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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】支持具
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/12 20060101AFI20240318BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E04G7/12
F16B2/10 B
F16B2/10 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022187214
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019191152の分割
【原出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2023025099
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】394014490
【氏名又は名称】株式会社新成工業
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 兼司
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106126(JP,A)
【文献】特開2016-023425(JP,A)
【文献】特開2001-241184(JP,A)
【文献】実開平4-062744(JP,U)
【文献】実公昭33-006161(JP,Y1)
【文献】実公昭40-003160(JP,Y1)
【文献】実公昭46-012128(JP,Y1)
【文献】特開平09-242330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/06-7/24
F16B 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプに着脱可能な支持具であって、
支持具は外周面にネジを備えた支持軸と、支持軸の軸方向一端に取り付けられたクランプと、支持軸の外周に設けられた調整具を備えており、
支持軸は支柱を被せることができる細長であり、
クランプはパイプに被せることのできる固定部と、固定部に回動可能に連結された開閉片と、前記開閉片を固定部に固定するナット付き螺子棒を備えており、
固定部はパイプの外周面上側に被せることができるように湾曲している凹部を備えており、
開閉片は固定部の凹部を被せたパイプの外周面下側に宛がうことのできるように湾曲している凹部を備えており、
ナット付き螺子棒はパイプの外周面上部に被せた固定部とパイプの外周面下部に宛がった開閉片とを連結固定することにより、固定部と開閉片でパイプ挟着保持されるようにすることができ、
クランプは固定部を支持軸の長手方向一端に取り付けて、固定部の凹部を支持軸の先方に向けてあり、
調整具は支持軸の外周面に回転可能に取り付けてあり、支持軸に被せた支柱をその支柱の下から支持することができるリング状であり、回転操作すると支持軸の軸方向に昇降して、支持軸に被せた支柱の支持位置を調整可能である、
ことを特徴する支持具。
【請求項2】
パイプに着脱可能な支持具であって、
外周面にネジを備えた支持軸と、ベースと、クランプと、調整具を備えており、
支持軸の長手方向一端がベースの一面に取り付けられており、
ベースは支持軸の下端に取り付けられており、
クランプはパイプに被せることのできる固定部と、固定部に回動可能に連結された開閉片と、前記開閉片を固定部に固定するナット付き螺子棒を備えており、
固定部はパイプの外周面上側に被せることができるように湾曲している凹部を備えており、ベースの他面に取り付けられて、凹部支持軸の先方に向いており、ベースをパイプの上に載せると凹部をパイプの外周面上側に被せることができ、
開閉片は固定部の凹部を被せたパイプの外周面下側に宛がうことのできるように湾曲している凹部を備えており、
クランプは固定部をベースの他面に取り付けて、固定部の凹部を支持軸の先方に向けてあり、
調整具は支持軸の外周に回転可能に設けられており、
支持軸は支柱を被せることができる細長であり、
ナット付き螺子棒は、パイプの外周面上部に被せた固定部とパイプの外周面下部に宛がった開閉片とを連結固定することにより、固定部と開閉片でパイプが挟着保持されるようにすることができ、
調整具は支持軸の外周面に回転可能に取り付けてあり、支持軸に被せた支柱をその下から支持することができるリング状であり、回転操作すると支持軸の軸方向に昇降して、支持軸に被せた支柱の支持位置を調整可能である、
ことを特徴する支持具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の支持具において、
固定部がナット付き螺子棒を係止できる係止部を備えており、ナット付き螺子棒を係止部に係止させて、パイプの外周面上部に被せた固定部とパイプの外周面下部に宛がった開閉片とを連結固定することにより、固定部と開閉片でパイプを挟着保持できるようにした、
ことを特徴する支持具。
【請求項4】
請求項3記載の支持具において、
係止部がナット付き螺子棒を嵌入できる係止溝を備えており、
ナット付き螺子棒はクランプの開閉片に回動可能に取り付けられており、ナット付き螺子棒を上方に回動させて係止溝に嵌入して係止部に連結固定することにより、パイプの外周面上部に被せた固定部とパイプの外周面下部に宛がった開閉片とでパイプを挟着保持できるようにした、
ことを特徴する支持具。
【請求項5】
請求項2記載の支持具において、
クランプがベースの他面側に二つ設けられている、
ことを特徴する支持具。
【請求項6】
請求項2又は請求項5記載の支持具において、
クランプがベースにスライド可能に設けられている、
ことを特徴する支持具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の支持具において、
開閉片が固定部の一方の下端側に回動可能に取り付けられて、パイプの外周面下部側からパイプの外周面上部側に引上げ回動可能となっており、
係止部は固定部の他方の下端側に設けられており、
ナット付き螺子棒は開閉片の先端側に回動可能に取り付けられており、パイプの外周面下部側から係止部側に引上げ回動可能であり、係止部側に引上げ回動して係止部の係止溝に嵌入させると、ナット付き螺子棒の先端部とナットが係止部の上方に突出して、ナット付き螺子棒のナットを係止部の上方から回転操作できるようにした、
ことを特徴する支持具。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の支持具であって、
開閉片の湾曲方向の長さを、パイプの外周面下部に宛がっても開閉片の先端部がクランプの固定部に設けた係止部に届かず、係止部との間に隙間ができるようにした、
ことを特徴する支持具。
【請求項9】
請求項3又は請求項4又は請求項7又は請求項8記載の支持具であって、
係止部の係止溝の出入り口の先端側上面に抜止め突部があり、
抜止め突部は係止溝の出入り口の先端側上面より上方に突出しており、係止部の係止溝に嵌入させて係止部の上方に突出させたナット付き螺子棒の先端部とナットが係止して係止溝から抜けるのを防止できるようにしてある、
ことを特徴する支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場の組み立てや足場への支柱の取付けに用いる支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
足場の組み立てや足場への支柱の取付けには、単管クランプが用いられる。単管クランプには、一つクランプ(緊結具)で一本の単管を挟着保持できるようにした単クランプのほか、二つの単クランプが連結されて二本の単管を挟着保持できるようにした直交クランプや自在クランプ、三つの単クランプが連結されて三本の単管を挟着保持できるようにした三連クランプなどがある(例えば特許文献1)。以下、これらいずれのクランプも、単管を挟着保持できるクランプであることから単管クランプということもある。
【0003】
単クランプは、パイプが収まる凹部を備えた固定部と、固定部の一端側に回動可能に設けられた開閉片と、固定部の他端側に設けられたナット付き螺子棒を備えている。この種の緊結具は、凹部に収まったパイプの外側に開閉片を被せ、その開閉片をナット付き螺子棒で固定部に固定することでパイプを保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3030828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のクランプでは、図7(a)に示すような向きで使用する場合に、締結ナットKが作業者から離れた側(図7(a)の例では下側)に位置するため、締結ナットKの締め付けに際して手を締結ナットK側に回り込むようにして伸ばさなければならず、締結ナットKの締め付け作業を行いにくいという難点がある。また、作業者から離れた位置に手を伸ばすため、体勢を崩しやすく、作業者が転倒したり転落したりする危険がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、従来の単管クランプに比べて締結ナットの締め付け作業を行いやすく、作業員が安定した体勢で作業を行うことができるクランプを備えた支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の支持具は、外周面にネジを備えた支持軸と、支持軸の軸方向一端に取り付けられたクランプと、支持軸の外周に回転自在に設けられた調整具を備えたものである。クランプは、パイプの外周面上部に被せる凹部を備えた固定部と、凹部が被さっていないパイプの外周面下部に被せて当該パイプを押さえる開閉片と、固定部と開閉片を固定するナット付き螺子棒を備えており、開閉片は固定部の一方の下端側に連結されて上方に回動可能であり、ナット付き螺子棒が開閉片の先端側に連結されて上方に回動可能であり、固定部の他方の下端側に、上方に回動させたナット付き螺子棒を係止できる係止部が設けられている。調整具は支持軸に被せた支柱を支持することができ、回転操作により昇降可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の支持具は、ナット付き螺子棒ナットのナットを締め付けると、パイプの外周面上部に被せた固定部とパイプの外周面下部に宛がった開閉片とでパイプを挟着保持することができる。この場合、支持軸がパイプの上方に突出するので、支持軸に支柱を被せることができ、支柱の立設が容易になる。また、支持軸の外周に設けた調整具を回転させて、調整具を高さ調節すると、支持軸に被せた支柱の高さを昇降させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明における単管クランプの一例を示す斜視図。
図2】(a)は図1に示す単管クランプの開閉片を閉じた状態の側面図、(b)は単管クランプの開閉片を閉じた状態の正面図、(c)は開閉片を開いた状態の側面図、(d)は開閉片を開いた状態の正面図。
図3】本発明における単管クランプの他例を示すものであって、(a)は単管クランプが緊結具を二つ備えた直交クランプの場合の一例を示す正面図、(b)は単管クランプが緊結具を二つ備えた自在クランプの場合の一例を示す正面図、(c)は単管クランプが緊結具を三つ備えた三連クランプの場合の一例を示す正面図。
図4】本発明における単管クランプを用いた建築用資材の一例を示すものであって、(a)は単管クランプを一つ備えた支柱支持具の一例を示す斜視図、(b)は単管クランプを二つ備えた支柱支持具の一例を示す斜視図。
図5】足場パネルの一例を示す斜視図。
図6図5に示す足場パネルを用いた吊り足場の一例を示す斜視図。
図7】従来の単管クランプと本発明における単管クランプの対比図であって、(a)は従来の単管クランプを用いた場合の締め付け作業の説明図、(b)は本発明における単管クランプを用いた場合の締め付け作業の説明図。
図8】本発明における単管クランプの使用例の一例を示すものであって、(a)は固定部の凹部に単管パイプを収めた状態を示す斜視図、(b)は単管パイプに被せた開閉片をナット付き螺子棒で固定部に固定した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明の支持具に使用される単管クランプの実施形態の一例を、図面を参照して説明する。ここでは、単クランプ(緊結具)が一つだけの単管クランプの場合を一例とする。
【0011】
一例として図1及び図2(a)~(d)に示す単管クランプは、固定部1と開閉片2とナット付き螺子棒3を備えている。
【0012】
前記固定部1は、単管パイプ(丸パイプ)Jが収まる凹部1aを備えた正面視L字状の部材である。固定部1の一端側には、ナット付き螺子棒3の螺子棒3aを係止する係止部1bが突設されている。係止部1bには平面視U字状の係止溝1cが設けられ、その係止溝1cに螺子棒3aが収まるようにしてある。係止部1bの先端側には、後述する締結ナット3bの抜落ちやズレを防止する抜止め突部1dが設けられている。固定部1の他端側には、開閉片2が第一軸部材4aによって回動自在に軸支されている。
【0013】
前記開閉片2は、凹部1aに収まった単管パイプJの外側に被せて当該単管パイプJを押えるための部材である。この実施形態の開閉片2は、単管パイプJの外周に被せられるように円弧状に湾曲している。開閉片2の先端(自由端)側には、ナット付き螺子棒3を保持する保持部2aが設けられている。この保持部2aには、ナット付き螺子棒3が回動可能に軸支されている。
【0014】
前記ナット付き螺子棒3は、固定部1と開閉片2とを固定する部材である。この実施形態のナット付き螺子棒3は、螺子棒3aとその螺子棒3aに螺合された締結ナット3bを備えている。螺子棒3aは係止溝1cに係止可能な太さの丸棒状であり、外周には締結ナット3bが螺合するネジが設けられている。
【0015】
螺子棒3aの下端にはリング部3cが設けられている。リング部3cは開閉片2に設けられた二枚の対向する保持部2aの間に配置され、両保持部2aとリング部3cに挿通された第二軸部材4bで回転可能に保持されている。螺子棒3aの上端(先端)には、螺子棒3aに螺合した締結ナット3bが抜け落ちるのを防止する抜け止め部(図示しない)が外向きに突設されている。締結ナット3bには既存のナットを用いることができる。
【0016】
(実施形態2)
前記実施形態では、単管クランプが、一つの単クランプ(緊結具)の場合を一例としているが、本発明の単管クランプは、単クランプ(緊結具)を複数備えたもの、例えば、二つ備えた直交クランプ(図3(a))や自在クランプ(図3(b))、三つ備えた三連クランプ(図3(c))などとすることもできる。
【0017】
(実施形態3)
本発明における単管クランプは、前記実施形態1及び2で示すほか、図4(a)(b)に示すような支柱支持具10のクランプとして使用することもできる。
【0018】
図4(a)に示す支柱支持具10は、支持軸11とクランプ12と調整具13を備えている。クランプ12は支持軸11の一端側に溶接で固定され、調整具13は支持軸11の外周に螺合されている。
【0019】
図4(b)に示す支柱支持具10は、ベース14と支持軸11と二つのクランプ12と調整具13を備えている。支持軸11はベース14の一面側に立設され、各クランプ12はベース14の他面側にスライド可能に設けられている。
【0020】
いずれの支柱支持具10も、調整具13は支持軸11に螺合され、一方へ回転させることによって支持軸11に沿って上昇し、他方へ回転させることによって支持軸11に沿って降下するように構成されている。
【0021】
図4(a)(b)に示す支柱支持具10は、図5に示すような足場パネルAを複数枚組み合わせてなる吊り足場(図6)に、縦支柱(図4(a)(b))Lを立設する際に使用するものである。
【0022】
図5に示す足場パネルAは、二本の細長材Bと二本のフレームパイプCと補強材Dを備えた周枠上面に、長方形の足場板Eが配置固定されたものである。長手方向両端側の補強材DとフレームパイプCとの間には隙間Fがあり、それら補強材DとフレームパイプCの間に両者をつなぐ係止材Gが設けられている。
【0023】
この足場パネルAは、図6に示すように、高架道路や鉄橋等の架台(主桁)Hから吊り下げられた吊りチェーンIに係止されて吊り下げられて縦横に連結することによって吊り足場を形成することができる。
【0024】
前記支柱支持具10のクランプ12として従来の単管クランプMを用いた場合、図7(a)に示すように、締結ナットKが作業者から離れた側に位置するため、締結ナットKの締め付けに際して手を締結ナットK側に回り込むようにして伸ばさなければならず、締結ナットKを締め付けにくい場合がある。
【0025】
これに対し、前記支柱支持具10のクランプ12として本発明の単管クランプを用いた場合、図7(b)に示すように、締結ナット3bが作業者側に位置するため、作業者に近い位置で締結ナット3bを締め付けることができ、締結ナット3bの締結作業を行いやすいというメリットがある。
【0026】
(使用例)
本発明における単管クランプの使用例を、図8(a)(b)を参照して説明する。
(1)図8(a)に示すように、固定部1の凹部1aに単管パイプJが収まるように、固定部1を単管パイプJの外側に配置する。
(2)図8(b)に示すように、凹部1aに収まった単管パイプJの外側に開閉片2を被せ、その開閉片2に軸支されたナット付き螺子棒3を固定部1の係止溝1c内に収め、そのナット付き螺子棒3の締結ナット3bを締め付けて連結作業を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の支持具は、単管パイプJの連結をはじめ、従来の単管クランプMと同様の幅広い使途に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 固定部
1a 凹部
1b 係止部
1c 係止溝
1d 抜止め突部
2 開閉片
2a 保持部
3 ナット付き螺子棒
3a 螺子棒
3b 締結ナット
3c リング部
4a 第一軸部材
4b 第二軸部材
10 支柱支持具
11 支持軸
12 クランプ
13 調整具
14 ベース
A 足場パネル
B 細長材
C フレームパイプ
D 補強材
E 足場板
F 隙間
G 係止材
H 架台(主桁)
I 吊りチェーン
J 単管パイプ
K (従来のクランプの)締結ナット
L 縦支柱
M 従来の単管クランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8