(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】温度センサ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20240318BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20240318BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240318BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20240318BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01K7/00 A
G01K7/22 L
G01K7/22 J
G01K1/14 E
H01R13/66
H01B7/00 301
(21)【出願番号】P 2022069862
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 開
(72)【発明者】
【氏名】松島 知宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-300456(JP,A)
【文献】特開2014-122811(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108736(JP,U)
【文献】特開2021-139808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G01D 11/00-13/28
H01R 13/56-13/72
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の温度を検知する感温素子と、
前記感温素子を保持する本体部と、
固定対象部位に対して第1方向に沿って着脱可能であり、かつ、当該固定対象部位に組み付けられた状態で前記本体部を前記固定対象部位に固定可能であるクランプ部と、
導電性を有する配索材の端部に設けられ、前記本体部に嵌合した状態で前記感温素子と前記配索材とが電気的に接続された状態となるコネクタとを備え、
前記本体部は、
前記第1方向に沿う挿入方向に沿って延在し、当該挿入方向において先端側で前記感温素子を保持し、前記挿入方向に沿って前記クランプ部の内側に挿入されることで当該クランプ部の内側に位置する保持部と、
前記クランプ部を介して前記固定対象部位に固定された状態で、前記コネクタが嵌合可能であるコネクタ部とを含み、
前記クランプ部は、前記固定対象部位に組み付けられた状態で、当該固定対象部位の内側に位置する端部に設けられ、前記第1方向と交差する方向に沿って形成され、前記保持部に保持された前記感温素子を当該クランプ部の外側に露出させる一対の窓部を有し、
前記保持部は、前記クランプ部の内側に挿入された状態で、前記窓部を挟んで位置する一対の保護壁部を有し、
前記保護壁部は、前記挿入方向において先端側の端部が、前記感温素子の前記先端側の端部よりも前記先端側に突出して位置することを特徴とする、
温度センサ。
【請求項2】
導電性を有する配索材と、
測定対象の温度を検知する感温素子と、前記感温素子を保持する本体部と、固定対象部位に対して第1方向に沿って着脱可能であり、かつ、当該固定対象部位に組み付けられた状態で前記本体部を前記固定対象部位に固定可能であるクランプ部と、前記配索材の端部に設けられ、前記本体部に嵌合した状態で前記感温素子と前記配索材とが電気的に接続された状態となるコネクタとを有する温度センサとを備え、
前記本体部は、
前記第1方向に沿う挿入方向に沿って延在し、当該挿入方向において先端側で前記感温素子を保持し、前記挿入方向に沿って前記クランプ部の内側に挿入されることで当該クランプ部の内側に位置する保持部と、
前記クランプ部を介して前記固定対象部位に固定された状態で、前記コネクタが嵌合可能であるコネクタ部とを含み、
前記クランプ部は、前記固定対象部位に組み付けられた状態で、当該固定対象部位の内側に位置する端部に設けられ、前記第1方向と交差する方向に沿って形成され、前記保持部に保持された前記感温素子を当該クランプ部の外側に露出させる一対の窓部を有し、
前記保持部は、前記クランプ部の内側に挿入された状態で、前記窓部を挟んで位置する一対の保護壁部を有し、
前記保護壁部は、前記挿入方向において先端側の端部が、前記感温素子の前記先端側の端部よりも前記先端側に突出して位置することを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、取り付け対象物の貫通孔に挿入し固定される取り付け用クランプと、取り付け用クランプの内部の先端近傍に埋設されたサーミスタ素子とから成る簡便固定機能付き温度センサが開示されている。この簡便固定機能付き温度センサは、サーミスタ素子、端子、端子に接続されるリード線等をクランプに埋設して一体成形することにより、小型化され、かつ、取り付け対象物に簡単に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような簡便固定機能付き温度センサは、取り付け性や取り付け後のメンテナンス性等の汎用性の点を考慮して各部を別体成型する場合があるが、この場合、サーミスタ素子等の感温素子をクランプに組み付ける必要があり、感温素子をクランプに組み付けるまで当該感温素子を適正に保護することができる構成が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、感温素子を適正に保護することができる温度センサ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度センサは、測定対象の温度を検知する感温素子と、前記感温素子を保持する本体部と、固定対象部位に対して第1方向に沿って着脱可能であり、かつ、当該固定対象部位に組み付けられた状態で前記本体部を前記固定対象部位に固定可能であるクランプ部と、導電性を有する配索材の端部に設けられ、前記本体部に嵌合した状態で前記感温素子と前記配索材とが電気的に接続された状態となるコネクタとを備え、前記本体部は、前記第1方向に沿う挿入方向に沿って延在し、当該挿入方向において先端側で前記感温素子を保持し、前記挿入方向に沿って前記クランプ部の内側に挿入されることで当該クランプ部の内側に位置する保持部と、前記クランプ部を介して前記固定対象部位に固定された状態で、前記コネクタが嵌合可能であるコネクタ部とを含み、前記クランプ部は、前記固定対象部位に組み付けられた状態で、当該固定対象部位の内側に位置する端部に設けられ、前記第1方向と交差する方向に沿って形成され、前記保持部に保持された前記感温素子を当該クランプ部の外側に露出させる一対の窓部を有し、前記保持部は、前記クランプ部の内側に挿入された状態で、前記窓部を挟んで位置する一対の保護壁部を有し、前記保護壁部は、前記挿入方向において先端側の端部が、前記感温素子の前記先端側の端部よりも前記先端側に突出して位置することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、測定対象の温度を検知する感温素子と、前記感温素子を保持する本体部と、固定対象部位に対して第1方向に沿って着脱可能であり、かつ、当該固定対象部位に組み付けられた状態で前記本体部を前記固定対象部位に固定可能であるクランプ部と、前記配索材の端部に設けられ、前記本体部に嵌合した状態で前記感温素子と前記配索材とが電気的に接続された状態となるコネクタとを有する温度センサとを備え、前記本体部は、前記第1方向に沿う挿入方向に沿って延在し、当該挿入方向において先端側で前記感温素子を保持し、前記挿入方向に沿って前記クランプ部の内側に挿入されることで当該クランプ部の内側に位置する保持部と、前記クランプ部を介して前記固定対象部位に固定された状態で、前記コネクタが嵌合可能であるコネクタ部とを含み、前記クランプ部は、前記固定対象部位に組み付けられた状態で、当該固定対象部位の内側に位置する端部に設けられ、前記第1方向と交差する方向に沿って形成され、前記保持部に保持された前記感温素子を当該クランプ部の外側に露出させる一対の窓部を有し、前記保持部は、前記クランプ部の内側に挿入された状態で、前記窓部を挟んで位置する一対の保護壁部を有し、前記保護壁部は、前記挿入方向において先端側の端部が、前記感温素子の前記先端側の端部よりも前記先端側に突出して位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る温度センサ、及び、ワイヤハーネスは、感温素子を適正に保護することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの概略構成を表す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの概略構成を表す分解正面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの概略構成を表す正面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの概略構成を表す側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る温度センサを含むワイヤハーネスの嵌合方向に沿った断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
図1、
図2に示す本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0012】
ワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材W、及び、当該配索材Wの端部に設けられた端子Tを有する端子付き配索材WTと、端子付き配索材WTに接続される温度センサ1とを備える。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブ、グロメット、電気接続箱、コネクタ等の種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0013】
配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。また、配索材Wは、導電性を有する金属棒を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁金属棒であってもよい。
【0014】
端子T(
図6参照)は、例えば、導電性を有する金属材料によって構成され、配索材Wの端末に圧着される圧着端子である。端子Tは、例えば、母材となる金属板に対して、折曲げ加工や切断加工等のプレス加工を実施することによって所定形状に成形される。配索材Wの端部に設けられた端子Tは、後述するコネクタ300に収容、保持される。
【0015】
温度センサ1は、本体部100と、クランプ部200と、コネクタ300とを備える。温度センサ1は、測定対象の温度を検知する感温素子Eを保持する本体部100に対して、端子付き配索材WTの端子Tを保持するコネクタ300を嵌合させることで、感温素子Eと配索材Wとの間を電気的に接続することができるものである。温度センサ1は、例えば、電池パック等に用いられるエアダクトに適用される。例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される電池パックは、電気化学反応によって発熱し、その温度が高温になると発電効率が低下する。そのため、エアダクトは、必要に応じて冷却風を送風し、電池パックを冷却する必要があり、温度センサ1は、送風を制御するために、エアダクトの吸気側に設けられる固定対象部位Aに固定され、エアダクト内の空気温度を検出する部材として用いられる。
【0016】
そして、本実施形態の温度センサ1は、本体部100、クランプ部200が別体成型されており、例えば、固定対象部位Aに対する固定方向(第1方向に相当)に沿う挿入方向に沿って本体部100をクランプ部200に装着する際に、感温素子Eを保護するための構造を備えている。温度センサ1は、当該構造として、本体部100に一対の壁部110a(保護壁部に相当)が適用されることで、感温素子Eをクランプ部200に組み付けるまで感温素子Eを適正に保護することができる構成を実現したものである。以下、
図1~
図6を参照して、温度センサ1を構成する本体部100、クランプ部200、コネクタ300の各構成について詳細に説明する。
【0017】
なお、
図1~
図6のXY方向は、典型的には、固定対象部位Aの延在方向等に相当し、X方向は、固定対象部位Aの奥行方向、Y方向は、固定対象部位Aの幅方向等に相当する。また、Z方向は、固定対象部位Aの高さ方向(厚さ方向)等に相当する。なお、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、温度センサ1がクランプ部200を介して固定対象部位Aに組み付けられた状態での方向として説明し、X方向を奥行方向X、Y方向を幅方向Y、Z方向を高さ方向Zと称する。
【0018】
また、奥行方向Xにおいて先端側とは、本体部100に対してコネクタ300が位置する側等に相当し、奥行方向Xにおいて基端側とは、本体部100に対してクランプ部200が位置する側等に相当する。また、高さ方向Zにおいて上側とは、固定対象部位Aに対してコネクタ300が位置する側(固定対象部位Aであるダクトの外側)等に相当し、高さ方向Zにおいて下側とは、固定対象部位Aに対してクランプ部200が位置する側(ダクトの内側)等に相当する。
【0019】
また、以下の説明では、第1方向は、温度センサ1を固定対象部位Aに固定する際に、クランプ部200を固定対象部位Aの挿入孔Ahに挿入する方向であり、高さ方向Zにおいて上側から下側に向かう方向に相当する。また、上述した第1方向に沿う挿入方向は、本体部100をクランプ部200の挿入孔200hに挿入する方向であり、第1方向と同様に、高さ方向Zにおいて上側から下側に向かう方向に相当する。また、本体部100が固定対象部位Aに固定された状態で、本体部100に対してコネクタ300が嵌合する方向は、奥行方向Xに沿う方向、すなわち、高さ方向Zと直交する方向として説明する。そのため、説明の便宜上、クランプ部200を固定対象部位Aの挿入孔Ahに挿入する方向、及び、本体部100をクランプ部200の挿入孔200hに挿入する方向を挿入方向Z1、本体部100に対してコネクタ300が嵌合する方向を嵌合方向X1と称する(
図5、
図6を参照)。
【0020】
本体部100は、
図2、
図6に示すように、保持部110と、コネクタ部120とを含んで構成され、各部は、絶縁性を有する樹脂材料によって一体で形成される。
【0021】
保持部110は、挿入方向Z1に沿って延在し、当該挿入方向Z1において先端側で感温素子Eを保持することができる部分である。保持部110は、挿入方向Z1に沿ってクランプ部200に挿入されることで、当該クランプ部200の内側に位置し、クランプ部200を介して固定対象部位Aに固定された状態で、固定対象部位Aの内側に位置する。
【0022】
また、
図2、
図3、
図6に示すように、保持部110は、一対の壁部110aと、壁部110bとを含んで構成される。
【0023】
一対の壁部110aは、奥行方向X及び高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる側壁部である。各壁部110aは、幅方向Yに沿って間隔をあけて対向して位置し、クランプ部200に挿入された状態で当該クランプ部200に設けられた窓部210Kを挟んで位置する。なお、窓部210Kの構成については後述する。
【0024】
一方で、壁部110bは、幅方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、奥行方向Xが板厚方向となる側壁部である。壁部110bは、幅方向Yの両端部が各壁部110aの奥行方向Xにおいて基端側の端部に接続され、クランプ部200に挿入された状態で、当該クランプ部200に設けられた窓部210Kの間に位置する。
【0025】
なお、各壁部110aは、保持部110が感温素子Eを保持した状態で、高さ方向Zの長さが感温素子Eより長くなるように設定され、高さ方向Zにおいて下側(すなわち、挿入方向Z1の先端側)の端部110azの位置K1(
図3、
図6を参照)が感温素子Eの高さ方向Zにおいて下側の端部Ezの位置より低く、高さ方向Zにおいて下側に突出して位置するように形成される。また、壁部110bは、保持部110が感温素子Eを保持した状態で、高さ方向Zの長さが感温素子Eより短くなるように設定され、高さ方向Zにおいて下側の端部の位置が感温素子Eの位置より高くなるように形成される。
【0026】
そのため、保持部110は、高さ方向Zに直交する断面形状がU字型に形成され、奥行方向Xにおいて先端側が開口する内部空間110Sに感温素子Eを収容することができる。また、保持部110は、奥行方向Xに沿って露出する状態で感温素子Eを保持することができる。
【0027】
コネクタ部120は、クランプ部200を介して固定対象部位Aに固定された状態で、固定対象部位Aの外側に位置し、保持部110から挿入方向Z1と交差する(直交する)嵌合方向X1に沿って延在して、嵌合方向X1に沿ってコネクタ300を嵌合させることができる部分である。
図2、
図5、
図6に示すように、コネクタ部120は、一対の壁部120aと、一対の壁部120bと、壁部120cとを含んで構成され、各部が一体となって形成される。各壁部120aは、嵌合方向X1及び高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる側壁部であり、幅方向Yに沿って間隔をあけて対向して位置する。また、各壁部120bは、嵌合方向X1及び幅方向Yに沿って延在し、高さ方向Zが板厚方向となる頂壁部、底壁部であり、高さ方向Zに沿って間隔をあけて対向して位置する。また、壁部120cは、幅方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、嵌合方向X1が板厚方向となる端部壁部であり、幅方向Yの両端部が各壁部120aの嵌合方向X1において基端側に位置する端部にそれぞれ接続され、高さ方向Zの両端部が各壁部120bの嵌合方向X1において基端側に位置する端部にそれぞれ接続される。そのため、コネクタ部120は、矩形箱状に形成され、嵌合方向X1において先端側に位置する開口部120Kからコネクタ300を挿入させて、内部空間120Sにコネクタ300を収容することができる。
【0028】
また、本体部100は、
図1、
図2、
図4、
図6に示すように、コネクタ部120に形成される係止部130を含んで構成される。
【0029】
係止部130は、本体部100がコネクタ300に嵌合した状態で、コネクタ部120を所定の位置(
図6に示すL2)で係止する部分である。係止部130は、
図2に示すように、高さ方向Zの上側に位置する壁部120bの頂壁部外面120b1に設けられ、嵌合方向X1において基端側から先端側に向かって延在するスリットによって形成される枠部である。
【0030】
また、本体部100は、
図2、
図3、
図6に示すように、感温素子Eから延在する端子ETを保持している。端子ETは、例えば、導電性を有する金属材料によって構成されるL字状の端子であり、本体部100にコネクタ300が嵌合することで、コネクタ300の端子Tに接続される。本体部100は、端子ETの一方の端部を内部空間110Sに露出させ、端子ETの他方の端部を内部空間120Sに露出させて当該端子ETを保持しており、例えば、この端子ETと共にインサート成形される。このとき、端子ETは、内部空間110Sに露出した部分に感温素子Eから延在するリード端子Eaが溶接等によって接続される一方、内部空間120Sに露出した部分にコネクタ300の端子Tが接続される。温度センサ1は、内部空間120Sにおいて、感温素子E側の端子ETと配索材W側の端子Tを物理的かつ電気的に接続することで、感温素子Eと配索材Wとの間を電気的に接続することができる。なお、端子ETの形状は特に限定されず、本体部100の形状に合わせて適宜変更することができる。
【0031】
また、本体部100は、
図1、
図2、
図5、
図6に示すように、コネクタ部120に形成される押圧平面部121を含んで構成される。押圧平面部121は、クランプ部200を固定対象部位Aに固定する際に、挿入方向Z1に沿ってコネクタ部120の外面を押圧することができる部分である。押圧平面部121は、挿入方向Z1から視てクランプ部200と部分的に重なって位置し、かつ、挿入方向Z1の手前側(高さ方向Zの上側)に位置する壁部(頂壁部)120bの頂壁部外面120b1に形成される。当該壁部120bは、XY方向に沿って延在し、嵌合方向X1において基端側がクランプ部200と重なっている。そのため、本体部100は、当該壁部120bが押圧されると、その力をクランプ部200の各部に効率的に伝えることができる。
【0032】
クランプ部200は、
図1~
図6に示すように、軸部210と、位置決め部220(
図6を参照)と、一対の固定部230とを含んで構成され、各部は、絶縁性を有する樹脂材料によって一体で形成される。
【0033】
軸部210は、収容部211と、笠部212とを含んで構成される。収容部211は、高さ方向Zに沿って延在し、筒状に形成される壁部である。収容部211は、固定対象部位Aの挿入孔Ahに挿入可能な大きさ(直径)であり、高さ方向Zに沿う長さは、固定対象部位Aの板厚よりも長く形成される。一方で、笠部212は、収容部211の高さ方向Zにおいて上側の端部に形成され、収容部211から放射線状に延在する壁部である。笠部212は、温度センサ1が固定対象部位Aに固定された状態で挿入孔Ahを覆う位置に配置される。
【0034】
位置決め部220は、収容部211に片持ち状に支持され、その先端部に位置決め用爪部221が形成されることで、保持部110が軸部210に組み付けられる際に、保持部110を所定の位置L1(
図6を参照)に係止することができる部分である。位置決め部220は、収容部211の内面から奥行方向Xに突出して形成され、高さ方向Zにおいて下側から上側に向かって延在する。また、各位置決め用爪部221は、奥行方向Xの内方に突出して形成され、壁部110b等の保持部110の壁部を係止する。
【0035】
なお、軸部210は、保持部110が位置決め部220によって係止されることで、保持部110と共に当該保持部110が保持する感温素子Eを収容することができる。
【0036】
また、軸部210は、高さ方向Zにおいて下側の端部に形成され、奥行方向Xに沿って形成される一対の窓部210Kを含んで構成される。各窓部210Kは、保持部110が軸部210に組み付けられ、位置決め部220によって所定の位置L1に係止された状態で、保持部110が保持する感温素子Eを外部(クランプ部200の外側)に向けて露出させて、感温素子Eが外気(軸部210の外部を流れる空気)に触れることを促進することができる部分である。固定対象部位Aを流れる空気は、一対の窓部210Kを介して軸部210を奥行方向Xに沿って通り抜ける際に、感温素子Eに接触する。そのため、感温素子Eは、測定対象である空気の温度を効率的に検知することができる。なお、
図1~
図4等に示す窓部210Kの形状はアーチ状であるが、その形状は、感温素子Eがより空気に触れやすい構造である限り特に限定されず、感温素子E等の各部の仕様に併せて適宜変更することができる。
【0037】
一対の固定部230は、収容部211に片持ち状に支持され、その先端部に固定爪231がそれぞれ形成されることで、クランプ部200が挿入孔Ahに挿入されたときに、本体部100を固定対象部位Aに固定することができる部分である。
図6に示すように、一対の固定部230は、収容部211の外面から奥行方向Xに突出して形成される。また、各固定部230は、奥行方向Xに対して収容部211を挟んで相互に対向する位置に形成され、高さ方向Zにおいて下側から上側に向かって延在する。また、各固定爪231は、奥行方向Xの外方に突出して形成され、クランプ部200が挿入孔Ahに挿入されると当該挿入孔Ahの縁部に係止される。クランプ部200は、一対の固定部230が可撓性を有しており、各固定部230が挿入孔Ahに対して撓みながら挿入可能に形成されること、及び、各固定爪231が挿入孔Ahの縁部に係止されることにより、温度センサ1を固定対象部位Aに固定することができる。
【0038】
コネクタ300は、
図1、
図2、
図6に示すように、複数の端子収容部310と、本体部100に係止される被係止部320と、係止解除操作部330とを含んで構成され、各部は、絶縁性を有する樹脂材料によって一体で形成される。
【0039】
端子収容部310は、端子付き配索材WTが組み付けられることで、配索材Wの端子Tを収容することができる部分である。
図1、
図2、
図4に示すように、端子収容部310は、2つ設けられ、各端子収容部310は、コネクタ300がコネクタ部120に嵌合した状態において、幅方向Yに沿って間隔をあけて位置する。
【0040】
図1、
図2、
図4に示すように、コネクタ300は、複数の壁部(側壁部)300aと、複数の壁部(頂壁部、底壁部)300bとによって形成されるハウジングを含んで構成され、当該ハウジングに複数の端子収容部310が形成される。各端子収容部310は、これらハウジングを構成する複数の壁部300aと、複数の壁部300bとによって形成(区画)される。より具体的には、各壁部300aは、奥行方向Xに沿う嵌合方向X1及び高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる壁部であり、幅方向Yに沿って間隔をあけて対向して位置する。また、各壁部300bは、嵌合方向X1及び幅方向Yに沿って延在し、高さ方向Zが板厚方向となる壁部であり、高さ方向Zに沿って間隔をあけて対向して位置する。これらの構成により、各端子収容部310は、矩形筒状に形成され、嵌合方向X1において先端側(コネクタ300の基端側)に位置する挿通口310K(
図5を参照)から端子Tを挿入させて、その内部に収容することができる。また、各端子収容部310は、その内部に配置されるランス310aと、リテーナ310bとによって端子Tを係止することができる(
図6を参照)。
【0041】
ランス310aは、各端子収容部310の嵌合方向X1において基端側に配置される部材である。ランス310aは、端子Tが挿通口310Kから挿入される際に、嵌合方向X1と交差する方向(高さ方向Zにおいて内方側)に弾性変形することにより、当該端子Tと嵌合し、当該端子Tを各端子収容部310の内部の所定の位置(収容完了位置)で保持することができる。一方で、リテーナ310bは、各端子収容部310の嵌合方向X1において先端側に配置される部材であり、各端子収容部310に収容される端子Tの位置ずれを抑制して、端子を端子収容部310に適正に係止することができる。
【0042】
被係止部320は、コネクタ300が本体部100に嵌合した状態で、本体部100の係止部130に所定の位置L2(
図6を参照)で係止される部分である。
図2に示すように、コネクタ300は、高さ方向Zの上側に位置する壁部300bの頂壁部外面300b1から立設する一対の支持部300cと、壁部300bの延在方向に沿って延在し、その両端部がそれぞれ支持部300cの各々と接続される変形部300dによって形成される可撓部を含んで構成される。被係止部320は、当該可撓部の変形部300dに形成され、嵌合方向X1において先端側から基端側に向かって延在している。また、被係止部320の先端部、すなわち、嵌合方向X1において基端側に被係止爪321が形成され、当該被係止爪321は、高さ方向Zの外方に突出して形成される。
【0043】
係止解除操作部330は、被係止部320と係止部130との間の係止関係を解除することができる部分である。係止解除操作部330は、上述した可撓部によって構成され、一対の支持部300cと、変形部300dとを含んで構成され、変形部300dの嵌合方向X1において先端側(挿通口310K側)に形成される。そのため、係止解除操作部330は、コネクタ300が本体部100に嵌合した状態で、固定対象部位Aの延在方向XYに沿い、かつ、挿入方向Z1の手前側に位置する変形部300dの変形部外面300d1が、挿入方向Z1に沿って押圧されると、変形部300dと共に、一対の支持部300cを高さ方向Zにおいて内方側に弾性変形させる。
【0044】
次に、ワイヤハーネスWHの動作について説明する。
【0045】
まず、作業者は、温度センサ1の本体部100、クランプ部200、コネクタ300を準備する。このとき、温度センサ1の各部は、組み付けられていない状態で設置場所まで輸送されるが、本体部100の保持部110は、感温素子Eを挟んで位置する一対の壁部110aによって、当該感温素子Eに外力がかかることを防止することができる。そのため、本体部100は、感温素子Eを適正に保護することができる。
【0046】
そして、作業者は、本体部100をクランプ部200に組み付ける。このとき、本体部100の保持部110は、挿入方向Z1に沿ってクランプ部200の挿入孔200hから収容部211に挿入される。保持部110の挿入方向Z1において先端側の端部Ezは、感温素子Eの挿入方向Z1において先端側の端部110azよりも挿入方向Z1において先端側に突出して位置している。そのため、本体部100は、クランプ部200の内側に挿入される際に、保持部110の端部Ezよりも内側(高さ方向Zにおいて上側)に位置する感温素子Eがクランプ部200の各部に接触することを防止し、当該感温素子Eに外力がかかること防止することができる。また、保持部110は、位置決め部220によって所定の位置L1に係止される。そのため、保持部110が保持する感温素子Eは、クランプ部200の収容部211に収容され、当該収容部211に形成された窓部210Kのそれぞれから露出する位置に固定される。
【0047】
そして、作業者は、端子付き配索材WTを準備し、端子付き配索材WTの各端子Tをコネクタ300に形成された端子収容部310のそれぞれに収容する。このとき、各端子Tは、各端子収容部310の挿通口310Kから挿入され、各端子収容部310の内部に配置されるランス310aと、リテーナ310bとによって係止される。
【0048】
そして、作業者は、端子付き配索材WTの端部に接続されたコネクタ300の先端部分をコネクタ部120の開口部120Kから内部空間120Sに嵌入させることにより、コネクタ300を本体部100に嵌合させる。このとき、コネクタ300の被係止部320は、本体部100の係止部130によって所定の位置L2に係止される。また、コネクタ300と本体部100との間の係止状態が維持された状態で、コネクタ300側の端子Tと本体部100側の端子ETとが物理的かつ電気的に接続され、配索材Wと感温素子Eとの間が電気的に接続される。
【0049】
そして、作業者は、クランプ部200の収容部211を挿入孔Ahに挿入した状態で、押圧平面部121を挿入方向Z1に沿って押圧することにより、端子付き配索材WTが組み付けられた温度センサ1、すなわち、ワイヤハーネスWHを固定対象部位Aに固定する。このとき、押圧平面部121は、挿入方向Z1の手前側に位置している。そのため、作業者は、例えば1本の指F1で押圧平面部121を押すことができ、簡易な操作方法でワイヤハーネスWHを固定対象部位Aに固定することができる。また、押圧平面部121は、高さ方向Zから視てクランプ部200と部分的に重なる位置に形成されている。そのため、作業者は、クランプ部200の軸芯Zaに近い位置を押圧することができ、本体部100は、押圧平面部121に加えられる外力をクランプ部200に効率的に伝えることができる。したがって、作業者は、より小さい力でワイヤハーネスWHを固定対象部位Aに固定することができる。
【0050】
また、ワイヤハーネスWHは、固定対象部位Aに固定された状態で、本体部100のコネクタ部120及びコネクタ300を挿入方向Z1と交差する(直交する)嵌合方向X1に沿って配置され、コネクタ部120及びコネクタ300は、
図5に示すように、固定対象部位Aに近接して配置される。そのため、ワイヤハーネスWHは、コネクタ300から延びる配索材Wを、固定対象部位Aに沿って配索することができ、かつ、固定対象部位Aからの突出量(高さ方向Zの長さ)を抑えることができる。
【0051】
そして、作業者は、メンテナンス作業や感温素子Eの交換作業の際に、必要に応じて、コネクタ300の係止解除操作部330を押圧することにより、固定対象部位Aに固定された本体部100からコネクタ300を取り外す。このとき、係止解除操作部330は、挿通口310K側に設けられている。そのため、作業者は、
図4に示すように、例えば1本の指F1で係止解除操作部330を押圧し、被係止部320を高さ方向Zにおいて内方側に弾性変形させることによって、被係止部320と係止部130との間の係止関係を解除することができる。さらに、作業者は、被係止部320と係止部130との間の係止関係を解除した状態で、コネクタ300の挿通口310K側の端部を2本の指F2、F3で幅方向Y側から挟むことによって、本体部100からコネクタ300を取り外すことができる。
【0052】
以上で説明した温度センサ1が適用されるワイヤハーネスWHは、測定対象の温度を検知する感温素子Eと、感温素子Eを保持する本体部100と、固定対象部位Aに対して挿入方向Z1(第1方向)に沿って着脱可能であり、かつ、当該固定対象部位Aに組み付けられた状態で本体部100を固定対象部位Aに固定可能であるクランプ部200と、導電性を有する配索材Wの端部に設けられ、本体部100に嵌合した状態で感温素子Eと配索材Wとが電気的に接続された状態となるコネクタ300を備える。また、本体部100は、挿入方向Z1(第1方向に沿う挿入方向)に沿って延在し、当該挿入方向Z1において先端側で感温素子Eを保持し、挿入方向Z1に沿ってクランプ部200の内側に挿入されることで当該クランプ部200の内側に位置する保持部110と、クランプ部200を介して固定対象部位Aに固定された状態で、コネクタ300が嵌合可能であるコネクタ部120とを含み、クランプ部200は、固定対象部位Aに組み付けられた状態で、当該固定対象部位Aの内側に位置する端部に設けられ、挿入方向Z1と交差する方向に沿って形成され、保持部110に保持された感温素子Eを当該クランプ部200の外側に露出させる一対の窓部210Kを有する。また、保持部110は、クランプ部200の内側に挿入された状態で、窓部210Kを挟んで位置する一対の壁部110a(保護壁部)を有し、壁部110aは、挿入方向Z1において先端側の端部110azが、感温素子Eの先端側の端部Ezよりも先端側に突出して位置する。
【0053】
このような構成によれば、温度センサ1は、本体部100の保持部110に設けられ、感温素子Eを挟んで位置する一対の壁部110aによって、輸送時や組み付け動作時に当該感温素子Eに外力がかかることを防止することができる。また、温度センサ1は、壁部110aの端部110azが、感温素子Eの端部Ezよりも挿入方向Z1において先端側に突出して位置することにより、挿入方向Z1に沿って本体部100がクランプ部200の内側に挿入される際に、感温素子Eの端部Ezがクランプ部200の各部に接触することを防止し、当該感温素子Eに外力がかかること防止することができる。したがって、温度センサ1、ワイヤハーネスWHは、感温素子Eを適正に保護することができる。
【0054】
なお、上述した本発明の実施形態に係る温度センサ1、及び、ワイヤハーネスWHは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、本体部に対してコネクタが嵌合する方向は、高さ方向Zと直交する奥行方向Xに沿う方向として説明したが、これに限らない。本体部に対してコネクタが嵌合する方向は、幅方向Yから視て奥行方向Xと交差する方向であってもよく、高さ方向Zに沿う方向であってもよい。
【0056】
また、固定対象部位Aは、エアダクトの吸気側の構造体として説明したが、これに限らない。固定対象部位Aは、車両のエアダクト以外の構造体であってもよい。
【0057】
本実施形態に係る温度センサ、及び、ワイヤハーネスは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 温度センサ
100 本体部
110 保持部
110a 壁部(保護壁部)
110az 壁部の先端側の端部
120 コネクタ部
200 クランプ部
210K 窓部
300 コネクタ
A 固定対象部位
E 感温素子
Ez 壁部の先端側の端部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 奥行方向
Y 幅方向
XY 延在方向
Z 高さ方向
Z1 挿入方向(第1方向)