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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ケーブル接続プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20240318BHJP
   H01R 24/28 20110101ALI20240318BHJP
   H01R 4/2406 20180101ALI20240318BHJP
   H01R 4/2483 20180101ALI20240318BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R24/28
H01R4/2406
H01R4/2483
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020084108
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021168289
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519319299
【氏名又は名称】上西 雄太
(72)【発明者】
【氏名】上西 雄太
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-170393(JP,A)
【文献】特開平01-176673(JP,A)
【文献】実開平01-130274(JP,U)
【文献】特開2020-064830(JP,A)
【文献】米国特許第7425153(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第1124285(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第2712029(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24- 4/46
H01R 9/03- 9/11
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部導体が絶縁体を介して芯線の周囲を覆っているケーブルの端に着脱可能に取り付けられるケーブル接続プラグであって、
接続端子を第1端部に有し、前記第1端部の反対側に位置する第2端部に、前記ケーブルの端が挿入される円筒状のケーブル孔が、前記接続端子と中心を略一致させた状態で形成されている第1パーツと、
前記第1パーツの前記第2端部に着脱可能に取り付けられる第2パーツと、
を備え、
前記第1パーツは、
前記ケーブル孔の底面の中心に突出し、前記ケーブルの端を挿入した時に前記接続端子の第1端子と前記芯線とを接続する接続ピンと、
前記ケーブル孔に向かって略直交する方向から貫通する横ネジ孔と、
を有し、
前記横ネジ孔にビスをねじ込むことにより、前記ケーブルが前記第1パーツに固定されるとともに、前記外部導体と前記接続端子の第2端子とが接続され、
前記第2パーツが、前記ケーブル孔と同軸に形成された縦引出孔を有し、
前記第1パーツが、前記ケーブル孔の挿入口の縁に形成された横引出溝を有し、
前記ケーブル孔に挿入された前記ケーブルを、前記縦引出孔を通じて直線状に引き出すことが可能であるとともに、前記第2パーツで側方に曲げた状態に押さえ付けることにより、前記横引出溝を通じて前記ケーブルを側方に引き出すことが可能に構成されており、
前記ケーブル孔の側面のうち、前記横ネジ孔の形成部位との対向部位に前記横引出溝が形成されている、ケーブル接続プラグ。
【請求項2】
外部導体が絶縁体を介して芯線の周囲を覆っているケーブルの端に着脱可能に取り付けられるケーブル接続プラグであって、
接続端子を第1端部に有し、前記第1端部の反対側に位置する第2端部に、前記ケーブルの端が挿入される円筒状のケーブル孔が、前記接続端子と中心を略一致させた状態で形成されている第1パーツと、
前記第1パーツの前記第2端部に着脱可能に取り付けられる第2パーツと、
を備え、
前記第1パーツは、
前記ケーブル孔の底面の中心に突出し、前記ケーブルの端を挿入した時に前記接続端子の第1端子と前記芯線とを接続する接続ピンと、
前記ケーブル孔に向かって略直交する方向から貫通する横ネジ孔と、
を有し、
前記横ネジ孔にビスをねじ込むことにより、前記ケーブルが前記第1パーツに固定されるとともに、前記外部導体と前記接続端子の第2端子とが接続され、
前記第2パーツが、前記ケーブル孔と同軸に形成された縦引出孔を有し、
前記第1パーツが、前記ケーブル孔の挿入口の縁に形成された横引出溝を有し、
前記ケーブル孔に挿入された前記ケーブルを、前記縦引出孔を通じて直線状に引き出すことが可能であるとともに、前記第2パーツで側方に曲げた状態に押さえ付けることにより、前記横引出溝を通じて前記ケーブルを側方に引き出すことが可能に構成されており、
前記横ネジ孔および前記横引出溝の各々が、前記ケーブル孔の対向した側面の各々に形成されるとともに、前記横ネジ孔が延びる方向から見た場合に、前記横引出溝の下部が当該横ネジ孔と重なるように配置されている、ケーブル接続プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフェクターなどの電気機器の接続に好適な、ケーブル接続プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連して、エレキギターのケーブル接続プラグが開示されている(特許文献1)。
【0003】
そのプラグは、1つのプラグで、差込口に対して、ケーブルを真っ直ぐに接続できるタイプ(S型)と、ケーブルを直交する方向に接続できるタイプ(L型)とが使い分けできるように構成されている。
【0004】
具体的には、そのプラグでは、ケーブルが半田付けされているプラグ本体と、ギターのジャックに差し込む接続端子とが別々に構成されている。そして、そのプラグ本体の突端および側面の2箇所に、ネジ孔が形成されている(縦ネジ孔、横ネジ孔)。接続端子の基端部には、雄ネジが形成されていて、これら縦ネジ孔および横ネジ孔のいずれか一方にネジ止めすることで、接続端子はプラグ本体に取り付けられる。
【0005】
そして、その接続端子の基端部には、ばねで弾性付勢された可動式の電気導体が突出していて、接続端子を、プラグ本体の縦ネジ孔および横ネジ孔の双方にネジ止めしたときに、その可動式の電気導体が、本体部分に設けられている固定式の電気導体に圧接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭60-187475号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、エレキギターやベースなどの電気を利用して音を出す楽器(電気楽器)を演奏する際には、その電気楽器を複数のエフェクターに接続して、演奏した音の加工が行われる。
【0008】
これらエフェクターは、運搬し易いように、予め、エフェクターに電力を供給するパワーサプライ(直流電源)とともに、エフェクターボードと呼ばれるコンパクトなケースに収容されているのが一般的である。
【0009】
エフェクターボードの中では、これら機器がケーブルで互いに接続されて密集した状態で配置される。そのため、特許文献1のプラグのように、S型とL型とを使い分けることができれば、これら機器を効率よく収容できるので、便利である。
【0010】
しかし、特許文献1のようなプラグでは、これら機器からプラグ本体が大きく突出するので、邪魔になる。その結果、エフェクターボードの中に無駄なスペースが発生するおそれがある。
【0011】
更に、演奏する電子楽器によっては、使用するエフェクターの数や種類が変更される。その際、そのレイアウトに応じて、ケーブルの長さを調整し、ケーブルもエフェクターボードの中にコンパクトに収容したい。それに対し、特許文献1のようなプラグでは、ケーブルがプラグ本体に半田付けされているので、取り外せない。従って、ケーブルの長さ調整ができない。
【0012】
しかも、特許文献1のプラグでは、小さな接続端子に、可動式の電気導体を組み込む必要がある。そのため、構造が複雑で、部材コストや製造コストが高額になる。従って、この種のプラグに見合った適正価格で提供するのは難しく、実用化は困難である。
【0013】
そこで、本発明は、エフェクターなどの電気機器の接続に好適なケーブル接続プラグを、実用化が可能な安価な価格で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、外部導体が絶縁体を介して芯線の周囲を覆っているケーブルの端に着脱可能に取り付けられるケーブル接続プラグに関するものである。
【0015】
前記ケーブル接続プラグは、接続端子を第1端部に有し、前記第1端部の反対側に位置する第2端部に、前記ケーブルの端が挿入される円筒状のケーブル孔が、前記接続端子と中心を略一致させた状態で形成されている第1パーツと、前記第1パーツの前記第2端部に着脱可能に取り付けられる第2パーツと、を備え、前記第1パーツは、前記ケーブル孔の底面の中心に突出し、前記ケーブルの端を挿入した時に前記接続端子の第1端子と前記芯線とを接続する接続ピンと、前記ケーブル孔に向かって略直交する方向から貫通する横ネジ孔と、を有し、前記横ネジ孔にビスをねじ込むことにより、前記ケーブルが前記第1パーツに固定されるとともに、前記外部導体と前記接続端子の第2端子とが接続され、前記第2パーツが、前記ケーブル孔と同軸に形成された縦引出孔を有し、前記第1パーツが、前記ケーブル孔の挿入口の縁に形成された横引出溝を有し、前記ケーブル孔に挿入された前記ケーブルを、前記縦引出孔を通じて直線状に引き出すことが可能であるとともに、前記第2パーツで側方に曲げた状態に押さえ付けることにより、前記横引出溝を通じて前記ケーブルを側方に引き出すことが可能に構成されている。
【0016】
なお、前記第2パーツは、前記第1パーツに、ねじ込むことによって取り付けてもよい。
【0017】
また、前記横ネジ孔および前記横引出溝の各々は、前記ケーブル孔の対向した側面の各々に形成してもよい。
【0018】
更にそうした場合、前記横ネジ孔が延びる方向から見た場合に、前記横引出溝の下部が当該横ネジ孔と重なるように配置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るケーブル接続プラグによれば、エフェクターなどの電気機器を、状況に応じて簡単かつ自在に接続できる。従って、密集した状態で配置されている電気機器を適切な状態で接続できる。しかも、構造が簡単で安価な価格で提供できるので、実用化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ケーブル接続プラグのパーツを例示した概略斜視図である。
図2】ケーブルを例示した概略図である。
図3A】第1パーツの概略正面図と、その矢印線A-Aで示す部分の概略断面図である。
図3B】第1パーツの概略側面図と、その矢印線B-Bで示す部分の概略断面図である。
図4】S型での概略正面図と、その矢印線C-Cで示す部分の概略断面図である。
図5】L型での概略正面図と、その矢印線D-Dで示す部分の概略断面図である。
図6A】S型に接続する過程を説明する概略図である。
図6B】L型に接続する過程を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明を適用したケーブル接続プラグ1(単に「プラグ1」ともいう)を例示する。プラグ1は、第1パーツ10と第2パーツ30とで構成されている。なお、ここで説明するプラグ1は一例である。プラグ1の形状や構造、その用途などは、仕様に応じて適宜変更できる。
【0022】
図2に、このプラグ1の接続に好適なケーブル40を示す。ケーブル40は、いわゆる同軸ケーブルである。ケーブル40は、一本の電線からなる芯線41と、絶縁体42を介してその芯線41の周囲を覆う円筒状の外部導体43とを有している。外部導体43は、例えば、多数の細い電線を編むことによって形成されている。外部導体43の周囲は、絶縁体のシース44で被覆されている。
【0023】
プラグ1は、このようなケーブル40の端に取り付けて、エフェクターなどの電気機器の接続に使用される。例えば、ケーブル40の端にエフェクターを接続する。そして、ケーブル40のもう一方の端にプラグ1を取り付けて、パワーサプライの差込口に差し込む。そうすることにより、エフェクターとパワーサプライとを、電気的に接続する。
【0024】
プラグ1は、ケーブル40から容易に着脱できる。すなわち、ケーブル40とプラグ1とを電気的に接続する接点(電気的接点)は、通常行われている「半田付け」によって接続されていない。このプラグ1では、電気的接点の接続は、接続部位の圧接により行う。それにより、必要に応じて、簡単に、ケーブル40からプラグ1を取り外したり取り付けたりできる(ソルダーレス)。
【0025】
更に、このプラグ1では、ケーブル40に取り付けた時に、図4に示すように、ケーブル40を、プラグ1から真っすぐ延びる方向に引き出す状態(S型)と、図5に示すように、プラグ1に対して略90度曲がる方向に引き出す状態(L型)とに切り替えることができる。
【0026】
<第1パーツ10>
図3A図3Bに、第1パーツ10を示す。第1パーツ10は、プラグ1の本体部分を構成している。第1パーツ10は、端子部材の周囲にカバー部材を組み付けることによって一体的に構成されている。端子部材は、電気的接点を構成する金具と、絶縁体とからなる。カバー部材は、絶縁性を有する硬質なプラスチックの射出成型品からなる。
【0027】
第1パーツ10は、略円柱形状をしたボディ11と、ボディ11よりも短寸かつ小径な筒状の雄ネジ部12と、ボディ11よりも小径な棒状の接続端子13とを有している。
【0028】
接続端子13は、ボディ11の一方の端部(第1端部11a)に設けられている。接続端子13は、その第1端部11aの端面から突出している。接続端子13およびボディ11は、同軸に設けられていて、双方の中心は略一致している。
【0029】
接続端子13は、パワーサプライなど、ケーブル40の接続対象である電気機器の差込孔に挿入される。それにより、ケーブル40はプラグ1を介して電気機器と電気的に接続される。接続端子13の形状やサイズは、所定の規格に基づいて形成されている。
【0030】
図3Aに示すように、第1パーツ10の全長L1は、コンパクト化と操作性との両立の観点から、25mm以上30mm以下が好ましい。同様に、ボディ11の外径Wは10mm以上12mm以下が好ましい。接続端子13の全長L2は、約10mmである。
【0031】
雄ネジ部12は、第1端部11aの反対側に位置しているボディ11の端部(第2端部11b)に設けられている。雄ネジ部12の外周面には、ネジの凹凸が形成されている。雄ネジ部12は、第2端部11bの端面から突出している。雄ネジ部12は、接続端子13、ボディ11、およびケーブル孔14と同軸である。
【0032】
雄ネジ部12の長さL3(ボディ11の端面からの突出量)は、コンパクト化と操作性との両立の観点から、ボディ11よりも短いのが好ましい。具体的には、雄ネジ部12の全長L3とボディ11の全長(L1-L2-L3)との比率L3:(L1-L2-L3)は、1:3~1:5の範囲が好ましい。
【0033】
第2端部11bにはまた、円筒状のケーブル孔14が形成されている。ケーブル孔14は、雄ネジ部12の端面に開口した挿入口を有し、雄ネジ部12およびボディ11の中心部を、第1端部11aの側に向かって延びている。ケーブル孔14は、接続端子13およびボディ11と同軸に設けられている。
【0034】
このケーブル孔14に、その挿入口からケーブル40の端が差し込まれる。差し込まれたケーブル40の端は、ケーブル孔14に適度に嵌合する。すなわち、ケーブル孔14の内径は、ケーブル40の外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0035】
第1パーツ10の側部には、側面視がU形状の溝(横引出溝15)が、雄ネジ部12からボディ11の上部にわたる範囲に形成されている。横引出溝15は、雄ネジ部12およびボディ11の外側面とケーブル孔14の側面との間を貫通している。
【0036】
横引出溝15は、挿入口の縁から第1端部11aの側に凹むことによって形成されている。横引出溝15の溝底は半円形状である。横引出溝15の横幅は、ケーブル孔14の内径と略同一である。ボディ11における横引出溝15の深さ(横引出溝15の溝底の最深部から第2端部11bの端面までの長さ)は、ケーブル40の外径と同等、またはそれよりも僅かに小さい大きさに設定されている。
【0037】
第1パーツ10の側部にはまた、金属製の電気導体からなるビス20をねじ込む円筒状の横ネジ孔16が形成されている。横ネジ孔16は、ボディ11の外側面から、ケーブル孔14に略直交する方向からケーブル孔14に向かって貫通している。横ネジ孔16は、横引出溝15の反対側に形成されている。
【0038】
横ネジ孔16および横引出溝15の各々は、ケーブル孔14の対向した側面の各々に形成されている。そして、図3Aに示すように、横ネジ孔16が延びる方向(側方)から見た場合に、横引出溝15の下部(溝底の部分)は、横ネジ孔16と部分的に重なるように配置されている(横引出溝15の下端部が横ネジ孔16の中に位置)。
【0039】
横ネジ孔16は、ビス20がねじ込まれるネジ部16aと、ネジ部16aよりも大径の凹部16bとを有している。凹部16bは、円錐状の座部を有し、ボディ11の外周面に形成されている。横ネジ孔16にビス20をねじ込んだ場合に、ビス20の頭部が凹部16bの座部に嵌合して位置決めされる。そして、ビス20がボディ11の外周面から突出しないように、凹部16bがビス20の頭部を収容する。
【0040】
第1パーツ10は、電気的接点を構成する金具からなる一対の端子を有している(第1端子17および第2端子18)。第1端子17は、接続端子13に設けられている。第2端子18は、接続端子13およびボディ11に設けられている。第1端子17と第2端子18とは、絶縁体が介在することによって互いに絶縁されている。
【0041】
第1端子17は、円筒形状を有し、接続端子13の中心部分に、接続端子13と同軸に配置されている。第1端子17の基端部は、ケーブル孔14の底面に配置されている。その第1端子17の基端部の中心には、先の尖った接続ピン17aが固定されている。
【0042】
接続ピン17aは、ケーブル孔14の底面からケーブル孔14に突出している。それにより、ケーブル孔14にケーブル40の端を挿入した時には、芯線41に接続ピン17aが突き刺さって圧接し、第1端子17と芯線41が電気的に接続される。
【0043】
第2端子18は、接続端子13に配置される小径部位18aと、ボディ11に配置される大径部位18bとを有している。小径部位18aと大径部位18bは、2つの金属部品を連結することによって一体に構成されている。小径部位18aは、第1端子17よりも大径の円筒形状を有し、接続端子13の外周部分を構成している。小径部位18aは、接続端子13の表面に露出している。
【0044】
大径部位18bは、ケーブル孔14よりも大径の円筒形状を有し、ケーブル孔14の周囲に配置されている。ケーブル孔14の側面は、大径部位18bによって構成されている。大径部位18bの側面には、貫通孔が形成されている。貫通孔は、横ネジ孔16のネジ部16aの一部を構成している。
【0045】
横ネジ孔16に、ビス20を限界までねじ込んだ場合に、図4図5に示すように、ビス20の先端がケーブル孔14の内部の所定位置まで入り込むように設定されている。具体的には、ビス20を横ネジ孔16にねじ込んだ時には、ケーブル孔14に差し込まれたケーブル40の芯線41とは接触しないで外部導体43と接触する位置まで入り込むように設定されている。
【0046】
それにより、ケーブル孔14にケーブル40の端を差し込んだ状態で、ビス20を横ネジ孔16にねじ込むことにより、ケーブル40は、第1パーツ10に固定される。そして、ビス20が外部導体43に圧接し、外部導体43は、ビス20を介して、第2端子18と電気的に接続される。
【0047】
<第2パーツ30>
図1に示すように、第2パーツ30は、硬質なプラスチック製のキャップ状の部材からなる。第2パーツ30は、短寸で円筒状の周壁部31と、その一端を覆う円形の端壁部32とを有している。周壁部31の内面には雌ネジが形成されている。第2パーツ30を雄ネジ部12にねじ込むことにより、雄ネジ部12の周囲は第2パーツ30で覆われる。
【0048】
第2パーツ30の外径は、ボディ11の外径と略同一である。第2パーツ30の全長は、雄ネジ部12の全長よりもわずかに大きい。第2パーツ30を雄ネジ部12にねじ込むことにより、周壁部31の突端の環状の端面は、ボディ11の第2端部11bの端面に密着する。
【0049】
端壁部32の中央には、縦引出孔33が形成されている。縦引出孔33は、ケーブル孔14と略同一の内径を有し、ケーブル孔14と同軸に形成されている。第1パーツ10に第2パーツ30を取り付けた時には、縦引出孔33およびケーブル孔14は同軸に重なった状態になる。
【0050】
<S型への取り付け>
図6Aに、S型にケーブル40をプラグ1に取り付ける方法を示す。第2パーツ30は、第1パーツ10に取り付けた状態でよい。その状態で、ケーブル40の端を、限界まで、ケーブル孔14に挿入し、ケーブル40の端を第1パーツ10に仮組する。それにより、芯線41に接続ピン17aが差し込まれて、芯線41と第1端子17とが電気的に接続される。
【0051】
その状態で、ビス20を横ネジ孔16に、限界まで、ねじ込む。それにより、ビス20の先端がケーブル40の側部に食い込み、ケーブル40が第1パーツ10に固定される。同時に、ビス20を介して、外部導体43と第2端子18とが電気的に接続される。それにより、ケーブル40は、図4に示したように、プラグ1から直線状に引き出した状態、つまりS型に接続することができる。
【0052】
<L型への取り付け>
図6Bに、L型にケーブル40をプラグ1に取り付ける方法を示す。L型の場合、第2パーツ30を第1パーツ10から取り外した状態で、ケーブル40の端をケーブル孔14に挿入する。そして、S型の場合と同様に、ケーブル40の端を第1パーツ10に仮組する。
【0053】
その状態で、S型の場合と同様に、ビス20を横ネジ孔16にねじ込む(図6Bの左図の状態)。そうして、図6Bの右図に示すように、ケーブル40を曲げて、横引出溝15にはめ込む。その状態で、第2パーツ30を雄ネジ部12にねじ込む。それにより、ケーブル40は、第2パーツ30によって押さえ付けられるので、ケーブル40は、側方に曲げた状態に保持される。それにより、ケーブル40は、図5に示したように、プラグ1の側方に引き出した状態、つまりL型に接続することができる。
【0054】
このように、このプラグ1によれば、第1パーツ10および第2パーツ30からなる簡単な部材で構成されているので、構造がシンプルで、安価で実現できる。この種のプラグに見合った適正価格で提供できる。従って、実用化できる。
【0055】
ビス20による締結と、ケーブル40の抜き差しと、第1パーツ10と第2パーツ30との取り付けとを行うだけで、ケーブル40とプラグ1との接続状態をS型とL型とに切り替えることができる。従って、誰でも簡単に、短時間でケーブル40の付け替えができる。従って、高頻度でケーブル40を付け替える、エフェクターの接続に好適である。
【0056】
しかも、プラグ1を機器の差込口に差し込んだ時に、機器から突出するボディ11の全長は、その機能から見て最小の大きさに設定されている。従って、機器が密集している状態でも、ケーブル40に負担を強いることなく、接続できる。
【0057】
更に、第2パーツ30は、第1パーツ10にねじ込むことによって取り付けられる。ケーブル40をL型に引き出す場合、そのねじ込み量を調整することにより、ケーブル40の押さえ付け量を調整できる。すなわち、ケーブル40の曲がり具合を調整できる。ケーブル40の引き出し方向の自由度が高まるし、状況に応じてケーブル40の負担を軽減できる。
【0058】
また更に、横ネジ孔16と横引出溝15とが、ケーブル孔14の対向した側面に形成されている。すなわち、L型にケーブル40を引き出す場合、ケーブル40を曲げる方向の反対側において、ケーブル40はビス止めされる。曲げられたケーブル40が持ち上がる方向に対して逆側からビス20でケーブル40を締め付ける。従って、ケーブル40を、第1パーツ10にしっかりと固定できる。
【0059】
また更に、横ネジ孔16が延びる方向から見た場合に、横引出溝15の下部が横ネジ孔16と重なるように配置されている。すなわち、曲がるケーブル40が横引出溝15によって支持される位置(縦引出溝33の下部)に対して、横ネジ孔16が、その曲がる方向の逆側にずれた位置に配置されている。
【0060】
従って、ケーブル40を曲げたことでケーブル40に力が加わる位置がずれるので、ケーブル40への過度な応力を抑制でき、断線等の不具合を防止できる。しかも、ビス止めによる固定力をケーブル40に効果的に作用させることができる。ケーブル40をより安定して固定できる。ビス20を効果的に、ケーブル40に食い込ませることができる。外部導体43と第2端子18との電気的な接続をより確実にできる。
【符号の説明】
【0061】
1 プラグ
10 第1パーツ
12 雄ネジ部
13 接続端子
14 ケーブル孔
15 横引出溝
16 横ネジ孔
17 第1端子
17a 接続ピン
18 第2端子
20 ビス
30 第2パーツ
33 縦引出孔
40 ケーブル
41 芯線
42 絶縁体
43 外部導体
44 シース
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B