(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】トレーニングパッド
(51)【国際特許分類】
A63B 69/20 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A63B69/20
(21)【出願番号】P 2021531854
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 AU2019051333
(87)【国際公開番号】W WO2020113277
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521239635
【氏名又は名称】ファツィオ,ライモンド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ファツィオ,ライモンド
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0306484(US,A1)
【文献】米国特許第5127871(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1465334(KR,B1)
【文献】米国特許第8814758(US,B1)
【文献】米国特許第8777631(US,B1)
【文献】登録実用新案第3143159(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 1/00-26/00
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニングパッドであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、柔軟な弾力性シャフトと、
前記シャフトの前記第1の端部に隣接して設けられた、ハンドル部分と、
前記シャフトの前記第2の端部に隣接して取り付けられた、パッド部材と、
前記シャフトの前記第1の端部に接続された第1の端部、及び前記パッド部材に隣接した前記ハンドル部分の側で、前記シャフトに接続された第2の端部を有する、ガードとを備え、
前記ガードは柔軟な弾力性部材を備え、前記柔軟な弾力性部材の前記第1及び第2の端部間で湾曲し、それによって前記ガードは、前記ハンドル部分の前で支持された凸状の外面を画定する、トレーニングパッド。
【請求項2】
前記シャフトは、バネ、及び前記バネの端部に入れられたロッドを備え、前記バネはハンドグリップを含み、それによって前記バネ及び前記ハンドグリップは、前記ハンドル部分を形成する、請求項1に記載のトレーニングパッド。
【請求項3】
前記パッド部材は、前記シャフトに隣接した第1の側面と、使用中に殴打される第2の側面とを含み、前記ロッドは、前記バネに隣接した前記パッド部材の側に位置された屈曲部を含み、それによって、前記屈曲部から前記第1の端部における前記シャフトの部分は、前記第2の側面に向かった方向に屈曲する、請求項2に記載のトレーニングパッド。
【請求項4】
プレートが前記ロッドに接続され、それによって前記パッド部材の前記第1の側面が前記プレートに接続される、請求項3に記載のトレーニングパッド。
【請求項5】
前記ガードの前記第2の端部は穴を含み、前記穴を通して前記シャフトが受け入れられ、前記プレートは、前記ハンドル部分に隣接した側にスロットを含み、それによって前記ガードの前記第2の端部は、前記スロットを通過する、請求項4に記載のトレーニングパッド。
【請求項6】
前記ガードは、前記ハンドル部分の前に位置されたシールド部分を備え、第1の支持部は、前記シールド部分から延びて前記シャフトの前記第1の端部に接続し、第2の支持部は、前記シールド部分から延びて前記パッド部材に隣接した前記シャフトに接続する、請求項
2~5のうちいずれか一項に記載のトレーニングパッド。
【請求項7】
前記第1の支持部は細長い平面部材を備え、前記細長い平面部材は、前記シールド部分に対してある角度で、前記シャフトの前記第1の端部に隣接した位置まで延び、それによって、前記第1の支持部の遠位端は、前記バネの端部に設けられたプラグの中に入っている締結具によって、前記シャフトの前記第1の端部に固定される、請求項6に記載のトレーニングパッド。
【請求項8】
前記第2の支持部は細長い平面部材を備え、前記細長い平面部材は、前記シールド部の前記第2の端部から、前記シールド部分に対してある角度で延び、前記シャフトに隣接する、請求項7に記載のトレーニングパッド。
【請求項9】
前記シールド部分、ならびに前記第1及び第2の支持部は、一体で形成される、請求項8に記載のトレーニングパッド。
【請求項10】
前記パッドは、前記プレートの第2の側面に固定された背面パッド部材を含む、請求項1~9のうちいずれか一項に記載のトレーニングパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボクシングなどの格闘技のトレーニングに使用され得るパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの格闘技は、トレーニングにパッドを利用する。これらのパッドは、トレーナーによって保持され、練習者がパッドを叩く間、動かされ得る。この目的のために使用される、一般的なパッドの種類は2つあり、フォーカスパッド及びパドルである。一般にフォーカスパッドは、背部にポケットを伴う円形パッドを備え、ポケットの中にトレーナーは手を挿入できる。次にトレーナーはパッド側を格闘者に向け、格闘者はパンチをパッドに打つ。このようなフォーカスパッドに共通の課題は、繰り返される殴打の力が、トレーナーの肩及び指などの腕関節を損傷させる場合があることである。
【0003】
パドルは、短いハンドルの端部に固定された小さい円形パッドを備える。このハンドルは、パッド面が格闘者に向けられるよう外側に保持される。格闘者がパッドを打つ際に、パッド及びハンドルの端部は後方に押され、それによってトレーナーの腕にかかる力の影響を軽減させる。しかし、このようなパドルの共通の課題は、格闘者がパッドを打ち損ねてハンドルの前面に向けて打ち、それによってトレーナーの手または手首を打ち得ることである。これは、トレーナー及び格闘者の両方に怪我をもたらしかねない。
【0004】
本発明は、前述の課題に対処するよう努めつつ、トレーニング中に予想されるタイプの衝撃に耐えるよう、十分な強度である、格闘技のトレーニングのためのパッドに関する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの態様によると、
第1の端部及び第2の端部を有する、柔軟な弾力性シャフトと、
シャフトの第1の端部に隣接して設けられた、ハンドル部分と、
シャフトの第2の端部に隣接して取り付けられた、パッド部材と、
シャフトの第1の端部に接続された第1の端部、及びパッド部材に隣接したハンドル部分の側においてシャフトに接続された第2の端部を有する、ガードと
を備え、
このガードは柔軟な弾力性部材を備え、その第1及び第2の端部間で湾曲し、ハンドル部分の前方に凸状の外面を画定する。
【0006】
好ましくは、シャフトは、バネ、及びバネの端部に受け入れられるロッドを備え、バネはハンドグリップを含み、それによってバネ及びハンドグリップは、ハンドル部分を形成する。
【0007】
好ましくは、パッド部材は、シャフトに隣接した第1の側面と、使用中に殴打される第2の側面とを含み、ロッドは、バネに隣接したパッド部材の側部に位置された屈曲部を含み、それによって、屈曲部から第1の端部までのシャフトの部分は、第2の側面に向かった方向に屈曲する。
【0008】
好ましくは、プレートがロッドに繋がれ、それによってパッド部材の第1の側面がこのプレートに繋がれる。
【0009】
好ましい実施形態において、ガードの第2の端部は穴を含み、この穴を通してシャフトが受け入れられる。プレートは、ハンドル部分に隣接した側にスロットを含み、それによってガードの第2の端部は、このスロットを通過する。
【0010】
好ましくは、ガードは、ハンドル部分の前に位置されたシールド部分を備え、第1の支持部は、シールド部分から延びてシャフトの第1の端部に繋がり、第2の支持部は、シールド部分から延びてパッド部材に隣接したシャフトに繋がる。
【0011】
好ましくは、第1の支持部は、細長い平面部材を備える。この細長い平面部材は、シールド部分に対してある角度で、シャフトの第1の端部に隣接した位置まで延び、それによって、第1の支持部の遠位端は、バネの端部に設けられたプラグの中に入っている締結具によって、シャフトの第1の端部に固定される。
【0012】
好ましくは、第2の支持部は、細長い平面部材を備える。この細長い平面部材は、シールド部分の第2の端部から、シールド部分に対してある角度で延び、シャフトに隣接する。
【0013】
好ましい実施形態において、シールド部分、ならびに第1及び第2の支持部は、一体で形成される。
【0014】
好ましくは、パッドは、プレートの第2の側面に固定された背面パッド部材を含む。
【0015】
次に本発明を、以下の図面を参照し、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】本発明によるトレーニングパッドの背面斜視図である。
【
図1b】
図1aのトレーニングパッドの前面斜視図である。
【
図3】ハンドル部分の内部の特徴と示す、
図1のトレーニングパッドの側面図である。
【
図4a】ガードのシャフトへの接続を示す、背面図である。
【
図4b】ガードとシャフトとの間の接続を示す、斜視図である。
【
図5】使用中のトレーニングパッドの曲がりを示す、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図を参照すると、全体的に、シャフト12及びパッド部材14を備えたパッド10が示される。シャフト12は、第1の端部18及び第2の端部19を有する細長い管部材を備える。ハンドル部分16は、シャフト12の第1の端部18に隣接して、シャフト14上に設けられ、パッド部材14は、第2の端部19に隣接して、シャフト12に固定される。
【0018】
パッド部材14は、1層または複数層の、発泡体及び/またはゴムなどの好適な柔軟材料で形成された部材を備える。パッド部材14は、全体的に平坦な第1の側面20、全体的に平坦な第2の側面21、ならびに第1及び第2の側面20及び21間に延びた縁部面22を含む。パッド10のシャフト12は、パッド部材14の第1の側面20に装着されることになり、パッド部材14の第2の側面21は、使用中にパンチで打たれることになる。示される実施形態において、パッド部材14は円筒形であり、そのため第1及び第2の側面20及び21は円形である。しかし、代替の形状がパッド部材14に使用され得ることを理解されたい。
【0019】
シャフト12は、その第2の端部19に隣接して固定されたプレート32を含み、パッド部材14を支持する。プレート32は、シャフト12に固定された平坦な部材を備え、それによってパッド部材14の第1の側面21は、プレート32の第1の側に固定される。プレート32は、パッド部材14の形状に対応した形状を有し、したがって示される実施形態において、プレート32は円形である。示される実施形態におけるプレート32は、シャフト12の第2の端部19を越えて外側に延びる。
【0020】
パッド部材14は、1層または複数層の好適な材料を備える。示される実施形態において、第2の側面21に隣接した外側層40と、プレート32に固定された内側層42が設けられる。外側層40は、好適なゴム材料で形成され、内側層42は、適した発泡材で形成され得る。しかし、適した衝撃吸収特性を提供するために、他の構造も可能であることを理解されたい。
【0021】
トレーニングパッド10には、背面パッド60も設けられる。背面パッド60は、プレート32の第2の側に固定される。背面パッド60は、プレート32から離して位置された外側層40、及びプレート32に固定された内側層42も、備え得る。背面パッド60も、示される実施形態において円形であり、トレーナーに向けて使用する間、防護するために提供され、トレーニングパッド10の第2の端部19は、後方に力を加えられる。
【0022】
外側カバー(図示していない)も、パッド部材14及び背面パッド60を覆って延びるよう設けられ得る。
【0023】
ハンドル部分16は、シャフト12の第1の端部18に隣接して設けられ、それによってトレーナーは、トレーニングパッド10をハンドル部分16で把持し得る。示される実施形態において、ハンドル部分16はハンドグリップ17を含み、その中にシャフト12の第1の端部18が入れられる。ハンドグリップ17は、筋入りの柔軟ゴムまたはプラスチック材料などの好適な材料から形成された、一般的な柔軟グリップを備え、パッド10をハンドグリップ17で容易に保持するのを可能にする。
【0024】
シャフト12は、ロッド44及びバネ46を備える。バネ46は、第1の端部18に隣接したシャフト12の一部を形成し、ロッド44は、第2の端部19に隣接したシャフト12の一部を形成する。したがって、バネ44の第1の端部は、シャフトの第1の端部18から、シャフト12の第1及び第2の端部18及び19の間に位置した、バネ44の第2の端部まで延びる。ロッド46の第1の端部は、バネ44の第2の端部の中に入れられ、ロッド46は、シャフト19の第2の端部19まで延びる。ロッド46は、プラスチック材料などの適したな弾力性材料から形成される。示される実施形態において、バネ46はハンドル部分16を備える。
【0025】
ロッド46は、バネ46に隣接したパッド部材14の側に位置した、屈曲部34を含む。屈曲部34から第1の端部18までのロッド46の部分は、パッド部材14の第2の側面21に向かう方向に屈曲する。
【0026】
トレーニングパッド10は、ガード24も含む。ガード24は、シャフト12の第1の端部18から、パッド部材14に隣接したハンドル部分16の側部の位置まで延びる。ガード24は、プレスチック材料の平坦シートなど、柔軟で弾力性材料から形成された、湾曲部材を備える。ガード24は湾曲し、それによってガード24はハンドル部分16から外方を向いた凸状外面62を形成する。
【0027】
ガード24は、シールド部分26の外面を横断するパッドカバー(図示していない)も含み得る。このパッドカバーは、ガード24の外面への衝撃に対抗する、追加の防護を提供することになる。パッドカバーは、使用中にトレーナーの手に隣接したガード24の内面も横断して延び得る。
【0028】
ガード24は、示される実施形態において、シールド部分26,第1の支持部28、及び第2の支持部29を備える。シールド部分26は、ハンドル部分16の前側(パッド部材14が固定されるシャフト12の側)に隣接して支持される平坦な部材を備え、それによって空隙30が、シールド部分26とハンドル16との間に形成される。第1の支持部28は、シャフト12の第1の端部18に固定するために、シールド部分26の第1の端部から延びる。第2の支持部29は、パッド部材14に隣接したハンドル部分16の側においてシャフト12と係合するよう、シールド部分26の第2の端部から延びる。
【0029】
示される実施形態における第1の支持部28は、細長い平坦な部材を備え、それはシールド部分26に対してある角度で、シャフト12の第1の端部18に隣接した位置まで延びる。第1の支持部28の遠端部は、ネジ山付き締結具64などの適切な締結具によって、シャフト12の第1の端部18に固定される。ネジ山付き締結具64は、
図3で確認できるように、バネ46の端部の中に入れられたプラグ66の中にネジ留めされる。
【0030】
第2の支持部29は、細長い平面部材を備える。この細長い平面部材は、シールド部分26の第2の端部から、シールド部分26に対してある角度で延び、シャフト12に隣接する。示される実施形態において、シールド部分26、ならびに第1及び第2の支持部28及び29は、弾性プラスチックシート材料など、適した材料シートから一体で形成される。
【0031】
ガード24の第2の支持部29における遠位端は、開口部50を含み、この開口部50は、第2の支持部29をシャフト12に連結するために、シャフト12を受け入れる。
図4で確認できるように、プレート32はスロット52を含み、それによって第2の支持部29の遠位端はスロット52を通過する。それによってガード24は、プレート32及びシャフト12の両方に接続される。これは、ガード24のために確実に接続することができ、その一方で、
図5に示されるように、ガード24、プレート32、及びシャフト12のロッド44における相対的な曲がりを可能にする。
【0032】
使用中、パッド10はハンドル16で把持され、それによってトレーナーの手は、シールド部分26とハンドグリップ17との間に形成された空隙30を通過し得る。パッド10は、使用者によって前で保持され、そのため第2の側面21は練習者に向けられる。次に練習者は、トレーナーの方向に、パッド部材14の第2の側面21にパンチし得る。トレーナーの手は、ガード24のシールド部分26によって防護され、練習者がパッド部材14に対して打ち損じた場合、練習者はトレーナーの手に衝撃を与えない。
【0033】
トレーニングパッド10の構造は、このようにトレーナーの手を防護する。パンチがガード24の外面62を打った場合、ガード24は、パンチングする人の手とトレーナーの手の両方を防護するために、曲がることになる。ハンドル部分16を形成するバネ46の曲がりは、ガード24がさらに曲がることを可能にして、殴打の衝撃をさらに軽減させ、それによって練習者及びトレーナーの手の両方を防護する。バネの曲がりは、トレーナーの腕で吸収される力を全体的に軽減させ、腕及び肩の怪我の可能性を低下させる。外面62の湾曲した配置も、殴打の方向をガード24に沿ってスライドさせ、衝撃を軽減させる。
【0034】
様々な変更及び改良が、本発明の基本的な発明コンセプトから逸脱することなく、すでに説明したものに加えて、前述の実施形態に対して成し得ることは、当業者には容易に明確になるであろう。