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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】油圧制御式凍結保存装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/08 20060101AFI20240318BHJP
   F04B 15/08 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F04B9/08 G
F04B15/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021507659
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019071787
(87)【国際公開番号】W WO2020035522
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】1857488
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520355149
【氏名又は名称】クライオカプセル
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリゲンスタイン,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリゲンスタイン,シャヴィエル
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-119075(JP,A)
【文献】米国特許第04830230(US,A)
【文献】特公昭50-008551(JP,B1)
【文献】特開平05-071842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0029463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/00-15/08
F25D 1/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温保存またはガラス化装置(1)であって、
-第1の体積の加圧された油圧油(V1H)を含む蓄圧器(2)と、
-前記蓄圧器からシリンダ(55)に向かって管(4)によって第2の体積の油圧油(V2H)を放出することができる弁(20)を制御する制御システムと、
-前記第2の体積の油圧油(V2H)によって駆動され、低温保存される試料(8)を受け入れるように意図された低温容器(7)中に第1の体積の低温流体(V1Aまたは第2の体積の低温流体(V 2A を駆動するように構成されたピストン(6)を含むシリンダ(55)であって、前記ピストン(6)は、中間チャンバ(50)中のある体積の低温流体を収集するために構成された端部要素(61)を含む、シリンダ(55)と、
を含む、装置。
【請求項2】
前記蓄圧器(2)は、200bar以上の圧力を受けた第1の体積の加圧された油圧油(V1H)を含み、前記圧力は、前記第1の体積の低温流体(V1A)にかかる1,800bar以上の出口圧力を5ms以下の時間で発生させるように前記ピストン(6)に印加される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蓄圧器(2)は、200bar以上の圧力を受けた第1の体積の加圧された油圧油(V1H)を含み、前記圧力は、前記第1の体積の低温流体(V1A)にかかる2,000bar以上の出口圧力を2ms以下の時間で発生させるように前記ピストン(6)に印加される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記蓄圧器(2)は、体積が変形可能であるチャンバを含み、ある体積の圧縮性気体は、前記蓄圧器(2)の前記第1の体積の油圧油が受ける所定の圧力を生成する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ピストン(6)の幾何学的構成は、その入り口とその出口との間の6以上の圧力比を確保する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は分配ブロック(3)を含み、前記分配ブロック(3)は、前記第1の体積の加圧された油圧油(V1H)を前記シリンダ(55)に運び、前記分配ブロック(3)は、第1の分配器(10)および第2の分配器(11)を含み、前記第1の分配器(10)は、低温保存が作動すると第1の所与の圧力に従って噴射弁(35)が作動することを可能とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記分配ブロック(3)は、第2の体積の低温流体(V2A)を収集するように制御される第2の分配器(11)を含み、前記制御システムは、前記第2の体積の低温流体(V2A)をポンピングすることを可能とするレジームに従って前記ピストン(6)を作動させるように前記第2の分配器(11)を制御する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の分配器(11)は、前記シリンダ(55)からもたらされるある体積の油圧油の排出を、前記試料(8)の低温保存に続いて連動させる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ある体積の加圧された油圧油を運ぶ前記蓄圧器(2)の出口インタフェース(19)は、前記分配ブロック(3)の入り口インタフェース(22)と一直線に並び、前記インタフェースは管(21)によって接続され、その長さは60cm以下である、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
ある体積の加圧された油圧油を運ぶ前記分配ブロック(3)の出口インタフェース(30)は、前記シリンダ(55)の入り口インタフェース(41)と一直線に並び、前記インタフェース(30、41)は管(4)によって接続され、その長さは60cm以下である、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
低温流体リザーバ(12)は、ある体積の低温流体が中間チャンバ(50)中で維持されることを確実にする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記低温容器(7)は、ある体積のエタノールを含有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記低温容器(7)は、前記低温流体の排出のための吐出口を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液または構成成分の低温保存またはガラス化用装置の分野に関する。より具体的には、発明は、ピストンを駆動するための油圧回路を含む低温保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低温保存される要素が位置する空洞内で、好適な圧力および温度条件下で、ある体積の液体窒素Nを供給するように構成されたシステムに基づく、溶液または構成成分などの要素を低温保存するための装置が存在する。
【0003】
現在の解決方法は、シリンダ中にピストン型の取り外し可能な部分を含むシステムを最もよく使用し、その運動は圧縮空気式の気体の膨張によって係合される。この種の解決方法は、低温保存される要素を含有する容器中で、ある体積の液体窒素Nの高い移動速度が達成されることを可能とする。しかしながら、この種の解決方法は、特に気体の膨張に関して、具体的には弾性であるという大きな欠点を有し、その温度および圧力は制御されない。さらに、気体の膨張は、結果として生じるピストンの速さの制御を可能としない。したがって、高速の低温保存を得ることができるが、複雑なシステムが定められない限り、低温保存条件を適切に制御することはできない。
【0004】
移動の速さを制御しながら、低温保存の時間を低減し、低温保存の温度および圧力条件の制御を向上させることを可能とするシステムを使用する必要性が存在する。
【0005】
シリンダ中のピストンの移動を可能とするための解決方法は、特にモータまたは航空部門の、油圧システムを含む。しかしながら、例えば要素を低温保存するための、ピストンの急速移動を得るために、一般に使用される油圧油の粘度についての推定の結果、この解決方法を検討するのを当業者は思いとどまるであろう。
【0006】
結果として、当業者は、ある体積の気体の移動を制御および調整するための装置を強化しながら、気体がより多くのエネルギーで膨張し得る解決方法を得ようと試みるであろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、本発明は、
-加圧された第1の体積の油圧油を含む蓄圧器と、
-蓄圧器からシリンダに向かって管によって第2の体積の油圧油を放出することができる弁を制御する制御システムと、
-第2の体積の油圧油によって駆動され、低温保存される試料を受け入れるように意図された低温容器中に第1の体積の低温流体を駆動するように構成されたピストンを含むシリンダと、
を含む、低温保存またはガラス化装置に関する。
【0008】
そのような配置は、ある体積の油圧油が移動することを可能とし、その速さおよび圧力は、試料を低温保存する意図でピストンを作動させるために制御され得る。
【0009】
発明によって定義される用語「油圧油」は、非圧縮性油圧流体を意味すると理解される。一実施形態によれば、油圧油は、ISO VG 46鉱物油であり、すなわち、40℃で約40mm/s~50mm/sの範囲にある平均動粘度を有する。
【0010】
発明の範囲内では、低温流体は、具体的には液体窒素N、すなわち、その沸点未満に冷却された二窒素の気体である。
【0011】
一実施形態によれば、蓄圧器は、200bar以上の圧力を受けた第1の体積の油圧油を含み、前述の圧力は、低温流体の第1の体積にかかる1,800bar以上の出口圧力を5ms以下の時間で発生させるようにピストンに伝達される。
【0012】
一実施形態によれば、蓄圧器は、200bar以上の圧力を受けた第1の体積の油圧油を含み、前述の圧力は、第1の体積の低温流体にかかる2,000bar以上の出口圧力を2ms以下の時間で発生させるようにピストンに伝達される。
【0013】
一実施形態によれば、蓄圧器は、体積が変形可能であるチャンバを含み、圧縮性気体の体積は、蓄圧器の第1の体積の油圧油が受ける所定の圧力を生成する。したがって、一定の圧力が、蓄圧器中の前記体積の油圧油にかかり得る。
【0014】
一実施形態によれば、ピストンの幾何学的構成は、その入り口とその出口との間の6以上の圧力比を確保する。したがって、例えば液体窒素Nで得られる、試料の物理的低温保存現象を活性化するように、十分な圧力、具体的には1,800bar以上の圧力が、ピストンの出口で達成され得る。
【0015】
一実施形態によれば、装置は分配ブロックを含み、前述の分配ブロックは、第1の体積の加圧された油圧油をシリンダに運び、前述の分配ブロックは、低温保存が作動すると第1の所与の圧力に従って噴射弁が作動することを可能とする第1の分配器を含む。そのような配置の1つの利点は、前記体積の加圧された油圧油を、シリンダの入り口に可能な限り近づけることである。具体的には、第1の分配器は、前記体積の加圧された油圧油を、シリンダの入り口から数センチメートルの距離に運ぶことを可能とする。
【0016】
一実施形態によれば、分配ブロックは、第2の体積の低温流体を収集するように制御される第2の分配器を含み、制御システムは、前述の第2の体積の低温流体をポンピングすることを可能とするレジームに従ってピストンを作動させるように第2の分配器を制御する。したがって、分配ブロックは、2つの機能:一方では、所望の体積の低温流体に到達するまで低温流体をポンピングし、他方では、所与の体積の低温流体を高速および高圧で低温容器に送るために噴出することを行うことができる。したがって、分配ブロックは、所与の体積の低温流体、具体的には液体窒素Nを調節することを可能とする。
【0017】
一実施形態によれば、ピストンは、中間チャンバ中のある体積の低温流体を収集するために構成された端部要素を含む。したがって、ピストンは、低温保存のためにある体積の低温流体を射出すること、または次の射出用の量を準備するためにある体積の低温流体を収集することのいずれかを可能とするために設計される。
【0018】
一実施形態によれば、低温流体リザーバは、低温流体の体積が中間チャンバ中で維持されることを確実にする。これは、容易に交換することができる装置を構成する部品を得て、整備を容易にするという利点を有する。
【0019】
一実施形態によれば、第2の分配器は、シリンダから生じるある体積の油圧油の排出を、試料の低温保存に続いて連動させる。したがって、ピストンは、第2の分配器のおかげで、ピストンを再配置するための高い圧力レベルを必要とせずに、初期状態に復帰することができる。
【0020】
一実施形態によれば、加圧されたある体積の油圧油を運ぶ蓄圧器の出口インタフェースは、分配ブロックの入り口インタフェースと一直線に並び、前述のインタフェースは管によって接続され、その長さは60cm以下である。そのような配置は、粘度の影響を制限し、管内での前記体積の油圧油の移動中の動力学を保存するという利点を有する。
【0021】
一実施形態によれば、ある体積の加圧された油圧油を運ぶ分配ブロックの出口インタフェースは、シリンダの入り口インタフェースと一直線に並び、前述のインタフェースは管によって接続され、その長さは60cm以下である。再び、そのような配置は、粘度の影響を制限し、管内での油圧油の体積の移動中の動力学を保存するという利点を有する。
【0022】
一実施形態によれば、低温容器は、ある体積のエタノールを含有する。そのような体積のエタノールは、低温保存に使用される低温流体の動力学から試料を保護することを可能とする油圧クッションを形成する。
【0023】
一実施形態によれば、低温容器は、特に低温流体の排出のための吐出口を含む。したがって、新しい低温保存の噴出が迅速に実行され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】発明の一実施形態による低温保存装置の機能のブロック図である。
図2】発明の一実施形態による低温保存装置の斜視図である。
図3】発明の一実施形態による低温保存装置のシリンダの線図であり、そのピストンは、低温流体として作用する液体窒素Nを含有するチャンバと連通している。
図4】発明の一実施形態による低温保存装置のシリンダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を読むと、以下の説明はより良く理解されるであろう。説明のために、装置は好ましい実施形態によって示される。しかしながら、本出願は示された正確な配置、構造、特徴、実施形態、および外観に限定されないことを理解しなければならない。図面は正確な縮尺ではなく、特許請求の範囲をこれらの図面に示された実施形態に限定することを意図するものではない。結果として、特許請求の範囲で言及される特徴の後に符号が続く場合、前述の符号は、単に特許請求の範囲の理解を深める意図で含まれ、決してこれらの特許請求の範囲を限定するものではないことを理解しなければならない。
【0026】
図1は、発明の一実施形態の機能を示すブロック図である。低温保存装置は、符号1で示される。
【0027】
蓄圧器
蓄圧器2は、例えば250~450barに加圧されたある体積の油圧油を含む。一例によれば、蓄圧器2中の油圧油の圧力は、300~400barの範囲にある。一実施形態によれば、蓄圧器2は、ピストン蓄圧器である。一実施形態によれば、蓄圧器2は、装置1のある体積の油圧油が再び運ばれることを可能とする入り口を含み、その体積の油圧油は使用済みであり、低温保存に再利用されるものとする。
【0028】
一実施形態によれば、蓄圧器2は、体積が変形可能であるチャンバを含み(図には示されていない)、油圧油の体積が実質的に一定の圧力下で維持されることを可能とする加圧された液体窒素Nを含有する。一実施形態によれば、蓄圧器2は、したがって、絶えず供給があるように外部ポンプ9によって油圧油を供給され得る。一実施形態によれば、加圧された油圧油のレベルが蓄圧器中で維持されることを可能とするポンプ9は、油圧油が、装置1の機器の他の部分に供給されることをさらに可能とするポンプであり得る。
【0029】
蓄圧器2は、一実施形態によれば異なる分配器10、11を含む分配ブロック3に、ある体積の油圧油V1Hを給送するための出口19を含む。チャネルまたは管21は、蓄圧器2と分配ブロック3との間に有利に配置される。
【0030】
分配ブロック
図2に示す実施形態では、分配ブロック3は、穿孔されたブロック5を含む。穿孔されたブロック5は、例えば、鋳鉄製または鋼製であり得る。一例によれば、穿孔されたブロック5は、緻密な硬いブロックを形成する。穿孔されたブロック5は、弁、逆止弁、取り付け具、管、エルボ、調整器、制御器、ポジショナ、活栓、および遮断弁等のような油圧要素を受け入れるように意図された凹部および開口を含む。分配ブロック3は、したがって、穿孔されたブロック5、および穿孔されたブロック5内に配置された種々の油圧要素を含む。
【0031】
例示的な一実施形態によれば、分配ブロック3は、2つの分配器10、11を含む。
【0032】
第1の分配器10は、低温保存動作を実行するために、分配ブロック3の第1の動作モードを得ることを可能とする。この実施形態では、分配器10は、蓄圧器2によって供給される。このために、図1に示すように、分配ブロック3は、蓄圧器2から油を運ぶ入り口弁20からもたらされる油圧油を受け入れるための入り口22を含む。
【0033】
第2の分配器11は、次の低温保存ステップに必要なある体積の液体窒素Nをポンピングするために、分配ブロック3の第2の動作モードを得ることを可能とする。
【0034】
具体的には、それらの連動は、ある体積の液体窒素Nをポンピングするステップおよび試料8を低温保存するステップを連続させるために、複数体積の加圧された油圧油がシリンダ55に注入されかつシリンダ55から排出されることを可能とする。このために、シリンダ55は、分配ブロック3からもたらされるある体積の油圧油を受け入れるための入り口41を含む。
【0035】
弁20は、制御モジュール(図示せず)から制御される。その開閉は、例えば、油圧システムのプログラミングに従って自動生成された機械的および/もしくは電気的設定値によって、またはユーザによる使用を意図した制御インタフェースから手動で、制御され得る。
【0036】
油圧回路は、2つの異なる方法で使用され得る。第1の方法は、液体窒素Nを低温流体として使用して要素を低温保存するために、高圧、例えば350barで、蓄圧器2から油圧油の体積を抽出することを含み、第1の、いわゆる「低温保存」動作モードに対応する。第2の方法は、低温流体として所与の体積の液体窒素Nをポンピングするために、350bar以下の圧力、例えば約50barの圧力で、ポンプ9によって油圧油リザーブからある体積の油を抽出することを含み、第2の、いわゆる「ポンピング」動作モードに対応する。一実施形態によれば、蓄圧器2に供給するポンプ9は、分配器11にも供給するように構成され得る。ポンプ9は、油圧油リザーブRESERVに有利に接続される。
【0037】
第1および第2の動作モード:低温保存およびポンピング
2つの、低温保存およびポンピング動作モードのいずれも、制御インタフェースから制御され得る。設定値は、2つの動作モードのいずれかで油圧回路を作動させる。
【0038】
例として、2つの動作モードは連続して使用され得、例えば、次に低温保存動作で使用されるために、所与の体積の液体窒素Nが最初にポンピングされる場合である。ポンピングモードを使用する1つの利点は、注入される窒素Nの量およびその圧力の完全な制御である。さらに、該当する場合、エアポケットが排除される。
【0039】
一実施形態によれば、発明の装置1は、ある体積の加圧された油圧流体をシリンダ55の内部に運ぶために油圧回路を制御する第1の分配器10を含む。このために、油圧回路のサブアセンブリを形成する第1の分配回路は、油圧回路の制御機能:弁の開放の加速または減速、逆止弁の制御、活栓の制御、ポンプの昇降運動の管理、消費される体積の油圧油および液体窒素Nの排液および吐出、ならびに油圧回路の異なる点での圧力制御測定が、実行されることを可能とする。
【0040】
ポンピング機能が第2の動作モードに従って作動すると、油圧回路は、低温保存のためにピストン6の移動を発生させるのに必要な圧力より低い圧力で、ポンプ9によってリザーブRESERVからある体積の油圧油を抽出する。したがって、ピストン6の移動は、ある量の液体窒素Nがリザーブ50から抽出されることを可能とする速さで実行される。ポンピングは、ピストン6の昇降運動の結果起こる。抽出される窒素Nの量は、低温保存またはガラス化される所与の要素に対して計算される。
【0041】
最終的に、収集された液体窒素Nの量が十分になると、蓄圧器2によって供給される第1の分配器10の作動により、低温保存動作が開始し得る。
【0042】
第3の動作モード:ピストン復帰
分配器10の第3の動作モードは、低温保存のための噴出を実行した後の圧力管理に対応する。分配器11は、圧力を発生させ、ピストン6をその元の位置に駆動し、別の噴出に備える。一実施形態によれば、発明の装置1は、例えば圧力計を使用して生成された、複数の圧力測定点を含む。圧力計は、異なる場所:蓄圧器2の出口、ポンプ9の出口、分配器10の入り口および出口、分配器11の入り口および出口に、配置され得る。チェックポイントは、制御が、到達される設定値の関数としてサーボ制御されることを可能とする。圧力調整器または弁の開閉補助具は、シリンダ55のピストン6への油圧油の体積の伝達を容易にするために実装され得る。
【0043】
一実施形態によれば、噴射弁35の開放運動を補助する油圧補助具は、弁の開放がピストン6に向かって注入される油圧油の圧力勾配を不利にするのを防ぎ得るように配置され得る。
【0044】
一実施形態によれば、前記体積の加圧された油圧油を運ぶ油圧回路は、ピストン6と接触するシリンダ55に挿入される。入り口41は、前記体積の油圧油が管4を通過した後にシリンダ55に挿入されることを可能とする。発明の装置1の1つの利点は、分配ブロック3の出口とシリンダ55の入り口との間の距離が可能な限り低減されることである。一実施形態によれば、蓄圧器2の出口と分配器10の出口との間の油圧回路は、油圧油の圧力が維持および制御されることを可能とする。分配器10は、第1の、いわゆる「低温保存」動作モードにおいて、蓄圧器2の弁20の開放と連動する噴出弁35を含み、その結果、その開放はある体積の油圧油を放出し、その圧力は実質的に蓄圧器2の出口圧力に等しい。
【0045】

蓄圧器2と分配ブロック3との間で粘度の影響を低減するために、第1の管21が、2つの要素2および3の間に配置される。第1の管21の長さは、蓄圧器2の出口を分配ブロック3の入り口弁20の入り口に面して直線上に配置することによって、可能な限り低減される。優先的には、弁20は、分配ブロック3に含まれる。1つの好ましい配置によれば、蓄圧器2は、第1の管21が垂直に位置するように分配ブロック3の真下に配置される。この配置によって、6cm~60cmの範囲にある管21の長さだけでなく、最小の全体寸法も得られる。第1の管21の直径は、油圧油の移動中に粘度の影響が低減されるように決定される。直径は、2cm以上、優先的には4cm以上である。一実施形態によれば、第1の管21の直径は、5~10cmの範囲にある。一実施形態によれば、蓄圧器2は、同じ構成で分配ブロック3の上に配置され、第1の管21が垂直に配向されることを可能とする。
【0046】
分配ブロック3の出口とシリンダ55の入り口との間の距離を低減するために、第2の管4が、シリンダ55と分配ブロック3との間に配置される。一実施形態によれば、第2の管4は、実質的に直線状である。一実施形態によれば、第2の管4は、乱流、重力、および粘度の影響を制御するために水平に配向される。最終的に、この配置によって、機械の全体寸法が低減される。一実施形態によれば、管4の長さは、10~50cmの範囲にある。例示的な一実施形態によれば、第2の管4の長さは、8cm~20cmの範囲にある。一実施形態によれば、第2の管4の長さは、20~40cmの範囲にある。一例によれば、第2の管4の長さは、25~30cmの範囲にある。第2の管4の直径は、粘度の影響を防ぐように十分に大きく、直径は、2cm以上、優先的には5cm以上である。一実施形態によれば、第2の管4の直径は、6~10cmの範囲にある。
【0047】
様々な例によれば、管4および21は、異なる材料で作製され得、異なる厚さを含み得る。機械的強度が最低350~400barの圧力に耐えるように寸法決めされなければならない。一実施形態によれば、管は、1~6mmの厚さを有し、例えば、金属製である。一例によれば、管4、21は、油圧油を受け入れるための編み上げ金属ホースまたはチューブである。
【0048】
ピストン
シリンダ55に注入された油圧油は、ピストン6の移動を駆動する。
【0049】
一実施形態によれば、ピストン6は、低温保存に使用されるある体積の気体、例えば液体窒素Nを射出するように意図されたピストン6の出口表面積の7~20倍の範囲の、油圧油と接触するように意図された入り口表面積を含む。一実施形態によれば、面積比は、10~16の範囲にある。一実施形態によれば、比は、5~10の範囲にある。油圧油が350barの圧力である例では、要素を低温保存するための、ピストン6の出口での液体窒素Nの圧力は、有利に約2,300barに等しくなり得る。入り口および出口の表面積比は、優先的には、6.5以上である。
【0050】
したがって、ピストン6は、第1の動作モードを満たすように、すなわち、ある体積の液体窒素Nを容器7に注入するように、寸法決めされる。異なる実施形態によれば、ピストン6は、容器7中の液体窒素Nの圧力を調節するために、異なるストロークを進み得る。一実施形態によれば、ピストン6のストロークは、160mm~240mmの範囲にあり得る。一例によれば、ストロークは、200mmに等しい。
【0051】
ピストン6の表面により低い圧力を印加することによって、ピストン6は、所定の量を抽出するために、中間チャンバを形成するリザーバ50中のある体積の液体窒素Nをポンピングするように動き得る。そのような中間チャンバ50の利点は、低温容器中に送られるある体積の流体を発生させることによって低温保存を実行するために、ピストン6がある体積の液体窒素Nをポンピングすることができるリザーバ、および液体窒素Nの出口圧力が伝わることを可能とするチャネルの両方を形成することである。所定の量は、ピストン6の複数の運動で収集され、低温保存のための液体窒素Nの所望のレベルに到達することを可能とする。次いで、第1の動作モードに従って、ピストン6は、低温保存される試料が保持されている容器7に向かってある体積の液体窒素Nの移動を高圧で駆動する。
【0052】
図3に示す実施形態では、ピストン6は、ポンピング機能を満たすために、シリンジまたはピペットとして作用する出口端取り付け具61を含む。したがって、シリンジは、中間リザーバ50に侵入し、ある体積の液体窒素Nを抽出する。ピストン6の端部取り付け具を受け入れるように適合されたチャネル51は、中間リザーバ50中に向かって開いているように配置され得る。端部取り付け具61の往復運動は、ある体積の液体窒素Nをポンピングするための機能が実行されることを可能とする。一実施形態によれば、ピストン6の往復運動を確保するためのポンピング機能は、例えば制御システムのコンピュータによって制御される弁および/または逆止弁に加えて、分配器11によって獲得され得る。この第2の動作モード、すなわちポンピングモードを作動させるために、分配器11は、管4を形成するチャネルを介してある体積の油圧油を注入し、シリンダ55の出口インタフェース42を介してある体積の油圧油を抽出するように制御される。ピストン6をその初期位置に再配置するために、出口42を介した前記体積の油圧油の抽出が、注入に続いて実行される。
【0053】
ある体積の加圧された油圧油を分配ブロック3の分配器10からシリンダ55に移すことを可能とする管4は、シリンダ55の入り口インタフェース41と有利にインタフェース接続する遠位端を含む。
【0054】
圧力レベルのバランスをとり、ポンピングされる液体窒素Nのレベルを維持するために、液体窒素Nのリザーブ12が使用されて、あるレベルの液体窒素Nをリザーバ50に注入する。例えば逆止弁または弁を伴う、入り口52が、液体窒素Nの所与のレベルに到達することを確実にするために実装され得る。したがって、入り口52は、中間リザーバ50とのインタフェースを形成する。
【0055】
一実施形態によれば、低温保存される試料8は、容器7中に配置される。一実施形態によれば、容器7は、注入される気体の運動学から試料8を保護しながら、液体窒素Nを通す。一実施形態によれば、容器7は、中間リザーバ50の出口管54の延長に配置された開口56を含むチャンバに対応する。
【0056】
一実施形態によれば、中間リザーバ50は、所与の圧力閾値を超えた場合、容器7に向かって前記体積の液体窒素Nを吐出するように構成された逆止弁53を含む。したがって、第1の動作モードが作動すると、噴出弁35は、容器7に注入されるある量の窒素Nの加圧を可能とするピストン6の移動を駆動する。もし圧力が所与の閾値より高ければ、逆止弁53は開放され、試料8を低温保存するのに必要な前記量の窒素Nを放出する。
【0057】
ある体積の液体窒素Nのポンピングに対応する第2の動作モードによれば、ピストン6の移動は、窒素Nの圧力が所与の閾値未満であるように十分に遅い。これらの条件下では、逆止弁53は閉鎖したままであり、容器7中に窒素Nを放出しない。したがって、逆止弁53は、容器7中へのある体積の液体窒素Nの放出を可能とするか、または防ぐように構成される。1つの利点は、第1および第2の動作モードの両方での動作を確実にするように、構成要素が共同利用されることである。
【0058】
一実施形態によれば、試料8への窒素Nの作用を促進するように、ある体積のエタノールETHAが容器7に挿入される。ある体積のエタノールの存在は、窒素Nの注入中、油圧「クッション」の形成を可能とし、したがって試料8を保護する。
【0059】
一実施形態によれば、試料8は、容器7に容易に出し入れされ得る取り外し可能な支持体13の表面上に有利に配置される。低温保存動作の後、容器7の出口は、その中に挿入されかつ/または閉じ込められた前記体積の液体窒素NおよびエタノールETHAが吐出されることを可能とする。
【0060】
図2は、発明の装置1の、1つの小型の配置例を示す。この配置例では、蓄圧器2は、分配ブロック3の真下に配置されている。言い換えれば、蓄圧器2および分配ブロック3は、その最大寸法の軸に沿って同一直線上に配置される。1つの利点は、これが管21の長さを可能な限り短くすることである。
【0061】
一実施形態によれば、弁20は、管21と蓄圧器2との間に配置される。別の実施形態によれば、弁20は、管21と分配ブロック3との間に配置される。
【0062】
一実施形態によれば、説明のために図2に示すように、発明の装置1は、脚アセンブリ71を含む。さらに、一実施形態によれば、装置1は、決定された配置に従って装置1の異なる要素を維持するフレーム70を含む。その1つの利点は、所与の場所に設置するために異なる要素を別々に分解することなく、一体での装置1の移動を可能とすることである。フレーム70の別の利点は、シリンダ55を、液体窒素Nのリザーバまたは低温保存後の気体の吐出リザーバと一直線に正確に配置することである。フレーム70は、穿孔されたブロック5が支持体を形成する平面によって支持されることを可能とし、具体的には、ある程度の衝撃が吸収されることを可能とする。
【0063】
図4は、シリンダ55の一実施形態の斜視図である。図4は、シリンダ55内でピストンを移動させるのに使用される油圧油のための入り口インタフェース41および出口インタフェース42を示す。入り口インタフェース41および出口インタフェース42は、シリンダ55が分配ブロック3に接続されることを可能とする。有利には、分配ブロック3は、その出口インタフェース30がシリンダ55の入り口インタフェース41と一直線に並ぶことを可能とするように配置される。分配ブロック3の出口30は、分配器10の出口31、ひいてはシリンダ55の入り口41と有利に一直線に並ぶ。したがって、管4は、シリンダ55の入り口41と分配ブロック3の出口30との間に有利に配置される。
【0064】
一例によれば、第2の分配器11の出口32は、シリンダ55の出口42と一直線に並ぶ(構成は図示されていない)。別の例によれば、第2の分配器11の出口32は、シリンダ55の出口42と一直線に並んでいない。第2の動作モード、すなわちポンピング動作モードでは、分配ブロック3からシリンダ55に流体を運ぶことまたはその逆は、低温保存のための噴出に対応する第1の動作モードの構成より低い物理的制約に耐えることができる管内で起こり得る。より具体的には、第2の動作モードで移動する流体の圧力は、第1の動作モードで移動する流体の圧力未満である。
【0065】
したがって、この構成は、管4によって、分配ブロック3の分配器10の出口31がシリンダ55の入り口41と一直線に並ぶことを可能とする。この配置は、入り口/出口31および41の間の流体の運動学および動力学を可能な限り保存しながら、高速および高圧で注入された流体の移動を獲得する。したがって、分配器10の出口での流体の圧力は、ピストン6の入り口で実質的に保存される。
【0066】
一実施形態によれば、シリンダ55は、例えば、円筒チャンバを含み得る。ピストン6は、第1の位置と第2の位置との間で動く可動部である。ピストン6の位置は、ピストン6の1つ以上の作動表面にかかる圧力および背圧の結果、到達される。
【0067】
ある体積の加圧された油圧油V1Hの移動の影響下でピストン6が駆動される場合、入り口部を含むピストン6の第1の部分は、ピストン6の移動をもたらす前記体積の油圧油の入り口圧力を受ける。したがって、出口部を含むピストンの第2の部分60は、高速である体積の液体窒素Nに向かって駆動される。
【0068】
ピストン6の移動の速さは、第1の動作モード中の第1の移動の後に、低温保存、ある体積の液体窒素Nのポンピング、またはさらにはピストン6の再配置のどれが実行されるかに応じた油圧油の入り口流量に依存する。
【0069】
ピストン6の断面積比は、非常に短い時間で、例えば10ms以下、優先的には5ms以下の時間の経過で、試料の低温保存を促進するのに十分な出口圧力を提供するように有利に設計される。一実施形態によれば、低温保存は、実質的に1msに近い時間内で実行される。図3に示す例では、ピストン6の第2の部分60の端部は、ある体積の液体窒素Nが収集されることを可能とする遠位要素61を含む。ピストン6の入り口での油圧油の圧力が制御されると、ピストン6は、ある体積の液体窒素Nを含有する中間リザーバ50に侵入するように移動する。端部61が、その復帰進行中にシリンジ55の上部に向かって移動すると、ある体積の液体窒素Nが収集されている。この体積の収集は、ピストン6の第2の部分60が動くチャネルでの吸引によって起こり得る。遠位要素61は、ある体積の液体窒素Nを抽出する抽出器として作用する。シリンジ、ピペットの原理、またはある体積の液体窒素Nの収集を可能とする任意の他の原理に従って液体窒素Nの体積を収集するための、異なる実施形態が考慮され得る。したがって、動作は、次に試料8を低温保存するのに使用されることになる所望の体積の液体窒素Nが得られるまで繰り返される。
【0070】
一実施形態によれば、ピストン6の第2の部分60が動くチャネルは、低温保存の要求に応じて予め定められている全体積の液体窒素Nを受け入れるように寸法決めされ得るチャンバ51を構築する。
【0071】
様々な実施形態が説明され、示されてきたが、上述の詳細な説明は、それに限定するものと見なしてはならない。特許請求の範囲によって定義される発明の真の趣旨から逸脱することなく、当業者は、実施形態に様々な変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4