能な弾性を備える畳寄せ部材4bを更に備える。このような畳寄せ部材4bを備える床材セットによれば、畳寄せの施工精度を高くしなくても、寸法、角度及び歪みを吸収することが可能である。また、このようなこのような畳寄せ部材4bを備える床材セットによれば、壁を設置した後に、当該壁に接するように畳寄せを設置するという一般的な和室の施工手順であっても、床材を隙間なく設置することが出来る。
【0038】
<巾木>
図10は、本実施形態に係る、巾木を用いた施工構造の概略を示す断面図である。具体的には、本バリエーションにおいて、部屋の壁に沿って床材の端部を覆うように設置されることで、壁の施工誤差によって該壁と床材(例えば、畳11,12,21又は22)との間に生じる空隙を隠す巾木部材5を更に備える。このような巾木部材5を用いることで、壁の施工精度に依存することなく、床材(畳)を敷くことが可能となる。この場合、床材(畳)が設置後にずれないように、壁と床材との間に、壁の施工誤差を吸収可能な弾性を備える緩衝材(畳寄せ部材)4cを入れることとしてもよい。
【0039】
<効果>
本実施形態によれば、床材セットに含まれる各床材を、部屋の大きさに応じて物件ごとにまとめて梱包し、現場へ配送するのみで、所定の規格に従って区画された部屋を隙間なく床材セットで埋めることが可能であり、従来のように、畳業者が直接現場へ訪問して寸法を測ったり敷き込みを行ったりする手間を省略することが出来る。
【符号の説明】
【0040】
1 床材セット
2 柱
3 壁
4 畳寄せ
5 巾木
11 第一の正方形床材
12 第二の正方形床材
21 第一の長方形床材
22 第二の長方形床材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10