(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】板状アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240318BHJP
H01Q 1/32 20060101ALN20240318BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2020042245
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】安住 健二
(72)【発明者】
【氏名】小島 正雄
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-500821(JP,A)
【文献】特開2012-044653(JP,A)
【文献】特開2003-174316(JP,A)
【文献】実開平02-126413(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形状のアース素子と、
該アース素子上に第1所定間隔で配置された前記アース素子より小さい
正方形状の励振素子と、
前記アース素子から第2所定間隔で下方に配置される前記アース素子より小さい
正方形状の無給電素子と、
を備え
、
前記無給電素子は、前記アース素子にも前記励振素子にも接続されていない無給電の素子であることを特徴とする板状アンテナ。
【請求項2】
設計周波数の波長をλとしたときに、前記アース素子の1辺の長さW1が約0.5λ、前記励振素子の1辺の長さW2が約0.37λ、前記第1所定間隔D1が約0.058λ、前記第2所定間隔D2が約0.077λとされた場合に、所定の半値角が得られる前記無給電素子の1辺の長さW3を、約0.21λまで短くできることを特徴とする請求項1に記載の板状アンテナ。
【請求項3】
設計周波数の波長をλとしたときに、前記励振素子の1辺の長さW2が約0.37λ、前記無給電素子の1辺の長さW3が約0.39λ、前記第1所定間隔D1が約0.058λ、前記第2所定間隔D2が約0.077λとされた場合に、所定の半値角が得られる前記アース素子の1辺の長さW1を、約0.48λまで短くできることを特徴とする請求項1に記載の板状アンテナ。
【請求項4】
設計周波数の波長をλとしたときに、前記アース素子の1辺の長さW1が約0.5λ、前記励振素子の1辺の長さW2が約0.37λ、前記無給電素子の1辺の長さW3が約0.39λ、前記第1所定間隔D1が約0.058λ、前記第2所定間隔D2が約0.077λとされることを特徴とする請求項1に記載の板状アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化した板状アンテナにおいて所望の半値角を得ることができる板状アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
DSRC(Dedicated Short Range Communication)といわれる狭域通信システムが知られている。DSRCは、電波の到達距離が数メートルないし数十メートルの無線通信システムのことで、ETC(Electronic Toll Collection Systems:自動料金収受システム)やITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)に用いられている。ETCは、自動車が高速道路などの料金所を通過する際、ゲートに設置されたアンテナと車両に搭載した車載機との間で通信を行い、自動的に料金の支払いを行うシステムである。ETCを採用すると、料金所において停止する必要がなくなることから、自動車がゲートを通過する所要時間が大幅に短縮される。このため、料金所付近の交通渋滞を緩和することができると共に、排出ガスを低減することができる。
【0003】
また、ITSは、カー・ナビゲーション・システム(以下、「カーナビ」という)など自動車をインテリジェント化するシステムと、広域交通管制システムなど道路をインテリジェント化するシステムを融合させた交通システムである。例えば、カーナビにはVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)との連携が可能とされたシステムがある。このような場合にITSを用いて、警察が収集した一般路の情報と首都高速道路公団・日本道路公団などが収集した高速道路の情報とをVICS(登録商標)センターが編集して発信する。そして、この情報をカーナビが受信すると渋滞を迂回するルート等を検索してモニターに表示することができるようになる。
【0004】
DSRCやETCのアンテナとしては、一般に、板状アンテナが用いられている。従来の板状アンテナ100の構成を
図8ないし
図10に示す。
図8は従来の板状アンテナ100の構成を示す平面図であり、
図9は従来の板状アンテナ100の構成を示す下面図であり、
図10は従来の板状アンテナ100の構成を示す側面図である。
これらの図に示す従来の板状アンテナ100は、正方形状とされた金属製のアース素子111上にスペーサ114を介して正方形状とされた金属製の励振素子110が所定間隔になるように配置されている。励振素子110には、左下と右上に縮退分離素子が設けられており、縮退分離素子は直角三角形状のCカットで構成されている。励振素子110には給電ケーブル112から給電されている。この場合、給電ピン110aが励振素子110の所定位置に設けられており、給電ピン110aは、絶縁性のスペーサ114内に挿通されて、アース素子111の裏面において給電ケーブル112の中心導体にハンダ付け等により接続されている。また、給電ケーブル112のシールド導体はアース素子111の裏面にハンダ付け等により接続されて、板状アンテナ100は給電ケーブル112により給電されるようになる。すなわち、給電ケーブル112の一端に接続された通信機器からの送信信号は板状アンテナ100に給電されて右旋円偏波が放射され、板状アンテナ100で受信された右旋円偏波の受信信号は給電ケーブル112を伝播して通信機器に供給されるようになる。
【0005】
板状アンテナ100が、5.8GHz帯を利用したETC用のアンテナとされた場合の寸法例を挙げると、
図8に示す同じ寸法とされる励振素子110の横幅と縦幅の長さW22は約21mmとされ、
図8に示す同じ寸法とされるアース素子111の横幅と縦幅の長さW21は約26mmとされ、
図9に示す励振素子110とアース素子111との間隔であるスペーサ114の長さD21は約3mmとされる。ここで、5.8GHzの自由空間波長をλとすると、W21は約0.5λとなり、W22は約0.41λとなる。このような寸法とされた場合の周波数5.8GHzにおける方位角に対する放射強度特性を
図11のグラフに示す。
図11を参照すると、放射強度のピーク値は+7.4dBとされその方位角は+2.80°が得られており、放射強度が3dB低下する方位角範囲である半値角は71.32°が得られている。
【0006】
次に、従来の板状アンテナ100において、アース素子111の横幅と縦幅の長さW21を変えた際の半値角の変化について示す。
アース素子111の長さW21を除いて上記した寸法とされた際の従来の板状アンテナ100において、周波数5.8GHzにおけるアース素子111の長さW21に対する半値角の特性を
図12に示す。
図12ではアース素子111の長さW21を20mm~50mmまで変えたときの半値角特性を示しており、
図12を参照すると、長さW21を20mmから50mmまで長くするにつれて半値角は約73°から約63°まで小さくなっていき放射ビームが次第に狭まっていくことが分かる。長さW21が約31mmを超えた時に目標とする70°の半値角が得られる。ここで、5.8GHzの自由空間波長をλとすると、約31mmの長さW21は約0.6λと表される。すなわち、アース素子111の長さW21を約0.6λ以上とすることで70°以下の半値角とされた指向性を得ることができるようになる。
上記した従来の板状アンテナ100の一例が特許文献1ないし特許文献3にそれぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-135045号公報
【文献】特開2005-269518号公報
【文献】特開2008-109252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最近では、設計周波数の波長をλとした際に板状アンテナのアンテナ部分の大きさが約0.5λ以下に小型化されても、半値角として70°以下が得られる板状アンテナが求められている。70°以下の半値角により、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができる。しかしながら、従来の板状アンテナ100ではアース素子111の横幅と縦幅の長さW21を約26mm(約0.5λ)とすると、半値角が70°を超えてしまい、半値角が70°以下のビームが絞られた指向性を得るためには、従来の板状アンテナ100においては
図12に示すようにアース素子の幅が0.6λを超える大きさとなり、約0.5λ以下の大きさに小型化できないことになる。すなわち、必要とする指向性になるよう制御するには、要求される小型化の大きさを超えるアース素子が必要とされることになり、小型化した板状アンテナにおいて所望の半値角を得ることが困難になると云う問題点があった。
そこで、本発明は、小型化した板状アンテナにおいて所望の半値角を得ることができる板状アンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的を達成することができる本発明の板状アンテナは、矩形状のアース素子と、該アース素子上に第1所定間隔で配置された前記アース素子より小さい矩形状の励振素子と、前記アース素子から第2所定間隔で下方に配置される前記アース素子より小さい矩形状の無給電素子とを備えることを最も主要な特徴としている。
【0010】
また、上記本発明の板状アンテナは、前記無給電素子は正方形状とされており、設計周波数の波長をλとしたときに、所定の半値角が得られる前記無給電素子の1辺の長さを、約0.21λまで短くできることを主要な特徴としている。
さらに、上記本発明の板状アンテナは、前記アース素子は正方形状とされており、設計周波数の波長をλとしたときに、所定の半値角が得られる前記アース素子の1辺の長さを、約0.48λまで短くできることを主要な特徴としている。
さらにまた、上記本発明の板状アンテナは、前記第1所定間隔が約0.058λとされることを主要な特徴としている。
さらにまた、上記本発明の板状アンテナは、前記第2所定間隔が約0.077λとされることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の板状アンテナは、アース素子上に所定間隔でアース素子より小さい励振素子が配置され、アース素子の下にアース素子より小さい無給電素子が配置されているので、設計周波数の波長をλとした際に板状アンテナの大きさが約0.5λ以下に小型化されても、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができる半値角として70°以下が得られる板状アンテナとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例の板状アンテナの構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施例の板状アンテナの構成を示す下面図である。
【
図3】本発明の実施例の板状アンテナの構成を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施例の板状アンテナの構成を示す背面図である。
【
図5】本発明の板状アンテナにおけるアース素子の幅に対する半値角の特性を示す図である。
【
図6】本発明の板状アンテナにおける無給電素子の長さに対する半値角の特性を示す図である。
【
図7】本発明の板状アンテナにおける方位角に対する放射強度特性を示す図である。
【
図8】従来の板状アンテナの構成を示す平面図である。
【
図9】従来の板状アンテナの構成を示す下面図である。
【
図10】従来の板状アンテナの構成を示す側面図である。
【
図11】従来の板状アンテナにおける方位角に対する放射強度特性を示す図である。
【
図12】従来の板状アンテナにおけるアース素子の幅に対する半値角の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施例]
本発明にかかる実施例の板状アンテナ1の構成を
図1ないし
図4に示す。
図1は板状アンテナ1の構成を示す平面図であり、
図2は板状アンテナ1の構成を示す下面図であり、
図3は板状アンテナ1の構成を示す側面図であり、
図4は板状アンテナ1の構成を示す背面図である。
これらの図に示す本発明の実施例の板状アンテナ1は、正方形状とされた導電性の励振素子10と、正方形状とされた導電性のアース素子11と、正方形状とされた導電性のアース素子11と、正方形状とされた導電性の無給電素子13とを備えている。励振素子10とアース素子11と無給電素子13とは金属板を加工して作成することができる。アース素子11の上に絶縁性のスペーサ14を介しての励振素子10が所定間隔D1となるよう配置されている。励振素子10には、左下と右上に縮退分離素子が設けられており、縮退分離素子は所定の大きさの直角三角形状のCカットで構成されている。また、本発明にかかる板状アンテナ1において特徴的な無給電素子13は、アース素子11の下に所定間隔D2となるよう配置されている。励振素子10には給電ケーブル12から給電されている。この場合、給電ピン10aが励振素子10の中心から距離L1の所定位置に設けられており、給電ピン10aは、絶縁性のスペーサ14内に挿通されて、アース素子11の裏面において給電ケーブル12の中心導体にハンダ付け等により接続されている。また、給電ケーブル12のシールド導体はアース素子11の裏面にハンダ付け等により接続されて、板状アンテナ1は給電ケーブル12により給電されるようになる。すなわち、給電ケーブル12の一端に接続された通信機器からの送信信号は板状アンテナ1に給電されて右旋円偏波が放射され、板状アンテナ1で受信された右旋円偏波の受信信号は給電ケーブル12を伝播して通信機器に供給されるようになる。
【0014】
板状アンテナ1が、5.8GHz帯を利用したETC用のアンテナとされた場合の寸法例を挙げると、
図1に示す励振素子10の同じ寸法とされる横幅と縦幅の長さW2は約19mmとされ、
図1に示すアース素子11の同じ寸法とされる横幅と縦幅の長さW1は約26mmとされ、
図2,
図4に示す無給電素子13の同じ寸法とされる横幅と縦幅の長さW3は約20mmとされる。また、
図2に示す励振素子10とアース素子11との間隔であるスペーサ14の長さD1は約3mmとされ、アース素子11と無給電素子13との間隔D2は約4mmとされ、給電ピン10aの励振素子10の中心からの距離L1は約5.5mmとされる。ここで、5.8GHzの自由空間波長をλとすると、長さW1は約0.5λとなり、長さW2は約0.37λとなり、長さW3は約0.39λとなり、長さD1は約0.058λとなり、長さD2は約0.077λとなり、距離L1は約0.106λとなる。
【0015】
[本発明にかかる板状アンテナの電気的特性]
上記説明した本発明の実施例の板状アンテナ1において、設計周波数を5.8GHzとした時に、上記した寸法とされた際の本発明の実施例の板状アンテナ1において、周波数5.8GHzにおける方位角に対する放射強度特性を
図7に示す。
図7を参照すると、放射強度のピーク値として+4.22dBが得られており、この時の方位角は+0.4°となる。また、放射強度が3dB減衰するまでの方位角の範囲である半値角は63.55°が得られており、アース素子11の1辺の長さが従来の板状アンテナ100より短くなってもビームがより絞られた放射強度特性が得られることが分かる。すなわち、本発明の実施例の板状アンテナ1では、設計周波数の波長をλとした際に板状アンテナ1の大きさが約0.5λ以下に小型化されても、70°以下の半値角が得られる板状アンテナとすることができる。これにより、本発明の実施例の板状アンテナ1では、板状アンテナ1の大きさが約0.5λ以下に小型化されても、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができる。なお、
図7に示す方位角に対する放射強度特性は、5.79GHz~5.84GHzの周波数帯域においてもほぼ同様の特性となる。
【0016】
次に、本発明の実施例の板状アンテナ1において、アース素子11の大きさを変えた際の半値角の変化について考察する。
アース素子11の1辺の長さW1を除いて上記した寸法とされた際の本発明の実施例の板状アンテナ1において、周波数5.8GHzにおけるアース素子11の1辺の長さW1に対する半値角の特性を
図5に示す。
図5ではアース素子11の1辺の長さW1を20mm~50mmまで変えたときの半値角特性を示しており、
図5を参照すると、長さW1を20mmから50mmまで長くするにつれて半値角は約73°から約63°まで小さくなっていき放射ビームが次第に狭まっていくことが分かる。長さW1が約25mmとなった時に目標とする70°の半値角が得られる。ここで、5.8GHzの自由空間波長をλとすると、約25mmの長さW1は約0.48λと表される。すなわち、本発明の実施例の板状アンテナ1では、アース素子11の1辺の長さW1を0.5λ以下である約0.48λまで短くして小型化しても、70°以下の半値角を得ることができるようになる。これにより、本発明の実施例の板状アンテナ1では、アース素子11の1辺の長さW1を0.5λ以下である約0.48λまで短くして小型化しても、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができる。なお、
図5に示す長さW1に対する半値角の特性は、5.79GHz~5.84GHzの周波数帯域においてもほぼ同様の特性となる。
【0017】
次に、本発明の実施例の板状アンテナ1において、無給電素子13の大きさを変えた際の半値角の変化について考察する。
無給電素子13の1辺の長さW3を除いて上記した寸法とされた際の本発明の実施例の板状アンテナ1において、周波数5.8GHzにおける無給電素子13の1辺の長さW3に対する半値角の特性を
図6に示す。
図6では、長さW3を5mm~20mmまで変えたときの半値角特性を示しており、
図6を参照すると、長さW3を5mmから20mmまで長くするにつれて半値角は約71°から約63°まで小さくなっていき放射ビームが次第に狭まっていくことが分かる。長さW3が約11mmとなった時に目標とする70°の半値角が得られる。ここで、5.8GHzの自由空間波長をλとすると、約11mmの長さL1は約0.21λと表される。すなわち、無給電素子13の1辺の長さW3を0.5λ以下である約0.21λまで短くして小型化しても、70°以下の半値角を得ることができるようになる。これにより、本発明の実施例の板状アンテナ1では、無給電素子13の1辺の長さW3を0.5λ以下である約0.21λまで短くして小型化しても、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができる。なお、
図6に示す長さW3に対する半値角の特性は、5.79GHz~5.84GHzの周波数帯域においてもほぼ同様の特性となる。
このように、アース素子11の1辺の長さW1を約0.48λの長さと小型化しても半値角の目標である70°の半値角を得ることができる。その際に、無給電素子13は1辺の長さW3を約0.21λとアース素子11より小型化することができると共に、励振素子10の1辺の長さW2は約0.37λとアース素子11より小型化することができる。このように、本発明にかかる板状アンテナ1においては、設計周波数の波長をλとした際に板状アンテナ1の大きさが約0.5λ以下に小型化されても、半値角として70°以下を得ることができ、所望の方向以外からの電波を受けない指向性とすることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明した本発明にかかる実施例の板状アンテナにおいて、板状アンテナの設計周波数や寸法の値は、上記記載した値に限定されるものではなく、板状アンテナにおいて上記記載した機能および作用と同等の機能および作用を奏することができる値とされていれば、上記記載した値に限定されるものではない。すなわち、寸法の値には、上記記載した値の上下に許容範囲があり、この許容範囲は板状アンテナにおいて上記記載した機能および作用と同等の機能および作用を奏する範囲とされている。
以上説明した本発明の板状アンテナでは、DSRCやETCのアンテナに適用することができ、5.79GHz~5.84GHzとされる5.8GHz帯を利用したETC用のアンテナとして使用することができる。そして使用された際に、上記説明したように板状アンテナの大きさを小型化しても目標とする半値角を得ることができるようになる。また、本発明の板状アンテナは、右旋円偏波のアンテナとして説明したが、左旋円偏波のアンテナとしても良い。この場合は、縮退分離素子を左上と右下に設けるようにすればよい。
以上説明した本発明にかかる実施例の板状アンテナにおいて、アース素子の上に所定間隔で励振素子を配置するために、アース素子と励振素子との間にスペーサを設けているが、スペーサを複数設けるようにしたり、励振素子の外辺に沿った枠状のスペーサを設けることができる。また、アース素子の下に所定間隔で無給電素子を配置するために、アース素子と無給電素子との間にスペーサを設けることができる。このスペーサは、複数設けるようにしたり、無給電素子の外辺に沿った枠状のスペーサを設けることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 板状アンテナ
10 励振素子
10a 給電ピン
11 アース素子
12 給電ケーブル
13 無給電素子
14 スペーサ
100 板状アンテナ
110 励振素子
110a 給電ピン
111 アース素子
112 給電ケーブル
114 スペーサ