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特許7455496ソーラーセルアレイ内の構成要素の改修及び修理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ソーラーセルアレイ内の構成要素の改修及び修理
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/36 20140101AFI20240318BHJP
   H02S 40/34 20140101ALN20240318BHJP
【FI】
H02S40/36
H02S40/34
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017176668
(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公開番号】P2018082608
(43)【公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】62/394,623
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,636
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,616
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,627
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,629
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,632
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,649
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,666
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,667
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,671
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,641
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,672
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,274
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,277
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,279
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,282
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,285
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,287
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,289
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーダー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チウ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クロッカー, トム
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターマン, デイル
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】松川 直樹
【審判官】吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-200006(JP,A)
【文献】特開2004-221376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02-31/078
H01L31/18-31/20
H02S10/00-10/40
H02S30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーセル(14)と前記ソーラーセル(14)を取り付け可能な基板(12)を備えるソーラーセルパネルを修理することを含む方法であって、前記基板(12)は、
コーナー領域(26)を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部(24)を有する少なくとも1つのソーラーセル(14)が前記基板(12)に取り付けられているときに、前記基板(12)のエリア(28)が露出されたままとなっており、露出されたままの前記基板(12)の前記エリア(28)が、第1の位置及び第2の位置を含むコーナー導体(20)を含み、
前記ソーラーセル(14)の1つと前記コーナー導体(20)との間の電気的接続を、前記コーナー領域(26)内で確立することができ、且つ、前記電気的接続のエリアが、前記第1の位置及び前記第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさであるように構成されている前記基板(12)であって、
前記コーナー導体(20)の前記第1の位置において第1の相互接続子(64)を前記ソーラーセル(14)の前記1つと接続することにより確立される前記電気的接続を、前記第1の位置とは異なる前記コーナー導体(20)の前記第2の位置において第2の相互接続子を接続することによって修理する、方法。
【請求項2】
前記電気的接続の前記エリアが、前記第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の位置における前記第1の相互接続子(64)が取り外される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の相互接続子が取り外された際に接合部が残る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の位置が前記第1の位置に隣接する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記電気的接続を、前記第1の相互接続子を前記第2の相互接続子と置換して、前記第1の位置とは異なる前記コーナー導体(20)の前記第2の位置において前記第2相互接続子を接続することによって修理する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してソーラーセルパネルに関し、より具体的には、ソーラーセルアレイ内の構成要素の改修及び修理に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な宇宙飛行可能なソーラーセルパネルの組み立ては、ソーラーセルの長いストリングの構築を伴う。これらのストリングの長さは可変であり、例えばセル20個に及び、またそれを超えるような、非常に長いものであり得る。こうした、長くて可変で壊れやすい機材を組み立てることは困難であり、そのために組み立ての自動化が阻害されてきた。
【0003】
現存する解決法では、CIC(セル、相互接続子、及びカバーガラス)ユニットに組み立てられたソーラーセルが用いられる。CICは、CICの一面から平行に延在するセルの前部に接続された、金属ホイルの相互接続子を有する。CICは、互いに近接して設置され、相互接続子によって隣接するセルの底部に接続されている。これらの相互接続子を用いることで、CICは直線状のストリングへと組み立てられる。これら直線状のストリングは手作業で構築され、可変の長さの多数のストリングからなる大きなソーラーセルアレイを形成するようにレイアウトされる。
【0004】
さらに、セルが部分的に影になったときにセルを逆バイアスから保護するため、バイパスダイオードが用いられる。バイパスダイオードは一般的に、ソーラーセルアレイ内の2つの隣接するセルの背面接点間を接続する。
【0005】
ソーラーセルアレイは、人工衛星内で用いられる場合、通常、パネルとしてパッケージ化される。パネルの寸法は、必要な電力、並びに打ち上げ機内に人工衛星を搭載し、格納するために必要なサイズ及び形状といった制約を含む、人工衛星の必要性によって決定される。さらに、パネルを展開する際、パネルの一部を機械固定具のために使用することがしばしば必要になり、ソーラーセルアレイはこれらの箇所を避けなければならない。実際には、パネルは概して長方形であるが、その寸法及びアスペクト比はバリエーションが大きい。このスペースを埋めるCIC及びストリングのレイアウトは、発電量を最大にするために高度にカスタマイズされなければならず、その結果、ソーラーパネル製作工程は手作業が多くなる。
【0006】
そこで、ソーラーセルアレイのカスタマイズ性能を保持しつつソーラーセルアレイの製造の自動化を推進する手段が、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
上述の先行技術の制約を克服し、本明細書を読解且つ理解することによって明らかになるその他の制約を克服するために、本開示は、構造体、方法、及びソーラーセル用の基板から構成されたソーラーセルパネルを説明しており、当該基板は、コーナー領域を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有する少なくとも1つのソーラーセルが基板に取り付けられているときに、基板のエリアが露出されたままとなり、ソーラーセルのための1つ以上の電気的接続が、ソーラーセルの刈り込まれたコーナー部によってできたコーナー領域内で行われ、且つ第1の相互接続子を第1の位置において接続する電気的接続のうちの少なくとも1つが、第1の位置とは異なる、電気的接続のうちの少なくとも1つにおける第2の位置において第2の相互接続子を接続することによって修理されるように構成されている。
【0008】
第2の位置は第1の位置に隣接する。
【0009】
電気的接続のうちの少なくとも1つの、面積は、第1の位置及び第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさである。
【0010】
電気的接続のうちの少なくとも1つの、面積は、第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである。
【0011】
第1の位置における第1の相互接続子が取り外され、第1の相互接続子が取り外された際に接合部が残る。
【0012】
露出されたままの基板のエリアは、1つ以上のコーナー導体を含む。
【0013】
電気的接続のうちの少なくとも1つは、第1の位置とは異なる、電気的接続のうちの少なくとも1つにおける第3の位置において第3の相互接続子を形成することによって修理される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで、図面を参照する。各図面を通じて、類似の参照番号は対応する部品を表す。
【0015】
図1】ソーラーセルパネルの従来型の構造を示す。
図2】ソーラーセルパネルの従来型の構造を示す。
図3A-3B】一実施例に係る、ソーラーセルパネルの改良型の構造を示す。
図4A-4B】一実施例に係る、ソーラーセルパネル用の代替的な構造体を示す。
図5図3Aから図3B及び図4Aから図4Bの改良型ソーラーセルパネルで用いられ得る例示的なソーラーセルの前面を示す。
図6図5の例示的なソーラーセルの背面を示す。
図7】一実施例に係る、アレイの2D格子状に配列されたセルを示す。
図8】コーナー領域内の基板の露出したエリアに、1つ以上のバイパスダイオードが追加された、アレイの一実施例を示す。
図9】バイパスダイオードがセルの背面に付けられ、バイパスダイオード用の相互接続子又は接点が前面接点と背面接点との間のコーナー領域内に延在している、一実施例を示す。
図10】バイパスダイオード用の相互接続子又は接点が前面接点と背面接点の間のコーナー領域内に延在している、図9の実施例の前面図を示す。
図11】アレイの2Dグリッドに配列され基板に付けられた図9及び図10のセルであって、バイパスダイオードがセルの背面に付けられ、バイパスダイオード用の接点がセルのコーナー領域内に延在している、図9及び図10のセルを示す。
図12】一実施例に係る、アレイのセル間の上方向/下方向の直列接続を示す。
図13】一実施例に係る、アレイのセル間の左方向/右方向の直列接続を示す。
図14】一実施例に係る、アレイの複数のソーラーセル間の接続スキームを示す。
図15】一実施例に係る、基板が可撓性シートの組立品である実施例の側面図である。
図16】一実施例に係る、ソーラーセルからの金属ホイル相互接続子が接続パッドから分離された実施例を示す。
図17】一実施例に係る、第2の接続を金属ホイル相互接続子によって行うことができるほどに接続パッドの面積が十分に大きい、図16の実施例の一つの提案された修理工程である。
図18】一実施例において、修理構成要素がどのように使用されているかを示す。
図19】一実施例に係る、ソーラーセル、ソーラーセルパネル、及び/又は人工衛星を製造する方法を示す。
図20】一実施例に係る、結果的に得られる、ソーラーセルからなるソーラーセルパネルを有する人工衛星を示す。
図21】一実施例に係る、機能ブロック図の形態のソーラーセルパネルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明で、本明細書の一部である添付図面を参照する。これらの添付図面は、本開示が実施され得る具体的な実施例を例示する目的で示されている。他の実施例も利用可能であることと、本開示の範囲を逸脱することなく構造的な変更が加えられてよいことは、理解されるべきである。
【0017】
概要
例えば宇宙飛行用電力の用途に用いられる、ソーラーセルアレイの設計に関する新たな手法は、アレイ内のソーラーセル間の電気的接続に基づいている。
【0018】
これらの新たな手法は、ソーラーセルの構成要素及びアレイ内のソーラーセルの配列を配列し直すものである。ソーラーセルを接続して長い直線状のストリングにしてから基板上に組み立てる代わりに、ソーラーセルを個別に基板に取り付け、隣接するセルのコーナー領域が基板上で位置合わせされるようにして、基板のあるエリアを露出させる。セル間の電気接続は、基板上又は基板内でこれらのコーナー領域内に形成された、コーナー導体によってなされる。結果として、この手法は、個別のセルをベースにしたソーラーセルアレイの設計を提示している。
【0019】
こうして、ソーラーセルアレイの製作に際して、単一のレイダウンプロセスとレイアウトが用いられ得る。ソーラーセル間の電流は、基板内にはめ込まれた導体によって補助される。これらの電気的接続によって、そのソーラーセルアレイの具体的な特性、例えばその寸法、ステイアウト区域、及び回路の終端が規定される。この手法によって製造が簡素化され、自動化が可能になり、コストと搬送時間が削減される。
【0020】
図1及び図2は、基板12、アレイ内に配列された複数のソーラーセル14、及びソーラーセル14間の電気コネクタ16を含む、ソーラーセルパネル10の従来型構造を示す。図1にはハーフサイズのソーラーセル14が、図2にはフルサイズのソーラーセル14が示されている。宇宙用ソーラーセル14は、円形のゲルマニウム(Ge)基板の出発材料から作られる。より高密度でソーラーセルパネル10に搭載するため、これらは後に、準長方形の形状に加工される。このウエハは、しばしば1つ又は2つのソーラーセル14にダイスカットされる。これらは、ここではハーフサイズ又はフルサイズのソーラーセル14として記載される。ソーラーセル14間を電気的に接続する電気コネクタ16は、ソーラーセル14間の長い平行な端部に沿って作られている。ソーラーセル14が接続されてできるストリングは、任意の数のソーラーセル14の長さを持つように構築されるので、(セルとセルとの)これらの直列接続は、基板に取り付けられていない状態で完成される。ソーラーセル14のストリングは、完成した後に基板12に当てられ、取り付けられる。
【0021】
図2では、配線18がソーラーセル14のストリングの終端に取り付けられており、これは、ストリングを他のストリングに電気的に接続するためか、又は、配線を終端処理して回路とし、ソーラーセル14のアレイの電流をここで断ち切るためである。ストリングとストリングの間の接続及び回路終端の接続は、通常、基板12上で行われ、通常、配線18を用いて行われる。しかし、あるソーラーセルパネル10では、導体がはめ込まれたプリント回路基板(PCB)タイプの材料が用いられる。
【0022】
接続されたソーラーセル14でできた、隣接するストリング同士は、平行又は反平行に延びてもよい。加えて、接続されたソーラーセル14でできたストリングは、整列されていてもよく、整列されなくてもよい。ソーラーセル14のレイアウトに対して互いに競合する影響を与えるものは多い。その結果、ソーラーセル14が平行な領域又は反平行である領域、整列されている領域又は整列されていない領域が存在する。
【0023】
図3A及び図3Bは、一実施例に係る、ソーラーセルパネル10aの改良された装置及び構造を示す。図3Bは、図3Aの破線円内の詳細拡大図である。図5から図13では、ソーラーセルパネル10aの様々な構成要素が示され、より詳細に記載されている。
【0024】
ソーラーセルパネル10aは、上に1つ以上のコーナー導線20を有する、ソーラーセル14用の基板12を含む。一実施例では、基板12は、1つ以上のパターニングされた金属層を分離する1つ以上のKapton(登録商標)(ポリイミド)層からなる、多層基板12である。基板12は、従来型の組立品と同様の、大きな剛性の基板10aに装着されていてよい。代わりに、基板12は、装着用又は展開用の、より軽くより薄いフレーム又はパネル10aに装着され得る。
【0025】
アレイ22の2次元(2ーD)格子状で、複数のソーラーセル14が基板12に取り付けられている。この実施例では、アレイ22は、4段×24列に配列された、96個のソーラーセル14から構成されているが、異なる実装形態では、任意の数のソーラーセル14が用いられ得ることが、認められている。
【0026】
ソーラーセル14は、破線円によって示されるように、コーナー領域26を画定する刈り込まれたコーナー部24を有する。ソーラーセル14は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして、基板12に取り付けられており、それによって基板12のエリア28が露出する。基板12の露出しているエリア28は、1つ以上のコーナー導体20を含み、ソーラーセル14の刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26内で、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の1つ以上の電気的接続がなされている。
【0027】
この実施例では、コーナー導体20は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられる前及び/又は後に、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12内に埋設されたか、基板12上に堆積した導電経路であって、隣接するソーラーセル14間の接続を促進する。ソーラーセル14とコーナー導体20との間の接続は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後に行われる。
【0028】
一実施例では、4つの隣接するソーラーセル14が基板12上で位置合わせされ、各ソーラーセル14から1つずつの計4つの刈り込まれたコーナー部24がコーナー領域26で集まって一緒になっている。次に、ソーラーセル14は基板12に個別に取り付けられる。このときソーラーセル14はコーナー導体20の上に置かれ、ソーラーセル14とコーナー導体20との間で電気的接続が行われる。
【0029】
ソーラーセル14は、CIC(セル、相互接続子、カバーグラス)ユニットとして基板12に付けられてもよい。代わりに、未被覆のソーラーセル14を基板12上で組み立て、その後にソーラーセル14に相互接続子を付け、続いて単セルのソーラーセル14用カバーガラス、マルチセルのソーラーセル14用カバーガラス、マルチセルのポリマーカバーシート、又はスプレー式封止材を付けることもできる。この組立品は、ソーラーセル14を、性能を制限するような損傷から保護する。
【0030】
図4A及び図4Bは、一実施例に係る、ソーラーセルパネル10aの代替的な構造を示す。図4Bは、図4Aの破線円内の詳細拡大図である。この実施例では、ごく少数のコーナー導体20のみが、基板12上にプリントされているか、又は基板12に組み込まれている。代わりに、コーナー導体20のほとんどが、基板12に取り付けられている電力ルーティングモジュール(PRM)30内に含まれている。
【0031】
図5は、図3A図3B、及び図4A図4Bの改良型ソーラーセルパネル10aで用いられ得る、例示のソーラーセル14の前面を示す。CICユニットであるソーラーセル14は、ハーフサイズのソーラーセル14である。(フルサイズのソーラーセル14もまた用いられ得る。)
【0032】
破線円で示されるように、ソーラーセル14は、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有するように製作されており、それによって、刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26には、ソーラーセル14との電気的接続をなす少なくとも1つの接点32、34が含まれる。図5に示す実施例では、ソーラーセル14は2つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、ソーラーセル14の前面にある前面接点32と、ソーラーセル14の背面にある背面接点34とを有し、接点32及び接点34はコーナー領域26内に延在している。(フルサイズのソーラーセル14は4つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、1つの前面接点32及び1つの背面接点34を有する。)
【0033】
刈り込まれたコーナー部24があることによって、ソーラーセル14の出発材料として円形のウエハを利用することが多くなる。従来型のパネル10では、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後、これらの刈り込まれたコーナー部24は、結果的にパネル10上の不使用スペースになってしまう。しかし、本開示で記載するこの新たな手法では、この不使用スペースが利用される。具体的には、コーナー導体20、前面接点32、及び背面接点34を備える金属ホイル相互接続子が、コーナー領域26に移動される。これに対して、既存のCICは、相互接続子がソーラーセル14の前面に取り付けられており、ストリングの作製中に背面(接続が起こるところ)に接続される。
【0034】
ソーラーセル14によって生成された電流は、細型の金属フィンガー38と、どちらの前面接点32にも接続されたより広い金属バスバー40との格子36によって、ソーラーセル14の前面上で集電される。格子36に金属を追加してソーラーセル14に入る光を減らしソーラーセル14の出力を減らすことと、金属が増えることで抵抗が減少することとは、バランスの関係にある。バスバー40は低抵抗導体であり、大電流を搬送すると共に、前面接点32が切断された場合には冗長性も提供する。一般的に、最適化のためには前面接点32間に直接延びる短いバスバー40が必要とされる。刈り込まれたコーナー部24内に前面接点32を有することによって、バスバー40をソーラーセル14の外周から離す結果となる。これが達成される一方、同時に、バスバー40の長さが最小化され、光遮蔽が最小化される。さらに、これによってフィンガー38も短くなる。これによって、格子36内の寄生抵抗が減少する。なぜならば、フィンガー38の長さが短くなり、搬送される電流の総量が減少するからである。これによって、細型のフィンガー38をより短くするために、前面接点32と接続相手のバスバー40を移動する、という設計上の好みが生まれる。
【0035】
図6は、図5の例示のソーラーセル14の背面を示す。ソーラーセル14の背面は、どちらの背面接点34にも接続している、金属背面層42を有する。
【0036】
図7は、一実施例に係る、アレイ22の2D格子状に配列されたソーラーセル14を示す。アレイ22は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして基板12に取り付けられている、複数のソーラーセル14を備えており、それによって基板12のエリア28が露出している。ソーラーセル14間の電気的接続(図示せず)は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34、並びに、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内に形成されたコーナー導体20(図示せず)を用いて、基板12の露出したエリア28内で、なされている。
【0037】
組み立て中、ソーラーセル14は、基板12に個別に取り付けられる。この組み立ては、支持面、すなわち基板12上で直接行われてもよく、この基板は剛性と可撓性のどちらでもあり得る。代わりに、ソーラーセル14は、仮の支持面上でアレイ22の2D格子状に組み立てられ、その後に最終的な支持面、すなわち基板12へと移送されてもよい。
【0038】
図8は、 コーナー領域26における基板12の露出したエリア28に、1つ以上の電気接続で用いるための1つ以上のバイパスダイオード44が追加された、アレイ22の一実施例を示す。バイパスダイオード44は、ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合にソーラーセル14を保護する。ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合とは、部分的に影になったせいでもあり得るが、その場合には、ソーラーセル14に逆バイアスがかかる。一実施例では、バイパスダイオード44は、ソーラーセル14から独立して、コーナー領域26において基板12に取り付けられている。
【0039】
図9は、バイパスダイオード44がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の相互接続子又は接点46が、背面層42に接続され、さらに前面接点32と背面接点34との間でコーナー領域26内に延在している、一実施例を示す。
【0040】
図10は、バイパスダイオード44(図示せず)用の相互接続子又は接点46が前面接点32と背面接点34の間でコーナー領域26内に延在している、図9の実施例の前面図を示す。
【0041】
図11は、アレイ22の2D格子状に配列され基板12に付けられた、図9及び図10のソーラーセル14を示す。ここでは、バイパスダイオード44(図示せず)がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の接点46がソーラーセル14のコーナー領域26内に延在している。
【0042】
この手法の1つの利点は、図7図8、及び図11で示されるレイアウトが、普遍化されたレイアウトであることである。具体的には、これらのレイアウトは、パネル10aの顧客が所望する任意の寸法にわたって、反復することができる。これによって、組み立て、改修、試験、及び検査の各工程が非常に簡素化される。
【0043】
ソーラーセル14及びバイパスダイオード44の配置は一般的なものである。ソーラーセル14を直列接続で電気的接続することと、ストリングを終端することとは、最終顧客にとって重要なカスタマイズであり、レイアウトとは別個になされる。ソーラーセル14のコーナー領域26内で、前面接点32と背面接点34とが、接続されなければならない。電流を所望の経路でルーティングするために、これは多数の組合せで行うことができる。
【0044】
ソーラーセル14とコーナー導体20との間で接続がなされる。ソーラーセル14の前面接点32及び背面設定34は、コーナー導体20に取り付けるため、各コーナー領域26にある。各ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34用の相互接続子は、電流をソーラーセル14の外部にルーティングする導電経路20、32、34を設けるため、コーナー導体20に溶接、はんだづけ、又は他のやり方で接合される。
【0045】
コーナー導体20を用いて、電気的接続のカスタマイズを任意に行うことができる。特定の設計の要望に従って電流を上方向/下方向、又は、左方向/右方向に流すように、隣接するソーラーセル14同士を電気的に接続することができる。必要に応じて、ステイアウト区域を迂回するように電流をルーティングすることもできる。ソーラーセルアレイ22の長さや幅は、所望に応じて設定することができる。また、アレイ22の幅は、その長さに応じて変化し得る。
【0046】
一実施例では、電気的接続は、複数のソーラーセル14を通る電流の流れを決定する直列接続である。これは、図12及び図13に示す接続スキームによって達成され得る。図12は、アレイ22のソーラーセル14間の上方向/下方向の直列接続48を示しており、図13は、アレイ22のソーラーセル14間の左方向/右方向の直列接続50を示している。図12及び図13のどちらにおいても、これらの直列接続48、50は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34とバイパスダイオード44との間の電気的接続であり、これらの直列接続は、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内に形成されたコーナー導体20を用いてなされている。これらの直列接続48、50は、ソーラーセル14を通じた、矢印52で示されるような電流(電力)の流れを決定する。
【0047】
ソーラーセル14間のコーナー導体20は、様々な形態であることができる。コーナー導体20は、はんだ付け、溶接、導電性接着剤、又は他の処理であり得る方法で両端になされた電気的接続を有する、電線を用いて完成することができる。電線に加えて、相互接続子と同様の金属ホイルコネクタもまた適用され得る。金属導体経路又はトレース(図示せず)も基板12に組み込むことができる。
【0048】
要約すると、この新たな手法は、ソーラーセル14を個別に基板12に取り付け、2個、3個、又は4個の隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が基板12上で位置合わせされるようにするものである。刈り込まれたコーナー部24同士が位置合わせされてコーナー領域26同士が隣接するようにソーラーセル14をレイアウトすることができ、それにより、基板12のエリア28が露出される。ソーラーセル14間の電気的接続は、これらのコーナー領域26内で、ソーラーセル14の前面接点32と背面接点32と、バイパスダイオード44と、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内のコーナー導体20との間でなされる。これらの導電経路は、回路を含む直列接続48、50でソーラーセル14のストリングを作製するのに用いられる。
【0049】
構成要素の改修及び修理
これらのコーナー領域26におけるソーラーセル14間の電気的接続を使用することにより、自動化が促進されるが、この設計の改修及び修理能力には限界がある。ソーラーセルアレイ22は、展開前に多くの工程を経るので、製造の早期段階及び後半の組み立て段階の両方において欠陥が生じる可能性が多いが、稀ではある。損傷した材料を交換するために、改修及び修理の経路を確保する必要がある。
【0050】
特に、改修及び修理工程は、アレイ22の2Dグリッドに必要であり、既存の技法を用いてそれをどのように達成するかは明らかではない。例えば、構成要素の取り出し及び交換は、第2の電気的相互接続子を第1の電気的相互接続子と同じ位置につくる結果となる場合があり、このような反復接続は、十分な強度を有しない場合がある。
【0051】
本開示は、これらのアイテムの改修を簡略化し、且つソーラーセルアレイ22の修理を容易にするコネクタ設計について説明している。具体的には、電気的接続における第1の位置において第1の相互接続子を取り外し、第1の位置とは異なる、電気的接続における第2の位置において第2の相互接続子を形成することにより、電気的接続が修理される。例えば、電気的接続に使用される面積が、第1の位置及び第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさであり、第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである場合、第2の位置は第1の位置に隣接し得る。
【0052】
図14は、一実施例に係る、複数のソーラーセル14間の接続スキームをさらに示す。図示の接続スキームは、コーナー導体20を用いて、基板12の露出エリア28で行われる、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34と、パスダイオード44との間の上方向/下方向の直列接続48を含む。これらの直列接続48は、ソーラーセル14を通じた、矢印52で示されるような電流の流れを決定する。
【0053】
ソーラーセル14のための電流経路を選択するために、1つ以上の導体要素をコーナー領域26に追加したり、又はコーナー領域26から取り外したりしてもよい。一実施例では、導体要素は、コーナー領域26で回路が終端されることを可能にするか、又は、電流を次のソーラーセル14に向けるジャンパー54a、54bを含む。ジャンパー54a、54bは、コーナー導体20のうちの少なくとも1つからの電気的接続を1つ以上の他の導電経路にブリッジする。
【0054】
各ジャンパー54a、54bは、ソーラーセルパネル10で使用される既存の金属相互接続子に似た金属ホイル相互接続子である。一実施例では、各ジャンパー54a、54bは、ウエブ要素によって接続された平行な平面を有する2つのフランジ要素からなる形状を有し、複数の接点が可能である。ジャンパー22は、導電経路及び接続パッドに溶接、はんだづけ、又は他のやり方で接合され得る。ワイヤのような他の種類の導体要素、及び他の形状を利用してもよい。
【0055】
具体的には、図14は、上段左のソーラーセル14の背面接点34を下段左のソーラーセル14の前面接点32に接続するジャンパー54aを示す。このジャンパー54aは、バイパスダイオード44を通して、下段左のソーラーセル14の背面接点34にも接続する。この接続経路は、図面の左側に示された上から下までの電流の流れ52をもたらす。ジャンパー54bを用いる似たような構成は、図面の右側に示された下から上までの電流の流れ52をもたらす。
【0056】
この構造体の価値は大きい。単一のパターンのプリントされたコーナー導体20、単一のレイアウトのソーラーセル14、及び単一のレイアウトのパスダイオード44がある。この単一構成は、製造、試験、及び検査の自動化において大きな利点を有する。ジャンパー54a、54bの適用は、回路内のソーラーセル14の数を制御する単純な方法をもたらす。
【0057】
図15は、一実施例に係る、基板12が可撓性シートの組立品である実施例の側面図である。基板12は、上に銅(Cu)層56a、下にCu層56bを有するポリイミドベース層54を含み、Cu層56a及び56bは、多層導体を形成している。基板12に、電荷の集積を低減するという点で宇宙環境で有用な、導電性のポリイミド製バックシート58を付けることができる。別の能力は、Cu層56a上のめっき銀(Ag)又は金(Au)層60の添加であり、接続を行う能力を改善する。めっきAg又はAu層60を有するCu層56aは、コーナー導体20としてパターニングされており、Cu層56bは、パターニングされて、例えば、電力線及び共通線を含む、基板12内の埋設導体を形成する。
【0058】
右側に示されているのは、接着剤62で基板12に取り付けられているソーラーセル14である。ソーラーセル14及びコーナー導体20のめっきAg又はAu層60に取り付けられた金属ホイル相互接続子64も見ることができる。これは、先の図面で提示された構造体を形成し得る、比較的典型的な構造及び組立品である。
【0059】
基板12は、多層導体56a、56bのうちの少なくとも1つを、多層導体56a、56bのうちの少なくとも別の1つから分離する、絶縁層をさらに含む。一実施例では、頂部のポリイミドオーバーレイ層66a及び底部のポリイミドオーバーレイ層66bがあり、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは、その中に1つ以上の孔が掘削されており、これらの孔は、Cu層56aをCu層56bと電気的に接続するCuめっきビア68である。
【0060】
ポリイミドは、空気や真空よりも強い高度の破壊強度を有しており、ポリイミドオーバーレイ層66a、66bは、宇宙環境における重大事項である静電気放電(ESD)を防止するのに有用である。さらに、これにより、コーナー導体20がソーラーセル14の下方を通過することが可能となる。接着剤62は、非導電性であるが、ポリイミドオーバーレイ層66a、66bの連続的ポリイミド層は、Cu層56a、56b内の埋設導体とソーラーセル14との間の短絡に対して多大な保護をもたらす。
【0061】
別の実施例では、頂部のポリイミドオーバーレイ層64aは、ソーラーセル14の下方で除かれ得る。頂部のポリイミドオーバーレイ層66aで泡又は他の欠陥が生じやすい場合、このことは有利であり得る。
【0062】
別の実施例では、Cu層56a、Cu層56b、及び頂部のポリイミドオーバーレイ層66aが整列させられている。この実施例では、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは、Cu層56a、ポリイミド層54、及びCu層56bをほぼ完全に包み、Cu層56a及びCu層56bへの小さいアクセスホールのみがある。これには、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aがロールアップされて、Cu層56a及び56bの角を覆うことが必要である。Cu層56a及び56bの金属を包むことにより、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは、ESDに対して価値のある保護をもたらす。
【0063】
別の実施例では、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは、Cu層56a及び56bの端部の重なり合いを防ぐ大きな孔を有する。この頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは、完全な頂部のポリイミドオーバーレイ層66aよりも欠陥が少ない状態で、製造することがより簡単であり得る。
【0064】
別の実施例では、Cu層56aの2つ以上のトレース間に接続があり、Cu層56aのトレースも、ビア68によってCu層56bに接続されている。頂部のポリイミドオーバーレイ層66aは必要ではない場合がある。その場合、ジャンパー54への任意の接続を妨げる頂部のポリイミドオーバーレイ層66aがない。
【0065】
別の実施例では、ジャンパー54(図示せず)は、Cu層56aからCu層56bへと直接接続し得る。これにより、Cuめっきビア68の接続がなくなるが、これは特に可撓性シートの組立品において信頼性の懸念となり得る。しかしながら、ジャンパー54が届く必要がある、頂部のポリイミドオーバーレイ層66aからのより多くのポリイミドのトポグラフィが存在する。頂部のポリイミドオーバーレイ層66aの厚さは、典型的に約~0.1mmであるが、ジャンパー54の長さは、典型的に、約~4mmであり得る。ジャンパー54の金属が頂部のポリイミドオーバーレイ層66aからの大量のポリイミドで囲まれることにより、ジャンパー54が妨げられるかもしれないが、ESDも妨げられることになり、これは価値があり得ることである。
【0066】
別の実施例では、埋設Cu層56bに対して電気アクセスが設けられる。これは、Cu層56aとCu層56bとの間のビア68接続、又は、Cu層56aとCu層56bとの間の直接接続によって達成され得る。さらに、Cu層56aとCu層56bとの間に複数の接続があり得る。この冗長性は重要な属性であり、可能である場合に利用することができる。
【0067】
別の実施例では、Cu層56a、56bのトレースを、間に絶縁ポリアミド層66a、66bを有しない、より幅広い導体、電線、及び共通線へと広げることができる。したがって、より多くの銅が伝導に用いられ、抵抗損失が減る。これは離散導体(discrete conductor)の数を減らすが、それでも接続の冗長性が保たれる。
【0068】
ソーラーセル14又はその接続に問題がある場合、交換が必要であるかもしれない。ソーラーセル14と、それを可撓性シート基板12の表面に取り付ける接着剤62との機械的な取り外しは、既知の工程である。しかし、本開示は、電気的接続の改修及び修理に注目している。
【0069】
図16は、ソーラーセル14からの金属ホイル相互接続子64がめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aから分離した実施例を示す。この分離こそが、改修工程を引き起す結果であり得る。代替的に、この接続を意図的に分離する別の欠陥があり得る。例えば、基板12への相互接続子を含めて、割れたソーラーセル14を取り除かなければならない。この分離により、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの表面領域の変化、例えば、ハンダ屑、凸凹などの幾らかのデブリ70が生じる。
【0070】
図17は、図16の実施例の基板12を修理する1つの提案された工程を示し、電気的接続に使用されるめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの面積は、1つ以上の追加の接続を行うことができるほど十分な大きさである。この実施例では、交換用のソーラーセル14は、接着剤62を用いて可撓性シート基板12に取り付けられ、交換用の相互接続子64は、交換用のソーラーセル14から延在し、元の接続領域を避ける隣接位置でめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aと接続する。本実施例のこの隣接位置には、損傷領域の周りで電流が流れるための導体が十分にある。
【0071】
第1の組み立て、第1の改修、第2の改修などのための、種々の長さの相互接続子を有するCICの在庫があり得る。代替的に、単一のCICは、初期組み立て及びすべての予期される改修工程で利用可能な長さを有する相互接続子で構築され得る。
【0072】
具体的には、電気的接続における第1の位置において第1の相互接続子64を取り外し、第1の位置とは異なる、電気的接続における第2の位置において第2の相互接続子64を形成することにより、電気的接続が修理される。例えば、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aが、第1の位置及び第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさであり、且つ第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである接続パッドを備える場合、第2の位置は第1の位置に隣接し得る。一実施例では、第1の位置における第1の相互接続子64が完全に取り外され、別の実施例では、第1の相互接続子64が取り外された際に接合部が残る。
【0073】
図17で示された工程と似たような、別の提案された修理工程では、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの面積は、破裂しているか又は削り取られている。図17のように、交換用のソーラーセル14は、接着剤62を用いて可撓性シート基板12に取り付けられ、交換用の相互接続子64は、交換用のソーラーセル14から延在し、元の接続領域を避ける隣接位置でめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aと接続し、この隣接位置には、損傷領域の周りで電流が流れるための導体が十分にある。
【0074】
別の提案された修理工程では、ソーラーセル14への元の相互接続子64が切断されているが、相互接続子64の接合部は無傷のままであり、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aに接合され、交換用の相互接続子64は、元の接続領域を避ける隣接位置でめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aに取り付けられ、この隣接位置には、相互接続子64の接合部の周りで電流が流れるための導体が十分にある。相互接続子64の接合を保つことが好ましい場合がある。なぜなら、これにより、例えば、破裂又は削りによるめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの損傷が避けられるからである。
【0075】
2つの種類の相互接続子に基づいて、様々な種類の構成要素を使用してもよい。ソーラーセル14又はバイパスダイオード44を基板12に接続するために第1の種類の修理構成要素を使用してもよく、コーナー導体20の対を基板12に接続するために第2の種類の修理構成要素を使用してもよい。第1の種類の修理構成要素は、標準的な相互接続子64であり得るが、第2の種類の修理構成要素は、修理工程のために使用される標準的な相互接続子64の変形、すなわち交換用相互接続子64であり得、これは、電気的接続を元の接続から隣接する位置に移動させる微妙に異なる構造体を有する。デブリ70、切削された相互接続子64、或いはめっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの破裂又は切り取りが、修理された組立品又は電流の流れに影響を与えないように、初期及び改修の接続点を位置付けることが望ましい。
【0076】
別の変形例では、同じ相互接続子64の構造を用いて、初期及び改修の接続を可能にするような類の修理構成要素が設計されている。したがって、単一の相互接続子64が必要である。この相互接続子64は、初期の構築及び改修の両方のために使用される。初期及び改修の接続のために、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aには、初期及び改修の接続点の対が存在するようになる。また、基板12上の導電路の破裂が改修の後に導電性に影響を与えないように、基板12上のこれらの部分及び導電路を設計することが望ましい。
【0077】
接続点が不適切である場合、この相互接続子の設計は、追加の接続点の使用を可能にする。相互接続子64をそのままの場所において、信頼性を高めるために、めっきAg又はAu層60及び/又はCu層56aの隣接位置を使用することができる。これにより、改修工程の間、さらなる損傷の可能性が避けられる。
【0078】
図18は、一実施例において、修理構成要素72がどのように使用されているかを示す。この実施例では、修理構成要素72は、前面又は背面接点32、34をコーナー導体20に接続する交換用相互接続子64、パスダイオード44をコーナー導体20に接続する交換用相互接続子64、又はコーナー導体20を接続するジャンパー54を備えている。一般的に、以下のステップが行われる:溶接接合部で相互接続子64を分離し、ソーラーセル14及び/又はバイパスダイオード44を洗浄し、ソーラーセル14及び/又はバイパスダイオード44を修理ユニットと交換し、且つ、コーナー導体20又は前面或いは背面接点32、34の隣接位置で相互接続子64を溶接し、又は、コーナー導体20間でジャンパー54を接続する。構成要素が突き出ることなく、すべての作業が組立品の上面で行われる。
【0079】
好ましくは、この組立品のすべての電気的接続は、金属層の重なり合いによってなされる。次いで、はんだ又は溶接工程(レーザ、抵抗性、超音波等)のために、上部からのアクセスにより接合部が形成される。導体の重なり合い又は折り畳みがないため、このアクセスは非常に単純である。さらに、修理工程には、元の組立品よりも高く突き出る材料がない。これは、積み込み及び発射のために、密着するように折り畳まれている宇宙用ソーラーパネル10aにおける懸念事項である。
【0080】
製作
本開示の各実施例は、図19に示すステップ76~88を含む、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星の製作方法74に関連して説明され得る。結果として得られた、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10aを有する人工衛星90は、図20で示される。
【0081】
図19に示すように、製造前段階では、例示の方法74は、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星90の仕様及び設計76、並びにこれらの材料の調達78を含んでもよい。製造段階では、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星90のコンポーネント及びサブアセンブリの製造80、並びにシステムインテグレーション82が行われる。これらは、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星90の製作を含んでいる。その後、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星90は、運航86に供されるために認可及び納品88を経てもよい。ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星90は、打ち上げ前に、(改造、再構成、改装などを含む)整備及び保守80が予定され得る。
【0082】
方法74の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施され得る。本明細書の目的に関しては、システムインテグレータは、限定しないが、ソーラーセル、ソーラーセルパネル、人工衛星又は宇宙船の、任意の数の製造業者及び主要システムの下請業者を含んでいてよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者及びサプライヤーを含んでいてよく、またオペレータは、衛星通信会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0083】
図20に示すように、例示の方法74によって製作される人工衛星90は、システム92、本体94、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10a、及び1つ以上のアンテナ96を含み得る。人工衛星90に含まれるシステム92の実施例は、限定しないが、推進システム98、電気システム100、通信システム102、及び電力システム104のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステム92も含まれてよい。
【0084】
図21は、一実施例に係る、機能ブロック図の形態のソーラーセルパネル10aを示す。ソーラーセルパネル10aは、基板12に個別に取り付けられた1つ以上のソーラーセル14からなる、ソーラーセルアレイ22からなる。各ソーラーセル14は、光源108からの光106を吸収し、それに応答して電気出力110を生成する。
【0085】
ソーラーセル14のうちの少なくとも1つは、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有し、それによって、基板12のエリア28は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられたときにも露出したままである。複数のソーラーセル14が基板12に取り付けられているときには、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされており、それによって基板12のエリア28が露出している。
【0086】
基板12の露出したままのエリア28は、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12に組み込まれたかしている1つ以上のコーナー導体20を含んでおり、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の1つ以上の電気的接続が、ソーラーセル14のうちの少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26内でなされている。
【0087】
刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26は、コーナー導体20とソーラーセル14との間の電気的接続をなすため、少なくとも1つの接点、例えば、ソーラーセル14の前面上の前面接点32、及び/又は、ソーラーセル14の背面上の背面接点34を含む。電気的接続は、ソーラーセル14を通る電力の流れを決定する上方向/下方向又は左方向/右方向の直列接続を含み得、1つ以上のパスダイオード44を含み得る。
【0088】
さらに、本開示は下記の条項に係る実施例を含む。
【0089】
条項1
ソーラーセル用の基板を備えている構造体であって、前記基板は、コーナー領域を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有する少なくとも1つのソーラーセルが前記基板に取り付けられているときに、前記基板のエリアが露出されたままとなり、
前記ソーラーセルのための1つ以上の電気的接続が、前記ソーラーセルの前記刈り込まれたコーナー部によってできた前記コーナー領域内で行われ、且つ
第1の相互接続子を第1の位置において接続する前記電気的接続のうちの少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第2の位置において第2の相互接続子を接続することによって修理されるように構成されている、構造体。
【0090】
条項2
前記第2の位置が前記第1の位置に隣接する、条項1に記載の構造体。
【0091】
条項3
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、面積が、前記第1の位置及び前記第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさである、条項1又は2に記載の構造体。
【0092】
条項4
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、前記面積が、前記第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである、条項3に記載の構造体。
【0093】
条項5
前記第1の位置における前記第1の相互接続子が取り外される、条項1から4のいずれか一項に記載の構造体。
【0094】
条項6
前記第1の相互接続子が取り外された際に接合部が残る、条項5に記載の構造体。
【0095】
条項7
露出されたままの前記基板の前記エリアが、1つ以上のコーナー導体を含む、条項1から6のいずれか一項に記載の構造体。
【0096】
条項8
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第3の位置において
第3の相互接続子を形成することによって修理される、条項1から7のいずれか一項に記載の構造体。
【0097】
条項9
ソーラーセル用の基板を修理することを含む方法であって、前記基板は、
コーナー領域を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有する少なくとも1つのソーラーセルが前記基板に取り付けられているときに、前記基板のエリアが露出されたままとなり、前記ソーラーセルのための1つ以上の電気的接続が、前記ソーラーセルの前記刈り込まれたコーナー部によってできた前記コーナー領域内で行われ、且つ第1の相互接続子を第1の位置において接続する前記電気的接続のうちの少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第2の位置において第2の相互接続子を接続することによって修理されるように構成されている、方法。
【0098】
条項10
前記第2の位置が前記第1の位置に隣接する、条項9に記載の方法。
【0099】
条項11
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、面積が、前記第1の位置及び前記第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさである、条項9又は10に記載の方法。
【0100】
条項12
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、前記面積が、前記第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである、条項11に記載の方法。
【0101】
条項13
前記第1の位置における前記第1の相互接続子が取り外される、条項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
条項14
前記第1の相互接続子が取り外された際に接合部が残る、条項13に記載の方法。
【0103】
条項15
露出されたままの前記基板の前記エリアが、1つ以上のコーナー導体を含む、条項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
条項16
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第3の位置において第3の相互接続子を形成することによって修理される、条項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
条項17
ソーラーセルパネルであって、コーナー領域を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有する少なくとも1つのソーラーセル、及び前記ソーラーセル用の基板から構成されているソーラーセルアレイを備え、前記基板は、前記コーナー領域を画定する前記少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有する前記少なくとも1つのソーラーセルが前記基板に取り付けられているときに、前記基板のエリアが露出されたままとなり、前記ソーラーセルのための1つ以上の電気的接続が、前記ソーラーセルの前記刈り込まれたコーナー部によってできた前記コーナー領域内で行われ、且つ第1の相互接続子を第1の位置において接続する前記電気的接続のうちの少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第2の位置において第2の相互接続子を接続することによって修理されるように構成されている、ソーラーセルパネル。
【0106】
条項18
前記第2の位置が前記第1の位置に隣接する、条項17に記載のソーラーセルパネル。
【0107】
条項19
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、面積が、前記第1の位置及び前記第2の位置の両方を包含するのに十分な大きさである、条項17又は18に記載のソーラーセルパネル。
【0108】
条項20
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つの、前記面積が、前記第1の位置の周りで電流が流れるのに十分な大きさである、条項19に記載のソーラーセルパネル。
【0109】
条項21
前記第1の位置における前記第1の相互接続子が取り外される、条項17から20のいずれか一項に記載のソーラーセルパネル。
【0110】
条項22
前記第1の相互接続子が取り外された際に接合部が残る、条項21に記載のソーラーセルパネル。
【0111】
条項23
露出されたままの前記基板の前記エリアが、1つ以上のコーナー導体を含む、条項17から22のいずれか一項に記載のソーラーセルパネル。
【0112】
条項24
前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つが、前記第1の位置とは異なる、前記電気的接続のうちの前記少なくとも1つにおける第3の位置において第3の相互接続子を形成することによって修理される、条項17から23のいずれか一項に記載のソーラーセルパネル。
【0113】
上記の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることや、開示の実施例に限定することは意図していない。上記の具体的な要素の代わりに、多数の代替形態、修正形態、及び変形形態が用いられてよい。
図1
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図5
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