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特許7455498非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
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  • 特許-非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20240318BHJP
   H01G 11/64 20130101ALI20240318BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01G11/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017229587
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2019102188
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹大
(72)【発明者】
【氏名】川副 雄大
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 健太
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】山本 章裕
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-208920(JP,A)
【文献】特表2014-523628(JP,A)
【文献】特開2003-92137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)又は式(2)で表される添加剤を含有する蓄電素子用の非水電解質。
【化1】
(式(1)中、Rは、-NR 、-SR、-COOR 、-SO又は-SOで表される基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR(但し、Rが水素原子であるのものは除く。)、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である。Rは、水素原子、又は-NR 、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO又は-SOで表される基である。
式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、-OR又は-SRで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、-SRで表される基である。)
【請求項2】
上記添加剤が上記式(1)で表され、
上記Rが、-SR、-COOR 、-SO又は-SOで表される基であり、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、又は-OR(但し、Rが水素原子であるのものは除く。)、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基であり、Rが、水素原子、又は-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である請求項1の非水電解質。
【請求項3】
上記添加剤が上記式(1)で表され、
上記R~Rのうちの少なくとも1つが、-SR、-SO又は-SOで表される基である請求項1又は請求項2の非水電解質。
【請求項4】
上記添加剤が上記式(2)で表される請求項1の非水電解質。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項の非水電解質を有する非水電解質蓄電素子。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項の非水電解質を容器に注入する工程を備える非水電解質蓄電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
【0003】
非水電解質蓄電素子の非水電解質には、性能向上などを目的として各種添加剤が添加されている。例えば、特許文献1、2においては、ピリミジン構造やトリアジン構造を有する特定のヘテロ環式化合物を含むリチウム二次電池用非水電解液が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-122322号公報
【文献】特開2013-016488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非水電解質蓄電素子に求められる性能として、直流抵抗が低いことや、充放電サイクル後の容量維持率が高いことなどが挙げられる。しかし、ピリミジンやトリアジン等のヘテロ環式化合物を含む非水電解質を用いた蓄電素子においても、初期の直流抵抗、充放電サイクル後の容量維持率については、必ずしも十分なものではない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、非水電解質蓄電素子の直流抵抗を低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる非水電解質、このような非水電解質を備える非水電解質蓄電素子、及びこのような非水電解質蓄電素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、下記式(1)又は式(2)で表される添加剤を含有する蓄電素子用の非水電解質である。
【化1】
(式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO又は-SOで表される基である。
式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR若しくは-SRで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、-SRで表される基である。)
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様は、当該非水電解質を有する非水電解質蓄電素子である。
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様は、当該非水電解質を用いる非水電解質蓄電素子の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非水電解質蓄電素子の直流抵抗を低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる非水電解質、このような非水電解質を備える非水電解質蓄電素子、及びこのような非水電解質蓄電素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を示す外観斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、下記式(1)又は式(2)で表される添加剤を含有する蓄電素子用の非水電解質である。
【0013】
【化2】
【0014】
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO又は-SOで表される基である。
式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR若しくは-SRで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、-SRで表される基である。
【0015】
当該非水電解質によれば、非水電解質蓄電素子の直流抵抗を低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。この理由は定かでは無いが、以下の理由が推測される。ヘテロ環式化合物が添加された従来の非水電解質においては、ヘテロ環式化合物が負極に被膜を形成することにより、充放電サイクル性能などが改善されると考えられる。しかし、形成されたこの被膜は、非水溶媒中に溶出しやすいため、その効果が十分に発揮されないものと考えられる。これに対し、当該非水電解質においては、特定の置換基を有するヘテロ環式化合物を用いており、このようなヘテロ環式化合物から形成される被膜は、非水溶媒に対する溶解性が低下していると考えられる。このため、当該非水電解質によれば、負極に良好な被膜を形成することができ、この結果、非水電解質蓄電素子の直流抵抗を低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率を高めることができると推測される。
【0016】
上記添加剤が上記式(1)で表され、上記R~Rが、それぞれ独立して、水素原子、又は-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基であることが好ましい。このような構造を有する添加剤を用いることで、直流抵抗を低くし、かつ容量維持率を高めることができるという上記効果をより高めることができる。
【0017】
上記添加剤が上記式(1)で表され、上記R~Rのうちの少なくとも1つが、-SR、-SO又は-SOで表される基であることが好ましい。このような硫黄を含む置換基を有する構造の添加剤を用いることによって、上記効果をより高めることができる。
【0018】
上記添加剤が上記式(2)で表され、上記R~Rが、それぞれ独立して、-OR又は-SRで表される基であることが好ましい。このような構造を有する添加剤を用いることで、上記効果が高まることに加え、非水電解質蓄電素子の初期容量、並びにクーロン効率及びその維持率も高まる。この理由は定かでは無いが、特定の置換基を導入することにより、被膜の形成反応が適度に抑制され、不可逆容量が低減されたためであることが推測される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、当該非水電解質を有する非水電解質蓄電素子である。当該非水電解質蓄電素子は当該非水電解質を備えるため、直流抵抗が低く、かつ充放電サイクル後の容量維持率も高い。
【0020】
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、当該非水電解質を用いる非水電解質蓄電素子の製造方法である。当該製造方法によれば、当該非水電解質を用いるため、直流抵抗が低く、かつ充放電サイクル後の容量維持率も高い非水電解質蓄電素子を得ることができる。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質、非水電解質蓄電素子、及び非水電解質蓄電素子の製造方法について詳説する。
【0022】
<非水電解質>
当該非水電解質は、非水溶媒、電解質塩、及び添加剤を含有する。当該非水電解質は、蓄電素子に用いられる。なお、当該非水電解質は、液体に限定されるものではない。すなわち、当該非水電解質は、液体状のものだけに限定されず、固体状やゲル状のもの等も含まれる。
【0023】
(非水溶媒)
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95以上50:50以下とすることが好ましい。
【0024】
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができる。環状カーボネートとしては、フッ素化環状カーボネートを含むことが好ましく、FECを含むことがより好ましい。
【0025】
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。上記鎖状カーボネートとしては、DMC及びEMCが好ましい。
【0026】
(電解質塩)
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
【0027】
上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
【0028】
上記非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.1mol/kgが好ましく、0.3mol/kgがより好ましく、0.5mol/kgがさらに好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/kgが好ましく、2mol/kgがより好ましく、1.5mol/kgがさらに好ましい。
【0029】
(添加剤)
上記添加剤は、下記式(1)又は式(2)で表される化合物である。当該非水電解質は、上記添加剤を含有するため、非水電解質蓄電素子の直流抵抗を低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。また、当該非水電解質は、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の直流抵抗やクーロン効率の維持率を高めることもできる。
【0030】
【化3】
【0031】
(式(1)で表される化合物)
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO又は-SOで表される基である。
【0032】
で表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、エテニル基、プロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基等の鎖状脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基等の環状脂肪族炭化水素基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基等を挙げることができる。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、鎖状脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、メチル基がよりさらに好ましい。
【0033】
としては、水素原子、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO及び-SOが好ましく、-SR、-COOR、-SO及び-SOがより好ましく、-SR、-SO及び-SOがさらに好ましい。Rが、このような硫黄原子を含む基である場合、直流抵抗をより低くし、容量維持率をより高めることができる。
【0034】
また、Rは、-COOR及び-SOも好ましい。このとき、Rは、炭化水素基であることが好ましい。Rがこのようなエステル構造を含む場合、充放電サイクルに伴ういわゆる電池膨れを抑制することができる。
【0035】
としては、水素原子、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO及び-SOが好ましく、水素原子及び-ORがより好ましい。
【0036】
としては、水素原子、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO及び-SOが好ましく、水素原子がより好ましい。
【0037】
としては、水素原子、-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO及び-SOが好ましく、水素原子及び-ORがより好ましい。
【0038】
としては、水素原子及びアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
【0039】
~R及びRがこのような基である場合、本発明の上記効果をより高めることができる。
【0040】
また、上記R~Rが、それぞれ独立して、水素原子、又は-OR、-SR、-COOR、-COR、-SO若しくは-SOで表される基であることが好ましく、水素原子、又は-OR、-SR、-COOR若しくは-SOで表される基であることがより好ましい。上記式(1)で表される化合物がこのような基を有する場合、上記効果がより高まる。
【0041】
上記R~Rのうちの少なくとも1つが、-SR、-SO又は-SOで表される基であることが好ましく、-SR又は-SOで表される基であることがより好ましい。R~Rのうちの少なくとも1つが、このような硫黄を含む特定の置換基である場合、上記効果をより高めることができる。
【0042】
(式(2)で表される化合物)
式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は-NR 、-OR若しくは-SRで表される基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、-SRで表される基である。
【0043】
で表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基が挙げられる。
【0044】
としては、-NR 及び-SRが好ましく、-SRがより好ましい。
【0045】
及びRとしては、それぞれ-SRが好ましい。
【0046】
に関し、-NR 中のRとしては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数3~5のアルキル基がより好ましく、ブチル基がさらに好ましい。また、-SR中のRとしては、水素原子が好ましい。
【0047】
~R及びRがこのような基である場合、本発明の上記効果をより高めることができる。
【0048】
また、上記R~Rが、それぞれ独立して、-OR又は-SRで表される基であることが好ましく、-SRで表される基であることがより好ましい。上記式(2)で表される化合物がこのような基を有する場合、上記効果がより高まることに加え、非水電解質蓄電素子の初期容量、並びにクーロン効率及びその維持率も高まる。
【0049】
当該非水電解質における上記添加剤の含有量の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0.3質量%がよりさらに好ましく、1質量%がよりさらに好ましいこともある。一方、この含有量の上限としては、例えば5質量%が好ましく、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましいこともあり、0.5質量%がよりさらに好ましいこともある。い。上記添加剤の含有量を上記下限以上及び上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の直流抵抗をより低くし、かつ充放電サイクル後の容量維持率をより高めることなどができる。
【0050】
なお、上記添加剤は、通常、上記式(1)又は式(2)で表される構造の分子として、添加される。従って、上記添加剤は、通常、塩の形態では無く、上記式(1)又は式(2)で表される分子として、非水電解質中に存在していると考えられる。但し、電解質塩と共存するため、上記添加剤の一部は、例えば、電解質塩のアニオンをカウンターアニオンとする塩として存在していてもよい。
【0051】
(他の成分)
当該非水電解質は、上記非水溶媒、上記電解質塩、及び上記添加剤以外の他の成分をさらに含有していてもよい。上記他の成分としては、1,3-プロペンスルトン(PRS)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ビニレンカーボネート(VC)、アジポニトリル(AN)、ジグリコールサルフェート(DGLST)、ペンチルグリコールサルフェート(PEGLST)、硫酸プロピレン(PGLST)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド(LiTFSA)、リチウムテトラフルオロオキサレートホスフェート(LiFOP)等を挙げることができ、これらの中でも、PRS、VC及びANが好ましい。これらの成分は、負極上に良好な被膜を形成し、本発明の効果をより高めることができる。また、これらの成分と上記添加剤とを併用することで、初期の放電容量及び直流抵抗、並びに充放電サイクル後の直流抵抗の維持率などを改善することができる。なお、当該非水電解質における上記他の成分の含有量の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.5質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。
【0052】
当該非水電解質は、通常、上記非水溶媒に、電解質塩、上記添加剤及び必要に応じて他の成分を添加し、溶解させることにより得ることができる。
【0053】
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に非水電解質が充填される。上記非水電解質として、本発明の一実施形態に係る上述した非水電解質が用いられる。当該非水電解質は、正極と負極との間に介在する。上記ケースとしては、二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属ケース、樹脂ケース等を用いることができる。以下、当該非水電解質以外の当該二次電池の構成要素について説明する。
【0054】
(正極)
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
【0055】
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
【0056】
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
【0057】
上記正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0058】
上記正極活物質としては、例えばLiMO(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα―NaFeO型結晶構造を有するLiCoO,LiNiO,LiMnO,LiNiαCo(1-α)、LiNiαCoβAl(1-α-β),LiNiαMnβCo(1-α-β),Li1+x(NiαMnβCo(1-α-β)1-x等、スピネル型結晶構造を有するLiMn,LiNiαMn(2-α)等)、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
上記導電剤としては、特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
【0060】
上記バインダー(結着剤)としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
【0061】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
【0062】
上記フィラーとしては、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。
【0063】
(負極)
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
【0064】
上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
【0065】
上記負極活物質層は、負極活物質を含むいわゆる負極合材から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極活物質層と同様のものを用いることができる。
【0066】
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料などが挙げられる。
【0067】
さらに、負極合材(負極活物質層)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
【0068】
(セパレータ)
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
【0069】
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が配設されていても良い。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
【0070】
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、当該非水電解質を用いる非水電解質蓄電素子の製造方法である。当該製造方法は、上述した式(1)又は式(2)で表される添加剤を含有する非水電解質を用いること以外は、特に限定されない。上述した二次電池の場合、例えば、正極を作製する工程、負極を作製する工程、非水電解質を調製する工程、正極及び負極をセパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、正極及び負極(電極体)を容器に収容する工程、並びに上記容器に上記非水電解質を注入する工程を備える。注入後、注入口を封止することにより製造することができる。
【0071】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、正極及び負極において、中間層を設けなくてもよく、明確な層構造を有していなくてもよい。例えば正極及び負極は、メッシュ状の基材に活物質が担持された構造などであってもよい。また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
【0072】
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質蓄電素子1(非水電解質二次電池)の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質蓄電素子1は、電極体2及び非水電解質が容器3に収納されている。電極体2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して巻回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
【0073】
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質蓄電素子1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等に自動車用電源として搭載することができ、また、バックアップのための定置用電源としても用いることができる。
【実施例
【0074】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
実施例及び比較例で用いた各添加剤を以下に示す。
・MPC :下記式(1a)で表される化合物
・DMSP:下記式(1b)で表される化合物
・MCP :下記式(1c)で表される化合物
・PMD :下記式(1x)で表される化合物
【0076】
【化4】
【0077】
・TCA:下記式(2a)で表される化合物
・DTD:下記式(2b)で表される化合物
・TAZ:下記式(2x)で表される化合物
・TAC:下記式(2y)で表される化合物
【0078】
【化5】
【0079】
・PRS:1,3-プロペンスルトン
・VC :ビニレンカーボネート
・AN :アジポニトリル
【0080】
[実施例1]
(非水電解質の調製)
FECとDMCとEMCとを10:40:50の体積比で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPFを1.2mol/Lの濃度で溶解させ、これに添加剤としてMPCを2.0質量%添加し、実施例1の非水電解質を得た。
【0081】
(非水電解質蓄電素子の作製)
上記非水電解質を用い、以下の手順にて、実施例1の非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
(正極の作製)
正極活物質として、LiNi0.8Co0.15Al0.05、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンを91:4.5:4.5の質量比で含有し、N-メチル-2-ピロリドンを溶剤(分散媒)とする正極ペーストを調整した。この正極ペーストをアルミニウム箔の表面に塗布し、ローラープレス機により加圧成形して正極活物質層を形成した。その後、100℃で12時間減圧乾燥することにより、正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質として、グラファイト、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースを95:2:3の質量比で含有し、水を溶剤(分散媒)とする負極ペーストを調整した。この負極ペーストを銅箔の表面に塗布し、ローラープレス機により加圧成形して負極活物質層を形成した。その後、100℃で12時間減圧乾燥することにより、負極を得た。
(組み立て)
上述の正極と負極とをポリオレフィン製多孔質樹脂フィルムセパレータを介して巻回することで電極体を作成した。この電極体をアルミケースに挿入した後に、ケースの蓋をレーザ溶接した。ケースに設けられた注液孔を介して、ケースに上述の非水電解質を注入したあと、注液孔を封止し、非水電解質二次電池を得た。
【0082】
[実施例2~7、比較例1~5]
添加剤として、表1~3に記載の種類及び量の添加剤を添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~7及び比較例1~5の非水電解質及び非水電解質蓄電素子を得た。
【0083】
[評価]
(初期の性能評価)
各非水電解質蓄電素子に対し、容量確認試験として、25℃で4.35Vまで0.33Cの定電流充電したのちに、4.35Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、総充電時間が5時間となるまでとした。充電後に10分間の休止期間を設けたのちに、25℃で2.50Vまで1.0Cで定電流放電した。これにより、初期の放電容量を求めた。また、50%SOC、25℃又は-10℃における直流抵抗(DCR)を測定した。表1の各実施例及び比較例については、各非水電解質蓄電素子の厚さを測定した。表2の実施例4及び比較例2については、上記容量確認試験における放電容量を充電電気量で除することによってクーロン効率(%)を求めた。測定結果の一部を表1~3に示す。
【0084】
なお、測定結果は、比較とする比較例の値を基準とした相対値として示す。すなわち、表1の実施例1~3については、比較例1を基準とした相対値とし、表2の実施例4、5及び比較例3については、比較例2を基準とした相対値とし、表3の実施例6については、比較例4を基準とした相対値とし、実施例7については、比較例5を基準とした相対値とした。以下の充放電サイクル後の性能評価結果についても同様である。
【0085】
(充放電サイクル試験)
各非水電解質蓄電素子に対し、以下のサイクル試験を行った。45℃において、充電電流0.33C、充電終止電圧4.35Vとして定電流定電圧充電した。充電の終了条件は、総充電時間が5時間となるまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流1.0C、放電終止電圧2.50Vとして定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。いずれの実施例及び比較例も、この充放電を500サイクル実施した。
【0086】
(充放電サイクル後の性能評価)
表1、2の各実施例及び比較例については、サイクル試験後、上記「初期の性能評価」と同様の方法にて容量確認試験を行った。充放電サイクル試験後の容量を初期の容量で除し、容量の充放電サイクル後維持率(容量維持率)を求めた。
表1の各実施例及び比較例については、サイクル試験後、各非水電解質蓄電素子の厚さを測定し、充放電サイクル試験後の厚さを初期の厚さで除し、厚さの充放電サイクル後維持率を求めた。
表1の各実施例及び比較例については、サイクル試験後、上記「初期の性能評価」と同様の方法にて、50%SOC、25℃における直流抵抗(DCR)を測定した。充放電サイクル試験後のDCRを初期のDCRで除し、DCRの充放電サイクル後維持率を求めた。
表2の実施例4及び比較例2については、サイクル試験後の容量確認試験において、充電電気量及び放電容量を測定し、放電容量を充電電気量で除することによってクーロン効率(%)を求めた。充放電サイクル試験後のクーロン効率を初期のクーロン効率で除し、クーロン効率の充放電サイクル後維持率を求めた。
表3の各実施例及び比較例については、サイクル試験後、上記「初期の性能評価」と同様の方法にて容量確認試験、及び50%SOC、25℃又は-10℃におけるにおける直流抵抗(DCR)を測定した。
それぞれの測定結果を、比較とする比較例の値を基準とした相対値として表1~3に示す。なお、表中の「-」は、測定を行っていないことを示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
上記表1及び表2に示されるように、上記式(1)又は式(2)で表される添加剤(MPC、DMSP、MCP、TCA及びDTD)を含有する非水電解質を用いた実施例1~5は、初期のDCRが低く、充放電サイクル後の容量維持率も高いことがわかる。
【0091】
さらに、表1に示されるように、上記式(1)で表される添加剤を用いた実施例1~3においては、充放電サイクル後のDCRの増加も抑制されていることがわかる。さらに、上記式(1)中のR~Rのうちの少なくとも1つが、-SR、-SO又は-SOで表される基である添加剤を用いた実施例2、3は、初期のDCRが特に低く、充放電サイクル後の容量維持率及びDCR維持率も特に良好である。また、実施例1~2においては、充放電サイクル後の厚さの増加、いわゆる電池膨れも抑制されていることがわかる。
【0092】
また、表2に示されるように、式(2)で表され、R~Rが、それぞれ独立して、-OR又は-SRで表される基である添加剤を用いた実施例4においては、初期の放電容量及びクーロン効率も高まり、充放電サイクル後のクーロン効率の維持率も高いことがわかる。
【0093】
また、表3に示されるように、他の添加剤と共に上記式(1)又は式(2)で表される添加剤を併用することで、初期の放電容量及びDCRが改善され、充放電サイクル後の容量やDCRも改善される傾向にあることがわかる。特に、低温(-10℃)におけるDCRの増加が抑制されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子に適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
図1
図2