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特許7455370容器接続モジュールおよびそれを備えた冷蔵庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】容器接続モジュールおよびそれを備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/04 20060101AFI20240318BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B67D3/04 Z
F25D25/00 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020066637
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160821
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昌志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-197039(JP,A)
【文献】特開平09-243248(JP,A)
【文献】特開2005-212805(JP,A)
【文献】特開2005-041543(JP,A)
【文献】実開昭56-010048(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 3/04
F25D 23/04;25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の飲み口部に取りつけられる容器接続モジュールであって、
前記飲料容器の前記飲み口部に挿入されて接続される容器接続部と、
前記飲料容器からの飲料の供給を停止および許容する流出調整部と、を具備し、
前記容器接続部は、前記飲料容器の側に向うにつれて外径が小さく形成され、
前記飲料容器の前記飲み口部の内壁と前記容器接続部の外側面とが接触することで、前記容器接続部と前記飲み口部との間隙が封止され、
ハウジング部と、
前記ハウジング部に回動可能に取り付けられ、前記飲料容器に係合するように構成される回動係合部と、を更に具備することを特徴とする容器接続モジュール。
【請求項2】
前記回動係合部には、係合開口部が形成され、
前記係合開口部は、前記飲料容器のフランジ部に係合するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の容器接続モジュール。
【請求項3】
前記回動係合部は、前記ハウジング部を挟む位置に複数が配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器接続モジュール。
【請求項4】
飲料容器の飲み口部に取りつけられる容器接続モジュールであって、
前記飲料容器の前記飲み口部に挿入されて接続される容器接続部と、
前記飲料容器からの飲料の供給を停止および許容する流出調整部と、を具備し、
前記容器接続部は、前記飲料容器の側に向うにつれて外径が小さく形成され、
前記飲料容器の前記飲み口部の内壁と前記容器接続部の外側面とが接触することで、前記容器接続部と前記飲み口部との間隙が封止され
前記流出調整部は、
略円筒状のハウジング部と、
前記ハウジング部の内部に配置され、付勢部材により付勢され、前記ハウジング部の軸方向に沿って移動可能に設けられる第1可動筒状部と、
前記ハウジング部の内部に一体的に形成され、かつ、一端部が前記第1可動筒状部の内部に挿入される固定筒状部と、
前記固定筒状部の内部に配置され、前記第1可動筒状部と共に前記軸方向に沿って移動可能に設けられる第2可動筒状部と、を有し、
前記第1可動筒状部に前記付勢部材に抗する外力が作用しない間は、前記付勢部材の付勢力により前記固定筒状部と前記第2可動筒状部との間が封止されて、前記飲料容器からの前記飲料の供給を停止し、
前記第1可動筒状部に前記付勢部材に抗する外力が作用する間は、前記固定筒状部と前記第2可動筒状部との間に間隙ができることにより、前記飲料容器から前記飲料の供給を許容することを特徴とする容器接続モジュール。
【請求項5】
前記流出調整部は、前記第1可動筒状部を外囲するカバー部を有することを特徴とする請求項に記載の容器接続モジュール。
【請求項6】
前記ハウジング部に回動可能に取り付けられ、前記飲料容器に係合する回動係合部を更に具備することを特徴とする請求項または請求項に記載の容器接続モジュール。
【請求項7】
前記ハウジング部の一部を開口して形成される開口部と、
前記ハウジング部に内蔵され、一端が前記開口部に接続され、他端が前記容器接続部から外部に導出する筒状の管部と、
前記管部の前記他端に接続される逆止弁と、を更に具備することを特徴とする請求項から請求項の何れかに記載の容器接続モジュール。
【請求項8】
請求項から請求項の何れかに記載の前記容器接続モジュールを備え、
貯蔵室を閉鎖する扉と、
前記貯蔵室に面する前記扉の内部側面に形成され、前記容器接続モジュールを下方に向けた前記飲料容器が収納される収納領域と、
外側に面する外部側面に形成され、前記容器接続モジュールの端部が配設される飲料供給部と、
一端側が前記容器接続モジュールに当接し、他端側が前記飲料供給部に配置される供給レバーと、を具備することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
前記収納領域の下面に形成され、前記容器接続モジュールが挿入される開口と、
前記収納領域の近傍に回動可能に配置され、前記開口を塞ぐ可動蓋と、を更に具備することを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器接続モジュールおよびそれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、給水機構を備えた冷蔵庫が知られている。この冷蔵庫では、先ず、断熱箱体の上段に形成された冷蔵室を塞ぐ断熱扉の内側に、飲料水が貯留される給水タンクが配設され、断熱扉の外側面に空洞である給水室が形成され、給水室の内部に注水レバーが配置されている。また、給水室の上部奥側には、給水タンクと連通する注水部が配置されている。
【0003】
上記構成の冷蔵庫の給水室に於いて、ユーザがコップを注水レバーに押しつけることで、給水タンクから注水部を経由して、冷却された飲料水がコップに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-36061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した給水機構を備えた冷蔵庫では、断熱扉の内側面に給水専用の給水タンクを備える必要があり、また、給水タンクの内部の飲料水が不足すれば、ユーザが給水タンクに飲料水を供給する必要があるため、給水機構の運用が煩雑である課題があった。また、給水タンクに水道水を供給する場合は、冷蔵庫が使用される国や地域によっては、水道水の安全性等が必ずしも担保されない課題もあった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で飲料容器を冷蔵庫に於ける給水装置として用いることができる容器接続モジュールおよびそれを備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器接続モジュールは、飲料容器の飲み口部に取りつけられる容器接続モジュールであって、前記飲料容器の前記飲み口部に挿入されて接続される容器接続部と、前記飲料容器からの飲料の供給を停止および許容する流出調整部と、を具備し、前記容器接続部は、前記飲料容器の側に向うにつれて外径が小さく形成され、前記飲料容器の前記飲み口部の内壁と前記容器接続部の外側面とが接触することで、前記容器接続部と前記飲み口部との間隙が封止され、ハウジング部と、前記ハウジング部に回動可能に取り付けられ、前記飲料容器に係合するように構成される回動係合部と、を更に具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成で、飲料容器を冷蔵庫に於ける給水装置として用いることができる容器接続モジュールおよびそれを備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側方断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールを示す図であり、(A)は分解斜視図であり、(B)は断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールを示す図であり、(A)は飲料容器と容器接続モジュールとを接続する途中段階を示す断面図であり、(B)は容器接続モジュールと飲料容器とが接続された状況を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールが接続された飲料容器を冷蔵庫の断熱扉に組み込む状況を示す斜視図であり、(A)は組み込みの途中を示す斜視図であり、(B)は組み込まれた状況を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールが接続された飲料容器が冷蔵庫の断熱扉に組み込まれる状況を示す図であり、(A)は断熱扉の断面図であり、(B)は供給レバーの断熱扉を外側から見た斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールと供給レバーとの関連構成を示す図であり、(A)は容器接続モジュールと供給レバーとを示す斜視図あり、(B)は供給レバーを示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールを示す図であり、(A)は飲料水の流出を遮断している遮断状態の容器接続モジュールを示す断面図であり、(B)は飲料水の流出を許容している解放状態の容器接続モジュールを示す断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る容器接続モジュールが接続された飲料容器が組み込まれる断熱扉の構成を示す図であり、(A)は開状態の可動蓋を示し、(B)は閉状態の可動蓋を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る容器接続モジュール40および冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。また、本実施形態では、冷蔵庫10として冷凍室および冷蔵室を有するものを例示するが、冷蔵庫10は、冷凍室のみを有するもの、または、冷蔵室のみを有するものでも良い。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10の外観を示す正面図である。冷蔵庫10は、本体としての断熱箱体11を備え、断熱箱体11の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室を形成している。この貯蔵室としては、最上段が冷蔵室15、その下段が上段冷凍室18、更にその下段が下段冷凍室19、そして最下段が野菜室20である。尚、上段冷凍室18および下段冷凍室19は、何れも冷凍温度域の貯蔵室であり、以下の説明ではこれらを冷凍室17と総称する場合もある。ここで、上段冷凍室18は、左右に分割され、一方側が製氷室として用いられても良い。
【0024】
断熱箱体11の前面は開口しており、前記各貯蔵室に対応した開口には、各々断熱扉21等が開閉自在に設けられている。断熱扉21は、冷蔵室15の前面を左右方向に分割して塞ぐもので、断熱扉21の幅方向における外側上下端部が断熱箱体11に回転自在に取り付けられている。また、断熱扉23、断熱扉24、断熱扉25は、各々収納容器と一体的に組み合わされ、冷蔵庫10の前方に引出自在に、断熱箱体11に支持されている。具体的には、断熱扉23は上段冷凍室18を閉鎖し、断熱扉24は下段冷凍室19を閉鎖し、断熱扉25は野菜室20を閉鎖する。
【0025】
本実施形態では、冷蔵室15の左方部分を閉鎖する断熱扉21には、飲料供給部54が形成されている。後述するように、飲料供給部54は、冷蔵室15の内部で冷却された飲料水を、カップ61に供給するための凹状部である。
【0026】
図2は、冷蔵庫10の内部構成を示す側方断面図である。冷蔵庫10の本体である断熱箱体11は、前面が開口する鋼板製の外箱12と、この外箱12の内部に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱13とから構成されている。外箱12と内箱13との間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材14が充填発泡されている。尚、上記した各々の断熱扉21等も、断熱箱体11と同様の断熱構造を採用している。
【0027】
冷蔵室15と、その下段に位置する冷凍室17とは、断熱仕切壁によって仕切られている。そして、冷凍室17と野菜室20との間も、断熱仕切壁によって区分けされている。
【0028】
冷蔵室15の背面には、冷蔵室15へと冷気を供給する供給風路としての冷蔵室供給風路が形成されている。
【0029】
冷凍室17の奥側には、冷却器22で冷却された冷気を冷凍室17へと流す冷凍室供給風路が形成されている。冷凍室供給風路の更に奥側には、冷却室26が形成されており、その内部には、庫内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器22が配置されている。
【0030】
冷却器22により冷却された冷却室26の内部の空気は、送風機16により、冷蔵室15、冷凍室17および野菜室20に送風される。
【0031】
冷却器22は、圧縮機27、図示しない放熱器、図示しない膨張手段であるキャピラリーチューブに冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0032】
断熱扉21の内側には飲料容器42が配置されており、飲料容器42の内部の飲料水も、冷蔵室15の内部で冷却される。また、飲料容器42から供給される飲料水は、ユーザが飲料供給部54に配置するカップ61に供給される。
【0033】
図3は、容器接続モジュール40を示す斜視図である。容器接続モジュール40は、容器接続部44と、流出調整部45と、を主要に有する。容器接続モジュール40は、後述する飲料容器42の飲み口部43に取り付けられ、ユーザの操作が無い間は飲料容器42から外部への飲料の流出を阻止し、ユーザの操作がある間は飲料容器42から飲料をカップ61等に供給する。
【0034】
容器接続部44は、上方に向かって外径が細くなる形状を呈しており、後述する飲料容器42の飲み口部43の内壁に、容器接続部44の外側面が接触することで、容器接続部44と飲み口部43との間隙が封止される。容器接続部44の上端開口からは、逆止弁57が外部に導出されている。
【0035】
流出調整部45は、ユーザが操作していない間は飲料容器42からの飲料の供給を阻止し、ユーザが操作している間は飲料容器42から飲料を供給する機能を有する。流出調整部45の具体的構成は、図4を参照して後述する。
【0036】
回動係合部52は、ハウジング部46の上端近傍に回動可能に取り付けられ、後述する飲料容器42に係合する。ここでは、流出調整部45の対向する部分に2つの回動係合部52が取り付けられている。また、回動係合部52の上方部分を略矩形に開口することで、係合開口部521が形成されている。係合開口部521は、後述するように、飲料容器42のフランジ部421に係合する開口である。
【0037】
ハウジング部46は、容器接続モジュール40の意匠部分を構成し、全体として略円筒形状を呈しており、上方部分が下方部分よりも太く形成されている。また、ハウジング部46の下端部分には、第1可動筒状部48を外部から囲むカバー部51が配設されている。
【0038】
図4を参照して、容器接続モジュール40の構成を詳述する。図4(A)は容器接続モジュール40を示す分解斜視図であり、図4(B)は側方断面図である。
【0039】
図4(A)を参照して、ハウジング部46の外周面の対向する位置に、半径方向外側に向かって略円柱状に突出する係合凸部58が形成されている。回動係合部52の下端部分に形成された係合開口部59に、ハウジング部46の係合凸部58が回転可能に嵌め込まれる。これにより、回動係合部52は、ハウジング部46の外面に、回動可能に備えられる。
【0040】
図4(B)に示すように、容器接続モジュール40は、半径方向外側から、ハウジング部46、第1可動筒状部48、固定筒状部49および第2可動筒状部50を有する。
【0041】
第1可動筒状部48は、ハウジング部46の内側下方に配置され、付勢部材47により付勢され、ユーザの操作に応じて軸方向に沿って移動する。第1可動筒状部48の下端部分は、下方に向かって略円錐形に縮径する形状を呈している。また、第1可動筒状部48の下端部分は、第2可動筒状部50の下端部分に係合している。
【0042】
固定筒状部49は、ハウジング部46の内部に配置される略筒状の部材である。固定筒状部49の上方側端部はハウジング部46と連続しており、固定筒状部49の上方側端部は略円錐状に縮径している。固定筒状部49は、容器接続モジュール40の内部で位置が固定されている。
【0043】
第2可動筒状部50は、固定筒状部49に内蔵される略円筒の部材であり、下方に向かって徐々に外径が短くなる略円筒形状を呈している。上記したように、第2可動筒状部50の下端部は、第1可動筒状部48の下端部分に係合する。したがって、第2可動筒状部50は、付勢部材47の付勢力を受け、第1可動筒状部48と共に上下方向に沿って移動する。
【0044】
第2可動筒状部50の下端部分の外面には、封止部材62が係合されている。封止部材62は、例えばゴムや軟性樹脂等から成るOリングである。固定筒状部49の内面と、第2可動筒状部50の外面との間で、付勢部材47の付勢力により、封止部材62が圧縮変形することで、固定筒状部49の内面と第2可動筒状部50の内面との間の空間が封止される。これにより、後述するように、ユーザの操作がない間は、飲料容器42からの飲料の供給が停止される。一方、後述するように、ユーザの操作により、第1可動筒状部48が上方に移動したら、同時に第2可動筒状部50も固定筒状部49の内部で上方に向かって移動するので、封止部材62が固定筒状部49の内面から離れる。これにより、飲料容器42から固定筒状部49の内面と、第2可動筒状部50の外面との間を経由して、飲料が外部に供給される。
【0045】
ハウジング部46と第1可動筒状部48との間には、例えばコイルばねである付勢部材47が配置されている。付勢部材47の上端部分はハウジング部46の内部に形成された壁状部分に当接しており、付勢部材47の下端部分は第1可動筒状部48の内部に形成された段差部分に当接している。付勢部材47は、第1可動筒状部48を下方に向かって付勢している。これにより、第1可動筒状部48に係合する第2可動筒状部50の外面先端に取りつけられた封止部材62が、固定筒状部49の内面に押しつけられる。
【0046】
ハウジング部46の下端部分は、カバー部51を備えている。カバー部51は、第1可動筒状部48を外囲して保護している。
【0047】
容器接続部44は、上記したように、ハウジング部46の上端に取り付けられた略円筒形状の部材である。容器接続部44は、例えば、ゴムや軟性樹脂のような容易に弾性変形する材料から成る。容器接続部44は、全体としては略円筒形状を呈しており、その外面の上端部分は、上方に向かって外径が短くなる形状を呈している。即ち、容器接続部44の上端外面は、傾斜面441を形成している。傾斜面441の下端に於ける外径L11は、後述する飲料容器42の飲み口部43の最大外径と同程度以上に設定される。傾斜面441の上端に於ける外径L10は、後述する飲料容器42の飲み口部43の最小外径と同程度以下に設定される。これにより、後述する飲料容器42の飲み口部43の内径にバラつきがあったとしても、飲料容器42の飲み口部43の内面に、容器接続部44の傾斜面441の外面を、確実に嵌め込むことが出来る。
【0048】
日本国内に於いては、図5を参照して後述する飲料容器42は、その飲み口部43の内径が20mmのものと、その飲み口部43の内径が21mmのものが流通している。よって、本実施形態では、一例として、傾斜面441の最大外径であるL11を21mm以上とし、傾斜面441の最小外径であるL10を20mm以下としている。傾斜面441の外径をこのような範囲にすることで、開口径が異なる飲料容器42の飲み口部43に、容器接続モジュール40の飲料容器42を隙間無く挿入し、容器接続モジュール40の飲み口部43と、容器接続モジュール40の容器接続部44との間から、飲料が外部に流出することを防止できる。
【0049】
ハウジング部46の上方部分には、管部56が内蔵されている。管部56の下端部分は、ハウジング部46に形成された開口部55(図4(A))に連通しており、ハウジング部46の上端部分は容器接続部44の開口から外部に導出している。また、管部56の上端には逆止弁57が接続している。逆止弁57は、管部56から導入される空気を飲料容器42側に流通させる一方、管部56側には飲料を流通させない弁体である。
【0050】
図5は、容器接続モジュール40を示す図であり、図5(A)は飲料容器42と容器接続モジュール40とを接続する途中段階を示す断面図であり、図5(B)は容器接続モジュール40と飲料容器42とが接続された状況を示す断面図である。
【0051】
図5(A)を参照して、飲料容器42の端部には、飲み口部43およびフランジ部421が形成されている。容器接続モジュール40を飲料容器42に取りつける際には、先ず、容器接続モジュール40の回動係合部52を、半径方向外側に回動させて開く。
【0052】
この状態で、飲料容器42の飲み口部43を、容器接続モジュール40の容器接続部44に挿入する。上記したように、容器接続部44の傾斜面441の最小外径は、飲み口部43の内径よりも小さく設定されている。また、傾斜面441の最大外径は、飲み口部43の内径よりも大きく設定されている。よって、軟性材料から成る容器接続部44を飲み口部43に挿入すると、容器接続部44の外面が、飲み口部43の内面に密着するので、飲み口部43と容器接続部44との接触部から、飲料容器42の内部の飲料が外部に漏出することはない。
【0053】
図5(B)を参照して、次に、回動係合部52を半径方向内側に閉じる。これにより、飲料容器42のフランジ部421が、回動係合部52の係合開口部521に係合し、飲料容器42から容器接続モジュール40が離脱しないようになる。
【0054】
図6は、容器接続モジュール40が接続された飲料容器42を、冷蔵庫10の断熱扉21に組み込む状況を示す斜視図であり、図6(A)は組み込みの途中を示す斜視図であり、図6(B)は組み込まれた状況を示す斜視図である。
【0055】
図6(A)を参照して、断熱扉21の内面を前方に向かって窪ませることで収納領域53が形成されている。収納領域53には、ガード部60が備えられている。ガード部60は、略板状の部材であり、左右方向の端部が、上下方向にスライド可能な状態で、断熱扉21の内面に取りつけられている。収納領域53は、例えば2リットルのペットボトルである飲料容器42を二つ収納することができる容積を備えている。飲料容器42は、下端側に容器接続モジュール40が装着された状態で、収納領域53に収納される。飲料容器42を収納領域53に収納する際には、ガード部60は、収納領域53の下方側にスライドされている。これにより、飲料容器42の収納領域53への収納作業が、ガード部60により阻害されない。
【0056】
ここで、ガード部60を下げて飲料容器42を入れるようにすると、断熱扉24の収納作業が楽になる。更に、ガード部60を持ち上げることにより、断熱扉21を開閉する際に、飲料容器42を安定させることが出来る。図6(B)に示すように、ガード部60を上に持ち上げることで、ラッチが係り、飲料容器42を若干前方に押さえる。また、ガード部60を上下する時は、ガード部60は飲料容器42から若干離れて動作する。
【0057】
図6(B)を参照して、ガード部60を上方に移動させる。これにより、飲料容器42の下方部分がガード部60により支えられ、飲料容器42を安定的に収納領域53に収納することができる。
【0058】
図7は、容器接続モジュール40が接続された飲料容器42が冷蔵庫10の断熱扉21に組み込まれる状況を示す斜視図であり、図7(A)は断熱扉21の断面図であり、図7(B)は断熱扉21を外側から見た斜視図である。
【0059】
図7(A)を参照して、飲料容器42を、逆さまの状態で収納領域53に収納すると、飲料容器42に取りつけた容器接続部44の下端部は、飲料供給部54の上端奥側に露出する。また、飲料供給部54の奥側には、鈎形状を呈する供給レバー41が、回転可能な状態で設置されている。
【0060】
図7(B)を参照して、飲料供給部54は、断熱扉21の前面の下部分を後方に向かって窪ませることで形成された空洞である。飲料供給部54は、例えば、飲料容器42から供給されるカップ61を二つ収納できる容積を備えている。
【0061】
図8は、容器接続モジュール40と供給レバー41との関連構成を示す図であり、図8(A)は容器接続モジュール40および供給レバー41を示す斜視図であり、図8(B)は供給レバー41を示す斜視図である。
【0062】
図8(A)を参照して、容器接続モジュール40の下端に、供給レバー41が配置されている。供給レバー41の上端は、容器接続モジュール40の下端に接触している。詳しくは、図4(B)に示した付勢部材47の付勢力により、第1可動筒状部48の下端が、後述する供給レバー41の突起部414に押しつけられている。
【0063】
図4(B)を参照して、供給レバー41は、略鈎形状を呈する部材であり、上下方向に沿って伸びて前述したカップ61が当接する当接部411と、前後方向に沿って伸びて容器接続モジュール40に接触する接触部413と、接触部413と当接部411との接続部である角部412と、接触部413の前端を開口した係合孔415と、を有している。また、接触部413の上面後方端部を部分的に上方に向かって隆起させることで突起部414が形成されている。供給レバー41は、係合孔415を介して、冷蔵庫10の本体側に回動可能に接続される。
【0064】
このような構成を採用することによって、ユーザが、図示しないカップ61の後方端部で、供給レバー41の当接部411の前面を後方側に押すと、供給レバー41が係合孔415を支点として回転し、突起部414が押し上げられる。これにより、後述するように、接触部413の上端部分が、容器接続モジュール40の第1可動筒状部48および第2可動筒状部50を押し上げ、飲料容器42からカップ61に飲料を供給することができる。
【0065】
図9は、容器接続モジュール40を示す図であり、図9(A)は飲料水の流出を遮断している遮断状態の容器接続モジュール40を示す断面図であり、図9(B)は飲料水の流出を許容している解放状態の容器接続モジュール40を示す断面図である。
【0066】
図9(A)を参照して、遮断状態の容器接続モジュール40では、第1可動筒状部48および固定筒状部49が下方から押し上げられていないので、第2可動筒状部50の外面と、固定筒状部49の内面との間は、封止部材62が封止している。これにより、上記した飲料容器42に貯められた飲料が、容器接続モジュール40から外部に流出することはない。
【0067】
図9(B)を参照して、解放状態の容器接続モジュール40では、第1可動筒状部48の下端部が、図8(B)に示した供給レバー41の突起部414により、押し上げられている。これにより、第2可動筒状部50も固定筒状部49の内部で押し上げられる。よって、第2可動筒状部50の先端部に嵌め込まれている封止部材62は、固定筒状部49の内面から離間している。これにより、第2可動筒状部50と固定筒状部49との間を経由して、飲料容器42に貯められた飲料が、容器接続モジュール40を経由して、カップ61に供給される。その後、カップ61に飲料が充分に供給されることで、ユーザがカップ61を図8(B)に示した当接部411から離したら、容器接続モジュール40は図9(A)に示した遮断状態に戻り、飲料水の供給は停止される。
【0068】
図10を参照して、飲料容器42が組み込まれる断熱扉21の収納領域53の構成を更に説明する。ここでは、収納領域53に、開口63を適宜塞ぐ可動蓋64が配設されている。図10(A)は開状態の可動蓋64を示し、図10(B)は閉状態の可動蓋64を示している。
【0069】
図10(A)を参照して、収納領域53の底面には、飲料容器42の飲み口部43および容器接続モジュール40を挿通させるための開口63が形成されている。ここでは、収納領域53には2つの飲料容器42が収納されるので、2つの開口63が形成されている。開口63は冷蔵室15と外部とを連通させるので、収納領域53に飲料容器42が配置されない場合に、開口63をそのままにしておくと、冷蔵室15の冷気が開口63を介して外部に逃げてしまい、冷蔵室15の冷却効率が低下する恐れがある。そこで、本実施形態では、収納領域53に可動蓋64を配置している。
【0070】
可動蓋64は、略矩形形状を呈する板状の部材であり、下側辺の両端が、収納領域53の最下部の前端側に回動可能に取りつけられている。ここでは、可動蓋64は、収納領域53の奥側面に起立した状態で収納されている。
【0071】
図10(B)を参照して、収納領域53に飲料容器42が収納されない場合、可動蓋64を回動させて倒すことにより、可動蓋64で開口63を塞ぐことができる。このようにすることで、開口63を経由して冷気が外部に漏れ出すことを防止できる。更には、可動蓋64の上面に、食品等の貯蔵物を載置して収納することもできる。
【0072】
本実施形態により奏される主たる効果を、以下に説明する。
【0073】
本発明によれば、図4(B)に示したように、飲料容器42の飲み口部43の内壁に容器接続部44の外側面が接触することで、容器接続部44の種類により飲み口部43の内径が異なったとしても、容器接続部44と飲み口部43と容器接続部44との間隙を封止し、両者の間から飲料が漏出することを防止できる。
【0074】
また、図9に示したように、ユーザによる操作の有無に応じて、第2可動筒状部50が移動することで、ユーザが操作していない間は飲料の供給を停止する一方、ユーザが操作している間は飲料を供給することができる。
【0075】
また、図4に示したように、第1可動筒状部48をカバー部51で囲むことで、ユーザが不用意に第1可動筒状部48に接触することを防止し、不所望に飲料が流出することを防止できる。
【0076】
また、図4(B)に示したように、回動係合部52が飲料容器42に係合することで、容器接続部44を飲料容器42の飲み口部43に強固に取り付けることができる。
【0077】
また、図5に示したように、外部と連通する逆止弁57を飲料容器42の内部に配置することができ、飲料容器42からの飲料の供給を円滑に行うことができる。
【0078】
また、図2に示したように、冷蔵室15で飲料容器42に貯留された飲料を冷却でき、簡易な構成で冷却された飲料をユーザに提供することができる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、上記した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
上記した実施形態から把握できる発明をその効果と共に下記する。
本発明は、飲料容器の飲み口部に取りつけられる容器接続モジュールであって、前記飲料容器の前記飲み口部に挿入されて接続される容器接続部と、前記飲料容器からの飲料の供給を停止および許容する流出調整部と、を具備し、前記容器接続部は、前記飲料容器の側に向うにつれて外径が小さく形成され、前記飲料容器の前記飲み口部の内壁と前記容器接続部の外側面とが接触することで、前記容器接続部と前記飲み口部との間隙が封止されることを特徴とする。本発明によれば、飲料容器の飲み口部の内壁に容器接続部の側面が接触することで、容器接続部の種類により飲み口部の内径が異なったとしても、飲み口部と容器接続部の間隙を封止し、両者の間から飲料が漏出することを防止できる。
また、本発明では、前記流出調整部は、略円筒状のハウジング部と、前記ハウジング部の内部に配置され、付勢部材により付勢され、前記ハウジング部の軸方向に沿って移動可能に設けられる第1可動筒状部と、前記ハウジング部の内部に一体的に形成され、かつ、一端部が前記第1可動筒状部の内部に挿入される固定筒状部と、前記固定筒状部の内部に配置され、前記第1可動筒状部と共に前記軸方向に沿って移動可能に設けられる第2可動筒状部と、を有する。また、前記第1可動筒状部に前記付勢部材に抗する外力が作用しない間は、前記付勢部材の付勢力により前記固定筒状部と前記第2可動筒状部との間が封止されて、前記飲料容器からの前記飲料の供給を停止し、前記第1可動筒状部に前記付勢部材に抗する外力が作用する間は、前記固定筒状部と前記第2可動筒状部との間に間隙ができることにより、前記飲料容器から前記飲料の供給を許容することを特徴とする。本発明によれば、ユーザによる操作の有無に応じて、第2可動筒状部が移動することで、ユーザが操作していない間は飲料の流出を阻止する一方、ユーザが操作している間は飲料を供給することができる。
また、本発明では、前記流出調整部は、前記第1可動筒状部を外囲するカバー部を有することを特徴とする。本発明によれば、第1可動筒状部をカバー部で囲むことで、ユーザが不用意に第1可動筒状部に接触することを防止し、不用意なタイミングで飲料が流出することを防止できる。
本発明では、前記ハウジング部に回動可能に取り付けられ、前記飲料容器に係合する回
動係合部を更に具備することを特徴とする。本発明によれば、回動係合部が飲料容器に係合することで、容器接続部を飲料容器の飲み口部に強固に取り付けることができる。
また、本発明では、前記ハウジング部の一部を開口して形成される開口部と、前記ハウジング部に内蔵され、一端が前記開口部に接続され、他端が前記容器接続部から外部に導出する筒状の管部と、前記管部の前記他端に接続される逆止弁と、を更に具備することを特徴とする。本発明によれば、外部と連通する逆止弁を飲料容器の内部に配置することができ、飲料容器からの飲料の供給を円滑に行うことができる。
本発明は、容器接続モジュールを備え、貯蔵室を閉鎖する扉と前記貯蔵室に面する前記扉の内部側面に形成され、前記容器接続モジュールを下方に向けた前記飲料容器が収納される収納領域と外側に面する外部側面に形成され、前記容器接続モジュールの端部が配設される飲料供給部と一端側が前記容器接続モジュールに当接し、他端側が前記飲料供給部に配置される供給レバーと、を具備することを特徴とする。本発明によれば、ユーザがコップ等の容器で供給レバーを奥側に押すことで、容器接続モジュールを介して、飲料をコップに供給することができる。
本発明は、前記収納領域の下面に形成されて前記容器接続モジュールが挿入される開口と、前記収納領域の近傍に回動可能に配置されて前記開口を塞ぐ可動蓋と、を具備することを特徴とする。本発明によれば、飲料容器が収納領域に収納されていない際に、開口を可動蓋で塞ぐことができるので、開口を介して冷蔵室の冷気が外部に逃げることを防止することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 外箱
13 内箱
14 断熱材
15 冷蔵室
16 送風機
17 冷凍室
18 上段冷凍室
19 下段冷凍室
20 野菜室
21 断熱扉
22 冷却器
23 断熱扉
24 断熱扉
25 断熱扉
26 冷却室
27 圧縮機
40 容器接続モジュール
41 供給レバー
411 当接部
412 角部
413 接触部
414 突起部
415 係合孔
42 飲料容器
421 フランジ部
43 飲み口部
44 容器接続部
441 傾斜面
45 流出調整部
46 ハウジング部
47 付勢部材
48 第1可動筒状部
49 固定筒状部
50 第2可動筒状部
51 カバー部
52 回動係合部
521 係合開口部
53 収納領域
54 飲料供給部
55 開口部
56 管部
57 逆止弁
58 係合凸部
59 係合開口部
60 ガード部
61 カップ
62 封止部材
63 開口
64 可動蓋

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10