(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】脳波測定装置、脳波測定システム、脳波測定方法、及び脳波測定プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/38 20210101AFI20240318BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240318BHJP
A61B 5/291 20210101ALI20240318BHJP
A61B 5/31 20210101ALI20240318BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240318BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61B5/38
A61B5/256 130
A61B5/291
A61B5/31
A61B5/00 A
H04R1/10 104E
(21)【出願番号】P 2022160486
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2017180731の分割
【原出願日】2017-09-20
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2017057971
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521110943
【氏名又は名称】株式会社Agama-X
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 友史
(72)【発明者】
【氏名】大西 信慈
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】椎原 務
(72)【発明者】
【氏名】馬場 基文
(72)【発明者】
【氏名】井戸 聞多
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0343585(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0077039(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055851(US,A1)
【文献】特開平07-107038(JP,A)
【文献】特開2002-058088(JP,A)
【文献】特開平03-160832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367204(US,A1)
【文献】特開2004-274104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
A61B 5/00
H04R 1/10
H04R 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに向けて音を出力する音出力部と、
電位を検知する電極が前記ユーザの耳に接触して設けられ、少なくとも2つの前記電極を用いて脳波を測定する測定部であって、前記音出力部で出力された音を前記ユーザが聞いているときの脳波を測定可能な前記測定部と、
前記測定部が測定した脳波データを外部装置に第1の通信方式によって送信する送信部と、
前記音出力部が出力する音データを前記第1の通信方式より前記外部装置と通信を行う速度が速い通信方式である第2の通信方式によって前記外部装置から受信する受信部と、を有する、
ことを特徴とする脳波測定装置。
【請求項2】
前記脳波データの圧縮、及び圧縮された前記音データの復元の少なくとも何れかを実行する制御部を備え、
前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記送信部は前記制御部において圧縮された前記脳波データを前記外部装置に送信する、及び、前記受信部は前記外部装置において圧縮された前記音データを受信する、の少なくとも何れかの処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の脳波測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置はユーザインタフェースを制御する表示制御部を備え、
前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記表示制御部は、データの通信に係る制御を変更するか否かの前記ユーザに対する問い合わせを前記ユーザインタフェースを通じて実行する、
脳波測定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置は前記脳波測定装置と通信を行う通信部を備え、
前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記送信部、前記受信部、及び前記通信部は、同一の通信方式の通信によって前記脳波測定装置と前記外部装置との相互の通信を実行する、
脳波測定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置は前記脳波測定装置と通信を行う通信部を備え、
前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記通信部は、前記受信部が受信する前記音データの送信頻度を間欠的に行う、
脳波測定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置は前記脳波測定装置と通信を行う通信部を備え、
前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記通信部は、前記受信部が受信する前記音データのビットレートを下げる、
脳波測定システム。
【請求項7】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置は前記脳波測定装置と通信を行う通信部を備え、
前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記通信部は、前記音データの特定の周波数帯をカットする、
脳波測定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の脳波測定装置と、前記外部装置と、を有する
脳波測定システムであって、
前記外部装置は前記脳波測定装置と通信を行う通信部を備え、
前記音データに係る通信状況が通信回線の最大の通信容量に対する通信量の割合が許容量以上となった場合、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量の閾値以上となった場合、及び、通信速度が予め定められた通信速度の閾値未満となった場合の少なくともいずれか1つを満たした場合、前記送信部、前記受信部、及び前記通信部は、前記第1の通信方式と前記第2の通信方式が自装置において実行可能な複数の通信方式のうちから選択した組み合わせにより前記脳波測定装置と前記外部装置との相互の通信を実行する、
脳波測定システム。
【請求項9】
前記脳波測定装置は、前記複数の通信方式のうち、前記外部装置が他の装置との通信で既に利用している第3の通信方式がある場合、前記第3の通信方式を除いた前記複数の通信方式のうち、前記第1の通信方式又は前記第2の通信方式を利用して前記外部装置と通信する、
請求項8に記載の脳波測定
システム。
【請求項10】
前記測定部における一の前記電極は外耳道に接触し、他の前記電極は耳介の一部、耳介の裏側、及び耳たぶの少なくとも何れかに接触するように配置され、
音出力部は、前記外耳道に挿入可能なように自装置における前方に配置される、
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の脳波測定装置。
【請求項11】
ユーザに向けて音を出力し、
電位を検知する電極が前記ユーザの耳に接触して設けられ、少なくとも2つの前記電極を用いて脳波を測定する測定部に対して、前記出力された音をユーザが聞いているときの脳波を測定させ、
測定された脳波データを外部装置に第1の通信方式によって送信し、
出力する音データを前記第1の通信方式より前記外部装置と通信を行う速度が速い通信方式である第2の通信方式によって前記外部装置から受信する、
処理をコンピュータが実行する脳波測定方法。
【請求項12】
ユーザに向けて音を出力し、
電位を検知する電極が前記ユーザの耳に接触して設けられ、少なくとも2つの前記電極を用いて脳波を測定する測定部に対して、前記出力された音をユーザが聞いているときの脳波を測定させ、
測定された脳波データを外部装置に第1の通信方式によって送信し、
出力する音データを前記第1の通信方式より前記外部装置と通信を行う速度が速い通信方式である第2の通信方式によって前記外部装置から受信する、
処理をコンピュータに実行させるための脳波測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波測定装置、脳波測定システム、脳波測定方法、及び脳波測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の状態を測定する技術として、脳波測定技術がある。通常、頭部に設置された電極によって電位を測定することで、脳波が測定される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、測定した脳波データを外部の装置に送信し、外部の装置から受信した音データを受信する際に、障害の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の脳波測定装置は、脳波を測定する測定部と、音を出力する音出力部と、前記測定部が測定した脳波データを外部の装置に第1の通信方式によって送信する送信部と、前記音出力部が出力する音データを前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式によって前記外部の装置から受信する受信部と、を有する、ことを特徴とする脳波測定装置である。
【0006】
第2の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記第2の通信方式は、前記第1の通信方式より前記外部の装置と通信を行う速度が速い通信方式である。
【0007】
第3の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記脳波データ又は前記音データを圧縮して通信する。
【0008】
第4の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、データの通信に係る制御を変更するか否かの問い合わせをする。
【0009】
第5の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記第1の通信方式又は前記第2の通信方式を切り替えて、同一の通信方式の通信によって前記外部の装置に通信する。
【0010】
第6の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記受信部が受信する前記音データの頻度を間欠的に行う。
【0011】
第7の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記受信部が受信する前記音データのビットレートを変更する。
【0012】
第8の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記脳波データ又は前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記音データの特定の周波数帯をカットする。
【0013】
第9の態様の脳波測定装置は、第1の態様に係る脳波測定装置において、前記音データに係る通信状況が所定の条件を満たした場合、前記第1の通信方式と前記第2の通信方式が自装置において実行可能な複数の通信方式のうち、適した組み合わせが選択される。
【0014】
第10の態様の脳波測定装置は、第9の態様に係る脳波測定装置において、前記複数の通信方式のうち、前記外部の装置が他の装置との通信で既に利用している第3の通信方式がある場合、前記第3の通信方式を除いた前記複数の通信方式のうち、前記第1の通信方式又は前記第2の通信方式を利用して前記外部の装置と通信する。
【0015】
第11の態様の脳波測定装置は、第1の態様から第10の態様の何れか1つの態様に係る脳波測定装置において、前記測定部は、外耳道、及び耳介の一部に接触するように配置され、音出力部は、外耳道に挿入可能なように自装置において前方に配置される。
【0016】
第12の態様の脳波測定方法は、脳波を測定し、音を出力し、測定した脳波データを外部の装置に第1の通信方式によって送信し、出力する音データを前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式によって前記外部の装置から受信する、処理をコンピュータが実行する脳波測定方法である。
【0017】
第13の態様の脳波測定プログラムは、脳波を測定し、音を出力し、測定した脳波データを外部の装置に第1の通信方式によって送信し、出力する音データを前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式によって前記外部の装置から受信する、処理をコンピュータに実行させるための脳波測定プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定した脳波データを外部の装置に送信し、外部の装置から受信した音データを受信する際に、障害の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムを示すブロック図である。
【
図2】イヤフォン装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】イヤフォン装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図14】イヤフォン装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図15】イヤフォン装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図16】イヤフォン装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図17】イヤフォン装置の一部の構成を示す斜視図である。
【
図33】イヤフォン装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図38】キャリブレーション時の画面を示す図である。
【
図39】キャリブレーション時の画面を示す図である。
【
図40】キャリブレーション時の画面を示す図である。
【
図41】キャリブレーション時の画面を示す図である。
【
図51】別の実施形態に係る情報処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る脳波測定装置について説明する。本実施形態に係る脳波測定装置は、人の耳に装着された状態で電位を測定することで脳波を測定する装置である。本実施形態に係る脳波測定装置は、いわゆるヒアラブルデバイスであってもよい。本実施形態に係る脳波測定装置は、人の一方の耳に装着されて脳波を測定してもよいし、両耳に装着されて脳波を測定してもよい。例えば、左耳に本実施形態に係る第1脳波測定装置が装着され、右耳に本実施形態に係る第2脳波測定装置が装着され、第1脳波測定装置と第2脳波測定装置とによって脳波測定システムが構成され、その脳波測定システムによって脳波が測定されてもよい。別の例として、左耳又は右耳のいずれか一方に本実施形態に係る脳波測定装置が装着され、その脳波測定装置によって脳波が測定されてもよい。
【0021】
本実施形態に係る脳波測定装置は、複数の脳波測定手段を含む。脳波測定手段は、電位を検知する電極である。複数の電極はユーザの耳に接触して設けられ、当該複数の電極の中の少なくとも2つの電極を用いてユーザの脳波が測定される。ユーザの片耳に設けられた複数の電極の中から選択された少なくとも2つの電極を用いてユーザの脳波が測定されてもよいし、両耳に設けられた複数の電極の中から選択された少なくとも2つの電極を用いて脳波が測定されてもよい。また、複数の電極の中から少なくとも3つの電極を用いてユーザの脳波が測定されてもよい。より多くの電極を用いることで、脳波の測定精度が向上し得る。また、複数の電極において、脳波測定に用いられる電極を切り替えることで、少なくとも3つの電極を用いて脳波が測定されてもよい。例えば、電位の検出感度やノイズ等の測定状況に応じて、脳波測定に用いられる電極が切り替えられる。例えば、少なくとも3つの電極は、脳波検知用電極(センサ電極)として用いられる第1電極、レファレンス電極(参照用電極)として用いられる第2電極、及び、グランド電極として用いられる第3電極を含み、第1電極、第2電極及び第3電極を用いて脳波が測定されてもよい。第1電極、第2電極及び第3電極の中の少なくとも1つの電極が切り替えられてもよい。
【0022】
例えば、本実施形態に係る脳波測定装置は、耳の穴(外耳道)に挿入されて外耳道内の生体表面に接触して電位を検知する第1脳波測定手段を含む。第1脳波測定手段は、電位を検知する電極である。電極は、例えば、ゴム等の弾性部材の表面に設けられる。その弾性部材が外耳道に挿入されて電位を測定する。外耳道内に挿入された弾性部材が外耳道内にて変形することで、生体表面との密着度が向上し、電位の測定精度が向上する。弾性部材自体が導電性の部材であってもよい。例えば、導電性ゴムが第1脳波検知手段として用いられてもよい。
【0023】
また、本実施形態に係る脳波測定装置は、更に、人体において外耳道以外の部分(例えば、耳介、耳介の裏側の部分、耳たぶ等)に設けられ、その部分の生体表面に接触して電位を検知する第2脳波測定手段(電極)を含む。第1脳波測定手段と第2脳波測定手段は、互いに繋げられた一体化構造を有し、脳波測定装置が耳に装着されたときに、第1脳波測定手段と第2脳波測定手段とによって当該耳を挟む構造を有する。第1脳波測定手段と第2脳波測定手段とによって耳を挟んだ状態で、第1脳波測定手段が当該耳の外耳道に挿入されて生体表面に接触し、第2脳波測定手段が当該耳の耳介、その裏側部分又は耳たぶ等に接触して生体表面に接触する。このような構造を有する脳波測定装置によれば、耳を挟んだ状態で脳波を測定することができるため、外耳道に挿入される1つの電極のみを用いて脳波を測定する場合と比べて、脳波測定装置の設置位置がずれ難い。つまり、外耳道に挿入される1つの電極のみを用いた場合、その電極の支えがないため、人の動きに起因してその電極が外耳道から外れ易いが、本実施形態では、一体化された第1,第2脳波測定手段によって耳を挟み込んでいるため、脳波測定装置の位置がずれ難く、また、耳から外れ難い。複数の電極を用いる構成例として、1つの電極を例えば人の額に設置し、他の電極を外耳道に挿入することが考えられるが、そのような装置は、本実施形態のように生体部位を挟み込む構造を有しているわけではないため、人の動きに起因して、それぞれの電極が生体から外れ易い。これに対して本実施形態では、耳を挟み込む構造を有しているため、各電極を個別的に設置する場合と比べて、耳から外れ難いという効果が得られる。
【0024】
また、本実施形態に係る脳波測定装置は、少なくとも2つの電極(第1脳波測定手段と第2脳波測定手段)によって脳波を測定するので、外耳道に挿入される1つの電極のみを用いて脳波を測定する場合と比べて、その測定精度が向上する。つまり、1つの電極のみを用いた場合、例えばレファレンス情報の測定や接地を行うことができないが、本実施形態のように複数の電極を用いることで、レファレンス情報の測定や接地が可能となるので、その測定精度が向上する。
【0025】
脳波測定装置は、例えば、イヤフォン、補聴器、眼鏡、ピアス、クリップ状の部材等のように耳に装着される部材、機器、装置等に設けられてもよいし、そのような部材、機器、装置等と兼用の装置であってもよい。もちろん、脳波測定装置は、脳波測定機能以外の機能を有していない部材(例えば弾性部材)によって構成されてもよい。例えば、外耳道に挿入されるイヤフォンに電極が設けられて外耳道内にて電位が測定され、そのイヤフォンを保持するとともに耳介に掛けられる耳掛け部に電極が設けられて耳介の裏側の部分にて電位が測定され、それらの電位の測定結果によって脳波が測定されてもよい。また、眼鏡のフレームに電極が設けられて耳介の裏側の部分にて電位が測定され、その電位の測定結果によって脳波が測定されてもよい。このとき、外耳道内に電極部材が挿入されて外耳道内にて電位が測定され、その測定結果と、眼鏡フレームに設けられた電極による電位の測定結果とを用いて脳波が測定されてもよい。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る脳波測定装置は、耳に装着された状態で脳波を測定する装置である。それ故、頭部(頭皮や額)に複数の電極を設置して脳波を測定する従来の脳波測定装置を比べて、実生活における支障が少ない。つまり、頭皮や額に複数の電極を設置して脳波を測定する従来の脳波測定装置は、人が動くことを想定して構成された装置ではないため、複数の電極を頭皮や額に設置した状態では人は動き難いし、人が動くのは現実的ではない。これに対して、本実施形態に係る脳波測定装置はいわゆるヒアラブルデバイスに相当するので、本実施形態に係る脳波測定装置を装着した状態であっても人は動き易い。すなわち、複数の電極を頭皮や額に設置した状態で体を動かすこと(例えば歩く、走る、仕事等の作業を行う等)は現実的ではないし、実際には困難である。これに対して、本実施形態に係る脳波測定装置を耳に装着した状態であっても体を動かすことは容易である。そのため、上記の従来の脳波測定装置を比べて、長時間にわたって本実施形態に係る脳波測定装置を装着することも可能である。本実施形態の適用例として、例えば、オフィスワーカーが本実施形態に係る脳波測定装置を装着してもよい。こうすることで、仕事中の脳波が測定される。もちろん、仕事以外の場面に本実施形態に係る脳波測定装置が適用されてもよい。例えば、散歩中やジョギング中の脳波が測定されてもよいし、睡眠中の脳波が測定されてもよいし、コンテンツ(例えば、動画、静止画(写真)、映画、ドラマ、テレビ番組、音楽、絵画、講演等)の提供を受けているときの脳波が測定されてもよい。
【0027】
以下では、一例として、本実施形態に係る脳波測定装置がイヤフォンに適用された場合について説明する。もちろん、上述したように、本実施形態の適用例はイヤフォンに限られない。
【0028】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1には、本実施形態に係る情報処理システムの一例が示されている。
【0029】
本実施形態に係る情報処理システムは、一例として、イヤフォン装置10と端末装置12と音楽配信サーバ14とを含む。
【0030】
イヤフォン装置10は、例えばカナル型のイヤフォンであり、耳の穴(外耳道)に差し込んで使用する形式のヘッドフォン(再生装置から出力された電気信号を、スピーカを用いて音波に変換する装置)である。また、イヤフォン装置10は、脳波測定システムとしても機能する。具体的には、イヤフォン装置10は、ユーザの頭部の電位を測定し、その測定結果を示す情報(例えば電位を表わす信号)を脳波測定結果を示す情報として出力する。
【0031】
イヤフォン装置10は、無線通信機能を備えている。通信方式は、例えば、近距離無線通信(例えばBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)等)、赤外線通信、可視光通信、Wi-Fi(登録商標)通信、等である。イヤフォン装置10は、例えば、端末装置12から音を表わす信号(音声信号等の音信号)を無線通信によって受信し、その信号に従って音を発生させる。また、イヤフォン装置10は、脳波測定結果を示す情報を無線通信によって端末装置12に送信する。もちろん、イヤフォン装置10は、ケーブルを用いた有線通信機能を備えていてもよい。この場合、イヤフォン装置10は、有線通信によって音信号を受けて音を発生させ、脳波測定結果を示す情報を有線通信によって外部装置に送信してもよい。
【0032】
端末装置12は、例えば、スマートフォンや携帯電話やタブレットPC(パーソナルコンピュータ)等のモバイル端末、PC、音楽プレイヤー、動画再生装置、等であり、情報処理装置の一例に相当する。端末装置12は、無線通信機能を備えている。端末装置12は、再生装置(音楽再生装置や動画再生装置)として機能する。例えば、端末装置12は、音楽を再生し、その音信号を無線通信によってイヤフォン装置10に送信する。端末装置12は、動画を再生し、その音信号を無線通信によってイヤフォン装置10に送信してもよい。また、端末装置12は、脳波測定結果を示す情報を無線通信によってイヤフォン装置10から受信し、脳波測定結果を解析することでユーザの脳波状態を評価する。イヤフォン装置10にて脳波測定結果が解析されて、その解析結果を示す情報がイヤフォン装置10から端末装置12に送信されてもよいし、イヤフォン装置10及び端末装置12以外の装置にて脳波測定結果が解析されて、その解析結果を示す情報が端末装置12に送信されてもよい。端末装置12は、ケーブルを用いた有線通信によって音信号をイヤフォン装置10に送信し、脳波測定結果を示す情報をイヤフォン装置10から受信してもよい。また、端末装置12は、ネットワーク等の通信経路Nを介して他の装置と通信する機能を備えている。その通信方式は、Wi-Fi通信等の無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。端末装置12は、例えばインターネットに接続することで、情報を取得することができる。
【0033】
音楽配信サーバ14は、通信経路Nを介して他の装置と通信する機能を有し、通信経路Nを介して音楽配信サービスを提供する装置である。音楽配信サーバ14は、例えば、インターネット経由で音楽データを配信する。音楽配信サーバ14は、ダウンロード形式で音楽データをユーザに提供してもよいし、ストリーミング配信によって音楽データをユーザに提供してもよい。音楽データは、例えば有料で提供される。曲毎やアルバム毎に課金されてもよいし、定額料金制(例えば、月毎のように予め定められた期間毎に一定の料金が課金され、その期間中、サービスを無制限又はある制限の下で利用可能な料金体系)が採用されてもよい。もちろん、無料で提供される音楽データが存在してもよい。また、ダウンロードの回数制限や期間制限、ストリーミング配信の期間制限、等が設定されてもよい。音楽配信サービス用のアプリケーション(プログラム)がインストールされた装置にて音楽配信サービスの利用が可能となってもよい。音楽配信サーバ14は、試聴用の音楽データを提供してもよい。
【0034】
なお、動画配信サービスを提供する装置(例えば動画配信サーバ)が、情報処理システムに含まれてもよい。音楽配信サーバ14が動画配信サーバを兼ねて動画配信サービスを提供してもよいし、音楽配信サーバ14とは別の動画配信サーバが動画配信サービスを提供してもよい。動画配信サーバは、例えば、ダウンロード形式で動画データをユーザに提供してもよいし、ストリーミング配信によって動画データをユーザに提供してもよい。動画データは、例えば有料で提供される。動画毎に料金が設定されてもよいし、定額料金制が採用されてもよい。もちろん、無料で提供される動画データが存在してもよい。また、ダウンロードの回数制限や期間制限、ストリーミング配信の期間制限、等が設定されてもよい。動画配信サービス用のアプリケーションがインストールされた装置にて動画配信サービスの利用が可能となってもよい。動画配信サーバは、試聴用の動画データを提供してもよい。
【0035】
もちろん、音楽と動画の両方を配信する装置が、情報処理システムに含まれていてもよい。
【0036】
本実施形態では、イヤフォン装置10によってユーザの脳波が測定され、その測定結果を示す情報が端末装置12に送信される。端末装置12では、その測定結果が解析されてユーザの脳波状態が評価される。また、端末装置12からイヤフォン装置10に音信号が送信され、イヤフォン装置10によって音が発生させられる。例えば、端末装置12にて音楽が再生され、その音楽に対応する音がイヤフォン装置10から発せられる。これにより、音楽を聴いているときのユーザの脳波がイヤフォン装置10によって測定され、その脳波状態が端末装置12によって解析される。その脳波測定結果に応じて、音楽の再生が制御されてもよい。例えば、脳波状態に応じて、再生される音楽が変更されてもよい。音楽データは、音楽配信サーバ14から端末装置12に提供されたデータであってもよいし、音楽配信サーバ14から配信されずに端末装置12に記憶されているデータであってもよい。
【0037】
なお、イヤフォン装置10は、端末装置12と共に用いられずに、別の音楽再生装置や動画再生装置に接続されて用いられてもよいし、音を発生させずに単体の脳波測定装置として用いられてもよい(つまり、音楽や動画を再生せずに、イヤフォン装置10を脳波測定装置として用いてもよい)。また、端末装置12は、イヤフォン装置10と共に用いられずに、単体の脳波解析装置として用いられてもよいし、イヤフォン装置10以外のイヤフォンが接続されてもよいし、イヤフォン装置10以外の脳波測定装置によって測定された脳波に基づいて、音楽や動画の再生を制御してもよい。
【0038】
以下、
図2から
図4を参照して、イヤフォン装置10について詳しく説明する。
図2は、イヤフォン装置10の全体構成を示す斜視図である。
図3は、イヤフォン装置10の一部の構成を示す斜視図であり、
図2とは別の方向からイヤフォン装置10を見たときの図である。
図4は、左側イヤフォン部の構成を示す斜視図である。
【0039】
ここで、説明の便宜上、
図2に示すように、前方及び後方を定義する。前方は、ユーザの顔が向く方向であり、後方は、その前方とは逆の方向である。
【0040】
図2及び
図3に示すように、イヤフォン装置10は、大別して、ユーザの左耳に装着される左側イヤフォン部16Lと、ユーザの右耳に装着される右側イヤフォン部16Rと、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rとを接続するケーブル18と、を含む。なお、左側イヤフォン部16Lが第1脳波測定装置の一例に相当し、右側イヤフォン部16Rが第2脳波測定装置の一例に相当する。
【0041】
左側イヤフォン部16Lは、ユーザの左耳の穴(外耳道)に挿入される左側スピーカ部20Lと、左側スピーカ部20Lを支持する左側支持部22L(左側ベース部)と、一方端部が左側支持部22Lと繋がっている左側耳掛け部24Lと、を含む。
【0042】
左側スピーカ部20Lは、音を発生させるドライバーユニット、音導管、イコライザー、筐体(フレームや筐体等)、及び、耳に挿入される部分を覆うイヤーパット(イヤーピース)等によって構成されている。なお、左側スピーカ部20Lとして、公知のカナル型イヤフォンのスピーカ部を用いることができる。左側スピーカ部20Lのイヤーパットは、例えばゴム等の樹脂によって構成されている。
【0043】
左側スピーカ部20Lの側面には、第1左脳波センサ26Lが設けられている。より詳しく説明すると、第1左脳波センサ26Lは、左側スピーカ部20Lを構成するイヤーパットの側面に設けられている。第1左脳波センサ26Lは、後述する第2左脳波センサ28Lと共に頭部の電位を検知する電極である。第1左脳波センサ26Lは、例えばカーボン製の導電性ゴムによって構成されている。なお、第1左脳波センサ26Lが第1脳波測定手段の一例に相当する。
【0044】
左側支持部22Lは、一例として薄型の直方体状の形状を有しており、左側支持部22Lにおいて、ユーザがイヤフォン装置10を装着したときにユーザの左耳に対向する面に、左側スピーカ部20Lが設置されている。左側支持部22Lは、例えばケースであり、内部に電子基板等の部品を収容する。
【0045】
左側耳掛け部24Lは、全体として湾曲した形状を有し、ユーザがイヤフォン装置10を装着したときにユーザの左耳に掛けられる部材である。左側耳掛け部24Lの一方端部は、左側支持部22Lの前方側部分に接続されており、左側耳掛け部24Lは、その接続部分から左側支持部22Lの後方側にかけて湾曲した形状を有しており、その部分が湾曲部を形成する。その湾曲部が、左耳の上側から左耳に掛けられる。左側耳掛け部24Lの他方端部は、ケーブル18の一方端部と繋がっている。
【0046】
左側耳掛け部24Lには、左側耳掛け部24Lに沿って第2左脳波センサ28Lが設けられている。第2左脳波センサ28Lは、例えば、左側耳掛け部24Lが左耳に掛けられたときに、左耳、より具体的には左耳の裏側(頭蓋骨により近い位置)に接触するように、左側耳掛け部24Lにおいてユーザの左耳に対向する面に設けられている。左耳の裏側に接触するように第2左脳波センサ28Lを設けることで、脳により近い位置で電位を検知して、脳波測定の精度を高めることができる。第2左脳波センサ28Lは、上記の第1左脳波センサ26Lと共に頭部の電位を検知する電極である。第2左脳波センサ28Lは、例えばカーボン製の導電性ゴムによって構成されている。例えば、第2左脳波センサ28Lが検知する電位が基準電位として用いられ、第1左脳波センサ26Lは、その基準電位からの電位(電位差)を測定する。なお、第2左脳波センサ28Lが第2脳波測定手段の一例に相当する。
【0047】
左側耳掛け部24Lが左耳に掛けられ、左側スピーカ部20Lが左耳の穴に挿入されると、左側スピーカ部20Lに設けられた第1左脳波センサ26Lと、左側耳掛け部24Lに設けられた第2左脳波センサ28Lと、によって左耳が挟まれた状態となり、この状態で、第1左脳波センサ26Lと第2左脳波センサ28Lとによって脳波が測定される。
【0048】
上記のように、第1左脳波センサ26Lと第2左脳波センサ28Lとによって左耳を挟むことで、脳波センサを左耳に密着させることができ、その結果、脳波測定精度を向上させることができる。また、第1左脳波センサ26Lは左耳の穴に挿入されるので、第1左脳波センサ26Lと左耳との密着度が高くなる。
【0049】
右側イヤフォン部16Rは、ユーザの右耳の穴(外耳道)に挿入される右側スピーカ部20Rと、右側スピーカ部20Rを支持する右側支持部22R(右側ベース部)と、一方端部が右側支持部22Rと繋がっている右側耳掛け部24Rと、を含む。
【0050】
右側スピーカ部20Rは、左側スピーカ部20Lと同様に、ドライバーユニット、音導管、イコライザー、筐体、及び、イヤーパット等によって構成されている。なお、右側スピーカ部20Rとして、公知のカナル型のイヤフォンのスピーカ部を用いることができる。右側スピーカ部20Rのイヤーパットは、例えばゴム等の樹脂によって構成されている。
【0051】
右側スピーカ部20Rの側面には、第1右脳波センサ26Rが設けられている。より詳しく説明すると、第1右脳波センサ26Rは、右側スピーカ部20Rを構成するイヤーパットの側面に設けられている。第1右脳波センサ26Rは、後述する第2右脳波センサ28Rと共に頭部の電位を検知する電極である。第1右脳波センサ26Rは、例えばカーボン製の導電性ゴムによって構成されている。なお、第1右脳波センサ26Rが第3脳波測定手段の一例に相当する。
【0052】
右側支持部22Rは、一例として薄側の直方体状の形状を有しており、右側支持部22Rにおいて、ユーザがイヤフォン装置10を装着したときにユーザの右耳に対向する面に、右側スピーカ部20Rが設置されている。右側支持部22Rは、例えばケースであり、内部に電子基板等の部品を収容する。
【0053】
右側耳掛け部24Rは、全体として湾曲した形状を有し、ユーザがイヤフォン装置10を装着したときにユーザの右耳に掛けられる部材である。右側耳掛け部24Rの一方端部は、右側支持部22Rの前方側部分に接続されており、右側耳掛け部24Rは、その接続部分から右側支持部22Rの後方側にかけて湾曲した形状を有しており、その部分が湾曲部を形成する。その湾曲部が、右耳の上側から右耳に掛けられる。右側耳掛け部24Rの他方端部は、ケーブル18の他方端部と繋がっている。
【0054】
右側耳掛け部24Rには、右側耳掛け部24Rに沿って第2右脳波センサ28Rが設けられている。第2右脳波センサ28Rは、例えば、右側耳掛け部24Rが右耳に掛けられたときに、右耳、より具体的には右耳の裏側(頭蓋骨により近い位置)に接触するように、右側耳掛け部24Rにおいてユーザの右耳に対向する面に設けられている。右耳の裏側に接触するように第2右脳波センサ28Rを設けることで、脳により近い位置で電位を検知して、脳波測定の精度を高めることができる。第2右脳波センサ28Rは、上記の第1右脳波センサ26Rと共に頭部の電位を検知する電極である。第2右脳波センサ28Rは、例えばカーボン製の導電性ゴムによって構成されている。例えば、第2右脳波センサ28Rが検知する電位が基準電位として用いられ、第1右脳波センサ26Rは、その基準電位からの電位(電位差)を測定する。なお、第2右脳波センサ28Rが第4脳波測定手段の一例に相当する。
【0055】
右側耳掛け部24Rが右耳に掛けられ、右側スピーカ部20Rが右耳の穴に挿入されると、右側スピーカ部20Rに設けられた第1右脳波センサ26Rと、右側耳掛け部24Rに設けられた第2右脳波センサ28Rと、によって右耳が挟まれた状態となり、この状態で、第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとによって脳波が測定される。
【0056】
上記のように、第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとによって右耳を挟むことで、脳波センサを右耳に密着させることができ、その結果、脳波測定精度を向上させることができる。また、第1右脳波センサ26Rは左耳の穴に挿入されるので、第1右脳波センサ26Rと右耳との密着度が高くなる。
【0057】
イヤフォン装置10は、無線通信機能(例えばブルートゥース)を備えており、端末装置12との間で無線によって通信を行う。その無線通信機能を有する通信インターフェース(通信チップ)は、例えば、左右のイヤフォン部に内蔵されている。例えば、左側イヤフォン部16Lの左側支持部22L(ケース)内に、無線通信用の通信チップ(例えばブルートゥース用の通信チップ)が内蔵されており、同様に、右側イヤフォン部16Rの右側支持部22R(ケース)内に、無線通信用の通信チップが内蔵されている。左側イヤフォン部16Lは、端末装置12から送信された音信号(左耳用音信号)を、左側支持部22Lに内蔵された通信チップによって受信し、その音信号に従って音を発生させる。右側イヤフォン部16Rは、端末装置12から送信された音信号(右耳用音信号)を、右側支持部22Rに内蔵された通信チップによって受信し、その音信号に従って音を発生させる。
【0058】
また、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rによって得られた脳波測定結果を示す情報は、無線通信(例えばブルートゥース)によって、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。
【0059】
左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rは、ケーブル18によって物理的に接続されており、ケーブル18を介して互いにデータを送受信する。
【0060】
左側イヤフォン部16Lによる脳波測定結果を示す情報と右側イヤフォン部16Rによる脳波測定結果を示す情報の両方が、別々に、イヤフォン装置10から端末装置12に送信されてもよいし、それらの情報が例えば統計処理等によってまとめられて端末装置12に送信されてもよい。統計処理として、例えば、左側イヤフォン部16Lによる脳波測定結果と右側イヤフォン部16Rによる脳波測定結果との単純平均や重み付け平均等がイヤフォン装置10にて行われ、その処理結果を示す情報が、左側イヤフォン部16L又は右側イヤフォン部16Rのいずれかに設置された通信チップによって、イヤフォン装置10から端末装置12に送信されてもよい。もちろん、そのような処理が施される前の情報がイヤフォン装置10から端末装置12に送信され、端末装置12にてそのような処理が行われてもよい。
【0061】
例えば、ケーブル18に故障が発生して、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rとの間でデータの送受信ができなくなった場合、各イヤフォン部による脳波測定結果を示す情報が別々に端末装置12に送信されてもよい。この場合、左側イヤフォン部16Lによる脳波測定結果を示す情報が、左側イヤフォン部16Lに設置されている通信チップによって、左側イヤフォン部16Lから端末装置12に送信される。同様に、右側イヤフォン部16Rによる脳波測定結果を示す情報が、右側イヤフォン部16Rに設置されている通信チップによって、右側イヤフォン部16Rから端末装置12に送信される。このように脳波測定結果を送信することで、ケーブル18が故障した場合であっても、脳波測定を継続して脳波測定結果を端末装置12に送信することができる。
【0062】
また、一方のイヤフォン部に設置された通信チップが故障した場合、故障していない通信チップを用いて、脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。この場合、左側イヤフォン部16Lによる脳波測定結果を示す情報と、右側イヤフォン部16Rによる脳波測定結果を示す情報と、を別々に端末装置12に送信してもよいし、それら両方の情報に対して統計処理等の処理を適用することで生成された情報を、端末装置12に送信してもよい。このように脳波測定結果を送信することで、一方の通信チップが故障した場合であっても、脳波測定を継続して脳波測定結果を端末装置12に送信することができる。
【0063】
また、一方のイヤフォン部が故障した場合、故障していない他方のイヤフォン部による能測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。このように脳波測定結果を送信することで、一方のイヤフォン部が故障した場合であっても、脳波測定を継続して脳波測定結果を端末装置12に送信することができる。
【0064】
なお、ケーブル18や通信チップの故障は、センサや導通の有無の確認等によって検知される。
【0065】
イヤフォン装置10を駆動するための電力を供給する電池が、左側イヤフォン部16L又は右側イヤフォン部16Rのいずれかに設置されている。例えば、左側イヤフォン部16Lの左側支持部22L(ケース)に電池が内蔵されており、右側イヤフォン部16Rに電池は内蔵されていない。この場合、左側イヤフォン部16Lの各部(例えば、左側スピーカ部20L内のドライバーユニット、通信チップ、脳波測定に関わる部品等)は、その電池から電力供給を受けて駆動する。また、左側支持部22Lに内蔵された電池からケーブル18を介して右側イヤフォン部16Rに電力が供給され、右側イヤフォン部16Rの各部(例えば、右側スピーカ部20R内のドライバーユニット、通信チップ、脳波測定に関わる部品等)は、その電力によって駆動する。左側イヤフォン部16Lに電池が設けられず、右側イヤフォン部16Rに電池が設けられてもよい。この場合も、ケーブル18を介して右側イヤフォン部16Rから左側イヤフォン部16Lに電力が供給される。電池の充電は、例えば、USBケーブルを経由して行われてもよいし、イヤフォン装置10がケースに収容されたときに無線給電によって行われてもよい。なお、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rの両方に電池が設けられていてもよい。
【0066】
なお、電池の充電による電位測定への影響を防止するために、充電が開始した場合、電位測定を中止してもよい。別の例として、電池や充電に関わる部品の周囲にシールド部材(電磁波防止部材)を設けている場合、充電中であっても電位測定を行ってもよい。
【0067】
イヤフォン装置10にはリモコン等の操作部が設けられていてもよい。
【0068】
以下、
図5を参照して、耳掛け部の形状等について更に詳しく説明する。
図5は、左側イヤフォン部16Lを左側支持部22L側から見たときの図である。
【0069】
左側耳掛け部24Lは、第1曲率を有する第1湾曲部30と、第2曲率を有する第2湾曲部32と、第3曲率を有する第3湾曲部34と、を含む。第1湾曲部30の一方端部は左側支持部22Lに接続されており、第1湾曲部30は、左側支持部22Lから第2湾曲部32にかけて設けられた部材である。第2湾曲部32の一方端部は、第1湾曲部30の他方端部に接続されており、第2湾曲部32は、その接続部分から第3湾曲部34に掛けて設けられた部材である。第3湾曲部34の一方端部は、第2湾曲部32の他方端部に接続されており、第3湾曲部34は、その接続部分からケーブル18にかけて設けられた部材である、第3湾曲部34の他方端部はケーブル18に接続されている。なお、第1湾曲部30、第2湾曲部32及び第3湾曲部34は一体化されており、これにより、左側耳掛け部24Lが形成されている。もちろん、第1湾曲部30、第2湾曲部32及び第3湾曲部34は、それぞれ別の部材によって構成されて互いに接続されてもよい。
【0070】
第1湾曲部30の第1曲率は、例えば、R12.5~R14.5である。第1湾曲部30の第1曲率は、R13.0~R14.0であってもよいし、R13.5であってもよいし。第2湾曲部32の第2曲率は、例えば、R15.5~R17.5である。第2湾曲部32の第2曲率は、R16.0~R17.0であってもよいし、R16.5であってもよい。第3湾曲部34の第3曲率は、例えば、R106.5~R108.5である。第3湾曲部34の第3曲率は、R107.0~R108.0であってもよいし、R107.6であってもよい。
【0071】
このように、左側耳掛け部24Lは、部分毎に曲率が異なる形状を有して、全体として左耳の付け根を覆うように形成されている。部分的に曲率を変えることで、左側イヤフォン部16Lの左耳への密着度が高くなり、その結果、脳波測定精度を向上させることができる。もちろん、上記の曲率の値は一例にすぎず、ユーザの耳の形状に適合するように曲率の値が定められてもよい。
【0072】
また、重力が働く方向(鉛直方向)に直交する方向を水平方向と定義した場合、左側耳掛け部24Lがユーザの左耳に掛けられて左側イヤフォン部16Lが左耳に装着されたときに、その水平方向から予め定められた角度θを持って傾斜するように左側支持部22Lが配置されている。その角度θは、例えば、37°~43°である。角度θは、39°~41°であってもよいし、40°であってもよい。このような角度を採用することで、左側イヤフォン部16Lの左耳への密着度を向上させることができる。
【0073】
また、第1湾曲部30の付け根の部分と左側支持部22Lの側面とのなす角度φは、例えば30°~40°である。このような角度で第1湾曲部30を設けることで、左側イヤフォン部16Lの左耳への密着度を向上させることができる。
【0074】
右側イヤフォン部16Rについても左側イヤフォン部16Lと同様である。右側耳掛け部24Rは、上記の第1曲率を有する第1湾曲部と、上記の第2曲率を有する第2湾曲部と、上記の第3曲率を有する第3湾曲部と、を含む。また、右側支持部22Rは、上記の角度θを持って傾斜するように配置されており、第1湾曲部は、上記の角度φを持って傾斜するように配置されている。
【0075】
図5に示されている構成によれば、左側イヤフォン部16Lの左側耳掛け部24Lを左耳に設置し、その後、角度θにわたって左側イヤフォン部16Lを回転させることで(例えば頭部の後方へ向けて回転させることで)、左側イヤフォン部16Lが左耳に装着される。このように左側イヤフォン部16Lを回転させて左耳に装着することで、左耳への左側イヤフォン部16Lの密着度が高くなり、左耳から左側イヤフォン部16Lが外れ難くなる。右耳への右側イヤフォン部16Rの装着方法も同じであり、右側イヤフォン部16Rを回転させて右耳に装着することで、右耳への右側イヤフォン部16Rの密着度が高くなり、右耳から右側イヤフォン部16Rが外れ難くなる。
【0076】
以下、左側スピーカ部20Lと右側スピーカ部20Rを構成するイヤーパットに設けられた脳波センサについて詳しく説明する。
【0077】
図6及び
図7には、イヤーパットの一例が示されている。
図6は、イヤーパットを側面から見た図であり、
図7は、イヤーパットを上方(耳に挿入される側)から見た図である。
【0078】
イヤーパット36は、左側スピーカ部20L及び右側スピーカ部20Rを構成するイヤーパットとして用いられる。イヤーパット36自体は公知のイヤーパットを用いることができる。
図6及び
図7に示す例では、イヤーパット36は、円形の断面を有し、先端に向けて幅(円の直径)が狭くなる柱状の形状を有する。イヤーパット36には、高さ方向に貫通する貫通穴36aが形成されており、その貫通穴36aを通って音が外部に伝わる。イヤーパット36は、例えばゴム等の樹脂によって構成されている。
【0079】
イヤーパット36の側面には、電極としての脳波センサ38が設けられている。脳波センサ38は、イヤーパット36の高さ方向に並列に配置された複数の線状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において周方向に沿って配置されている。
【0080】
イヤーパット36が左側スピーカ部20Lに設けられた場合、脳波センサ38は、第1左脳波センサ26Lとして機能する。同様に、イヤーパット36が右側スピーカ部20Rに設けられた場合、脳波センサ38は、第1右脳波センサ26Rとして機能する。
【0081】
脳波センサ38は、例えばカーボン製の導電性ゴムによって構成されている。電気抵抗を下げるために、脳波センサ38は、電気抵抗を下げるために銀ペーストを含んでもよい。
【0082】
脳波センサ38がある程度の湿度を有していると、電位が測定され易いことがある。そこで、脳波センサ38の湿度を保つために、脳波センサ38の表面が加工されてもよい。一般的に、固体表面の濡れ性は、固体表面の粗さに依存する。例えばWenzelの式によると、表面粗さが増加するほど、親水性表面では接触角が小さくなり、表面が濡れ易くなる(つまり、湿度が保持され易くなる)。そこで、脳波センサ38の表面粗さが、電位が測定され易い湿度が得られる表面粗さとなるように、脳波センサ38の表面を加工して表面粗さを調整してもよい。別の例として、フッ素ガスによる表面処理によって脳波センサ38の表面に含酸素官能基を導入することで、脳波センサ38の表面に親水性を発現させ、これにより、脳波センサ38の湿度を保ってもよい。もちろん、これら以外の方法によって脳波センサ38の湿度を、電位が測定され易い湿度に維持してもよい。
【0083】
図8及び
図9には、脳波センサの別の例が示されている。
図8及び
図9は、イヤーパット36を側面から見た図である。イヤーパット36自体は、
図6及び
図7に示されているイヤーパット36と同じ形状を有する。
図8に示す例では、電極としての脳波センサ40は、複数の三角形状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において周方向に沿って配置されている。
図9に示す例では、電極としての脳波センサ42は、複数の円形状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において周方向に沿って配置されている。
【0084】
図10から
図13には、脳波センサの更に別の例が示されている。
図10、
図12及び
図13は、イヤーパット36を側面から見た図であり、
図11は、イヤーパット36を上方(耳に挿入される側)から見た図である。イヤーパット36自体は、
図6及び
図7に示されているイヤーパット36と同じ形状を有する。
図10及び
図11に示す例では、電極としての脳波センサ44は、イヤーパット36の周方向に並列に配置された複数の線状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において高さ方向に沿って配置されている。
図12に示す例では、電極としての脳波センサ46は、複数の三角形状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において高さ方向に沿って配置されている。
図13に示す例では、電極としての脳波センサ48は、複数の円形状のセンサ(電極)によって構成されており、イヤーパット36の外周部において高さ方向に沿って配置されている。
【0085】
上述した脳波センサの形状や配置は一例に過ぎず、別の形状や配置が採用されてもよい。また、イヤーパット36の外周の全面に脳波センサが設けられてもよい。
【0086】
以下、
図14から
図17を参照して、脳波センサの別の設置例について説明する。
図14から
図17は、イヤフォン装置10の一部の構成を示す斜視図である。
【0087】
図14に示す例では、右側イヤフォン部16Rに脳波センサ(電極)が設けられており、左側イヤフォン部16Lに脳波センサ(電極)が設けられていない。つまり、右側スピーカ部20Rの側面(イヤーパットの側面)に第1右脳波センサ26Rが設けられており、右側耳掛け部24Rに第2右脳波センサ28Rが設けられている。この場合、右側イヤフォン部16Rに設けられた第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとによって電位が測定され、その測定結果を示す情報が、脳波測定結果を示す情報として、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。なお、左側イヤフォン部16Lに脳波センサを設けて、右側イヤフォン部16Rに脳波センサを設けなくてもよい。
【0088】
図15に示す例では、
図14に示す例と同様に、右側イヤフォン部16Rに脳波センサ(電極)が設けられており、左側イヤフォン部16Lに脳波センサ(電極)が設けられていない。右側イヤフォン部16Rの右側耳掛け部24Rに設けられた第2右脳波センサ28Rは、右側耳掛け部24Rに沿って設けられた2つの脳波センサ50(電極)を含むセンサである。この場合、例えば、2つの脳波センサ50の中のいずれかの脳波センサ50と第1右脳波センサ26Rとの間の電位差が、右側イヤフォン部16Rによって測定された電位差として採用される。もちろん、第2右脳波センサ28Rは、3つ以上の脳波センサ50を含んでもよい。第2右脳波センサ28Rを複数の脳波センサ50によって構成することで、第2右脳波センサ28Rが右耳に接触し易くなるので、第2右脳波センサ28Rによって確実に電位が測定され易くなる。つまり、複数の脳波センサ50の中のいずれかの脳波センサ50が右耳に接触することで電位が測定されるので、1つの脳波センサのみを用いる場合と比べて、より確実に電位が測定される。
【0089】
図16に示す例では、右側スピーカ部20Rの側面(イヤーパットの側面)に第1右脳波センサ26Rが設けられており、右側耳掛け部24Rに第2右脳波センサ28Rが設けられており、左側耳掛け部24Lに第2左脳波センサ28Lが設けられている。第1左脳波センサ26Lは設けられていない。この場合、例えば、第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとの間の電位差、又は、第1右脳波センサ26Rと第2左脳波センサ28Lとの間の電位差が測定され、その測定された電位差が脳波測定結果として採用される。このように第2左脳波センサ28Lと第2右脳波センサ28Rを用いることで、いずれか一方の脳波センサが耳と接触していない場合や、一方の脳波センサと耳との接触が良好ではない場合であっても、脳波測定が可能となる。
【0090】
図17に示す例では、右側スピーカ部20Rの側面(イヤーパットの側面)に第1右脳波センサ26Rが設けられており、右側耳掛け部24Rに第2右脳波センサ28Rが設けられており、左側スピーカ部20Lの側面(イヤーパットの側面)に第1左脳波センサ26Lが設けられており、左側耳掛け部24Lに第2左脳波センサ28Lが設けられている。
図15に示す例と同様に、第2右脳波センサ28Rは、右側耳掛け部24Rに沿って設けられた2つの脳波センサ50(電極)を含むセンサである。同様に、第2左脳波センサ28Lは、左側耳掛け部24Lに沿って設けられた2つの脳波センサ52(電極)を含むセンサである。この場合、例えば、2つの脳波センサ50の中のいずれかの脳波センサ50と第1右脳波センサ26Rとの間の電位差が、右側イヤフォン部16Rによって測定された電位差として採用され、2つの脳波センサ52の中のいずれかの脳波センサ52と第1左脳波センサ26Lとの間の電位差が、左側イヤフォン部16Lによって測定された電位差として採用される。もちろん、3つ以上の脳波センサ50,52が設けられてもよい。このように複数のセンサによって第2右脳波センサ28Rと第2左脳波センサ28Lを構成することで、第2右脳波センサ28Rが右耳に接触し易くなり、第2左脳波センサ28Lが左耳に接触し易くなるので、第2右脳波センサ28Rと第2左脳波センサ28Lによってより確実に電位が測定される。
【0091】
本実施形態に係るイヤフォン装置10によると、複数の脳波センサによって耳を挟むことで、脳波センサを耳に密着させることができるので、電位測定精度を向上させることができ、その結果、脳波測定精度を向上させることが可能となる。
【0092】
以下、
図18を参照して、イヤフォン装置10の機能について詳しく説明する。
図18は、イヤフォン装置10の機能ブロック図である。
【0093】
上述したように、イヤフォン装置10は、左側イヤフォン部16Lと、右側イヤフォン部16Rと、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rとを接続するケーブル18と、を含む。
【0094】
左側イヤフォン部16Lは、左側スピーカ部20Lと、第1左脳波センサ26Lと、第2左脳波センサ28Lと、通信部54Lと、電池56と、制御部58Lと、を含む。
【0095】
通信部54Lは通信インターフェース(通信チップ)であり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置からデータを受信する機能を有する。通信部54Lは、例えば無線通信機能を有する。その通信方式として、上述したように、ブルートゥース等の近距離無線通信、赤外線通信、可視光通信、Wi-Fi通信、等が用いられる。ここでは一例として、近距離無線通信(例えばブルートゥース)が用いられるものとする。例えば、通信部54Lは、近距離無線通信によって、左側スピーカ部20Lから発せられる音を表わす信号を外部装置(例えば端末装置12)から受信する。左側スピーカ部20Lは、通信部54Lによって受信された信号に従って音を発生させる。また、通信部54Lは、近距離無線通信によって、脳波測定結果を示す情報を外部装置(例えば端末装置12)に送信してもよい。なお、イヤフォン装置10は、端末装置12以外の外部装置(例えば再生装置や表示装置等)と組み合わせて用いられてもよいため、端末装置12以外の外部装置と通信して、音信号を当該外部装置から受信してもよいし、脳波測定結果を示す情報を当該外部装置に送信してもよい。
【0096】
電池56は、左側イヤフォン部16Lの各部に電力を供給する。例えば、電池56から、左側スピーカ部20L、通信部54L及び制御部58Lに電力が供給され、左側スピーカ部20L、通信部54L及び制御部58Lは、電池56から供給された電力によって駆動する。また、後述するように、右側イヤフォン部16Rに電池が設けられていない場合、ケーブル18を介して、電池56から右側イヤフォン部16Rの各部に電力が供給される。電池56として、例えば、充電可能な電池が用いられる。もちろん、充電不可能な電池が電池56として用いられてもよい。なお、電池56や充電に関わる部品の周囲にシールド部材(電磁波防止部材)が設けられてもよい。シールド部材を設けることで、充電中に発する電磁波に起因するノイズを軽減して脳波測定の精度を高めることができる。
【0097】
制御部58Lは、左側イヤフォン部16Lの各部の動作を制御する。制御部58Lは、例えば、通信部54Lによる通信を制御したり、脳波測定結果に対して処理(例えば統計処理)を施したり、左側イヤフォン部16Lの各部の故障を検知したり、ケーブル18の故障を検知したりする。
【0098】
右側イヤフォン部16Rは、右側スピーカ部20Rと、第1右脳波センサ26Rと、第2右脳波センサ28Rと、通信部54Rと、制御部58Rと、を含む。
【0099】
通信部54Rは、通信部54Lと同様に、通信インターフェース(通信チップ)であり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置からデータを受信する機能を有する。通信部54Rは、例えば無線通信機能を有する。通信方式は、通信部54Lが採用する通信方式(例えばブルートゥース)と同じである。例えば、通信部54Rは、近距離無線通信によって、右側スピーカ部20Rから発せられる音を表わす信号を端末装置12から受信する。右側スピーカ部20Rは、通信部54Rによって受信された信号に従って音を発生させる。また、通信部54Rは、近距離無線通信によって、脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。
【0100】
制御部58Rは、右側イヤフォン部16Rの各部の動作を制御する。制御部58Rは、例えば、通信部54Rによる通信を制御したり、脳波測定結果に対して処理(例えば統計処理)を施したり、右側イヤフォン部16Rの各部の故障を検知したり、ケーブル18の故障を検知したりする。
【0101】
なお、制御部58L又は制御部58Rのいずれか一方が、イヤフォン装置10に設けられて、その一方の制御部が、イヤフォン装置10の各部の動作を制御してもよい。
【0102】
右側イヤフォン部16Rには電池が設けられていない。上述したように、ケーブル18を介して、左側イヤフォン部16Lに設けられた電池56から右側イヤフォン部16Rに電力が供給され、右側スピーカ部20R、通信部54R及び制御部58Rは、電池56から供給された電力によって駆動する。一方のイヤフォン部のみに電池を設けることで、イヤフォン装置10の全体の重さを軽くすることができる。
【0103】
もちろん、左側イヤフォン部16Lと右側イヤフォン部16Rの両方に電池が設けられてもよい。この場合、右側イヤフォン部16Rに設置された電池から右側イヤフォン部16Rの各部に電力が供給される。別の例として、右側イヤフォン部16Rに電池が設けられ、左側イヤフォン部16Lに電池が設けられなくてもよい。この場合、ケーブル18を介して、右側イヤフォン部16Rに設置された電池から左側イヤフォン部16Lに電力が供給される。
【0104】
第1左脳波センサ26Lと第2左脳波センサ28Lとによって第1電位差が測定され、第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとによって第2電位差が測定されると、制御部58L又は制御部58Rは、第1電位差と第2電位差に対して統計処理(例えば単純平均や重み付け平均)を適用し、その統計処理によって得られた値を脳波測定結果として採用する。この場合、その脳波測定結果を示す情報が、通信部54L又は通信部54Rによって、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。もちろん、統計処理が行われる前の情報がイヤフォン装置10から端末装置12に送信されて、端末装置12にて統計処理が行われてもよい。この場合、第1電位差を示す情報が、第1脳波測定結果を示す情報として、通信部54Lによってイヤフォン装置10から端末装置12に送信され、第2電位差を示す情報が、第2脳波測定結果を示す情報として、通信部54Rによってイヤフォン装置10から端末装置12に送信される。
【0105】
ケーブル18に故障が発生した場合、第1脳波測定結果を示す情報が、通信部54Lによってイヤフォン装置10から端末装置12に送信され、第2脳波測定結果を示す情報が、通信部54Rによってイヤフォン装置10から端末装置12に送信されてもよい。
【0106】
通信部54L又は通信部54Rのいずれか一方が故障した場合、故障していない通信部(通信チップ)を用いて、脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。
【0107】
左側イヤフォン部16L又は右側イヤフォン部16Rのいずれか一方が故障した場合、故障していないイヤフォン部は、当該イヤフォン部によって得られた脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。
【0108】
電池56の充電中、制御部58L又は制御部58Rは、脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信しなくてもよいし、脳波測定を中止してもよい。別の例として、電池56の充電中、制御部58Lは、第1左脳波センサ26Lと第2左脳波センサ28Lとによる脳波測定を中止し、制御部58Rは、第1右脳波センサ26Rと第2右脳波センサ28Rとによる脳波測定を継続してもよい。この場合、右側イヤフォン部16Rによって得られた脳波測定結果を示す情報が、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。電池56の充電中、電池56が設けられている左側イヤフォン部16Lによって得られた脳波測定結果は、その充電に起因するノイズの影響を受け易いが、電池が設けられていない右側イヤフォン部16Rによって得られた脳波測定結果は、そのようなノイズの影響を受け難い。従って、左側イヤフォン部16Lによる脳波測定を中止し、右側イヤフォン部16Rによって得られた脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信することで、充電に起因するノイズの影響がより少ない脳波測定結果が端末装置12に与えられる。もちろん、電池56の充電中においても、左側イヤフォン部16Lによる脳波測定を継続してもよい。この場合、左側イヤフォン部16Lによる測定結果を用いずに、右側イヤフォン部16Rによって得られた測定結果を用いて、脳波が得られる。例えば、左側イヤフォン部16Lによる測定結果を示す情報が、イヤフォン装置10から端末装置12に送信されなくてもよいし、脳波解析の際に用いられなくてもよい。
【0109】
以下、
図19を参照して、端末装置12の構成について詳しく説明する。
図19は、端末装置12の機能ブロック図である。
【0110】
通信部60は通信インターフェースであり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置からデータを受信する機能を有する。通信部60は、例えば無線通信機能を有する。その通信方式として、ブルートゥース等の近距離無線通信、赤外線通信、可視光通信、Wi-Fi通信、等が用いられる。通信部60は、有線通信機能を有していてもよい。
【0111】
通信部60は、例えば近距離無線通信(例えばブルートゥース)によってイヤフォン装置10と通信する。より詳しく説明すると、通信部60は、近距離無線通信によって、左側スピーカ部20Lから発せられる音を表わす信号を左側スピーカ部20Lの通信部54Lに送信し、右側スピーカ部20Rから発せられる音を表わす信号を右側スピーカ部20Rの通信部54Rに送信する。また、通信部60は、近距離無線通信によって、脳波測定結果を示す情報をイヤフォン装置10から受信する。なお、端末装置12は、イヤフォン装置10以外のイヤフォンや脳波測定装置と組み合わせて用いられてもよい。この場合、端末装置12は、当該脳波測定装置から脳波測定結果を示す情報を受信し、イヤフォン装置10や他のイヤフォンに音信号を送信してもよい。
【0112】
また、通信部60は、Wi-Fi等の無線通信機能又は有線通信機能によって、通信経路Nを介して他の装置と通信する。通信部60は、例えばインターネット経由で情報を送受信する。通信部60は、通信経路Nを介して、音楽配信サーバ14から音楽データをダウンロードしてもよいし、音楽データをストリーミング形式で受信してもよい。
【0113】
記憶部62はハードディスクやメモリ(例えばSSD等)等の記憶装置である。記憶部62には、例えば、各種のデータ、各種のプログラム、音楽配信サーバ14のアドレスを示すアドレス情報、等が記憶されている。また、記憶部62は、リスト記憶部64を含む。
【0114】
リスト記憶部64は、1又は複数のコンテンツプレイリストのデータを記憶する。コンテンツは例えば音楽や動画であり、コンテンツプレイリストは、コンテンツを識別するためのコンテンツ識別情報によって構成されたリストである。コンテンツプレイリストには、1又は複数のコンテンツが登録されており、コンテンツプレイリストは、1又は複数のコンテンツに対応する1又は複数のコンテンツ識別情報によって構成されている。
【0115】
リスト記憶部64は、コンテンツプレイリストの一例として、1又は複数の音楽プレイリストのデータを記憶する。音楽プレイリストは、音楽(曲)を識別するための音楽識別情報(例えば曲タイトル、アーティスト名、アルバム名等)によって構成されたリストである。音楽プレイリストには、1又は複数の音楽が登録されており、音楽プレイリストは、1又は複数の音楽に対応する1又は複数の音楽識別情報によって構成されている。音楽プレイリストは、例えばユーザ毎に作成されて、ユーザに紐付いて管理される。具体的には、音楽プレイリストのデータに、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(例えばユーザIDやユーザ名等)が関連付けられる。また、初期音楽プレイリストが予め作成されてもよいし、脳波状態毎の音楽プレイリストが予め作成されてもよいし、ユーザが希望する脳波状態毎の音楽プレイリストが作成されてもよい。これらの音楽プレイリストのデータがリスト記憶部64に記憶されてもよい。初期音楽プレイリストは、予め選択された1又は複数の音楽(曲)に対応する1又は複数の音楽識別情報によって構成されたリストである。もちろん、ジャンル毎のリスト、アーティスト毎のリスト、年代別のリスト、等が作成されてもよい。音楽データ自体は、記憶部62に記憶されていてもよいし、他の装置(例えば音楽配信サーバ14や他のサーバ等)に記憶されていてもよい。
【0116】
リスト記憶部64は、コンテンツリストの一例として、1又は複数の動画プレイリストのデータを記憶してもよい。動画プレイリストは、動画を識別するための動画識別情報(例えば動画タイトル、動画作成者等)によって構成されたリストである。動画プレイリストには、1又は複数の動画が登録されており、動画プレイリストは、1又は複数の動画に対応する1又は複数の動画識別情報によって構成されている。動画プレイリストは、例えばユーザ毎に作成されて、ユーザに紐付いて管理される。具体的には、動画プレイリストのデータに、ユーザ識別情報が関連付けられる。また、初期動画プレイリストが予め作成されてもよいし、脳波状態毎の動画プレイリストが予め作成されてもよい。これらの動画プレイリストのデータがリスト記憶部64に記憶されてもよい。初期動画プレイリストは、予め選択された1又は複数の動画に対応する1又は複数の動画識別情報によって構成されたリストである。もちろん、ジャンル毎のリスト、動画作成者毎のリスト、年代別のリスト、等が作成されてもよい。動画データ自体は、記憶部62に記憶されていてもよいし、他の装置(例えば動画配信サーバや他のサーバ等)に記憶されていてもよい。
【0117】
なお、音楽と動画とが混在したコンテンツプレイリストが作成されてリスト記憶部64に記憶されてもよい。
【0118】
UI部66はユーザインターフェース部であり、表示部と操作部を含む。表示部は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウス、等の入力装置である。もちろん、表示部と操作部を兼ねたユーザインターフェース(例えばタッチ式のディスプレイや、ディスプレイ上に電子的にキーボード等を表示する機器)であってもよい。
【0119】
制御部68は、端末装置12の各部の動作を制御する。また、制御部68は、脳波状態評価部70と、リスト作成部72と、表示制御部74と、再生制御部76と、を含む。
【0120】
脳波状態評価部70は、脳波測定結果を示す情報を受けて、脳波測定結果(例えば電位差)を解析することで、ユーザの脳波状態を評価する。脳波状態は、例えば、集中、リラックス、眠い、目が覚めている、等である。脳波状態評価部70は、脳波解析によって得られた脳波状態を数値化してもよい。ユーザの脳波状態が1つの状態に定まらず、複数の脳波状態が混在している場合もある。例えば、脳波状態として「集中」状態と「リラックス」状態が混在している場合、脳波状態評価部70は、「集中度」と「リラックス度」のそれぞれを数値化する。なお、脳波測定結果(電位差を示す情報)から脳波状態を評価する方法として、公知技術を用いることができる。例えば、脳波測定結果から得られたδ波、θ波、α波、β波を解析することで、脳波状態を評価することができる。
【0121】
脳波状態評価部70は、単位時間毎(例えば1秒毎)の脳波状態を表わす数値を演算してもよいし、予め定められた時間の間における脳波状態を表わす数値の平均値(時間平均)を演算してもよい。また、脳波状態評価部70は、その数値の時間変化を表わす波形(脳波状態の時間変化を表わす波形)を生成してもよい。
【0122】
また、脳波状態評価部70は、コンテンツと脳波状態とを関連付ける。例えば、音楽の再生中、脳波状態評価部70は、脳波測定結果を示す情報に基づいてユーザの脳波状態を評価し、その音楽とその脳波状態とを関連付ける。脳波状態の時間変化が得られるため、1曲中の個々の時点における脳波状態が測定されることになる。これにより、曲中の個々の時点における脳波状態を特定することができる。
【0123】
脳波状態評価部70は、例えば、音楽を識別する音楽識別情報(例えばタイトル等)と、ユーザの脳波状態を示す脳波状態情報と、を関連付ける。音楽識別情報は、脳波状態情報が関連付けられた状態で記憶部62に記憶される。脳波状態情報は、その曲が再生されている間に得られた脳波状態を示す情報であり、例えば、単位時間毎の脳波状態を表わす数値、その数値の平均値、その数値の時間変化を表わす波形等を示す情報である。平均値は、例えば、1曲の全時間帯又は一部の時間帯(例えば指定された時間帯)における時間平均である。例えば、脳波状態が「集中」に該当する場合、脳波状態情報は、単位時間毎の「集中度」(数値)、その平均値、「集中度」の時間変化を表わす波形、等を含む。また、複数の脳波状態が混在している場合、脳波状態情報は、単位時間毎の各脳波状態を表わす数値、各脳波状態の数値の平均値(時間平均)、各脳波状態を表わす波形を含む。例えば、脳波状態として「集中」と「リラックス」が混在している場合、脳波状態情報は、単位時間毎の「集中度」(数値)、その平均値、「集中度」の時間変化を表わす波形、単位時間毎の「リラックス度」(数値)、その平均値、「リラックス度」の時間変化を表わす波形を含む。
【0124】
動画の再生中に脳波を測定した場合も、音楽についての処理と同様であり、動画を識別する動画識別情報(例えばタイトル等)と、ユーザの脳波状態を示す脳波状態情報と、が関連付けられる。
【0125】
なお、脳波状態評価部70が解析する脳波測定結果は、イヤフォン装置10によって得られた結果であってもよいし、他の脳波測定装置によって得られた結果であってもよい。
【0126】
脳波状態評価部70は、端末装置12に設けられずに、他の装置に設けられもよい。例えば、管理サーバが情報処理システムに含まれており、その管理サーバに脳波状態評価部70が設けられてもよい。この場合、管理サーバ等の他の装置によってユーザの脳波状態が評価され、その脳波状態を示す情報が、当該他の装置から端末装置12に送信されてもよい。もちろん、イヤフォン装置10に脳波状態評価部70が設けられて、イヤフォン装置10にて脳波測定結果が解析されて脳波状態が評価されてもよい。この場合、その評価を示す脳波状態情報が、イヤフォン装置10から端末装置12に送信されてもよい。
【0127】
リスト作成部72は、コンテンツプレイリストとしての音楽プレイリストや動画プレイリストを作成する。リスト作成部72は、ユーザが選択した音楽の音楽識別情報を含む音楽プレイリストや、ユーザが選択した動画の動画識別情報を含む動画プレイリストを作成してもよいし、脳波状態毎の音楽プレイリストや動画プレイリストを自動的に作成してもよい。もちろん、リスト作成部72は、ジャンル毎のリスト、アーティストや動画作成者毎のリストや、年代別のリスト、等を作成してもよい。
【0128】
上記のように、音楽の再生中にユーザの脳波状態が評価された場合、音楽と脳波状態とが関連付けられる。この場合、リスト作成部72は、脳波状態の評価結果に基づいて、脳波状態に適合する音楽プレイリスト(その脳波状態用の音楽プレイリスト)を作成する。例えば、ある音楽に関連付けられている脳波状態を表わす数値の平均値が閾値以上の場合、リスト作成部72は、その音楽を、その脳波状態に適合する音楽プレイリストに登録する。例えば、ある音楽に、脳波状態「集中」と「リラックス」が関連付けられており、「集中度」が閾値以上であり、「リラックス度」が閾値未満の場合、リスト作成部72は、その音楽を「集中」に適合する音楽プレイリスト(集中用の音楽プレイリスト)に登録する。「リラックス度」も閾値以上の場合、リスト作成部72は、その音楽を「集中」に関連する音楽プレイリストに登録すると共に、「リラックス」に関連する音楽プレイリスト(リラックス用の音楽プレイリスト)にも登録する。このようにして、ユーザ固有の音楽プレイリストであって脳波状態毎の音楽プレイリストが作成される。
【0129】
動画の再生中にユーザの脳波状態が評価された場合も、音楽についての処理と同様であり、ユーザ固有の脳波状態毎の動画プレイリストが作成される。
【0130】
なお、コンテンツリストのデータは、リスト作成部72によって作成されずに、他の装置(例えばPC、スマートフォン、音楽プレイヤー等)等によって作成されてもよいし、音楽配信サーバ14、動画配信サーバ、管理サーバ等によって作成されてもよい。
【0131】
表示制御部74は、各種の情報の表示を制御する。表示制御部74は、脳波状態評価部70によって得られた脳波状態を示す情報(例えば数値や波形)をUI部66に表示させてもよいし、音楽プレイリストや動画プレイリストをUI部66に表示させてもよいし、再生中の曲や動画に関する情報をUI部66に表示させてもよい。
【0132】
再生制御部76は、コンテンツプレイリストに含まれるコンテンツ(音楽や動画)を再生する。
【0133】
例えば、ユーザが、リスト記憶部64に記憶されている複数の音楽プレイリストの中から音楽プレイリストを指定して再生指示を与えた場合、再生制御部76は、ユーザによって指定された音楽プレイリストに登録されている音楽(曲)を再生する。例えば、再生制御部76は、音楽プレイリストに登録されている音楽のデータが記憶部62に記憶されている場合、その音楽データを記憶部62から取得して再生してもよいし、その音楽データを音楽配信サーバ14からダウンロードして再生してもよいし、音楽配信サーバ14によってストリーミング配信されたその音楽データを再生してもよいし、これら以外の他の装置から音楽データを取得して再生してもよい。もちろん、ユーザによって音楽プレイリストが指定されずに、音楽(曲)そのものが指定された場合、再生制御部76は、その指定された音楽を再生する。
【0134】
また、ユーザが希望の脳波状態を指定して再生を指示した場合、再生制御部76は、ユーザの脳波状態を希望の脳波状態に遷移させ又は維持するための音楽(曲)を再生する。音楽と脳波状態とが関連付けられている場合、再生制御部76は、ユーザが希望する脳波状態に関連付けられている音楽を再生する。例えば、再生制御部76は、当該希望の脳波状態を表わす数値(例えば平均値)が閾値以上となる音楽を再生する。具体例を挙げて説明すると、希望の脳波状態が「集中」の場合、再生制御部76は、閾値以上の「集中度」(例えば平均値)が関連付けられた音楽を再生する。再生制御部76は、閾値以上の数値が関連付けられた音楽をランダムに再生してもよいし、数値が高い音楽を数値が低い音楽よりも先に再生してもよいし、ジャンルやアーティストが指定された場合には、その指定されたジャンルやアーティストの音楽であって閾値以上の数値が関連付けられた音楽を再生してもよい。また、再生制御部76は、希望の脳波状態に適合する音楽プレイリストに登録されている音楽を再生してもよい。例えば、希望の脳波状態が「集中」の場合、再生制御部76は、「集中」に適合する音楽プレイリスト(集中用の音楽プレイリスト)に登録されている音楽を再生する。
【0135】
その音楽の再生中も、イヤフォン装置10によって脳波が測定され、脳波状態評価部70によって脳波状態が評価され、その脳波状態がその音楽に関連付けられる。既に脳波状態が関連付けられている音楽を再生した場合、新たに脳波状態が評価され、その新たな脳波状態もその音楽に関連付けられる。つまり、過去に得られた脳波状態と新たに得られた現在の脳波状態とが同一の音楽に関連付けられる。このようにして、各再生で得られた脳波状態が、脳波状態の履歴として音楽に関連付けられる。これにより、ユーザが同一の音楽を聴いた場合において、過去の脳波状態と現在の脳波状態との対比が可能となる。もちろん、現在の再生よりも1つ前の再生で得られた脳波状態が音楽に関連付けられ、それよりも過去に得られた脳波状態は音楽に関連付けられなくてもよい。なお、この例では、音楽再生中にイヤフォン装置10によって脳波を測定しているが、もちろん、音楽や動画を再生しなくても、イヤフォン装置10によって脳波を測定してもよい。
【0136】
また、再生制御部76は、音楽配信サーバ14から試聴用の音楽データを受けて、その試聴用の音楽を再生してもよい。その試聴用の音楽データは、例えば無料で提供されるデータであり、その再生時間は、有料版の音楽データの再生時間よりも短く、その音質は、有料版の音楽データの音質よりも低音質である。試料用の音楽の再生中も、イヤフォン装置10によって脳波が測定され、脳波状態評価部70によって脳波状態が評価され、その脳波状態を表わす数値や波形がUI部66に表示される。試聴用音楽の再生中に得られた脳波状態を表わす数値が、その音楽を購入する際の判断材料としてユーザに提示されてもよい。別の例として、音楽配信サーバ14によって推奨された音楽プレイリストが端末装置12に表示されてもよい。また、試聴用の音楽データは、音楽配信サーバ14にて指定された1又は複数の曲のデータであってもよいし、1又は複数のジャンルから選択された音楽データであってもよい。
【0137】
動画を再生する場合も、音楽を再生する場合と同様の処理が行われる。
【0138】
コンテンツプレイリストのデータは、リスト記憶部64に記憶されずに、他の装置(例えば音楽配信サーバ14や動画配信サーバや管理サーバ等)に記憶されてもよい。この場合、再生制御部76は、コンテンツプレイリストのデータが記憶されている他の装置からコンテンツプレイリストのデータを取得したり、他の装置に格納されたコンテンツプレイリストを参照したりして、そのコンテンツプレイリストに含まれるコンテンツを再生する。
【0139】
なお、各音楽の再生中の脳波状態を測定する場合、再生制御部76は、音楽(曲)の一部(例えば曲の最初から途中までの部分)を再生し、脳波状態評価部70は、その再生中に得られた脳波測定結果に基づいて脳波状態を評価し、再生制御部76及び脳波状態評価部70は、この再生と評価をセットとして、複数の音楽(曲)についてそのセット(再生と評価)を行ってもよい。これにより、各音楽が部分的に再生されて、各音楽の再生中の脳波状態が測定される。リスト作成部72は、このようにして得られた脳波状態を示す情報を用いて、脳波状態毎の音楽プレイリストを作成してもよい。例えば、脳波状態毎の音楽プレイリストが存在しない状態で、複数の音楽について上記のセットを行うことで、脳波状態毎の音楽プレイリストが簡易に作成される。
【0140】
以下、端末装置12による処理について詳しく説明する。
【0141】
ユーザがイヤフォン装置10を装着して脳波が測定されると、その脳波測定結果を示す情報が、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。脳波状態評価部70は、イヤフォン装置10から送信された脳波測定結果を示す情報を解析することで、ユーザの脳波状態を表わす数値を演算し、その数値の時間変化を表わす波形を生成する。表示制御部74は、その評価や波形を表わす脳波表示画面をUI部66に表示させる。
【0142】
図20には、脳波表示画面の一例が示されている。脳波表示画面78はUI部66に表示される画面である。脳波表示画面78には、一例として、波形80,82と評価値84,86が表示されている。波形80は、脳波状態の一例としてのユーザの「集中度」の時間変化を表わす波形であり、波形82は、脳波状態の一例としてのユーザの「リラックス度」の時間変化を表わす波形である。波形80,82は、脳波状態評価部70によって生成された波形である。評価値84は、「集中度」の時間平均(例えば予め定められた時間の間における平均値)を示しており、評価値86は、「リラックス度」の時間平均を示している。評価値84,86は、脳波状態評価部70によって演算された値である。
図20に示す例では、「集中」という脳波状態と「リラックス」という脳波状態が混在しており、それぞれが数値化されている。もちろん、ユーザによって指定された脳波状態を示す情報(例えば数値)のみが表示されてもよいし、予め定められた脳波状態を示す情報のみが表示されてもよい。
【0143】
再生制御部76によって音楽が再生されると、その再生中、イヤフォン装置10によってユーザの脳波が測定され、その脳波測定結果を示す情報が、イヤフォン装置10から端末装置12に送信される。脳波状態評価部70は、その脳波測定結果を示す情報に基づいて、ユーザの脳波状態を評価する。表示制御部74は、再生対象として選択された音楽を表示する音楽再生画面をUI部66に表示させ、その音楽再生画面内に脳波状態の評価結果を示す情報を表示する。
【0144】
図21には、音楽再生画面の一例が示されている。音楽再生画面88はUI部66に表示される画面である。音楽再生画面88には、一例として、矢印90で示すように、再生操作ボタン画像、シークバー、経過時間、曲のタイトル「AAAAAAAAA」等が表示される。また、音楽再生画面88には、再生対象の音楽に紐付く画像92、評価値94,96、及び、弧状の評価バー98,100が表示される。画像92のデータは、端末装置12に記憶されていてもよいし、音楽配信サーバ14等の他の装置に記憶されていてもよい。評価値94は、ユーザの「集中度」を示す値であり、評価値96は、ユーザの「リラックス度」を示す値である。評価値94,96は、現時点での瞬間値であってもよいし、再生中の曲の再生開始時点から現時点までの平均値であってもよい。評価バー98は「集中度」を表わす画像である。評価バー98の長さは、「集中度」の値が反映された長さであり、「集中度」の値が大きくなるほど、評価バー98の長さは長くなる。評価バー100は「リラックス度」を表わす画像である。評価バー100の長さは、「リラックス度」の値が反映された長さであり、「リラックス度」の値が大きくなるほど、評価バー100の長さは長くなる。
【0145】
脳波状態評価部70は、再生中の音楽を識別するための音楽識別情報と、その再生中に得られた脳波状態を示す脳波状態情報と、を関連付けて、脳波状態情報が関連付けられた音楽識別情報を記憶部62に記憶させる。このように、脳波状態評価部70は、再生された音楽毎に、音楽識別情報と脳波状態情報とを関連付けて記憶部62に記憶させる。リスト作成部72は、音楽識別情報に関連付けられている脳波状態情報に基づいて、ユーザ固有の脳波状態毎の音楽プレイリストを作成する。
【0146】
例えば、脳波状態の数値の閾値が「60」に設定されているものとする。
図21に示す例では、「集中度」の平均値が「91」であり、閾値「60」以上であるため、リスト作成部72は、
図21に示されている音楽を、「集中」に適合する音楽プレイリスト(集中用の音楽プレイリスト)に登録する。なお、閾値の値は一例に過ぎず、別の値が用いられてもよい。また、ユーザが閾値を変えられるようにしてもよい。
【0147】
図22には、音楽再生画面の別の例が示されている。音楽再生画面102はUI部66に表示される画面である。音楽再生画面102は、一例として、矢印104で示すように、再生操作ボタン画像や曲のタイトル等が表示される。また、音楽再生画面102には、音楽に関連付けられた脳波状態を示す情報として、波形106,108、評価値情報110、平均値112、及び、メッセージ114が表示されている。その音楽は、例えば、ユーザによって指定された音楽であってもよいし、ランダムに選曲された音楽であってもよいし。また、その脳波状態は、例えば過去に得られた脳波状態である。
【0148】
波形106は、脳波状態の一例としてのユーザの「集中度」の時間変化を表わす波形であり、波形108は、脳波状態の一例としてのユーザの「リラックス度」の時間変化を表わす波形である。評価値情報110は、曲中の指定された時点における評価値を示す情報であり、その時点における「集中度」と「リラックス度」を示す。
図22に示す例では、その時点における「集中度」は「71」であり、「リラックス度」は「60」である。単位時間毎に脳波状態を表わす数値が得られているため、このような表示が可能となる。ユーザが曲中の時間を指定すると、その時間における評価値が表示される。これにより、1曲の中で、どの時間帯でどのような脳波状態であるのかが、ユーザに提示される。例えば、ユーザは、「集中度」が高い時間(曲の部分)や「リラックス度」が高い時間が分かるようになる。平均値112は、1曲の全時間又は一部の時間における脳波状態の数値の平均値である。
図22に示す例では、「集中度」の平均値が「リラックス度」の平均値よりも大きいため、「集中度」の平均値「77」が表示されている。また、その平均値が閾値以上となっているため、よく集中できたと評価されており、そのようなメッセージ114が表示されている。なお、「リラックス度」の平均値が演算されて表示されてもよい。
【0149】
なお、タイマー機能が設けられてもよい。例えば、希望の脳波状態(例えば集中やリラックス等)と時間の長さがユーザによって指定されると、再生制御部76は、その指定された時間の間、ユーザの脳波状態が希望の脳波状態に維持するように音楽の再生を制御する。複数の時間の長さの候補が予め定められていて、ユーザは、複数の候補の中から希望の時間の長さを指定してもよいし、ユーザが希望する任意の時間の長さを指定してもよい。
【0150】
以下、
図23を参照して、脳波状態に適合する音楽プレイリストについて詳しく説明する。
図23には、プレイリスト画面の一例が示されている。プレイリスト画面116はUI部66に表示される画面である。例えば、ユーザが、1又は複数の音楽プレイリストの中から音楽プレイリストを指定すると、表示制御部74は、プレイリスト画面116をUI部66に表示させ、ユーザによって指定された音楽プレイリストに含まれる音楽に関する情報をプレイリスト画面116に表示する。ユーザが希望の脳波状態を指定した場合、表示制御部74は、その希望の脳波状態に適合する音楽プレイリストに含まれる音楽に関する情報をプレイリスト画面116に表示してもよい。
【0151】
図23に示す例では、脳波状態「集中」に適合する音楽プレイリスト(集中プレイリスト)に登録されている音楽に関する情報が表示されている。集中プレイリストは、閾値以上の「集中度」が関連付けられた1又は複数の音楽が登録されているリストである。
【0152】
プレイリスト画面116には、例えば、集中プレイリストにおいて現在選択されている曲(音楽)に関連付けられている評価値118、その次の曲に関連付けられている評価値120、及び、前の曲に関連付けられている評価値122が表示されている。評価値118,120,122は、「集中度」を表わしている。例えば、選択中の曲に関連付けられている集中度は「91」であり、この曲でよく集中できたことを示すメッセージが表示されている。また、集中度の大きさに応じた形状を有する画像も表示されている。また、選択中の曲のタイトル「AAAAAAAAA」が表示されている。
【0153】
また、波形124,126及び評価値情報128が表示されている。これらは、選択中の曲に関連付けられている脳波状態を示す情報である。波形124は、「集中度」の時間変化を表わす波形であり、波形126は、「リラックス度」を表わす時間変化を表わす波形である。また、評価値情報128は、選択された曲中の指定された時点における評価値を示す情報であり、その時点における「集中度」と「リラックス度」を示す。
【0154】
また、プレイリスト評価値130が表示されている。プレイリスト評価値130は、集中プレイリストに登録されている全曲(全音楽)についての「集中度」の評価値であり、例えば、全曲の集中度の数値(平均値)の平均値である。
図23に示す例では、プレイリスト評価値130は「85」である。なお、プレイリスト評価値130は、リスト作成部72によって演算される。
【0155】
また、再生制御部76は、ユーザの脳波状態が希望の脳波状態に遷移し又は維持するように、音楽プレイリストに含まれる各音楽(曲)の順番を変えて、音楽を再生してもよい。再生制御部76は、例えば、希望の脳波状態に適合する音楽プレイリストの中で、その希望の脳波状態を表わす数値が高い音楽から順に再生する。上記の例では、再生制御部76は、集中プレイリストに登録されている全曲の中で、「集中度」の評価値が高い曲から順に再生する。
【0156】
図24には、別のプレイリスト画面が示されている。プレイリスト画面132はUI部66に表示される画面である。このプレイリスト画面132には、一例として、脳波状態「集中」に適合する音楽プレイリスト(集中プレイリスト)に登録されている音楽に関する情報が表示されている。
【0157】
プレイリスト画面132には、例えば、集中プレイリストにおいて現在選択されている曲に関連付けられている評価値134、その次の曲に関連付けられている評価値136、及び、前の曲に関連付けられている評価値138が表示されている。評価値134,136,138は、集中度を表わしている。例えば、選択中の曲に関連付けられている集中度は「91」であり、この曲でよく集中できたことを示すメッセージが表示されている。また、曲に関連する画像や、集中度の大きさに応じた形状を有する画像も表示されている。また、選択中の曲のタイトル「AAAAAAAAA」が表示されている。
【0158】
また、
図23に示す例と同様に、波形140,142及び評価値情報144が表示されている。これらは、選択中の曲に関連付けられた脳波状態を示す情報である。波形140は、「集中度」の時間変化を表わす波形であり、波形142は、「リラックス度」を表わす時間変化を表わす波形である。また、評価値情報144は、選択された曲中の指定された時点における評価値を示す情報であり、その時点における「集中度」と「リラックス度」を示す。また、
図23に示す例と同様に、プレイリスト評価値146が表示されている。
【0159】
また、比較結果情報148が表示されている。比較結果情報148は、脳波状態に対する音楽再生の効果を示す情報の一例に相当し、現時点におけるプレイリスト評価値と、過去の時点におけるプレイリスト評価値と、の比較結果を示す情報である。上述したように、各音楽(曲)には過去に得られた1又は複数の脳波状態が履歴として関連付けられており、その履歴を用いることで、上記の比較が行われる。この比較は、例えばリスト作成部72によって行われる。例えば、日単位、週単位、月単位、年単位、又は、ユーザよって指定された期間単位で、現時点におけるプレイリスト評価値(例えば、今日のプレイリスト評価値、今週のプレイリスト評価値、今月のプレイリスト評価値、今年のプレイリスト評価値等)と、過去の時点におけるプレイリスト評価値(例えば、昨日のプレイプレイリスト評価値、先週のプレイリスト評価値、先月のプレイリスト評価値、前年のプレイリスト評価値等)と、が比較され、その比較結果を示す情報が表示される。
図24に示す例では、先週よりもプレイリスト評価値が5点上がっている。このように、比較結果を表示することで、ユーザは過去の脳波状態と現在の脳波状態との差異を知ることができるので、楽しみながら本システムを利用することができる。
【0160】
また、脳波状態評価部70は、各音楽について、前回再生時の脳波状態を表わす数値と、今回再生時の脳波状態を表わす数値との差を演算し、リスト作成部72は、その差に応じて、音楽プレイリスト中の各音楽の再生順位を変更してもよい。その差が、脳波状態に対する音楽再生の効果の一例に相当する。例えば、リスト作成部72は、数値の増加分が大きい音楽ほど、音楽プレイリスト中の再生順位を上位に設定する。例えば、同一の脳波状態に適合する音楽プレイリスト(例えば集中用の音楽プレイリスト)に含まれる複数の音楽について、数値の増加分が大きい音楽ほど再生順位が上位に設定される。表示制御部74は、音楽毎に得られた差を示す情報をUI部66に表示させてもよい。脳波状態評価部70は、ユーザが希望する脳波状態に関して、各音楽についての上記の差を演算し、リスト作成部72は、その希望の脳波状態に適合する音楽プレイリスト中の各音楽の再生順位を、その差に応じて変更してもよい。
【0161】
また、脳波状態評価部70は、音楽毎に、聴き始めた時点から希望の脳波状態に遷移するまでに要した時間(遷移時間)を、脳波状態に対する音楽再生の効果の一例として演算してもよい。表示制御部74は、各音楽についての遷移時間を示す情報をUI部66に表示させてもよい。また、リスト作成部72は、遷移時間が短い音楽ほど、音楽プレイリスト中の再生順位を上位に設定する。例えば、同一の脳波状態に適合する音楽プレイリスト(例えば集中用の音楽プレイリスト)に含まれる複数の音楽について、遷移時間が短い音楽ほど再生順位が上位に設定される。これにより、脳波状態に対する効果がより大きい音楽が先に再生されるので、その効果がより小さい音楽を先に再生する場合と比べて、ユーザの脳波状態を希望の脳波状態に遷移させるまでに要する時間が短くなる。脳波状態評価部70は、ユーザが希望する脳波状態に関して、各音楽についての遷移時間を演算し、リスト作成部72は、その希望の脳波状態に適合する音楽プレイリスト中の各音楽の再生順位を、その遷移時間に応じて変更してもよい。
【0162】
また、脳波状態評価部70は、音楽毎に、希望の脳波状態を維持し続けた時間の長さ(継続時間の長さ)を、脳波状態に対する音楽再生の効果の一例として演算してもよい。表示制御部74は、各音楽についての継続時間を示す情報をUI部66に表示させてもよい。また、リスト作成部72は、継続時間が長い音楽ほど、音楽プレイリスト中の再生順位を上位に設定する。例えば、同一の脳波状態に適合する音楽プレイリスト(例えば集中用の音楽プレイリスト)に含まれる複数の音楽について、継続時間が長い音楽ほど再生順位が上位に設定される。これにより、脳波状態に対する効果がより大きい音楽が先に再生されるので、その効果がより小さい音楽を先に再生する場合と比べて、希望の脳波状態をより長い時間の間、維持しやすくなる。脳波状態評価部70は、ユーザが希望する脳波状態に関して、各音楽についての継続時間を演算し、リスト作成部72は、その希望の脳波状態に適合する音楽プレイリスト中の各音楽の再生順位を、その継続時間に応じて変更してもよい。
【0163】
上記のように、脳波状態に対する音楽再生の効果(例えば、プレイリスト評価値の比較結果、各音楽についての数値の差、遷移時間、継続時間)が得られる。ユーザ毎に音楽再生効果が得られるため、複数のユーザの間で、音楽再生効果が共有されてもよいし、音楽再生効果に応じた競争が行われてもよい。例えば、情報処理システムに管理サーバが含まれており、各ユーザの音楽再生効果を示す情報が、各ユーザの端末装置12から管理サーバに送信される。管理サーバは、各ユーザの音楽再生効果に応じたランキングを各ユーザに対応付けて、各ユーザのランキングを示す情報を、各ユーザの端末装置12に送信する。各ユーザの端末装置12のUI部66には、各ユーザのランキングが表示される。これにより、複数のユーザの間で競争心が生じて、各ユーザは楽しみながら他の本実施形態のシステムを利用することができる。また、各ユーザの音楽再生効果を示す情報は、管理サーバを介して、又は、管理サーバを介さずに、他のユーザの端末装置12に送信され、端末装置12のUI部66に表示されてもよい。これにより、ユーザは、他のユーザについての効果を知ることができるので、楽しみながら本実施形態のシステムを利用することができる。
【0164】
また、情報処理システムに含まれる管理サーバに、各ユーザの端末装置12から各ユーザの脳波状態を示す情報が送信され、管理サーバは、各ユーザの脳波状態を管理、制御してもよい。例えば、管理サーバは、各ユーザの脳波状態を特定の脳波状態に遷移させ又は維持するための音楽を各ユーザの端末装置12に送信してもよい。例えば、職場において従業員がリラックスできるように、管理サーバは、各従業員の脳波状態を「リラックス」に遷移させ又は維持するための音楽を各ユーザの端末装置12に送信してもよい。このとき、管理サーバは、個々のユーザの端末装置12毎に異なる音楽を送信してもよい。
【0165】
本実施形態によれば、ユーザの脳波状態を希望の脳波状態に遷移させ又は維持するための音楽が再生されるので、ユーザの希望する状態が得られる音楽を再生することができる。ユーザの希望する状態が得られる音楽は、ユーザ毎に異なる場合がある。本実施形態によれば、脳波状態を評価し、その評価結果を用いて音楽の再生を制御することで、ユーザ毎に、ユーザの希望する状態が得られる音楽を再生することができる。例えば、ユーザの好みに合致する音楽を再生することができる。
【0166】
(音楽配信サービスとの連携) 以下、音楽配信サービスとの連携について詳しく説明する。再生制御部76は、音楽配信サーバ14から試聴用の音楽データを受けて、その試聴用の音楽を再生する。このときも、イヤフォン装置10によって脳波が測定され、脳波状態評価部70によって脳波状態が評価され、その評価結果(例えば数値や波形)が表示される。制御部68は、試聴用音楽の再生中の脳波状態に基づいて、その音楽をユーザの音楽再生リストに追加するべきか否かを判定する。表示制御部74は、その判定結果を示す情報をUI部66に表示させる。例えば、脳波状態を表す数値が閾値以上の場合、追加対象の音楽であると判定され、その旨が表示される。例えば、ある試聴用音楽の再生中、「集中度」が閾値以上となった場合、その音楽は、集中に適した音楽として表示される。つまり、その音楽は、集中用の音楽として推奨される。これにより、ユーザが音楽データを購入するか否かを判断する上で役に立つ情報がユーザに提供される。例えば、ユーザの好みに合致する音楽がユーザに提示される。
【0167】
また、脳波状態毎の試聴用音楽が予め用意されており、音楽配信サーバ14は、ユーザが指定した脳波状態に対応付けられた試聴用の音楽データを端末装置12に送信し、端末装置12は、その試聴用音楽を再生してもよい。例えば、試聴用音楽として、集中用音楽、リラックス用音楽等が用意されており、ユーザが脳波状態として「集中」を希望すると、集中用音楽が試聴用音楽として再生される。その再生中、「集中度」が閾値以上になると、試聴中の音楽が当該ユーザの集中度を高める音楽として推奨される。表示制御部74は、その推奨を示す情報をUI部66に表示させる。これにより、ユーザにとって、どの音楽が希望の脳波状態を得ることができるのか分り易くなる。
【0168】
なお、音楽配信サービスにおいては、脳波状態への音楽再生の効果(例えば、プレイリスト評価値の比較結果、各音楽についての数値の差、遷移時間、継続時間)に応じて、各音楽の価格が変更されてもよい。例えば、その効果が高い音楽ほど価格が上昇してもよい。例えば、各ユーザについての音楽再生の効果を示す情報が、各ユーザの端末装置12から音楽配信サーバ14に送信され、音楽配信サーバ14は、各ユーザについての音楽再生の効果に対して統計処理(例えば単純平均や重み付け平均等)を適用し、その適用で得られた値に応じて、各音楽の価格を決定する。
【0169】
本実施形態に係るシステムは、1つの音楽配信サービスと連携してもよいし、複数の音楽配信サービスと連携してもよい。複数の音楽配信サービスと連携する場合、音楽配信サービスを切り替えて各音楽配信サービスを利用できるようにしてもよい。また、複数の音楽配信サービスが統合されて1つの音楽配信サービスが提供される場合には、統合後の1つの音楽配信サービスを利用できるようにしてもよい。
【0170】
また、ユーザがイヤフォン装置10を装着して脳波が測定されるときに、音楽の試聴が可能となってもよい。例えば、その測定で得られた脳波測定結果を示す情報が、端末装置12から音楽配信サーバ14に送信されると試聴が可能となり、音楽配信サーバ14から端末装置12に試聴用の音楽データが送信されて試聴用の音楽が再生される。これにより、イヤフォン装置10を利用していない場合にも試聴が可能となる場合と比べて、イヤフォン装置10の利用が促進される。
【0171】
なお、再生制御部76は、ユーザの脳波状態に応じて、音楽の音量を変えて再生してもよいし、音楽をアレンジして再生してもよいし、音楽の再生スピードを変えてもよい。同じ曲であっても、音量やアレンジやスピードによってユーザが受ける印象が異なり、それによって、脳波状態が変わり得る。再生制御部76は、音楽再生中のユーザの脳波状態が希望の脳波状態により近くなるように、つまり、希望の脳波状態を表す数値がより高くなるように、再生中の音楽の音量を変えたり、その音楽をアレンジしたり、再生スピードを変えたりする。
【0172】
(変形例1) 以下、
図25及び
図26を参照して、音楽再生リストの変形例1について説明する。
図25には、条件入力画面の一例が示されており、
図26には、音楽再生画面の一例が示されている。
【0173】
まず、
図25を参照して、条件入力画面について説明する。条件入力画面150はUI部66に表示される画面である。例えば、ユーザが条件入力画面150の表示指示を与えると、表示制御部74は、条件入力画面150をUI部66に表示させる。条件入力画面150には、入力欄152,154が表示されている。入力欄152は、「希望の脳波状態」を示す情報を入力するための欄であり、入力欄154は、「場所」を示す情報を入力するための欄である。一例として、入力欄152には、プルダウン形式で、「希望の脳波状態」の候補の一覧が表示され、入力欄154には、プルダウン形式で、「場所」の候補の一覧が表示される。もちろん、ユーザが、希望の脳波状態を示す文字列や場所を示す文字列を直接入力してもよい。
図25に示す例では、「希望の脳波状態」として「集中」が指定されており、その「場所」として「ジャズカフェ」が指定されている。つまり、ユーザの希望は、「ジャズカフェで集中する」ことである。
【0174】
表示制御部74は、指定された希望の脳波状態と場所とに関連付けられた音楽を含む音楽プレイリストをUI部66に表示させる。
図25に示す例では、その音楽プレイリストに登録されている音楽識別情報(例えば曲タイトル等)が、曲表示欄156に表示されている。以下、脳波状態と場所とに関連付けられた音楽について詳しく説明する。
【0175】
変形例においては、音楽(曲)と、その音楽の再生中の脳波状態と、その音楽が再生された場所と、が互いに関連付けられる。上記のように、各音楽に脳波状態が関連付けられている。音楽が再生された場所は、例えばGPS(Global Positioning System)機能によって特定される。例えば、再生装置(例えば端末装置12)がGPS機能を備えており、再生装置にて音楽が再生された場合、その再生中の再生装置の位置情報がGPS機能によって取得され、また、イヤフォン装置10によって脳波測定結果が得られる。このようにして、音楽と、その音楽を再生している再生装置の位置と、その再生中のユーザの脳波状態と、が得られ、脳波状態評価部70は、その音楽の音楽識別情報と、その位置を示す情報(位置情報)と、その脳波状態情報と、を関連付けて記憶部62に記憶させる。これにより、脳波状態と場所が指定されると、その指定された脳波状態と場所とに関連付けられた音楽、つまり、その指定された場所で指定された脳波状態が得られた音楽が特定される。
【0176】
リスト作成部72は、音楽識別情報と位置情報と脳波状態情報との関連付けに従って、脳波状態毎及び場所毎の音楽プレイリストを作成する。表示制御部74は、指定された脳波状態と場所とに関連付けられた音楽を含む音楽プレイリストをUI部66に表示させる。
図25に示す例では、「希望の脳波状態」として「集中」が指定されており、その「場所」として「ジャズカフェ」が指定されているので、表示制御部74は、脳波状態「集中」と場所「ジャズカフェ」とが関連付けられた音楽を含む音楽プレイリストをUI部66に表示させる。この音楽プレイリストは、ジャズカフェで集中するのに適したリストと言える。
【0177】
なお、音楽と、場所と、その場所でその音楽を再生することで得られると推測される脳波状態と、が予め関連付けられた初期音楽プレイリストが予め作成されて、その初期音楽プレイリストが用いられてもよい。この場合、表示制御部74は、指定された脳波状態と場所とに関連付けられた初期音楽プレイリストをUI部66に表示させる。
【0178】
条件入力画面150には、再生ボタン画像158が表示されており、その再生ボタン画像158がユーザによって押されると、画面が、
図26に示されている音楽再生画面160に遷移する。音楽再生画面160は、上記のようにして選択された音楽プレイリスト(例えば、ジャズカフェで集中するのに適した音楽プレイリスト)に含まれる音楽を再生するための画面である。音楽再生画面160には、例えば、再生対象の曲に関連付けられた脳波状態を示す情報162が表示される。その情報162は、例えば、数値に応じた形状を有する画像である。音楽再生画面160には、再生ボタン画像164が表示されており、その再生ボタン画像164がユーザによって押されると、再生対象の曲が再生される。
【0179】
なお、音楽再生画面160には、脳波状態を表わすボタン画像166,168が表示されており、ユーザがボタン画像を押すと、表示制御部74は、そのボタン画像に紐付く脳波状態用の音楽プレイリストをUI部66に表示させる。ボタン画像166は脳波状態「集中」に紐付く画像であり、ボタン画像168は脳波状態「リラックス」に紐付く画像である。
図25及び
図26に示す例では、脳波状態として「集中」が指定されている。この状態で、ユーザによってボタン画像168が押されると、表示制御部74は、脳波状態「リラックス」と場所「ジャズカフェ」とが関連付けられた音楽を含む音楽プレイリストをUI部66に表示させる。このようにして、希望の脳波状態が切り替えられるようにしてもよい。
【0180】
変形例1によれば、ユーザによって指定された場所で、ユーザの脳波状態を希望の脳波状態に遷移させ又は維持することができる音楽が再生される。
【0181】
なお、再生制御部76は、位置情報を利用することで、ユーザの現在の場所に適合する音楽を再生してもよい。例えば、端末装置12によって当該端末装置12の現在の位置情報が取得され、再生制御部76は、ユーザが希望する脳波状態とその位置とに関連付けられた音楽を再生する。例えば、デスクワークに適した音楽や、屋外での作業に適した音楽、等が再生される。
【0182】
図25に示す例では、希望の脳波状態と場所の両方がユーザによって指定されているが、いずれか一方のみがユーザによって指定されてもよい。この場合、表示制御部74は、その一方に適合する音楽プレイリストをUI部66に表示させる。例えば、表示制御部74は、希望の脳波状態がユーザによって指定された場合、その希望の脳波状態が関連付けられている音楽が登録された音楽プレイリストをUI部66に表示させ、場所がユーザによって指定された場合、その場所が関連付けられている音楽が登録された音楽プレイリストをUI部66に表示させる。
【0183】
(変形例2) 以下、
図27を参照して変形例2について説明する。
図27には、リスト選択画面の一例が示されている。
【0184】
変形例2では、他のユーザの音楽プレイリストが表示されてもよい。
図27には、その表示例が示されている。ユーザが音楽プレイリストの表示指示を与えると、表示制御部74は、音楽プレイリストが表示されるリスト選択画面170をUI部66に表示させる。
図27に示す例では、リスト選択画面170に、「マイベスト」という音楽プレイリストと、「レコメンデーション」という音楽プレイリストと、「・・・セレクション」という音楽プレイリストと、が表示されている。これらの音楽プレイリストは、ユーザの希望の脳波状態に関連付けられた音楽(曲)によって構成されたリストである。「マイベスト」リストは、ユーザ自身が選択した音楽を含むリストである。「レコメンデーション」リストは、他のユーザが推奨するリストである。「・・・セレクション」リストは、特定の職種、業種、性別、年齢等のユーザが選んだ音楽を含むリストである。また、有名人のリストが作成され、そのリストが表示されてもよい。
【0185】
例えば、音楽プレイリストは、端末装置12から音楽配信サーバ14にマニュアル操作で又は自動的にアップロードされる。これにより、各ユーザの音楽プレイリスト(例えば、脳波状態毎の音楽プレイリストや、各ユーザ自身が選んだ音楽を含む音楽プレイリスト等)が、音楽配信サーバ14に送られて音楽配信サーバ14にて管理される。
【0186】
例えば、ユーザが希望の脳波状態を指定すると、その希望の脳波状態を示す情報が端末装置12から音楽配信サーバ14に送信され、音楽配信サーバ14は、その希望の脳波状態に適合する音楽プレイリストを示すデータを端末装置12に送信する。その音楽プレイリストは、上記のように、他のユーザが推奨する音楽プレイリスト等である。
【0187】
ユーザがリスト選択画面170上で音楽プレイリストを選択して再生ボタン画像を押すと、その音楽プレイリストに含まれる曲が再生される。
【0188】
変形例2によれば、他のユーザの音楽プレイリストに従って音楽を再生することができるので、自己の音楽プレイリストのみを用いる場合と比べて、音楽プレイリストの選択肢が広がる。
【0189】
なお、リスト選択画面170には、脳波状態を表わすボタン画像172,174が表示されており、ユーザがボタン画像を押すと、表示制御部74は、そのボタン画像に紐付く脳波状態用の音楽プレイリストをUI部66に表示させる。ボタン画像172は脳波状態「集中」に紐付く画像であり、ボタン画像174は脳波状態「リラックス」に紐付く画像である。
図27に示す例では、脳波状態として「集中」が指定されている。この状態で、ユーザによってボタン画像174が押されると、表示制御部74は、脳波状態「リラックス」が関連付けられた音楽を含む音楽プレイリストをUI部66に表示させる。このようにして、希望の脳波状態が切り替えられるようにしてもよい。
【0190】
また、変形例1と同様に、ユーザによって希望の脳波状態と場所が指定された場合、その希望の脳波状態と場所に適合する音楽プレイリストが表示されてもよい。
【0191】
(その他の実施形態) 以下、他の実施形態について説明する。ユーザが端末装置12を用いてイヤフォン装置10との接続を指示すると、端末装置12は例えば近距離無線通信(例えばブルートゥース)によってイヤフォン装置10と通信を行い、これにより、イヤフォン装置10と端末装置12とが近距離無線通信によって接続される。ユーザがイヤフォン装置10を装着すると、イヤフォン装置10によって脳波が測定される。
図28には、そのときに端末装置12のUI部66に表示される脳波表示画面の一例が示されている。脳波表示画面176には、イヤフォン装置10に紐付く画像178、イヤフォン装置10が端末装置12に接続された旨を示すメッセージ、脳波の測定結果(例えば、集中度:18%、リラックス度:72%)等が表示される。この状態で、上述したように、音楽が再生されると、再生中の脳波が測定される。このとき、例えば
図21や
図22に示されている画面が端末装置12のUI部66に表示される。例えば、1又は複数の試聴用の音楽が再生されると、音楽毎に脳波が測定され、その測定結果が記録される。
【0192】
また、脳波の測定状態を示す情報が表示されてもよい。
図29には、その表示例画示されている。脳波表示画面180は、上記の脳波表示画面176と同様に、端末装置12のUI部66に表示される。脳波表示画面180には、イヤフォン装置10に紐付く画像178と共に、脳波の測定状態を表わす画像としてのマーク182が表示されている。表示制御部74は、脳波の測定状態に応じて、そのマーク182の表示形態(例えば、色、形状、大きさ等)を変える。
図29に示す例では、脳波の測定状態に応じて、マーク182の色が変化する。例えば、脳波が正常に測定されている場合、マーク182は緑色で表示される。脳波が正常に測定されていない場合、マーク182は赤色で表示される。イヤフォン装置10が端末装置12に接続されていない場合(例えば、ブルートゥースで接続する場合、イヤフォン装置10と端末装置12がペアリングされていない場合)、マーク182は点灯せずに表示される。例えば、脳波測定結果としての電位差がノイズレベル(例えば閾値未満)に該当する場合、脳波が正常に測定されていないとして、マーク182が赤色で表示され、その電位差が閾値以上に該当する場合、脳波が正常に測定されているとして、マーク182が緑色で表示される。このように、脳波の測定状態を示す情報を表示することで、ユーザはイヤフォン装置10の装着位置を修正することができ、その結果、より正確に脳波状態を測定することができる。
【0193】
図30には、脳波測定結果の表示例が示されている。測定結果画面184は、脳波測定後や測定中等に端末装置12のUI部66に表示される。測定結果画面184には、一例として、脳波状態を表わす数値が予め定められた閾値以上継続した時間が示されている。その閾値は、一例として50%である。もちろん、この値は一例に過ぎず、別の値が用いられてもよいし、ユーザが任意の値を設定してもよい。
図29に示す例では、50%以上の集中度が継続した時間は「15秒」であり、50%以上のリラックス度が継続した時間は「27秒」である。これらの値は、例えば音楽や動画の再生中に測定された結果であってもよいし、音楽や動画を再生せずに測定された結果であってもよい。
【0194】
以下、
図31を参照して、音楽を音楽プレイリストに追加するときの操作の一例について説明する。
図31には、音楽表示画面の一例が示されている。音楽表示画面186は、端末装置12のUI部66に表示される。その音楽表示画面186には、ユーザによって指定された音楽に関する情報が表示されてもよいし、ランダムに選択された音楽に関する情報が表示されてもよい。また、再生等を指示するための画像が表示されてもよい。音楽表示画面186に音楽が表示されている状態で、ユーザがいわゆるフリック操作を行うことで、その音楽が音楽プレイリストに追加される、又は、音楽プレイリストから除外される。例えば、ユーザが音楽表示画面186上で、指やスタイラス等の指示子を矢印188の方向(プレイリスト追加に紐付けられた方向)へ素早く動かすと、表示中の音楽が音楽プレイリストに追加され、指示子を矢印190の方向(プレイリスト除外に紐付けられた方向)へ素早く動かすと、表示中の音楽が音楽プレイリストから除外される。例えば、ユーザが、音楽プレイリストに紐付く脳波状態を指定し、上記の操作を行うことで、その脳波状態に紐付く音楽プレイリストへの音楽の追加、又は、音楽プレイリストからの音楽の除外が行われる。
図31に示す例では、脳波状態として「集中」が指定されている。ユーザが矢印188の方向へフリック操作を行うと、表示中の音楽が「集中用の音楽プレイリスト」に追加され、ユーザが矢印190の方向へフリック操作を行うと、表示中の音楽が「集中用の音楽プレイリスト」から除外される。他の脳波状態(例えばリラックス)に紐付く音楽プレイリストについても同様に、音楽が追加又は除外される。このような簡単な操作で音楽プレイリストを編集することができる。
【0195】
また、音楽プレイリストも、上記のようなフリック操作によって、脳波状態に紐付けてもよい。
図32を参照して、この操作について説明する。
図32には、プレイリスト画面の一例が示されている。プレイリスト画面192は、端末装置12のUI部66に表示される。プレイリスト画面192には、例えば、ユーザによって指定された音楽プレイリストに関する情報(例えば、音楽プレイリストの名称等)や、音楽配信サービスから提供された音楽プレイリストに関する情報が表示される。また、再生等を指示するための画像が表示されてもよい。プレイリスト画面192に音楽プレイリストが表示されている状態で、ユーザがフリック操作を行うことで、その音楽プレイリストに脳波状態が紐付けられる。その紐付けは、リスト作成部72によって行われる。例えば、ユーザがプレイリスト画面192上で、指示子を矢印194の方向(リラックスに紐付く方向)へ素早く動かすと、表示中の音楽プレイリストに脳波状態としての「リラックス」が紐付けられる。この場合、その音楽プレイリストは、リラックス用の音楽プレイリストとして登録される。また、ユーザが指示子を矢印196の方向(集中に紐付く方向)へ素早く動かすと、表示中の音楽プレイリストに脳波状態としての「集中」が紐付けられる。この場合、その音楽プレイリストは、集中用の音楽プレイリストとして登録される。このような簡単な操作で、音楽プレイリストに脳波状態を紐付けることができる。もちろん、同様の操作で、音楽に脳波状態を紐付けてもよい。例えば、音楽に関する情報が表示されている状態で、矢印194の方向にフリック操作が行われた場合、その音楽に脳波状態としての「リラックス」が紐付けられる。
【0196】
上述した実施形態において、イヤフォン装置10から耳に刺激が与えられてもよい。その刺激は、上記の音楽であってもよいし、人の可聴域以外の音(例えば超音波)であってもよいし、振動であってもよいし、熱であってもよい。その刺激が、上記の音楽と同様に、脳波の測定結果に応じて変更されてもよい。例えば、リラックス用の刺激(音楽、超音波、振動等)や集中用の刺激がイヤフォン装置10から耳に与えられてもよい。例えば、ユーザによってリラックスの指示が与えられた場合、リラックス効果が得られる第1周波数帯の音波がイヤフォン装置10から発せられ、集中の指示が与えられた場合、集中効果が得られる第2周波数帯の音波がイヤフォン装置10から発せられる。また、測定された脳波に応じて、リラックス効果が得られる音波や集中効果が得られる音波がイヤフォン装置10から発せられてもよい。
【0197】
また、上述した実施形態では、第1脳波測定装置、第2脳波測定装置及び脳波測定システムは、イヤフォン装置10によって構成されているが、音を発する機能を備えていなくてもよいし、イヤフォン装置10以外のヒアラブルデバイスによって構成されてもよい。
【0198】
本実施形態に係るヒアラブルデバイスに光源が設けられており、測定された脳波に応じて光源から光が発せられてもよい。測定された脳波の状態に応じて、異なる色の光(例えば可視光)が発生されてもよい。例えば、リラックスを示す脳波が測定された場合、第1色の光(例えば青色の光)が光源から発せられ、集中を示す脳波が測定された場合、第2色(例えば緑色の光)が光源から発せされ、緊張を示す脳波が測定された場合、第3色(例えば赤色の光)が光源から発せられる。脳波の状態を表す色の光を発生させることで、脳波の状態がユーザに提供される。もちろん、光源はヒアラブルデバイス自体に設けられていなくてもよい。この場合、ヒアラブルデバイスによって測定された脳波を示す情報が、ヒアラブルデバイスから光源に送信され、その脳波の状態に応じた色の光が光源から発せされる。
【0199】
(脳波測定に関する他の実施形態) 以下、脳波測定に関する他の実施形態について説明する。以下では説明の便宜上、第1脳波測定手段としての第1左脳波センサ26Lを「電極A」と称し、第2脳波測定手段としての第2左脳波センサ28Lを「電極B」と称し、第3脳波測定手段としての第1右脳波センサ26Rを「電極C」と称し、第4脳波測定手段としての第2右脳波センサ28Rを「電極D」と称することとする。
図33は、その対応関係が反映された図である。以下においてはイヤフォン装置10を例に挙げて説明するが、イヤフォン装置10以外のヒアラブルデバイスに本実施形態が適用されてもよい。
【0200】
脳波測定においては、上記の電極A,B,C,Dを含む電極群の中の少なくとも2つの電極を用いて脳波が測定される。例えば、端末装置12の制御部68は、電極A,B,C,Dによって検知された電位に基づいて、電極群の中から少なくとも2つの電極を選択し、その選択された少なくとも2つの電極によって検知された電位に基づいて脳波を測定する。もちろん、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rが、電極A,B,C,Dによって検知された電位に基づいて、電極群の中から少なくとも2つの電極を選択し、その選択された少なくとも2つの電極によって検知された電位に基づいて脳波を測定してもよい。以下では、端末装置12の制御部68が、電極の選択を行うものとする。
【0201】
例えば、2つの電極を用いて脳波を測定する第1測定モード、又は、3つの電極を用いて脳波を測定する第2測定モードのいずれかのモードが選択されて脳波が測定される。測定モードは、ユーザによって選択されてもよいし、脳波の測定状況(例えば後述するようにノイズ量)に応じて選択されてもよいし、電池の残容量に応じて選択されてもよい。この選択について後で詳しく説明する。
【0202】
第1測定モードでは、電極群の中から選択された1つの電極が脳波検知用電極としてのセンサ電極として用いられ、電極群の中から選択された別の1つの電極が基準用電極としてのグランド電極として用いられる。この場合、センサ電極によって検知された電位とグランド電極によって検知された電位との間の電位差に基づいて脳波が演算される。その電位差に基づいて脳波を演算する処理は、端末装置12の制御部68によって行われる。もちろん、電極の選択処理と脳波演算処理は、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。例えば、制御部68は、電極A,B,C,Dのそれぞれによって検知された電位を互いに比べることで、電極群の中からセンサ電極に適した電極とグランド電極に適した電極を選択する。
【0203】
第2測定モードでは、電極群の中から選択された1つの電極がセンサ電極として用いられ、電極群の中から選択された別の1つの電極が参照用電極としてのレファレンス電極として用いられ、電極群の中から選択された更に別の1つの電極がグランド電極として用いられる。この場合、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極によって検知された電位に基づいて脳波が演算される。例えば、グランド電極を基準として、センサ電極によって検知された電位とレファレンス電極によって検知された電位との間の電位差に基づいて脳波が演算される。例えば、制御部68は、電極A,B,C,Dのそれぞれによって検知された電位を互いに比べることで、電極群の中からセンサ電極に適した電極、レファレンス電極に適した電極、及び、グランド電極に適した電極を選択する。
【0204】
センサ電極に適した電極は、脳波に相当する電位を検知した電極であり、例えば、予め定められたセンサ電位閾値以上の電位を検知した電極や、脳波に相当する電位の波形に類似する波形を有する電位を検知した電極が、センサ電極として選択される。また、グランド電極に適した電極は、例えば、予め定められたグランド電位閾値未満の電位を検知した電極や、変動が小さく値も小さい電位を検知した電極が、グランド電極として選択される。また、例えば、センサ電極によって検知された電位よりも小さく、グランド電極によって検知された電位よりも大きい電位を検知した電極がレファレンス電極として選択される。
【0205】
図34には、典型的な電位の波形が示されている。波形198は、脳波に相当する電位を表す波形である。このような波形を検知した電極がセンサ電極として用いられる。例えば、センサ電位閾値以上のピーク電位の検知回数(例えば単位時間当たりの検知回数)が予め定められた回数閾値以上となる波形が、脳波に相当する電位を表す波形に該当する。波形200は、グランド電位を表わす波形である。このような波形を検知した電極がグランド電極として用いられる。例えば、検知された電位がグランド電位閾値未満となる波形が、グランド電位を表す波形に該当する。波形202は、レファレンス電位を表す波形である。このような波形を検知した電極がレファレンス電極として用いられる。例えば、検知された電位がグランド電位閾値以上であり、センサ電位閾値以上のピーク電位の検知回数が回数閾値未満となる波形が、レファレンス電位を表す波形に該当する。
【0206】
なお、センサ電極の条件を満たす複数の電極が存在する場合、それら複数の電極の中から選択された1つの電極がセンサ電極として用いられる。例えば、当該複数の電極の中からユーザによってセンサ電極が選択されてもよいし、当該複数の電極の中で、ノイズと推測される波形が最も少ない電位を検知した電極がセンサ電極として選択されてもよいし、当該複数の電極の中から自動的にかつランダムに1つの電極がセンサ電極として選択されてもよい。同様に、グランド電極の条件を満たす複数の電極が存在する場合、それら複数の電極の中から選択された1つの電極がグランド電極として用いられる。ユーザによってグランド電極が選択されてもよいし、自動的にかつランダムにグランド電極が選択されてもよいし、ノイズが最も少ない電位を検知した電極がグランド電極として選択されてもよい。同様に、レファレンス電極の条件を満たす複数の電極が存在する場合、それら複数の電極の中から選択された1つの電極がレファレンス電極として用いられる。ユーザによってグランド電極が選択されてもよいし、自動的にかつランダムにグランド電極が選択されてもよいし、ノイズが最も少ない電位を検知した電極がグランド電極として選択されてもよい。
【0207】
第1測定モードにおいては、波形198が示す電位(センサ電極の電位)と波形200が示す電位(グランド電極の電位)との間の電位差が演算され、その電位差に基づいて脳波が演算される。第2測定モードにおいては、波形198が示す電位(センサ電極の電位)と波形202が示す電位(レファレンス電極の電位)との間の電位差が演算され、その電位差に基づいて脳波が演算される。この演算処理は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。
【0208】
以下、
図35を参照して、センサ電極によって検知された波形198にノイズが発生している場合の処理について説明する。波形198中の波形204,206は、ノイズと推測される波形である。例えば、ピーク電位がセンサ電位閾値未満であり、かつ、予め定められたノイズ下限閾値以上の波形は、ノイズに相当する波形であると判断される。波形204は、その条件を満たす波形である。また、ピーク電位がノイズ上限閾値(センサ電位閾値より大きい値)以上の波形は、ノイズに相当する波形であると判断される。波形206は、その条件を満たす波形である。ノイズの検知は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。レファレンス電極によって検知された波形202にも、波形204に対応する波形208と、波形206に対応する波形210が含まれている。波形208,210もノイズの条件を満たす波形であり、ノイズとして検知されている。
【0209】
第2測定モードにおいては、波形198が示す電位(センサ電極の電位)と波形202が示す電位(レファレンス電極の電位)との間の電位差が演算され、その電位差に基づいて脳波が演算される。これにより、波形198と波形202との間でノイズが相殺されるので、ノイズが除去又は低減された電位差に基づいて脳波が演算される。一方、第1測定モードによれば、波形198が示す電位と波形200が示す電位との間の電位差に基づいて脳波が演算されるので、ノイズの影響を受けた脳波が得られることになる。このように、第2測定モードによれば、ノイズが除去又は低減された脳波が得られる。
【0210】
ユーザが第1測定モード又は第2測定モードのいずれかを選択してもよいし、上記のように、センサ電極によって検知された電位にノイズが含まれている場合、第2測定モードが選択されてもよい。また、ノイズ量が閾値以上となる場合(例えば、単位時間当たりにおいてノイズとして検知された波形の数が閾値以上となる場合)、第2モードが選択されてもよい。モードの選択は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。
【0211】
電極群の中から複数の仮センサ電極が選択され、当該複数の仮センサ電極の中から1つのセンサ電極が選択されてもよい。例えば、2つの電極が、上記のセンサ電極の条件を満たす電位を検知した場合、それら2つの電極は仮センサ電極として選択され、それら2つの電極の中からセンサ電極が選択される。例えば、一方の仮センサ電極によって検知された電位の波形に、ノイズと推測される波形が含まれており、他方の仮センサ電極によって検知された電位の波形には、ノイズと推測される波形が含まれていない場合、当該他方の仮センサ電極がセンサ電極として選択される。また、すべての仮センサ電極によって検知された電位の波形に、ノイズと推測される波形が含まれている場合、ノイズ量が最も少ない波形を検知した仮センサ電極がセンサ電極として選択される。例えば、単位時間当たりにおいてノイズとして検知された波形の数が最も少ない仮センサ電極がセンサ電極として選択される。
【0212】
図36を参照して、複数の仮センサ電極からセンサ電極を選択する処理について詳しく説明する。波形212は、例えば電極Aによって検知された電位を示す波形であり、波形214は、例えば電極Cによって検知された電位を示す波形であるとする。波形212,214は、センサ電位閾値以上の電位を示す波形であり、電極A,Cは、上記のセンサ電極の条件を満たす電極である。この場合、電極A,Cは仮センサ電極として識別される。また、波形214には、波形216が含まれている。この波形216は、波形212には含まれておらず、また、上記のノイズの条件(電位がセンサ電位閾値未満、かつ、ノイズ下限閾値以上)を満たす波形である。この場合、波形212を検知した電極Aがセンサ電極として選択され、波形214を検知した電極Cはセンサ電極として選択されない。そして、電極Aによって検知された電位と、グランド電極として選択された別の電極によって検知された電位と、の間の電位差が演算され、その電位差に基づいて脳波が演算される。
【0213】
図37には別のノイズの例が示されている。波形218は、例えば電極Cによって検知された電位を示す波形である。波形214,218は、センサ電位閾値以上の電位を示す波形であり、電極A,Cは、上記のセンサ電極の条件を満たす電極であり、仮センサ電極として識別されている。また、波形218には、波形220が含まれている。この波形220は、波形212には含まれておらず、また、上記のノイズの条件(電位がノイズ上限閾値以上)を満たす波形である。この場合、波形212を検知した電極Aがセンサ電極として選択され、波形218を検知した電極Cはセンサ電極として選択されない。そして、電極Aによって検知された電位と、グランド電極として選択された別の電極によって検知された電位と、の間の電位差が演算され、その電位差に基づいて脳波が演算される。
【0214】
上記のように複数の仮センサ電極からセンサ電極を選択することで、よりノイズが少ない電位を検知する電極がセンサ電極として用いられる。それ故、ノイズがより多い電位を検知する電極がセンサ電極として用いられる場合と比較して、脳波測定の精度が向上する。
【0215】
例えば、脳波測定アプリケーションの起動時や、脳波測定装置としてのイヤフォン装置10の起動時や、端末装置12の起動時に、キャリブレーションが行われて、電極群の中から脳波測定に用いられる複数の電極が選択されてもよい。このキャリブレーションにおいて、電極A,B,C,Dのそれぞれによって電位が検知され、その検知結果に基づいて、電極群の中からセンサ電極、グランド電極及びレファレンス電極が選択される。また、ノイズ量に応じて、第1測定モード又は第2測定モードが選択されてもよい。ノイズが検知されない場合や、検知されたノイズ量が閾値未満の場合(例えば単位時間当たりにおいてノイズとして検知された波形の数が閾値未満の場合)、第1測定モードが選択され、ノイズが検知された場合や、検知されたノイズ量が閾値以上の場合(例えば単位時間当たりにおいてノイズとして検知された波形の数が閾値以上の場合)、第2測定モードが選択されてもよい。なお、電極の選択や測定モードの選択は、脳波を測定している間に行われてもよい。例えば、予め定められた単位時間毎に上記のキャリブレーションが実行され、そのキャリブレーションの結果に従って、脳波測定に用いられる電極や測定モードが変更されてもよい。
【0216】
なお、第2測定モードによればレファレンス電極が用いられるので、レファレンス電極を用いない第1測定モードと比較して、脳波測定の精度が向上する。一方、第1測定モードによれば、レファレンス電極を用いずに2つの電極によって脳波が測定されるので、3つの電極を用いる第2測定モードと比較して、電力の消費が抑制される。
【0217】
脳波測定装置に設けられている電池の残容量に基づいて測定モードが選択されてもよい。例えば、イヤフォン装置10に設けられている電池の残容量が予め定められた閾値未満の場合、第1測定モードが選択され、残容量が閾値以上の場合、第2測定モードが選択される。この選択は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。残容量が閾値未満の場合に、第2測定モードよりも電力の消費量が少ない第1測定モードが選択されることで、残容量の減少が抑制される。
【0218】
なお、ユーザの選択によらないで選択された測定モードがユーザに提示(推奨)されてもよい。例えば、脳波の測定状況(例えばノイズ量)や電池の残容量に基づいて選択された第1測定モード又は第2測定モードを示す情報が、端末装置12のUI部66に表示される。
【0219】
また、電極A,B,C,Dのそれぞれと生体との接触状況に応じて、電極群の中から脳波測定用の複数の電極(センサ電極、グランド電極、レファレンス電極)が選択されてもよい。接触状況は、例えば、圧力センサ及び湿度センサの中の少なくとも1つを用いて検知される。
【0220】
例えば、電極A,B,C,Dのそれぞれに圧力センサが設置され、生体表面に対する各電極の圧力が接触状況として検知される。圧力が高いほど、電極と生体表面との間の密着度が高いと推定される。検知された圧力が最も高い電極がセンサ電極として選択される。第1測定モードが選択されている場合、検知された圧力が2番目に高い電極がグランド電極として選択される。第2測定モードが選択されている場合、検知された圧力が2番目に高い電極がレファレンス電極として選択され、検知された圧力が3番目に高い電極がグランド電極として選択される。圧力に基づく電極の選択は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。上記のように圧力に基づいて電極を選択することで、生体表面との間の密着度がより高い電極がセンサ電極として用いられるので、その密着度がより低い電極をセンサ電極として用いる場合と比べて、脳波の測定精度が向上する。
【0221】
また、電極A,B,C,Dのそれぞれに湿度センサが設置され、各位置における湿度が接触状況として検知されてもよい。湿度が高いほど、電極と生体表面との間の密着度が高いと推定される。検知された湿度が最も高い電極がセンサ電極として選択される。第1測定モードが選択されている場合、検知された湿度が2番目に高い電極がグランド電極として選択される。第2測定モードが選択されている場合、検知された湿度が2番目に高い電極がレファレンス電極として選択され、検知された湿度が3番目に高い電極がグランド電極として選択される。湿度に基づく電極の選択は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。上記のように湿度に基づいて電極を選択することで、生体表面との間の密着度がより高い電極がセンサ電極として用いられるので、その密着度がより低い電極をセンサ電極として用いる場合と比べて、脳波の測定精度が向上する。
【0222】
なお、圧力と湿度のいずれか一方に基づいて電極が選択されてもよいし、圧力と湿度の両方に基づいて電極が選択されてもよい。例えば、圧力と湿度の両方が用いられる場合、検知された圧力と湿度が最も高い電極が、センサ電極として選択され、検知された圧力と湿度が最も低い電極が、グランド電極として選択され、その中間の電極がレファレンス電極として選択される。別の例として、検知された圧力の高さの順位と湿度の高さの順位との合計が最も小さい電極が、センサ電極として選択され、その合計が最も大きい電極がグランド電極として選択され、その中間の電極がレファレンス電極として選択されてもよい。なお、最も高い圧力、湿度の順位が1位である。圧力の順位と湿度の順位に対して重み付け加算処理が適用されて、その適用結果に基づいて電極が選択されてもよい。
【0223】
接触状況に基づく電極の選択は、キャリブレーションとして起動時に行われてもよいし、予め定められた単位時間毎に行われてもよい。
【0224】
なお、電位が正確に検知されているか否かの判断は、予め定められた人体電位の設定値や、電位測定の履歴等に基づいて行われてもよい。
【0225】
以下、キャリブレーション実行時にUI部66に表示される情報について説明する。
【0226】
キャリブレーション時においては、
図38に示すように、端末装置12の制御部68は、キャリブレーション用の画面222をUI部66に表示させる。画面222には、イヤフォン装置10に紐付く画像224が表示される。画像224は、イヤフォン装置10を撮影することで生成された画像であってもよいし、イヤフォン装置10を模式的に表す画像(例えばアイコン)であってもよい。画像224において電極を表す部分に、丸枠等の形状を有するマーク226,228,230,232が表示される。
【0227】
ユーザが画像224上で電極を指定すると、制御部68は、ユーザによって指定された電極による電位の測定状況を示す情報をUI部66に表示させる。制御部68は、例えば、電位の測定結果に対する評価を示す情報をUI部66に表示させてもよい。その評価は、端末装置12の制御部68によって行われてもよいし、イヤフォン装置10の制御部58L又は制御部58Rによって行われてもよい。例えば、波形に含まれるノイズ量、検知された圧力、湿度、波形の形状、波形の明確性等に基づいて、測定結果が評価される。その評価は、例えば測定結果についての順位であり、
図39に示すように、その順位(1位~4位)を示す情報が画面222に表示される。例えば、センサ電極に適していると判断された電極の順位は1位であり、レファレンス電極に適していると判断された電極の順位は2位であり、グランド電極に適していると判断された電極の順位は3位又は4位である。
【0228】
ユーザは、電極の順位を参照にして、センサ電極として用いられる電極、及び、グランド電極として用いられる電極を選択してもよい。第2測定モードが選択された場合、ユーザは、更に、レファレンス電極として用いられる電極を選択する。ユーザによって選択された電極を用いて脳波が測定される。
【0229】
また、制御部68は、上記の順位に基づいて、脳波測定に用いられる複数の電極を提示(推奨)してもよい。例えば、制御部68は、1位の電極がセンサ電極に適していることを示す情報や、3位や4位の電極がグランド電極に適していることを示す情報等をUI部66に表示させる。ユーザは、その情報を参照にして、脳波測定に用いられる電極を選択してもよい。
【0230】
制御部68は、電極によって検知された電位の波形をUI部66に表示させてもよい。
図40には、その表示例が示されている。画面222には、電極によって検知された電位の波形233が表示されており、更に評価を示す情報が表示されている。制御部68は、ユーザによって選択された電極によって検知された電位の波形をUI部66に表示させてもよいし、各電極によって検知された電位の波形を順番にUI部66に表示させてもよい。
【0231】
また、
図41に示すように、ノイズに相当する波形234が波形233に含まれている場合、制御部68は、ノイズが含まれていることを示す情報をUI部66に表示させてもよい。このとき、制御部68は、別の電極を使用することを推奨したり、第2測定モードの実行を推奨したりしてもよい。
【0232】
以下、電極(脳波センサ)の設定について説明する。
【0233】
電極の設定時においては、
図42に示すように、端末装置12の制御部68は、電極設定用の画面236をUI部66に表示させる。画面236には、イヤフォン装置10に紐付く画像224が表示されている。また、
図38と同様に、マーク226,228,230,232が表示されている。
【0234】
画面236において、ユーザによって電極が選択される。第1測定モードが実行される場合、ユーザは、電極A,B,C,Dの中から2つの電極(センサ電極とグランド電極)を選択する。第2測定モードが実行される場合、ユーザは、電極A,B,C,Dの中から3つの電極(センサ電極、レファレンス電極、グランド電極)を選択する。
【0235】
また、
図43に示すように、制御部68は、推奨情報をUI部66に表示させてもよい。例えば、電極Cの順位が1位であり、電極Aの順位が2位であり、電極Dの順位が3位の場合、制御部68は、電極C,A,Dを脳波測定用の電極として使用することを推奨する旨の情報をUI部66に表示させる。ユーザは、その推奨情報を参考にして電極を選択してもよい。
【0236】
また、ユーザによって電極が選択された場合、
図44に示すように、制御部68は確認画面238をUI部66に表示させてもよい。例えば、2つの電極がユーザによって選択された場合、それら2つの電極が脳波測定用の電極として選択されたことを示す情報が表示される。また、制御部68は、センサ電極として用いられる電極をユーザに問い合わせてもよいし、グランド電極として用いられる電極をユーザに問い合わせてもよい。その問い合わせに応じて、ユーザは、確認画面238上でセンサ電極やグランド電極を指定してもよい。
【0237】
確認画面238上でユーザが設定完了を指示した場合、
図45に示すように、表示制御部74は、設定完了画面240をUI部66に表示させる。その後、ユーザによって選択された複数の電極を用いて脳波が測定される。
【0238】
脳波の測定状況が表示されてもよい。例えば、脳波測定用の電極として選択された電極によって電位が検知されていない場合、又は、選択された電極によって、予め定められた閾値以上の電位が検知されない場合、制御部68は、警告画面をUI部66に表示させてもよい。
図46には、その警告画面242が示されている。例えば、電極C,Dが脳波測定用の電極として選択されている場合において、電極C,Dによって電位が検知されない場合や、電極C,Dによって閾値以上の電位が検知されない場合、制御部68は、警告画面242をUI部66に表示させる。その警告画面242には、電極C,Dによって電位が検知されないことを示す情報が表示される。また、制御部68は、電極C,D以外の電極(例えば電極A,B)を使用することを推奨する旨を示す情報をUI部66に表示させてもよい。
【0239】
また、警告画面242上でユーザが電極を指定した場合、例えば
図47に示すように、制御部68は、ユーザによって指定された電極によって検知された電位の波形244をUI部66に表示させてもよい。
図47に示す例では、電極Cがユーザによって指定されており、その電極Cによって検知された電位の波形244が表示されている。制御部68は、別の電極の使用を促す情報、機器の電源や接続状況の確認を促す情報、イヤフォン装置10の再起動を促す旨を示す情報、脳波測定アプリケーションの再起動を促す旨を示す情報、異常発生時の問い合わせ窓口へユーザを誘導するための情報、脳波測定の中止を促す旨を示す情報等をUI部66に表示させてもよい。
【0240】
なお、電極A,Cは外耳道に挿入され、電極B,Dは耳掛け部に設けられて耳介の裏側の部分に接触するため、通常、生体表面に対する電極A,Cの密着度は、生体表面に対する電極B,Dの密着度よりも高い。それ故、通常では、電極A,Cのいずれかがセンサ電極として用いられ、電極B,Dのいずれかがグランド電極として用いられる。しかし、ユーザが動くことで、耳に対するイヤフォン装置10の位置がずれて生体表面に対する電極A,Cの密着度が低下し、電極A,Cによる検知感度が低下する場合がある。この場合においても、その位置ずれによって、電極B,Dが耳介の裏側の生体表面に接触し易くなり、耳介の裏側の生体表面に対する電極B,Dの密着度が高くなって、電極B,Dによる検知感度が向上することもある。この場合、電極B,Dのいずれかがセンサ電極として用いられ、電極A,Cのいずれかがグランド電極として用いられる。このように、イヤフォン装置10の位置がずれた場合であっても、4つの電極の中のいずれかの電極がセンサ電極として用いられて脳波が測定される。
【0241】
上記の例では、4個の電極(電極A,B,C,D)から2個又は3個の電極が選択されているが、3個の電極がイヤフォン装置10に設けられている場合、3個の電極から2個又は3個の電極が選択されてもよいし、5個以上の電極がイヤフォン装置10に設けられている場合、5個以上の電極から2個又は3個の電極が選択されてもよい。
【0242】
(データ通信制御に関する他の実施形態) 以下、イヤフォン装置10と端末装置12との間におけるデータ通信制御に関する他の実施形態に説明する。なお、端末装置12の制御部68とイヤフォン装置10の制御部58L,58Rが通信制御手段の一例として機能する。
【0243】
(第1通信制御) 端末装置12の通信部60とイヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、第1通信制御として、互いに異なる通信方式を利用して情報を相手に送信してもよい。例えば、端末装置12の通信部60は、イヤフォン装置10の通信部54L,54Rが利用する通信方式よりも通信速度が速い通信方式を利用して音楽データをイヤフォン装置10に送信してもよい。具体的には、端末装置12の通信部60は、Wi-Fi通信等の通信方式を利用して音楽データをイヤフォン装置10に送信し、イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、ブルートゥースや赤外線通信等の近距離無線等の通信方式を利用して脳波測定結果を端末装置12に送信する。音楽データの送信と脳波測定結果の送信とで互いに異なる通信方式を利用することで、互いに同一の通信方式を利用する場合と比べて、個々の通信方式による通信の負荷が軽減する。それ故、データ送信の遅延や失敗等の障害の発生が抑制される。また、一般的に、音楽データのデータ量は、脳波測定結果のデータ量よりも多い。音楽データの送信に、脳波測定結果の送信に用いられる通信方式よりも速い通信方式を利用することで、音楽データ送信の遅延等の障害の発生が抑制される。
【0244】
なお、イヤフォン装置10においては、通信部54L,54Rの両方の通信部が用いられて端末装置12との間で通信が行われてもよいし、いずれか一方の通信が用いられて端末装置12との間で通信が行われてもよい。また、通信部54L,54Rの中の一方の通信部が脳波測定結果の送信に用いられ、他方の通信部が音楽データの受信に用いられてもよい。
【0245】
端末装置12の通信部60とイヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、通信状況に応じて、互いに同一の又は異なる通信方式を利用して情報を送信してもよい。例えば、通信部60,54L,54Rが同一の通信方式を利用して音楽データと脳波測定結果の送受信を行っていたときに、その通信方式による通信の状況が特定の条件に該当するに至った場合、通信部60,54L,54Rは、第1通信制御として、互いに異なる通信方式を利用して情報を送受信する。通信状況が特定の条件に該当しない場合、通信部60,54L,54Rは、互いに同一の通信方式を利用して情報を送受信する。通信状況が特定の条件に該当する場合とは、例えば、使用中の通信回線の最大通信容量に対する通信量の割合が通信許容量以上(通信方式毎に許容量が定められてもよい)となった場合や、単位時間当たりの通信量が予め定められた通信量閾値以上(通信量閾値は通信方式毎に定められてもよい)となった場合や、通信速度が予め定められた通信速度閾値未満(通信速度閾値は通信方式毎に定められてもよい)となった場合等である。通信状況が特定の条件に該当する場合に互いに異なる通信方式を利用することで、個々の通信方式による通信の負荷が軽減するので、データ送信の遅延や失敗等の障害の発生が抑制される。
【0246】
(第2通信制御) 端末装置12の通信部60は、音楽再生の開始指示がユーザによって与えられた場合、第2通信制御として、再生対象となる最初の1曲分の音楽データをイヤフォン装置10に送信し、端末装置12の再生制御部76は、当該音楽データのイヤフォン装置10への送信が完了した時点で、当該音楽データの再生を開始してもよい。例えば、イヤフォン装置10に記憶部が設けられており、最初の1曲分の音楽データはその記憶部に記憶され、再生制御部76は、その記憶部に記憶されている音楽データを再生する。その再生の開始後、端末装置12の通信部60は、2曲目以降の音楽データを端末装置12に送信する。2曲目以降の音楽データはイヤフォン装置10の記憶部に記憶される。1曲目の音楽データの再生中に2曲目以降の音楽データが徐々にイヤフォン装置10の記憶部に格納されていく。こうすることで、通信状況が悪化して2曲目以降の音楽データの送信速度が遅くなったり間欠的になったりした場合であっても、音楽データの再生に1曲分の余裕があるため、音楽データの送信が再生に間に合わなくなる可能性が低くなる。それ故、音楽データの再生が途切れ難くなる。再生が終了した音楽データは、イヤフォン装置10の記憶部から削除される。イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、リアルタイムに(つまり電位が検知される度に)脳波測定結果を端末装置12に送信する。通信状況が上記の特定の条件に該当する場合に、第2通信制御が行われてもよい。
【0247】
(第3通信制御) イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、第3通信制御として、脳波測定結果を間欠的に端末装置12に送信してもよい。例えば、通信部54L,54Rは、予め定められた時間間隔毎に脳波測定結果を端末装置12に送信する。具体的には、脳波測定結果を送信する時間帯と、脳波測定結果を送信しない時間帯が定められ、通信部54L,54Rは、その時間帯に従って脳波測定結果を送信する。なお、音楽データと脳波測定結果は、同一の通信方式を利用して送信されてもよいし、互いに異なる通信方式を利用して送信されてもよい。音楽データと脳波測定結果が同一の通信方式を利用して送信されている場合に、脳波測定結果が間欠的に送信されることで、脳波測定結果が送信されていない時間帯における通信負荷が軽減される。通信状況が上記の特定の条件に該当する場合に、第3通信制御が行われてもよい。
【0248】
端末装置12の通信部60は、第3通信制御として、音楽データを間欠的にイヤフォン装置10に送信してもよい。この場合、音楽データはイヤフォン装置10の記憶部に記憶され、端末装置12の再生制御部76は、その記憶部に記憶された音楽データを再生する。こうすることで、音楽データが送信されていない時間帯における通信負荷が軽減される。なお、音楽データの再生が途切れないように、間欠的に送られる各データの量が定められる。
【0249】
脳波測定結果と音楽データの両方が間欠的に送信されてもよいし、いずれか一方のデータが間欠的に送信されてもよい。
【0250】
また、端末装置12の通信部60とイヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、音楽データと脳波測定結果の送信タイミングをずらしてデータを送信してもよい。例えば、端末装置12の通信部60が音楽データをイヤフォン装置10に送信している間、イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは脳波測定結果を端末装置12に送信せず、端末装置12の通信部60が音楽データをイヤフォン装置10に送信していない間、イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは脳波測定結果を端末装置12に送信する。例えば、音楽データを送信する時間帯と音楽データを送信しない時間帯が定められ、音楽データを送信しない時間帯内に脳波測定結果を送信する時間帯が定められる。音楽データと脳波測定結果が同一の通信方式を利用して送信される場合に、音楽データと脳波測定結果の両方が間欠的に送信されてもよい。また、通信状況が特定の条件に該当する場合に、音楽データと脳波測定結果の両方が間欠的に送信されてもよい。
【0251】
(第4通信制御) 端末装置12の通信部60は、通信状況が上記の特定の条件に該当する場合、第4通信制御として、音楽データの音質を変えてイヤフォン装置10に送信してもよい。例えば、端末装置12の通信部60は、通信状況が上記の特定の条件に該当する場合、通信状況が上記の特定の条件に該当しない場合と比べて、ビットレートを下げたり、音楽データの特定の周波数帯をカットしたりすることで、音楽データの通信量を削減する。こうすることで、音楽データの通信量を削減しない場合と比べて、通信の負荷が軽減される。
【0252】
(第5通信制御) 端末装置12の制御部68は、第5通信制御として音楽データを圧縮し、端末装置12の通信部60は、圧縮された音楽データをイヤフォン装置10に送信してもよい。イヤフォン装置10の制御部によって圧縮前の音楽データが復元(解凍、展開、伸張)され、復元された音楽データが再生される。こうすることで、音楽データの通信量が削減されるので、通信負荷が軽減される。通信状況が上記の特定の条件に該当する場合に、第5通信制御が行われてもよい。
【0253】
また、イヤフォン装置10の制御部によって脳波測定結果を示す情報が圧縮され、イヤフォン装置10の通信部54L,54Rは、圧縮された脳波測定結果を示す情報を端末装置12に送信してもよい。端末装置12の制御部68は、圧縮前の脳波測定結果を復元する。通信状況が上記の特定の条件に該当する場合に、脳波測定結果が圧縮されてもよい。
【0254】
音楽データと脳波測定結果の両方が圧縮されてもよいし、いずれか一方のデータが圧縮されてもよい。
【0255】
上記の第1から第5通信制御の中から選択された複数の通信制御が組み合わされて実行されてもよい。また、通信状況に応じて、複数の通信制御が組み合わされて実行されてもいし、組み合わせの対象となる複数の通信制御が変更されてもよい。
【0256】
上記の第1から第5通信制御の実行をユーザに問い合わせるための情報がユーザに提供されてもよい。例えば、端末装置12のUI部66に、問い合わせのための情報が表示されてもよいし、警告音等の音が発せられてもよい。
【0257】
図48には、問い合わせのための画面246が示されている。その画面246は、端末装置12のUI部66に表示される。例えば、通信状況が上記の特定の条件に該当する場合、端末装置12の表示制御部74は、画面246をUI部66に表示させる。例えば、通信不良が発生する可能性がある旨を示すメッセージと、上記の第1から第5通信制御としての省データモードに移行するか否かをユーザに問い合わせるメッセージが表示される。
【0258】
ユーザが省データモードの実行を指示した場合(例えばユーザがYESボタンを押した場合)、上記の第1から第5通信制御を示す情報がUI部66に表示され、第1から第5通信制御の中からユーザが通信制御を選択すると、表示制御部74は、
図49に示すように、確認画面248をUI部66に表示させる。例えば、省データモード(3)(第3通信制御)がユーザによって選択された場合、第3通信制御に従った情報の送受信が行われる。もちろん、ユーザが通信制御を選択せずに、予め定められた通信制御に従って情報の送受信が行われてもよいし、通信状況に応じた通信制御に従って情報の送受信が行われてもよい。
【0259】
ユーザが省データモードの実行を拒否した場合(例えばユーザがNOボタンを押した場合)、表示制御部74は、
図50に示すように、確認画面250をUI部66に表示させる。確認画面250には、例えば、現状の設定に従って通信を行う旨を示すメッセージが表示される。
【0260】
なお、端末装置12は、複数のイヤフォン装置10との間で情報を送受信してもよい。例えば
図51に示すように、端末装置12は、イヤフォン装置10A,10Bとの間で情報を送受信してもよい。イヤフォン装置10A,10Bは、上記のイヤフォン装置10と同じ構成を有する。この場合、イヤフォン装置毎に異なる通信方式が利用されてもよい。こうすることで、各通信方式における負荷が軽減される。また、端末装置12と各イヤフォン装置との間の通信状況に応じて、個々のイヤフォン装置毎に、上記の第1から第5通信制御の中のいずれかの通信制御が実行されてもよい。端末装置12は、各イヤフォン装置から送られた脳波測定結果に基づいて、個々のイヤフォン装置毎に異なる音楽データを送信してもよい。
【0261】
上記の実施形態及び他の実施形態では、コンテンツの一例としての音楽データがユーザに提供される。音楽データ以外のコンテンツとして、動画データ、静止画データ、地図情報、場所の案内に関する情報、食べ物に関する情報、買い物に関する情報、店舗に関する情報、等が、脳波測定結果に応じてユーザに提供されてもよい。例えば、脳波状態として「リラックス」がユーザによって指定された場合、リラックス効果がある動画データ、静止画データ、リラックス効果がある場所を示す地図情報、リラックス効果がある場所へユーザを案内するための情報、リラックス効果がある食べ物に関する情報、リラックス効果がある買い物に関する情報、リラックス効果がある店舗に関する情報等が、端末装置12のUI部66に表示される。
【0262】
別の例として、脳波測定結果に基づいて、機器等が制御されてもよい。一例として、ユーザが自動車を運転しているときに、運転中のユーザの脳波が測定され、その脳波測定結果に基づいて自動車の走行モードが制御されてもよい。この制御は、端末装置12によって行われてもよいし、自動車に搭載された制御装置によって行われてもよい。例えば、脳波測定結果が眠気を示している場合、自動車の走行モードが自動運転モードに切り替えられたり、警告が発せられたり、自動車が駐車させられたりする。なお、自動運転モードは、ユーザが運転操作を全く行わなくても自動的に自動車の運転が制御されるモードや、ユーザの運転操作を補助するモード(例えば、自動ブレーキ機能や自動ハンドル操作機能等)等を含む。
【0263】
更に別の例として、ユーザが電話している場合、当該ユーザの脳波測定結果を示す情報が、端末装置12から電話相手の端末装置に送信されてもよい。その脳波測定結果に基づくアドバイス等が、電話相手から当該ユーザに与えられてもよい。また、脳波測定結果を示す情報が、端末装置12から、予め登録された病院等の施設に設置された端末装置や、医療関係者の端末装置に送られ、診断や治療等に用いられてもよい。
【0264】
上記の端末装置12は、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、端末装置12は、図示しないCPU等の1又は複数のプロセッサを備えている。当該1又は複数のプロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、端末装置12の各部の機能が実現される。上記プログラムは、例えばCDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。別の例として、端末装置12の各部は、例えばプロセッサや電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア資源によって実現されてもよい。その実現においてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。更に別の例として、端末装置12の各部は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0265】
10 イヤフォン装置、12 端末装置、14 音楽配信サーバ。