(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】反射部材を用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 7/04 20060101AFI20240318BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20240318BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240318BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240318BHJP
【FI】
F21V7/04 123
F21V7/06 100
F21S2/00 310
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019233763
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594067025
【氏名又は名称】嶋田プレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】二俣 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】関 克彦
(72)【発明者】
【氏名】梅林 亨
(72)【発明者】
【氏名】武田 大輔
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-027917(JP,A)
【文献】特開2006-338985(JP,A)
【文献】特開平02-288003(JP,A)
【文献】特開平02-288004(JP,A)
【文献】特開2010-251318(JP,A)
【文献】特開2014-170630(JP,A)
【文献】特開2005-228646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/04
F21V 7/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する反射部材と、前記反射部材を支持する回路基板と、前記回路基板における、前記反射部材の焦点に対応する焦点領域に配設されたLED光源と、を備え、
前記反射部材は、前記LED光源からの照射光を反射する反射部材本体を備え、前記反射部材本体は、一端側が収束し且つ他端側が開放された放物面状の一部形状であり、内周側のベース部及び前記ベース部の外周面に周方向に設けられた複数の突条を有し、前記複数の突条は前記反射部材本体の前記一端側から前記他端側に放射状に延びており、
また、前記複数の突条の頂部を結ぶ仮想面が放物面の一部を規定するように構成され、前記複数の突条の前記頂部断面が直角になっており、
更に、前記反射部材本体の前記ベース部の肉厚をt1とし、前記反射部材本体の前記複数の突条における前記ベース部の内周面から前記複数の突条の頂部までの肉厚をt2とすると、前記LED光源は、前記反射部材本体の仮想肉厚taがta=〔(t1+t2)/2〕とする放物面の焦点位置に配設されており、
前記
LED光源からの照射光は、前記ベース部を通過して前記
複数の突条に至り、前記
複数の突条にて前記反射部材本体の前記他端側に向けて反射されることを特徴とする
照明装置。
【請求項2】
前記反射部材本体は、一端側が収束し且つ他端側が開放された半放物面状であり、その下面側が前記回路基板の表面に支持され、前記LED光源は、前記回路基板における、前記反射部材本体の仮想肉厚taがta=〔(t1+t2)/2〕とする放物面の焦点位置に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の突条の周方向の角度幅は、0.5~5度であることを特徴とする請求項1に記載の
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの照射光を所定方向に反射するための反射部材を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射装置の反射部材は、光源からの照射光を反射するための反射面を有する反射部材本体を備えている(例えば、特許文献1参照)。この反射部材の反射面は、反射部材本体の内周面に設けられ、この内周面(反射面)が放物面状に形成され、光源(例えば、LED光源)は、この放物面の焦点位置に配設される。
【0003】
このような反射部材では、その反射面に例えばアルミ蒸着などの表面処理が施され、このように反射効率を高めて光源からの照射光を所定方向に向けて反射させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した反射部材では、反射部材本体の反射面にアルミ蒸着などの表面処理を施さなければならず、そのための製造の工程が増え、製造工程が複雑になるとともに、歩留り低下を引き起こし、製造コストが高くなる問題がある。また、反射部材本体の反射面に施したアルミ蒸着の反射効率を改善するにはさらに増反射コートを施すなど専用の装置も必要となり、また反射効率の高いアルミ以外の材料を適用しようとすると製造コストや耐久性の課題もあり、このようなことから、反射効率の改善を簡便にできる手段が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、製造が比較的簡単で且つ反射効率も改善することができる反射部材を用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、光を反射する反射部材と、前記反射部材を支持する回路基板と、前記回路基板における、前記反射部材の焦点に対応する焦点領域に配設されたLED光源と、を備え、
前記反射部材は、前記LED光源からの照射光を反射する反射部材本体を備え、前記反射部材本体は、一端側が収束し且つ他端側が開放された放物面状の一部形状であり、内周側のベース部及び前記ベース部の外周面に周方向に設けられた複数の突条を有し、前記複数の突条は前記反射部材本体の前記一端側から前記他端側に放射状に延びており、
また、前記複数の突条の頂部を結ぶ仮想面が放物面の一部を規定するように構成され、前記複数の突条の前記頂部断面が直角になっており、
更に、前記反射部材本体の前記ベース部の肉厚をt1とし、前記反射部材本体の前記複数の突条における前記ベース部の内周面から前記複数の突条の頂部までの肉厚をt2とすると、前記LED光源は、前記反射部材本体の仮想肉厚taがta=〔(t1+t2)/2〕とする放物面の焦点位置に配設されており、
前記LED光源からの照射光は、前記ベース部を通過して前記複数の突条に至り、前記複数の突条にて前記反射部材本体の前記他端側に向けて反射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明装置によれば、反射部材本体のベース部の外周面に周方向に複数の突条が設けられ、これらの突条の頂部を結ぶ仮想面が放物面の一部を規定するように構成され、これら突条の頂部断面が直角になっているので、光源からの照射光は、反射部材本体のベース部を通過して突条に至り、これら突条にて反射部材本体の他端側に向けて反射されるようになり、これによって、光源からの光を効率良く反射させることができる。
また、反射部材本体のベース部の肉厚をt1とし、反射部材本体の複数の突条におけるベース部の内周面から複数の突条の頂部までの肉厚をt2とすると、LED光源は、反射部材本体の仮想肉厚taがta=〔(t1+t2)/2〕とする放物面の焦点位置に配設されるので、LED光源からの照射光をより効率良く反射させて照度を高めることができる。
更に、このような反射部材は、樹脂成形、例えば射出成形により形成することができ、比較的簡単に且つ安価に製造することができる。更にまた、このような反射部材では、一般的なアルミ蒸着を施すことなく、反射効率を高めることができるため、製造工程の削減や歩留り向上、さらに反射部材本体の廃棄時にリサイクルも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に従う
照明装置に用いる反射部材の第1の実施形態を示す側面図。
【
図3】
図2におけるIII-III線による断面図。
【
図4】
図1の反射部材を用いた照明装置の一部を示す部分拡大断面図。
【
図5】
図1の反射部材の一部を拡大して示す部分拡大端面図。
【
図6】シミュレーション実験及び照射実験に用いた実施例1の反射部材の寸法を示す図であって、
図6(a)
は反射部材の平面図、
図6(b)
はその正面図
、図6(c)
はその底面図。
【
図7】
図7(a)は、実施例1の反射部材のシミュレーション結果を示す図であって、反射部材からの反射光の照度分布を示す図、
図7(b)は、製作した反射部材を用いた照射実験により得られた反射部材からの反射光の照度分布を示す実測データ図。
【
図8】シミュレーション実験及び照射実験に用いた比較例1の反射部材の寸法を示す図であって、
図8(a)
は反射部材の正面図、
図8(b)
はその底面図。
【
図9】
図9(a)は、比較例1の反射部材のシミュレーション結果を示す図であって、反射部材からの反射光の照度分布を示す図、
図9(b)は、製作した反射部材を用いた照射実験により得られた反射部材からの反射光の照度分布を示す実測データ図。
【
図10】実施例2のシミュレーション実験結果を示す図であって、反射部材からの反射光の照度分布を示す図。
【
図11】比較例2のシミュレーション実験結果を示す図であって、反射部材からの反射光の照度分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に
従う照明装置の実施形態を説明する。まず、
図1~
図5を参照して、本発明に
従う照明装置の第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1~
図3において、
照明装置に用いる図示の反射部材2は、照射光を反射するための反射部材本体4を備え、この反射部材本体4が回路基板6の所定部位に取り付けられる。反射部材本体4は、
図1~
図3に示すように、一端側(
図1及び
図3において左端側)が収束し且つ他端側(
図1及び
図3において右端側)が開放された半放物面状の形状(換言すると、周方向に180度の形状)に形成され、その下面側が回路基板6の表面に支持される。このような反射部材本体4は、透明の樹脂材料の成形により形成され、例えばアクリル樹脂の射出成形により形成される。
【0014】
この反射部材本体4は、内周側に設けられたベース部8と、このベース部8の外周面に周方向に連続して設けられた複数の突条10を有し、これら突条10はベース部8の一端側から他端側まで実質上全長にわたって放射状に延びている。複数の突条10は、ベース部8の外周面に連続して設けられ、それらの頂部12(
図5参照)が直角に形成されており、このように直角にすることによって、光源としてのLED光源14(
図4参照)からの光を反射部材本体4の開放された他端側に効率良く反射させることができる。
【0015】
この実施形態では、複数の突条10は、断面形状が例えば直角二等辺三角形状に形成され、これら突条10の周方向の角度幅は、大きくなると反射効率は低下するために、実用上の適用を考慮すると、例えば0.5~5度の角度範囲、好ましくは1~4度の角度範囲に設定され、この実施形態では、例えば4度になっている。これら突条10の角度幅が0.5度より小さくなると、突条10の大きさが小さくなり過ぎ、加工時の頂点Rの影響を受けやすく、LED光源14からの照射光がこれら突条10を通過するようになって反射効率が低下する。また、これら突条10の角度幅が5度より大きくなると、突条10の大きさが大きくなり過ぎ、焦点位置のズレの影響を受けやすく、LED光源14からの照射光の反射効率が低下する。
【0016】
このような反射部材本体4は、複数の突条10の頂部12(具体的には、頂点)を結ぶ仮想面Q(
図5参照)が放物面の一部を規定するように構成され、このように構成することによって、LED光源14(その発光部)は、仮想面Qによって規定される半放物面の焦点領域P(具体的には、回路基板6における、この焦点領域に対応する焦点領域)に配設され、このように配設することにより、LED光源14からの照射光を反射部材本体4の他端側に向けて効率良く反射させることができる。
【0017】
この焦点領域Pとは、仮想面Qによって規定される半放物面の焦点位置又はその近傍位置の領域であって、この近傍位置とは、半放物面の焦点位置を反射部材本体4の肉厚を考慮して補正した位置をいう。
【0018】
このような反射部材本体4においては、全体の外形が一端側が収束され且つ他端側が開放された半放物面状であるので、複数の突条10の一端側(収束側)においては、それらの高さが低く、それらの他端側(開放側)においては、それらの高さは高く、これら突条10の高さは、一端側から他端側に向けて漸増している(
図2及び
図3参照)。
【0019】
この実施形態では、反射部材本体4の他端部に径方向外方に突出するフランジ部16が設けられ、このフランジ部16の両下端部に、外側に突出する突出取付部18が設けられ、かかる突出取付部18にスリット20(
図1において一方のみ示す)が設けられている。このように構成されているので、突出取付部18のスリット20を通して取付ねじ(図示せず)を取付部材22に螺着することにより、この反射部材本体4が取付部材22に取り付けられ、かかる取付部材22が例えば回路基板6に取り付けられる。
【0020】
この取付部材22には、図示していないが、反射部材本体4の他端側開口24(
図3参照)に対応する照射開口(図示せず)が設けられており、LED光源14からの照射光は、この反射部材本体4により後述する如く反射された後に取付部材22の照射開口を通して投射される。
【0021】
この実施形態の反射部材2では、LED光源14からの反射光は、次のようにして反射される。主として
図3及び
図4を参照して、LED光源14としては、例えば表面実装型トップビュータイプのLEDが用いられ、このLED光源14からの照射光は、上方(
図3において上方)に向くように回路基板16の表面に取り付けられる。
【0022】
このLED光源14からの照射光は、
図3及び
図4に矢印で示すように、反射部材本体4のベース部8を通過して突条10に至り、その後この突条10の外面(即ち、突条10と大気との境界面)により反射されて反射部材本体4の他端側開口24を通して照射される。このとき、複数の突条10は、その頂部12の角度が直角となる直角三角形状に形成されているので、LED光源14からの照射光は、突条10を通過してその片側の内斜面32により反射され、更にこの突条10を通過してその他側の内斜面34により反射され、このように反射された照射光は、反射部材本体4の他端開口24側を通して外部に投射される(
図4参照)。
【0023】
この反射部材2を用いた照明装置では、LED光源14からの照射光は、反射部材本体4の複数の突条10により効率良く反射され、反射部材本体4の他端開口24を通して外部に照射される照射光の照度が大きく、この他端開口24を通して明るく照らすことができる。また、この反射部材2では、アルミ蒸着などの表面処理を施すことなくLED光源14からの照射光を高効率で反射することができ、高効率の反射部材を比較的容易に且つ安価に提供することができる。更に、LED光源14を取り付けた回路基板6上に半放物面状の反射部材2を設けた構造にすることにより、反射部材2からの反射光がLED光源14により遮られることがほとんどなく、このことにより、反射部材4の他端側開口24を通して投射される光をより明るくすることができる。
【0024】
この反射部材2を用いた照明装置では、反射部材2の複数の突条10の頂部12を結ぶ仮想面Q(
図5参照)が半放物面となるように構成され、このように構成した場合、LED光源14(具体的には、その発光部)は、この仮想面Qの半放物面の焦点位置に配設され、このように配設することによって、LED光源14からの照射光を高効率で反射させることができるが、この反射部材本体4の肉厚を考慮してLED光源14の配置位置を補正することによって、より効率良く反射させて照射光の照度を高めることができる。
【0025】
この場合、
図5に示すように、反射部材本体4のベース部8の肉厚をt1とし、反射部材本体4の
複数の突条10におけるベース部8の内周面から
複数の突条10の頂部12までの肉厚をt2とすると、反射部材本体4の仮想肉厚taがta=〔(t1+t2)/2〕とする放物面Q2(換言すると、反射部材本体4の外形がQaとなる放物面)における焦点位置に、このLED光源14が配置されるようにその配置位置を補正するのが好ましく、この位置補正は、反射部材本体4を回路基板6の表面に沿って移動させることにより容易に行うことができる。
【0026】
以上、照明装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、反射部材として半放物面形状(換言すると、周方向に180度の形状)のものを用いているが、このような形状に限定されず、周方向の角度が180度よりも小さい放物面形状、例えば60度、90度、120度、150度などの適宜の角度の放物面形状のもの、或いは周方向の角度が180度よりも大きい放物面形状、例えば240度、270度、300度、360度などの適宜の角度の放物面形状のものを用いるようにしてもよい。
【0028】
本発明の
照明装置に用いた反射部材の効果を確認するために、実施例1として、
図6に示す形状の反射部材を用いたときの反射効率をシミュレーションにより求め、また
図6に示す形状の反射部材(外周面に放射状に複数の突条を設けたもの)を製作し、製作した反射部材による照射実験を行った。
【0029】
〈実施例1の反射部材〉
反射部材本体の外形形状:半放物面形状(周方向に180度の形状)
反射部材本体の他端側開口の幅W:46mm
反射部材本体の他端側開口の高さH:23mm
反射部材本体のベース部の一端側内面から他端側開口までの長さL:29.5mm
反射部材本体の突条の軸方向の長さP:26.5mm
突条の配設部位:反射部材本体の外周面の全域
突条の周方向の角度幅:4度
突条の頂部の角度:90度
LED光源の光束:18.6ルーメン
LED光源の半値角:140度
LED光源の配置位置:反射部材本体の外形形状の半放物面の焦点位置
反射部材本体の材質:アクリル樹脂
この実施例1の反射部材のシミュレーション結果は、
図7(a)に示す通りであった。この
図7(a)に示すように、このときの反射光の最大照度は約338ルクスであり、反射部材の反射効率については、約71.7%となっていることが確認できた。
【0030】
実施例1の反射部材を用いた照射実験では、LED光源を反射部材の外形形状の半放物面の焦点位置(具体的には、肉厚を考慮した焦点領域)に配置し、このLED光源からの光を反射部材で反射させた後に、1m先に設置したスクリーンに照射させた。このときのスクリーンに映し出された反射光分布は、
図7(b)に示す通りであった。このときの反射光の最大照度は実測データで約343ルクスであり、反射部材の反射効率については、実測データで約73.0%となっていることが確認できた。
【0031】
比較例として、
図8に示す形状の反射部材(従来タイプ)を用いたときの反射効率をシミュレーションにより求め、また
図8に示す形状の反射部材(反射部材本体の内周面の表面処理にアルミ蒸着をしたもの)を製作し、製作した反射部材による照射実験を行った。
【0032】
〈比較例1の反射部材〉
反射部材本体の内周面形状:半放物面形状(周方向に180度の形状)
反射部材本体の他端側開口の幅w:45mm
反射部材本体の他端側開口の高さh:22.5mm
反射部材本体のベース部の一端側内面から他端側開口までの長さl:30mm
LED光源の光束:18.6ルーメン
LED光源の半値角:140度
LED光源の配置位置:反射部材本体の内周面形状の半放物面の焦点位置
反射部材本体の内周面の表面処理:アルミ蒸着(シミュレーション実験の反射率設定は85%)
この比較例1の反射部材のシミュレーション結果は、
図9(a)に示す通りであった。この
図9(a)に示す通り、LED光源からの最大照度は、実施例1と比較して強く、約831ルクスであったが、反射して放出される光束は少なく、比較例1の反射部材の反射効率については、約68.5%と実施例1に比して約3.2%低かった。
【0033】
比較のための比較例1の反射部材の照射実験は、LED光源を反射部材の焦点位置に配置し、このLED光源からの光を反射部材で反射させた後に、1m先に設置したスクリーンに照射させた。このときのスクリーンに映し出された反射光分布は、
図9(b)に示す通りであった。このときの反射光の最大照度は実測データで約854ルクスであり、反射部材の反射効率については、実測データで約65.9%となっており、実施例1の反射部材の反射効率と比較して約7.1%低かった。
【0034】
以上のようにシミュレーション実験及び反射部材の照射実験の結果、いずれも実施例1の方が、最大照度は低下するものの、照射領域全域において照度差は小さく、全体的に柔らかな光となっており、また反射効率は高くなることが確認できた。
【0035】
次に、実施例2として実施例1と同じ形状
の反射部材を用い、また比較例2として比較例1の形状の反射部材を用い、LED光源の半値角を120度としてシミュレーション実験を行った。但し、比較例1の内面の反射率は増反射コートを想定し93%とした。実施例2の反射光の照度分布は、
図10に示す通りであり、比較例2の反射光の照度分布は、
図11に示す通りであった。即ち、
図10は実施例2のシミュレーション結果で、
図11は比較例2のシミュレーション結果である。反射効率は実施例2の形状の場合は約94.6%、比較例2の形状の場合は約90.4%となり、実施例2の方が約4.2%高くなり、実施例1と比較例1の実験結果と同様に反射効率の増加が確認できた。
【0036】
尚、LED光源の半値角が140度から120度に変更したことで反射効率は実施例2の方が実施例1より大きくなったが、半値角が140度のものの方が、出射される光束が反射部材に当たらず、直接漏れる割合が著しく大きくなるためであると考えられる。
【符号の説明】
【0037】
2,2A,2B,2C 反射部材
4,4A,4B,4C 反射部材本体
6 回路基板
8 ベース部
10 突条
12 頂部
14 LED光源
42,52,62 第1領域
44,54,64 第2領域
66 第3領域