(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】音響デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
H04R17/00
(21)【出願番号】P 2019162167
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】成田 薫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】五十嵐 努
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-37699(JP,U)
【文献】特開平1-243698(JP,A)
【文献】特開2016-149737(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R17/00
H04R17/10
H04R9/00-9/10
B06B1/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に取り付けられる音響デバイスであって、
圧電素子と、
前記圧電素子が設けられた第一主面と、前記第一主面と対向している第二主面と、を有する振動部材と、
前記被取付部材に取り付けられ、前記被取付部材との間に前記圧電素子及び前記振動部材が配置される音響空間を形成するケースと、を備え、
前記音響空間は、前記被取付部材と前記第一主面との間に形成される第一空間と、前記ケースと前記第二主面との間に形成される第二空間と、を有し、
前記第一空間及び前記第二空間は、互いに連通し、
前記圧電素子、前記振動部材、及び前記音響空間は、可聴域において互いに異なる共振周波数を有し、
前記ケースは、前記第二主面と対向している第三主面と、前記第三主面から突出し、前記第二主面の周縁部を支持する支持部と、を有し、
前記第二主面及び前記第三主面の対向方向から見て、前記支持部は、前記圧電素子から離間
し、
前記圧電素子は、2000Hz以上3000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、
前記音響空間は、3000Hz以上6000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、
前記振動部材は、13000Hz以上17000Hz以下の範囲に共振周波数を有する、音響デバイス。
【請求項2】
被取付部材に取り付けられる音響デバイスであって、
圧電素子と、
前記圧電素子が設けられた第一主面と、前記第一主面と対向している第二主面と、を有する振動部材と、
前記被取付部材に取り付けられ、前記被取付部材との間に前記圧電素子及び前記振動部材が配置される音響空間を形成するケースと、を備え、
前記音響空間は、前記被取付部材と前記第一主面との間に形成される第一空間と、前記ケースと前記第二主面との間に形成される第二空間と、を有し、
前記第一空間及び前記第二空間は、互いに連通し、
前記圧電素子、前記振動部材、及び前記音響空間は、可聴域において互いに異なる共振周波数を有し、
前記ケースは、前記第二主面と対向している第三主面と、前記第三主面から突出し、前記第二主面の周縁部を支持する支持部と、を有し、
前記第二主面及び前記第三主面の対向方向から見て、前記支持部は、前記圧電素子から離間
し、
前記圧電素子、前記振動部材、及び前記音響空間の共振周波数は、少なくとも互いに500Hz以上の差を有して分散している、音響デバイス。
【請求項3】
前記支持部には、前記第一空間及び前記第二空間を互いに連通させる連通部が設けられている、請求項1
又は2に記載の音響デバイス。
【請求項4】
前記対向方向から見て、前記支持部の外縁は、前記振動部材の外縁の外側に位置している、請求項1~
3のいずれか一項に記載の音響デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電体及び金属板を有する圧電振動板と、ケースと、を備える電気音響変換器が記載されている。この電気音響変換器では、弾性封止材が圧電振動板の周囲全周とケースの内周部との隙間に塗布され、圧電振動板の表側と裏側との間の空気漏れを防止している。これにより、所定の音波を発生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可聴域全体に対応したスピーカーとして用いられる音響デバイスには、可聴域全体の音響特性を向上することが求められる。上記電気音響変換器では、所定の音波を発生することができるものの、可聴域全体の音響特性を向上させることはできない。
【0005】
本開示は、可聴域全体の音響特性を向上することができる音響デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの態様に係る音響デバイスは、被取付部材に取り付けられる音響デバイスであって、圧電素子と、圧電素子が設けられた第一主面と、第一主面と対向している第二主面と、を有する振動部材と、被取付部材に取り付けられ、被取付部材との間に圧電素子及び振動部材が配置される音響空間を形成するケースと、を備え、音響空間は、被取付部材と第一主面との間に形成される第一空間と、ケースと第二主面との間に形成される第二空間と、を有し、第一空間及び第二空間は、互いに連通し、圧電素子、振動部材、及び音響空間は、可聴域において互いに異なる共振周波数を有している。
【0007】
この音響デバイスでは、ケースと被取付部材との間に形成される音響空間は、互いに連通する第一空間及び第二空間を有している。このため、音響空間が一体となり、十分に共振するので、音響空間の共振周波数における音圧を高めることができる。また、圧電素子、振動部材、及び音響空間は、可聴域において互いに異なる共振周波数を有している。したがって、可聴域の広い範囲で音圧を高めることができる。この結果、可聴域全体の音響特性を向上することができる。
【0008】
ケースは、第二主面と対向している第三主面と、第三主面から突出し、第二主面の周縁部を支持する支持部と、を有してもよい。この場合、支持部が振動部材の第二主面の周縁部を支持するので、振動部材の第二主面の全体がケースの第三主面と接合されている場合に比べて、振動部材の振動が阻害され難い。これにより、振動部材が十分に共振するので、振動部材の共振周波数における音圧を高めることができる。この結果、可聴域全体の音響特性を更に向上することができる。
【0009】
第二主面及び第三主面の対向方向から見て、支持部は、圧電素子から離間してもよい。この場合、圧電素子の振動が阻害され難い。これにより、圧電素子が十分に共振するので、圧電素子の共振周波数における音圧を高めることができる。この結果、可聴域全体の音響特性を一層向上することができる。
【0010】
支持部には、第一空間及び第二空間を互いに連通させる連通部が設けられていてもよい。この場合、第一空間及び第二空間が互いに連通する構成が容易に実現できる。
【0011】
圧電素子は、2000Hz以上3000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、音響空間は、3000Hz以上6000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、振動部材は、13000Hz以上17000Hz以下の範囲に共振周波数を有してもよい。この場合、可聴域の広い範囲で確実に音圧を高めることができる。
【0012】
圧電素子、振動部材、及び音響空間の共振周波数は、少なくとも互いに500Hz以上の差を有して分散していてもよい。この場合、可聴域の広い範囲で音圧を高め易い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、可聴域全体の音響特性を向上することができる音響デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る音響デバイスの断面図である。
【
図8】実施例に係る音響デバイスについて音圧周波数特性を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る音響デバイスの断面図である。
図2は、
図1の一部拡大図である。
図3は、振動部の斜視図である。
図4は、振動部の分解斜視図である。
図5は、振動部の上面図である。
図1~
図5に示されるように、音響デバイス100は、振動部1と、振動部1に接続された配線部2と、振動部1が配置される音響空間を形成するケース3と、を備えている。音響デバイス100は、例えば、スピーカー、又はブザーとして用いられる。音響デバイス100は、
図1に示されるように、被取付部材200の被取付面200aに取り付けられる。被取付部材200は、例えば、テレビ、スマートフォン等の電子機器である。
【0017】
振動部1は、圧電素子10と、振動部材12と、を有している。振動部材12は、例えば、Ni-Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼等金属からなる。振動部材12は、板状部材である。振動部材12は、圧電素子10が設けられた主面12a(第一主面)と、主面2aと厚さ方向で対向している主面12b(第二主面)と、を有している。主面12a,12bは、長方形状を呈している。つまり、厚さ方向から見て、振動部材12は、長方形状を呈している。ここで、長方形状には、例えば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。長方形状には、正方形状も含まれる。本実施形態では、主面12a,12bは、例えば、一辺の長さが21mm以上29mm以下の正方形状を呈している。振動部材12の厚さ(Z方向での長さ)は、例えば、0.06mm以上0.15mm以下である。
【0018】
図6は、圧電素子の分解斜視図である。
図6に示されるように、圧電素子10は、圧電素体11と、互いに極性が異なる一対の外部電極13,15と、を有している。圧電素体11は、直方体形状を呈している。直方体形状には、例えば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11bを有している。主面11aには、一対の外部電極13,15が設けられている。主面11bは、主面12a(
図2参照)と対向し、接合部材71によって主面12aの中央部に接合(接着)されている。
【0019】
主面11a,11bは、長方形状を呈している。以下では、主面11a,11bの長辺方向をX方向、主面11a,11bの短辺方向をY方向、主面11a,11bの対向方向をZ方向とする。圧電素子10のX方向での長さは、例えば、20mmである。圧電素子10のY方向での長さは、例えば、10mmである。圧電素子10のZ方向での長さは、例えば、0.45mmである。
【0020】
圧電素体11は、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されて構成されている。すなわち、圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向がZ方向と一致している。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。
【0021】
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、例えば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0022】
圧電素子10は、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極19,21,23の外形形状は、長方形状である。
【0023】
各内部電極19,21,23は、Z方向において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、Z方向に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、Z方向に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、各側面には露出していない。各内部電極19,21,23は、Z方向から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0024】
複数の外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極15とは、X方向に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、X方向で隣り合っている。複数の外部電極13,15は、主面11aの中央部に配置されている。複数の外部電極13,15は、Z方向から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、Z方向から見て、長方形状を呈している。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0025】
外部電極13は、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、内部電極19の内側に位置している。内部電極19には、Z方向から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、内部電極19に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体25の全縁が、内部電極19で囲まれている。
【0026】
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、Z方向で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体33を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、Z方向で、内部電極21と対向している。ビア導体33は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
【0027】
内部電極21は、ビア導体35を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極23と同じ層に位置している。接続導体27は、内部電極23の内側に位置している。内部電極23には、Z方向から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、内部電極23に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体27の全縁が、内部電極23で囲まれている。
【0028】
外部電極15は、ビア導体37を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、Z方向で、外部電極15と対向している。ビア導体37は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
【0029】
内部電極19は、ビア導体39を通して接続導体29と電気的に接続されている。接続導体29は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体29は、内部電極21の内側に位置している。内部電極21には、Z方向から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体29は、内部電極21に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体29の全縁が、内部電極21で囲まれている。
【0030】
接続導体29は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体29とは、離間している。接続導体29は、Z方向で、内部電極19と対向している。ビア導体39は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体29と接続されている。接続導体29は、ビア導体41を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体29は、Z方向で、内部電極23と対向している。ビア導体41は、接続導体29と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
【0031】
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、及び、ビア導体33を通して、内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37を通して、内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37、内部電極19、ビア導体39、接続導体29、及び、ビア導体41を通して、内部電極23と電気的に接続されている。
【0032】
接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、導電性材料からなる。ビア導体31,33,35,37,39,41のそれぞれは、複数のビア導体からなるビア導体群であるが、単体のビア導体であってもよい。Z方向で互いに隣り合う圧電体層17a,17bに配置されたビア導体31,33は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。圧電体層17a,17bに配置されたビア導体37,39は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。Z方向で互いに隣り合う圧電体層17b,17cに配置されたビア導体33,35は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。圧電体層17b,17cに配置されたビア導体39,41は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。
【0033】
導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27,29は、長方形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39,41は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0034】
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bをZ方向から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
【0035】
圧電素体11の各側面にも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、圧電素体11の各側面をX方向及びY方向から見たとき、各側面の全体が露出している。本実施形態では、これらの各側面も、自然面である。
【0036】
圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本実施形態では、圧電的に活性な領域は、Z方向から見て、複数の外部電極13,15を囲むように位置している。Z方向から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。Z方向から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
【0037】
図1~
図5に示されるように、配線部2は、振動部1に接続された帯状の第一配線部材50と、第一配線部材50に接続された第二配線部材60と、を有している。第一配線部材50は、主面11aに直交する直交方向(Z方向)から見て、主面11aの長辺に沿って延在して、主面11aの短辺と直交している。第一配線部材50は、X方向に延在し、Y方向と直交している。第一配線部材50は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、第二配線部材60と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
【0038】
第一配線部材50は、一対の外部電極13,15上に位置している。第一配線部材50は、接合部材70によって複数の外部電極13,15と電気的に接続されている。接合部材70は、Z方向から見て一対の外部電極13,15を一体的に覆うように、第一配線部材50の一端部と圧電素子10との間に設けられている。接合部材70は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層である。導電性粒子は、例えば、金属粒子、金めっき粒子である。接合部材70は、例えば熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材70は、例えば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。
【0039】
第一配線部材50は、接合部材71によって主面11a及び主面12aに接合されている。接合部材71は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。接合部材71は、主面11aの一方の短辺に沿って配置されている。接合部材71は、第一配線部材50の幅方向(Y方向)の全体を主面11a及び主面12aに接合している。接合部材71は、接合部材70から離間している。接合部材71は、例えば、反応型フェノール樹脂とニトリルゴムを主成分にしたホットメルト樹脂である。接合部材71は、接合部材70に含まれる樹脂材料と同じ樹脂材料を含んでいてもよい。
【0040】
第一配線部材50は、接合部材72によって第二配線部材60と電気的に接続されている。接合部材72は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層である。導電性粒子は、例えば、金属粒子、金めっき粒子である。接合部材72は、例えば熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材72は、例えば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。接合部材72は、例えば、接合部材70と同じ材料で構成されている。
【0041】
図7は、配線部材の下面図である。
図1及び
図7に示されるように、第一配線部材50は、ベース51、一対の導体層53,55、及びカバー57を有している。第一配線部材50は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。
【0042】
ベース51は、帯状を呈し、互いに対向している一対の主面51a,51bを有している。ベース51は、電気絶縁性を有している。ベース51は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。ベース51の厚さは、例えば100μmである。
【0043】
各導体層53,55は、ベース51の主面51a上に配置されている。各導体層53,55は、接着層(不図示)によって、主面51aに接合(接着)されている。各導体層53,55は、例えば、Cuからなる。各導体層53,55は、例えば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層53と導体層55とは、互いに離間して配置されている。各導体層53,55の厚さは、例えば20μmである。
【0044】
導体層53は、第二配線部材60に接続された端部53aと、外部電極13に接続された端部53bと、端部53aと端部53bとを接続している接続部53cと、を含んでいる。接続部53cは、第一配線部材50が延在している方向(X方向)に延在している。端部53aは、接続部53cの一端部と、第一配線部材50が延在している方向において隣り合っている。端部53bは、接続部53cの他端部と、第一配線部材50の幅方向(Y方向)において隣り合っている。
【0045】
導体層55は、第二配線部材60に接続された端部55aと、外部電極15に接続された端部55bと、端部55aと端部55bとを接続している接続部55cと、を含んでいる。接続部55cは、第一配線部材50が延在している方向(X方向)に延在している。端部55aは、接続部55cの一端部と、第一配線部材50が延在している方向において隣り合っている。端部55bは、接続部55cの他端部と、第一配線部材50の幅方向(Y方向)において隣り合っている。
【0046】
端部53aと端部55aとは、第一配線部材50の幅方向において互いに離間して配置されている。端部53bと端部55bとは、第一配線部材50の延在している方向において互いに離間して配置されている。接続部53cと接続部55cとは、互いに平行、かつ、第一配線部材50の幅方向において互いに離間して配置されている。
【0047】
端部53bと外部電極13との間には、接合部材70が存在している。端部53bと外部電極13とは、接合部材70に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。端部55bと外部電極15との間には、接合部材70が存在している。端部55bと外部電極15とは、接合部材70に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。
【0048】
カバー57は、主面51a上に配置されている。カバー57は、各導体層53,55と、主面51aとを覆っている。カバー57は、各導体層53,55と、主面51aのうち、各導体層53,55から露出している領域とに接着層(不図示)によって接合(接着)されている。カバー57は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。カバー57の厚さは、例えば25μmである。導体層53の端部53a,53bと、導体層55の端部55a,55bと、主面51aにおける各端部53a,53b,55a,55bの近傍領域とは、カバー57から露出している。
【0049】
図4に示されるように、第二配線部材60は、基板61と、一対の導体層63,65と、レジスト層67と、を有している。第二配線部材60には、第二配線部材60を厚さ方向(Z方向)に貫通している複数の貫通孔60cが設けられている。貫通孔60cは、断面円形状を呈している。第二配線部材60は、例えば、プリント基板(PCB:Print Circuit Board)である。基板61は、矩形板状を呈し、電気絶縁性を有している。基板61の厚さは、例えば0.8mmである。各導体層63,65は、基板61の上面61a上に設けられている。各導体層63,65は、例えば、Cuからなる。各導体層63,65は、例えば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層63と導体層65とは、互いに離間して配置されている。各導体層63,65の厚さは、例えば20μmである。レジスト層67は、基板61の上面61a及び各導体層63,65を覆っている。
【0050】
導体層63の端部は、レジスト層67から露出し、端部53aと接合部材72により接合されている。導体層63は、接合部材72に含まれる導電性粒子を通じて端部53aと電気的に接続されている。導体層65の端部は、レジスト層67から露出し、端部55aと接合部材72により接合されている。導体層65は、接合部材72に含まれる導電性粒子を通じて端部55aと電気的に接続されている。図示を省略するが、第二配線部材60は、基板61の下面に設けられ、各導体層63,65とスルーホール導体で接続された一対の導電層を更に有している。
【0051】
図1~
図5に示されるケース3は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、成型樹脂等の樹脂材料からなる。ケース3は、振動部1が収容される第一収容部3a、及び配線部2が収容される第二収容部3bを有している。
【0052】
第一収容部3aは、例えば、上面(被取付部材200側の面)が開放された直方体形状の箱部材である。第一収容部3aは、底板4と、一対の側板5と、一対の側板6と、支持部7と、を有している。
【0053】
底板4は、振動部材12の主面12bと対向している主面4a(第三主面)を有している。主面4aは、例えば、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。ここで、長方形状には、例えば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。長方形状には、正方形状も含まれる。主面4aの長辺方向はX方向、主面4aの短辺方向はY方向、底板4の厚さ方向はZ方向とそれぞれ一致している。主面4aは、主面12a,12bよりも大きく、Z方向から見て、主面4aの外縁は、主面12a,12bから離間して主面12a,12bの外側に位置している。底板4の厚さ(Z方向での長さ)は、例えば、1.2mm以上1.4mm以下である。本実施形態では、主面4aは、例えば、主面12a,12bの形状と相似形状であり、一辺の長さが30mm以上33mm以下の正方形状を呈している。なお、主面4aは、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状であるか否かの点で主面12a,12bと異なるが、相似形状は、このような場合も含むとする。つまり、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状であるかを考慮せず、主面4aの概形と、主面12a,12bの概形とが相似形状であれば、主面4aは、主面12a,12bの形状と相似形状であるとする。
【0054】
一対の側板5は、底板4のX方向の両端に配置され、X方向で互いに対向している。側板5は、厚さ方向(X方向)から見て、長方形状を呈している。一方の側板5には、一対の貫通孔5aがY方向に並んで設けられている。貫通孔5aは、長方形状を呈し、一方の側板5をX方向に貫通している。一対の貫通孔5aは、互いに同形状を呈している。音響デバイス100で発生した音は、主に貫通孔5aを通じてケース3の外部に伝わる。他方の側板5は、第二収容部3bに接続されている。他方の側板5の上端(底板4と反対側の端)には、切り欠き状の凹部5bが形成されている。
【0055】
一対の側板6は、底板4のY方向の両端に配置され、Y方向で互いに対向している。側板6は、一対の側板5を互いに接続している。側板6は、厚さ方向(Y方向)から見て、長方形状を呈している。一対の側板6は、互いに同形状を呈している。
【0056】
支持部7は、底板4の主面4aから突出し、振動部材12の主面12bの周縁部12cを支持している。支持部7の上面は、主面12bの周縁部12cと接合されている。支持部7は、矩形枠状を呈する凸部(突条部)である。支持部7の幅は、例えば、3mmである。支持部7は、四つの辺部7aを有し、主面12bの四辺を支持している。四つの辺部7aのうち、Y方向で互いに対向する一対の辺部7aの上面には、それぞれ長さ方向(X方向)の中央に連通部7bが設けられている。連通部7bは、辺部7aを幅方向(Y方向)に横切る切り欠き状の凹部である。連通部7bは、辺部7aの幅全体に設けられている。辺部7aの長さ方向における連通部7bの長さは、例えば、辺部7aの長さよりも短く、2.5mm以上3.5mm以下である。
【0057】
主面12b及び主面4aの対向方向(Z方向)から見て、支持部7は、圧電素子10から離間している。Z方向から見て、圧電素子10は、支持部7の内側の領域のX方向及びY方向の中央に配置されている。つまり、X方向における圧電素子10の一端と支持部7の一端との間の距離は、X方向における圧電素子10の他端と支持部7の他端との間の距離と等しい。Y方向における圧電素子10の一端と支持部7の一端との間の距離は、Y方向における圧電素子10の他端と支持部7の他端との間の距離と等しい。このような圧電素子10の配置によれば、圧電素子10をバランスよく振動させることができる。
【0058】
第二収容部3bは、他方の側板5に取り付けられている。第二収容部3bは、断面U字状の溝形状を有している。第二収容部3bの内部空間は、凹部5bを介して第一収容部3aの内部空間と連通している。第二収容部3bは、底板8と、一対の側板9と、を有している。底板8は、配線部2が配置されている主面8aを有している。底板8は、厚さ方向(Z方向)から見て、長方形状を呈している。一対の側板9は、底板8のY方向の両端に配置され、Y方向で互いに対向している。一対の側板9は、厚さ方向(Y方向)から見て、長方形状を呈している。
【0059】
底板8は、主面8aから突出する複数の突起部8bを有している。各突起部8bは、第二配線部材60の対応する貫通孔60cに挿入されている。突起部8bの先端の径は、貫通孔60cの径よりも大きい。これにより、第二配線部材60が底板8に固定されている。
【0060】
ケース3は、
図2に示されるように、被取付部材200の被取付面200aに取りけられ、被取付面200aのとの間に振動部1が配置される音響空間Sを形成する。音響空間Sは、連通部7bを通じて互いに連通する第一空間S1及び第二空間S2を有する。第一空間S1は、被取付面200aと主面12aとの間に形成される。第二空間S2は、ケース3と主面12bとの間に形成される。第一空間S1は、例えば、第二空間S2よりも広い。
【0061】
圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域(例えば、2kHz以上20kHz以下の範囲)において互いに異なる共振周波数(共振点)をそれぞれ有するように構成されている。例えば、圧電素子10及び振動部材12の共振周波数は、圧電素子10及び振動部材12の外形を小さくすると高くなり、圧電素子10及び振動部材12の外形を大きくすると低くなる。圧電素子10及び振動部材12の共振周波数は、例えば、圧電素子10及び振動部材12を構成する材料、又は、圧電素子10及び振動部材12の形状等によっても調整される。音響空間Sの共振周波数は、例えば、音響空間Sの大きさや形状等を調整することにより調整される。音響空間Sの共振周波数は、音響空間Sを画定するケース3や被取付部材200等の部材を構成する材料によっても調整される。なお、共振周波数は、音圧が共振によって最大となる周波数である。
【0062】
圧電素子10は、例えば、2000Hz以上3000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。音響空間Sは、例えば、3000Hz以上6000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。振動部材12は、例えば、13000Hz以上17000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域において互いに異なる範囲(互いに重ならない範囲)に共振周波数を有する。圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sの共振周波数は、少なくとも互いに500Hz以上の差を有して分散するように調整されている。圧電素子10の共振周波数と振動部材12の共振周波数との差は、例えば、10000Hz以上である。振動部材12の共振周波数と音響空間Sの共振周波数との差は、例えば、7000Hz以上である。
【0063】
以上説明したように、この音響デバイス100では、ケース3と被取付部材200との間に形成される音響空間Sは、互いに連通する第一空間S1及び第二空間S2を有している。このため、音響空間Sが一体となり、十分に共振するので、音響空間Sの共振周波数における音圧を高めることができる。特に、第二空間S2は狭いので、第一空間S1及び第二空間S2が互いに連通しておらず、第二空間S2が密閉空間である場合、第二空間S2の振動が阻害され易い。更に、第二空間S2が圧電素子10及び振動部材12の振動を阻害するおそれもある。本実施形態では、第一空間S1及び第二空間S2が互いに連通しているので、第二空間S2の振動が阻害され難い。また、圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域において互いに異なる共振周波数を有している。したがって、可聴域の広い周波数範囲で音圧を高めることができる。この結果、可聴域全体(可聴域の全周波数範囲)の音響特性を向上することができる。音響デバイス100は、特定の周波数に限られず、可聴域全体に対応したスピーカーとして用いられ得る。
【0064】
ケース3は、振動部材12の主面12bと対向している主面4aと、主面4aから突出し、主面12bの周縁部12cを支持する支持部7と、を有している。支持部7が振動部材12の主面12bの周縁部12cを支持するので、振動部材12の主面12bの全体がケース3の主面4aと接合されている場合に比べて、振動部材12の振動が阻害され難い。これにより、振動部材12が十分に共振するので、振動部材12の共振周波数における音圧を高めることができる。この結果、可聴域全体の音響特性を更に向上することができる。
【0065】
Z方向から見て、支持部7は、圧電素子10から離間している。このため、圧電素子10の振動が支持部7により阻害され難い。よって、圧電素子10が十分に共振する。したがって、圧電素子10の共振周波数における音圧をそれぞれ高めることができる。この結果、可聴域全体の音響特性を一層向上することができる。
【0066】
支持部7には、連通部7bが設けられている。これにより、第一空間S1及び第二空間S2が互いに連通する構成が容易に実現できる。
【0067】
圧電素子10は、例えば、2000Hz以上3000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、音響空間Sは、例えば、3000Hz以上6000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、振動部材12は、例えば、13000Hz以上17000Hz以下の範囲に共振周波数を有する。このため、可聴域の広い範囲で確実に音圧を高めることができる。
【0068】
圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sの共振周波数は、少なくとも互いに500Hz以上の差を有して分散している。このため、可聴域の広い範囲で音圧を高め易い。
【0069】
以下では、音響デバイス100では、圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域において互いに異なる共振周波数を有し、可聴域全体の音響特性が向上されていることを実施例により示す。
図8は、実施例に係る音響デバイスについて音圧周波数特性(音響スペクトル)を測定した結果を示すグラフである。
図8の縦軸は、音圧(dB/10cm)を示し、横軸は周波数(Hz)を示す。
図8では、実施例1~4に係る音響デバイスについて、音響スペクトルを測定した結果が示されている。
【0070】
実施例1では、振動部材の厚さを0.1mmとし、振動部材の主面の一辺の長さを25mmとした。実施例2では、振動部材の厚さを0.06mmとし、振動部材の主面の一辺の長さを21mmとした。実施例3では、振動部材の厚さを0.06mmとし、振動部材の主面の一辺の長さを25mmとした。実施例4では、振動部材の厚さを0.06mmとし、振動部材の主面の一辺の長さを29mmとした。実施例1~4では、振動部材の厚さ及び振動部材の主面の一辺の長さ以外の条件を一致させた。底板の主面の一辺の長さは30mmとした。
【0071】
図8に示されるように、実施例1~4に係る音響デバイスでは、圧電素子は、2300Hz以上2700Hz以下の範囲に共振周波数を有し、音響空間は、3700Hz以上5000Hz以下の範囲に共振周波数を有し、振動部材は、14000Hz以上16000Hz以下の範囲に共振周波数を有している。ケースの底板は、11200Hz以上12500Hz以下の範囲に共振周波数を有している。このように実施例1~4に係る音響デバイスでは、いずれも圧電素子、振動部材、及び音響空間が、可聴域において互いに異なる共振周波数を有している。これにより、可聴域全体で音圧が少なくとも70dB/10cm以上に高められている。可聴域全体で音圧の差(音圧の最大値と最小値との差)が30dB/10cm以下に抑制されている。圧電素子、振動部材、及び音響空間の共振周波数は、少なくとも互いに1kHz以上の差を有して分散している。圧電素子の共振周波数と振動部材の共振周波数との差は、10000Hz以上である。振動部材の共振周波数と音響空間の共振周波数との差は、9000Hz以上である。実施例1~4に係る音響デバイスでは、可聴域全体で音圧が高められ、音響特性が向上されていることが確認できた。
【0072】
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0073】
例えば、支持部7に設けられている連通部7bの数は、2であるが、連通部7bの数は少なくとも1以上であればよい。また、一対の連通部7bは、Y方向で互いに対向する一対の辺部7aの長さ方向の中央に設けられているが、連通部7bの位置はこれに限られない。
【0074】
底板4の主面4aは、振動部材12の主面12a,12bの形状と相似形状でなくてもよく、台形状であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
3…ケース、4a…主面(第三主面)、7…支持部、7b…連通部、10…圧電素子、12…振動部材、12a…主面(第一主面)、12b…主面(第二主面)、12c…周縁部、100…音響デバイス、200…被取付部材、S…音響空間、S1…第一空間、S2…第二空間。