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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】営巣防止具の設置方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20240318BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018229474
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020089321
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸二
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】古屋野 浩志
【審判官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-341930(JP,A)
【文献】特開平11-191917(JP,A)
【文献】特開2004-147429(JP,A)
【文献】特開昭58-13898(JP,A)
【文献】特開2016-25728(JP,A)
【文献】特開2013-94008(JP,A)
【文献】特開2012-213304(JP,A)
【文献】実開平4-84821(JP,U)
【文献】特開2007-195483(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137047(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
H02G 7/00- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備の屋外鉄構における鉄構ビームへの営巣防止具の設置方法であって、
それぞれが棒形状をなす複数の芯棒部材によって構成され、各前記芯棒部材の長さ方向の端部に設けられて、当該芯棒部材どうしを連結する連結機構を備え、当該連結機構によって、複数の前記芯棒部材を長さ方向に連結することによって構成される芯棒部と、当該芯棒部の軸心周りに螺旋状に巻回された帯形状をなし、当該軸心を中心とする円の外周方向に突出する突起を備えた忌避部と、を備えた営巣防止具における複数の前記芯棒部材を分離した状態で持って、前記鉄構ビームを支持するポストの前記営巣防止具の設置作業に適した位置まで昇柱し、複数の前記芯棒部材のうちの一つの前記芯棒部材(以下「第1の芯棒部材」という)を、当該第1の芯棒部材の軸心方向の一端側から前記鉄構ビームの延設方向に沿って押し出し、
前記第1の芯棒部材を、当該第1の芯棒部材の他端が前記鉄構ビームの一端側に近づくまで押し出した時点で、当該第1の芯棒部材とは別の芯棒部材(以下「第2の芯棒部材」という)の一端を当該第1の芯棒部材の他端に連結し、
前記第1の芯棒部材に連結された前記第2の芯棒部材を、前記鉄構ビームの延設方向に沿って、当該鉄構ビームの一端側から他端側に向けて押し出すことにより前記営巣防止具を前記鉄構ビーム上に設置する、
ことを特徴とする営巣防止具の設置方法。
【請求項2】
前記第1の芯棒部材および前記第2の芯棒部材を、当該第2の芯棒部材の他端が前記鉄構ビームの一端側に近づくまで押し出した時点で、前記第1の芯棒部材および当該第2の芯棒部材とは別の芯棒部材(以下「第3の芯棒部材」という)の一端を当該第2の芯棒部材の他端に連結し、
前記第1の芯棒部材および前記第2の芯棒部材に連結された前記第3の芯棒部材を、前記鉄構ビームの延設方向に沿って、当該鉄構ビームの一端側から他端側に向けて押し出すことにより前記営巣防止具を前記鉄構ビーム上に設置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項3】
前記忌避部は、前記軸心方向に沿って弾性変形可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項4】
前記芯棒部は、中空の管形状をなすことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項5】
前記芯棒部は、管形状をなす側壁を、当該側壁の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔を備えたことを特徴とする請求項4に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項6】
前記芯棒部は、管形状に成形されたメッシュ状のシート部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項7】
前記連結機構は、一方の前記芯棒部材の端部に設けられた凹部と、他方の前記芯棒部材の端部に設けられた凸部と、によって構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項8】
前記凹部には雌ネジが設けられ、前記凸部には当該雌ネジに螺合する雄ネジが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項9】
前記連結機構は、さらに、前記凹部と前記凸部とを嵌合させた状態で当該凹部および当該凸部を貫通する貫通孔と、当該貫通孔に挿入されるピン状部材と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の営巣防止具の設置方法。
【請求項10】
前記連結機構は、一方の前記芯棒部材の端部に設けられた雌ネジと、他方の前記芯棒部材の端部に設けられて当該雌ネジに螺合する雄ネジと、によって構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の営巣防止具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気設備に対する鳥類の営巣を防止する営巣防止具および営巣防止具の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
営巣防止具は、鳥類の飛来や営巣を抑制することを目的として、受変電設備、発電設備、構内線路設備、雷保護設備などの各種の電気設備に取り付けられる。営巣防止具は、このような各種の電気設備における、鳥類の飛来や営巣に起因する停電事故が発生するおそれがある充電部の周辺に物理的な障害を設けることによって、鳥類の飛来や営巣を抑制する。
【0003】
従来の営巣防止具は、このような各種の電気設備における充電部への取り付け作業に際して、当該充電部に接近する必要があった。このため、従来の営巣防止具の設置作業に際しては、充電部に接近することによる作業者の感電を回避するために、当該充電部を停電させる必要があった。
【0004】
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、変電所構内の鉄構、送電線鉄塔等の電気的な充電部が近接する構造体における当該構造体の充電部近傍位置における鳥類の営巣を防止するために、構造体の補強部における複数の補強部材の間を通過して垂直下方に垂下されているロープを有し、ロープを挿通し得る円筒状のパイプ部材からその周囲に斜め下方に向けて放射状に複数の枝部材を突出させて構成した構造体における営巣防止装置および巣の撤去方法に関する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0005】
また、関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、筒状に形成された筒状本体、筒状本体の軸方向に沿って形成された割目部と、割目部を挟んだ両側に設けられたレール部とを有する本体部材と、長板状に形成された取付基部と、複数の針状部と、取付基部の裏面の各レール部に対向する位置に設けられたランナ部とを有する取付部材と、を備えた鳥害防止具に関する技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0006】
また、関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、所定間隔毎に配置された複数の鳥害防止部材と、これら鳥害防止部材が引っ掛けられる一対の長尺部材と、を備え、各鳥害防止部材の各挿入孔内に架空電線を挿入することで、架空電線に対して取り付けられる鳥害防止具に関する技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-125175号公報
【文献】特許第6100636号公報
【文献】特許第5602080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、巣の構成要素となる小枝などをロープによって払い落とすことにより営巣を防止するものであって、鳥類の飛来や営巣自体を防止することが難しいという問題があった。
【0009】
また、上述した特許文献2や特許文献3に記載された従来の技術による鳥害防止具は、いずれも、電線に被せることによって取り付けるものであるため、特別高圧の電路につけることはできない。具体的には、上述した特許文献2や特許文献3に記載された従来の技術による鳥害防止具は、たとえば、発電所や変電所の構内に設けられた鉄構ビームなどのように、当該鉄構ビームを支持するポスト(支柱)などの他の部材と連結されている部材に取り付けることが難しく、鳥類の飛来や営巣を防止することが難しいという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、設置作業に際しての作業者の安全性の確保と作業性の向上との両立を図り、鳥類の飛来や営巣を防止することができる営巣防止具および営巣防止具の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる営巣防止具は、棒形状をなす芯棒部と、前記芯棒部の軸心周りに螺旋状に巻回された帯形状をなし、当該軸心を中心とする円の外周方向に突出する突起を備えた忌避部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記忌避部が、前記軸心方向に沿って弾性変形可能であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記芯棒部が、中空の管形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる営巣防止具は、前記芯棒部が、管形状をなす側壁を、当該側壁の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる営巣防止具は、前記芯棒部が、管形状に成形されたメッシュ状のシート部材によって構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記芯棒部が、それぞれが棒形状をなす複数の芯棒部材によって構成され、各前記芯棒部材の長さ方向の端部に設けられて、当該芯棒部材どうしを連結する連結機構を備え、前記連結機構によって、複数の前記芯棒部材を長さ方向に連結することによって構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記連結機構が、一方の前記芯棒部材の端部に設けられた凹部と、他方の前記芯棒部材の端部に設けられた凸部と、によって構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記凹部には雌ネジが設けられ、前記凸部には当該雌ネジに螺合する雄ネジが設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記連結機構が、さらに、前記凹部と前記凸部とを嵌合させた状態で当該凹部および当該凸部を貫通する貫通孔と、当該貫通孔に挿入されるピン状部材と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる営巣防止具は、上記の発明において、前記連結機構が、一方の前記芯棒部材の端部に設けられた雌ネジと、他方の前記芯棒部材の端部に設けられて当該雌ネジに螺合する雄ネジと、によって構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる営巣防止具の設置方法は、棒形状をなす芯棒部と、当該芯棒部の軸心周りに螺旋状に巻回された帯形状をなし、当該軸心を中心とする円の外周方向に突出する突起を備えた忌避部と、を備えた営巣防止具における前記芯棒部を、前記芯棒部の軸心方向の一端側から設置対象部材の延設方向に沿って押し出すことにより設置対象部材上に設置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかる営巣防止具および営巣防止具の設置方法によれば、設置作業に際しての作業者の安全性の確保と作業性の向上との両立を図り、鳥類の飛来や営巣を防止することができる営巣防止具および営巣防止具の設置方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具の構成を示す説明図(その1)である。
図2】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具の構成を示す説明図(その2)である。
図3】発電所に設置される電気設備の一例を示す説明図である。
図4】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業を示す説明図(その1)である。
図5】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業を示す説明図(その2)である。
図6】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業を示す説明図(その3)である。
図7】この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業を示す説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる営巣防止具および営巣防止具の設置方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(営巣防止具の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具の構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具の構成を示す説明図である。図1および図2において、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、芯棒部110と、忌避部120と、を備えている。
【0026】
芯棒部110は、棒形状をなす。芯棒部110は、それぞれが棒形状をなす複数の芯棒部材111を長さ方向に沿って連結することによって構成されている。芯棒部110を構成する各芯棒部材111は、それぞれが中空の管形状をなす。これにより、芯棒部110は、中空の筒形状をなす。具体的に、芯棒部材111は、たとえば、円筒形状をなす。
【0027】
円筒形状などの管形状をなす芯棒部110は、当該芯棒部110を構成する側壁を、当該側壁の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔112を備えている。貫通孔112は、壁面の全体にわたって複数設けられている。このように、側壁の壁面に複数の貫通孔112を設けることにより、側壁の壁面貫通孔112を設けない態様と比較して貫通孔を塞ぐ分の材料の重量を削減し、芯棒部110の軽量化を図ることができる。
【0028】
芯棒部110は、管形状に成形されたメッシュ状のシート部材によって構成されていてもよい。これによっても、薄板状のシート部材を管形状に成形する態様と比較して、メッシュ状のシートが備える隙間を塞ぐ分の材料の重量を削減し、芯棒部110の軽量化を図ることができる。
【0029】
芯棒部材111は、絶縁性に優れた材料によって形成されていることが好ましい。絶縁性に優れた材料によって芯棒部材111を形成することにより、営巣防止具100を充電部の近傍に設置する場合にも、芯棒部材111(芯棒部110)を介して電気が伝達されることを防止し、営巣防止具100の設置作業にかかる作業者の安全性を確保することができる。
【0030】
また、芯棒部材111は、耐候性に優れた材料によって形成されていることが好ましい。耐候性に優れた材料によって芯棒部材111を形成することにより、経時による芯棒部材111の劣化を抑制し、長期にわたって営巣防止具100の安定性を確保することができる。
【0031】
具体的に、芯棒部材111は、たとえば、耐候性や絶縁性に優れたポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂などを用いて形成することが好ましい。また、具体的に、芯棒部材111は、たとえば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などを用いて形成されるものであってもよい。
【0032】
芯棒部材111の外表面は、芯棒部材111を形成する材料の色が露出していてもよく、模様や着色が施されていてもよい。具体的には、たとえば、鳥類が忌避するへびを模した模様や、カラスなどの鳥類が忌避したり認識できない色(黄色など)によって着色したりしてもよい。
【0033】
芯棒部110を構成する芯棒部材111どうしは、それぞれ、連結機構200によって連結されている。連結機構200は、たとえば、一方の芯棒部材111の端部に設けられた凹部と、他方の芯棒部材111の端部に設けられた凸部と、によって構成することができる。具体的に、連結機構200は、中空の管形状をなす芯棒部材111における長さ方向の一端側の開口によって実現される凹部201と、芯棒部材111における長さ方向の他端側の外径寸法を当該凹部の内径寸法と同等程度に細くすることによって実現される凸部202と、によって構成することができる。
【0034】
このような連結機構200は、各芯棒部材111の長さ方向に沿って配列された2本の芯棒部材111のうちの一方の芯棒部材111aの一端側に設けられた凹部201と、他方の芯棒部材111bの他端側に設けられた凸部202と、を嵌合させることによって、当該2本の芯棒部材111を連結する。このように、凹部201と凸部202との嵌合によって芯棒部材111どうしを連結することにより、連結機構200によって連結された2本の芯棒部材111が分離することを防止できる。
【0035】
連結機構200において、凹部201には雌ネジ203が設けられ、凸部202には当該雌ネジ203に螺合する雄ネジ204が設けられている。凹部201に設けられた雌ネジ203と、凸部202に設けられた雄ネジ204とは、ピッチ、すなわち、ネジの山と山との間(または谷と谷との間)の寸法が等しい。
【0036】
このような連結機構200は、各芯棒部材111の長さ方向に沿って配列された2本の芯棒部材111のうちの一方の芯棒部材111aの一端側に設けられた凹部201に、他方の芯棒部材111bの他端側に設けられた凸部202をねじ込み、雌ネジ203と雄ネジ204とを螺合させながら凹部201と凸部202とを嵌合させることによって、当該2本の芯棒部材111を連結する。このように、凹部201と凸部202との嵌合および雄ネジ204と雌ネジ203との螺合によって芯棒部材111どうしを連結することにより、営巣防止具100の設置作業中や設置後に芯棒部材111が分離することを一層確実に防止できる。
【0037】
忌避部120は、帯形状をなす本体部121を備えている。本体部121の一面側には、当該一面側から離間する方向に突出する複数の突起122が設けられている。突起122は、たとえば、針のように細い形状をなす。忌避部120は、芯棒部110の軸心周りに螺旋状に巻回されている。これにより、突起122は、芯棒部110の軸心を中心とする円の外周方向に突出している。
【0038】
また、忌避部120は、絶縁性に優れた材料によって形成されていることが好ましい。絶縁性に優れた材料によって忌避部120を形成することにより、営巣防止具100を充電部の近傍に設置する場合にも、忌避部120を介して電気が伝達されることを防止し、営巣防止具100の設置作業にかかる作業者の安全性を確保することができる。
【0039】
また、忌避部120は、耐候性に優れた材料によって形成されていることが好ましい。耐候性に優れた材料によって忌避部120を形成することによって、経時による忌避部120の劣化を抑制することができ、長期にわたって安定して鳥類の忌避効果を維持することができる。
【0040】
忌避部120は、柔軟性あるいは可撓性を示す材料を用いて形成されていることが好ましい。柔軟性あるいは可撓性を示す材料を用いて忌避部120を形成することにより、営巣防止具100に鳥類が飛来した場合に、当該鳥類の体重などに応じて忌避部120を適宜変形させることができる。これにより、営巣防止具100に飛来した鳥類を傷つけることなく忌避させ、営巣を防止することができる。
【0041】
また、忌避部120は、弾性を示す材料を用いて形成されていることが好ましい。弾性を示す材料を用いて忌避部120を形成することにより、小型の鳥類が飛来した場合や巣材など比較的軽量な物体が載せられた場合は忌避部120を変形させることなく、営巣防止具100に飛来した鳥類を忌避させ、営巣を確実に防止することができる。
【0042】
忌避部120は、たとえば、エチレンやプロピレンなどのように炭素原子と炭素原子とが二重結合によって結合された脂肪族炭化水素であるオレフィン(アルケン)をモノマーとして合成される高分子化合物であるポリオレフィン系樹脂を用いて形成することができる。具体的には、忌避部120は、たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などを用いて形成することが好ましい。忌避部120は、本体部121と突起122とを同じ材料を用いて一体に形成されたものであってもよく、本体部121と突起122とを別体としてそれぞれ異なる材料を用いて形成されたものであってもよい。
【0043】
忌避部120は、芯棒部110とは別体とされている。忌避部120は、芯棒部材111ごとに、当該芯棒部材111の軸心方向における長さ寸法にそれぞれ独立して設けられている。この場合、忌避部120において、螺旋状に巻回されることによる回転面に直交する方向における長さ寸法は、芯棒部材111の軸心方向における長さ寸法と同等とされている。
【0044】
忌避部120を芯棒部材111ごとに設けることにより、作業者は、たとえば、営巣防止具100の設置対象となる鉄構ビームの長さなど、芯棒部110に必要とされる長さにあわせて芯棒部材111を連結するだけで、連結された芯棒部材111の全体の長さに応じた忌避部120を整えることができる。これにより、営巣防止具100の設置作業にかかる作業者の負担軽減を図るとともに作業効率の向上を図ることができる。
【0045】
忌避部120は、芯棒部110とは別体とされているため、芯棒部110の軸心方向、すなわち、螺旋状に巻回されることによる回転面に直交する方向に沿って弾性変形することができる。芯棒部110の軸心周りに螺旋状に巻回されている忌避部120は、外力が加えられた際に、収縮することによって当該外力を吸収する。また、忌避部120は、加えられた外力から開放された場合に、自身の弾性力によって元の形状に復帰する。
【0046】
(営巣防止具100の設置作業)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業について説明する。この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、たとえば、発電所や変電所の構内に設けられた電気設備に設置する。図3は、発電所に設置される電気設備の一例を示す説明図である。図3において、変電所の構内には、変圧器301、遮断器302、断路器303、計器用変成器304、避雷器305などの各種の電気設備が設置されている。
【0047】
変圧器301は、一次側から供給される電気の電圧を変圧して二次側へ送出する。遮断器302は、電力回路や電力機器における負荷電流を開閉したり、送電や送電停止あるいは事故発生時に、保護継電器と連携して短絡事故電流などの事故電流を遮断することにより二次側の電気設備を保護して上流側への事故波及を防止したりする。
【0048】
断路器303は、変圧器301や遮断器302あるいは電線などの点検や修理に際して、電力回路の無負荷時の電圧を開閉する。電気の導通を遮断する計器用変成器304、避雷器305は、雷などによる異常電圧を電気機器の絶縁耐力よりも低い電圧まで下げることによって、変電所に設置された電気機器を雷などによる異常電圧から保護する。
【0049】
変電所に設置された各電気機器には、電線306が接続されている。各電気機器は、一次側に接続された電線306を介して供給される電気を、二次側に接続された電線306を介して送出する。電線306は、電気機器に接続されるとともに、碍子307などを介して当該電気機器の周囲に設けられた屋外鉄構308などに支持されている。
【0050】
屋外鉄構308は、形鋼などを用いて形成された鉄構ビーム309や鉄構ビーム309を支持するポスト(支柱)310などによって構成されている。鉄構ビーム309やポスト310は、たとえば、形鋼をトラス構造などに組み立てた結構構造をなす。鉄構ビーム309やポスト310を構成する鋼材どうし、および、鉄構ビーム309とポスト310とは、ボルトやナットを用いて連結されている。
【0051】
変電所などに設置された各電気機器や電線306には、送配電をおこなっている通常時において、接触あるいは近づいた場合に感電の恐れがあるレベルの高電圧が印加されている。すなわち、送配電をおこなっている通常時における各電気機器や電線306は、充電状態とされている。屋外鉄構308は、充電状態とされた電気機器の近傍に設置されたり、充電状態とされた電線306を支持している。
【0052】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、たとえば、屋外鉄構308における鉄構ビーム309に設置する。従来の営巣防止具100は、鉄構ビームへの取り付け作業に際して、作業者の安全性を確保するために、母線を停電する必要があった。そして、母線を停電することにより、停電範囲は広範囲にわたることがあった。
【0053】
一方で、変電所の停電は、季節や時間帯に応じた制約があり、停電してしまうことによって供給支障が生じる可能性が高いため、営巣防止具100の設置作業をおこなうために停電することは容易ではないという現状があった。停電が困難な場合は、労働安全衛生規則などの定めにしたがい、充電部から接近限界距離以上の距離を保った状態で営巣防止具100の設置作業をおこなわなくてはならない。具体的に、接近限界距離は、たとえば、電圧が66kVの場合は、60cm以上とされる。
【0054】
しかしながら、足場が制限された不安定な高所において、このような接近限界距離を保った状態で営巣防止具100の設置作業をおこなうことは、高所からの墜落と感電との両方の危険をともなう。そして、従来の営巣防止具100は、設置した状態においてはそれぞれに営巣防止効果を発揮するものの、設置作業の安全性については考慮されていないため、停電が困難な場所に対しては営巣防止具100の設置が困難な場合があった。
【0055】
これに対し、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、設置作業にかかる作業者の安全性が充分に考慮されている。特に、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、鉄構ビーム309に乗り出すことなく、鉄構ビーム309内に営巣防止装置を設置でき、鉄構ビーム309における営巣を確実に防止することができる。
【0056】
図4図7は、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置作業を示す説明図である。営巣防止具100の設置作業に際して、作業者400は、営巣防止具100を持って、当該営巣防止具100の設置対象となる鉄構ビーム309を支持するポスト310に昇柱する。作業者400は、営巣防止具100の設置作業に適した位置まで昇柱する。具体的に、作業者400は、たとえば、営巣防止具100の設置対象となる鉄構ビーム309と、昇柱しているポスト310との連結位置に手が届く位置まで昇柱する。
【0057】
このとき、作業者400は、連結した場合に、営巣防止具100の設置対象となる鉄構ビーム309の長さに合わせた長さの芯棒部110を構成するために必要な本数の芯棒部材111を持ってポスト310に昇柱する。芯棒部材111は、たとえば、図4に示すように、作業者400が背負う(担ぐ)ことができる工具袋401などに入れることによって、複数本をまとめて運搬することができる。
【0058】
複数の芯棒部材111は、それぞればらした状態で運搬する。これにより、芯棒部材111がかさばらず、芯棒部材111の運搬にかかる作業負担の軽減を図ることができる。また、複数の芯棒部材111は、それぞれ中空形状をなすため、芯棒部材111の軽量化が図られ、これによっても芯棒部材111の運搬にかかる作業者400の負担軽減を図ることができる。
【0059】
営巣防止具100の設置作業に適した位置まで昇柱すると、作業者400は、図5に示すように、1本目の芯棒部材111(図5における符号501を参照)を、鉄構ビーム309の延設方向に沿って、鉄構ビーム309の一端側から他端側に向けて、当該1本目の芯棒部材111の軸心方向の一端側から押し出す(図5における矢印502を参照)。そして、1本目の芯棒部材111を、当該1本目の芯棒部材111の他端が鉄構ビーム309の一端側に近づくまで押し出した時点で、2本目の芯棒部材111(図6における符号601を参照)の一端を1本目の芯棒部材111の他端に連結する。
【0060】
そして、1本目の芯棒部材111(501)に連結された2本目の芯棒部材111(601)を、図6に示すように、鉄構ビーム309の延設方向に沿って、鉄構ビーム309の一端側から他端側に向けて押し出す(図6における矢印602を参照)。作業者400は、作業者400の手元側にある芯棒部材111(たとえば、1本目の芯棒部材111(501))にあらたな芯棒部材111(たとえば、2本目の芯棒部材111(601))を連結しながら、当該芯棒部材111を鉄構ビーム309の一端側から他端側に向けて押し出す作業を、鉄構ビーム309の長さ分繰り返す。これにより、図7に示すように、鉄構ビーム309の一端側から他端側にわたって営巣防止具100を設置することができる。
【0061】
芯棒部材111を押し出す作業に際しては、芯棒部材111を軸心周りに回転させながら、ねじ込むようにしてもよい。忌避部120が螺旋形状をなすため、芯棒部材111を軸心周りに回転させながらねじ込むことにより、鉄構ビーム309におけるポスト310との連結位置に対する、軸心方向における本体部121どうしの隙間および突起122どうしの隙間の位置が変化する。鉄構ビーム309やポスト310を構成する鋼材どうし、および、鉄構ビーム309とポスト310との連結位置などにおける凹凸を回避しながら芯棒部材111を鉄構ビーム309内に押し出すことができる。
【0062】
また、芯棒部材111を押し出す作業に際しては、突起122を形成する材料の柔軟性や弾性を利用してもよい。具体的には、たとえば、芯棒部材111を押し出す際に、鉄構ビーム309やポスト310を構成する鋼材どうし、および、鉄構ビーム309とポスト310との連結位置などにおける凹凸に突き当たった場合は、突起122を変形させることによってこれらの凹凸を回避するようにしてもよい。
【0063】
これにより、複数連結することによって、作業者400の手元から離れた位置まで押し出す芯棒部材111が、鉄構ビーム309とポスト310との連結位置における凹凸などに引っかかってしまうことを回避することができる。そして、これにより、作業者400は、充電部に近づいたり、鉄構ビーム309を支持するポスト310の位置から移動したりすることなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0064】
その後、鉄構ビーム309に設置した営巣防止具100を、結束バンドなどを用いて鉄構ビーム309に固定する。これにより、営巣防止具100が設置後に脱落することを確実に防止することができる。この際、結束バンドは、たとえば、芯棒部材111に設けられた複数の貫通孔のうちの任意の貫通孔に通した状態で、鉄構ビーム309を構成する鋼材に固定する。
【0065】
また、芯棒部材111には、営巣防止具100を鉄構ビーム309に固定するための専用の貫通孔やリング(いずれも図示を省略する)を設けてもよい。この場合、専用の貫通孔やリングに結束バンドを通した状態で、当該結束バンドを鉄構ビーム309を構成する鋼材に固定する。これによっても、営巣防止具100を鉄構ビーム309に固定することができる。
【0066】
1つの鉄構ビーム309内に設置する営巣防止具100は、1つに限らない。営巣防止具100は、1つの鉄構ビーム309内に複数設置してもよい。この場合も、芯棒部材111を軸心周りに回転させながらねじ込むことにより、先に設置された営巣防止具100における突起122を回避し、後から設置する営巣防止具100によって先に設置された営巣防止具100を押し出すことなく、1つの鉄構ビーム309内に複数の営巣防止具100を設置することができる。
【0067】
上述した実施の形態においては、各芯棒部材111の長さ方向に沿って配列された2本の芯棒部材111のうちの一方の芯棒部材111aの一端側に設けられた凹部201および雌ネジ203と、他方の芯棒部材111bの他端側に設けられた凸部202および雄ネジ204と、を備えた連結機構200について説明したが、この発明にかかる連結機構の構成はこれに限るものではない。
【0068】
この発明にかかる連結機構は、たとえば、各芯棒部材111の長さ方向に沿って配列された2本の芯棒部材111のうちの一方の芯棒部材111aの一端側に設けられた凹部と、他方の芯棒部材111bの他端側に設けられた凸部と、によって構成されるものであってもよい。このような構成の連結機構によれば、凹部と凸部とを嵌合させることによって、2本の芯棒部材111を連結することができる。
【0069】
また、このように凹部と凸部とを嵌合させることによって2本の芯棒部材111を連結する連結機構においては、一方の芯棒部材111aおよび他方の芯棒部材111bに、凹部と凸部とを嵌合させた状態で当該凹部および当該凸部を貫通する貫通孔(図示を省略する)を設け、当該貫通孔にピン状部材(図示を省略する)を挿入することによって、連結された2本の芯棒部材111が分離しないように固定するようにしてもよい。これにより、凹部と凸部とを嵌合させるだけで2本の芯棒部材111を容易に連結することができ、かつ、連結された2本の芯棒部材111が営巣防止具100の設置作業中に分離しないように確実に固定することができる。
【0070】
この場合、ピン状部材は、たとえば、割ピンによって実現することができる。割ピンは、断面が半円形をなす針金を、半円における平らな面を内側にして、二つ折りにすることによって形成されている。割ピンを用いる場合、2本の芯棒部材111の連結に際しては、凹部および凸部を貫通する貫通孔を貫通させた割ピンを、割れ目を広げるようにして曲げてもよい。これにより、割ピンを抜けにくくして、連結された2本の芯棒部材111が営巣防止具100の設置作業中に分離しないように確実に固定することができる。
【0071】
また、各芯棒部材111の長さ方向における少なくとも端部に貫通孔(図示を省略する)を設け、一方の芯棒部材111aと他方の芯棒部材111bとを、当該貫通孔に通した結束バンドで固定するようにしてもよい。これにより、営巣防止具100における連結機構の構成を簡易化することができる。
【0072】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、棒形状をなす芯棒部110と、芯棒部110の軸心周りに螺旋状に巻回された帯形状をなし、当該軸心を中心とする円の外周方向に突出する突起122を備えた忌避部120と、を備えたことを特徴としている。
【0073】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、作業者400は、充電部に近づいたり、鉄構ビーム309を支持するポスト310の位置から移動したりすることなく、鉄構ビーム309の延設方向に沿って、軸心方向の一端側から芯棒部110を押し出すことにより、鉄構ビーム309上に営巣防止具100を設置することができる。
【0074】
これにより、母線停電などの停電をともなうことなく、作業者400は安全な位置にとどまった状態で、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。このため、作業場所を移動することがないため、移動中に足を踏み外すなどによる墜落の危険を最小限に抑えることができる。そして、これによって、設置作業に際しての作業者400の安全性の確保と作業性の向上との両立を図り、鳥類の飛来や営巣を防止することができる。
【0075】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、芯棒部材111を軸心周りに回転させながらねじ込むことによって、鉄構ビーム309やポスト310を構成する鋼材どうし、および、鉄構ビーム309とポスト310との連結位置などにおける凹凸を回避しながら芯棒部材111を鉄構ビーム309内に押し出すことができる。これにより、鉄構ビーム309に凹凸がある場合にも、確実に営巣防止具100を設置することができ、鳥類の飛来や営巣を確実に防止することができる。
【0076】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、営巣防止具100自体は可動部を有していないため、経時による劣化などに起因して可動部における可動性が低下するなどの機能低下を生じない。これにより、長期にわたって確実な営巣防止効果を維持するとともに、たとえば、一旦設置した営巣防止具100が不要になった場合は、取り外して別の場所において再利用することができる。
【0077】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、忌避部120が、軸心方向に沿って弾性変形可能であることを特徴としている。
【0078】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、鉄構ビーム309を支持するポスト310と鉄構ビーム309との連結部位など、設置位置における凹凸に応じて忌避部120を弾性変形させることができる。これにより、棒形状をなす芯棒部110が設置位置から浮き上がってしまうことを回避し、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を確実に設置することができる。
【0079】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、芯棒部110が、中空の管形状をなすことを特徴としている。
【0080】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、営巣防止具100の軽量化を図ることができる。これにより、作業者400は、鉄構ビーム309を支持するポスト310の位置から移動することなく芯棒部110を容易に押し出すことができるので、営巣防止具100の設置作業をおこなう作業者400の負担軽減を図ることができる。また、営巣防止具100の軽量化を図ることにより、営巣防止具100の取り扱い性の容易化を図り作業効率の向上を図ることができる。
【0081】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、芯棒部110が、管形状をなす側壁を、当該側壁の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔112を備えたことを特徴としている。
【0082】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、側壁の壁面に複数の貫通孔112を設けることにより、側壁の壁面貫通孔112を設けない態様と比較して貫通孔112を塞ぐ分の材料の重量を削減し、芯棒部110の軽量化を図ることができる。これにより、営巣防止具100の取り扱い性の容易化を図ることができ、営巣防止具100の設置作業をおこなう作業者400の負担軽減を図るとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、芯棒部110が、管形状に成形されたメッシュ状のシート部材によって構成されていることを特徴としている。
【0084】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、管形状に成形されたメッシュ状のシート部材によって芯棒部材111を構成することにより、薄板状のシート部材を管形状に成形する態様と比較して、メッシュ状のシートが備える隙間を塞ぐ分の材料の重量を削減し、芯棒部110の軽量化を図ることができる。これにより、営巣防止具100の取り扱い性の容易化を図ることができ、営巣防止具100の設置作業をおこなう作業者400の負担軽減を図るとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、芯棒部110が、それぞれが棒形状をなす複数の芯棒部材111によって構成され、各芯棒部材111の長さ方向の端部に設けられて、当該芯棒部材111どうしを連結する連結機構200を備え、連結機構200によって、複数の芯棒部材111を長さ方向に連結することによって構成されていることを特徴としている。
【0086】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、営巣防止具100の設置対象とする鉄構ビーム309の長さに応じた数の芯棒部材111を長さ方向に連結することによって、営巣防止具100の設置対象とする鉄構ビーム309の長さにかかわらず、充電部に近づいたり、鉄構ビーム309を支持するポスト310の位置から移動したりすることなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0087】
これにより、鉄構ビーム309の長さ方向に沿って、安全に作業ができるポスト310から反対側のポスト310までの全体にわたって営巣防止具100を設置することができる。また、営巣防止具100を上から設置することができない、結構構造をなす鉄構ビーム309の内側であっても、営巣防止具100を設置することができる。これによって、設置作業に際しての作業者400の安全性の確保と作業性の向上との両立を図り、鳥類の飛来や営巣を防止することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、連結機構200が、一方の芯棒部材111aの端部に設けられた凹部201と、他方の芯棒部材111bの端部に設けられた凸部202と、によって構成されていることを特徴としている。
【0089】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、凹部201と凸部202との嵌合によって芯棒部材111どうしを連結することにより、設置作業中や設置後に芯棒部材111が分離することを確実に防止できる。これにより、作業者400は、複数の芯棒部材111を連結した芯棒部110が分解してしまうことを懸念することなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0090】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、凹部201には雌ネジ203が設けられ、凸部202には当該雌ネジ203に螺合する雄ネジ204が設けられていることを特徴としている。
【0091】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100によれば、凹部201と凸部202との嵌合および雄ネジ204と雌ネジ203との螺合によって芯棒部材111どうしを連結することにより、設置作業中や設置後に芯棒部材111が分離することを一層確実に防止できる。これにより、作業者400は、複数の芯棒部材111を連結した芯棒部110が分解してしまうことを懸念することなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0092】
雌ネジ203および雄ネジ204の方向は、芯棒部材111を軸心周りに回転させながらねじ込む際に、ねじ込み(推進)方向に芯棒部材111が回転するにともなって締まるような方向にネジ切られていることが好ましい。これにより、営巣防止具100の設置に際して芯棒部材111をねじ込むことによって連結機構200による連結を確実におこなうことができる。
【0093】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、連結機構200が、さらに、凹部201と凸部202とを嵌合させた状態で当該凹部201および当該凸部202を貫通する貫通孔と、当該貫通孔に挿入されるピン状部材と、を備えていてもよい。
【0094】
このような営巣防止具100によれば、凹部201と凸部202とを嵌合させることによって連結された芯棒部材111どうしに、割ピンなどのピン状部材を貫通させることによって、設置作業中や設置後に芯棒部材111が分離することを一層確実に防止できる。これにより、作業者400は、複数の芯棒部材111を連結した芯棒部110が分解してしまうことを懸念することなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0095】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100は、連結機構200が、一方の芯棒部材111aの端部に設けられた雌ネジ203と、他方の芯棒部材111bの端部に設けられて当該雌ネジ203に螺合する雄ネジ204と、によって構成されていてもよい。具体的には、一方の芯棒部材111aの端部にネジ穴を備える部材を取り付け、他方の芯棒部材111bの端部にボルトの頭部を溶接などによって固定することによって連結機構200を構成してもよい。
【0096】
このような営巣防止具100によれば、雌ネジ203と雄ネジ204との螺合によって芯棒部材111どうしを連結することにより、設置作業中や設置後に芯棒部材111が分離することを確実に防止できる。これにより、作業者400は、複数の芯棒部材111を連結した芯棒部110が分解してしまうことを懸念することなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。
【0097】
また、この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置方法は、棒形状をなす芯棒部110と、当該芯棒部110の軸心周りに螺旋状に巻回された帯形状をなし、当該軸心を中心とする円の外周方向に突出する突起122を備えた忌避部120と、を備えた営巣防止具100における芯棒部110を、芯棒部110の軸心方向の一端側から設置対象部材の延設方向に沿って押し出すことにより設置対象部材上に設置するようにしたことを特徴としている。
【0098】
この発明にかかる実施の形態の営巣防止具100の設置方法によれば、作業者400は、充電部に近づいたり、鉄構ビーム309を支持するポスト310の位置から移動したりすることなく、鉄構ビーム309に対して営巣防止具100を設置することができる。これにより、設置作業に際しての作業者400の安全性の確保と作業性の向上との両立を図り、鳥類の飛来や営巣を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、この発明にかかる営巣防止具および営巣防止具の設置方法は、電気設備に対する鳥類の営巣を防止する営巣防止具および営巣防止具の設置方法に有用であり、特に、特別高圧などの充電部に近接する鉄構ビームに対する鳥類の営巣を防止する営巣防止具および営巣防止具の設置方法に適している。
【符号の説明】
【0100】
100 営巣防止具
110 芯棒部
111、111a、111b 芯棒部材
112 貫通孔
120 忌避部
121 本体部
122 突起
200 連結機構
201 凹部
202 凸部
203 雌ネジ
204 雄ネジ
308 屋外鉄構
309 鉄構ビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7