(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】高性能交差連結RFフィルターのための調節可能プローブ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/205 20060101AFI20240318BHJP
H01P 1/208 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H01P1/205 B
H01P1/205 K
H01P1/208
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019133297
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファム, タイ
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-038308(JP,A)
【文献】特開2001-168610(JP,A)
【文献】特開平08-236390(JP,A)
【文献】特開平09-083209(JP,A)
【文献】特表2014-522182(JP,A)
【文献】特開平11-312910(JP,A)
【文献】特開平11-205004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/205
H01P 1/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能プローブ(100、300)であって、
第1の共振器(114、314)と、
前記第1の共振器(114、314)から離間された第2の共振器(114、314)と、
前記第1の共振器(114、314)から前記第2の共振器(114、314)へと延びる交差連結器(120、320)であって、
第1の基板(202-1)及び第2の基板(202-2)であって、前記第1の共振器(114、314)と前記第2の共振器(114、314)との間に配置され、前記第1の共振器(114、314)と前記第2の共振器(114、314)との間に静電容量を生成する、第1の基板(202-1)及び第2の基板(202-2)、
前記第1の基板(202-1)と前記第2の基板(202-2)とを接続するワイヤ(206)、並びに
前記ワイヤ(206)を囲む誘電体(208)を備えた交差連結器(120、320)と
を備え
、
前記第1の共振器と前記第2の共振器との間の横軸(220)に沿って前記交差連結器の位置が調節可能な、調節可能プローブ(100、300)。
【請求項2】
前記第1及び第2の基板(
202-1、202-2)の材料誘電率(Er)が、9.5から10.0の間である、請求項1に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項3】
前記第1及び第2の基板(202-1、202-2)が、アルミナ基板を含む、請求項1又は2に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項4】
前記調節可能プローブ(100、300)が、X周波数帯域及びL周波数帯域の一方又は両方のいずれかで作動するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項5】
前記調節可能プローブ(100、300)が、2GHzの周波数を通過させるように構成されたバンドパスフィルターである、請求項1から4のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項6】
前記第1及び第2の基板(202-1、202-2)が
、前記ワイヤ(206)に結合した金属部分(216-1、216-2)と、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を含む対応する共振器(114)に対向するアルミナ基板部分(218-1、218-2)
の両方を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項7】
前記第1及び第2の共振器(114、314)が、間隙(119、319)を画定するハウジング(116、316)内に配置され、
前記ワイヤ(206)が、前記間隙(119、319)にわたって延びて、露出したワイヤ部分を画定し、
前記誘電体(208)が、前記露出したワイヤ部分を囲む、請求項1から6のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項8】
前記調節可能プローブ(100、300)が、前記誘電体(208)の位置を
前記横軸(220)に沿って調節し、前記誘電体(208)を前記第1の共振器と前記第2の共振器(114)との間で前記ワイヤ(206)に結合することによって、少なくとも部分的に調節可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項9】
前記調節可能プローブ(100、300)が、前記第1及び第2の基板(202-1、202-2)の大きさを選択することによって、少なくとも部分的に調節される、請求項1から8のいずれか一項に記載の調節可能プローブ(100、300)。
【請求項10】
調節可能プローブを調節する方法(
600)であって、
第1の共振器と第2の共振
器との間に交差連結器を配置すること
(602)であって、前記交差連結器が、
第1の基板及び第2の基板であって、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に配置され、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に静電容量を生成する、第1の基板及び第2の基板、
前記第1の基板と前記第2の基板とのそれぞれを接続するワイヤ、並びに
前記ワイヤを囲む誘電体を備えている、交差連結器を配置すること
(602)と、
前記第1の共振
器と前記第2の共振
器との間の横軸に沿って前記交差連結器の位置を調節すること
(604)と、
前記第1の共振
器と前記第2の共振器
との間で前記交差連結器を所定位置に結合すること
(606)と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、高周波(RF)用途に使用するための、バンドパスフィルターなどの調節可能プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、様々な周波数を有する信号を選択的に許容又は抑制するために、様々なフィルターを利用する。典型的に、ノイズ又は望ましくない周波数は、阻止又は遮断され、所望の信号は、処理のために通過を許可される。一部のバンドパスフィルターは、共振する要素を用いて構築される。
【0003】
通信システムの一種、衛星通信システムは、1から30ギガヘルツ(GHz)の範囲のマイクロ波通信周波数を利用する。多くの衛星に基づく通信システムの構成要素の目標は、重量を減らすことである。これは、衛星を軌道に発射することに関連するコストを減らし、宇宙技術のために承認された構成要素を利用するためである。重量が減少した、承認された材料を利用する通信材料を開発し、正確な信号処理特性を付与することは、課題である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様では、調節可能プローブは、第1の共振器、第1の共振器から離間された第2の共振器、及び第1の共振器から第2の共振器へと延びる交差連結器を含む。交差連結器は、第1の共振器と第2の共振器との間に第1の基板及び第2の基板を含み、第1の共振器と第2の共振器との間に静電容量を生成する。交差連結器は、第1の基板と第2の基板とを接続するワイヤ、及びワイヤを囲む誘電体をさらに含む。
【0005】
本開示の別の態様では、調節可能プローブのための交差連結器は、第1の基板及び第2の基板を含み、第1及び第2の基板は、両方とも第1の部分及び第2の部分を有する。ワイヤは、第1の基板の第1の部分と第2の基板の第1の部分とを接続し、誘電体がワイヤを囲む。一実施形態では、第1の部分は、金属部分であり、第2の部分は、アルミナ基板部分である。
【0006】
本開示の別の態様では、調節可能プローブを調節する方法が提供される。このような方法では、交差連結器が、第1の共振器と第2の共振器との間に配置される。交差連結器は、第1の共振器と第2の共振器との間に静電容量を生成するために第1の共振器と第2の共振器との間に配置された第1の基板及び第2の基板、第1の基板及び第2の基板のそれぞれを接続するワイヤ、並びにワイヤを囲む誘電体を含む。当該方法は、第1の共振器と第2の共振器との間の横軸に沿って交差連結器の位置を調節することと、第1の共振器と第2の共振器と間で交差連結器を所定位置に結合することとをさらに含む。さらなる態様は、本特許の請求の範囲により規定される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る、第1の調節可能プローブの等角図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る、
図1に示す第1の調節可能プローブの交差連結セクションの詳細図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る、第2の調節可能プローブの等角図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る、調節可能プローブの信号処理特性のグラフである。
【
図5】本開示の実施形態に係る、交差連結器を示す。
【
図6】本開示の実施形態に係る、調節可能プローブを調節する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の実施形態に係る、第1の調節可能プローブの等角図である。具体的には、
図1は、ハウジング116に接続された調節可能プローブインレット110及び調節可能プローブアウトレット112を含む調節可能プローブ100を示す。調節可能プローブ100は、通信システム内の高周波数(RF)信号にフィルタリング特性をもたらすために、調節可能プローブインレット110及びアウトレット112を介して、通信システム内に接続され得る。ハウジング116は、第1のアーム122と第2のアーム124との間に間隙119を含む。調節可能プローブ100は、共振器114間でハウジングのあちこちに配置された様々な調節可能スクリュー118をさらに含み得る。
【0009】
調節可能プローブ100は、複数の共振器114をさらに含む。本記載全体を通して使用されているように、共振器の位置は、共振器番号の後の添数によって示される(例えば、「114-6」の「6」は、6番目の共振器位置を示す)。したがって、
図1では、調節可能プローブ100は、12個の共振器14を含む。共振器114は、ハウジング116内の円筒形状空洞によって実現され得る。共振器114は、調節可能プローブインレット110に隣接するハウジング116内の第1の共振器位置114-1において含まれる。番号付けの約束事に従って、共振器の位置は、調節可能プローブインレット110で始まって、ハウジング116に沿って反時計回り方向に漸次的に増加する。したがって、反時計回り方向に進行して、第1の共振器位置114-1の後の次の共振器の位置は第2の共振器位置114-2である。この約束事は、調節可能プローブアウトレット112に隣接する12番目の共振器位置114-12まで続く。
【0010】
一実施形態によると、調節可能プローブ100は、第2の共振器114から離間された第1の共振器114を含む。例えば、第1の共振器114は、4番目の共振器位置114-4にあってもよく、第2の共振器114は、第1の共振器114から離間されてその向かい側にある9番目の共振器位置114-9にあってもよい。交差連結器120は、第1の共振器114から第2の共振器114へと延びる。交差連結器120は、
図2の説明に関連してより詳細に説明される。
【0011】
概して、調節可能プローブ内の共振器114は、対でグループ化される。例えば、調節可能プローブ100は、共振器114の6つの対を含む。6つの対はそれぞれ、互いから反対側に配置される2つの共振器114を含む。1番目の対は、第1の共振器位置114-1に配置された共振器114、及び12番目の共振器位置114-12を含む。6番目の対は、第6の共振器位置114-6に配置された共振器114、及び7番目の共振器位置114-7を含む。本記載で後に説明されるように、調節可能プローブの信号処理能力を改善する1つの方法は、ハウジング116の中で共振器114の対の数を増やすことである。しかしながら、この方法によっては、より大きなハウジングの中に材料が過剰にあるという結果になる。別の方法は、共振器の対の間に交差連結器120などの交差連結器を含むことである。より高い周波数では、所望の信号処理特性をもたらすために、導電ワイヤが十分な静電容量を設けることが可能であり得る。しかしながら、4GHzを下回る周波数では、導電ワイヤの静電容量だけでは、所望の反応を達成するのに十分ではない場合がある。
【0012】
図2は、本開示の実施形態に係る、
図1に示す第1の調節可能プローブの交差連結の詳細図である。具体的には、
図2は、調節可能プローブ100の一部の上面図である
図200、及び交差連結器120の詳細な態様を示す。交差連結器120は、共振器位置114-4に配置された第1の共振器114に近接する第1の基板202-1、及び共振器位置114-9に配置された第2の共振器114に近接する第2の基板202-2を含む。交差連結器120は、第1の共振器114と第2の共振器114との間に配置され、第1の共振器114と第2の共振器114との間に静電容量を生成する。ワイヤ206は、第1の基板202-1と第2の基板202-2を接続する。誘電体208は、ワイヤ206を囲む。幾つかの実施形態では、ワイヤ206は、銀ワイヤであるが、当然ながら、銅や金等の他の導電性材料が使用されてもよい。誘電体208は、ワイヤ206がハウジング116に対して短絡することをさらに防止する。
【0013】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の共振器114は、ハウジング116内に配置される。第1のアーム122と第2のアーム124との間の空間が、間隙119を画定する。ワイヤ206は、間隙119にわたって延びて、露出したワイヤ部分を画定し、誘電体208は、露出したワイヤ部分を囲む。
【0014】
幾つかの実施形態では、調節可能プローブ100は、X及びLマイクロ波通信/無線/周波数帯域(それぞれ、8~12GHz及び1~2GHzの周波数範囲を有する)一方又は両方のいずれかで作動するように構成されている。このような周波数範囲では、共振器114の対の間で交差連結器として利用される導電ワイヤ単独の静電容量では、調節可能プローブの所望のフィルタリング性能を生成するのに不十分である。十分な静電容量を設けるために、2つの共振器114の間で延びる交差連結器120は、ワイヤ206を介して接続された、第1の基板202-1及び第2の基板202-2を含む。第1の基板202-1は、4番目の共振器位置114-4において第1の共振器114に近接して配置され、第2の基板202-2は、9番目の共振器位置114-9において第2の共振器114に近接して配置される。幾つかのこのような実施形態では、第1及び第2の基板202-1、202-2の材料は、9.5と10.0との間の材料誘電率(εr、及びErとも示される)を有するように選択される。このような1つの材料は、アルミナ基板を含み得る。
【0015】
図2にさらに詳述するように、第1の基板202-1及び第2の基板202-2は、それぞれ、第1の部分216-1及び216-2、並びに第2の部分218-1及び218-2を含み得る。ワイヤ206は、第1の基板202-1の第1の部分216-1を第2の基板202-2の第1の部分216-2と接続する。幾つかの実施形態では、第2の部分(218-1、218-2)は、第1の共振器又は第2の共振器を含む対応する共振器(114、314)に向けて配向される。このようにして、第1の基板202-1の第2の部分218-1は、ワイヤ206に対して第1の部分216-1の反対側で第1の共振器114に向けて配向(例えば、隣接して配置されるか、又は対向する)される。同様に、第2の基板202-2の第2の部分218-2は、ワイヤ206に対して第1の部分216-2の反対側で第2の共振器114に向けて配向(例えば、隣接して配置されるか)される。様々な実施形態では、第1の部分216-1、216-2の材料は、金属(例えば、銀、金)であり、第2の部分218-1、218-2の材料は、所望の材料誘電率(例えば、アルミナ基板)に基づいて選択される。
【0016】
第1及び第2の基板202-1、202-2の第1の部分216-1、216-2は、三角形であってもよく、長さ及び幅寸法を有し得る。さらに、第1及び第2の基板202-1、202-2の第2の部分218-1、218-2も三角形であってよく、第1の部分216-1、216-2と同じ幅寸法を有する。第1の部分216-1、216-2、及び第2の部分218-1、218-2の大きさ(例えば、断面領域)は、調節可能プローブ100の所望のフィルタリングパラメータに基づいて選択され得る。三角形に加えて、第1の部分216-1、216-2、及び第2の部分218-1、218-2は、さらに円形や楕円形等であってもよい。
【0017】
第1及び第2の基板202-1、202-2を構成するにあたって、第1の部分216-1、216-2の内表面がワイヤ206に取り付けられる。第1の部分をワイヤ206に取り付ける例示的な方法には、エポキシや半田付け等で接合することが含まれる。第1の部分216-1、216-2の内表面の反対側の外表面は、第2の部分218-1、218-2に取り付けられる。第1の部分を第2の部分に取り付ける例示的な方法には、エポキシを用いて接合することや、第2の部分に対して第1の部分216-1、216-2の縁を折り、第2の部分218-1、218-2を部分的に閉じて機械的に掴むことなどが含まれる。幾つかの実施形態では、基板202-1、202-2は、第1の部分216-1、216-2がない状態でワイヤ206に直接取り付けられた第2の部分218-1、218-2を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、調節可能プローブ100は、横軸220に沿って、誘電体208の位置を調節することによって、少なくとも部分的に調節可能である。横軸220は、第1の共振器114と第2の共振器114との間に延び、ワイヤ206の長手方向軸に対して平行であり得る。誘電体208は、所望の調節に基づいて決定された、第1の共振器114と第2の共振器114との間の横軸220に沿った位置で、ワイヤ206に固定(例えば、エポキシで接合)される。
【0019】
ハウジング116は、横軸220に沿って、各アーム122、124に凹部をさらに含み得る。凹部は、誘電体208の一部を受け入れるように構成されて、横軸220に沿った誘電体208の移動を許容し、調節可能プローブ100の調節を助ける。誘電体208のワイヤ206への接合に加えて、さらに誘電体208の一部が、凹部でハウジング116に接合され得る。
【0020】
図3は、本開示の実施形態に係る、第2の調節可能プローブの等角図である。具体的には、
図3は、調節可能プローブ300の等角図を示す。調節可能プローブ300は、
図1に関連して説明された調節可能プローブ100に類似する。調節可能プローブ100は、4番目の共振器位置114-4と9番目の共振器位置114-9において交差連結器120が共振器間で延びている状態で、合計12個の共振器114を備えているが、他の構成も同様に実現可能である。例えば、調節可能プローブ300は、2番目と7番目の位置において交差連結器が共振器間で延びている状態で、8個の共振器を含む。
【0021】
調節可能プローブ300の構成要素は、調節可能プローブ100の同様の番号付けの構成要素に類似しており、調節可能プローブ300は、調節可能プローブインレット310、調節可能プローブアウトレット312、複数の共振器314、並びに第1のアーム322及び第2のアーム324を有するハウジング316を含む。第1の及び第2のアーム322、324は、間隙319を画定する。交差連結器320は、第1の共振器314と第2の共振器314との間に配置される。調節可能プローブ100に比べて、第1の違いは、調節可能プローブ300が、(調節可能プローブ100の12個の共振器114に比べて)8個の共振器314を含むことである。第2の違いは、(交差連結器120が、調節可能プローブ100の4番目と9番目の共振器位置において共振器114間で延びていることに比べて)交差連結器320が、2番目の共振器位置314-2に位置する第1の共振器314と7番目の共振器位置314-7に位置する第2の共振器314との間に延びることである。
【0022】
図4は、本開示の実施形態に係る、調節可能プローブの信号処理特性のグラフである。具体的には、
図4は、調節可能プローブ100のフィルタリング特性を示す
図400である。
図400では、垂直軸は、デシベル(dB)で測定された信号レベルを示す。水平軸は、GHzで測定された通信信号の周波数を示す。種々の周波数のそれぞれにおいて調節可能プローブインレット110及び調節可能プローブアウトレット112にわたって測定された場合、曲線402は、順方向伝送を示し、曲線410は、順方向反射を示す。
【0023】
順方向曲線402によって例示されているように、調節可能プローブ100は、約2GHz前後を中心としているバンドパスフィルターとして作動する。これは、バンドパス領域404によって示される。バンドパス領域404は、1.96GHzと2.2GHzとの間で測定値0dBを有する。第1のノッチ406は、バンドパス領域404のすぐ下の周波数(例えば、1.92GHz)に位置する。第2のノッチ408は、バンドパス領域404のすぐ上の周波数(例えば、2.25GHz)に位置する。バンドパス領域404の外では、前方伝送曲線402の値が急激に落ちる。この急激な落ち込みは、第1のノッチ406(例えば、1.92GHz)以下の周波数、及び第2のノッチ408(例えば、2.25GHz)以上の周波数で起きる。第1の共振器と第2の共振器との間で延びる交差連結器120の配置が、前方伝送曲線402におけるノッチ406、408を発生させる。ノッチ406、408の急勾配(例えば、前方伝送曲線402のスロープ)は、横軸220に沿った誘電体208の側位、及び基板202-1、202-2の大きさによって少なくとも部分的に決定される。
【0024】
図5は、本開示の実施形態に係る、交差連結器を示す。具体的には、
図5は、本明細書に開示される交差連結器120及び320に類似するか又はこれらの代わりに使用され得る交差連結器520を示す。交差連結器520は、第1及び第2の基板202-1、202-2、誘電体208、並びにワイヤ506を含む。第1及び第2の基板202-1、202-2は、それぞれ、ワイヤ506の近くの第1の部分216-1、216-2と、第1の部分216-1、216-2の反対側にあり、共振器(例えば、114、314)に向けて配向されるように構成された第2の部分218-1、218-2とを含む。ワイヤ506は、ワイヤ206に類似しており、ワイヤ506の各端部に、屈曲部508-1、508-2、及び取り付け部510-1、510-2をさらに含む。
【0025】
交差連結器520を組み立てるため、初期的に真っ直ぐで屈曲していないワイヤの一片が、誘電体208のボアホールを通して挿入される。初期的に真っ直ぐで屈曲していないワイヤの一片に屈曲部508-1、508-2、及び取り付け部510-1、510-2を導入するために、成形工具を使用してワイヤが曲げられる。代替的に、ワイヤは、初期的に、その第1端に1つの屈曲部508と1つの取り付け部510を含み、その第2端は真っ直ぐで屈曲していない。ワイヤの第2端が、誘電体208内のボアを通して挿入された後、第2の屈曲部508、及び第2の取り付け部510を導入するために、ワイヤの第2端が曲げられ得る。
【0026】
第1及び第2の基板202-1、202-2は、ワイヤ506のそれぞれの端部の対応する取り付け部510-、510-2に取り付けられる。取り付け部510-1、510-2は、第1及び第2の基板202-1、202-2に対して実質的に垂直であり、基板202-1、202-2をワイヤ506に取り付けるための拡大表面領域を設ける。ワイヤ506を基板202-1、202-2に取り付け部510-1、510-2で取り付ける例示的な方法には、合わせ面512-1、512-2で片同士をはんだ付けし、金エポキシ接着(gold-epoxying)することが含まれる。
【0027】
プローブ(例えば、100)を調節する過程で、交差連結器520は、共振器の対の間の横軸に沿って(例えば、横軸220に沿って)、ハウジング(例えば、116)内に挿入され得る。プローブを調節する(例えば、バンドパス領域の両側のノッチのスロープを調節する)ために、ワイヤ506が、決定された位置において誘電体208に接合される。
産業上の利用可能性
【0028】
本開示の教示は、産業界にわたって幅広い用途を有する。1つの非限定的な例では、調節可能プローブ100は、バンドパスフィルターとして、衛星に基づく通信システム内で利用され、X帯域又はL帯域のいずれかで作動する。このような実施例では、工学上の1つの目的は、衛星通信システムに使用するために承認された材料から調節可能プローブを製造することである。もう1つの工学上の目的は、調節可能プローブの全体的な重量及び大きさを減らすことである。最終的な工学上の目的は、調節可能プローブが、バンドパス領域外の周波数を減衰しながら、およそX周波数帯域又はL周波数帯域の通信周波数の通過を許容することである。
【0029】
以下の例では調節可能プローブ100が使用されているが、任意の他の調節可能プローブ(例えば、調節可能プローブ300、異なる数の共振器又は異なる位置の交差連結器を有する調節可能プローブ)が使用され得る。
【0030】
調節可能プローブ100は、承認された材料のリストにある材料から製造された構成要素を含む。例えば、ワイヤ206は、銀から製造されており、対応する基板202-1、202-2の第2の部分218-1、218-2は、アルミナ基板から製造される。交差連結器120は、4番目の共振器位置114-4に位置する第1の共振器114と9番目の共振器位置114-9に位置する第2の共振器114との間に延びる。交差連結器120内のアルミナ基板は、バンドパス領域404の両側に適切なノッチ406、408をもたらすために、第1の共振器114と第1の共振器114との間に十分な静電容量を設ける。調節可能プローブ100は、
図6に関連して説明されるように、さらに調節可能である。
【0031】
図6は、本開示の実施形態に係る、調節可能プローブを調節する方法である。具体的には、
図6は方法600を示す。
図6は、ブロック602では、交差連結器を共振器間に配置することを含み、ブロック604では、横軸に沿って交差連結器の位置を調節することを含み、ブロック606では、交差連結器を所定位置に結合することを含む。
【0032】
一例として、調節可能プローブ100は、方法600を実行するために使用され得るが、方法600を実行するためには、本明細書に開示された他の任意の調節可能プローブ及び交差連結器が同様に使用されてもよい。このようなブロック602の実施例では、交差連結器120は、第1の共振器114と第2の共振器114との間(例えば、4番目の共振器位置114-4と9番目の共振器位置114-9との間)に配置される。交差連結器120は、本明細書に記載された任意の交差連結器であってよく、誘電体208がワイヤ206を囲んでいる状態で、ワイヤ206によって接続された第1及び第2の基板202-1、202-2を含む。
【0033】
ブロック604では、交差連結器120の位置は、第1の共振器114と第2の共振器114との間の横軸220に沿って調節される。ブロック606では、交差連結器120は、第1の共振器114と第2の共振器114との間の調節位置で所定位置に結合される。
【0034】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
条項1
調節可能プローブであって、第1の共振器と、前記第1の共振器から離間された第2の共振器と、前記第1の共振器から前記第2の共振器へと延びる交差連結器であって、第1の基板及び第2の基板であって、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に配置され、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に静電容量を生成する、第1の基板及び第2の基板、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続するワイヤ、並びに前記ワイヤを囲む誘電体を備えた交差連結器とを備えている調節可能プローブ。
【0035】
条項2
前記第1及び第2の基板の材料誘電率(Er)が、9.5から10.0の間である、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0036】
条項3
前記第1及び第2の基板が、アルミナ基板を含む、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0037】
条項4
前記調節可能プローブが、X周波数帯域及びL周波数帯域の一方又は両方のいずれかで作動するように構成されている、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0038】
条項5
前記調節可能プローブが、2GHzの周波数を通過させるように構成されたバンドパスフィルターである、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0039】
条項6
前記第1及び第2の基板が、両方とも、前記ワイヤに結合した金属部分と、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を含む対応する共振器に対向するアルミナ基板部分とを備えている、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0040】
条項7
前記第1及び第2の共振器が、間隙を画定するハウジング内に配置され、前記ワイヤが、前記間隙にわたって延びて、露出したワイヤ部分を画定し、前記誘電体が、前記露出したワイヤ部分を囲む、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0041】
条項8
前記ワイヤが、銀ワイヤを含む、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0042】
条項9
前記調節可能プローブが、前記誘電体の位置を横軸に沿って調節し、前記誘電体を前記第1の共振器と前記第2の共振器との間で前記ワイヤに結合することによって、少なくとも部分的に調節可能である、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0043】
条項10
前記調節可能プローブが、前記第1及び第2の基板の大きさを選択することによって、少なくとも部分的に調節される、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0044】
条項11
前記調節可能プローブが、12個の共振器を含み、前記第1の共振器が、4番目の共振器位置にあり、前記第2の共振器が、前記4番目の共振器位置の対向側の9番目の共振器位置にある、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0045】
条項12
前記調節可能プローブが、8個の共振器を含み、前記第1の共振器が、2番目の共振器位置にあり、前記第2の共振器が、前記2番目の共振器位置の反対側の7番目の共振器位置にある、条項1に記載の調節可能プローブ。
【0046】
条項13
調節可能プローブのための交差連結器であって、第1の部分及び第2の部分の両方を有する第1の基板及び第2の基板、前記第1の基板の前記第1の部分と前記第2の基板の前記第1の部分とを接続するワイヤ、並びに前記ワイヤを囲む誘電体を備えている、交差連結器。
【0047】
条項14
前記交差連結器が、第1の共振器と第2の共振器との間に配置され、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に静電容量を生成するように構成されている、条項13に記載の交差連結器。
【0048】
条項15
前記交差連結器を前記第1の共振器と前記第2の共振器との間の横軸に沿って位置付けすることによって、前記調節可能プローブを少なくとも部分的に調節するように構成されている、条項14に記載の交差連結器。
【0049】
条項16
前記第1及び第2の基板が、9.5から10.0の間の材料誘電率(Er)を有するアルミナ基板を含む、条項13に記載の交差連結器。
【0050】
条項17
前記第2の部分が、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を含む対応する共振器に向けて配向される、条項14に記載の交差連結器。
【0051】
条項18
前記第1及び第2の基板が、エポキシで前記ワイヤに接合されている、条項13に記載の交差連結器。
【0052】
条項19
前記誘電体が、エポキシで前記ワイヤに接合されている、条項13に記載の交差連結器。
【0053】
条項20
調節可能プローブを調節する方法であって、第1の共振器と第2の共振器との間に交差連結器を配置することであって、前記交差連結器が、第1の基板及び第2の基板であって、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に配置され、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に静電容量を生成する、第1の基板及び第2の基板、前記第1の基板と前記第2の基板とのそれぞれを接続するワイヤ、並びに前記ワイヤを囲む誘電体を備えている、交差連結器を配置することと、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間の横軸に沿って前記交差連結器の位置を調節することと、前記第1の共振器と前記第2の共振器と間で前記交差連結器を所定位置に結合することとを含む、方法。
【0054】
前述のテキストには、多くの様々な実施形態の詳細な説明が記載されているが、保護の法的な範囲は、本特許の最後に記載された請求項の文言によって規定されることを理解されたい。可能な実施形態を全て記載することは不可能ではないとしても非実用的であるため、詳細な説明は、あくまで例示的なものであると解釈されるべきであり、可能な実施形態を全て記載するものではない。現在の技術又は本特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、保護の範囲を規定する請求項の範囲に含まれる多くの代替的な実施形態を実装することができる。
【0055】
用語が本明細書で明確に定義されていない限り、その用語の意味を、明示的又は黙示的に、その明白な又は通常の意味を超えて制限する意図はないことも理解されるべきであり、またそのような用語は、(請求項の文言以外の)本特許のいかなる部分におけるいかなる陳述に基づいても範囲が限定されると解釈されるべきではない。本特許の末尾の特許請求の範囲に記載した任意の用語が本明細書において単一の意味と一致するように言及される場合、これは読者を混乱させないための明確性のみを目的とするものであり、そのような請求項の用語が、黙示的に又は他の方法で、その単一の意味に限定されることを意図するものではない。