(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び軸封装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/12 20060101AFI20240318BHJP
F04D 29/063 20060101ALI20240318BHJP
F16J 15/34 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F04D29/12 B
F04D29/063
F16J15/34 J
(21)【出願番号】P 2020023649
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】堀 将直
(72)【発明者】
【氏名】前田 宙輝
(72)【発明者】
【氏名】梅本 奨平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-148392(JP,A)
【文献】実開昭52-037143(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向に沿って設けられる回転軸と、
前記回転軸の上部に設けられ、前記回転軸を回転するモータと、
前記回転軸の下部に設けられ、ポンプケーシングを有し、前記回転軸の回転により駆動するポンプと、
前記モータ及び前記ポンプの間に設けられ、少なくとも前記ポンプケーシングにより形成され、前記回転軸が貫通する軸封室と、
前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、
前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、
内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、
を備え
、
前記スプリングは、下方から上方に向かう巻き方向が前記回転軸の回転方向と同一である、ポンプ装置。
【請求項2】
前記壁部は、周方向の中心が、前記円筒部の軸線及び前記軸線と前記開口部の周方向の中心とを結ぶ直線を含む平面上に位置する形状に形成される請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記隙間は、前記径方向で1.5mm以下である請求項1
又は請求項
2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記軸封室は、底面に設けられる円環状の下側内壁部、及び、前記下側内壁部の外周面に設けられる係合部をさらに備え、
前記案内部材は、前記下側内壁部の上端に配置される第1円筒部と、前記第1円筒部の下端に一体に設けられ、内周面に前記係合部と係合する被係合部を有する第2円筒部と、を備え、
前記開口部は、前記第2円筒部から前記第1円筒部にわたって設けられる、請求項1
又は請求項
2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記円筒部の周方向に沿って2箇所乃至4箇所のいずれかが設けられる請求項1
又は請求項
2に記載のポンプ装置。
【請求項6】
重力方向に沿って設けられる回転軸が貫通する軸封室と、
前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、
前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、
内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、
を備え
、
前記スプリングは、下方から上方に向かう巻き方向が前記回転軸の回転方向と同一である、軸封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び軸封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸封装置として、軸封対象物に固定される固定環と、回転軸に固定される回転環と、を有し、固定環と回転環との間に摺動面を形成する構成が知られている。このような軸封装置は、例えば、固定環、回転環及び潤滑剤を収容する軸封室が設けられ、軸封室に収容した潤滑剤により摺動面を潤滑及び冷却する(例えば、特許文献1参照)。軸封装置は、例えば、ポンプ装置に使用され、回転軸とポンプケーシングとの隙間を軸封する。
【0003】
また、回転軸が重力方向に沿って設けられるポンプ装置においては、一般に、軸封室には、潤滑剤を充満させず、軸封室の容積の80%程度の量の潤滑剤が収容される。これは、ポンプ装置の駆動に伴う潤滑剤の膨張率を見込んで、予め軸封室内の上方に空気溜まりを設けるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、軸封室に収容された潤滑剤の液面よりも摺動面が上方に位置する場合、摺動面に潤滑剤が供給されず、摺動面の潤滑及び冷却の機能が損なわれる虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、潤滑剤の液面よりも上方に位置する摺動面に、潤滑剤を安定的に供給することができるポンプ装置及び軸封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、重力方向に沿って設けられる回転軸と、前記回転軸の上部に設けられ、前記回転軸を回転するモータと、前記回転軸の下部に設けられ、ポンプケーシングを有し、前記回転軸の回転により駆動するポンプと、前記モータ及び前記ポンプの間に設けられ、少なくとも前記ポンプケーシングにより形成され、前記回転軸が貫通する軸封室と、前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、を備え、前記スプリングは、下方から上方に向かう巻き方向が前記回転軸の回転方向と同一である。
【0008】
本発明の一態様によれば、軸封装置は、重力方向に沿って設けられる回転軸が貫通する軸封室と、前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、を備え、前記スプリングは、下方から上方に向かう巻き方向が前記回転軸の回転方向と同一である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、潤滑剤の液面よりも上方に位置する摺動面に、潤滑剤を安定的に供給することができるポンプ装置及び軸封装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置の構成を一部断面で示す正面図。
【
図3】同ポンプ装置の要部構成を一部断面で示す正面図。
【
図4】同ポンプ装置に用いられる案内部材の構成を示す下面図。
【
図5】同案内部材の構成を
図4中V-V線断面で概念的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は、ポンプ装置1の構成を一部断面で示す正面図である。
図2は、ポンプ装置1の要部構成として、軸封装置14の構成を概念的に示す上面図であり、
図3は、ポンプ装置1の要部構成として、軸封装置14の構成を一部断面で示す正面図である。また、
図4は、ポンプ装置1の軸封装置14に用いられる案内部材53の構成を示す下面図であり、
図5は、案内部材53の構成を
図4中V-V線断面で概念的に示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、ポンプ装置1は、回転軸11と、モータ12と、ポンプ13と、軸封装置14と、を備える。ポンプ装置1は、例えば、汚水中に設置され、汚水を二次側に圧送する、所謂排水用水中ポンプである。
【0013】
回転軸11は、重力方向に沿って設けられる。以下、重力方向に沿う二方向を上下方向として説明する。回転軸11は、モータ12により回転することで、ポンプ13を駆動する。
【0014】
モータ12は、回転軸11の上部に設けられる。モータ12は、モータケーシング21と、モータケーシング21に収容される回転子と、回転子を回転させる固定子と、を有する。回転子は、回転軸11に接続される。モータ12は、回転子を回転することで、回転軸11を回転させる。モータ12は、モータケーシング21の下面が軸封装置14における軸封室51の一部を構成する。
【0015】
モータケーシング21は、下面に回転軸11が貫通する開口を有する。モータケーシング21の下面は、軸封装置14における軸封室51の一部を構成する。
【0016】
ポンプ13は、インペラ31と、ポンプケーシング32と、吐出フランジ33と、ストレーナ34と、を備える。ポンプ13は、回転軸11の回転に伴い増圧した流体を二次側に吐出可能に構成される。ポンプ13は、例えば、異物通過性に優れたボルテックスタイプのポンプである。
【0017】
インペラ31は、回転軸11に固定され、回転軸11の回転に伴い回転する。インペラ31は、例えば、回転軸11の下端に固定される。インペラ31は、回転軸11の回転に伴い、ポンプケーシング32内の流体を増圧する。
【0018】
ポンプケーシング32は、インペラ31を内部に配置し、インペラ31の回転に伴い、内部の水を増圧可能に構成される。ポンプケーシング32は、第1ケーシング41と、第2ケーシング42と、ケーシングカバー43と、を備える。ポンプケーシング32は、第1ケーシング41、第2ケーシング42及びケーシングカバー43を回転軸11の軸方向に積層することで構成される。なお、
図1中の二点鎖線に示すように、第1ケーシング41、第2ケーシング42及びケーシングカバー43は、ボルト等の第1締結部材200を用いて互いに連結される。
【0019】
第1ケーシング41は、ポンプケーシング32の下段を構成する。第1ケーシング41は、吸込口41aと、脚部41bと、を有する。吸込口41aは、回転軸11と同軸上に形成される開口である。吸込口41aは、原水をポンプケーシング32内に吸込可能に構成される。脚部41bは、第1ケーシング41の下面に設けられ、設置面に載置される。脚部41bは、設置面と吸込口41aとの間に、吸込口41aへ原水が流入可能且つストレーナ34を配置可能な隙間を生じさせる。
【0020】
第2ケーシング42は、第1ケーシング41の上面に固定され、ポンプケーシング32の中段を構成する。第2ケーシング42は、収容部42aと、吐出口42bと、シール部42cと、を有する。収容部42aは、インペラ31を収容可能に構成される。また、収容部42aは、第1ケーシング41の吸込口41aに対向する位置にインペラ31を配置可能に構成される。吐出口42bは、収容部42aに対して水平方向で外方に設けられ、上方に連続する開口である。シール部42cは、吐出口42bの近傍に設けられ、第2ケーシング42と吐出フランジ33との間を水密にシールする。
【0021】
ケーシングカバー43は、第2ケーシング42の上面に固定され、ポンプケーシング32の上段を構成する。ケーシングカバー43は、第2ケーシング42の収容部42aの上方を覆う。また、ケーシングカバー43の上面の外周側の部位には、モータケーシング21の下面の外周側の部位が当接して配置される。ケーシングカバー43は、上面が軸封装置14における軸封室51の他部を構成する。ケーシングカバー43は、例えば、開口部43aと、シール部43bと、キャップ孔43cと、キャップ43dと、を有する。
【0022】
開口部43aは、回転軸11が貫通可能であって、且つ、軸封装置14の後述する上部固定環61が開口縁に沿って配置可能な内径を有する円形状に形成される。
【0023】
シール部43bは、ケーシングカバー43の第2ケーシング42との接触面に設けられ、ケーシングカバー43と第2ケーシング42との間を水密にシールする。
【0024】
キャップ孔43cは、軸封室51内に潤滑剤100を注入可能に構成される。キャップ孔43cは、ケーシングカバー43の外面から軸封室51内に貫通する孔である。キャップ孔43cは、例えば、ケーシングカバー43の外周面から内周面にかけて水平方向に連続する。
【0025】
キャップ43dは、キャップ孔43cに対して着脱可能に挿入され、キャップ孔43cを閉塞する。なお、キャップ43dは、キャップ孔43cに挿入したときにキャップ孔43cとの間をシールするシール部43eを含む。
【0026】
吐出フランジ33は、第2ケーシング42の吐出口42bに流体的に連続し、ポンプ13の二次側の流路の一部を構成するフランジである。
図1中の二点鎖線に示すように、吐出フランジ33は、例えば、ボルト及びナット等の第2締結部材300を用いて、第2ケーシング42に固定される。
【0027】
ストレーナ34は、ポンプケーシング32の外面の一部に固定され、吸込口41aを覆う。ストレーナ34は、吸込口41aからポンプケーシング32内に汚水が流入する際に、汚水に含まれる異物の一部を除去する。
【0028】
図1乃至
図3に示すように、軸封装置14は、軸封室51と、潤滑剤100と、軸封部材52と、案内部材53と、を備える。なお、
図2においては、軸封部材52の構成を省略して示している。軸封装置14は、ポンプケーシング32から上方への水の流出を防止可能に構成される。また、軸封装置14は、軸封室51に収容され、軸封部材52を潤滑する潤滑剤100が、軸封室51の上方へ流出すること、換言すると、モータケーシング21内に流入することを防止可能に構成される。
【0029】
軸封室51は、底面及び天井面を有し、回転軸11が貫通可能且つ潤滑剤100を収容可能な内部空間を形成する。軸封室51は、例えば、ケーシングカバー43の上部及びモータケーシング21の下部により構成される。軸封室51の内部空間は、例えば、ケーシングカバー43の上面及びモータケーシング21の下面により囲まれる空間である。本実施形態では、ケーシングカバー43の上面が軸封室51の底面を構成し、モータケーシング21の下面が軸封室51の天井面を構成する。
【0030】
ここで、潤滑剤100は、例えば潤滑油である。潤滑剤100は、ポンプ13の駆動中の熱膨張によっても軸封室51の容積を超えない程度の量が、軸封室51内に収容される。具体例として、潤滑剤100は、軸封室51の容積の80%程度の体積が、軸封室51内に収容される。即ち、軸封室51の内部には、少なくとも軸封室51の天井面から離間した位置に、潤滑剤100の液面100aが形成される。
【0031】
図3に示すように、軸封室51は、上側開口部51aと、上側内壁部51bと、下側開口部51cと、下側内壁部51dと、係合部51eと、を有する。本実施形態では、上側内壁部51bは、モータケーシング21の下面により構成され、下側内壁部51d及び係合部51eは、ケーシングカバー43の上面により構成される。
【0032】
上側開口部51aは、軸封室51の天井面に設けられ、回転軸11が貫通可能に形成される。
【0033】
上側内壁部51bは、上側開口部51aの周りに設けられ、下方に向かって突出する円筒状に形成される。上側内壁部51bは、内側に軸封部材52の後述する上部固定環61を配置可能に構成される。上側内壁部51bは、上部固定環61のハウジングを構成する。
【0034】
下側開口部51cは、軸封室51の底面に設けられ、回転軸11が貫通可能に形成される。本実施形態では、ケーシングカバー43が軸封室51の底面を構成することから、下側開口部51cは、ケーシングカバー43の開口部43aである。
【0035】
下側内壁部51dは、下側開口部51c周りに設けられ、上方に向かって突出する円筒状に形成される。下側内壁部51dは、内側に軸封部材52の後述する下部固定環63を配置可能に構成される。下側内壁部51dは、下部固定環63のハウジングを構成する。
【0036】
係合部51eは、案内部材53に設けられる被係合部81cと係合可能に構成される。係合部51eは、例えば、下側内壁部51dの外周面の一部に設けられ、径方向に突出する突起である。係合部51eは、例えば、下側内壁部51dの周方向で等間隔に複数設けられる。具体例として、係合部51eは、3箇所設けられる。
【0037】
軸封部材52は、回転軸11と軸封室51の上側開口部51aとの間、及び、回転軸11と軸封室51の下側開口部51cとの間をシールするメカニカルシールである。軸封部材52は、例えば、軸封室51からモータケーシング21内への潤滑剤100の流出を防止するとともに、ポンプケーシング32から軸封室51への水の流入を防止する。軸封部材52は、上部固定環61と、上部回転環62と、下部固定環63と、下部回転環64と、スプリング65と、を有する。
【0038】
上部固定環61は、回転軸11が貫通する円環状に形成される。上部固定環61は、軸封室51の上側内壁部51bの内側に、上側開口部51aの開口縁に沿って配置され、軸封室51の天井面に固定される。本実施形態では、上部固定環61は、モータケーシング21の開口縁周りに配置され、モータケーシング21の下面に固定される。なお、上部固定環61は、潤滑剤100の液面100aよりも上方に位置する。
【0039】
上部回転環62は、回転軸11の外周面に沿う円環状に形成される。上部回転環62は、回転軸11と一体に回転可能、且つ、回転軸11に対して軸方向に移動可能に構成される。上部回転環62の上面は、上部固定環61に対向する。また、上部回転環62の下面は、スプリング65の他端が固定される。上部回転環62は、上部固定環61との間に摺動面を構成する。
【0040】
下部固定環63は、回転軸11が貫通する円環状に形成される。下部固定環63は、軸封室51の下側内壁部51dの内側に、下側開口部51cの開口縁に沿って配置され、軸封室51の底面に固定される。
【0041】
下部回転環64は、回転軸11の外周面に沿う円環状に形成される。下部回転環64は、回転軸11と一体に回転可能、且つ、回転軸11に対して軸方向に移動可能に構成される。下部回転環64の下面は、下部固定環63に対向する。また、下部回転環64の上面は、スプリング65の一端が固定される。下部回転環64は、下部固定環63との間に摺動面を構成する。
【0042】
スプリング65は、例えば、回転軸11周りに配置されるコイルばねである。スプリング65は、上端に上部回転環62が、下端に下部回転環64が固定される。スプリング65は、上部固定環61に対して上部回転環62が摺動可能且つ下部固定環63に対して下部回転環64が摺動可能に、上部回転環62及び下部回転環64を付勢する。スプリング65は、例えば、下方から上方に向かう巻き方向が回転軸11の回転方向と一致する形状に構成される。
【0043】
案内部材53は、軸封室51の下側内壁部51dに装着され、回転軸11の回転に伴い流動する潤滑剤100を、上部固定環61と上部回転環62との間の摺動面へ案内可能に構成される。
図3乃至
図5に示すように、案内部材53は、円筒部81と、開口部82と、壁部83と、を備える。
【0044】
円筒部81は、軸封部材52の周囲を覆う円筒状に形成される。また、円筒部81は、下側内壁部51dに装着可能に構成され、下側内壁部51dから軸方向に連続して軸封部材52の周囲を覆う。また、円筒部81は、軸封室51の天井面から離間する形状に形成され、軸方向で少なくとも上部回転環62の一部の周囲までを覆う。具体例として、
図3に示すように、円筒部81は、下部回転環64の外周面の一部、スプリング65の外周面および上部回転環62の外周面の一部を覆う。円筒部81は、例えば、軸封部材52の周囲を覆う第1円筒部81aと、第1円筒部81aの下端に一体に設けられ、下側内壁部51dに装着可能に構成される第2円筒部81bと、を有する。
【0045】
第1円筒部81aは、下端面が下側内壁部51dの上面に当接し、尚且つ上端面が軸封室51の天井面から離間する円筒状に形成される。第1円筒部81aは、例えば、内径が下側内壁部51dの外径よりも小さく、外径が下側内壁部51dの内径よりも大きく形成される。
【0046】
また、第1円筒部81aの内周面は、スプリング65の外周面と所定の隙間を隔てて対向する。ここで、
図3に示すように、第1円筒部81aの内周面とスプリング65の外周面とが為す隙間は、第1円筒部81aの内周面とスプリング65の外周面との間に流入した潤滑剤100が、水平方向で第1円筒部81aの内周面からスプリング65の外周面にわたる液面を形成可能な間隔Dで設けられる。具体的には、間隔Dは、第1円筒部81aの径方向で1.5mm以下である。
【0047】
第2円筒部81bは、下側内壁部51dの外周面を覆う円筒状に構成される。第2円筒部81bは、第1円筒部81aの外径よりも大きい内径を有し、例えば、下側内壁部51dの外径と同等の内径を有する。
【0048】
また、第2円筒部81bは、下側内壁部51dに着脱可能に構成され、軸封室51に対する案内部材53の移動を規制可能に構成される。具体例として、第2円筒部81bは、軸封室51の係合部51eと係合する被係合部81cを有する。
【0049】
被係合部81cは、軸封室51の係合部51eと係合可能に構成される。被係合部81cは、係合部51eに対して軸方向及び周方向に当接可能に構成される。被係合部81cは、例えば、第2円筒部81bの内周面に設けられ、軸封室51に係合部51eとして設けられた突起と係合する切欠きである。被係合部81cは、例えば、係合部51eの配置に合わせ、周方向に沿って等間隔に複数設けられる。具体例として、被係合部81cは、3箇所設けられる。被係合部81cは、係合部51eと係合することで、軸封室51内における案内部材53の軸方向及び回転方向の移動を規制する。
【0050】
開口部82は、円筒部81の下端側に設けられ、円筒部81の外周面から内周面に連続する開口である。開口部82は、円筒部81の内部に軸封室51内の潤滑剤100が流入可能に構成される。開口部82は、例えば、第2円筒部81bの外周面から第1円筒部81aの内周面に連続する。開口部82は、例えば、軸方向で第2円筒部81bの下端から下側内壁部51dの高さよりも高い位置にかけて形成される。換言すると、開口部82は、例えば、上下方向で第2円筒部81bの上端よりも高く、尚且つ、第1円筒部81aの下端よりも高い位置にかけて形成される。即ち、開口部82は、例えば、第1円筒部81a及び第2円筒部81bの形状を、それぞれ周方向で一部が切欠した形状に構成する。
【0051】
開口部82は、周方向で等間隔に複数設けられる。開口部82は、例えば3箇所設けられる。ここで、複数の開口部82は、例えば、周方向で隣り合う開口部82の中間位置に被係合部81cが位置する配置で設けられる。
【0052】
図4に示すように、開口部82は、周方向の開口端として、回転軸11の回転方向Rで一次側の開口端である第1開口端82aと、回転軸11の回転方向Rで二次側の開口端である第2開口端82bと、を有する。
【0053】
第1開口端82aは、第2円筒部81bの外周面から第1円筒部81aの内周面に連続する。具体例として、第1開口端82aは、第2円筒部81bの外周面から円筒部81の内周面にかけて、円筒部81の軸線と開口部82の周方向の中心とを結ぶ直線に対して平行に連続する。なお、第1開口端82aには、後述する壁部83が一体に設けられることから、第1開口端82aは、第2円筒部81bの外周面から壁部83にかけて連続する一部のみが露呈している。
【0054】
第2開口端82bは、第2円筒部81bの外周面から第1円筒部81aの内周面にかけて、回転軸11の回転方向Rに沿って滑らかに湾曲する所定の曲面形状を形成して連続する。具体的には、第2開口端82bは、第2円筒部81bに形成され、第2円筒部81bの外周面から第1円筒部81aに所定の曲面形状で連続する開口端面と、第1円筒部81aに形成され、第2円筒部81bの開口端面に連続する曲面形状に形成されるとともに、第1円筒部81aの内周面に滑らかに連続する開口端面と、を含む。ここで、第2開口端82bの曲面形状は、円筒部81の内側への潤滑剤100の流入を案内可能に構成される。
【0055】
また、開口部82は、例えば、第2開口端82bに外方に突出する突出部82cを有する。突出部82cは、第2開口端82bを形成する第2円筒部81bの一部が径方向で外方に屈曲した形状に形成される。これにより、本実施形態では、突出部82cの先端、及び、突出部82cに連続する第2円筒部81bの内周面が、第2開口端82bの一部を構成している。
【0056】
壁部83は、開口部82の一部を閉塞する内壁である。壁部83は、第1開口端82aに一体に設けられる。壁部83は、第1開口端82aから回転軸11の回転方向Rの二次側に向かって、第1円筒部81aの内周面に沿って延出した形状に形成される。また、壁部83の内周面は、第1円筒部81aの内周面に連続し、第1円筒部81aの内周面と同等の曲率で湾曲する。壁部83は、円筒部81の内周面側に設けられ、円筒部81の径方向で開口部82の径方向の開口端の少なくとも一部に対向する。
【0057】
また、壁部83は、例えば、開口部82の軸方向の開口端に一体に設けられる。また、壁部83の下端面は、例えば、第1円筒部81aの下端面と同一平面を構成する形状に形成される。即ち、壁部83の下端面は、第1円筒部81aの下端面とともに下側内壁部51dの上面に当接する。本実施形態では、壁部83は、下側内壁部51dと併せて、開口部82の径方向の開口端に対向する。
【0058】
壁部83は、好ましくは、周方向の中心が、円筒部81の軸線及び当該軸線と開口部82の周方向の中心とを結ぶ直線を含む平面上に位置する形状に形成される。換言すると、壁部83は、回転軸11の回転方向Rの二次側の端面が、第2開口端82bの先端面と同一平面上に位置する形状に形成される。また、壁部83は、円筒部81の軸線方向で一定の幅に形成される。壁部83は、下側内壁部51dと併せて、円筒部81の径方向で開口部82の径方向の開口端の全域にわたって対向する。
【0059】
このように構成されたポンプ装置1は、回転軸11の回転により、ポンプ13を駆動する。このとき、軸封室51内の潤滑剤100は、以下に説明する流れを生じる。
【0060】
図3中の矢印に示すように、案内部材53の外側に存する潤滑剤100は、案内部材53の開口部82を通過し、案内部材53の内側へ流入する。また、案内部材53の内側に存する潤滑剤100は、回転軸11の回転伴い、回転軸11の回転方向に沿う旋回流を生じる。ここで、潤滑剤100は、第1円筒部81aの内周面及び壁部83の内周面に沿って案内部材53の内側を流れる。また、案内部材53の内側を流れる潤滑剤100は、壁部83及び下側内壁部51dにより、開口部82を介して案内部材53の外側に戻る流れが抑制される。
【0061】
そして、
図4中の矢印に示すように、潤滑剤100は、案内部材53の内側で旋回流を形成することにより、スプリング65と案内部材53の内壁面との隙間を上昇し、案内部材53の上端側へ移動する。案内部材53の上端側へ移動した潤滑剤100の一部は、上部固定環61と上部回転環62との間の摺動面に至り、摺動面を潤滑する。また、案内部材53の上端側へ移動した潤滑剤100の他部は、案内部材53の上端と軸封室51の天井面との隙間から案内部材53の外側に流出する。このように、軸封室51内の潤滑剤100は、回転軸11の回転に伴い、案内部材53の内外を循環する流れを形成する。
【0062】
このように構成されたポンプ装置1は、軸封室51内において回転軸11周りに案内部材53を配置することで、回転軸11の回転に伴い、案内部材53の内側に存する潤滑剤100を上端側へ案内する。ここで、案内部材53に壁部83を設けることで、ポンプ装置1は、開口部82を介して案内部材53の内側から外側に戻る潤滑剤100の流れを抑制することができる。これにより、ポンプ装置1は、案内部材53の内側において、潤滑剤100の液量を充分に保つことができ、案内部材53の内側で上昇する潤滑剤100の流れを安定的に形成することができる。これにより、ポンプ装置1は、潤滑剤100を上部固定環61と上部回転環62との間の摺動面に安定的に供給し、摺動面の冷却及び潤滑を行うことができる。
【0063】
また、壁部83は、周方向の中心が円筒部81の軸線及び当該軸線と開口部82の周方向の中心とを結ぶ直線を含む平面上に位置する形状に形成される。これにより、ポンプ装置1は、開口部82の径方向の開口端に対し、円筒部81の周方向で全域にわたって壁部83が対向する構成となり、案内部材53の外側へ戻る潤滑剤100の流れを抑制する効果を高めることができる。
【0064】
また、ポンプ装置1は、スプリング65の下方から上方に向かう巻き方向を回転軸11の回転方向と同一の方向とすることで、スプリング65と案内部材53の内壁面との隙間を流れる潤滑剤100の流れを上昇方向に案内することができる。
【0065】
また、ポンプ装置1は、スプリング65の外周面と案内部材53の内周面とが為す隙間を径方向で1.5mm以下とすることで、スプリング65の外周面と案内部材53との間に潤滑剤100の液面を形成できることから、スプリング65と案内部材53との隙間において潤滑剤100を安定的に上昇させることができる。
【0066】
また、軸封室51及び案内部材53に、それぞれ係合部51e、被係合部81cを設けることで、軸封室51内における案内部材53の軸方向及び回転方向の移動を規制することができる。これにより、案内部材53の内側において、潤滑剤100の旋回流を安定的に形成することができる。
【0067】
また、案内部材53は、軸封室51の下側内壁部51dに対して第2円筒部81bを嵌め合わせて回転させることにより、係合部51eと被係合部81cとを係合させることができる。即ち、案内部材53は、軸封室51に対する着脱が容易である。また、係合部51e及び被係合部81cを設ける位置の設定により、軸封室51内における案内部材53の位置決めも容易である。
【0068】
また、案内部材53は、突出部82cを有することで、壁部83により一部が閉塞される開口部82の開口面積を拡大することができる。これにより、ポンプ装置1は、案内部材53の内側に潤滑剤100を円滑に流入させることができる。
【0069】
上述したように、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1及び軸封装置14によれば、潤滑剤の液面よりも上方に位置する摺動面に、潤滑剤を安定的に供給することができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、案内部材53において、開口部82が、円筒部81の周方向で等間隔に3箇所設けられる例を説明したが、これに限定されない。案内部材53に設けられる開口部82の配置及び数は、全ての開口部82の第2開口端82bが第1円筒部81aの内周面に滑らかに連続する形状とできれば、適宜設定可能である。案内部材53は、開口部82の第2開口端82bが第1円筒部81aの内周面に滑らかに連続する形状とすることで、円筒部81の内周面に沿う潤滑剤100の旋回流を安定的に形成することができる。
【0071】
例えば、
図6に示すように、案内部材53は、2箇所の開口部82を有する構成であってもよく、また、
図7に示すように、4箇所の開口部82を有する構成であってもよい。なお、上述したように、全ての開口部82が第1円筒部81aの内周面に滑らかに連続する形状とするには、開口部82は、円筒部81の周方向で2箇所乃至4箇所のいずれかが設けられる構成が好適である。また、案内部材53は、複数の開口部82が円筒部81の周方向で等間隔に設けられることで、各開口部82の第2開口端82bを第1円筒部81aの内周面に極力滑らかに連続させることができ、より好適な構成となる。
【0072】
また、上述した例では、軸封室51がモータケーシング21の下面及びケーシングカバー43の上面により構成される例を説明したが、これに限定されない。軸封室51は、回転軸11が貫通する上下2つの軸封対象物により構成されるものであり、軸封対象物として用いる構成については適宜設定可能である。
【0073】
なお、上述した軸封装置14は、ポンプ装置1以外の機械に対しても適用し得る。即ち、軸封装置14は、回転軸11が重力方向に沿って設けられ、尚且つ軸封室51内で潤滑剤100の液面100aよりも高い位置に摺動面が形成された軸封部材52を有する構成であれば適用することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 重力方向に沿って設けられる回転軸と、
前記回転軸の上部に設けられ、前記回転軸を回転するモータと、
前記回転軸の下部に設けられ、ポンプケーシングを有し、前記回転軸の回転により駆動するポンプと、
前記モータ及び前記ポンプの間に設けられ、少なくとも前記ポンプケーシングにより形成され、前記回転軸が貫通する軸封室と、
前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、
前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、
内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、
を備えるポンプ装置。
[2] 前記壁部は、周方向の中心が、前記円筒部の軸線及び前記軸線と前記開口部の周方向の中心とを結ぶ直線を含む平面上に位置する形状に形成される[1]に記載のポンプ装置。
[3] 前記スプリングは、下方から上方に向かう巻き方向が前記回転軸の回転方向と同一である[1]または[2]に記載のポンプ装置。
[4] 前記隙間は、前記径方向で1.5mm以下である[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[5] 前記軸封室は、底面に設けられる円環状の下側内壁部、及び、前記下側内壁部の外周面に設けられる係合部をさらに備え、
前記案内部材は、前記下側内壁部の上端に配置される第1円筒部と、前記第1円筒部の下端に一体に設けられ、内周面に前記係合部と係合する被係合部を有する第2円筒部と、を備え、
前記開口部は、前記第2円筒部から前記第1円筒部にわたって設けられる、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[6] 前記開口部は、前記円筒部の周方向に沿って2箇所乃至4箇所のいずれかが設けられる[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[7] 重力方向に沿って設けられる回転軸が貫通する軸封室と、
前記軸封室の内部であって前記軸封室の上方に配置される固定環、前記固定環に対して摺動する回転環、及び、前記固定環に向かって前記回転環を付勢するスプリングを有する軸封部材と、
前記軸封室に前記固定環よりも下方に液面を形成する量が収容される潤滑剤と、
内周面が前記スプリングと隙間を為すとともに上端が前記軸封室の天井面から離間して前記スプリングの周囲及び前記回転環の少なくとも一部の周囲を覆う円筒部、前記円筒部の下端側に設けられる開口部、及び、前記円筒部の前記内周面側であって、且つ前記開口部の開口端のうち前記回転軸の回転方向で一次側の前記開口端に一体に設けられ、前記円筒部の径方向で前記開口部の少なくとも一部に対向する壁部を有する案内部材と、
を備える軸封装置。
【符号の説明】
【0075】
1…ポンプ装置、11…回転軸、12…モータ、13…ポンプ、14…軸封装置、21…モータケーシング、31…インペラ、32…ポンプケーシング、33…吐出フランジ、34…ストレーナ、41…第1ケーシング、41a…吸込口、41b…脚部、42…第2ケーシング、42a…収容部、42b…吐出口、42c…シール部、43…ケーシングカバー、43a…開口部、43b…シール部、43c…キャップ孔、43d…キャップ、43e…シール部、51…軸封室、51a…上側開口部、51b…上側内壁部、51c…下側開口部、51d…下側内壁部、51e…係合部、52…軸封部材、53…案内部材、61…上部固定環、62…上部回転環、63…下部固定環、64…下部回転環、65…スプリング、81…円筒部、81a…第1円筒部、81b…第2円筒部、81c…被係合部、82…開口部、82a…第1開口端、82b…第2開口端、82c…突出部、83…壁部、100…潤滑剤、100a…液面、200…第1締結部材、300…第2締結部材。