(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】インクジェットインク
(51)【国際特許分類】
C09D 11/36 20140101AFI20240318BHJP
C09D 11/38 20140101ALI20240318BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
C09D11/36
C09D11/38
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2020005871
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000115119
【氏名又は名称】ユニオンケミカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 操
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 真広
(72)【発明者】
【氏名】入江 晴康
(72)【発明者】
【氏名】河原 智明
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06869986(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0248838(US,A1)
【文献】特表2015-523435(JP,A)
【文献】特開2005-187745(JP,A)
【文献】特開平06-306316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0190926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D11
B41J2/01
B41M5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤、界面活性剤、及び色材を含むインクジェットインクであって、
前記有機溶剤が、1,3-ジオキソラン
及びメチルエチルケトンを含
み、1,3-ジオキソランとメチルエチルケトンとの質量比が、20:80~80:20であり、
前記界面活性剤が、含フッ素型ノニオン界面活性剤であるインクジェットインク。
【請求項2】
界面活性剤の含有量が、有機溶剤100質量部に対して、0.1~2質量部である、請求項
1に記載のインクジェットインク。
【請求項3】
色材が、含金属染料である、請求項1
又は2に記載のインクジェットインク。
【請求項4】
色材の含有量が、有機溶剤100質量部に対して、1~20質量部である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
【請求項5】
樹脂を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットインクは、主として、水系インク、紫外線硬化型インク、溶剤系インクが使用される。これらのうち、水系インクは乾燥時間の長さに問題があり、紫外線硬化型インクは経済性に劣るため、溶剤系インクが好適に使用される。
【0003】
溶剤系インクとして、例えば、特許文献1には、可溶性染料;インクの0.1~1wt%の、少なくとも一つのアルキルアミド官能基を含む官能化パーフルオロポリエーテル;及び一価短鎖型アルコール、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、1-メトキシ-2-プロパノール、及びジエチレングリコールブチルエーテルの少なくとも一つを含む溶媒からなる、インクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットインクには、速乾性が求められるが、一般的に、速乾性のインクは、プリントヘッドをキャップしない状態(ノズル開口部が空気に曝された状態)でインクが流体のまま維持される時間(デキャップタイム)が短く、速乾性と長時間のデキャップタイムとを両立させることは困難である。さらに、これらの特性に加えて、間欠ロングラン印刷適性を満足させることは、より一層困難である。特許文献1に記載されるような溶剤系インクであっても、速乾性、長時間のデキャップタイム、及び間欠ロングラン印刷適性の全てを十分に満足させるためには、更なる改善の余地がある。
【0006】
したがって、本発明の主たる課題は、速乾性、長時間のデキャップタイム、及び間欠ロングラン印刷適性の全てを十分に満足したインクジェットインクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機溶剤、界面活性剤、及び色材を含むインクジェットインクにおいて、有機溶剤として、少なくとも1,3-ジオキソランを用いると、速乾性、長時間のデキャップタイム、及び間欠ロングラン印刷適性の全てを十分に満足したインクジェットインクが得られることを見出した。本発明は、前記知見に基づいてさらに検討を重ねて完成したものである。
【0008】
本発明は、以下の態様を包含する。
項1.
有機溶剤、界面活性剤、及び色材を含むインクジェットインクであって、前記有機溶剤が、1,3-ジオキソランを含むインクジェットインク。
項2.
有機溶剤が、さらにメチルエチルケトンを含む、項1に記載のインクジェットインク。
項3.
1,3-ジオキソランとメチルエチルケトンとの質量比が、20:80~80:20である、項2に記載のインクジェットインク。
項4.
界面活性剤が、ノニオン界面活性剤である、項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
項5.
界面活性剤の含有量が、有機溶剤100質量部に対して、0.1~2質量部である、項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
項6.
色材が、含金属染料である、項1~5のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
項7.
色材の含有量が、有機溶剤100質量部に対して、1~20質量部である、項1~6のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、速乾性、長時間のデキャップタイム、及び間欠ロングラン印刷適性の全てを十分に満足したインクジェットインクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「インクジェットインク」とは、インクジェット印刷に用いるためのインク、又はインクジェット印刷に適したインクを意味する。
【0011】
本発明のインクジェットインクは、有機溶剤、界面活性剤、及び色材を含む。
【0012】
有機溶剤は、界面活性剤又は色材を分散又は溶解させることができる。有機溶剤は、界面活性剤及び色材を溶解させるものであることが好ましい。
【0013】
有機溶剤は、1,3-ジオキソランを含む。有機溶剤中の1,3-ジオキソランの含有率は、特に制限されないが、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。1,3-ジオキソランの含有量が多いほど、長時間のデキャップタイムが得られる傾向にある。
【0014】
有機溶剤は、さらに他の溶剤を含んでいてもよい。他の溶剤としては、例えば、アルコール、鎖状エーテル、ケトン、エステルなどが挙げられる。他の溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。他の溶剤の中では、ケトンが好ましく、メチルエチルケトンがさらに好ましい。一実施態様において、有機溶剤は、実質的に1,3-ジオキソラン及びメチルエチルケトンのみからなることが好ましい。
【0015】
1,3-ジオキソランとメチルエチルケトンの質量比は、特に制限されないが、例えば20:80~80:20、好ましくは30:70~70:30、より好ましくは40:60~70:30、さらに好ましくは50:50~70:30である。メチルエチルケトンの含有量が多いほど、速乾性が得られる傾向にあり、1,3-ジオキソランとメチルエチルケトンとの質量比が上記の範囲にあれば、速乾性及び長時間のデキャップタイムを両立できるだけでなく、優れた間欠ロングラン印刷適性をも有することができる。
【0016】
有機溶剤の常圧(1013hPa)における沸点は、インクジェットインクが速乾性を有する限り特に制限されないが、例えば90℃以下、好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下であり、通常、50℃以上である。
【0017】
有機溶剤の25℃での蒸気圧は、インクジェットインクが速乾性を有する限り特に制限されないが、例えば85hPa以上、好ましくは90hPa以上、さらに好ましくは95hPa以上であり、通常、200hPa以下である。
【0018】
有機溶剤の25℃での表面張力は、インクジェットインクが速乾性を有する限り特に制限されないが、例えば20mN/m以上、好ましくは25mN/m以上であり、通常、70mN/m以下である。
【0019】
インクジェットインク中の有機溶剤の含有率は、特に制限されないが、例えば70質量%以上、好ましくは75質量%以上であり、通常、90質量%以下である。
【0020】
界面活性剤は、液滴の形成や着弾後のぬれ広がりだけでなく、デキャップタイムの延長、間欠ロングラン印刷適性の改善にも寄与し得る。界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0021】
アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。カルボン酸塩の具体例としては、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルメチルタウリン塩などが挙げられる。スルホン酸塩の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩などが挙げられる。硫酸塩の具体例としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアシルグリセリン硫酸エステル塩などが挙げられる。リン酸塩の具体例としては、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0022】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩、4級アンモニウム塩などが挙げられる。アミン塩の具体例としては、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩などが挙げられる。4級アンモニウム塩の具体例としては、アルキル4級アンモニウム塩;ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、アルキルピリジニウム塩などの環式4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0023】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン型、多価アルコール脂肪酸エステル型、含窒素型などが挙げられる。ポリオキシエチレン型の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルカノエートなどが挙げられる。多価アルコール脂肪酸エステル型の具体例としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。含窒素型の具体例としては、アルキルジアルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、アルキルスルホンアミドなどが挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、例えば、グリシン型、アミノプロピオン酸型などのアミノ酸型;アミノ酢酸ベタイン型、スルホベタイン型などのベタイン型;リン酸型などが挙げられる。
【0025】
アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤は、含フッ素型であってもよく、例えば、パーフルオロアルキル基を有することが好ましい。これらのうち、含フッ素型ノニオン界面活性剤が好ましく、その具体例としては、パーフルオロアルキルスルホンアミド(例えば、N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)パーフルオロオクチルスルホンアミド)、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。パーフルオロポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも一方の末端基[-OR(Rは、水素原子又はアルキル基である)]は、例えば、-OC(=O)Q(Qは、アルキル基である)、-O-C(=O)NZ2(Zは、水素原子又はアルキル基である)などに置き換わってもよい。
【0026】
界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することできる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0027】
界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、有機溶剤100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上であることができ、例えば2質量部以下、好ましくは1.5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下であることができる。界面活性剤の含有量が多いほど、長時間のデキャップタイム、優れた間欠ロングラン適性が得られる傾向にあり、界面活性剤の含有量が少ないほど、速乾性が得られる傾向にある。
【0028】
色材は、印刷デザインなどに応じて適宜選択することができる。色材としては、例えば、顔料、染料などが挙げられる。
【0029】
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、レーキ顔料などが挙げられる。アゾ顔料の具体例としては、不溶性アゾ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、縮合アゾ顔料などが挙げられる。多環式顔料の具体例としては、フタロシアニン顔料、アゾメチン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。
【0030】
各色に使用される顔料の例は、次の通りである。
(レッド又はマゼンタ)
C.I.ピグメントレッド-2、3、5、57:1、112、122、144、149、166、168、177、178、184、202、254など。
(バイオレット)
C.I.ピグメントバイオレット-19、23、37など。
(イエロー)
C.I.ピグメントイエロー-74、75、83、93、95、97、98、109、110、128、138、147、150、151、154、155、180、185など。
(ブルー又はシアン)
C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、16、22、60など。
(グリーン)
C.I.ピグメントグリーン-7、37など。
(ブラック)
C.I.ピグメントブラック-1、6、7など。
【0031】
染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、含金属染料などが挙げられる。
【0032】
各色に使用される染料の例は、次の通りである。
(レッド又はマゼンタ)
C.I.ソルベントレッド-8、24、25、49、91、122、127、146、149、172、196、227、312など。
(バイオレット)
C.I.ソルベントバイオレット-8、13、26、31、36、49、51など。
(イエロー)
C.I.ソルベントイエロー-2、21、43、56、79、85、93、114、131、151、160、163、176、185など。
(ブルー又はシアン)
C.I.ソルベントブルー-4、35、38、45、59、63、70、78、83、101、104、111など。
(グリーン)
C.I.ソルベントグリーン-3、5、7、28など。
(ブラック)
C.I.ソルベントブラック-5、7、27、29、34など。
【0033】
色材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。色材としては、好ましくは染料であり、さらに好ましくは含金属染料である。
【0034】
色材の含有量は、特に制限されないが、有機溶剤100質量部に対して、例えば1質量部以上、好ましくは5質量部以上であることができ、例えば20質量部以下、好ましくは15質量部以下であることができる。
【0035】
インクジェットインクは、有機溶剤、界面活性剤、及び色材以外に、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、例えば、樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、レベリング剤などが挙げられる。他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
他の添加剤の中では、定着性を向上させるため、樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、スチレンアクリル系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
他の添加剤の含有量は、特に制限されないが、有機溶剤100質量部に対して、例えば0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上であることができ、例えば10質量部以下、好ましくは5質量部以下であることができる。
【0038】
本発明のインクジェットインクは、インクカートリッジに充填された形態であってもよい。
【0039】
本発明のインクジェットインクは、インクジェット印刷機を用いてあらゆる対象に印刷することが可能であり、特に、インク非吸収性基材(又はノンポーラス基材)、凹凸又は曲面を有する物品に対して印刷することが可能である。インク非吸収性材料としては、例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどのプラスチック;銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属;ガラスなどが挙げられる。凹凸又は曲面を有する物品としては、電子部品、食品包装フィルム、スチール缶、ボトル、チューブなどが挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、これらの実施例に限定されない。
【0041】
<インクジェットインクの評価方法>
下記(1)~(3)の物性は、マーキング・コーディングに特化した小型のサーマルインクジェットプリンタを用いて、搬送速度15m/分で移動する所定の被印刷媒体に対し、実施例・比較例で作製したインクにより300dpi×300dpiの解像度で評価用画像を印刷することにより評価した。
(1)速乾性
PETフィルムにベタを印刷する。速乾性を以下の基準で評価した。
〇:印刷から5秒後に印刷部をウエスで擦ってもインクがウエスに付着しない
△:印刷から5秒後に印刷部をウエスで擦るとインクがウエスに付着するが、
印刷から10秒後に印刷部をウエスで擦ってもインクがウエスに付着しない
×:印刷から10秒後に印刷部をウエスで擦るとインクがウエスに付着する
【0042】
(2)デキャップタイム
PPC(Plain Paper Copy)用紙に全ノズルから吐出させるノズルチェックパターン画像を印刷し、その後、ノズルをワイプしたり保護せずそのまま放置して空気にさらした。60分経過後、再びノズルチェックパターン画像を印刷し、ノズルからインクが正常に吐出しているかを観察した。デキャップタイムを以下の基準で評価した。
○:不吐出がない
△:不吐出のノズルが300個中5個未満
×:不吐出のノズルが300個中5個以上
【0043】
(3)間欠ロングラン印刷適性
所定の画像を2000回連続で吐出して15秒停止、また2000回連続で吐出して15秒停止、という具合で間欠的にカートリッジ1本分を最後まで吐出できるかどうかを評価した。実際は、2000回をすべて印刷せず、カップに吐き捨てて、15秒停止後にPPC用紙へ1回印刷し、これを観察して以下の基準で評価した。なお、PPC用紙に印刷するか、印刷せずにカップに吐き捨てるかの違いで、ノズルから吐出させていることに何ら変わりはない。
○:不吐出がなく、着弾位置もずれてない
△:不吐出のノズルが300個中5個未満、又は不吐出はないが着弾位置がずれている
×:不吐出のノズルが300個中5個以上
【0044】
<インクジェットインクの作製方法>
含金属染料、含フッ素型ノニオン界面活性剤、及び有機溶剤を、撹拌機を使用して十分に撹拌して混合して、1μmのメンブランフィルターを用いてろ過することにより、表1及び表2に示す組成のインク組成物を得た。
【0045】
結果を表1及び表2に示す。なお、表中のインク組成は質量部基準である。
【表1】
【表2】