(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/22 20240101AFI20240318BHJP
B64F 1/00 20240101ALI20240318BHJP
B64C 27/06 20060101ALI20240318BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B64F1/22
B64F1/00 A
B64C27/06
B64F1/12
(21)【出願番号】P 2023194592
(22)【出願日】2023-11-15
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】202211497580.0
(32)【優先日】2022-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514276562
【氏名又は名称】燕山大学
【氏名又は名称原語表記】YANSHAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 438, Hebei Street, Haigang District, Qinhuangdao City, HeBei 066004 P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 丁選
(72)【発明者】
【氏名】王 立新
(72)【発明者】
【氏名】張 祝新
(72)【発明者】
【氏名】劉 謙
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-62719(JP,A)
【文献】特開2023-97126(JP,A)
【文献】特開2004-256022(JP,A)
【文献】特開2017-161495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/22
B64F 1/00
B64C 27/06
B64F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリコプターの前輪の姿勢の画像を採集するステップS1であって、ヘリコプター稼働システムは、自動制御モードに入って広角カメラによりヘリコプターの前輪の姿勢の現在画像を採集するステップS1と、
ヘリコプターにおけるヨー角と前輪の偏角を算出するステップS2であって、DSP制御手段は、採集されたヘリコプターの前輪の姿勢画像を処理しながら特徴情報を抽出して、ヘリコプターヨー角とヘリコプターの前輪の偏角を算出しており、前記特徴情報は、ヘリコプターの前輪ハブ、タイヤ及び回転軸について輪郭のピクセルのマトリックスを含み、輪郭のピクセルのマトリックス特徴に基づいてヘリコプターの前輪の偏角を直接に取得するステップS2と、
デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出するステップS3であって、ヘリコプター座標系とデッキ座標系を作成し、座標変換関係とヘリコプターヨー角とに基づいてデッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出するステップS3と、
ヘリコプター座標系を作成し、ヘリコプターのサイズのパラメータとヘリコプターのヨー角に基づいて、ヘリコプター座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出し、前記ヘリコプター座標系は、ヘリコプターの係留棒を原点、ヘリコプターヨー角が0°である場合にヘリコプターの中心軸線をy
0軸、機首を表示する方向をy
0軸正方向、y
0軸と垂直する射出線をx
0軸、船体の右舷を表示する方向をx
0軸正方向とするものであるステップS31と、
デッキ座標系を作成し、前記デッキ座標系は、船舶デッキの牽引軌道起点を座標の原点、牽引軌道始まり部分の中心軸線をy軸、機首を表示する方向をy軸正方向、y軸と垂直する射出線をx軸、船体の右舷を表示する方向をx軸正方向とし、デッキ座標系において牽引軌道の数学方程式と牽引指示線の軌跡の方程式を作成するステップS32と、
デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標は、ヘリコプター座標系からデッキ座標系までの座標変換関係により算出されたものであるステップS33と、
ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪と牽引指示線とについて境界を判断するステップS4であって、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標と牽引軌道数学方程式、牽引指示線軌跡方程式とについて位置の境界を判断し、点から線までの距離に基づいてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標と、対応する牽引指示線軌跡方程式との対応関係を算出し、前記対応関係は、牽引指示線に対して内方、上方及び外方という三つの場合を含むステップS4と、
ヘリコプターに適合される最適な運動経路を抽出するステップS5であって、ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪について境界を判断した結果とヘリコプターの前輪の偏角とに基づいて、知識ベースから現在の姿勢になっているヘリコプターに適用される最適な運動経路を抽出し、前記知識ベースは、大量の手動で操作して実践することによりなされたものであって、C言語によりDSP制御手段の実行文をプログラミングしたものである、ステップS5と、
抽出されたヘリコプターに適合される最適な運動経路に基づいて、横方向と縦方向とにおける運動位置制御命令を算出し、ヘリコプターの運動を駆動するステップS6であって、一つの制御サイクルにおいて最適な運動経路を選択すると、MCU制御手段は、急速係留装置の油圧駆動システムに横方向校正位置の制御命令を送信し、縦方向牽引装置の油圧駆動システムに縦方向牽引位置の制御命令を送信し、急速係留装置と縦方向牽引装置とにより、ヘリコプターの運動を駆動するステップS6と、
ヘリコプターについて牽引、校正及び入庫を自動で行うことが終わるまで、ステップS1とステップS6を実行するステップS7であって、ヘリコプターを実際に運動させる場合には、先の制御サイクルにおけるヘリコプターの最新姿勢に基づいて最適な運動経路について補償と調整を行い、ヘリコプターが、抽出された最適な運動経路に従って飛行機倉庫の方向へ運動するように保証するステップS7と
を含む、ことを特徴とする海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項2】
前記ステップS2は、
画像全体においてヘリコプターにおける前輪の輪郭のピクセルのマトリックスの位置に基づいて、広角カメラの中心軸線に対するヘリコプター機体の偏角θを算出するステップS21と、
ヘリコプターにおける前輪の輪郭のピクセルのマトリックスに基づいて、縦方向におけるヘリコプターの前輪の垂直偏向距離hを取得し、
輪が姿勢画像に占めている輪郭のピクセルのマトリックスにおける横方向と縦方向とのピクセルの数を示す、ステップS22と、
軸とヘリコプターの係留棒との間における垂直距離を示すステップS23と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項3】
前記ステップS31は、ヘリコプター座標系において前記ヘリコプターの前輪の位置座標が
ヘリコプター座標系において前記第一後輪の位置座標が、
コプターの前輪の軸線が第一後輪と第二後輪との中心軸線となり、W は、第一後輪と第二後輪との距離を示し、
ヘリコプター座標系において前記第二後輪の位置座標が、
を示す、ことを特徴とする請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項4】
前記ステップS33は、
ヘリコプター座標系からデッキ座標系までの座標変換関係を算出し、先にデッキ座標系においてヘリコプター座標系の原点の座標を算出し、つまり、デッキ座標系においてヘリ
そのうち、y
1 は、牽引動力装置に取り付けられたエンコーダーにより取得されたものであって、急速係留装置が牽引軌道に沿って運動する位置を示し、Y
4,Y
5,Y
6,Y
7,Y
8 は、それぞれ、牽引軌道における第一部分、第二部分、第三部分、第四部分及び第五部分についてy方向の長さを示し、Y は、牽引軌道の第三部分について長さを示し、lは、牽引軌道における第二部分及び第四部分について円弧長さを示し、X
2 は、牽引軌道における第四
ステップS332と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項5】
前記ステップS32は、前記牽引指示線に左牽引指示線と右牽引指示線が含まれており、前記左牽引指示線と右牽引指示線との対称中線が前記牽引軌道であり、
前記牽引軌道の数学方程式が、
そのうち、X
3は、y軸と牽引軌道の第五部分との距離を示し、
前記左牽引指示線の軌跡方程式が
そのうち、X
1 は、左牽引指示線と牽引軌道との距離を示し、Y
1,Y
2,Y
3 は、それぞれ左牽引指示線における第一部分、第二部分及び第三部分についてy方向の長さを示し、
前記右牽引指示線の軌跡方程式が、
する請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項6】
ヘリコプターのヨー角が0°である場合には、広角カメラとヘリコプターの機体の軸線とが重ね合わせられることになり、広角カメラが、牽引軌道を中心線とする±37.5° の範囲にヘリコプターの前輪の画像状態を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法。
【請求項7】
請求項1に記載の海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うための方法に用いられる牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムであって、
前記牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムは、横方向に、ヘリコプターの運動を校正するための急速係留装置、ヘリコプターの前輪の姿勢を採集するための広角カメラ、縦方向にヘリコプターの運動を牽引するための縦方向牽引装置、制御システム、並びに、ヘリコプター及びヘリコプターの係留棒を含み、
前記急速係留装置には、機械爪が取り付けられており、前記機械爪は、ヘリコプターの下部に取り付けられたヘリコプターの係留棒と円柱サブ接続され、急速係留装置が横方向にヘリコプターの運動を校正している際に、機械爪が牽引軌道と常に垂直しながらヘリコプターの運動を追跡しており、
前記広角カメラは、急速係留装置における後壁の中央位置に取り付けられ、急速係留装置の運動に追跡し、ヘリコプターが運動するように急速係留装置縦方向牽引装置が牽引している際に、ヘリコプターにおける前輪の姿勢を常に即時で撮影しており、
前記縦方向牽引装置は、ヘリコプターが運動するように牽引している際に、急速係留装置が常に牽引軌道に沿ってヘリコプターの運動を追跡し、前記縦方向牽引装置は、牽引軌道において急速係留装置の位置を記録するエンコーダーを含み、前記牽引軌道は、牽引軌道の第一部分、牽引軌道の第二部分、牽引軌道の第三部分、牽引軌道の第四部分及び牽引軌道の第五部分に分けられており、
前記制御システムは、DSP制御手段とMCU制御手段を含み、前記DSP制御手段は、ヘリコプターの前輪の姿勢画像を処理し、ヘリコプター座標系とデッキ座標系を作成し、後輪の位置座標を算出し、牽引提示線の境界を判断し、ヘリコプター運動経路の記憶と抽出を行う、ためのものであり、前記MCU制御手段は、横方向の位置制御命令と縦方向の位置制御命令を生成するためのものであり、
前記ヘリコプターは、それぞれ前輪、第一後輪及び第二後輪を含み、前記前輪は、ヘリコプターの尾端に取り付けられ、大きい偏心距離を有した全方向性ホイールである、ことを特徴とする牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上で作業を行うヘリコプターについて安全を総合的に保障する技術の分野に関し、海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海上で作業を行うヘリコプターは、一般的に、海洋の状況が悪い状態で作業タスクを実行することがある。ヘリコプターを回収したり離陸させたりする技術は、ヘリコプターの離着陸に安全上の保障を提供する。また、タスクが済む場合に如何にして安全かつ急速に飛行機の倉庫にヘリコプターが戻ることができるかということは、さらに、ヘリコプターの出勤率と安全性にとって極めて重要な価値を持っている。現在、よく見られるヘリコプター安全保障システムは、着艦制動装置、Eシステム、RASTシステム、ASISTシステム及び中国船舶工業システム工程研究院が提出した「海上で作業を行うヘリコプターを安全かつ急速に回收したり離陸したりするシステム」を含んでいる。しかし、上記のシステムは、いずれも、完全的に牽引、校正及び入庫を自動で実現することができず、人工や牽引車により案内される人工牽引形態を多く採用し、実施をする過程において艦船に位置する複数の操作員らの協力がなければならず、しかも、操作員らのレベルや経験によって影響が与えられてしまい、ヘリコプターを急速に、効果的に、かつ安全に着艦点より飛行機の倉庫まで牽引するように確実に保証することができない。この問題を解決するためには、海上で作業を行うヘリコプターが稼働している際に、作業の効率を高め、艦船に位置する操作員らや設備の安全を保障するように、海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及び方法を開発することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記通りに、ヘリコプターに牽引と校正を行う従来技術に存在している欠点について、海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及び方法を提供する。前記方法は、特に、操作が一層難しく軌道が湾曲可能なヘリコプター稼働システムに適用される。この方法により、人工牽引による操作に難しさが高く、安全性が悪いという問題を効果良く解決することができ、ヘリコプターの稼働に作業効率を高め、艦船に位置する操作員らや設備の安全を十分に保障し、船舶や軍事産業などの分野に重要な実用的価値を持たせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が採用するのは、新型の技術手段であって、以下のように、システムと実施ステップとの両部分を含んだものである。海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムは、横方向にヘリコプターの運動を校正するための急速係留装置、ヘリコプターにおける前輪の姿勢画像を採集するためのものであって急速係留装置の後壁に取り付けられた広角カメラ、縦方向にヘリコプターの運動を牽引するための縦方向牽引装置、DSP制御手段とMCU制御手段とで構成された制御システム、並びに、ヘリコプター及びそのヘリコプターの係留棒、を含む。
【0005】
海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行う方法において、実施するステップは、広角カメラによりヘリコプターの前輪の姿勢画像を採集すること、ヘリコプターにおけるヨー角とヘリコプターにおける前輪の偏角を算出すること、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出すること、ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪座標と牽引指示線について境界を判断すること、ヘリコプターの運動に適合される最適な運動経路を抽出すること、横方向運動位置制御命令と縦方向運動位置制御命令を算出すること、急速係留装置によりヘリコプターが横方向に運動するように駆動すること、牽引動力装置によりヘリコプターが縦方向に運動するように駆動すること、及び、ヘリコプターに牽引、校正及び入庫を自動で行うことが終わるまで前記操作を繰り返して実行することを含む。本発明が提供する方法は、全体として人の関与が必要にならず、安全性が高く、知能化が高い利点を有することができる。
【0006】
前記海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムは、以下の特徴を有している。
【0007】
前記急速係留装置には機械爪が取り付けられている。前記機械爪は、ヘリコプターの下部に取り付けられたヘリコプターの係留棒と円柱サブ接続されている。急速係留装置は、横方向にヘリコプターが運動するように校正する際に、機械爪が常に牽引軌道と垂直しながらヘリコプターの運動を追跡する。
【0008】
前記広角カメラは、急速係留装置における後壁の中央位置に取り付けされていると共に、急速係留装置の運動を追跡する。急速係留装置と縦方向牽引装置は、ヘリコプターが運動するように牽引する際に、広角カメラがヘリコプターにおける前輪の姿勢を常に即時で撮影する。
【0009】
前記縦方向牽引装置は、ヘリコプターが運動するように牽引する際に、急速係留装置が常に牽引軌道に沿ってヘリコプターの運動を追跡する。前記縦方向牽引装置は、軌道における急速係留装置の位置を記録するためのエンコーダーを含み、前記牽引軌道は、牽引軌道の第一部分、牽引軌道の第二部分、牽引軌道の第三部分、牽引軌道の第四部分及び牽引軌道の第五部分に分けられる。
【0010】
前記制御システムは、DSP制御手段とMCU制御手段を含み、前記DSP制御手段は、ヘリコプターにおける前輪の姿勢画像を処理し、ヘリコプター座標系とデッキ座標系を作成し、後輪の位置座標を算出し、牽引提示線について境界を判断し、ヘリコプターの運動経路への記憶と抽出を行うためのものであり、前記MCU制御手段は、横方向位置制御命令と縦方向位置制御命令を生成するためのものである。
【0011】
前記ヘリコプターは、前輪、第一後輪及び第二後輪を含み、前記前輪は、ヘリコプターの尾端に取り付けられ、大きい偏心距離を有した全方向性ホイールである。
【0012】
前記海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行う方法は、以下のステップを有する。
【0013】
ステップS1は、ヘリコプターにおける前輪の姿勢画像を採集する。ヘリコプター稼働システムは、自動制御モードに入って、広角カメラによりヘリコプターにおける前輪の現在姿勢画像を採集する。
【0014】
ステップS2は、ヘリコプターにおけるヨー角と前輪の偏角を算出する。DSP制御手段は、採集されたヘリコプターにおける前輪の姿勢画像を処理し、特徴情報を抽出し、ヘリコプターにおけるヨー角とヘリコプターにおける前輪の偏角を算出する。前記特徴情報は、ヘリコプターにおける前輪ハブ、タイヤ及び回転軸の輪郭のピクセルのマトリックスを含み、輪郭のピクセルのマトリックス特徴に基づいてヘリコプターにおける前輪の偏角を直接的に取得する。
【0015】
ステップS3は、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出する。ヘリコプター座標系とデッキ座標系を作成し、座標変換関係とヘリコプターのヨー角とに基づいて、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出する。
【0016】
ステップS31は、ヘリコプター座標系を作成し、ヘリコプターサイズパラメータとヘリコプターヨー角に基づいて、ヘリコプター座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出する。前記ヘリコプター座標系は、ヘリコプターの係留棒を原点、ヘリコプターヨー角が0°である場合にヘリコプターの中心軸線をy0軸、機首を表示する方向をy0軸正方向、y0軸と垂直する射出線をx0軸、船体右舷を指向する方向をx0軸正方向とする。
【0017】
ステップS32は、デッキ座標系を作成する。前記デッキ座標系は、船舶デッキ牽引軌道の起点を座標原点、牽引軌道における始まり部分の中心軸線をy軸、機首を表示する方向をy軸正方向、y軸と垂直する射出線をx軸、船体右舷を表示する方向をx軸正方向とする。デッキ座標系においては、牽引軌道の数学方程式と牽引指示線の軌跡方程式を作成する。
【0018】
ステップS33は、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標が、ヘリコプター座標系からデッキ座標系までの座標変換関係に基づいて算出されたものである。
【0019】
ステップS4は、ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪と牽引指示線とについて境界を判断する。デッキ座標系において、ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標と牽引軌道の数学方程式、牽引指示線軌跡の方程式とについて、位置の境界を判断する。点から線までの距離に基づいてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標と対応する牽引指示線軌跡の方程式との対応関係を算出する。前記対応関係は、牽引指示線に対して内方、上方及び外方という三つの場合を含む。
【0020】
ステップS5は、ヘリコプターに適合される最適な運動経路を抽出する。ヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪について境界を判断した結果とヘリコプターの前輪の偏角とに基づいて、知識ベースから、現在の姿勢になっているヘリコプターに適合される最適な運動経路を抽出する。前記知識ベースは、大量の手動で操作して実践することによりなされたものであって、C言語でDSP制御手段の実行文をプログラミングしたものである。
【0021】
ステップS6は、抽出されたヘリコプターに適合される最適な運動経路に基づいて、横方向運動位置制御命令と縦方向運動位置制御命令を算出し、ヘリコプターが運動するように駆動する。一つの制御サイクルだけの最適な運動経路を選択すると、MCU制御手段により急速係留装置の油圧駆動システムに横方向校正位置の制御命令を送信し、縦方向牽引装置の油圧駆動システムに縦方向牽引位置の制御命令を送信し、急速係留装置と縦方向牽引装置によりヘリコプターが運動するように駆動する。
【0022】
ステップS7は、ヘリコプターに牽引、校正及び入庫を自動で行うことが終わるまで、ステップS1乃至ステップS6を繰り返して実行する。ヘリコプターが実際に運動している際に、先の制御サイクルにあったヘリコプターの最新姿勢に基づいて最適な運動経路に補償と調整を行うことにより、ヘリコプターが抽出された最適な運動経路に従って飛行機の倉庫方向へ運動するように保証する。
【0023】
なお、前記ステップS2は、具体的に、以下のステップを含む。
ステップS21は、ヘリコプターにおける前輪の輪郭のピクセルのマトリックスが画像全体に位置する位置に基づいて、広角カメラの中心軸線に対するヘリコプター機体の偏角θを算出する。
【0024】
S22は、ヘリコプターにおける前輪の輪郭のピクセルのマトリックスに基づいて、縦方向においてヘリコプターの前輪の垂直偏向距離hを取得すると
ヘリコプターの前輪が姿勢画像に占めている輪郭のピクセルのマトリックスにおいて横方向と縦方向についてピクセルの数を示す。
ヘリコプターの係留棒との間における垂直距離を示す。
【0025】
好ましく、前記ステップS31において、ヘリコプター座標系における前記ヘリコプターの前輪の位置座標が
【0026】
ヘリコプター座標系における前記第一後輪の位置座標が
【0027】
ヘリコプター座標系における前記第二後輪の位置座標が
【0028】
好ましく、前記ステップS33は、具体的に以下のステップを含む。
【0029】
そのうち、y
1 は、牽引動力装置に取り付けられたエンコーダーにより取得されたものであって、急速係留装置が牽引軌道に沿って運動する位置を示す。Y
4,Y
5,Y
6,Y
7,Y
8 は、それぞれ、牽引軌道における第一部分、第二部分、第三部分、第四部分及び第五部分についてy方向の長さを示す。Y は、牽引軌道における第三部分の長さを示す。l は、牽引軌道における第二部分と第四部分について円弧の長さを示す。X
2 は、牽引軌道における第
【0030】
【0031】
好ましく、前記ステップS32において、前記牽引指示線は、左牽引指示線と右牽引指示線を含み、前記左牽引指示線と右牽引指示線との対称中線が前記牽引軌道となり、前記牽引軌道の数学方程式が
そのうち、X
3 は、y軸と牽引軌道における第五部分との間の距離を示す。
【0032】
前記左牽引指示線の軌跡方程式が
そのうち、X
1 は、左牽引指示線と牽引軌道との距離を示す。Y
1,Y
2,Y
3 は、それぞれ左牽引指示線における第一部分、第二部分及び第三部分についてy方向の長さを示す。
【0033】
前記右牽引指示線の軌跡方程式が
好ましく、ヘリコプターのヨー角が0°である場合に、広角カメラとヘリコプター機体の軸線とが重ね合わせられることになり、広角カメラが牽引軌道を中心線とする±±37.5°の範囲にヘリコプターにおける前輪の画像状態を取得する。
【発明の効果】
【0034】
従来技術に比べると、本発明による技術の進歩性が以下の通りである。
【0035】
1、本発明が開示する海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及び方法は、従来のヘリコプター急速回收システムに基づいて、急速係留装置にヘリコプターの前輪画像を採集するための広角カメラだけを取り付けることになるため、従来のシステムとの交換性が極めて高い。
【0036】
2、本願は、牽引軌道が湾曲可能なヘリコプターに適合される牽引、校正及び入庫を全自動で行う方法を、進歩性をもって提出してきた。それは、具体的に、ヘリコプターの前輪画像に基づいてヘリコプターにおけるヨー角と前輪の偏角を算出すること、ヘリコプターにおける座標系とデッキ座標系を作成し、座標転換関係に基づいて、デッキ座標系においてヘリコプターにおける各後輪の位置を算出すること、牽引指示線の方程式と共に境界を判断すること、判断結果に基づいて操作経験知識ベースから現在の姿勢になっているヘリコプターの運動に適合される最適な経路を抽出すること、調整可能な制御長さにより牽引と校正を行うために補償と制御を即時で行うことができること、最終に、ヘリコプターが飛行機の倉庫に戻るように牽引と校正を自動で行う目的を図るまで、前記操作を繰り返すことを含む。
【0037】
3、本発明が提供する海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及び方法は、実施を行う際に、人の関与が必要にならず、海上で作業をヘリコプターが稼働するように操作する難しさが大幅に低くなる。それと同時に、係る方法は、ヘリコプターが稼働している際に作業の効率を効果良く高め、艦船に位置する操作員ら及びヘリコプターの安全性が極めて保障される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の図面を読みながら制限性を持たない実施例を詳しく理解すると、本願に係る他の特徴、目的や利点が一層明確になるだろう。
【
図1】本発明に係る海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行う方法を実行するフローチャートである。
【
図2】本発明に係るヘリコプターの前輪の画像識別原理を示す模式図である。
【
図3】本発明に係るヘリコプターの座標系を示す模式図である。
【
図4】本発明に係るデッキ座標系を示す模式図である。
【
図5】本発明に係る海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムの枠組み及びそれの作動する過程を示す模式図である。
【
図6】本発明に係るヘリコプターの稼働する過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら実施例に基づいて本願を詳しく説明する。理解可能なことは、ここで記載する具体的な実施例が、前記発明を限定するものでなく、関連する発明を解釈するためのものである。なお、さらに、説明するのは、記載を便宜にするために、図面において発明に関連している部分だけを示す。
【0040】
説明すべきことは、矛盾が無ければ、本願の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよい。以下に、図面を参照しながら実施例に基づいて本願を詳しく説明する。
【0041】
図3、
図4及び
図5を参照すると、海上で作業を行うことに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムは横方向にヘリコプター3.9の運動を校正するための急速係留装置3.4、ヘリコプターの前輪3.1の姿勢を採集するための広角カメラ3.3、縦方向にヘリコプター3.9が運動するように牽引するための縦方向牽引装置4.11、DSP制御手段5.1とMCU制御手段5.2で構成された制御システム、並びに、ヘリコプター3.9及びヘリコプターの係留棒3.5を含む。
【0042】
前記海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステムは、以下の特徴を有する。
【0043】
前記急速係留装置3.4には、機械爪3.6が取り付けられている。前記機械爪3.6は、ヘリコプター3.9の下部に取り付けられたヘリコプターの係留棒3.5と円柱サブ接続されている。急速係留装置3.4により横方向にヘリコプター3.9が運動するように校正する場合には、機械爪3.6が常に牽引軌道4.9と垂直にしながらヘリコプター3.9の運動を追跡する。
【0044】
前記広角カメラ3.3は、急速係留装置3.4における後壁の中央位置に取り付けられ、急速係留装置3.4の運動を追跡する。急速係留装置3.4と縦方向牽引装置4.11によりヘリコプター3.9が運動するように牽引する場合には、広角カメラ3.3がヘリコプター3.9における前輪3.1の姿勢を常に即時で撮影することができる。
【0045】
前記縦方向牽引装置4.11は、ヘリコプター3.9が運動するように牽引する際に、急速係留装置3.4が常に牽引軌道4.9に沿ってヘリコプター3.9の運動を追跡する。前記縦方向牽引装置4.11は、軌道における急速係留装置3.4の位置を記録するためのエンコーダー4.12を含み、前記牽引軌道4.9は、牽引軌道の第一部分4.4、牽引軌道の第二部分4.5、牽引軌道の第三部分4.6、牽引軌道の第四部分4.7及び牽引軌道の第五部分4.8に分けられる。
【0046】
前記制御システムは、DSP制御手段5.1とMCU制御手段5.2を含み、前記DSP制御手段5.1は、ヘリコプターにおける前輪3.1の姿勢画像を処理し、ヘリコプター3.9における座標系とデッキ座標系4.1を作成し、後輪位置座標を算出し、牽引提示線について境界を判断し、ヘリコプター3.9の運動経路への記憶と抽出を行うためのものであり、前記MCU制御手段5.2は、横方向位置制御命令と縦方向位置制御命令を生成するためのものである。
【0047】
前記ヘリコプター3.9は、前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8を含み、前記前輪3.1は、ヘリコプター3.9の尾端に取り付けられており、比較的大きい偏心距離を有した全方向性ホイールである。
【0048】
図1は、発明に係る海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行う方法の実行流れを示しており、具体的に以下のステップを含む。
【0049】
ステップS1は、ヘリコプターにおける前輪3.1の姿勢画像を採集する。ヘリコプター3.9の稼働システムは、自動制御モードに入って、広角カメラ3.3により現在のヘリコプターの前輪3.1の姿勢画像を採集する。ヘリコプター3.9のヨー角が0°である場合には、広角カメラ3.3とヘリコプター中央軸線3.2が重ね合わせられることになり、広角カメラ3.3は、牽引軌道4.9を中心線とした±37.5°の範囲内にヘリコプターにおける前輪3.1の姿勢画像を取得する。
【0050】
ステップS2は、
図2に示すように、ヘリコプター3.9にけるヨー角と前輪の偏角を算出する。DSP制御手段5.1は、採集されたヘリコプターの前輪3.1の姿勢画像を処理して、特徴情報を抽出し、ヘリコプター3.9におけるヨー角とヘリコプター前輪3.1の偏角を算出する。特徴情報は、ヘリコプターにおける前輪3.1のハブ、タイヤ及び回転軸の輪郭のピクセルのマトリックスを含み、輪郭のピクセルのマトリックス特徴に基づいてヘリコプター前輪3.1の偏角を直接に取得する。
【0051】
ステップS21は、
図2に示すように、広角カメラ3.3が撮影したヘリコプターの前輪の画像全体2.4において、ヘリコプターの前輪の正方向位置2.1と対応しているピクセルのマトリックスが2.5になり、ヘリコプターの前輪の偏向位置2.3と対応しているピクセルのマトリックスが2.6になる。それによりヘリコプターの前輪の回転軸と広角カメラの中央軸線2.2とに対するヘリコプター3.9の機体の偏角θ を算出することができる。
【0052】
ステップS22は、広角カメラ3.3によりヘリコプター前輪3.1の姿勢画像2.4全体を採集した輪郭のピクセルのマトリックスをM×Nとすると、ヘリコプター前輪3.1の輪郭のピクセルのマトリックス2.5と2.6に基づいて、縦方向におけるヘリコプター前輪3.1の垂直偏向距離hを取得すると、
いる状態にある場合に、ヘリコプター前輪3.1が姿勢画像2.4の全体に占めている輪郭のピクセルのマトリックスにおいて横方向と縦方向についてピクセルの数を示す。
【0053】
ヘリコプター前輪3.1の中心軸とヘリコプターの係留棒3.5との間における垂直距離を示す。
【0054】
ステップS3は、デッキ座標系4.1において、ヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標を算出する。ヘリコプター3.9における座標系とデッキ座標系4.1を作成し、座標変換関係とヘリコプター3.9のヨー角に基づいて、デッキ座標系4.1においてヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標を算出する。
【0055】
ステップS31は、
図3に示すように、ヘリコプター3.9の座標系を作成し、ヘリコプター3.9のサイズパラメータとヘリコプター3.9のヨー角に基づいて、ヘリコプター3.9座標系において、ヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標を算出する。ヘリコプター3.9の座標系は、ヘリコプターの係留棒3.5を原点、ヘリコプター3.9のヨー角が0°である場合に、ヘリコプター中心軸線3.2をy
0軸、機首を表示する方向4.10をy
0軸正方向、y
0軸と垂直する射出線をx
0軸、船体右舷を表示する方向をx
0軸正方向とする。
【0056】
ヘリコプター座標系におけるヘリコプター前輪3.1の位置座標が
【0057】
ヘリコプター座標系における第一後輪3.7の位置座標が
座標を示す。L
2 は、ヘリコプターの係留棒3.5からヘリコプター前輪3.1の軸線までの垂直距離を示す。ヘリコプターの前輪3.1の軸線が第一後輪3.7と第二後輪3.8との中心軸線である。W は、第一後輪3.7と第二後輪3.8との間の距離を示す。
【0058】
ヘリコプター座標系における第二後輪3.8の位置座標が
【0059】
ステップS32は、
図4に示すように、デッキ座標系4.1を作成する。デッキ座標系4.1は、船舶デッキ牽引軌道4.9の起点を座標原点、牽引軌道4.9における始まり部分の中心軸線をy軸、機首を表示する方向4.10をy軸正方向、y軸と垂直する射出線をx軸、船体右舷を表示する方向をx軸正方向とする。デッキ座標系4.1においては、牽引軌道4.9の数学方程式と牽引指示線の軌跡方程式を作成する。
【0060】
牽引指示線は、左牽引指示線4.2と右牽引指示線4.3を含み、左牽引指示線4.2と右牽引指示線4.3との対称中線が牽引軌道4.9となり、牽引軌道4.9の数学方程式が
そのうち、X
2 は、牽引軌道4.9における第四部分の円弧と対応する円心O
2のx方向座標を示す。X
3 は、y軸と牽引軌道4.9における第五部分との間の距離を示す。Y
4,Y
5,Y
6,Y
7,Y
8 は、それぞれ牽引軌道4.9において第一部分、第二部分、第三部分、第四部分及び第五部分についてy方向の長さを示す。l は、牽引軌道4.9において第二部分と第
【0061】
左牽引指示線4.2の軌跡方程式が
そのうち、X
1 は、左牽引指示線4.2と牽引軌道4.9との距離を示す。Y
1,Y
2,Y
3 は、それぞれ、左牽引指示線4.2において、第一部分、第二部分及び第三部分についてy方向の長さを示す。
【0062】
右牽引指示線4.3の軌跡方程式が
ステップS33は、デッキ座標系4.1において、ヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標がヘリコプター座標系からデッキ座標系4.1までの座標変換関係に基づいて算出されたものである。
【0063】
ステップS331は、ヘリコプター座標系において原点の位置は、急速係留装置3.4が運動するに伴い常に変化するものである。急速係留装置3.4が牽引軌道4.9に沿って運動することから、縦方向牽引装置4.11に取り付けられたエンコーダー4.12により、牽引軌道4.9における急速係留装置3.4の位置を取得することができると共に、急速係留装置3.4に対する機械爪3.6の位置に基づいて急速係留装置3.4に対するヘリコプターの係留棒3.5の位置を取得することができる。ヘリコプター座標系からデッキ座標系4.1までの座標変換関係を算出し、先に、デッキ座標系4.1におけるヘリコプター座標系原点の座標を算出し、つまり、デッキ座標系4.1におけるヘリコプタ
そのうち、y
1 は、牽引動力装置に取り付けられたエンコーダー4.12により取得されたものであって、急速係留装置3.4が牽引軌道4.9に沿って運動する位置を示し、Y は、牽引軌道における第三部分4.6の長さを示す。
【0064】
【0065】
ステップS4は、ヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8と牽引指示線とについて、境界を判断する。デッキ座標系4.1においてヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標と牽引軌道4.9の数学方程式、牽引指示線軌跡の方程式について、境界を判断する。点から線までの距離に基づいてヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8の位置座標と、対応する牽引指示線軌跡の方程式との対応関係を算出する。対応関係は、牽引指示線に対して、内方、上方及び外方という三つの場合を含む。ヘリコプター3.9が運動している際に牽引指示線の内方に位置するように確保することにより、ヘリコプターの係留棒3.5の運動する路線を選択するために根拠を提供する。
【0066】
ステップS5は、ヘリコプター3.9に適合される最適な運動経路を抽出する。ヘリコプターにおける前輪3.1、第一後輪3.7及び第二後輪3.8について境界を判断した結果と、ヘリコプターにおける前輪3.1の偏角とに基づいて、知識ベースから、現在の姿勢になっているヘリコプター3.9に適合される最適な運動経路を抽出する。知識ベースは、大量の手動で操作して実践することによりなされたものであって、C言語によりDSP制御手段5.1の実行文をプログラミングしたものである。
【0067】
ステップS6は、抽出されたヘリコプター3.9に適合される最適な運動経路に基づいて、横方向運動位置制御命令と縦方向運動位置制御命令を算出し、ヘリコプター3.9が運動するように駆動する。一つの制御サイクルだけの最適な運動経路を選択すると、MCU制御手段5.2により、急速係留装置3.4の油圧駆動システムに横方向校正位置の制御命令を送信し、縦方向牽引装置4.11の油圧駆動システムに縦方向牽引位置の制御命令を送信し、急速係留装置3.4と縦方向牽引装置4.11によりヘリコプター3.9が運動するように駆動する。
【0068】
ステップS7は、ヘリコプター3.9に牽引、校正及び入庫を自動で行うことが終わるまで、ステップS1乃至ステップS6を繰り返して実行する。ヘリコプター3.9が実際に運動している際に、先の制御サイクルにあったヘリコプター3.9の最新姿勢に基づいて、最適な運動経路について補償と調整を行うことにより、ヘリコプター3.9が抽出された最適な運動経路に従って飛行機の倉庫方向へ運動するように保証する。
【0069】
本発明は、実際に大量の操作に基づいて建立完璧な知識ベースを作成し、具体的に、デッキにおけるヘリコプター3.9の現在位置、ヨー角及び前輪の偏角に従って適合な運動軌跡を選択し、横方向校正と縦方向について牽引位置の制御命令を生成することにより、ヘリコプター3.9の運動方向を制御する。
図5に示すように、横方向制御命令と縦方向制御命令に従って、急速係留装置3.4におけるMCU制御手段5.2により急速係留装置3.4の油圧システムと縦方向牽引装置4.11の油圧システムを制御し、次に、ヘリコプター3.9が運動するように駆動する。一つの制御サイクルだけのサイクルが済むと、ヘリコプター3.9を飛行機の倉庫に牽引したかどうかについて判断を行う。さもなければ、ヘリコプター3.9を飛行機の倉庫に自動で校正しながら牽引するまで、上記において、ヘリコプターにおける前輪3.1の画像について採集と処理を行うこと、ヘリコプター3.9における後輪の位置を算出すること、ヘリコプター3.9について位置の境界を判断すること、運動経路を選択することなどのステップを繰り返し実行する。ヘリコプター3.9が稼働している模式図は
図6であり、そのうち、ヘリコプターの係留棒3.5の運動した軌跡線は、自動で牽引と校正を行う際にヘリコプターの係留棒が運動した軌跡線6.1となる。
【0070】
以上より、本発明が提出する、海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及方法は、従来のヘリコプター急速回收システムに基づいて、急速係留装置にヘリコプターにおける前輪の画像を採集するための広角カメラだけを追加する。このことにより、ヘリコプターにおけるヨー角と前輪の偏角を算出し、ヘリコプターにおける座標系とデッキ座標系を作成し、座標転換関係に基づいてヘリコプターにおける各後輪がデッキ座標系に位置する位置を算出することができる。次に、牽引指示線方程式と共に境界を判断し、判断された結果に基づいて、操作経験知識ベースから、現在の姿勢になっているヘリコプターの運動に適合される最適な経路を抽出し、調整可能な制御長さにより牽引と校正を行うために補償と制御を即時で行うことができる。最終に、ヘリコプターが飛行機の倉庫に戻るように牽引と校正を自動で行う目的を図るまで、前記操作を繰り返す。係る方法を実施する際に人の関与が必要にならず、海上で作業をヘリコプターが稼働するように操作する難しさが大幅に低くなり、ヘリコプターの稼働する作業の効率が高まり、艦船に位置する操作員ら及びヘリコプターの安全性が保障される。係る方法は、知能化が高い、全自動ができ、効率と安全性が高いなどの著しい特色を有しており、船舶や軍事産業などの分野に重要な実用価値を持っている。特に、海上で作業を行うヘリコプターを自動で牽引する分野にとって重要な価値を持っている。
【0071】
最後に説明するのは、以上実施例が本発明の技術手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものでない。上記の実施例を参照しながら本発明を詳しく説明したが、当業者にとって理解するべきことは、依然として本発明を補正したり均等置換を行いたりすることも可能であり、本発明の趣旨や範囲を逸脱しない限りなされる如何なる補正や局所的置換があれば、いずれも、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0072】
2.1 ヘリコプターの前輪が位置する正方向位置
2.2 ヘリコプターの前輪の回転軸と広角カメラの中央軸線
2.3 ヘリコプターの前輪が偏向した位置
2.4 広角カメラが採集した画像全体
2.5 ヘリコプターの前輪の正方向位置の画像のピクセルのマトリックス
2.6 ヘリコプターがヨーイングする場合に前輪が位置している画像のピクセルのマトリックス
3.1 ヘリコプターの前輪
3.2 ヘリコプターの中央軸線
3.3 広角カメラ
3.4 急速係留装置
3.5 ヘリコプターの係留棒
3.6 機械爪
3.7 第一後輪
3.8 第二後輪
3.9 ヘリコプター
4.1 デッキ座標系
4.2 左牽引指示線
4.3 右牽引指示線
4.4 牽引軌道の第一部分
4.5 牽引軌道の第二部分
4.6 牽引軌道の第三部分
4.7 牽引軌道の第四部分
4.8 牽引軌道の第五部分
4.9 牽引軌道
4.10 機首方向
4.11 縦方向牽引装置
4.12 エンコーダー
5.1 DSP制御手段
5.2 MCU制御手段
6.1 牽引と校正を自動で行う際にヘリコプターの係留棒が運動する軌跡線
【要約】 (修正有)
【課題】海上で作業を行うヘリコプターに適用される牽引、校正及び入庫を全自動で行うシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ヘリコプターの前輪の姿勢画像を広角カメラにより採集すること、ヘリコプターにおけるヨー角と前輪の偏角を算出、デッキ座標系においてヘリコプターにおける前輪、第一後輪及び第二後輪の位置座標を算出して牽引指示線について境界を判断、ヘリコプターの運動に適合される最適な経路をDSP制御手段にて抽出すること、横方向運動位置制御命令と縦方向運動位置制御命令をMCU制御手段にて算出すること、ヘリコプターが運動するように縦方向牽引装置油圧駆動システムおよび急速係留装置油圧駆動システムにて駆動すること、牽引、校正及び入庫を自動で行うことが終わるまで、前記操作を繰り返して実行することを含む。
【選択図】
図5