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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】飼料配給システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/02 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A01K5/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022022887
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023119808
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2023-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594167381
【氏名又は名称】藤樹運搬機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀樹
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-023810(JP,A)
【文献】実公昭46-034692(JP,Y2)
【文献】実開平01-077359(JP,U)
【文献】特開2012-205555(JP,A)
【文献】特開昭54-020878(JP,A)
【文献】特開平07-087859(JP,A)
【文献】特開平09-313062(JP,A)
【文献】特表2011-505626(JP,A)
【文献】特開昭62-156705(JP,A)
【文献】特開2001-125640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-9/00
A01K 31/00-31/24
A01K 39/00-39/06
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜舎の内部に設けられた通路を走行する給餌装置を用いて、通路に沿って並べて設けられた複数の家畜房に飼料を配給する飼料配給システムにおいて、
通路と家畜房との間に飼料槽を通路に沿って設置するとともに、飼料槽の側壁に誘導指標を通路の床面から上方に間隔をあけて設け、給餌装置が誘導指標を検出して誘導指標に従って飼料槽に沿って通路を走行するように制御することを特徴とする飼料配給システム。
【請求項2】
前記飼料槽の垂直状の側壁に水平なライン状に着磁させた誘導指標を設けたことを特徴とする請求項1に記載の飼料配給システム。
【請求項3】
前記通路の両側に家畜房を形成するとともに、通路と両側の家畜房との間に飼料槽を設け、給餌装置にターンテーブルを介して給餌機を搭載し、通路の一方側の家畜房への飼料の配給が終了した後に、ターンテーブルによって給餌機を反転させ、通路の他方側の家畜房への飼料の配給を行うように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飼料配給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜舎の内部に設けられた複数の家畜房に飼料を配給する飼料配給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
肉用牛等の家畜は、家畜舎の内部に設けられた複数の家畜房で1~複数頭ごと飼育されている。そして、飼育時に各家畜房で飼育される家畜に飼料を与えるために、従来より給餌装置が開発されている。
【0003】
従来の給餌装置では、複数の家畜房に沿って設けられた通路の床面に誘導指標が設置されており、この通路の床面の誘導指標を検出することによって通路を走行させるとともに、通路の家畜房側の床面に飼料を供給するように構成されていた(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-56152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の給餌装置では、通路の床面の誘導指標を検出することによって通路を走行させるとともに、通路の家畜房側の床面に飼料を供給するように構成されているために、誘導指標と飼料とが同じ通路の床面(同一平面)上に存在した状態となっている。
【0006】
そのため、従来の給餌装置では、給餌装置から配給した飼料が通路の床面で散乱してしまい、散乱した飼料によって誘導指標の上面が被覆されて、誘導指標を検出することができずに誤作動してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、家畜舎の内部に設けられた通路を走行する給餌装置を用いて、通路に沿って並べて設けられた複数の家畜房に飼料を配給する飼料配給システムにおいて、通路と家畜房との間に飼料槽を通路に沿って設置するとともに、飼料槽の側壁に誘導指標を通路の床面から上方に間隔をあけて設け、給餌装置が誘導指標を検出して誘導指標に従って飼料槽に沿って通路を走行するように制御することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記飼料槽の垂直状の側壁に水平なライン状に着磁させた誘導指標を設けることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記通路の両側に家畜房を形成するとともに、通路と両側の家畜房との間に飼料槽を設け、給餌装置にターンテーブルを介して給餌機を搭載し、通路の一方側の家畜房への飼料の配給が終了した後に、ターンテーブルによって給餌機を反転させ、通路の他方側の家畜房への飼料の配給を行うように制御することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、家畜舎の内部の通路を走行する給餌装置を用いて、通路に沿って並べて設けられた複数の家畜房に飼料を配給する飼料配給システムにおいて、通路と家畜房との間に飼料槽を通路に沿って設置するとともに、飼料槽の側壁に誘導指標を通路の床面から間隔をあけて設け、給餌装置が誘導指標を検出して通路を走行するように制御することにしているために、誘導指標と飼料とが上下に異なる平面上に存在する状態となり、飼料の散乱によって誘導指標が被覆されることがなく、誘導指標を良好に検出することができるので、給餌装置の誤動作を防止することができる。
【0012】
特に、前記家畜房ごとに予め設定された量の飼料を給餌装置から配給するように制御することにした場合には、各家畜房で飼育される家畜の頭数や健康状態などに応じて柔軟に飼料の配給量を変更することができる。
【0013】
また、前記給餌装置に積載された飼料の残量を計測するための計量器を給餌装置に設け、給餌装置が計量器を用いて家畜房ごとに予め設定された量の飼料を各家畜房に配給するように制御することにした場合には、各家畜房に正確な量の飼料を配給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る飼料配給システムを示す正面説明図。
図2】同側面説明図。
図3】同平面説明図。
図4】給餌装置を示す平面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)、給餌機を反転させた正面図(d)。
図5】飼料配給システムの動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る飼料配給システムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1図3に示すように、飼料配給システム1は、家畜舎2の内部に設けられた通路3を走行する給餌装置4を用いて、通路3に沿って並べて設けられた複数の家畜房5に飼料を配給するものである。給餌装置4は、家畜舎2の内部に設置された誘導指標6を検出することによって通路3を自動的に走行するように制御されている。なお、誘導指標6は、給餌装置4を誘導する指標となるものであればよく、ライン状に着磁させた構成の物や光や音や電波を発する構成の物などの公知の物を用いることができる。
【0017】
ここで、家畜舎2の構造は特に限定されないが、一般的に、家畜舎2は、中央に通路3を形成するとともに、通路3の左右両側の空間を柵7で仕切ることで家畜房5を形成している。
【0018】
そして、飼料配給システム1では、家畜舎2の通路3と家畜房5との間に飼料槽8を通路3に沿って設置している。飼料槽8は、飼料を供給するために上部に開口9が形成された箱型形状となっており、通路3の床面10に設置され、通路3の床面10よりも上方に開口9が位置するようになっている。
【0019】
また、飼料配給システム1では、飼料槽8の通路3側の垂直状の側壁11に水平なライン状の誘導指標6を通路3の床面10から上方に間隔をあけて設けている。これにより、通路3の床面10に飼料や塵が散乱しても飼料槽8の側壁11に設けられた誘導指標6を被覆してしまうことがなくなり、給餌装置4で誘導指標6を良好に検出することができる。
【0020】
この飼料配給システム1で用いられる給餌装置4は、図4に示すように、基台12の下部に通路3の床面10を走行するための走行機13を取付けるとともに、基台12の上部に計量器14を取付け、計量器14の上部にターンテーブル15を介して給餌機16を搭載している。
【0021】
基台12の左右側面(飼料槽8の側壁11と対向する側面)には、誘導指標6を検出するためのセンサ17がそれぞれ取付けられている。
【0022】
また、基台12の内部には、コントローラ18が収容されており、コントローラ18に走行機13や計量器14やターンテーブル15や給餌機16やセンサ17が接続されている。
【0023】
走行機13は、基台12の下部の四隅にそれぞれ取付けられた駆動輪19からなる。各駆動輪19は、独立して水平に360度回転(操舵)することが可能となっており、コントローラー18によって操舵・駆動制御されるようになっている。
【0024】
計量器14は、給餌機16の総重量を継続的に計測してコントローラ18に通知することで、コントローラ18によって給餌機16に積載された飼料の残量を計測(算出)することができるようになっている。
【0025】
給餌機16は、上端部を開口させた中空箱型状の飼料タンク20の底部に、スクリューコンベアからなる搬送機21を給餌装置4の右側上方へ向けて傾斜状に取付け、搬送機21の先端(上端)下側に供給口22を形成している。これにより、給餌機16は、飼料タンク20に積載した飼料を飼料タンク20の底部から搬送機21によって給餌装置4の右側上方へ搬送し、供給口22から飼料槽8の開口9に向けて供給するようになっている。
【0026】
なお、ここでは、ターンテーブル15を用いて基台12に対して給餌機16を水平に180度回転(反転)させることができるようにしている(図4(d)参照。)が、これに限られず、給餌装置4の基台12の左右両側から給餌できるようになっていればよく、搬送機21を飼料タンク20に対して左右反転させることができるようにしてもよい。
【0027】
飼料配給システム1は、以上に説明したように構成しており、図5に模式的に示すように、家畜舎2の内部に設けられた通路3に沿って給餌装置4を走行させ(図5中に、黒塗り矢印で示す。)るとともに、給餌装置4から各家畜房5に飼料を配給させ(図5中に、白抜き矢印で示す。)るように制御している。
【0028】
また、飼料配給システム1は、通路3に沿って一方側の全ての家畜房5に給餌装置4から飼料を配給させた後に、給餌装置4の走行機13(駆動輪19)を水平に90度回転させ、通路3の反対側の家畜房5へ向けて走行させるとともに、ターンテーブル15によって給餌機16を水平に180回転させ(図5中に黒塗り点線矢印で示す。)るように制御している。
【0029】
その後、飼料配給システム1は、通路3に沿って給餌装置4を走行させ(図5中に、黒塗り矢印で示す。)るとともに、給餌装置4から各家畜房5に飼料を配給させ(図5中に、白抜き矢印で示す。)るように制御している。
【0030】
すなわち、飼料配給システム1では、コントローラ18がセンサ17によって誘導指標6を検出することによって、誘導指標6に従って飼料槽8に沿って給餌装置4が通路3を走行するように制御している。
【0031】
そして、飼料配給システム1では、給餌装置4が所定位置(たとえば、各家畜房5の中央)まで走行すると、一旦停止して、家畜房5ごとに予め設定されている量の飼料を給餌機16によって飼料槽8に配給するように制御している。なお、コントローラ18は、給餌装置4の走行開始からの走行距離によって給餌装置4が所定位置まで走行したと判断してもよく、また、誘導指標6からの信号やその他の家畜舎2の内部に設けられた発信器等からの信号によって給餌装置4が所定位置まで走行したと判断してもよい。
【0032】
飼料を飼料槽8に配給する際に、飼料配給システム1では、計量器14を用いて飼料タンク20に積載された飼料の残量を計測することによって家畜房5ごとに予め設定されている量の飼料を配給するように制御している。なお、各家畜房5に配給する飼料の配給量は、各家畜房5で飼育される家畜の頭数や健康状態などに応じて予め設定しておく。
【0033】
その後、飼料配給システム1では、給餌装置4を所定位置まで走行させるとともに、所定位置で所定量の飼料を配給する制御を繰り返して行い、通路3の一方側に面する家畜房5への配給が終了した後に、通路3の伸延方向に対して直交する方向に移動させるとともに、ターンテーブル15によって給餌機16(搬送機21)を反転させ、通路3の他方側に面する家畜房5への配給を行うように制御する。
【0034】
以上に説明したように、上記飼料配給システム1は、通路3と家畜房5との間に飼料槽8を通路3に沿って設置するとともに、飼料槽8の側壁11に誘導指標6を通路3の床面10から間隔をあけて設け、給餌装置4が誘導指標6を検出して通路3を走行するように制御する構成となっている。
【0035】
そのため、上記構成の飼料配給システム1では、誘導指標6と飼料とが上下に異なる平面上に存在する状態となり、飼料の散乱によって誘導指標6が被覆されることがなく、誘導指標6を良好に検出することができるので、給餌装置4の誤動作を防止することができる。
【0036】
また、上記飼料配給システム1は、家畜房5ごとに予め設定された量の飼料を給餌装置4から配給するように制御する構成となっている。
【0037】
そのため、上記構成の飼料配給システム1では、各家畜房5で飼育される家畜の頭数や健康状態などに応じて柔軟に飼料の配給量を変更することができる。
【0038】
また、上記飼料配給システム1は、給餌装置4に積載された飼料の残量を計測するための計量器14を給餌装置4に設け、給餌装置4が計量器14を用いて家畜房5ごとに予め設定された量の飼料を各家畜房5に配給するように制御する構成となっている。
【0039】
そのため、上記構成の飼料配給システム1では、各家畜房5に正確な量の飼料を配給することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 飼料配給システム 2 家畜舎
3 通路 4 給餌装置
5 家畜房 6 誘導指標
7 柵 8 飼料槽
9 開口 10 床面
11 側壁 12 基台
13 走行機 14 計量器
15 ターンテーブル 16 給餌機
17 センサ 18 コントローラ
19 駆動輪 20 飼料タンク
21 搬送機 22 供給口
図1
図2
図3
図4
図5