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特許7455525固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240318BHJP
   H04N 25/77 20230101ALI20240318BHJP
   H04N 25/771 20230101ALI20240318BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/77
H04N25/771
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019130986
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2020017724
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2018134131
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】899000035
【氏名又は名称】株式会社 東北テクノアーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】高柳 功
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 健
(72)【発明者】
【氏名】須川 成利
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043343(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169882(WO,A1)
【文献】特開2005-328493(JP,A)
【文献】特開2002-050753(JP,A)
【文献】特開2001-036061(JP,A)
【文献】特開2017-183502(JP,A)
【文献】特開2009-253150(JP,A)
【文献】特開2015-213274(JP,A)
【文献】特開2002-100754(JP,A)
【文献】特開平05-347401(JP,A)
【文献】特開平10-242312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0201400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/771
H04N 25/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板と、
前記基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型半導体層と、
前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、
前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を有し、
前記蓄積容量素子は、
前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成され
前記基板の第2基板面の表面に形成された第1導電型半導体領域または第2導電型半導体領域を含む第1電極と、
前記第2基板面上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて前記第1電極と対向するように形成された第2電極と、を含み、
前記基板は、
基板面に対して直交する方向において、前記第2基板面から前記第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、
前記第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含み、
前記光電変換部は、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分の面積が、前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分より面積が大きく、
前記蓄積容量素子の前記第1電極は、
前記光電変換部の前記第2領域の前記第1導電型半導体層と対向するよう、前記第1領域において前記第2導電型半導体層を介して前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の一部に第2導電型半導体領域が形成されている
固体撮像装置。
【請求項2】
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板と、
前記基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型半導体層と、
前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、
前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を有し、
前記蓄積容量素子は、
前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成され
前記基板の第2基板面の表面に形成された第1導電型半導体領域または第2導電型半導体領域を含む第1電極と、
前記第2基板面上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて前記第1電極と対向するように形成された第2電極と、を含み、
前記基板は、
基板面に対して直交する方向において、前記第2基板面から前記第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、
前記第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含み、
前記光電変換部は、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分の面積が、前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分より面積が大きく、
前記蓄積容量素子の前記第1電極は、
前記光電変換部の前記第2領域の前記第1導電型半導体層と対向するよう、前記第1領域において前記第2導電型半導体層を介して前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層は、
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層と接する側の領域より前記第1基板面側の領域の方が小さい
固体撮像装置。
【請求項3】
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層は、
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層と接する側の領域より前記第1基板面側の領域の方が小さい
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記光電変換部は、
前記第1導電型半導体層の前記第2基板面側の表面上に第2導電型半導体領域が形成され、
前記蓄積容量素子は、
前記第2基板面側の表面に形成された前記第2導電型半導体領域が前記第1電極として共用されている
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記基板は、
基板面に対して直交する方向において、前記第2基板面から前記第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、
前記第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含み、
前記第2導電型半導体領域は、
前記光電変換部の前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の前記第2基板面側の表面上に形成されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層は画素中心からずらして形成されている
請求項1から5のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の形成領域には、第2導電型のエピタキシャル領域が残してある
請求項1から6のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層は前記第1領域にある前記第1導電型半導体層に電荷が転送される形状に形成されている
請求項からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の一部に第2導電型半導体領域が形成されている
請求項から8のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記光電変換部の前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の前記第2基板面側の表面上に第2導電型半導体領域が形成され、
前記フローティングディフュージョンは、
前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記蓄積トランジスタの前記蓄積容量素子との容量接続ノードは、
前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記転送トランジスタは、
前記第2導電型半導体領域と前記フローティングディフュージョンとしての前記第1導電型半導体領域間の前記基板の第2基板面上に配置されたゲート電極を含んで形成され、
前記蓄積トランジスタは、
前記フローティングディフュージョンとしての前記第1導電型半導体領域と前記容量接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域間の前記基板の第2基板面上に配置されたゲート電極を含んで形成されている
請求項からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記蓄積トランジスタのゲート電極下の第2基板面側に、前記容量接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域に接続された第1導電型半導体領域が形成されている
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記フローティングディフュージョンが、複数の前記光電変換部および前記転送トランジスタにより共有されている共有型画素として形成され、
前記蓄積トランジスタのゲート電極下の第2基板面側に、前記容量接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域に接続された第1導電型半導体領域が形成されている
請求項10または11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
少なくとも前記フローティングディフュージョンを所定電位にリセットするリセットトランジスタを含み、
前記リセットトランジスタは、
前記フローティングディフュージョンまたは前記蓄積容量素子との接続ノードは、
前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記所定電位との電源接続ノードは、
前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、
前記リセットトランジスタは、
前記接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域と前記電源接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域間の前記基板の第2基板面上に配置されたゲート電極を含んで形成され、
前記リセットトランジスタのゲート電極下の第2基板面側に、前記電源接続ノードとしての前記第1導電型半導体領域に接続された第1導電型半導体領域が形成されている
請求項10から12のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記蓄積容量素子の前記第1電極としての第1導電型半導体領域と前記蓄積トランジスタの容量接続ノードとしての第1導電型半導体領域との間の前記第2基板面側の少なくとも表面部に素子分離用第2導電型半導体領域が形成されている
請求項10から13のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記蓄積容量素子の前記第1電極としての第1導電型半導体領域と前記フローティングディフュージョンとしての第1導電型半導体領域との間の前記第2基板面側の少なくとも表面部に素子分離用第2導電型半導体領域が形成されている
請求項10から14のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記フローティングディフュージョンとしての第1導電型半導体領域と前記素子分離用第2導電型半導体領域との間に第2導電型半導体領域が形成されている
請求項15記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記フローティングディフュージョンとしての第1導電型半導体領域と前記容量接続ノードとしての第1導電型半導体領域との間であって、これら第1導電型半導体領域より前記第2基板面の表面から深い領域に第2導電型半導体領域が形成されている
請求項10から16のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記フローティングディフュージョンとしての第1導電型半導体領域と前記容量接続ノードとしての第1導電型半導体領域のうちの少なくとも一方の第1導電型半導体領域がアクティブ領域を制限するためのリング部により囲われている
請求項10から17のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
少なくとも前記フローティングディフュージョンを所定電位にリセットするリセットトランジスタを含み、
前記リセットトランジスタのゲート電極が、接続ノードとしての第1導電型半導体領域を制限するためのリング部により囲われている
請求項10から18のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項20】
前記転送トランジスタ、前記フローティングディフュージョン、前記蓄積トランジスタ、および前記蓄積トランジスタの前記蓄積容量素子との容量接続ノードより前記第2基板面の表面から深い領域にオーバーフローパスが形成されている
請求項10から19のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項21】
前記オーバーフローパスは、前記第2基板面の表面に形成された、前記転送トランジスタのチャネル形成領域としての第2導電型半導体領域、前記フローティングディフュージョンとして第1導電型半導体領域、前記蓄積トランジスタのチャネル形成領域としての第 2導電型半導体領域、および前記容量接続ノードとしての第1導電型半導体領域より、前記第2基板面の表面から深い領域に、第1導電型の埋め込み層として形成されている
請求項20記載の固体撮像装置。
【請求項22】
前記固体撮像装置は、裏面照射型である
請求項1から21のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項23】
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に対して、前記第1基板面側と前記第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部を形成するステップと、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に第2導電型半導体層を形成するステップと、
前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタを形成するステップと、
前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンを形成するステップと、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタを形成するステップと、
前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子を形成するステップと、を有し、
前記蓄積容量素子を形成するステップにおいては、
前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成し、かつ、
前記基板の第2基板面の表面に形成された第1導電型半導体領域または第2導電型半導体領域を含む第1電極と、
前記第2基板面上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて前記第1電極と対向するように形成された第2電極と、を含むように形成し、
前記基板を形成するステップにおいては、
基板面に対して直交する方向において、前記第2基板面から前記第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、
前記第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含むように形成し、
前記光電変換部を形成するステップにおいては、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分の面積を、前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分の面積より大きく形成し、
前記蓄積容量素子の前記第1電極は、
前記光電変換部の前記第2領域の前記第1導電型半導体層と対向するよう、前記第1領域において前記第2導電型半導体層を介して前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成し、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の一部に第2導電型半導体領域を形成する、または、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層は、
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層と接する側の領域より前記第1基板面側の領域の方を小さく形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項24】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板と、
前記基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型半導体層と、
前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、
前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を有し、
前記蓄積容量素子は、
前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成され
前記基板の第2基板面の表面に形成された第1導電型半導体領域または第2導電型半導体領域を含む第1電極と、
前記第2基板面上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて前記第1電極と対向するように形成された第2電極と、を含み、
前記基板は、
基板面に対して直交する方向において、前記第2基板面から前記第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、
前記第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含み、
前記光電変換部は、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分の面積が、前記第1領域にある前記第1導電型半導体層の基板面に対向する部分より面積が大きく、
前記蓄積容量素子の前記第1電極は、
前記光電変換部の前記第2領域の前記第1導電型半導体層と対向するよう、前記第1領域において前記第2導電型半導体層を介して前記基板の第2基板面の表面に第1導電型半導体領域として形成され、かつ、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層の一部に第2導電型半導体領域が形成されている、または、
前記第2領域にある前記第1導電型半導体層は、
前記第1領域にある前記第1導電型半導体層と接する側の領域より前記第1基板面側の領域の方が小さい
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
CMOSイメージセンサの各画素は、たとえば1個のフォトダイオードに対して、転送素子としての転送トランジスタ、リセット素子としてのリセットトランジスタ、ソースフォロワ素子(増幅素子)としてのソースフォロワトランジスタ、および選択素子としての選択トランジスタの4素子を能動素子として含んで構成される(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
ところで、特性向上のため、広ダイナミックレンジを持つ高画質のCMOSイメージセンサを実現する方法が種々提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
この広ダイナミックレンジ化CMOSイメージセンサは、上記した転送トランジスタ、リセットトランジスタト、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタの4素子に加えて、以下の素子を有する。
すなわち、この広ダイナミックレンジ化CMOSイメージセンサは、フォトダイオードPDの蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンFDからの電荷を蓄積する蓄積キャパシタ(CS)、および蓄積キャパシタに蓄積されていた電荷とフローティングディフュージョンに蓄積されていた電荷とを混合させる蓄積トランジスタ(CS読み出しスイッチ)を含んで構成される。
【0007】
このCMOSイメージセンサは、混合前にフローティングディフュージョンに蓄積されていた電荷を読み出すとともに、混合後に混合された電荷を読み出すことにより、広ダイナミックレンジ化を実現している。
【0008】
また、各画素において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(Pinned Photo Diode;PPD)が広く用いられている。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
なお、フォトダイオード(PD)の感度は、たとえば露光時間を変えたりすることで変更できる。
【0009】
埋め込み型フォトダイオード(PPD)は、たとえばn型半導体層を形成し、このn型半導体層の表面、すなわち絶縁膜との界面近傍に、暗電流抑制のための浅く不純物濃度の濃いp型半導体層を形成して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2005-223681号公報
【文献】特許4317115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、特許文献2に記載されたCMOSイメージセンサでは、フォトダイオードPDと蓄積キャパシタCSを備え、フォトダイオードPDよりも容量密度の高い蓄積キャパシタCSに信号電荷を保持することで、最大信号が増え、ダイナミックレンジDRの拡大を実現している。
【0012】
しかしながら、特許文献2に記載されたCMOSイメージセンサにおいて、蓄積キャパシタCSの容量を大きく設定すると、フォトダイオードPD開口が下がり、感度が低下する。
一方、フォトダイオードPDの受光面積を大きく設定すると、蓄積キャパシタCSの占有面積が小さくなり、結果としてダイナミックレンジが低下する。
【0013】
本発明は、広ダイナミックレンジ化および高感度化の両立を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板と、前記基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部と、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型半導体層と、前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を有し、前記蓄積容量素子は、前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成されている。
【0015】
本発明の第2の観点の固体撮像装置の製造方法は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に対して、前記第1基板面側と前記第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部を形成するステップと、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に第2導電型半導体層を形成するステップと、前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタを形成するステップと、前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンを形成するステップと、前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタを形成するステップと、前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子を形成するステップと、を有し、前記蓄積容量素子を形成するステップにおいては、前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成する。
【0016】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板と、前記基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部と、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型半導体層と、前記光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、前記転送トランジスタを通じて前記電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、前記蓄積トランジスタを介して前記フローティングディフュージョンからの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を有し、前記蓄積容量素子は、前記第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で前記光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、広ダイナミックレンジ化および高感度化の両立を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系の構成例を説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図10】本発明の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図11】本発明の第7の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図12】本発明の第8の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
図13】本発明の第9の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
図14】本発明の第10の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
図15】本発明の第11の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図16】本第11の実施形態に係る画素の転送トランジスタ下の断面の蓄積時間中のポテンシャルプロファイルを示す図である。
図17】本発明の第12の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図18】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえば裏面照射型のCMOSイメージセンサにより構成される。
【0021】
この固体撮像装置10は、図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0022】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、画素部20に行列状に配列される画素(または画素部20)を有し、かつその画素PXLは光電変換部としての埋め込み型フォトダイオード(PPD)を含んで形成される。
【0023】
本実施形態の画素PXLは、光が照射される第1基板面側(たとえば裏面側)と、第1基板面側と対向する側の第2基板面側(前面側)とを有する基板と、基板の第1基板面側と第2基板面側との間に埋め込むように形成された第1導電型(たとえば本実施形態においてはn型)半導体層(以下、n層という場合もある)を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する光電変換部(フォトダイオードPD1)と、光電変換部の第1導電型半導体層の少なくとも側部に形成された第2導電型(本実施形態においてはp型)半導体層(以下、p層という場合もある)と、を有している。
さらに、画素PXLは、光電変換部に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタと、転送トランジスタを通じて電荷が転送されるフローティングディフュージョンFD1と、フローティングディフュージョンに接続された蓄積トランジスタと、蓄積トランジスタを介してフローティングディフュージョンFD1からの電荷を蓄積する蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1と、を有している。
そして、画素PXLにおいて、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面側において、基板面に対して直交する方向で光電変換部の少なくとも一部と空間的に重なり部分を持つように形成されている。
【0024】
本第1の実施形態において、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、基板の第2基板面の表面に形成された第2導電型(p型)半導体領域により形成される第1電極と、第2基板面上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて第1電極と対向するように形成された第2電極と、を含む。
光電変換部は、第1導電型半導体層(n層)の第2基板面側の表面に側部の第2導電型半導体層(p層)より不純物濃度の濃い第2導電型半導体領域(p+領域)が形成されている。
そして、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面側の表面に形成された第2導電型半導体領域(p+領域)が第1電極として共用されている。
【0025】
本第1の実施形態において、基板は、基板面に対して直交する方向において、第2基板面から第1基板面に向かって第1の深さを持つ第1領域と、第1の深さより深い第2の深さを持つ第2領域と、を含み、第2導電型半導体領域(p+領域)は、光電変換部の第1領域にある第1導電型半導体層(n層)の第2基板面側の表面上に形成されている。
【0026】
本実施形態において、読み出し部70は、一つの読み出し期間に、第1容量に応じた第1変換利得で画素信号の読み出しを行う第1変換利得モード読み出しと、第2容量(第1容量と異なる)に応じた第2変換利得で画素信号の読み出しを行う第2変換利得モード読み出しと、を行うことが可能に構成されている。
すなわち、本実施形態の固体撮像装置10は、一度の蓄積期間(露光期間)に光電変換された電荷(電子)に対して、一つの読み出し期間に、画素内部にて、第1変換利得(たとえば高変換利得:HCG)モードと第2変換利得(低変換利得:LCG)モードを切り替えて信号を出力し、明るい信号と暗い信号の両方を出力するダイナミックレンジが広い固体撮像素子として提供される。
【0027】
なお、通常の画素読み出し動作においては、読み出し部70による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われるが、第1変換利得モード読み出し(HCG)と第2変換利得モード読み出し(LCG)は、読み出しスキャン期間に行われる。
【0028】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要を説明した後、埋め込み型ダイオード(PPD)部を有する画素PXLの具体的な構成例について詳述する。
【0029】
(画素部20および画素PXLの構成)
画素部20は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含む複数の画素がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0030】
図2は、本実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【0031】
この画素PXLは、たとえば光電変換部(光電変換素子)であるフォトダイオードPD1を有する。
このフォトダイオードPD1に対して、電荷転送ゲート部(転送素子)としての転送トランジスタTG1-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST1-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Tr、選択素子としての選択トランジスタSEL1-Tr、蓄積素子としての蓄積トランジスタSG1-Tr、および蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1をそれぞれ一つずつ有する。
【0032】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオード間で、各トランジスタを共有している場合や、選択トランジスタを有していない4トランジスタ(4Tr)画素を採用している場合にも有効である。
【0033】
各画素PXLにおいて、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0034】
転送トランジスタTG1-Trは、埋め込み型フォトダイオード(PPD)とフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)1の間に接続され、制御信号TGを通じて制御される。
転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD1に転送する。
【0035】
リセットトランジスタRST1-Trは、図2の例では、電源電位VDDとフローティングディフュージョンFD1に接続された蓄積トランジスタSG1―Trの間に接続され、制御信号RSTを通じて制御される。
リセットトランジスタRST1-Trは、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、蓄積トランジスタSG1―Tが導通状態のときにフローティングディフュージョンFD1を電源電位VDDにリセットする。
【0036】
蓄積トランジスタSG1―Trは、たとえばソースがフローティングディフュージョンFD1に接続されている。
蓄積キャパシタCS1は、第1電極EL1が基準電位VSS(たとえば接地電位GND)に接続され、第2電極EL2が蓄積トランジスタSG1-Trの容量接続ノードND1としてのドレインに接続されている。
蓄積トランジスタSG1-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号SGにより制御される。
蓄積トランジスタSG1-Trは、制御信号SGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD1と蓄積キャパシタCS1とを接続する。
【0037】
第1変換利得(高変換利得:HCG)信号読み出し処理時には、蓄積トランジスタSG1-Trは非導通状態に保持され、フローティングディフュージョンFD1の電荷と蓄積キャパシタCS1の電荷を分離させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得(低変換利得:LCG)信号読み出し処理時には、蓄積トランジスタSG1-Trは導通状態に保持され、フローティングディフュージョンFD1の電荷と蓄積キャパシタCS1の電荷を共有(混合)させて読み出し処理が実行される。
【0038】
図2の例では、蓄積トランジスタSG1―Trは、フローティングディフュージョンFD1とリセットトランジスタRST1―Trとの間に接続され、その接続ノードと基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCS1が接続されている。ただし、接続形態はこれに限定されない。
たとえば、リセットトランジスタRST1-Trと蓄積トランジスタSG1-Trは、フローティングディフュージョンFD1に個別に直接接続されていてもよい。
【0039】
ソースフォロワトランジスタSF1-Trと選択トランジスタSEL1-Trは、電源電位VDDと電流源ISが接続された垂直信号線LSGN1の間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF1-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD1が接続され、選択トランジスタSEL1-Trは制御信号SELを通じて制御される。
選択トランジスタSEL1-Trは、制御信号SELがHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF1-TrはフローティングディフュージョンFDの電荷を電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換した列出力の読み出し信号VSLを垂直信号線LSGN1に出力する。
これらの動作は、たとえば転送トランジスタTG1-Tr、リセットトランジスタRST11-Tr、選択トランジスタSEL1-Tr、および蓄積トランジスタSG1-Trの各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時並列的に行われる。
【0040】
画素部20には、画素PXLがN行×M列配置されているので、各制御線LSEL、LRST、LTG、LSGはそれぞれN本、垂直信号線LSGN1はM本ある。
図1においては、各制御線LSEL、LRST、LTG、LSGを1本の行走査制御線として表している。
【0041】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPD1に蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0042】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0043】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0044】
このように、読み出し回路40は、たとえば図3(A)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをデジタル信号に変換するADC41を含んで構成されてもよい。
あるいは、読み出し回路40は、たとえば図3(B)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLを増幅するアンプ(AMP)42が配置されてもよい。
また、読み出し回路40は、たとえば図3(C)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをサンプル、ホールドするサンプルホールド(S/H)回路43が配置されてもよい。
【0045】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0046】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0047】
以上、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る画素の構成等について詳述する。
【0048】
(画素200(PXL)の具体的な構成例)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
なお、ここでは、埋め込み型フォトダイオード(PPD)を含む画素を符号200で表す。
【0049】
図4の画素200は、光Lが照射される第1基板面211側(たとえば裏面側)と第1基板面211側と対向する側の第2基板面212側(前面側)とを有する半導体基板(以下、単に基板という)210を有する。
画素200は、基板210に対して埋め込むように形成された第1導電型(本実施形態においてはn型)半導体層(n層)221を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有するフォトダイオードPD1としての光電変換部220と、光電変換部220のn層(第1導電型半導体層)221の少なくとも側部に形成された第2導電型(本実施形態においてはp型)半導体層230と、を有している。
【0050】
さらに、画素200は、光電変換部220に蓄積された電荷を転送可能な転送トランジスタTG1-Trと、転送トランジスタTG1-Trを通じて電荷が転送されるフローティングディフュージョンFD1と、フローティングディフュージョンFD1にソースが接続された蓄積トランジスタSG1-Trと、蓄積トランジスタSG1-Trのドレイン側を介してフローティングディフュージョンFD1からの電荷を蓄積する蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1と、を有している。
画素200において、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面212側において、基板面に対して直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)で光電変換部220と空間的に重なり部分を持つように形成されている。
【0051】
本第1の実施形態において、基板210は、基板面に対して直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)において、第2基板面212から第1基板面211に向かって第1の深さDP1を持つ第1領域AR1と、第1の深さDP1より深いさらに第2の深さDP2を持つ第2領域AR2との2層構造を有している。
この2層構造に対応して、図4の光電変換部220およびp層(第2導電型半導体層)230においては、基板210の基板面に直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)に2層構造を持つように構成されている。
【0052】
光電変換部220は、第2領域AR2のn層(第1導電型半導体層)221と、第1領域AR1のn層(第1導電型半導体層)222の2層構造を有する。
p層(第2導電型半導体層)230においては、第2領域AR2のp層(第2導電型半導体層)231と、第1領域AR1のp層(第2導電型半導体層)232の2層構造を有する。
【0053】
さらに、光電変換部220においては、第1領域AR1のn層(第1導電型半導体層)222の第2基板面212側の表面に側部のp層(第2導電型半導体層)230より不純物濃度の濃い第2導電型半導体領域(p+領域)223が形成されている。
そして、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面212側の表面に形成されたp+領域(第2導電型半導体領域)223が第1電極EL1として共用されている。
【0054】
すなわち、本第1の実施形態において、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、基板210の第2基板面212の表面に形成されたp+領域(第2導電型半導体領域)223により形成される第1電極EL1と、第2基板面212上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて第1電極EL1と対向するように形成された第2電極EL2と、を含んで構成されている。
【0055】
本第1の実施形態においては、光電変換部220のn層(第1導電型半導体層)221およびp層(第2導電型半導体層)230の第1基板面211側の表面に平坦層224が形成されている。
なお、この平坦層224の光入射側には、カラーフィルタ部CFが形成され、さらに、カラーフィルタ部の光入射射側であって、フォトダイオードPD1としての光電変換部220およびp層(第2導電型半導体層)230に対応するようにマイクロレンズMCLが形成されている。
【0056】
本第1の実施形態において、第1領域AR1のp層(第1導電型半導体層)232に対して、転送トランジスタTG1-Tr、フローティングディフュージョンFD1、および蓄積トランジスタSG1-Trが形成されている。
【0057】
フローティングディフュージョンFD1は、基板210の第2基板面212の表面に、光電変換部220のn層(第1導電型半導体層)221,222より不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)233として形成されている。
【0058】
蓄積トランジスタSG1-Trの蓄積キャパシタCS1との容量接続ノードND1は、基板210の第2基板面212の表面に、光電変換部220のn層(第1導電型半導体層)221,222より不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)234として形成されている。
このノードND1としてのn+領域234は配線層WR1を介して蓄積キャパシタCS1の第2電極EL2に接続されている。
【0059】
転送トランジスタTG1-Trは、p+領域(第2導電型半導体領域)223とフローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233間の基板210の第2基板面212上に配置されたゲート電極251を含んで形成されている。
【0060】
蓄積トランジスタSG1-Trは、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233と容量接続ノードND1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)234間の基板210の第2基板面212上に配置されたゲート電極252を含んで形成されている。
【0061】
このように、本第1の実施形態の画素200において、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面212側において、基板面に対して直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)で光電変換部220と空間的に重なり部分を持つように、基板210の第2基板面212の表面に形成されたp+領域(第2導電型半導体領域)223により形成される第1電極EL1と、第2基板面212上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて第1電極EL1と対向するように形成された第2電極EL2と、を含んで構成されている。
したがって、蓄積キャパシタCS1の容量を大きく設定したとしても、フォトダイオードPD1開口が下がり、感度が低下することを防止することが可能となり、しかも、フォトダイオードPD1の受光面積を大きく設定したとしても蓄積キャパシタCS1の占有面積が小さくなり、結果としてダイナミックレンジが低下することを防止することが可能となる。
すなわち、本第1の実施形態によれば、広ダイナミックレンジ化および高感度化の両立を実現することが可能となる。
【0062】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
図6(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
【0063】
本第2の実施形態の画素200Aが、第1の実施形態の画素200(図4)と異なる点は次の通りである。
【0064】
第1の実施形態の画素200は、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1は、第2基板面212側において、基板面に対して直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)で光電変換部220と空間的に重なり部分を持つように、基板210の第2基板面212の表面に形成されたp+領域(第2導電型半導体領域)223により形成される第1電極EL1と、第2基板面212上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて第1電極EL1と対向するように形成された第2電極EL2と、を含んで構成されている。
【0065】
これに対して、本第2の実施形態の画素200Aは、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1Aは、第2基板面212側において、基板面に対して直交する方向(図中の直交座標系のZ方向)で光電変換部220と空間的に重なり部分を持つように次の構成を有する。
すなわち、画素200Aは、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの第2基板面212に対向する部分の面積が、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aの第2基板面212に対向する部分より面積が大きく形成されている。
換言すれば、画素200Aは、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aが図中のX方向およびY方向に延設するように形成され、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aが第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの領域境界部の一縁部に形成されている。
【0066】
そして、画素200Aは、蓄積容量素子である蓄積キャパシタCS1Aの第1電極EL1は、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aにおけるn層(第1導電型半導体層)222Aが形成されていない面と対向するように、第1領域AR1においてp層(第2導電型半導体層)232Aを介して基板210の第2基板面212の表面に、光電変換部220Aのn層221A,222Aより不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)235として形成されている。
蓄積キャパシタCS1Aの第2電極EL2は、第2基板面212上に基板面に対して直交する方向で所定間隔をおいて第1電極EL1と対向するように形成されている。
このように、蓄積キャパシタCS1AはMOS容量として形成されている。
【0067】
なお、第1電極EL1は配線層WL2により基準電位(ここではグランドGND)に接続されている。
【0068】
このような構成を有する画素200Aによれば、蓄積キャパシタCS1Aの第1電極EL1が不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)235として形成されていることから、容量密度や線形性を高めることができる。
【0069】
ただし、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aが蓄積キャパシタCS1Aと対向していないことから、長波長の入射光の一部の浅い領域で光電変換された電子は、蓄積キャパシタCS1Aの基板側グランドGNDから排出されるため、長波長の感度が低下することが懸念される。
この感度の低下は、基板を厚くし、より深いn型およびp型のイオン注入を用いることで回避することができる。
【0070】
図5並びに図6(A)および(B)に示すように、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aは画素中心からずらして形成されていることから、蓄積キャパシタCS1Aの面積効率を高め、より大きなキャパシタを実現することができ、ダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
ここで、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aで発生した光電変換電子は、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aとのオーバーラップ領域を通じて、ポテンシャル勾配によって第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに転送され蓄積される。
【0071】
また、図5並びに図6(A)および(B)に示すように、画素200Aにおいて、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの領域を小さくして、その専有面積を、専有面積の小さいn層(第1導電型半導体層)222Aに近づけることで、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。たとえば、n層(第1導電型半導体層)221Aを形成すべく割り当てられている形成領域に意図的にp型(第2導電型)のエピタキシャル(epi)領域を広く残すことによりn層(第1導電型半導体層)221Aの実質的な領域を小さくする。
ここで、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの形成領域と第2領域AR2のp層(第2導電型半導体層)231Aの間のエピタキシャル(epi)領域で発生した光電変換電子は、ポテンシャルの勾配によって第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに転送され蓄積される。
【0072】
また、図6(B)に示すように、画素200Aにおいて、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの形成領域を、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに電荷が転送され易い形状、たとえば台形やL字型などにして、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aへ電子が流れやすい形状にしてもよい。
図6(B)の例では、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの形状が、平面視して、電荷転送方向であるn層(第1導電型半導体層)222Aに向かって徐々に広がる台形状に形成されている。
【0073】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
【0074】
本第3の実施形態の画素200Bが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0075】
本第3の実施形態の画素200Bは、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aの一部に不純物濃度の薄いp-領域(第2導電型半導体領域)225が形成されている。
これにより、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。
【0076】
また、本第3の実施形態の画素200Bは、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aの一部に不純物濃度の薄いp-領域(第2導電型半導体領域)226が形成されている。
これにより、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。
【0077】
また、本第3の実施形態の画素200Bは、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aと第2領域AR2のp層(第2導電型半導体層)231Aの間に、p型のエピタキシャル(epi)領域227が広く残されており、n層(第1導電型半導体層)221Aの実質的な領域を小さくしてある。
これによっても、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。
ここで、第2領域AR2にあるn層(第1導電型半導体層)221Aと第2領域AR2のp層(第2導電型半導体層)231Aの間のエピタキシャル(epi)領域227で発生した光電変換電子は、ポテンシャルの勾配によって第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに転送され蓄積される。
【0078】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
【0079】
本第4の実施形態の画素200Cが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0080】
本第4の実施形態の画素200Cは、第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aの一部に不純物濃度の薄いp-領域(第2導電型半導体領域)228が形成されている。
これにより、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。
【0081】
本第4の実施形態の画素200Cは、第2領域AR2にあるn層(1導電型半導体層)221Aが第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aと接する側のn層領域221A-1より第1基板面211側のn層領域221A-2,221A-3の方が小さくなるように形成されている。
より具体的には、第1基板面211側のn層領域221A-2,221A-3は、p型のエピタキシャル(epi)領域227Cを介在させて隔てて形成されている。
これにより、フォトダイオードPD1である光電変換部220のピーク電圧位置を第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに形成し、蓄積電荷(信号)の転送残り(残像)を低減することが可能となる。
この構成においては、第1基板面211側のn層領域221A-2,221A-3で発生した光電変換電子はn層領域221A-1を介して第1領域AR1にあるn層(第1導電型半導体層)222Aに転送され蓄積される。
【0082】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
なお、図9においては、理解を容易にするために、構成の変更、追加部分を含む第1領域AR1における構成を大きく示し、第2領域は省略してある。第2領域の構成としては、上述した第2、第3または第4の実施形態(図5図8)の構成等を適用可能である。
【0083】
本第5の実施形態の画素200Dが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0084】
本第5の実施形態の画素200Dは、蓄積トランジスタSG1-Trのゲート電極252下の第2基板面212側に、容量接続ノードND1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)234に接続された、光電変換部220Aのn層(第1導電型半導体層)221A,222Aより不純物濃度の薄いn-領域(第1導電型半導体領域)236が形成されている。
【0085】
これにより、蓄積トランジスタSG1-Trのゲート電極252下のポテンシャル勾配を形成し、蓄積トランジスタSG1-Trをオフした際のチャージインジェクションがフローティングディフュージョンFD1ではなく、蓄積キャパシタCS1Aに流れ込むようにする。
フローティングディフュージョンFD1側は高感度を実現するため容量が小さい一方、蓄積キャパシタCS1側は高飽和を実現するため容量が大きいため、電圧変換されたチャージインジェクションが小さくなり、信号フルスケールの拡大や低電圧化を実現することが可能となる。
【0086】
なお、画素200Dが、フローティングディフュージョンFD1が、複数の光電変換部220および転送トランジスタTG1-Trにより共有されている共有型画素として形成されている場合は、図9中破線で示すように、蓄積トランジスタSG1-Trのゲート電極252下の第2基板面212側に、FDノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)233に接続された、光電変換部220Aのn層(第1導電型半導体層)221A,222Aより不純物濃度の薄いn-領域(第1導電型半導体領域)237が形成されていてもよい。
共有型画素の場合は、FDノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)233を信号読出し前にリセットすることが可能なため、蓄積トランジスタSG1-Trのゲート電極251下のフローティングディフュージョンFD1側に不純物濃度の薄いn-を注入する。
【0087】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
なお、図10においては、理解を容易にするために、構成の変更、追加部分を含む第1領域AR1における構成を大きく示し、第2領域は省略してある。第2領域の構成としては、上述した第2、第3または第4の実施形態(図5図8)の構成等を適用可能である。
【0088】
本第6の実施形態の画素200Eが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0089】
本第6の実施形態の画素200Eは、リセットトランジスタRST1-Trが形成されている。
ここでは、図2の例のように、たとえば、蓄積トランジスタSG1―Trは、フローティングディフュージョンFD1とリセットトランジスタRST1―Trとの間に接続され、その接続ノードと基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCS1Aが接続されている構成が採用されている。
【0090】
リセットトランジスタRST1-Trの蓄積キャパシタCS1Aおよび蓄積トランジスタSG1-Tr(さらにはフローティングディフュージョンFD1)との接続ノードは、基板210の第2基板面212の表面に、光電変換部220Aのn層(第1導電型半導体層)221A、222Aより不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)238として形成され、電源電位VDDとの電源接続ノードは、基板210の第2基板面212の表面に、光電変換部220Aのn層(第1導電型半導体層)221A,222Aより不純物濃度の濃いn+領域(第1導電型半導体領域)239として形成されている。
リセットトランジスタRST1-Trは、接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)238と電源接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)239間の基板210の第2基板面212上に配置されたゲート電極253を含んで形成されている。
そして、本第6の実施形態の画素200Eにおいては、リセットトランジスタRST1-Trのゲート電極253下の第2基板面212側に、電源接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)239に接続された、光電変換部220のn層(第1導電型半導体層)221A,222Aより不純物濃度の薄いn-領域(第1導電型半導体領域)240が形成されている。
【0091】
このように、リセットトランジスタRST1-Trのゲート電極253下の第2基板面212側に、電源接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)239に接続された、不純物濃度の薄いn-領域(第1導電型半導体領域)240が形成されていることにより、ゲート電極253下のポテンシャル勾配を形成し、リセットトランジスタRST1-Trをオフした際のチャージインジェクションが蓄積キャパシタCS1(またはフローティングディフュージョンFD1)ではなく電源電位VAAに流れ込むようにする。
これにより、チャージインジェクションが小さくなり、信号フルスケールの拡大や低電圧化を実現することが可能となる。
【0092】
(第7の実施形態)
図11は、本発明の第7の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
なお、図11においては、理解を容易にするために、構成の変更、追加部分を含む第1領域AR1における構成を大きく示し、第2領域は省略してある。第2領域の構成としては、上述した第2、第3または第4の実施形態(図5図8)の構成等を適用可能である。
【0093】
本第7の実施形態の画素200Fが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は、蓄積キャパシタCS1がSTI(Shallow Trench Isolation)241により素子分離されている点にある。
【0094】
本第7の実施形態によれば、第1電極EL1からn+領域(第1導電型半導体領域)234を介して、蓄積キャパシタCS1Aの第2電極EL2にリークする暗電流を低減することができる。
【0095】
(第8の実施形態)
図12(A)および(B)は、本発明の第8の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
【0096】
本第8の実施形態の画素200Gが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0097】
本第8の実施形態の画素200Gは、蓄積キャパシタCS1Aの第1電極EL1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)235と蓄積トランジスタSG1-Trの容量接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)234との間の第2基板面212側の少なくとも表面部に、側部のp層(第2導電型半導体層)230より不純物濃度の濃い素子分離用p+領域(第2導電型半導体領域)242が形成されている。
これにより、第1電極EL1からn+領域(第1導電型半導体領域)234を介して、蓄積キャパシタCS1Aの第2電極EL2にリークする暗電流を低減することができる。
【0098】
また、本第8の実施形態の画素200Gは、図12(A)に示すように、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233と素子分離用p+領域(第2導電型半導体領域)242との間に不純物濃度の薄いp-領域(第2導電型半導体領域)243が形成されている。
これにより、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233の接合容量を低減し、変換および感度の向上を図ることができる。
【0099】
また、本第8の実施形態の画素200Gは、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233と容量接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)234との間であって、これらn+領域(第1導電型半導体領域)234より第2基板面212の表面から深い領域にp領域(第2導電型半導体領域)244が形成されている。
これにより、寄生感度を低減することができる。
【0100】
また、本第8の実施形態の画素200Gは、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233と容量接続ノードとしてのn+(第1導電型半導体領域)234がアクティブ領域を制限するためのリング部245,246により囲われている。
アクティブ領域を狭めることにより、長波長の入射光の一部の浅い領域で光電変換された電子が、蓄積トランジスタのソースおよび(または)ドレインに転送され、寄生感度を低減することができる。
【0101】
(第9の実施形態)
図13(A)および(B)は、本発明の第9の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
なお、図13(B)においては、理解を容易にするために、構成の変更、追加部分を含む第1領域AR1における構成を大きく示し、第2領域は省略してある。第2領域の構成としては、上述した第2、第3または第4の実施形態(図5図8)の構成等を適用可能である。
【0102】
本第9の実施形態の画素200Hが、第6の実施形態の画素200E(図10)と異なる点は次の通りである。
【0103】
本第9の実施形態の画素200Hは、蓄積キャパシタCS1がSTI(Shallow Trench Isolation)241により素子分離されている。
そして、リセットトランジスタRST1-Trのゲート電極253が、n+領域を制限するためのリング部247により囲われており、n型イオンの注入領域を狭めることで、STIと蓄積キャパシタCS1Aのn+領域235をp型イオン注入で分離し、STI界面から発生する暗電流が蓄積キャパシタCS1Aに蓄積されないようにすることで、ノイズを低減することが可能となる。
【0104】
(第10の実施形態)
図14(A)および(B)は、本発明の第10の実施形態に係る画素の構成例を示す平面図および簡略断面図である。
なお、図14(B)においては、理解を容易にするために、構成の変更、追加部分を含む第1領域AR1における構成を大きく示し、第2領域は省略してある。第2領域の構成としては、上述した第2、第3または第4の実施形態(図5図8)の構成等を適用可能である。
【0105】
本第10の実施形態の画素200Iが、第6の実施形態の画素200E(図10)および第9の実施形態の画素200H(図13)と異なる点は次の通りである。
【0106】
本第10の実施形態の画素200Iは、リセットトランジスタRST1-Trのソース(CS側)と蓄積トランジスタSG1-Trのドレイン(CS側)およびソース(FD)をp型注入層(p+層)248で分離し、発生する暗電流がフローティングディフュージョンFD1および蓄積キャパシタCS1Aに蓄積されないようにすることで、ノイズを低減することが可能となるように構成されている。
換言すると、画素200Iは、蓄積キャパシタCS1Aの第1電極EL1としての第1導電型半導体領域であるn+領域235とフローティングディフュージョンFD1としての第1導電型半導体領域であるn+領域233(図14には図示せず)との間の第2基板面212側の少なくとも表面部に素子分離用第2導電型半導体領域であるp+層248が形成されている。
【0107】
なお、リセットトランジスタRST1-Trのソース(CS側)と蓄積トランジスタSG1-Trのドレイン(CS側)は共通でも良い。図14(B)の例では、n+層238で共通化されている。
【0108】
(第11の実施形態)
図15は、本発明の第11の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
【0109】
本第11の実施形態の画素200Jが、第1の実施形態の画素200(図4)と異なる点は次の通りである。
【0110】
本第11の実施形態の画素200Jは、転送トランジスタTG1-Tr、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233、蓄積トランジスタSG1-Tr、および容量接続ノードND1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)234の直下に、フォトダイオードPD1におけるオーバーフロー電荷用のオーバーフローパス261が形成されている。
【0111】
オーバーフローパス261は、たとえばn型(第1導電型)の埋め込み層により形成される。
より具体的には、オーバーフローパス261は、第2基板面212の表面に形成された、転送トランジスタTG1-Trのチャネル形成領域としてのp領域(第2導電型半導体領域)232TG、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233、蓄積トランジスタSG1-Trのチャネル形成領域としてのp領域(第2導電型半導体領域)232SG、および容量接続ノードND1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)234より、第2基板面212の表面から深い領域に、たとえばn型(第1導電型)の埋め込み層として形成されている。
【0112】
このオーバーフローパス261を有する画素200Jにおいて、電荷蓄積時には、転送トランジスタTG1-Trおよび蓄積トランジスタSG1-Trは、ゲート電位がたとえば-1Vに保持されてアキュムレーション(蓄積)状態となり、シリコン界面で発生する暗電流電荷が抑制されつつ、飽和電荷以上の電荷は、オーバーフローパス261を介して、隣接画素その他へのブルーミングを伴うことなく、フローティングディフュージョンFD1およびオーバーフローキャパシタとしての蓄積キャパシタCS1に転送される。
【0113】
図16は、本第11の実施形態に係る画素の転送トランジスタ下の断面の蓄積時間中のポテンシャルプロファイルを示す図である。
【0114】
オーバーフローパス261は、図15に示すように、転送トランジスタTG1-Tr下の界面直下で暗電流低減に十分な深さに形成されるようにn型ドーパント濃度および埋め込み層の厚さが最適化されている。
【0115】
(第12の実施形態)
図17は、本発明の第12の実施形態に係る画素の構成例を示す簡略断面図である。
【0116】
本第12の実施形態の画素200Kが、第2の実施形態の画素200A(図5)と異なる点は次の通りである。
【0117】
本第12の実施形態の画素200Kは、転送トランジスタTG1-Tr、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233、蓄積トランジスタSG1-Tr、および容量接続ノードとしてのn+領域(第1導電型半導体領域)234の直下に、フォトダイオードPD1におけるオーバーフロー電荷用のオーバーフローパス262が形成されている。
【0118】
オーバーフローパス262は、たとえばn型(第1導電型)の埋め込み層により形成される。
より具体的には、オーバーフローパス262は、第2基板面212の表面に形成された、転送トランジスタTG1-Trのチャネル形成領域としてのp領域(第2導電型半導体領域)232TG、フローティングディフュージョンFD1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)233、蓄積トランジスタSG1-Trのチャネル形成領域としてのp領域(第2導電型半導体領域)232SG、および容量接続ノードND1としてのn+領域(第1導電型半導体領域)234より、第2基板面212の表面から深い領域に、たとえばn型(第1導電型)の埋め込み層として形成されている。
【0119】
このオーバーフローパス262を有する画素200Kにおいて、電荷蓄積時には、転送トランジスタTG1-Trおよび蓄積トランジスタSG1-Trは、ゲート電位がたとえば-1Vに保持されてアキュムレーション(蓄積)状態となり、シリコン界面で発生する暗電流電荷が抑制されつつ、飽和電荷以上の電荷は、オーバーフローパス262を介して、隣接画素その他へのブルーミングを伴うことなく、フローティングディフュージョンFD1およびオーバーフローキャパシタとしての蓄積キャパシタCS1に転送される。
【0120】
この場合もオーバーフローパス262は、図15に示すように、転送トランジスタTG1-Tr下の界面直下で暗電流低減に十分な深さに形成されるようにn型ドーパント濃度および埋め込み層の厚さが最適化されている。
【0121】
上述した本実施形態の固体撮像装置10は、裏面照射型イメージセンサ(BSI)に適用可能である。
【0122】
以上説明した固体撮像装置10は、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0123】
図18は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0124】
本電子機器300は、図18に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0125】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0126】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10を搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0127】
10・・・固体撮像装置、20・・・画素部、200,200A~200K・・・画素(PXL)、210・・・基板、211・・・第1基板面、212・・・第2基板面、220,220A・・・光電変換部、221,222,221A,222A・・・n層(第1導電型半導体層)、230,231,232,230A,231A,232A・・・p層(第2導電型半導体層)、CS1,CS1A・・・蓄積キャパシタ(蓄積容量素子)、AR1・・・第1領域、AR2・・・第2領域、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。
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