(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】超低周波交番磁場によって伝達される超低周波パルス磁場を生成する装置
(51)【国際特許分類】
A61N 2/12 20060101AFI20240318BHJP
A61N 2/02 20060101ALN20240318BHJP
【FI】
A61N2/12
A61N2/02
(21)【出願番号】P 2020560155
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 FR2019051109
(87)【国際公開番号】W WO2019220060
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520158610
【氏名又は名称】ジー.シー.テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】G.C.TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クレパン、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ルダン、パスカル
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0078780(US,A1)
【文献】独国実用新案第202017003178(DE,U1)
【文献】米国特許第4727857(US,A)
【文献】特開2016-209115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/04
A61N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の部分に適用されることを意図した超低周波パルス磁場を生成するための装置(2)であって、
複数対の磁石セクタ(6-1~6-4)であって、各磁石セクタは1つの同一の幾何学的形状を有し、各対の磁石セクタ同士は、同じ極性を有し、1つの同じ回転軸(X-X)を中心として互いから角度方向に離間されており、前記磁石セクタの各々は、前記回転軸に関する90°の内部開角度(α)と、前記回転軸の中心(O)を頂点とし、前記回転軸と反対にある自由端部両端の間の20°~50°の外部開角度(β)とを有し、各磁石セクタの2つの側端部(8-1~8-4)は、各磁石セクタが隣接する磁石セクタと接する部分であって、前記回転軸
を中心
とする円の半径の一部となるような直線状であり、前記自由端部から前記回転軸の外周までの距離の1/3から2/3までの距離(d)だけ前記回転軸の外周から延びており、各磁石セクタは、前記回転軸の軸方向における一方の側に北極を有するとともに他方の側に南極を有し、2つの隣り合った磁石セクタは逆の極性を有するように配置されており、前記回転軸に関して所与の速度で回転するように設定されることによって、所定の周波数における交番磁場を生成する、前記磁石セクタと、
前記磁石セクタの回転軸を中心とする円形の少なくとも1つの導電性ワイヤコイル(14)であって、パルス電流を供給されることによって、生成された前記交番磁場に重ね合わされるパルス磁場を生成する、前記導電性ワイヤコイルとを備える、装置。
【請求項2】
前記パルス電流は、20ヘルツ(Hz)の周波数で、1ミリ秒(ms)期間未満の規則的なパルスの形式で前記導電性ワイヤコイル(14)に対し供給され、生成される前記パルス磁場は1ミリテスラ(mT)~2mTの磁場である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パルス電流のパルス周波数を動作期間中に変化させる手段をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記磁石セクタの対の回転周波数を動作期間中に変化させる手段をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記磁石セクタの対の回転周波数は、10Hz以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気療法の一般的な分野に関し、とりわけ、鎮痛および消炎作用を生み出す目的で人体の部分に当てることを意図した低周波正弦波誘導電流を生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、誘導電流を生成するために、磁気治療では、とりわけ、可変磁場を使用して関節痛および抹消関節痛を和らげており、この可変磁場は、磁気源である、コイルまたは磁石によって生成される。磁石について、これらは、動作して誘導電流を生成するように設定される。
【0003】
磁場は、また、体の末端部(手足)だけでなく異なる臓器においても血流を調整する微小循環に影響を与える。2012年のファンク(Funk)の研究によって示されるように、10~15ミリテスラ(mT)で4~12ヘルツ(Hz)の間の周波数において変動する正弦波磁場を5分間照射することによって健康な被験者の手の微小循環が増加した。微小循環不全に特有の病状を有する若年性1型糖尿病患者の母集団において、2008年のニコラエヴァ(Nikolaeva)らによる研究もまた、プラセボ装置によって照射された集団と比較して、45mTの16Hzまでの正弦波磁場を15分間照射された後の脚の皮膚の微小循環が著しく増加したことを示した。
【0004】
磁気療法は、治療する体の部分に亘って動かす装置(通常はポータブル装置)を使用して行われ、この装置は、例えば回転磁石などの磁石およびモータを備えており、これによって、これらの磁石が、変化の割合に比例する電界を誘導する可変磁場を生成することが可能となる(ファラデーの法則)。
【0005】
特許文献1からポータブル装置は、治療目的として正弦波磁場を生成することは公知であり、この装置は、同一の回転軸を中心とする同一の幾何学的形状の平坦な4つの角度磁石セクタであって互いから角度方向に離間される角度磁石セクタと、逆の極性を有する2つの隣接する角度磁石セクタとを備える。このように配置されることによって、角度磁石セクタは、モータによって回転駆動され、所定の周波数の正弦波磁場が生成される。
【0006】
得られる治療効果が、角度磁石セクタの回転によって誘導される電流に関係することも公知であり、この電流の強度は、特定のしきい値を超える。さらに、誘導電流が磁石の線形な移動速度に比例することは公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、所与の回転速度について、線形な移動速度は、回転軸よりも角度磁石セクタの端部における方がより大きい。さらに、特許文献1に記載される装置により正弦波磁場を得るためには、磁石を角度セクタの形態において使用することが必要となり、これは、さらに装置の中央における磁場を減少させる。
【0009】
したがって、特許文献1に記載される装置は、装置の中央における誘導電流の強度が、治療効果を得るために必要なしきい値を超えないという欠点を有する。さらに、装置の中央は、通常、装置のユーザの要求が最も高い領域である。ユーザは、当然に、治療する痛みまたは病状に装置の中央を合わせる傾向がある。
【0010】
本文献において記載される装置のさらなる欠点は、装置の表面に近い区域において磁石間の空間が二重ピーク信号を生成すること、つまり、重大な高調波歪みである。
さらに、この装置の治療効果は、低周波、好ましくは、10Hz未満において得られるので、磁石の回転速度を上げることによって磁場
【0011】
【数1】
を増大させることは望ましくない。結果として、磁場
【0012】
【数2】
の増大は、得られる治療効果を低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を有しない磁気療法のための装置を提案することである。
本発明によれば、目的は、超低周波交番磁場によって伝達され、人体の部分に当てることを意図した超低周波パルス磁場を生成する装置によって、達成され、装置は、
逆の極性の角度磁石セクタの複数の対であって、角度磁石セクタの対は、1つの同じ回転軸を中心として互いから角度方向に離間されており、回転軸に対して所定の速度で回転するように設定されることによって、所定の周波数における交番磁場を生成する、角度磁石セクタの複数の対と、
角度磁石セクタの回転軸を中心とする少なくとも1つの導電性ワイヤコイルであって、パルス電流を供給されることによって、角度磁石セクタを回転させる設定によって生成された交番磁場に重ね合わされるパルス磁場を生成する、導電性ワイヤコイルと、を備える。
【0014】
角度磁石セクタの回転軸を中心とし、パルス電流を供給された導電性ワイヤコイルは、装置の動作ゾーンの中央において、強い誘導電流を生成し、これによって、角度磁石セクタの回転によって誘導される電流の不均一性がオフセットされる。また、導電性ワイヤコイルは、角度磁石セクタの周辺においてごく僅かな効果を有し(後者とは反対に)、これは、これらの2つの要素の関連によって装置の動作ゾーンのすべての点において強い誘導電流が得られることを意味する。したがって、誘導電流の強度は、回転軸と角度磁石セクタの自由端部との間の所定のしきい値よりも上にある。
【0015】
さらに、発明者は、交番磁場によって伝達された低周波パルス磁場を生成することが、装置が適用された人体の部分における血液の微小循環を増加させることを確認した。とりわけ、測定は、角度磁石セクタ単体または導電性ワイヤコイル単体の設定を伴うときよりも、殊の外、血液の微小循環における有意に大きな増加を示した。これらの測定の結果は、血液の微小循環に関する効果が2つの磁界の各々の効果を加算したものよりも大きいことを証明する。
【0016】
結果として、導電性ワイヤコイルにパルス電流を供給することによる磁場における急激な変化の本発明の装置による生成は、鎮痛および消炎効果を有する誘導電圧の生成を可能にする。
【0017】
好適には、導電性ワイヤコイルに20Hzの周波数で1ミリ秒(ms)期間の規則的なパルスの形式のパルス電流が供給され、1mT~2mTの磁場の生成を可能にする強度を生成する。極めて狭い直径の導電性ワイヤコイルは、弱い磁流および低エネルギー消費にもかかわらず、強い誘導電流が得られることを可能にする。システムは、したがって、磁場の最大値のごく僅かな修正を形成し、ポータブルで自己充足的である。
【0018】
さらに、好適には、装置は、パルス電流のパルス周波数を動作期間中に変化させる手段をさらに備える。この特徴によって、より適合した信号によって、周波数スペクトルを様々な病状に適するように修正することが可能となる。
【0019】
さらに、好適には、装置は、角度磁石セクタの対の回転周波数を動作期間中に変化させる手段をさらに備える。したがって、生成された正弦波信号は、各々が効率的と証明された様々な周波数を通じて移動する。
【0020】
角度磁石セクタの対の回転周波数は、有利には、10Hz以下である。
導電性ワイヤコイルは、角度磁石セクタの回転軸を中心とする円形のコイルであってもよい。導電性ワイヤコイルは、特定の点における効果の最大化を可能にする8の字型のコイル(いわゆる「バタフライ」コイル)であってもよい。
【0021】
さらに好適には、角度磁石セクタの各々は、同一の幾何学的形状を有し、回転軸に関する90°の内部開角度と、回転軸と反対にある自由端部に関する20°~50°の間の外部開角度と、角度磁石セクタの自由端部から回転軸を分離する距離の1/3と2/3との間の距離に亘って延在する半径を画定する2つの側端部と、を備える。角度磁石セクタのこの特定の形状は、角度磁石セクタの回転軸と自由端部との間の所定のしきい値を超える強度を有する正弦波磁場が得られることを可能にする。
【0022】
装置は、角度磁石セクタの対の背面に配置される磁気回路層をさらに備えることができる。装置は、角度磁石セクタの対の周りに配置される磁気シールド層も備えることができる。
【0023】
本発明の他の特徴および利点は、限定するものではないが、実施例を図示する添付の図面を参照して下記の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に応じた装置を示す概略図。
【
図3A】本発明の装置によって生成されるパルス磁場の例を示す図。
【
図3B】本発明の装置によって生成されるパルス磁場の例を示す図。
【
図4】本発明の装置、回転磁石を有する装置、および導電性ワイヤコイルを有する装置によって得られる血液の微小循環を示す曲線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および
図2は、概略的に、超低周波交番磁場によって伝達され、人体の部分に当てることを意図した超低周波パルス磁場を生成する本発明のポータブル装置2を図示する。
装置2は、出願人によって出願された特許出願第FR1760443号において記載されるように、角度磁石セクタ6-1~6-4の2つの対がその中で組み立てられるケース4を備える。
【0026】
同特許出願第FR1760443号において記載されるように、角度磁石セクタ6-1~6-4は、1つの同一な幾何学的形状を有し、1つの同一な回転軸X-Xを中心とし、直径Dおよび中心Oの円C内に収まっている。
【0027】
より詳細には、角度磁石セクタ6-1~6-4は、回転軸X-Xに関して互いから角度方向に離間しており、2つの隣り合った角度磁石セクタは逆の極性(北または南)を有するように配置される。
【0028】
装置2は、角度磁石セクタの対を回転軸X-Xに関して回転させる設定手段も備える。一実施形態において、これらの手段は、電気モータおよびベルト伝動の形態である。明らかに、他のいかなる手段もこの回転の設定を確実にすることが予想される。
【0029】
好適には、4つの角度磁石セクタ6-1~6-4の各々は、それらが内に収まっている円Cの対称半径R-1~R-4それぞれに対して対称な形状である。
角度磁石セクタ6-1~6-4の各々は、角度磁石セクタの対称半径に対して対称な2つの側端部8-1~8-4を備え、これらは、2つの隣接する角度磁石セクタの対応する側端部と対向するか、または、直接的に接触する。
【0030】
さらに、角度磁石セクタの各々の2つの側端部8-1~8-4は、円Cの半径D/2の2/3に対応する距離d(例えば、角度磁石セクタの自由端部から回転軸X-Xを分離する距離の2/3)に亘って延在する結合半径(円Cの中心Oと側端部の点10-1~10-4との間で区切られている、中心Oから最も遠い距離)を画定する。実際的な理由により、角度磁石セクタの点10-1のみが
図1に示される。
【0031】
さらに、角度磁石セクタの各々の側端部8-1~8-4同士はともに90°の角度αを形成する(回転軸X-Xに関する角度磁石セクタの各々の内部開角度αは、90°であるとも言える)。
【0032】
好適にはさらに、角度磁石セクタの各々は、回転軸X-Xと反対にある自由端部に関して、20°~50°の間の、好適には、45°の外部開角度βをさらに備える。
言い換えると、角度磁石セクタ6-1~6-4の各々の自由端部は、好適には、これらの間に角度磁石セクタが収まっている、円C上に位置する2点12a,12bの間において区切られている。これらの点は、対称であり、点O,12aおよび点O,12bによって形成される半径同士がともに20°から50°の間の、好適には45°の角度βを形成する。
【0033】
本発明の装置の角度磁石セクタ6-1~6-4は、好適には、300回毎分(rpm)の速度で回転軸X-Xに対して回転するように設定され、好適には、10Hz以下の周波数の正弦波誘導電流を生成する。装置の角度磁石セクタ6-1~6-4のこの回転設定は、交番磁場を生成する。
【0034】
図2に示すように、本発明の装置2は、角度磁石セクタの回転軸X-Xを中心とし、パルス電流を供給される少なくとも1つの導電性ワイヤコイル14をさらに備える。
コイル14は、例えば、角度磁石セクタの回転軸を中心とする円形のコイルである。これは、単層に巻いた0.5ミリメートル(mm)未満の直径を有する銅線からなっており、その外側の直径は、磁石の外側の直径を覆う。
【0035】
このコイルには、パルス電圧も供給される。「パルス電圧」とは、時間に亘る、規則的な、一様のパルスの形式の電圧における変化を意味し、そのパルス期間(発生時間)およびパルス繰り返し時間(周波数)が決定され得る。しかしながら、これらは、公知の非規則的なパルスであってもよく、どのように生成するかについても公知である。
【0036】
好適には、導電性ワイヤコイル14に供給するパルス電圧は、1ms期間未満、20Hzの周波数の規則的なパルスの形式であり、最大1mT~2mTの磁場を生成するのに十分な強度を生成する。
【0037】
このようにして、導電性ワイヤコイル14は、角度磁石セクタ6-1~6-4を回転させる設定によって生成された交番磁場の上に重ね合わされるパルス磁場を生成する。
導電性ワイヤコイルは、角度磁石セクタの回転軸X-Xを中心とする8の字型のコイル(「バタフライ」タイプのコイル)であってもよいことに留意されたい。本発明の装置は、導電性ワイヤコイル14に供給するパルス電流のパルス周波数および/または角度磁石セクタ6-1~6-4の対の回転周波数を動作期間中に変化させる手段(マイクロコントローラタイプの)をさらに備える点についても留意されたい。
【0038】
この特徴は、動作期間中に装置によって生成される磁場を変化させる点においてとりわけ有利である。
角度磁石セクタ6-1~6-4は、コイル14への電気の供給とは独立した電気モータ(図示せず)によって回転軸X-Xに関して回転駆動される点についてさらに留意されたい。また、コイル14に電源が投入された場合、その極性に変化はないままである。とりわけ、本発明の装置が動作中の場合、コイルには、いかなる極性逆転も生じない。
【0039】
図3Aおよび
図3Bは、これらの2つの磁界の重ね合わせによって生成される磁場(時間に応じた)の例を図示する。
とりわけ、
図3Aは、本発明の装置によってその中央、すなわち、角度磁石セクタの回転軸X-Xにおいて生成された誘導電流C1を示す曲線の例を示す。
図3Bは、装置の中央から1センチメートルの距離における交流誘導電流C2を示す曲線の例を示す。
【0040】
これらの2つの誘導電流C1,C2は、正弦波によって伝達されたパルスの各々を明確に示す。とりわけ、正弦波によって伝達されたパルスの強度は、装置の中央においてより大きく、中央から離れるにつれて減少することが確認される。したがって、導電性ワイヤコイルは、パルス電流が供給されると、装置の中央においては強い誘導電流を、その周辺においては、より低い強度を生成する。
【0041】
図4は、本発明の装置の試験例およびいくつかの適用期間に亘って装置によって照射された人体の部分における血液の微小循環から得られた結果を図示する。
より詳細には、装置の試験は、次に示す動作モードとともに人の手に対して行われた。休止期間P1(5mn持続)、装置の第1適用期間P2(3mn持続)、装置の第2適用期間P3(3mn持続)、および通常に戻る期間P4(15mn持続)である。
【0042】
血液灌流画像システムを使用して、試験全体を通じて皮膚灌流の段階(すなわち、血液の微小循環)を直接的に測定することができる。画像から与えられるデータは、休止期間P1の最後の値の平均に関連して正規化され、試験の間の微小循環における増加率が表される。
【0043】
図4は、3つの異なる試験に対応する3つの異なる曲線を示すものであり、C3は、本発明の装置を使用した試験に対応し、曲線C4は、導電性ワイヤコイルを有するが回転磁石を有しない磁気療法装置を使用した試験に対応し、曲線C5は、回転磁石を有するが導電性ワイヤコイルを有しない装置を使用した試験に対応する。
【0044】
適用期間P2,P3の間、本発明の装置の適用によって得られた血液の微小循環の効果(曲線C3)は、2つの他の装置によって得られた効果(曲線C4および曲線C5)を単純に加算したものよりも極めて大きいことが確認される。2つの適用期間P2,P3の開始時において手の全体の血液灌流において100%の増加が認められた一方で、導電性ワイヤコイルなしの装置(曲線C5)では、増加は50%だけであった。回転磁石なしの装置(曲線4)では、微小循環における効果はごく僅かであった。
【0045】
さらに、特許出願第FR1760443号において記載される装置について、本発明の装置は、厚みの異なる角度磁石セクタを有することができること、角度磁石セクタの対の背面に配置される磁気回路層が提供され得ること、角度磁石セクタの対の周りに配置される磁気シールド層が提供され得ることに留意されたい(図示されていない)。この場合、磁気回路の反対側にアンテナが配置され、これによって、円形のアンテナの磁場が磁気回路によって減衰されない。