(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 220
(21)【出願番号】P 2019167595
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 精一
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039572(JP,A)
【文献】特開2019-119478(JP,A)
【文献】特開2018-188183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、
筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部と、前記胴部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、
前記胴部が、周状の段差部を介して前記肩部に連なるスクイズ領域を備え、
前記段差部が、前記スクイズ領域に直接連なっており、
前記段差部に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられて
おり、
前記肩部に、容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる凹リブが設けられ、前記凹部が前記凹リブの下方に該凹リブと周方向位置を一致させて配置されていることを特徴とする、積層剥離容器。
【請求項2】
前記凹部が、前記肩部の側から前記胴部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
前記段差部に、周方向に間隔を空けて複数の前記凹部が設けられている、請求項1または2に記載の積層剥離容器。
【請求項4】
前記段差部が、前記肩部の側から前記スクイズ領域の側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状である、請求項1~
3の何れか1項に記載の積層剥離容器。
【請求項5】
前記胴部が、周状の副段差部または周状の副リブ部を介して前記スクイズ領域の下端に連なる補強領域を備えている、請求項1~
4の何れか1項に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記外層体と前記内層体とが、ポリエチレンテレフタレート製である、請求項1~
5の何れか1項に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等を内容物として収納する容器として、外層体と、外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、外層体と内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器が知られている。積層剥離容器では、内容物を外部に吐出させた後、外気導入口から外層体と内層体との間に外気を導入して内容物の吐出に合わせて内層体を減容変形させることができる。これにより、内容物が外気と置換されることなく吐出されるようにして、内層体に収納された内容物への外気の接触を抑制し、その劣化や変質を抑制することができる。
【0003】
積層剥離容器には、筒状の口部と、口部に連なる肩部と、肩部に連なる胴部と、胴部に連なる底部と、を有するボトル形状を有するとともに、胴部に可撓性と復元性とを有するスクイズ領域を備え、スクイズ領域をスクイズ(押圧)することで、容器の内部に収納されている内容物を口部から外部に押し出して吐出させることができるスクイズタイプのものがある。
【0004】
このようなスクイズタイプの積層剥離容器として、従来、肩部とスクイズ領域との間に周状の段差部または周状のリブ部を設けることで、スクイズ領域の可撓性及び復元性を高めて、スクイズによる内容物の吐出操作性を高めるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
肩部とスクイズ領域との間に周状の段差部または周状のリブ部を設けた上記従来の積層剥離容器では、容器の材質等によっては、スクイズ領域の可撓性及び復元性を確保するために、段差部の段差を大きくし、あるいはリブ部をより深い形状のものとする必要がある。
【0007】
しかし、段差部の段差を大きくし、あるいはリブ部をより深い形状のものとすると、段差部ないしリブ部の部分において内層体も潰れ難い形状となるので、内容物を吐出した後、段差部ないしリブ部において内層体が外層体から剥離し難くなるという問題が生じるおそれがある。
【0008】
これに対し、段差部の段差を小さくし、あるいはリブ部をより浅い形状のものとすると、スクイズ領域の可撓性及び復元性を十分に高めることができず、内容物の吐出操作性を維持することができなくなる。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物の吐出操作性を維持しつつ内層体の剥離性を高めることが可能なスクイズタイプの積層剥離容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の積層剥離容器は、外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部と、前記胴部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、前記胴部が、周状の段差部を介して前記肩部に連なるスクイズ領域を備え、前記段差部が、前記スクイズ領域に直接連なっており、前記段差部に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられており、前記肩部に、容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる凹リブが設けられ、前記凹部が前記凹リブの下方に該凹リブと周方向位置を一致させて配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記凹部が、前記肩部の側から前記胴部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されているのが好ましい。
【0012】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記段差部に、周方向に間隔を空けて複数の前記凹部が設けられているのが好ましい。
【0014】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記段差部が、前記肩部の側から前記スクイズ領域の側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状であるのが好ましい。
【0015】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記胴部が、周状の副段差部または周状の副リブ部を介して前記スクイズ領域の下端に連なる補強領域を備えているのが好ましい。
【0016】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記外層体と前記内層体とが、ポリエチレンテレフタレート製であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内容物の吐出操作性を維持しつつ内層体の剥離性を高めることが可能なスクイズタイプの積層剥離容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態である積層剥離容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態である積層剥離容器1について詳細に例示説明する。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、
図1に示すように、積層剥離容器1を正立姿勢とした状態における上下方向(軸線Oが延びる方向)を意味するものとし、径方向は、積層剥離容器1の軸線Oを通るとともに軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0021】
図1に示す積層剥離容器1は、例えば、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等の種々の内容物を収納する用途に用いることができるスクイズタイプのものであり、外層体2と内層体3とを有する二重構造となっている。
【0022】
外層体2は積層剥離容器1の外殻を構成するものであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)製となっている。なお、外層体2は、単層構造に限らず、ポリエチレンテレフタレートを主材として構成されていれば、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものとすることができる。
【0023】
内層体3もポリエチレンテレフタレート(PET)製となっている。内層体3は、外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成され、外層体2の内面に剥離可能に積層されている。外層体2の内面に対する内層体3の剥離は、接着状態からの剥離、相溶性のない樹脂積層物の場合における擬似接着状態からの剥離、密着状態からの離間、の何れであってもよい。内層体3の内部は、口部4の開口に連なる収納空間Sとなっており、収納空間Sに内容物を収納することができる。内層体3は、内容物が収納空間Sから外部に注出されるのに伴って、外層体2の内面から剥離しつつ、その内容積を減少させるように減容変形自在である。なお、内層体3も、単層構造に限らず、ポリエチレンテレフタレートを主材として構成されていれば、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものとすることができる。
【0024】
本実施の形態では、積層剥離容器1は、外層体2及び内層体3の何れもが2軸延伸可能なポリエチレンテレフタレートで形成されたポリエチレンテレフタレート製となっている。このようなポリエチレンテレフタレートとしては、例えばホモPET等が挙げられるが、IPA(イソフタル酸)変性PET又はCHDM変性PET等の他のPETを用いることができる。外層体2を構成するポリエチレンテレフタレートと、内層体3を構成するポリエチレンテレフタレートとは同じ構成とすることも異なる構成とすることもできる。
【0025】
外層体2及び内層体3をポリエチレンテレフタレート製としたことにより、積層剥離容器1を軽量で強度が高く、また透明度の高い容器とすることができる。
【0026】
なお、外層体2及び内層体3は、ポリエチレンテレフタレート製に限らず、例えばポリプロピレン(PP)製やポリエチレン(PE)製など、他の合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。
【0027】
積層剥離容器1は、口部4と、口部4の下端に連なる肩部5と、肩部5の下端に連なる胴部6と、胴部6の下端に連なる底部7とを有するボトル形状となっている。
【0028】
口部4は、軸線Oを中心とする略円筒状となっており、その外周面には注出キャップ等の部材を装着するための雄ねじ4aが一体に設けられている。また、口部4の雄ねじ4aよりも下方側にはネックリング8が一体に設けられている。
【0029】
口部4の外周面に、雄ねじ4aに替えて、注出キャップ等の部材を打栓によってアンダーカット係合させる突起を設けた構成とすることもできる。また、ネックリング8を設けない構成とすることもできる。
【0030】
口部4には外気導入口9が設けられている。実施の形態では、外気導入口9は、外層体2の口部4を構成する部分に当該外層体2を径方向に貫通する貫通孔として設けられている。外気導入口9は、外層体2と内層体3との間に連なっており、内層体3が外層体2から剥離するのに伴って、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる。
【0031】
肩部5は下方に向けて徐々に拡径する形状となっている。本実施の形態では、肩部5は容器外方に向けて凸のドーム状となっており、その軸線Oに垂直な断面形状は略円形である。
【0032】
肩部5には、周方向に等間隔に並べて複数(18本)の凹リブ10(便宜上、
図1においては1つの凹リブにのみ符号を付してある。)が周方向に等間隔に並べて設けられている。これらの凹リブ10は、それぞれ容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる溝状となっている。肩部5に複数の凹リブ10を設けた構成とすることにより、口部4に設けられた外気導入口9から胴部6に向けて外層体2と内層体3との間に外気の通路が容易に形成されるようにして、内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0033】
なお、肩部5は、下方に向けて徐々に拡径する形状であれば、その形状は種々変更可能である。また、肩部5は、凹リブ10が設けられない構成とすることもできる。
【0034】
胴部6は、全体として略円筒状となっており、スクイズ領域6aと補強領域6bとを有している。積層剥離容器1は、胴部6のスクイズ領域6aを容器内方に向けてスクイズ(押圧)することで、収納空間Sに収納されている内容物を口部4から外部に押し出して吐出させることができる。
【0035】
スクイズ領域6aは、胴部6の上下方向の肩部5の側の所定範囲に設けられている。
【0036】
スクイズ領域6aは、上端6a1と下端6a2との間に最大径部分を有する太鼓形(樽形)となっており、その軸線Oに垂直な断面形状は円形となっている。スクイズ領域6aは可撓性を有しており、径方向内側に向けてスクイズ(押圧)されることにより径方向内側(容器内方)に向けて弾性変形することができる。また、スクイズ領域6aは復元性を有しており、スクイズが解除されると変形状態から元の形状に復元することができる。スクイズ領域6aには、周方向リブは設けられていない。
【0037】
本実施の形態の積層剥離容器1では、スクイズ領域6aを、上端6a1と下端6a2との間に最大径部分を有する太鼓形としたので、スクイズ領域6aを上端6a1と下端6a2との間の全ての範囲で外径が同一の円筒状とした場合に比べて、スクイズにより径方向内側に変形したスクイズ領域6aの、元の形状への復元力を高めることができる。したがって、内容物の吐出後、スクイズを解除したときに、スクイズ領域6aが速やかに元の形状に復元するようにして、スクイズタイプとされた積層剥離容器1の、内容物を吐出するための吐出操作性を良好なものとすることができる。
【0038】
なお、スクイズ領域6aは、太鼓形に限らず、上端6a1と下端6a2との間で径が一定の円筒状であってもよく、上端6a1と下端6a2との間に最小径部分を有するくびれ形状であってもよい。
【0039】
スクイズ領域6aの上端6a1の外径は肩部5の下端の外径よりも小さくなっており、スクイズ領域6aの上端6a1と肩部5の下端との間は、軸線Oを中心とした周状の段差部11となっている。すなわち、スクイズ領域6aの上端6a1は、周状の段差部11を介して肩部5の下端に連なっている。
【0040】
本実施の形態では、段差部11は、肩部5の側からスクイズ領域6aの側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっている。これにより、段差部11の剛性を高めて、スクイズ領域6aがスクイズされたときに、段差部11がスクイズ領域6aとともに変形することを抑制して、スクイズ領域6aの吐出操作性を高めることができる。
【0041】
補強領域6bは、スクイズ領域6aよりも大径の略円筒状となっており、その外周面には周方向に延びる凹溝状の2本の環状リブ6b1が設けられている。補強領域6bは、2本の環状リブ6b1が設けられることにより、スクイズ領域6aよりも径方向に向けた剛性が高くなっている。
【0042】
補強領域6bの上端の外径はスクイズ領域6aの下端6a2の外径よりも大きくなっており、補強領域6bの上端とスクイズ領域6aの下端6a2との間は、軸線Oを中心とした周状の副段差部12となっている。すなわち、補強領域6bの上端は、副段差部12を介してスクイズ領域6aの下端6a2に連なっている。
【0043】
胴部6に、副段差部12を介してスクイズ領域6aの下端6a2に連なる補強領域6bを設けたことにより、スクイズ領域6aの下端6a2が副段差部12を介して補強領域6bに強固に支持されるようにして、スクイズ領域6aの吐出操作性を高めることができる。
【0044】
底部7は、軸線Oを中心とする円環状の接地部7aと、接地部7aの内側に位置する底面パネル7bとを有している。底部7は胴部6の下端を閉塞している。
【0045】
上記構成の積層剥離容器1は、ブロー成形品となっている。
【0046】
積層剥離容器1をブロー成形品とする場合には、例えば、ポリエチレンテレフタレートを射出成形して形成された外体と、外体とは別にポリエチレンテレフタレートを射出成形して形成された内体とを組み合わせた二重構造のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって積層剥離容器1を形成することができる。この場合、外体は外層体2に対応し、内体は内層体3に対応する。
【0047】
なお、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とを積層した構成の積層プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって形成されたものとすることもできる。
【0048】
また、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とが積層された円筒状の積層パリソンを、分割式の金型を用いてブロー成形する押出ブロー成形(EBM:Extrusion Blow Molding)によって形成されたものとすることもできる。
【0049】
肩部5と胴部6のスクイズ領域6aとの間に設けられた段差部11には、容器内方に向けて凹む凹部20が設けられている。本実施の形態では、段差部11には、6つの凹部20が周方向に等しい間隔を空けて設けられている。なお、
図1には、3つの凹部20のみが示されている。
【0050】
これらの凹部20は、
図2に示すように、縦断面において平らな形状となる底壁20aと、底壁20aの周囲を囲むとともに底壁20aを段差部11の外周面に連ねる湾曲した周壁20bとを有するとともに、肩部5の側から胴部6の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている。なお、周壁20bは、段差部11の外周面から底壁20aに向けて延びる傾斜壁であってもよい。
【0051】
このように、本実施の形態の積層剥離容器1では、肩部5と胴部6のスクイズ領域6aとの間に設けられた段差部11に、容器内方に向けて凹む凹部20を設けるようにしたので、内容物が吐出されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、凹部20を起点として内層体3が潰れを生じるようにして、段差部11において内層体3が外層体2に対して容易に剥離することができるようにすることができる。したがって、積層剥離容器1を、スクイズ領域6aの可撓性及び復元性を確保するために、肩部5とスクイズ領域6aとの間に周状の段差部11を設けた構成としても、内容物の吐出の際に、段差部11において内層体3を凹部20を起点として外層体2から容易に剥離されるようにすることができる。よって、積層剥離容器1を、内容物の吐出操作性を維持しつつ内層体3の外層体2からの剥離性を高めたものとすることができる。
【0052】
特に、本実施の形態のように、積層剥離容器1を、外層体2と内層体3とがポリエチレンテレフタレート製となるブロー成形品とした場合には、段差部11において内層体3が外層体2から剥離し難くなるが、本実施の形態のように、段差部11に凹部20を設けることで、このような積層剥離容器1においても、段差部11において、内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0053】
また、本実施の形態の積層剥離容器1では、凹部20を、肩部5の側から胴部6の側に向けて延びる縦リブ状に形成するようにしたので、段差部11の上下方向の全体に亘って内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、段差部11において内層体3を、凹部20を起点として外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0054】
また、本実施の形態の積層剥離容器1では、段差部11に、周方向に間隔を空けて複数の凹部20を設けるようにしたので、段差部11の周方向の複数個所において内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、段差部11において内層体3を外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0055】
図1に示すように、それぞれの凹部20を、肩部5に設けられた対応する凹リブ10の下方に該凹リブ10と周方向位置を一致させて配置された構成とすることもできる。このような構成とすることにより、口部4に設けられた外気導入口9から、凹リブ10により外層体2と内層体3との間に形成された外気の通路が、凹部20において内層体3が外層体2から剥離した部分を通して胴部6の側の外層体2と内層体3との間に連通されるようにして、胴部6において内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0056】
この場合、図示するように、外気導入口9の直下に位置する凹リブ10の下方に凹部20を設けるのが好ましい。これにより、口部4に設けられた外気導入口9から胴部6に向けて真っ直ぐに外気の通路を設けることができ、胴部6において内層体3を外層体2からより剥離し易くすることができる。
【0057】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0058】
例えば、前記実施の形態では、段差部11に複数の凹部20を設けるようにしているが、これに限らず、段差部11に少なくとも1つの凹部20が設けられていればよい。
【0059】
また、前記実施の形態では、凹部20の形状は縦リブ状とされているが、これに限らず、容器内方に向けて凹んだ形状であれば、種々の形状とすることができる。なお、段差部11に、凹部20に代えて容器外方に向けて突出する凸部を設けるようにしてもよい。この場合、凸部の径方向外側に向けた突出高さは、肩部5の最大径以下とする。
【0060】
さらに、前記実施の形態では、段差部11は、肩部5の側からスクイズ領域6aの側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっているが、これに限らず、例えば容器内方に向けて凸となる湾曲形状としたり、肩部5の側からスクイズ領域6aの側に向けて徐々に縮径する傾斜面(円錐)形状としたりするなど、種々の形状とすることができる。
【0061】
さらに、スクイズ領域6aの上端6a1を、周方向に延びるとともに容器内方に凹む環状溝に形成された周状のリブ部を介して肩部5の下端に連なる構成とし、このリブ部に凹部20を設けた構成とすることもできる。この場合、リブ部を、底壁、上側傾斜壁及び下側傾斜壁を有する、縦断面が半円形ないし台形の形状のものとし、底壁、上側傾斜壁及び下側傾斜壁の少なくとも何れか1つにのみ凹部20を設けた構成とし、あるいは底壁、上側傾斜壁及び下側傾斜壁の少なくとも2つの部分を跨いで凹部20を設けた構成とすることができる。このように、積層剥離容器1を、スクイズ領域6aの可撓性及び復元性を確保するために、肩部5とスクイズ領域6aとの間に周状のリブ部を設けた構成とした場合であっても、内容物の吐出の際に、段差部11において内層体3を、凹部20を起点として外層体2から容易に剥離されるようにして、上記と同様の効果を得ることができる。
【0062】
胴部6に補強領域6bを設けた場合には、補強領域6bの上端を、周状の副リブ部を介してスクイズ領域6aの下端6a2に連なる構成としてもよい。この場合、周状の副リブ部は、周方向に延びるとともに容器内方に凹む環状溝に形成することができる。
【0063】
さらに、前記の実施の形態では、口部4、肩部5及び胴部6は、それぞれ軸線Oに垂直な断面が円形となる形状を有しているが、これに限らず、例えば、当該断面が多角形又は楕円形などの他の形状とすることもできる。
【0064】
さらに、前記の実施の形態では、外気導入口9を、外層体2の口部4を構成する部分に、当該部分を径方向に貫通する貫通孔として設けるようにしているが、これに限らず、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる構成であれば、肩部5、胴部6及び底部7の何れかの部分に設けるようにしてもよく、また、その形態も貫通孔に限らず、スリット状でも、外層体2と内層体3との境界に開口する隙間状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 積層剥離容器
2 外層体
3 内層体
4 口部
4a 雄ねじ
5 肩部
6 胴部
6a スクイズ領域
6a1 上端
6a2 下端
6b 補強領域
6b1 環状リブ
7 底部
7a 接地部
7b 底面パネル
8 ネックリング
9 外気導入口
10 凹リブ
11 段差部
12 副段差部
20 凹部
20a 底壁
20b 周壁
O 軸線
S 収納空間